20歳のときに知っておきたかったこと スタンフォード大学集中講義

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・20歳のときに知っておきたかったこと スタンフォード大学集中講義
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著者のティナ・シーリグはシリコンバレーの中心に位置するスタンフォード大学で、学生に起業家精神を教えるアントレプレナー・センターのエグゼクティブ・ディレクター。「機が熟すことなどない」「早く何度も失敗せよ」「及第点でなく最高を目指せ」「ルールは破られるためにある」。集中講義を書籍化した本書は、たとえ20歳でなくても、挑戦心を焚きつけられるメッセージがいっぱい見つかる。

スタンフォード大のようなエリート養成校で、こうした「異質なこと」をする能力を魅力的に教えるコースがあるということが、アメリカのイノベーション創出能力(アップルやグーグル)の源泉にあることは間違いない。

情熱とスキルと市場が重なり合うあなたにとってのスウィートスポットを探せ、という。それは趣味と仕事の境がない世界。「ライフワークバランス」なんていう軟弱発想とは無縁の世界。

「生きることの達人は、仕事と遊び、労働と余暇、教育と娯楽、愛と宗教の区別をつけない。何をやるにしろ、その道で卓越していることを目指す。仕事か遊びかは周りが決めてくれる。当人にとっては、つねに仕事あり遊びでもあるのだ。」という老子の言葉が引用されている。

自慢話としての成功者の話というのは、すべての経験が今につながるように辻褄が合っているように聞こえるが、現実は当然ながら偶有性の連続だと話す。ガイドブックにない場所、偶然の出会い、やってみたから見えた驚きの事実。旅行と一緒で予定になかったことが一番面白い。

「自分のキャリア・パスは、振り返ってみると、ちゃんと筋道が通っているのです。でも、将来の道はぼやけていて、不確実なことの連続です。視界が開けないとイライラしてきます。それでも、大きなチャンスが巡ってくる確率を上げるように行動することはできるのです。」

人生50年計画を作って自己満足するなど無意味、しっかり目を見開いて今起きていることを見ろ、今あるものでどうにかせよ、自分で自分に許可を与えよ、「機が熟すことなどない」。大人の私もすっかりアジテートされてしまった。

起業家精神というのは世の中の数パーセントくらいの人間が持つ資質だろう。最高の能力を持つ人材となるとさらにわずかだ。潜在的な資質を持ったエリート層を、有名大学において適切に開花させていくシリコンバレーの孵化プロセスの一端が、この集中講義録から見えてくる。

日本でありがちなベタな起業家養成講座(フランチャイズ話とか混ざっている)と違って、ベストアンドブライテストのノブレス・オブリージュと起業家精神を融合させて語るところが凄いのだ。選ばれた人たちの、責任感とプライドのあるシリコンバレー流の起業が日本ではまだまだ少ないと思う。

個人的には、判断に迷ったときは将来そのときのことをどう話したいかを考えて、胸を張って話せるように、いま物語を紡ぎなさい、という話がぐっときたなあ。

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このページは、daiyaが2010年3月20日 23:59に書いたブログ記事です。

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