2011年3月アーカイブ

・A4 コーネルメソッドノート 5mm方眼
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こんなときでも効率よく動くためのツールの紹介。

アメリカの名門コーネル大学で開発された3分割レイアウトが特徴のノート。記録しやすいというだけでなく、内容の活用を促すつくりになっている。

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本来は復習強化を狙った学習用なのだろうが、私は仕事でとても便利に使っている。公式の使い方は上の画像のとおりだが、私の場合は、ちょっとカスタマイズしていて、

会議の議事録的なメモをAに書いておき
Bには自分の考えを書く
会議後の実行フェイズにおいて
AとBを見直しながら必要な追加事項のCを書く。

という使い方をしている。

これだと昔、愛用していた3色ボールペンで色分けしなくても、領域分けで重要事項と自分の考えを分けて記述しやすいので助かる。会議中にいろいろと湧き上がる煩悩も、Bに書き出してしまえば、本来のテーマに集中できる。

・コーネルメソッドの公式説明
http://www.gakkensf.co.jp/lineup/cornell/index.html
いろいろな人たちの使用例も。

・核爆発災害―そのとき何が起こるのか
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原子力発電所の最悪のシナリオを超えて、核爆弾爆発の最悪を研究した本。

著者は広島大学原爆放射線医科学研究所助教授を経て札幌医科大学教授となった被爆の専門家。9.11同時多発テロがきっかけで核テロ攻撃に対する被害のシミュレーションや、核爆発被害に対する防災・防護の研究に取り組んでいる。

広島で原爆が投下されたとき、直下にいても生き残って、ちゃんと長生きできた人がいる。ビキニ環礁での核実験を生き延びた住民がいる。被爆した第5福竜丸の乗組員たちのその後の健康状態は?。核爆発による被爆で生死を分けたのは何だったか。そのとき我々はどう行動したらよいのか。核爆発で放射能に汚染された都市はどうなってしまうのか。万が一の核爆発に対するガイドラインが書かれている。

永田町の上空600メートルで20キロトンの核爆弾が爆発すると、直後に直径220メートルの火球が都心上空に出現し、核爆発災害で東京都心は壊滅する。2キロ以内の建造物は99%が再利用不能なレベルに破壊される。品川や上野や池袋も39%の建築物が再利用不能の損傷を受ける。50万人が犠牲になる。負傷者数は300万人から700万人に及ぶと計算されている。多くのテレビ局は一瞬で無能化するが、都心から離れたフジテレビは生き残る可能性が強い。東京タワーが倒壊する可能性が高いから電波は届かないかもしれないそうだ(もうすぐスカイツリーはできますが...)。

核爆発が起きると猛烈な衝撃波、熱線(光)、初期核放射線、電磁パルス、残留核放射線という5つの危険が住民を襲う。多くの人間は瞬時に死亡するが、広島でも爆心地数100メートルで生き延びた人が結構いる。生き延びるには瞬時に伏せること、地下にいることが有効みたいだ。爆発の直下でさえ地下街(高層ビルの直下はだめ)と地下鉄路線は安全であることがわかっており、広島でも地下室にいて助かった人の報告が紹介されている。

衝撃波と熱線を回避したら次は核放射線を避けねばならない。車が横転していたら爆心地に近いのですぐに退避しなければならないが、建築物のガラスが割れていなければ爆心地5キロ以遠なのでとりあえず屋内退避すべき、など、具体的な防護態勢が解説されている。

放射線を浴びてしまった場合は、嘔吐と下痢が重症のサインとなるらしい。放射線を浴びて急性放射線障害を発症した生存者は、被災後2~10年後に白血病の発症リスク、5~10年後にその他の固形がん発症リスクがあるという。だが、全員が発症するわけでもない。実際、広島でもビキニ環礁でも第5福竜丸でも、被爆後に普通に長生きした人も多いのである。広島・長崎で2.5キロメートル圏内生存者での白血病発生率は0.18%だったという。懸念されがちな奇形など遺伝的障害の証拠はみつかっていない。

日本人は原爆被害を2度も被っているのに、現代の私たちは、被爆の被害のことをよく知らない。震災による原発事故によって、放射線被害に怯えているわけだが、微細なレベルでは絶望する必要はないみたいである。

「1000分の1シーベルトの全身被爆のリスクは、10万人の公衆がこの被爆を受けた場合、そのうち5人が将来致死がんを発症する確率になる。このリスクを他の種類のリスクと比べてみよう。タバコ50本の喫煙による将来の致死がんの発症や、自動車で5000キロメートル走行して交通事故で死亡する確率と、この線量のリスクが等しいと考えられている。毎日20本のタバコの喫煙を30年間続けると、22万本の喫煙となり、放射線換算で4.3シーベルトの半致死線量に相当する。」

むしろタバコ怖いなと...。

広島・長崎での原爆投下、チェルノブイリやスリーマイルの事故、米国やロシアの核実験による被害など、これまでの核爆発と放射線被害を幅広く検証しており、危機管理を再考する上で大変に勉強になる内容。

・ブルー・ロージス―自選作品集
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原子力発電所の危険性。今思えば先見の明はいくつもあったのでした。

『日出処の天子』、『アラベスク』、『妖精王』などで知られる少女漫画家 山岸凉子の自選作品集。

冒頭収録作の『パエトーン』は1988年に少女漫画雑誌に掲載された異色作。

原発の危険性を直接的に問題提起している。発表時期はチェルノブイリ原発の事故から二年後。広瀬隆の『危険な話』を読んで原発問題に関心を持った漫画家が、情報を調べて、とてもわかりやすく具体的に、事故の怖さを読者に訴えかけていた。

ギリシア神話の半神パエトーンは神の子であることを仲間に見せつけたいために、太陽神にしか御すことができない日輪の馬車を走らせた結果、暴走させる。制御を失った炎の車が世界を焼き尽くしてしまう。人間にとって、原子力はまだ操ることがゆるされないものなのだ、即時停止すべきです、というメッセージ。

原子炉の仕組み、放射能とは何か、原発事故が起きた際の放射能汚染について、用語解説と図解を多用して説明している。ギリシア神話の寓話を描いた冒頭8ページ以降は、少女漫画のスタイルを大きく破っており、山岸涼子っぽさがまったくない。まるでいまテレビでやっている解説みたいである。当時これを雑誌に掲載するのは勇気がいったのではないか、よほどこのメッセージを世に問いたかったのだろうなあ。

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ところで、漫画の中で解説されているのですが、東京電力のロゴは核分裂を表しているって知っていましたか。東京電力は事故対応が落ち着いたら、ロゴも変えるべきでしょうね。

他の収録作品は女性の心の揺れを描く一般的な少女漫画作品。

淫らな血縁関係を描いた『星の素白き花束の』や、何かに化かされて歩いても、歩いても帰宅できないホラー『化野の・・・』など読み応えのある作品がある。

・復興計画 - 幕末・明治の大火から阪神・淡路大震災まで
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元の状態のもどすのが復旧、新たな質と水準を加えるのが復興。

「東京の銀座、新宿二丁目、大阪の北新地、横浜の関内、函館西部の坂道、川越や高岡の蔵のまちなどは明治・大正期に復興計画が実施されていた場所であると指摘されると、本当ですか、と反応する人が多いに違いない。城崎温泉、山中温泉はいったん壊滅し、復興計画で現在の情緒ある姿が再生されたこと、静岡大火、鳥取大火の復興計画があった事実さえ、地元を除けば、まったく知られていない。戦災復興事業が仙台のケヤキ並木道、広島の河岸緑地をはじめとして全国各地ですばらしい成果を生んだことは、一部の都市を除いて、郷土史、学校教育、市立博物館でもほとんど取り上げられていない。」

忘れられやすい復興の歴史を振り返り、その復興計画が日本の都市をどのように変えてきたかを明らかにする。

幕末・明治の大火復興
関東大震災と帝都復興 戦災復興院(省と同格)による 後藤新平の活躍
1930年代の各地大火の復興
第二次大戦戦災の復興
阪神淡路大震災の復興

などが各一章を割かれている。

災害や戦災によって都市が破壊されたときに、平時では合意できなかった効率的で安全な街づくりが可能になる。たとえば関東大震災後の帝都復興事業では、消失区域の約9割に相当する区域で区画整理が行われた。危険な木造密集地域を整理し、大通りを通し、駅前広場を整備し、緑地や公園を配置することができた。繁栄する国際都市東京のレイアウトはこの時期にいっきに近代化した。。

「当初計画より縮小されたとはいえ、戦災復興事業は1600年前後に建設された我が国の近世城下町、宿場町の都市形態を一新し、戦後の高度成長を支える中心市街地のインフラをつくりあげた。日本の歴史の中で、全国一斉に都市が計画的に建設されたのは、安土桃山・江戸初期の城下町建設とこの戦災復興事業の二度のみである。」

こうしてつくられた景観は今や歴史的な重みも感じられる場所になっている。復興によって、よりよいものになりうる。著者はこうした復興計画は大変重要だが、その計画を示すのは、災害後、早い方がいいと提言している。

「災害復興に際しては、まず、都市計画と住宅に絞ってビジョンと方針を早急に、一か月以内に、荒削りであっても素案の形で公表し、それと同時に、建築制限を行い、住民の理解、議会と世論の反応を踏まえながら成案としていくやり方が望ましかった。」

たとえば関東大震災の翌日に、後藤新平は内務大臣として、東京復興の基本方針を発表し、矢継ぎ早に手を打つことで、成果をあげた。まだ復興の話なんて早いというのは、間違いかもしれないのである。

・なぜ危機に気づけなかったのか ― 組織を救うリーダーの問題発見力
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問題解決力と問題発見力は別物。

ケネディ政権で国防長官を務めたロバート・マクナマラ氏は、ハーバード・ビジネススクールで行った講義の中で、MBAのケーススタディは役に立たない。なぜなら学生に何が問題なのかを教えてしまうからだ、と言った。

解決すべき問題が何か、なかなかわからないことが現実の問題なのだ。

原題は"Know What You Don't Know. How Great Leaders Prevent Problems Before They Happen"(あなたが知らないことを知りなさい 偉大なリーダーたちはいかにして問題を未然に防いだか)。自分の知らない何かに常に注意を向けること、自分が何を知らないのかを追求し続けること、それがリーダーの問題発見力の基本だという。

「効果的に問題を見つける7つの行動」として、

1 フィルターを避ける 
2 人類学者になる 
3 パターンを探す 
4 点を結びつける 
5 価値のある失敗を奨励する 
6 話し方と聴き方を教える 
7 ゲームの録画を見る 

が挙げられ、それぞれに一章が割かれ詳しく解説されている。たとえば第一章では、

「フィルターを避ける」ための5つの手法として、

・自分の耳で聴く
・さまざまな意見を探して聴く
・若い人とのつながりを持つ
・周辺部にも足を伸ばす
・利害関係者でない人と話す

という具体的な方法レベルまで語られる。人の上に立つリーダーになればなるほど、フィルターを通して状況を把握することになる。だからこそ意識的に、組織の外にある多様な情報、生の情報に意識的でなければならない。ソーシャルメディアに触れるというのは、手軽な方法である気がする。

リーダーの陥りがちな失敗も事例がいっぱい紹介されている。「価値のある失敗を奨励する」の章ではサンクコストの過ち(損失を取り戻そうとしてますます深みに落ち込む)が語られる。音速ジェットのコンコルドプロジェクトは有名なケースだ。

「かなり早い段階で、このプロジェクトは金銭的に成功する実質的な見込みがないことが明らかになった。英国とフランスの政財界のリーダーたちは、あと一歩のところでプロジェクトを中止しそうになった。けれども、過去に支出した莫大な金額が「無駄遣い」になることをおそれて継続の道を選んだ。最終的にコンコルドの開発費用は当初予算の500%を超えた。この投資はいかなるプラスの金銭的リターンももたらさなかった。」

ビジネス、政治、軍事、スポーツ、医療など各界のリーダーたちの意思決定の成功と失敗から、要点が抽出整理されていて読みやすい。不確実な状況の到来、組織のリーダーにとって危機管理、意思決定がとりわけ重要な時代になった。今読む本だと思う。

・全国詳細地図をオフラインで MapFan for iPhone が震災支援で期間限定無償配布
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これまた素晴らしいアプリ。インターネットに接続できなくても、iPhoneにローカルにインストールされた全国地図を参照できます。

平常時の定価2300円ですが「帰宅支援および避難経路確認などにお役立ていただきたく、期間限定で無償でのご提供をさせていただくことにいたしました。」とのこと。インクリメントP社の大英断です。無償でありがたく使わせていただいて、次のバージョンを皆で買ってあげましょう。

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全国(1,340箇所)の詳細地図をローカルに収録。番地までの住所検索や駅名検索なども収録。かなり細かい建築物の形まで確認できるようになっています。通信圏外でも、地図表示や縮尺変更、GPS(位置情報)を利用した現在地確認が可能。

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地名だけではなく、店舗、駅出口、銀行、コンビニやファミレス、ガソリンスタンドなども収録されています。最近テレビで取り上げられた近隣スポットもわかるようになっており、iPhone標準の地図を遥かに凌ぐ最強のマップアプリです。

MapFan for iPhone - INCREMENT P CORPORATION

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ベルを鳴らす時間を3つ登録できる。1時間の講演であれば、30分経過、50分経過、60分終了などにあわせるとよさそう。

ベルが鳴るたびに、時刻表示の色が黄色、ピンク、赤と変化する。

経過時間を表示するカウントアップモードと、残り時間を表示するカウントダウンモードを時刻表示をタップすることで切り替えることができる。

手動でいつでもベルを鳴らすこともできる。あのチーンという音は、話すのを止めるのに最適なので、会議でも有効に使える。

プレゼンタイマー - Takuya Murakami

タテでもヨコでも使うことができる。

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プレゼンタイマーと機能的にはほぼ同じだが、プレゼンベルというソフトもある。こちらはベルの絵が大きく表示されている。タテ固定であること、3つの時刻をカウント中は表示しないことが前者のソフトと違う。

プレゼンベル - HasegawaAkira

・科学コミュニケーション-理科の<考え方>をひらく
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専門家と一般人の間をつなぐのが科学コミュニケーション。

科学技術を利用して持続可能な社会を実現するには、科学コミュニケーションのやり方を、情報伝達のコミュニケーションから、共感・共有のコミュニケーションへと変えていかねばならないという主張の本。

面白い問題が紹介されていたので、ちょっと紹介する。

Q:ここに4枚のカードがあります

A
D

「一方の面が母音のカードは必ず裏が偶数」という法則があるとします。この法則を確かめるにはどのカードをめくってみればよいでしょうか?。

この問題の答えは、Aのカードと3のカードだが、一般の学生でやると正解率は25%に満たないくらいであるそうだ。

一方で、

Q:
ビールを飲んでいる人
コーラを飲んでいる人
十六歳の人
二十五歳の人

がいて、「ビールを飲む人は二に十歳以上である」という法則を確かめるには、誰に質問すべきでしょうか?、という問題を出すと、ビールを飲んでいる人と十六歳の人に聞けばいい、と9割の人が正解するという。

この二つの問題は同じ構造の問題なのに、社会的問題にした方が圧倒的に考えやすくなる。後者の問題は、深く考えずとも、感覚的に答えることさえできる気がする。

20世紀ソ連の心理学者レゴヴィツキーは、人間の概念を、教育によって習得する体系化された「科学的概念」と、生活の中で身につける自然発生的な「社会的概念」の2つに分類した。多くの人は、科学的・論理的に考えるよりも社会的な見方で考える方に慣れている。

「宇宙も原子も生命もどんな科学の話も、この世界の時間と空間の中に配置された物語として語ることで、人は実感としてわかることができるのです。」

科学者は「因果関係による理解」に慣れている。一般人は「物語による解釈」を必要とする。科学の問題を、社会の問題として、専門家と非専門家が共に考えるには、「情報伝達」のコミュニケーションだけでは不足であり、むしろ「共感・共有」のコミュニケーションこそ肝なのだ。

「私たちが私たち自身の未来を選ぶためには、まず最初に、現状把握と未来予測をしなければいけません。私たち自身が実際の分析を行うのは無理でも、専門家が出した具体策や数字に対して、私たち自身が判断をくだすのです。そのためには、批判的で健全な科学的感性や確率論的感性が、知的市民に備わっていなければなりません。次に、判断して選んだ具体策を、私たちみんなが同意しなくてはいけません。そのためには、危機に陥る原因となったそれまでの価値観を変革し、新たに選んだ価値観を共有しなくてはなりません。解体に向かった人々の間の結合も、何らかの形で再結成しなくてはなりません。すなわち、こういった知的市民の選択と採用に寄与することこそ、共感・共有に基づいた科学コミュニケーションの仕事なのです。」

従来の「サイエンスカフェ」式の科学コミュニケーションのありかたでは、もともと科学が好きな人を集めているだけで、肝心の科学に関心の薄い人たちが参加していないという問題提起や、実は話す人の人選(人柄)で成否が決まることが多いという科学コミュニケーションの現実の指摘など、本質を見ているなあと感じた。

科学コミュニケーション。これからの環境やエネルギーをどうする?と、マジで考えなくてはならない日本人全体の問題になりつつある。

・希望のつくり方
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「希望学」の提唱者で東大社会科学研究所教授 玄田有史氏の近刊。

「希望は「気持ち」「何か」「実現」「行動」の四本の柱から成り立っている。希望がみつからないとき、四本の柱のうち、どれが欠けているのかを探す。」

希望学では希望を、
   「行動によって何かを実現しようという気持ち」
   Hope is a Wish for Something to Come True by Action.
と定義している。

幸福は継続を求めるが、希望とは変化を求めるものだ。過去数十年のニュースにおいて「希望」と一緒にでてくる言葉のトップは「水俣」(病)だったそうだ。苦しい現実、過酷な状況を良い方向に変えたいと願う気持ちが、希望には宿っている。

日本の大人の3分の1は希望がない、もしくは諦めているというデータがあるそうだが、逆に考えると多くの人は希望を持っている。その中身を知るべくアンケートをとると、家族・健康・遊びよりも、仕事にまつわる希望(66.3%)が一番多いのだそうだ。希望格差社会という言葉があるが、現代において希望が持てない若者が増えたのも、不況で安定した雇用につけないことに大きな原因があるのは間違いない。

収入と希望は年収三百万円以上では相関しないとか、やりたいことを目指していたけど途中で変化した人の満足度が高いとか、仕事と希望についての真実がいくつも明かされる。「いつも会うわけではないけれど、ゆるやかな信頼でつながった仲間(ウィーク・タイズ)が、自分の知らなかったヒントをもたらす。」というソーシャルグラフの大切さも強調されている。

著者によると希望を構成する3大要素は「可能性」、「関係性」、「物語性」。物語性というのは、自分の人生の物語を意識している人は、紆余曲折も無駄な努力も糧と出来るので強いということ。挫折を乗り越えた人のほうがそうでない人よりも、希望を持っている割合が高いというデータで裏付けされている。失恋経験が乏しい20代男性は恋愛や結婚をあきらめやすいなんて話も。

著者が講演で中学生、高校生たちに話したアドバイスが印象的だった。頑張って壁を乗り越えなさいなんて言わない、壁は乗り越えられないから壁なのだと前置きしたあとで、

「大きな壁にぶつかったときに、大切なことはただ一つ。壁の前でちゃんとウロウロしていること。ちゃんとウロウロしていれば、だいたい大丈夫」

希望とは模索そのもの。努力してみる、やりながら考えること、そのプロセスに希望が宿るのであり、無駄な努力と諦めるところには希望はないという。

ネットエイジの西川社長らが「希望」という名の救援・復興支援プロジェクトを始めた。私もまずは「いいね!」を押して参加することにした。実は西川さんがこの本に影響を受けたというFacebookの書き込みをみて、私はこの本を読んだのだ。

希望学から生まれた希望という名のプロジェクト、みなさんも参加しませんか。

震災地の救援・復興支援「Project KIBOW」を発足。世界との架け橋に
http://www.venturenow.jp/news/2011/03/18/1848_010380.html

・Project Kibow
http://www.facebook.com/kibow.jp
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株式会社アドバンスド・メディアが東北地方太平洋沖地震の被災地支援で4月20日まで無償で配信している音声認識ソフト。どんな状況になるかわからない。使えるコミュニケーションツールを増やしておくことは安心につながる。

「サーバを使わずに音声から文字への変換を行いますので電波が通じない地域でも使用可能」という点がうれしい。

音声認識エンジンの起動に最初は少し時間がかかる。音声入力には全自動のワンタッチモード、押しながらしゃべるモード、ボタンで認識の開始・終了を指示する切り替えモードの3種類。

個人差がありそうだが、音声認識の精度は私の場合はかなり高いように感じた。ゆっくりとしゃべればほとんど認識されている。入力テキストの単語をタップすると修正候補も表示される。

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作成したテキストはコピーされて、メール、SMS、マップ検索、Safariを起動してのWeb検索、ツイッターへの投稿、Evernoteへの投稿に利用ができる。

声のつぶやきを、ツイッターのつぶやきとして送ることができる。

音声認識メールST(3GS以上専用) - Advanced Media,Inc

・三陸海岸大津波
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実はこの本は大地震が起きたから読んだのではなくて、たまたま私の個人的な、吉村昭作品通読活動の一環で1月ごろに読んでいた。ブログで紹介しようか、この1週間、相当迷ったが、地震についての何らかの情報提供になると思うので書く。

三陸海岸は昔から何度も大津波に襲われている。記録にあるだけでも、西暦869年から2011年までで21回に及ぶ。1千年以上にわたっておよそ50年おきに被害をこうむってきたことになる。本書では作家 吉村昭が、直近の明治29年、昭和8年、昭和35年の大津波について、綿密な取材をもとに、その全容を綴ったドキュメンタリ作品。初版は昭和45年6月。

明治の三陸大津波はとりわけ巨大だった。今回の津波は15メートル程度と言われているが、明治三陸では高さ50メートルに達したという。当時、8メートルの防潮堤を築いた村もあり、専門家は「それで十分」としていたという。歴史は繰り返してしまった。(津波の高さを正確に測るのは難しいとも吉村は書いている)

前例を見ないマグロの大漁、深い井戸の濁り、鰻の大量出現、狐火など、前兆が毎回記録されている。そしてドーンという大音響とともにやってくる大津波。被災の悲惨な模様が津波を経験した人々の語りやこどもたちの作文から伝わってくる。今回も大被害を受けたとしてテレビ報道される田老村は、過去においても、津波被害が最も激甚だった地区として本書に何度も登場する。

「津波は、自然現象である。ということは、今後も果てしなく反復されることを意味している。海底地震の頻発する場所を沖にひかえ、しかも南米大陸の地震津波の余波を受ける位置にある三陸海岸は、リアス式海岸という津波を受けるのに最も適した地形をしていて、本質的に津波の最大災害地としての条件を十分すぎるほど備えているといっていい。津波は今後も三陸沿岸を襲い、その都度災害被害をあたえるにちがいない。」

吉村昭はむすびで、三陸海岸の人々が地震に対する知識を持ち、備えをするようになったことで、

明治29年 死者数26360名
昭和 8年 死者数 2995名
昭和35年 死者数  105名

と死者数が激減してきたことを高く評価していた。昭和43年の十勝沖地震の津波では人的被害がでなかった。しかし、いつか明治三陸のような10メートルを超える津波が来れば防潮堤を越すだろうとも、40年前に書いていた。悲しいことに作家の推測が的中してしまった。

本書では、何度も何度も大被害にあいながら復興再生を繰り返してきた三陸海岸の地域コミュニティの力強い復活の実績も示されている。津波被害を受けるのは史上22回目、でも絶えることなく三陸海岸は蘇ってきた。また復活してほしいと願います。

これはめちゃくちゃよい。

いま日本が海外でどう報じられているか知るのを助けるツール。

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英語辞書機能を搭載したWebブラウザー。

単語をタップすると辞書引きができる。

いま見ているページを表示しながら、上下に選択した単語の翻訳が出る。

発音を音声で確認することもできる。

ブラウザーとしてはSafaryと同等の機能がある。ブックマークや履歴表示など。

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各分野の主要なニュースサイトがカテゴリ別でリンク集にあらかじめ登録されているのもすばらしい。

辞書引きした単語の履歴も保存されていて、学習用の単語帳を作成することもできる。


Tap English in the web - Flammy Design

計画停電の停電時間を検索して確認できるiPhone/Androidアプリ。ここではiPhone版の紹介になります。

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以下の検索機能があります。

○GPS等の位置情報を用いて現在位置のグループおよび停電計画時間を表示する機能
○指定した地図上の任意の地点のグループおよび停電計画時間を表示する機能
○郵便番号から該当地域のグループおよび停電計画時間を表示する機能
○住所から該当地域のグループおよび停電計画時間を表示する機能

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このアプリは計画停電が発表された直後の16日にすばやくリリースされました。

提供会社のイサナドットネット株式会社と開発者に拍手を送りたいと思います。グッドジョブ。

早くこのアプリが不要になる日が来るとよいのですが、今はありがたく使います。

停電検索 - isana.net, inc.

・ぼくがラーメンたべてるとき
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「ぼくが ラーメン たべてるとき

となりで ミケが あくびした

となりで ミケが あくびしたとき...」

前にこのブログで絵本「どんなかんじかなあ」を紹介したら、「感動しました」というレスポンスを多数いただきましたが、この絵本も大人の心に刺さってくる名作です。大震災後の危機の真っ最中の今、特に深く考えさせられるメッセージを持っています。

読み聞かせに使うと、大人の方が物語に引き込まれて黙ってしまい、子供に「どうしたの?」と聞かれるかもしれません。

ぼくがラーメンをたべてるとき、となりのまちの子供は何をしている?という語りのパターンで、同時刻の個の視点を並べていくことで、世界の本質を浮かび上がらせます。何気ない日常がいかに貴重なものか、こどもにも大人にも納得させる展開が見事です。

大人が読める子供向けの絵本ってよいですね。大人向けの絵本というジャンルもありますが、あざといものが多い気がする。本来は子供向けでありながら、大人にしか分からない深みを持つ作品こそ、大人の絵本の最高峰だと思います。

これはそういう稀な一冊です。

・どんなかんじかなあ
http://www.ringolab.com/note/daiya/2011/01/post-1364.html

・「言語技術」が日本のサッカーを変える
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日本サッカーに足りないのは自己決定力と、その基盤となる論理力と言語力。「ディベート」や「言語技術」の講義、各界著名人の講演などの体験を通して、賢いサッカーエリートを育成しようという、日本サッカー協会副会長の画期的トレーニング論。

先日、ご本人の講演も拝聴したが言語技術の教育は「サッカー以外でも役立つから」というのではなく「サッカーに直結するから」やっているのです、という言葉が印象的だった。世界で勝つためには、論理思考とコミュニケーション能力が必須なのだそうだ。

「論理力も表現力もない選手とは、語弊があるかもしれませんが一言でいうなら「スポーツバカ」です。かつての日本のスポーツ界は、たしかに考えることや表現することを、あまり重視してきませんでした。根性や体力で勝負すればいい、という雰囲気が蔓延していました。たとえば中学から高校に上がる時には、「おまえ勉強するのか、それともスポーツを選ぶのか」という二者択一を迫ったし、進学校は進学校で、「うちは勉強ができる生徒たちの学校だから、スポーツは弱くてもいい」と開き直ってきたのです。」

日本の選手はいざというときに監督に指示を仰ぐが、強豪国のエリート選手は各自の論理的判断で自律的にプレーをすることができる。言葉を使って論理的に考えることができるかどうかが試合での決定力につながって差がでる。

「いまの若者たちは、すぐに"きもい""エロい""うざい"といった簡単なことばを使ってコミュニケーションを取ろうとします。普段は、どこが、どのように「気持ち悪いのか」、誰が、どのように「エロティック」なのかを、論理的に突き詰めて考えるという習慣を持っていません。」

あいまいさを指摘する「問答ゲーム」、状況分析や論証力を鍛える「絵の分析」、耳で聞いた物語を要約する「再話」、ディベート。言語技術のトレーニングを、ジュニア選手や指導者に行う実践ドキュメンタリがある。

そしてエリート教育論。2001年に著者がU17日本代表監督としてヨーロッパ大会にでかけたときの話。合宿で朝食のテーブルに髪ボサボサでポケットに手を突っ込みながら「チーッス」という日本選手。びしっと整髪して、揃いのポロシャツをズボンにきちっとしまって礼儀正しい強豪国の若者たち。この時点で「勝負あった」と負けを悟ったそうだ。そして、日本に欠けているエリート教育の必要性を実感し、礼儀作法から意識改革を開始した。

日本のサッカーが強くなったのは、こうした十年以上にわたる教育トレーニング方法の改革の成果といえるのだろう。本来はサッカーを強くするための教育論だが、ビジネスマンや親が読んでも参考になる内容が多くて面白かった。

停電の夜に

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・停電の夜に
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「臨時の措置、と通知には書いてあった。五日間だけ、午後八時から一時間の停電になるという。天候が落ちついてきたので、吹雪でやられた箇所の復旧作業をするらしい。停電といっても、この道筋だけのこと。静かな並木道になっていて、ちょっと歩けばレンガの店先が何軒かならび、市電の停留所もある。夫婦が暮らして三年になる。」

アメリカの計画停電の話。

若い夫婦ショーバとシュクマールの住むマンションで、午後8時から1時間の停電が5日間続くという知らせが届いた。大学の研究者である夫と教育図書の校正をする妻。二人の関係は、子供の死産以来、冷めきっていて、家の中でも顔を合わせることが稀だった。

停電を機会に二人はロウソクを灯して向かい合い、一夜に一つずつ、お互いの秘密の打ち明け話をすることにした。夫婦の関係を修復するはずだった夜の会話の試みは、しだいにきわどい部分へと立ち入っていく。

上質な大人の海外文学Liteという味わいで楽しめる短編集。アメリカに住むインド人女性の視点で語る作品が多い。デビュー作にしてO・ヘンリー賞、PEN/ヘミングウェイ賞受賞作。

ジュンパ・ラヒリが気に入ったら映画『その名にちなんで』がおすすめ。

「ニューヨークとインドを舞台に、異文化で生まれ育った子供に、親から与えられた"名前"にまつわる涙と感動の物語」傑作ですよ。

その名にちなんで (特別編) [DVD]
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iPhone版 家庭の医学 が被災者支援のために無料化されて提供されています

すばらしい。すばらしい。株式会社エムティーアイと時事通信出版局の英断に拍手です。

「東北地方太平洋沖地震への支援といたしまして、家庭の医学アプリを無料にて配信いたします。被災された皆様へこころよりお見舞い申し上げます。

支援へご賛同いただける方は被災地への義援金や節電など可能な限り被災地支援をお願いいたします。
*************************
応急処置、一刻を争う症状、病気の症状など、被災地でご利用いただける情報を多数掲載しております
*************************」

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時事通信出版局「新 家庭の医学」の最新版のiPhoneアプリ版(通常は1500円)を、無料で提供しています。有名な書籍版は62年で累計445万部発行、厚さ7cm、重さ2kgもある大著です。電子版なので用語検索、部位検索、症状検索などができて使いやすいです。

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【主な項目】
・病気の知識
・応急処置
・子どもの病気
・女性の病気
・妊娠出産
・医師への上手なかかり方
・薬の正しい知識
・病気の予防
・検査の知識

など約2万8千項目を収録

#今後はこの会社の有料アプリを買ってあげましょう。

家庭の医学 - MTI Ltd.

先日ビックカメラに行ったら、懐中電灯が売り切れになっていた。

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懐中電灯は必要なときに携帯していないことが多い。

携帯電話は常時携帯しているから、いざというときに懐中電灯として使えたら便利だ。

iPhone、iPod、iPadの画面を真っ白にして、簡易的な懐中電灯として使うアプリケーション。真っ暗な場所だとこれでもかなり役立つ。災害時でなくても、ちょっと手元に明かりがほしいときに便利に使える。

光の点滅のSOSモールス信号や急速な点滅で遭難を周囲に知らせる機能もある。

iPhone4の場合にはフラッシュを使って強力なライトで照らすことが可能。iPadはかなり画面が大きいので明るい。

懐中電灯系アプリはこのほかにも多数あるようだ。

懐中電灯。 - 7th Gear

気象庁の提供する「高度利用者向けの緊急地震速報(予報)」を利用して、地震速報の通知をiPhoneで受け取ることができるアプリケーション。アプリを起動していなくても、アラートを受けることができる。

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予測地点と通知震度を設定する。

地震予報が発信されると

「震度○が○秒後(震源地*** 最大震度*)」

という表示を画面に表示する。

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もちろんインターネット経由のシステムなので、情報の伝達が遅延することはありえるわけだが、気がつけば緊急避難を行うことができる。

・緊急地震速報のしくみと予報・警報
http://www.seisvol.kishou.go.jp/eq/EEW/kaisetsu/eew_naiyou.html
「緊急地震速報(予報)が従来の地震情報と異なる点はその迅速性です。気象庁は緊急地震速報(予報)として下図のように地震を検知してから数秒~1分程度の間に数回(5~10回程度)発表します。第1報は迅速性を優先し、その後提供する情報の精度は徐々に高くなっていきます。ほぼ精度が安定したと考えられる時点で最終報を発表し、その地震に対する緊急地震速報の提供を終了します。」

ゆれくるコール

Yahoo!ケータイの「災害用伝言板」は、携帯電話・PHS事業者5社(エヌ・ティ・ティ・ドコモ、KDDI、ソフトバンクモバイル、ウィルコム、イー・モバイル)がして協力して情報の横断検索に対応し、災害時に家族・親類・知人などの安否確認に使える伝言板サービス。

この伝言板をiPhoneから利用するのがこのアプリケーション。

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あらかじめ設定した家族や知人のメールアドレス(3件)に対して、情報を送信することができる。また知人や家族は確認したい相手の携帯電話番号を入力することで、その伝言を読むことができる。

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いざというときには、情報の登録も確認もどうしたらいいか焦ってしまうもの。アプリになっていれば、利用しやすい。iPhoneユーザーはインストール必須。パソコンからもアクセス可能。

災害用伝言板 - SOFTBANK MOBILE Corp.

こういう状況下で何かの役に立つかもしれません。

domoは、「興味・関心から」「オンライン・オフライン問わず」「リアルタイムに」人と人をつなげるというコンセプトのiPhone&Androidアプリ。拡張現実感アプリのセカイカメラで知られる頓知ドット社が開発している。

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まず最初にFacebookアカウントを認証させて、ユーザーの関心データを取得する。同じ関心を持っていて、且つ、近隣にいるユーザーが表示される。ユーザー数が少ない現在は近隣がかなり広く設定されているようだ。

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近隣のみんなの関心事項も表示される。

見つけた顔アイコンをタップして、"Domo"を送ることで、他のユーザーと会話を開始することができる。

domo - Tonchidot Corp.

先日、こんなアプリを紹介したら、

背景をボカシて静物・料理をキレイに撮影するiPhoneアプリ モノ撮りカメラ
http://www.ringolab.com/note/daiya/2011/03/iphone-4.html

料理をきれいに撮影するにはDelicamもおすすめですと教えてもらいました。

モノ撮りカメラでは、擬似的なぼかし処理と明るくする処理で、おいしそうな画像を作っていましたが、ぼかし処理は写真によっては違和感のある結果になることもありました。こちらも試してみることに。

基本的には明るくするアプリです。

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ビフォアアンドアフターで見るとこうです。

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同じ写真をモノ撮りカメラとDelicamで加工して並べてみました。

左がモノ撮りカメラ。、右がDelicam。

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上の画像はクリックすると拡大できます。大きい画像で見ると二つの処理の違いがよくわかります。Delicamの方が効果が強い代わりに、元画像の質感を失ってしまう傾向があります。小さな画像ではモノ撮りカメラ、大きな画像ではDelicamという使い分けがよさそう。

アプリ内からメールやTwitterへ送ることができます。

美味しく撮れるカメラ DeliCam - Kei Kusakari

・スパイ・爆撃・監視カメラ---人が人を信じないということ
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左翼地下活動が盛んな前世紀初頭の「スパイ」の時代、飛行機と空爆による「みなごろし」の時代、監視カメラとゲーテッドコミュニティの「プライベート・セキュリティ」の時代。3つの時代の3つのキーワードを軸にして、人が人を信じないということ、監視テクノロジーの関係性を探る社会史。

技術と人間不信は補完関係にある。たとえば銀行のATMには、暗唱番号認証と監視カメラが当たり前についてくる。私たちは自分が社会に疑われていること、相手から信用されていないことについて鈍感になっていると著者はいう。そして機械化によって人は目を合わせることがなくなると、人間は反社会的な行動をとりやすくなる。戦争では、遠隔からの爆撃技術によって、人が人をためらいなく殺せるようになった。機械の目には功罪の両面がある。

監視技術はふつうでないものを発見する技術だが、公共空間においてはふつうこそ疑わしいという話が面白かった。社会学者のアーヴィング・ゴッフマンの「ふつうの外見」という概念が紹介されている。

「攻撃の意図を隠す側と、意図に気づいているものの、それを隠している側とは、いずれも「ふつうの外見」をとる。このとき、「ふつうの外見」は、もっとも疑わしい。個人は、自分の周囲にいる「ふつう」の他者をすべて疑わざるをえなくなるのだ。こうなってしまうと、その人をとりまく世界は、熱い(Hot)ものになる。ゴッフマンは、<Hot>という単語を使っているが、これは、攻撃者が迫っていて危険だというような意味と読める。 にもかかわらず、私たちは、この「ふつうの外見」を用いなければ、相手に対して「攻撃の意図がないこと」を伝えられないのである。同様に、相手が攻撃してくるのではないかと「疑っていないこと」を示すこともできない。」

「個人は、ふつうの外見の背後で、逃走したり、またもし必要なら再び争いに戻ってくる用意をしている」。未知の相手と場を共有するということは、ある種のだましあいであり、これが負の相互作用になることもあれば、秩序維持にはたらくこともある。結局はそこで生きる人々のこころの在り方が社会の性格を変えてしまう。心の武装解除、賭けとしての信頼に賭けてみること、目を合わせることの重要性が、重要なのだ、歴史から学びなさいというメッセージがある。

第一章で描かれた20世紀前半のスパイというのは、とても人間臭くて監視する方もされる方も、人の目を意識する仕事だったことがよくわかる。ある意味人間的な監視社会だ。次第に機械の目がその監視を代行するようになると、人間性のリミッターがはずれて、監視対象をヒトではなくモノとして扱うようになる。安全やコストのためといって高度化されてきた監視社会の危うさを改めて認識させられる本だ。

新文章讀本

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・新文章讀本
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川端康成が大正から昭和初期にかけて書いた文芸時評と文章論をまとめた本だから「新」とついているけれども古典である。当時川端が高く評価していた「現代」作家の徳田秋声、泉鏡花、葛西善蔵、志賀直哉、横光利一、谷崎潤一郎、佐藤春夫、里見弴らの文章が引用されて、良い文章とはこうあるべきという要点が語られる。

「俗に芸術的文章と実用的文章と二つに区別がありようにいわれるが、これは果たして如何であろうか。結論を先にいえば、私はその差別を認めぬ。先ののべたように、文章とは、感動の発する儘に、自己の思うことを素直に簡潔に解り易くのべたものを良しとする。古来文章の規範として「華を去り実に就く」といわれたのも、このところであろうか。」

「私は芸術的文章の秘密はわからないので、わかりやすい実用文のコツを述べます」なんて言い訳で始まる文章指南書も多いのだが、さすがノーベル文学賞はそんなことはいわないのである。わかりやすくて、感動させる文章がベスト、そりゃそうだ。

概して川端がよしとするのは、耳で聞いて解る文章であり、文語の型を破る口語的な文体である。説明的と表現的という表現法の違いや、センテンスの長短による効果の違い、自然描写系と人物描写系の作家の違いなどを具体例を引用して読者に鑑賞させてから、持論を展開する。新しい文章の創造への試みを肯定的に評価する傾向が強い。

収録されている「文章学講話」には川端が講義するレトリックへの強いこだわりがみられる。修辞学の歴史を古代ギリシアから近代までを振り返り、日本の修辞学の未発達を嘆く。創作家と鑑賞家の間の心理活動に、修辞学的技巧が与える影響を調べたいという情熱を燃やしている。

修辞学の技巧論ということもあるのだけれど、まえがきに、この川端の「耳で聞いて解る」文章へのこだわりのヒントらしきものが書かれている、と思った。

「少年時代、私は「源氏物語」や「枕草子」を読んだことがある。手あたり次第に、なんでも読んだのである。勿論、意味は分かりはしなかった。ただ、言葉の響や文章の韻を読んでいたのである。 それらの音読が私を少年の甘い哀愁に誘いこんでくれたのだった。つまり意味のない歌を歌っていたようなものだった。 しかし今思ってみると、そのことは私の文章に最も多く影響しているらしい。その少年の日の歌の調は、今も尚、ものを書く時の私の心に聞こえて来る。私はその歌声にそむことは出来ない......。」

「少年時代」に「手あたり次第」で体得した「歌声」が「聞こえてくる」。これがたぶん川端の才能の秘密なのだろう。名文のリズムを自分の呼吸に取り込むということが、名文を書く土台を作っているのではなかろうか。読み手の心理を知りぬいていればこそ、よい書き手になれるというこの本の主張にも近い気がする。

文章をめぐる探究のことばも多数引用されている。

「人間は、言葉でほか、自分の心が表わせない。その言葉が信じられない時。───昔の女の人は死にました。」とある女が云った。ゲエテは「言葉が何時も抵抗する」と云っている。ストリンドベルヒは「夢幻劇」で詩人に、「塵の子に、天に達し得る程純潔なる言葉が見出し得るものだろうか───? 神の子よ?。」と云わせている。イタリイの情熱的な美学者クロオチエなぞは「心象即表現即芸術」と云った。」

この本は一言で言うと、上の文の最後にでてきた「心象即表現即芸術」を目指す本である。


・日本語作文術
http://www.ringolab.com/note/daiya/2010/08/post-1287.html

・<不良>のための文章術
http://www.ringolab.com/note/daiya/2010/07/post-1275.html

・アートを書く!クリティカル文章術
http://www.ringolab.com/note/daiya/2010/02/post-1152.html

13日間で「名文」を書けるようになる方法
http://www.ringolab.com/note/daiya/2010/01/13-1.html


・言語表現法講義
http://www.ringolab.com/note/daiya/2010/01/post-1144.html

・文章をダメにする三つの条件
http://www.ringolab.com/note/daiya/2008/10/post-860.html

・文章は接続詞で決まる
http://www.ringolab.com/note/daiya/2008/10/post-856.html

・文章読本 (三島由紀夫)
http://www.ringolab.com/note/daiya/2008/09/post-837.html

・自家製 文章読本
http://www.ringolab.com/note/daiya/2008/07/post-797.html

・文章のみがき方 - 情報考学 Passion For The Future
http://www.ringolab.com/note/daiya/2008/04/post-737.html

・自己プレゼンの文章術
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004915.html

・日本語の作文技術 - 情報考学 Passion For The Future
http://www.ringolab.com/note/daiya/2007/10/post-641.html

・魂の文章術―書くことから始めよう - 情報考学 Passion For The Future
http://www.ringolab.com/note/daiya/2007/05/post-564.html

・「バカ売れ」キャッチコピーが面白いほど書ける本
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004702.html

・「書ける人」になるブログ文章教室
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004805.html

・スラスラ書ける!ビジネス文書
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004499.html

・全米NO.1のセールス・ライターが教える 10倍売る人の文章術
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004488.html

・相手に伝わる日本語を書く技術
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/003818.html

・大人のための文章教室
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/002489.html

・40字要約で仕事はどんどんうまくいく―1日15分で身につく習慣術
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/002286.html

・分かりやすい文章の技術
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/001598.html

・人の心を動かす文章術
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/001400.html

・人生の物語を書きたいあなたへ ?回想記・エッセイのための創作教室
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/001383.html

・書きあぐねている人のための小説入門
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/001082.html

・大人のための文章法
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/000957.html

・伝わる・揺さぶる!文章を書く
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/002952.html

・頭の良くなる「短い、短い」文章術―あなたの文章が「劇的に」変わる!
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/003740.html

・キュレーションの時代 「つながり」の情報革命が始まる
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いま情報社会で何が起きているかをキュレーションをキーワードに総括する。

「コンテンツが王だった時代は終わった。いまやキュレーションが王だ」

キュレーターとは、博物館や美術館で展示を企画する専門家(日本では主に学芸員)のこと。展示する作品を選び観客に見せる場をデザインする行為がキュレーション。ソーシャルメディア時代の情報流通におけるキュレーター的役割の重要性を説く内容。とても共感する部分が多かった。

「一次情報を発信することよりも、その情報が持つ意味、その情報が持つ可能性、その情報が持つ「あなただけにとっての価値」、そういうコンテキストを付与できる存在の方が重要性を増してきている」

一次情報の新聞記者よりも、新聞を含む多様な情報を整理して、自分に納得できる解釈を与えてくれるブロガーの方が、私にとっては役に立つ情報源だ。情報大爆発の時代に、効率的に情報を収集するには、検索エンジンで自ら情報を探すよりも、キュレーター的なメディアを見つける方が確実である。だからこそ、世界の多くの人々が検索エンジンよりもFacebookなどのソーシャルメディアを長時間利用するようになっているわけだ。

21世紀は機能消費とつながり消費の時代だと佐々木俊尚氏は言う。消費の本来の姿である機能だけの消費とともに、共感や共鳴できる関係性を通してモノを買うのがつながり消費だ。ネットのクチコミを介してモノを買う現代人の消費生活において、つながり消費は特に大きな比率を占めてきている。21世紀のキュレーターは、消費者とのつながりを編集する仕事でもある。キュレーターの時代には機能を説明して売ろうとする旧型のセールスマンは死ぬ。

絵画(アウトサイダーアート)、音楽(ブラジル音楽のジスモンチ)、映画(『ハングオーバー』)におけるキュレーションの事例、ツイッター・フェイスブック、フォースクエアなどのソーシャルメディアの最先端状況の紹介、清水博氏の場の研究(セマンティックボーダーとホロニックループ)、情報ビオトープ、背伸び記号消費など、各章でキーワードがめまぐるしく変わる。新書にしては材料が多くて冒険的な広がりを持つが、ちゃんとキュレートされている。

著書をよく読むが佐々木俊尚氏の文章が私は好きだ。この人はジャーナリストとしての客観的視点を保ちつつも常にネットワーク社会を温かい目で見つめている。たとえばこの本では、ネット掲示板(2ちゃんねる、でしょう)に対する達観した評価にしびれた。

「つまり匿名掲示板というのは、実際には普通の社会生活を送っている人たちが自虐的なネタを好感し、笑いをとるきわめてシニカルな場所であると考える方が理にかなっているということです。そこでは笑いは自虐的でシニカルであるけれども、しかし自虐とシニカルの向こう側に、人生の真実や本音が垣間見えてくる。乱暴な言葉づかいや特殊な用語に混乱させられやすいけれども、実はネットの掲示板というのは極めて高度なコミュニケーションが行われている場なのです。」

共感、共鳴できるキュレーターが書いた本ということもあって、響くところの多い本であった。

・災害ユートピア―なぜそのとき特別な共同体が立ち上るのか
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大爆発、大震災、大洪水、テロ。大災害が発生した直後には、必ず人々の助け合いのコミュニティが出現する。無償の愛で困っている人を助け、絶望している人を励ます。普段は眠っていた人々の創造性が発揮される。その特別なコミュニティのことを著者は災害ユートピアと呼ぶ。

サンフランシスコ大地震、ハリファックスの大爆発、ロンドン大空襲、メキシコシティ大地震、9.11同時多発テロ、ハリケーン・カトリーナ...。歴史的な大災害やテロの直後に生成された災害ユートピア事例を研究し、なぜ人々は地獄のような光景の中にユートピアを作りだせるのか。そして、なぜそうしたコミュニティが永続せず、つかの間のパラダイスに終わってしまうのかを探究する。

現実の大きな災害直後の市民の特徴は冷静沈着だ。パニックになる確率はゼロに近い。人々は混乱のさなかにも、冷静に救助活動を開始し、生存確率を高めるために柔軟に行動していた。人々がが下敷きになったがれきの山の一番近くにいるのは、救急隊員でも警察でもなく、一般市民なのだ。

ハリケーン・カトリーナの直後に、略奪やレイプは実際にはほとんど起きていなかった。火事場泥棒もいないのだ。そうしたデマを流したのはメディアであり、問題を引き起こしたのはそれに煽られて行動した為政者や警察、軍隊であった。警察はニュオーリンズから出る橋を監視して、逃げてくる黒人の市民を銃で威嚇し、危険な街に閉じ込め、犠牲者を増やした。

過去の災害を調べても、市民を暴徒とみなして射殺するとか、強制収容所のような場所に閉じ込めるなど、市民ではなく軍隊や警察官が犯罪を起こしていた例が多い。エリートたちは、一般の人たちがパニックになると思い込んでパニックに陥る。自分の身を守るために凶暴で野蛮な人間を排除しようとする。メディアも誤った報道でパニックを煽る。権力を持っている分、エリートのパニックは災害後の混乱に大きな悪影響を及ぼす。

人間は危機に際して、本質的に利他的であり、冷静に行動できるのに、エリートのパニックと、メディアの思い込み報道が、災害ユートピアの可能性を妨害していると著者は指摘している。

「災害は、世の中がどんなふうに変われるか───あの希望の力強さ、気前の良さ、あの結束の固さ───を浮き彫りにする。相互扶助がもともとわたしたちの中にある主義であり、市民社会が舞台の袖で出番を待つ何かであることを教えてくれる。」

ガンダムマンガ本を3冊。

・機動戦士ガンダム 光芒のア・バオア・クー
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ガンダムの最終決戦地 ア・バオア・クーの攻防戦を、アムロ・シャアではない一兵卒たちの視点を重ねて、映像ドキュメンタリ番組として構成した。ジオン軍と地球連邦軍の元兵士が登場して、インタビューと回想シーンで、ディスカバリチャンネルの歴史モノのようなノリで、現場で何が起きていたのかを語る。

ギレン暗殺の指令室にいたエンジニアの語る真相とか、ホワイトベース崩壊の最期を見届けたジオン学徒兵とか、ザビ家圧制から逃れ連邦に加わった亡命艦隊の隊員とか、ガンダムの話の本流とは関係ないところで起きていた多様なドラマが展開される。ア・バオア・クー戦を立体的に捉えなおしたい人におすすめ。

・機動戦士ガンダム デイアフタートゥモロー ―カイ・シデンのメモリーより―
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その後、カイ・シデンはジャーナリストになったのですよね。熟年になったカイが「一年戦争記念館」で行われた「WB展」に参加して、遠い昔を回顧する。いまや歴史上の英雄の一人であるカイにアテンドするコンパニオンがカイの言葉を記録する。それがカイ・シデンのメモリー。ガンダム正史に抵触しない範囲で、カイ周辺の逸話を創作している。もちろんアムロらメイン登場人物も多く登場するのだが作画クオリティが高く、違和感がないのがいい。原作の価値を高める外伝になっていると思う。

・俺は生ガンダム
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これはかなり無理やりな設定で、普通のサラリーマン木戸銭寺 淡白が生身のままガンダム化するというギャグ漫画。肉体をむりやりガンダム化して、横暴な上司らをジオンのMSに見立てて戦闘を挑むと言う筋書き。『君のミノフスキー粒子の発射口を俺に見せてくれ!』『意味分かんないけど多分セクハラです、それ!!』など、上記2作と違って、ガンダムの本筋とは何の関係もないが、それを知らないとまったく面白くないパロディ漫画。


愛蔵版 機動戦士ガンダム THE ORIGIN VI 開戦編 と MG 1/100 MS-09R リック・ドム
http://www.ringolab.com/note/daiya/2011/01/vi-mg-1100-ms09r.html

機動戦士ガンダム アッガイ北米横断2250マイル
http://www.ringolab.com/note/daiya/2010/04/-2250.html

・愛蔵版 機動戦士ガンダム THE ORIGIN V シャア・セイラ編
http://www.ringolab.com/note/daiya/2010/01/-the-origin-v.html

・MG 1/100 ゴッグ MSM-03
http://www.ringolab.com/note/daiya/2010/01/mg-1100-msm03.html

・ラーメンズ・片桐仁のガンプラ戦士ジンダム
http://www.ringolab.com/note/daiya/2009/06/post-1007.html

・ザク大事典 All about ZAKU
http://www.ringolab.com/note/daiya/2009/03/-all-about-zaku.html

・MG 1/100 ズゴック MSM-07と愛蔵版 機動戦士ガンダム THE ORIGIN IV ジャブロー編
http://www.ringolab.com/note/daiya/2009/01/mg-1100-msm07-the-origin-iv.html

・HGUC 1/144 MSM-10 ゾックと機動戦士ガンダムTHE ORIGIN
http://www.ringolab.com/note/daiya/2008/02/hguc-1144-msm10-the-origin.html

・機動戦士ガンダム THE ORIGIN、MGアッガイ、ターゲット イン サイト
http://www.ringolab.com/note/daiya/2007/01/the-originmg.html

・ガンプラ・パッケージアートコレクション
http://www.ringolab.com/note/daiya/2008/08/post-820.html

・俺たちのガンダム・ビジネス
http://www.ringolab.com/note/daiya/2007/11/post-662.html

・ガンダム・モデル進化論
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/003091.html

・匪賊の社会史
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中世以降の世界史における匪賊(ひぞく)=ソーシャル・バンディットの果たした役割を分析する本。1969年出版で、訳書がみすず書房から出ていたのが、このたびちくま学芸文庫から復刊された。匪賊は義賊とも訳される。

「義賊についての要点はこうである。彼らは領主と国家によって犯罪者とみなされている農民無法者ではあるが、農民社会の中にとどまり、人々によって英雄、あるいはチャンピオン、あるいは復讐者、あるいは正義のために闘う人、あるいはおそらく解放の指導者とさえ考えられており、いずれのばあいにせよ、称賛され援助され支持されるべき人々と考えられていたことである。」

匪賊の代表格はロビン・フッドやジェシー・ジェームズである。貴族強盗、復讐者、ハイドゥク、収奪者などの類型が示されるが、政府から見ると犯罪者なのだが、それなりの大義や主張、そして大衆の人気を背負って組織的に活動するアウトローのことである。抑圧的権力に対する反抗の姿勢を示し、正義を求めた闘争を戦い、貧しい民衆の味方となるのが、匪賊だ。

若き毛沢東も「梁山泊の英雄たちに倣え」と言って紅軍ゲリラを組織したそうだが、梁山泊は『水滸伝』のなかに登場する匪賊集団である。彼らは時に政府軍の兵士を殺したり、富める者から収奪を行うので犯罪者、危険因子という側面もある。基本は奔放な荒くれ者であるから、組織統制になじまず、社会革命の本流を担うには非力で、一時的な存在でもあった。

工業化された社会では匪賊は存在しえないため、もはや伝説上の存在に近い。だが匪賊の生きざまには、自由、ヒロイズム、正義の夢、無邪気と冒険という物語性に満ちていたため、小説や映画のようなかたちで現代においても語り継がれるケースも多い。

古今東西の匪賊の研究で明らかになる事実のひとつとして、その理想的な単位は二十人以下であったという分析がある。その理由は、「たいていの現地首領にとって大きな兵員を装備させることや、あるいは強力な個性が直接統制しうる範囲を超えて部下をさばくことが、基本的にはできないことを示すものである。」というものだが、ゲリラ闘争をやるなら、20人以下でやるべきというノウハウでもあるのかもしれない。

iPhoneの標準カメラのレンズでキレイなモノ撮りは厳しいが、このアプリを使うとなかなかよい感じになることを発見。モノ撮りカメラは、撮影した写真の周辺部をボカす画像処理を行うことで、中心にだけピントが合った一眼レフのような写真を演出する。

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加工したい写真を撮影するか、カメラロールから写真を読みこませたら、ピントを合わせたい中心をタッチする。ぼかし加工と同時に、画像をくっきり、あざやかにする修正も入れるため、食べ物、料理の撮影にも向いている。

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たとえば料理の写真のビフアアンドアフター。ねむたい写真もくっきりする。小さなサイズならば結構見栄えがする。ブログやツイッターでお店の紹介をするときに、おいしそうに見せることができる。

モノ撮りカメラ - MonotoriCamera - - Tsuruki Oga

・ハイパーヨーヨー ハイパークラスター PBスターループ
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ハイパーヨーヨー。

パーツをばらして、取り替えたり、追加したりして、自在にカスタマイズが可能なヨーヨーである。トイザラスで見つけた。ミニ四駆みたいなブームらしい。

ハイパーヨーヨーには、

『スリーピングプレイ』 ヨーヨーを止めて回転させて行う技
『ルーピングプレイ』  ヨーヨーを投げて行う技
『ストリングプレイ』  ヨーヨーのヒモを使った技

などのトリックに対応したヨーヨーが多種類発売されている。また別売りパーツの取り替えや追加も可能である。

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私が選んだのは空転力(スリープ力)が高く、戻りがよいルーピングプレイ用「PBスターループ」。ディーとコアとベアリング&スペーサーを組み合わせよう!プラスチックベアリングとスターコア・ループボディーの組み合わせセット。

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今のところフツーに上げ下げして遊んでいるだけなのだが、公式サイトで公開されているいろいろなムービーや大会情報を見ると、ちょっと難しい技を練習してみようかという気になっている。

公式サイト

http://hyper-yo-yo.jp/trick.html

・切りとれ、あの祈る手を---〈本〉と〈革命〉をめぐる五つの夜話
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大量の情報からおいしい部分を摂取する電子書籍の時代は、深い読みが難しくなるのかもしれない。そういう時代の変わり目に、敢えて深い読書論を説く。強く響いた。

読むという行為は真剣勝負だ。そもそも他人が書いたものは読めないという。

「本を読むということは、下手をすると気が狂うくらいのことだ、と。何故人は本をまともに受け取らないのか。本に書いてあることをそのまま受け取らないのか。読んで正しいと思ったのに、そのままに受けとらず、「情報」というフィルターにかけて無害化してしまうのか。おわかりですね。狂ってしまうからです。」

ニーチェやカフカが本当の意味で読めてしまったら気が狂う。他人の夢をそのまま見るということは、正気を失うということだ。著者は世界の歴史を動かしてきたのはリテラシーにまつわる革命であったとみる。ルターやムハンマド、中世の宗教改革を振り返り、テクストを、本を、読み、読み変え、書き、書き変えること、すなわち文学(リテラシー)こそ革命の根源にあるというのがこの本の主な主張だ。

読むことや書くことが人の生き死にに関係しない社会になって久しい。ネットの時代には、ブログで書いた意見を批判されたら、翌日にスイマセン、僕、間違ってましたとかけば終わりだ。「転向」や「総括」なんてものものしい単語は死語になりつつある。

近代の思想や批評が、「「すべて」のものについてちょっとは気の利いた一言を差し挟むことができる技術」になりさがってしまったと知識人の堕落を批判する。

「ありとあらゆるものについて、「すべて」について、「それ知っているよ、これこれこういうことでしょ、それってそういうものに過ぎないよね」と脊髄反射的に言えるようになること。それによってメタレヴェルに立ち、自らの優位性を示そうとすること。これが思想や批評と呼ばれていたし、今でも呼ばれている。」

確かにいまは情報を効率よく処理して立ち回る方が、賢く見えてしまう時代だ。言葉に魂がこもらない時代には「言霊」もない。この本は読むこと、書くことの意味が軽薄になっていく今、敢えて命がけの読書の価値を再考する。

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