アイドルのウエストはなぜ58センチなのか―数のサブリミナル効果

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・アイドルのウエストはなぜ58センチなのか―数のサブリミナル効果
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著者の調べによるとアイドル103人のウエストサイズ(プロフィールとして公開されたもの)を集計すると、58センチが突出して多い。前後の57センチと59センチはとても少ない。明らかにサイズ申告時に操作が行われたわけだが、日本人は基本的に8に好印象を持つことと関係があるようだ。スーパーの食料品も198円だとか298円のように8で終わる価格ばかりだ。米国では9.99ドルのように9が多いのに。日本人にとっての8の良さ、それは何か?

こうした数のサブリミナル効果を徹底的に研究した数詞の認知心理学的文化論。数詞のマーケティングに踊らせられたくない人、逆に人々を踊らせたい人にも役立つ知識満載。

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勉強になった。子供のころからの疑問が氷解した。

いち に さん し ご ろく しち はち きゅう じゅうという数詞。4は「し」とも「よん」ともいう。7は「なな」とも「しち」ともいえる。このふたつの数字だけ呼び名が2種類あって不便だと思っていた。それに1,2,3とカウントアップするときはどちらの呼び方でもありなのに、カウントダウンするときは必ずじゅう きゅう はち 「なな」 ろく ご 「よん」 さん に いち になる。なぜなのか、という不思議だ。
和語と漢語が混在していることに原因があるのだがさらに追究していくと、和語数詞の音韻体系に隠された巧妙な数学的からくりが幾つも存在している事実がわかってくる。日本語の奥深さにうならされた。詳しく知りたい人は本書を読んでください。

ところで、かなり数字の認知心理を網羅したように思える本書にもない観点を私としては、持ち込んでみると、こういうのもあるよね。

2の乗数に過剰に反応する人がいる。IT業界系の人たちだ(含む私)。われわれは原則的に物事をビット的に考えるせいか、2,4,8,16,32,64,128,256,512,1024が大好きだ。普通の人たちにとっては100番や1000番が"キリ番"なのだけれど、われわれは128番や1024番も吉している。この文化はコンピュータあるところ世界共通のはずなので、地域に限定された「末広がりの8」や「不吉な13」なんかより、よっぽどユニバーサルな文化なのではないだろうか。整理番号が偶然64だったらニヤッとしちゃう人が世界中に何億人もいるはずなのである。

THE SECRET LIVES OF NUMBERSというサイトがある。Webの検索エンジンで1から10万までを順番に検索して、検索結果数をグラフ化したものだ。人間があらゆるシーンで使う数字の統計である。

・THE SECRET LIVES OF NUMBERS
http://turbulence.org/Works/nums/

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やはり1から10までの利用回数はダントツに多い。そして基本的には50、100、1000ようなキリのよい番号が高い山になっている。その間に12と24だとか、95、96、97、98、99まで(西暦の下二桁として利用か?)などの利用頻度の高い数字が散見される。2の乗数を確認してみると、全体の中で突出しているわけではないが、ほぼ確実に前後の数字よりも高くなっているのであった。
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このページは、daiyaが2008年11月19日 23:59に書いたブログ記事です。

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