2011年6月アーカイブ

・アブラサス 小さい財布
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友人の会社が開発したアブラサスの『小さい財布』を使っています。これは便利です。

6×9センチというサイズは8.6×5.4センチのクレジットカード類が入る限界の小ささ。無駄なすきまをなくすことで薄くもなりました。

「カード・コインも入って、お札を折らずに収納するタイプで、世界最小の財布が欲しい。そんな想いで作られたのがこの小さい財布だそうです。

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カードは5枚入ります。小さい財布を使うと、本当に必要なカードはどれかを選ぶこと、なにが自分の生活にとって大切なのかを考える機会になります。

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ズボンのポケットが膨らまず、スーツの胸ポケットにもスムーズに収納できます。

・セックスメディア30年史欲望の革命児たち
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電話風俗(Q2、テレクラ)、出会い系サイト、エロ雑誌、アダルト動画、大人のオモチャ、性風俗...。欲望のメディアは新たな規制や技術が登場するたび、大きく形を変えながら発展してきた。この本は過去30年間でインターネットとケータイがセックスメディアをどのように変えていったかを、メディアの作り手へのインタビューも交えて、総合的に振り返る。

セックスメディアをオカズ系、出会い系、性サービス系の3つに分類し、それぞれの市場の発展具合を検証していく。各分野の仕掛け人的な人たち、たとえばTENGA、ラブドールのオリエント工業、芳賀書店、DMM、動画ファイルナビゲーターなどの経営者や担当者へのインタビューがあって、生の声があるのも面白い。

エロを大きく変えてしまうのが、規制と技術だ。

規制がメディアを変えるわかりやすい例が、この本で紹介されている、コンビニで売っているエロ雑誌の表紙の変化だ。

「2005年11月から東京都では青少年健全育成条例の改正により、二か所のテープ止めが義務化され、立ち読みができなくなった。このため表紙で内容をわからせなければならないと、コンビニ売りエロ雑誌は必然的に内容を全て表記するようなゴチャゴチャしたデザインへと変わっていった。」

私の思春期のエロ本と言うのは表紙が文字でゴチャゴチャということはなかった。作り手たちはこうした制約の中で、青少年を魅了するコンテンツ、売れるコンテンツをつくりだそうと創意工夫を展開する。品質を真面目に考える経営者もいる。だからこそ脈々とアダルトコンテンツ産業というのは、したたかに続いてきたのだろう。

風俗サービスへのナビゲーションの変化の話もあった。

「スポーツ新聞、アダルト雑誌、ピンクチラシ=電話ボックスといった広告から、ウェブと案内所を用いた広告へ。「ポン引き」や「案内所のお兄さん」に「社長、今日はどんな子を?」と尋ねられていた風景から、勧誘が禁止になり(といいつつも、2011年現在でも多くの場所で見受けられるが)、風俗へのアクセス方法も「探索から検索へ」とその姿を変えた。そのため「店舗での写真見せ」から「ネットでの写真見せ」へ変化し、掲示板などで口コミ情報が共有される「ネットを前提とした風俗」へと変わっていった。」

「探索から検索へ」というのはWebのキーワードでもあるが、一般のネット広告産業がたどった道のりと一緒で、アダルトの広告も投資対効果や説明責任やらが重要になっていくのかもしれない。この本では触れられていなかったが、アダルトの広告の状況も知りたいなあ、と思った。

私は昔から思うのだが、こういうセックスメディアというのは、もっと一般人がふつうに楽しめるものであっていいと思う。裏社会の、うしろめたい、日陰の存在にしているよりも、もっと明るくおおっぴらに性を語れる世の中にしてしまった方が健全だと思う。この本に紹介される「欲望の革命児たち」のなかには、TENGAみたいな日陰のアダルトグッズのメジャー化を指向する人などもいて、おもしろい動きだなと思った。

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私はThatGameCompanyというデベロッパーが開発するFlowやFlowerのような、スタイリッシュな映像で、最初はルールがわからないし操作説明も与えられないが、適当にやっているうちにのめりこむほど楽しくなってくるゲームが好き。このLastFishはその系統。

http://thatgamecompany.com/games/

iPhoneをかたむけることで白い魚を動かして、エネルギー?を蓄えたり、輪をくぐらせたりして、ある基準をクリアできれば次の面へ進めるという内容のゲーム。

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時間制限がある面や黒い魚に追われる面など、少しずつバリエーションが増えていく。しかし、追加される要素の説明はないので、適当にやってみて、慣れていくしかない。

クリアしていくとトロフィーバッジがもらえたりする。ソーシャルゲームのプラットフォームとして話題のOpenFeintが使われている。実は私は最初はOpenFeintの研究のためにインストールしただけだったのだが、おもしろくてはまってしまった。

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Last Fish - Pyrosphere

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ネット仲間のコグレマサトさんが運営する人気ブログ ネタフルがiPhoneアプリになっているのを発見した。私のブログの10倍くらい有名なサイトなので、紹介をここに書くまでもないが、インターネット・ブログ・ガジェット・デジカメ・Mac・PC・PSP・iPod・アフィリエイト・フットボール・育児子育て等に関するブログ。一人で数万記事も書いているのが凄すぎる。

・ネタフル
http://netafull.net/

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ネタフルのブログをiPhoneのインタフェースでみせる。ブログをアプリ化するというのはブロガーなら誰しも考えるところだが、なかなかiPhoneアプリ開発は手間がかかる。ネタフルの場合には何気なく「ネタフルのiPhoneアプリを作りたいな?」とツイートしたら、開発者が手を挙げてくれたそうだ。うらやましい展開。

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カテゴリから記事を探したり、メールやツイッターに記事情報を送ったり、コメントを寄せたりと言った機能がある。

個人ブログのスマートフォン・アプリ化というのは安ければ有料でも需要があるのではないだろうか。どこかサービスを始めないかなあ。

IT・デジモノ記事のネタフル - BraveSoft

・メディアと日本人――変わりゆく日常
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テレビ、ラジオ、新聞、インターネット、書籍・雑誌、携帯電話。日本人のメディアへの関わり方がどう変化してきたか、ネット世代のメンタリティ変容、メディアの未来はどうなるか。日米のメディア研究の最新データを参照しながら、俯瞰的重層的にメディアと情報行動の激変を考察する。

テレビの力を象徴する紅白歌合戦の視聴率は、

1970年 77.0%
1980年 71.1%
1990年 51.5%
2000年 48.4%
2010年 41.7%

と過去40年間減少してきた。これに対してネットやケータイは急成長を遂げてきた。しかし、これは単純にネットやケータイがテレビを食ったわけではないと著者は複雑な現実を解説する。

テレビを長時間見る人とぜんぜん見ない人が分化してきていること、メディア行動が多様化していること、そして年齢層による情報行動の中身が大きく違うこと、さまざま調査データが引用されている。同一人物でも、在宅時間が長くて時間に余裕のある日はPCネットやテレビを長く利用し、そうでない日は利用しないというのは納得の発見である。

「年々、情報メディア環境は複雑さの程度を増していき、若年層ほど行動パターンが多彩である分、テレビに割く時間の比率が減少するのである。」というが、特に10代のデジタルネイティブと呼ばれる若者たちの情報行動パターンは特徴的だ。彼らのメディア接触におけるメンタリティを分析している。

ネットが与える心理的な影響は研究がだいぶ進んできているようだ。たとえばインターネット利用頻度が高いほど、外向的な人はより社会的参加が活発化し、内向的な人は孤独感が増して社会的参加が少なくなるという結果は面白い。若年層では自意識が高い人ほど利用時間が長いという。ネット利用のマタイ効果と呼ばれるが、メディアは人間の本質を増幅拡張するものなのだろう。

そして「インターネットには、家族や同世代の仲間の絆を強める働きがある半面、家族や世代内のつながりのなかに、モザイク化した多くの孤島をつくりだしてしまう危険性をはらむ。」と述べている。ネットの光と影がよくわかる研究解説書。

・会社は変われる! ドコモ1000日の挑戦
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日本コカ・コーラ会長の魚谷雅彦氏は2007年7月から2010年6月まで、NTTドコモの特別顧問に就任して、ロゴ変更を含むマーケティングの変革を担うコーポレート・ブランディング本部を率いた。この結果、競合他社に惨敗していた毎年恒例の顧客満足度評価において、全項目で向上、「顧客対応力」「電話機」「通信品質・エリア」「非音声機能・サービス」では大差で1位となった。

たしかにドコモのイメージはここ数年間で個人的にも変わったなと感じている。かつては「料金が高くてお役所体質の会社」のイメージだったが、今は「高品質なインフラを提供する本命」という印象が強い。改善されただけでなくてポジショニングもしっかりしたとも感じている。その理由がこの本にあるようなマーケティング変革の成果だったのだろう。

特別顧問に就任して役員を前に魚谷氏はスピーチをした。

「ドコモというのは、日本を代表する宝物のような会社です。ですから、私はドコモに、もっと世界に出て行ける会社になっていただきたいと願っています。 そもそも、みなさんは国体で競争している場合ではありません。オリンピックで金メダルを目指すべきなのです。」

まずはブランドを強くすること。お客様視点を徹底することをマーケティング戦略の基軸に据えた。通信業界の外側からやってきた著者は、消費者視点で携帯電話業界を見直し、業界の常識でも社会の非常識があることを指摘する。たとえば、買い替えに2万5000円かかるのに、他社からの乗り換えには1円しかかからない。お得意さんより一見を優遇するお店なんてありえませんよ、従来の囲い込み戦略は会社の事情、組織の論理に過ぎないのです、と。

顧客満足(CS)からカスタマー・エンゲージメント(CE)へ。満足したらそれで終わってしまう、新たな関係の構築までを視野に入れろ。48時間お客様対応(電波状況が悪いという問い合わせ電話から48時間以内に現地を訪問して対応する)、1年後の電池パック無料交換、紛失時の無料ロックなど、それまでのドコモの発想では無茶と思われた施策を次々に実現させていく。

大組織を動かした大きな要因にはまず組織内部の意識を変えるインターナル・マーケティングがあった。まずはロゴを変え、ドコモ社員やショップ店員に、社長や魚谷氏が直接語りかけた。幹部向け研修では「10年後に、ドコモという会社が世間から、社会から、どんな会社だと思われているか、新聞の見出しでつくってみましょう」などという参加型ワークショップで意識を変えさせていく。

ドコモの顧客は5300万人を超える。ターゲットは日本国民全体といっても過言ではない。マーケティングは困難を極めるが、そこで同じく国民全体が顧客のコカ・コーラのマーケティング変革の経験が活かされる。

幅広い年代に向けて膨大な調査を行った結果から、

・【ケータイをフルに使いこなす】←→【基本機能しか使わない】
・【感性の表現アクセサリー】←→【実用的なツール】

という2つの軸を持つ平面上に、ITプロ指向のPRO、インテリジェント・スマート指向のSMART、自己表現・トレンド指向のPRIME、おしゃれメジャー指向のSTYLEという4つのグループをまとめた。

このセグメンテーションマップで製品ラインナップを打ち出していくことで、作り手はどんなお客様に使ってほしいかを明確にし、お客様は「この端末はわたしに向けられてつくられているんだ」と実感できる。それまでの「70」シリーズ、「90シリーズ」のような企業側の都合によるシリーズと比べて格段に魅力的で選びやすくなった。

巨大な変革プロジェクトの中で、どんな会議が行われたのか、どんな声がプロセスを前に進めていったのかが具体的に紹介されており前著「こころを動かすマーケティング」と同様に、とてもわかりやすい本だ。

コーポレート・ブランディング本部の変革には、奇をてらった作戦はなくて、マーケティングの基本に忠実なものばかりという印象を受けた。ひきずるものを持つ大組織に基本を守らせることがいかに大変かがよくわかった。現場を動かすために、経営者の言葉や態度がどうあるべきかもよく学べた。

・こころを動かすマーケティング―コカ・コーラのブランド価値はこうしてつくられる
http://www.ringolab.com/note/daiya/2009/11/post-1109.html

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iPhoneはアプリ探し自体が楽しい。ちょっと本末転倒かもしれないが、アプリ探しのためにiPhoneをいじっている時間が長い私は、素直にそう思う。

iPhone、iPad用の趣味のアプリ探しのためのアプリが、このDiscovr Appsである。関連する音楽を探すDiscovr Musicの姉妹品。アプリ名を入力すると、それに似たアプリ、よく一緒にインストールされているアプリがネットワーク的に表示される。

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このアプリのマップは拡大縮小が可能で、画像自体を添付してメールで送る機能がある。誰かにこんな面白いのを見つけたよと知らせる時に、より興味をもってもらいやすくする効果がありそう。

最近流行っているアプリやおすすめのアプリがRecommendedとSuggestedには表示される。これで知らないアプリと出会える確率が高まる。アプリをダブルタップすると個別詳細の情報、スクリーンショットを見ることができる。

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検索では日本語が入力できないのがいまの不満。

Discovr Apps - discover new apps - Jammbox

関連アーティストをビジュアル検索 iPhone/iPadアプリ Discovr
http://www.ringolab.com/note/daiya/2011/05/-iphoneipad-discovr.html

アジャイルメディア・タイアップ・レビュー。この記事は、アジャイルメディア・ネットワークのタイアップです。

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私は年に約2000枚の名刺を交換する。

帰社してから用件があればお礼も兼ねてメールをする。TwitterやFacebookユーザーならばそちらでつながる。リアル世界で名刺交換しただけの関係は消滅しやすいが、オンラインのソーシャルネットワークでつながっておくと縁が持続しやすい。オンライン化が私なりの人脈術の核だ。

名刺はだいたい一カ月くらい机の上に重ねて置いておく。一か月以内に使う必要がなかったら、その方とは縁がなかったと思ってばっさり整理してしまう。名刺ホルダーに、あいうえお順に並べて蓄積したりしない。何年も前に名刺交換しただけの人との縁が役立つことって少ないからなあと思って、フロー的な活用スタイルを通してきた。

しかし、この方法だと大きな落とし穴がある。大企業の役員クラスとか大学の老教授とか偉い方々はツイッターやフェイスブックをあまりやっていない。オンラインでつながるのが結構難しい。さらに各種挨拶上や年賀状などを紙で郵送する必要がある相手だ。名刺に書いてある情報が必要なのだ。

人脈を社内で共有したいというニーズもある。名刺のデータベース化はこれまで何度も挫折してきたが、最近、無料で使える(名刺登録代行は有料)名刺BOXというサービスを使い始めて、今度はいけるかもという気になっている。

名刺BOX
http://promo.meishibox.jp/index.html

名刺BOXは名刺の登録、一覧、検索が可能なオンラインのデータベース・サービス。名刺をスキャナーで読み取って、その画像を見ながら情報を登録できるのが特徴。有料になるが、人手による画像からの情報登録を代行してもらうこともできる。名刺の画像自体をいつでも呼び出せるので安心である。

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私が便利だなと思っている3大ポイントを紹介すると、

1 企業ニュース
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登録した名刺の企業に関するニュースを検索して、最新の記事一覧をトップ画面に表示する機能。訪問前に会社の情報を調べたり、新製品や人事異動の話を読んでメールをしたりと眠っている人脈の掘り起こし、営業活動にとても重宝する。

2 携帯電話機能
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名刺データベースはケータイから使えないと価値半減だと思う。ケータイからワンクリックでメールを送信することもできる。

3 組織図生成
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一回の会議で10人以上が参加してくれる大企業との会議の場合、部門部署で人脈を整理したいとずっと思っていた。とても詳細に組織構造を登録できる。他のユーザーとの共有機能を使うと、さらに組織的な営業攻略作戦が立てられる。

単にデータベース化するだけでなく、活用のための機能があるのがいい。EXCELにデータベース化しても年賀状の差し込み印刷くらいしか使いようがないが、名刺BOXだとアクションにつなげやすい。

名刺のデータベース情報から、ワンクリックで地図や乗換案内、経路案内に飛ぶ機能、同一人物の重複登録を見つけだす「名寄せ機能」、他のユーザーと名刺を共有する機能など、その他便利な機能が用意されている。フリー記述のメモをつけることができるのもうれしい。

今後も机の上の名刺は一カ月でばっさり整理してしまうつもりだが、こうやってオンライン化しておけば、ストック整理派のメリットも得られると期待している。プライバシーマーク取得の上場企業が自社データセンターを使って運営しているサービスだが、基本無料というのも気に入っている。

将来的には紙の名刺にチップを埋め込んで、名刺を交換した瞬間に名刺BOXに自動登録される機能(?)とか希望である。

名刺BOX
http://promo.meishibox.jp/index.html

・日本のすがた 2011―日本国勢図会ジュニア版 表とグラフでみる 日本をもっと知るための社会科資料集
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世の中全体が日本再生を考えるムードですが、まず日本の基本的なすがたを俯瞰することが重要であると思います。

この本は小学校高学年から中学生を対象にした社会科資料集。日本の産業、経済、社会の各分野の基本的な成り立ちと現在のすがたをデータで示します。小学生の学ぶ情報ではあるのですが、不勉強な私は結構な再発見、再認識がありました。

たとえば、

1 農業就業人口の平均年齢は66歳

農業就業人口は1955年から2005年までの50年間で5分の1の261万人にまで減りました。驚くべきはその年齢構成で、65歳以上が全体の62%を占めて、平均年齢で66歳になるという事実。就業人口は減り続けており、少数ながらあらたに農家を始めた人も、半数が60歳以上という状況。

2 日本の国土は70%が森林におおわれています

そんなに広かったかと思いました。3分の2が針葉樹で3分の1が広葉樹。輸入木材におされて価格下落し伐っても採算がとれない状況。国土の7割が有効に使われていないという見方もできます。どうしましょうか。

3 2008年に世界で生産されたパソコンのうち97%は中国製

グラフを見ると2000年くらいから中国が急激な成長カーブを描いて、他国を抜き去りました。2008年時点で中国2.7億台、日本780万台。日本製のパソコンはもはや激レアなのですか、私使ってますが...。

4 1950年、発電エネルギー源は水力81.7%、火力18.3%だった

今話題のエネルギー源ですが過去を振り返ると60年前は水力が圧倒していたのですね。1960年になると水力と火力が半々になり、1980年代にやっと原子力が10%を超えて登場します。2009年では水力7.5%、火力66.7%、原子力25.1%。火力の6割台という数字は80年くらいから大きくは変わっていなくて、水力が減った分、原子力が増えたという構図。

小中学生向けの参考書なのに、メモをいっぱいとって、考え込んでしまいました。

専門家の解説よりも前に、事実をみて、ひとりで考えてみることができる大人にも勉強になる本です。

しかし、なんで表紙がiPadなんだろう。内容はまったく関係ないのですが...。

・ブスがなくなる日
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面白かった。美容ジャーナリストによる男女の見た目格差研究。ブスと美人の定義の歴史、それぞれの時代の両者の生き方など興味深い論点が満載。井上章一の『美人論』が好きな人は、現代版としてこの本をおすすめ。

著者いわくメイクの進化や安カワ服のおかげで街からブスが消えたという。"規格外れ"の顔を、美しいとされる理想顔に近づけるのが庶民でも簡単になったからだそうだ。空気を読む人が増えたのと連動して、自身の容貌に気を使う人が増えてきたというのもあるかもしれないと思う。

明治初期の日本人の顔は「貴族階級は細長く、庶民は丸ないし四角い」だったと当時の外国人の記述がある。日本の原住民としての丸顔の縄文人と、細長の渡来弥生人。しだいに前者が後者を支配するようになって「色白で鼻筋が通っていて、細面」が美人の基本形となった。今もその影響は続いている。

「弥生時代の埴輪顔、平安時代の引目鉤鼻、江戸後期のうりざね顔、明治時代の大きな目、そして戦後の立体的な顔と、美人は有史以来ずっと支配者の顔でした。「強いものが美しい」。美醜の価値観の仕組みって、実はとてもシンプルです。」

江戸時代までは美人であっても下層階級の女は正妻になれなかったが、明治時代には美貌で玉の輿に乗って上流階級へ上っていけるようになったという。民主的になると同時に、美を巡る女性の競争もし烈になる。美容の市場はここで誕生したわけだ。

戦争に負けてアメリカ人女性が一時期理想の顔になったが、高度経済成長で日本人は自信を取り戻し、日本人女性の特徴をとらえた美人像がふたたび生まれた、それがかわいいアイドル顔だと著者は説明する。

「アジア人は、体格が小さく頬が丸く声が高いといった、子どもに似た特徴、生物学でいうところのネオテニー(幼形成熟)という特徴を持っており、大人っぽい白人とは根本的に違うのです。このネオテニーを誇張したのがアイドルで、日本特有の"カワイイ文化"を体現したのが彼女たちだったのです。」

弥生時代から現代の可愛いにいたる美人史はなかなか説得力がある。

現代日本には「美しい」と「可愛い」のふたつのベクトルがあるなあと思う。海外で高く評価されるのが美しい系美人で、国内で評価されるのは可愛い系美人。アジアっぽいエキゾチックな顔というのも国内ではあまり評価されないが、海外ドラマのアジア系の女優には多く登場する。美人、ブスは相対的なものに過ぎないから異文化に行くと評価が異なる。

国際化の時代「○○国へ行けば美人」ということがわかる顔写真分析アプリとかあったら、本当に世界からブスはなくなるかもしれないな。

・アクアリウム
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新作でもなんでもないが、夏の娯楽読み物としておすすめ。

ダイビング仲間が遭難した奥多摩の地底湖に単独で潜る主人公の正人。遺体捜索で洞窟の中を泳いでいるとき謎の大型生物に遭遇する。その生物は言語を使わず、正人の心に直接的に働きかけ、不思議なビジョンを見せる。正人はイクティとなづけたその未確認生物との交流に魅了されていく。

一方で地底湖周辺地域では森林開発が進行し、イクティの静かな生息環境に致命的な影響を与えようとしていた。正人は環境保護活動団体に加わって、イクティを取り巻く自然環境を守ろうとするが、そこに群れる活動家や政治家の権謀術数の闇にも巻き込まれていく。

幻想ファンタジーと社会派フィクションが絶妙なバランスで融合している。イクティの描写は魅惑的。ストーリーから懸念してしまう安っぽいエコ的メッセージはなくて、なんでもありのしたたかな人間たちの怖さが語られている。篠田節子の初期の傑作。

篠田節子の作品の過去の書評。

・薄暮
http://www.ringolab.com/note/daiya/2009/07/post-1026.html

・夏の災厄
http://www.ringolab.com/note/daiya/2008/07/post-802.html

・レクイエム
http://www.ringolab.com/note/daiya/2008/05/post-752.html

・カノン
http://www.ringolab.com/note/daiya/2008/04/post-740.html

・弥勒
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/005292.html

・ゴサインタン―神の座
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/005260.html

・神鳥―イビス
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/005177.html

・かぜの科学―もっとも身近な病の生態
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これは素晴らしい。全人類に強くおすすめ。

統計によると私たちは一生に200回風邪をひくそうだ。成人は少なくとも年に2回、小児は10回以上かかる。

「もちろん、一回一回の罹患そのものは大したことではない。けれども、一人の人が平均寿命のうちにこの取り立てて悪性でもない病原体に苦しむ期間を合計すれば、およそ五年間にわたって鼻づまり、咳、頭痛、喉の痛みに襲われ、おおまかに言って一年間床につく計算になる。」

全人類が長い間悩まされてきた風邪には俗説の療法も多い。どうするとうつるのか、どうすると予防できるのか、どうすると治るのか。この本は科学的観点からいえることを整理してくれる。

一般常識を打ち破る事実も多く、目からうろこな本である。

たとえば、

・咳やくしゃみによって発生する飛沫が風邪を広めるという証拠はないに等しい
・鼻をかんでも鼻が詰まった感じはとれない(鼻水のせいではなく奥の炎症が原因だから)
・歳をとるとウィルス抗体を得て風邪を引きにくくなる。50歳以上は10代の半分。
・寒さと風邪のかかりやすさには何の関連もない。寒くしたのが風邪の理由ではない。
・睡眠7時間以下の人は8時間以上の人の3倍も風邪をひきやすい
・0から6歳の間にお金持ちの家に育った子供は一生風邪をひきにくい体質
・外向性の人は内向性の人より風邪をひかない
・マスクは感染予防の効果がほとんどない
・総合感冒薬は役に立たない(ウィルスはいっぱい種類がある)
・風邪は防衛反応であり、活発な免疫系を持つ人が弱い免疫系を持つ人よりも風邪の症状に苦しむ

ざっと結論だけ列挙してしまったがこれらの科学的説明が読み物として非常に面白い。

大半の風邪ウィルスは鼻と目が侵入口で、直接の接触で感染しているそうだ。だから、なによりも風邪を予防するには、手を洗って、顔を触らないこと。観察調査によると、私たちの大半が5分に1~3回顔を触っており、1日に換算すると200~600回にもなる。具体的には目をこすったり、鼻をほじったりする。指にウィルスが付着する。鼻でウィルスが増殖すると増殖して風邪を発症する。目と鼻はつながっているので、目をこするのもいけないのだ。

ウィルスは指から、ドアノブ、電気のスイッチ、エレベーターのボタン、紙幣、お菓子を食べる女性のオフィス机などを介して広がっていく。私たちが心配しがちな空気感染というのは、インフルエンザではない一般的な風邪ウィルスでは、あまり起きないものだというのは役立つ知識だ。一緒に暮らしたり熱烈なキスをしても8%くらいしかうつらないという実験結果がある。それから予防ではマスクはあまり効果がない(そもそも日本以外ではマスクが一般に普及していないという事実も)。

そして風邪をひいてしまったら?。喉の痛みにはティースプーン2分の1杯の塩水でのうがいが効く。総合感冒薬ではなく、症状に的を絞った単成分の薬で治す。そしてしっかり眠る。まあ当たり前のことではあるが。

風邪は数百種類のウィルスによるものであって、ピンポイントな特効薬が存在しない。この本によると、世にある多くの治療法は科学的には効かないのだが、効くと思えば効くというプラシーボ効果もある。読んでしまうと、これまで効いていたプラシーボ効果も消えてしまうかもしれないのだが、少なくとも予防部分は風邪の季節を安心して過ごすために必読だと思う。

・ウィキリークスからフェイスブック革命まで 逆パノプティコン社会の到来
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いま進行中のウィキリークスとフェイスブックによる革命とその潮流が実現しようとしている「完全透明化社会と「ゲリラ的な市民運動」を、ジョン・キム教授が論じる。ウィキリークスの成り立ちと主な告発事件の顛末、ジャスミン革命、エジプト革命を実現させたフェイスブックの状況など、グローバル視点でいま起きていることを整理する。ガバメント2.0、オープンガバメントというキーワードに興味のある人は必読の本だ。

パノプティコンは囚人を効率よく監視する建築物。円形の監獄の中央に監視塔をおき円周部分を牢屋にする。監視塔の窓にはブラインドをかけ、牢屋側は中が丸見えにする。こうすると、仮に監視塔に看守がいなかったとしても、囚人としては24時間完全に監視されている心理になる。現実にはつくられたことがないコンセプトモデルだが、自分自身を監視させる究極の監獄建築といわれる。18世紀に思想家ジェレミー・ベンサムが発案した。

内部告発サイトのウィキリークスと、巨大SNSのフェイスブックによって、市民に強力なネットワークが張り巡らされた現代では、政府が市民を監視するのではなく、政府が市民を監視する「逆パノプティコン社会」が実現されようとしていると著者は論じる。

近年の日本でもネット上で政治への関心は高まってきていたと思う。震災と原発の影響でその流れは加速しているように感じる。政府の役割を見直す「ガバメント2.0」というキーワードもよく議論されるようになってきた。

キム教授は、これからは、政府がサービスを準備して市民はその中から欲しいサービスを選ぶ「自動販売機モデル」から、政府が提供するプラットフォーム上で市民が自らアプリを公開し、別の市民がそれを使う「iPhoneモデル」へと政府の在り方が変わっていくという見方を示す。

確かに市民が役人や政治家を一方的に批判するのは建設的ではない。新聞の投書欄など読んでいると、政府や自治体に文句を言う投稿が目立つが、批判としては筋が通っていても、未来への展望はみえない。自分たちがやるという前提があってこそ、建設的な意見が出てくるはずだ。

ウィキリークスは過激であり一過性の動きになるのではないかという見方もあるが、著者は「現在のウィキリークスの混合ジャーナリズム(hybrid journalism)のもつ長期的なインパクトは、もしかしたら、音楽産業に対するナップスターのようなものとなるかもしれない。 ナップスターは法的措置で閉鎖に追い込まれ、最終的には表舞台から姿を消したが、P2Pというユーザー同士のファイル交換自体はなくならなかった。より技術的に洗練されたかたち、法律的に迂回しやすい、捕まりにくいかたちの進化バージョン・サービスが次々と出てきていて、ファイル交換は、ナップスターのときよりもさらに繁栄している。」と述べている。ネットが普及した以上、完全透明化の流れはもはや止められない、と。

行き詰り停滞した経済ではなく、政治・社会の視点でインターネットの今を見つめなおすことで、現状の突破口がみえてきそうな内容だった。

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初級者向けiPad用の将棋アプリ。コンピュータ対局、将棋盤、詰将棋、着手予想などバラエティに富んだ内容が楽しめる。コンピュータ対局モードは3段階あるが、それほど強くない。自信のある人は時間制限を設定するといいかもしれない。2人用の対局モードではiPadが将棋盤代わりになる。

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将棋入門者が強くなるためのコンテンツが充実している。駒の動かし方を教える入門や、詰将棋と逃げ将棋の問題集が収録されている。電子書籍では将棋物が隠れたヒット商品と聞いていたが、詰将棋は本当に電子書籍に向いているコンテンツだ。実際に打てるわけで、紙の詰将棋とは比べ物にならない便利さ。

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着手予想は羽生の未公開棋譜を使ってオンラインでリアルタイムで1日1手ずつ進行するリアルタイムイベントに参加できる。

i羽生将棋 - Ides Co.,Ltd.

デジカメへのこだわりで有名なブログ仲間のいしたに まさきさんがデザインしたカメラバッグ。私も一か月ほど使ってみましたが週末の趣味のカメラ散策にたいへん便利なので紹介。

・とれるカメラバッグ
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一眼レフと交換レンズ2本と小物類を収納できる。

これとは別に斜め掛けストラップのカメラバッグはすでに持っていたのですが、ぜんぜん使い勝手が違うのは、歩き回りながらカメラを取り出しやすいデザインになっているということ。

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蓋を開けたまま歩き回ることができる。カメラをバッグからいつでも取り出せる、いつでも収納できるというのが、撮影時にとても使いやすい。手に持っているカメラを仕舞うというより、置いておく感じになる。

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そして何よりも素晴らしいのはiPadやMacBook Airを収納できるフラットデバイス収納ポケットがあること。ブロガーやライターは、撮影した写真を現地で確認したり、画像処理したり、Webへアップロードするということが多い。これならバッグ一つでカメラ類一式とPCを持ち歩ける。

斜め掛けは身体に密着するので重さを感じにくいのもよいところ。

・「あがり」は味方にできる
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「大事なのは「あがり」のコントロールです。心臓のドキドキは大き過ぎると課題の達成に差し障りますが、最適な状態に保つことができれば、反対にあなたの力になります。」
あがりの正体を知り対処法を身につける。あがり研究が専門の心理学者の本。面接、プレゼン、スピーチ、スポーツ競技などさまざまなシーンでのあがり対策をとりあげる。

自意識と対人不安がまねくあがり。集団の調和を大切にする日本人の対人不安の値はアメリカ人より高いそうだ。日本の教育では人前でのスピーチの訓練や実践の機会が少ないという理由もあるだろう。泣きながら震えながらプレゼンする大学生のあがりをときどき見る。

あがりは生理的覚醒(心臓のドキドキや体の震え)と認知的不安(嫌な考え)によって起こるもので、いかにこの二つの要素をコントロールするかが大切だと著者は結論している。

あがっている状態で行ったパフォーマンスのうち約50%は成功していたという調査結果もあって、ある程度の興奮と覚醒はプラスに働くことがわかっている。これは誰しも経験的に納得できる話だろう。いいパフォーマンスにはノリが必要だし、本番の緊張感が能力を引き出すことも多い。

研究的には、
・生理的覚醒が低いときは認知的不安がパフォーマンスを引き上げる
・生理的覚醒が高いときは認知的不安がパフォーマンスを引き下げる
という関係があって、

認知的不安が最低値、生理的覚醒が50%のときに最高のパフォーマンスが出せる

という状態が好ましいそうだ。

一度あがりで低下したパフォーマンスが元に戻らず調子が「崩れた」モードに入ってしまう「ヒステリシス現象」もあるというから恐ろしい。こういうプレゼンの大失敗事例、年に1回くらい見る。

ゲームの難易度が高いとき、聴衆の応援はプレッシャーとなってパフォーマンスを低下させる。ゲームの難易度が低い場合は大きな差がない。実はホームよりアウェイの方がプレイヤーは実力を発揮しやすい。というデータもあった。

自己暗示、運動、イメージトレーニング、積極的な思考、無関係な行動、回避、開き直りという「あがり」への代表的対処法7つを検証した結果、イメージトレーニングのみが良い効果を示す。想像上で行うリハーサルがあがりの制御につながるという。

私もときどきあがる。具体的には社外の重要な会議で手が震えることがある。アイデアが頭の中にあって早くそれを話したいが、話に割り込むチャンスがなかなかないときに起きる。出番待ちの恐怖感。手の震えを周囲に知られたくないので、無意味にペンやノートをいじったりして順番を待つ。ここで自然を装う自分が不自然に見えているのではないかという不安が頭に浮かぶと、崩れモードに入ってしまう。

「相手に欠点が伝わってしまう感覚を「自我漏洩感」といいます。たとえば笑顔を作ろうとしたものの、かえって引きつってしまい、無理をしているのが話し相手にばれてしまったと感じたことがないでしょうか。」

ああ、まさに自分の場合の話だなあと思える図星の指摘、確かにあるあるという納得のデータがいっぱいの良書だった。すぐあがってしまうという人、これからプレゼンが増えるという人、おすすめ。

民宿雪国

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・民宿雪国
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これはすごい(笑)。抱腹絶倒。しかし癖あり。

40代以上で洒落のわかる小説読みにのみ強くおすすめ。

「丹生雄武郎は2012年8月15日に亡くなった。享年97歳だった。彼は国民的画家として愛される一方で、長年にわたって寂れた民宿のあるじであったが、その人生は多くの謎に満ちている。本人が鬼籍に入ったため、憚りながらその直前まで彼の軌跡を追っていた私が、多数の証言と彼の死後発見された三十七冊の日記などを用いて、数奇に彩られた人生を明らかにしたいと思う。」(矢島博美)

というプロローグで、丹生雄武郎という男と民宿雪国をとりまく人間模様が語られるのだが、そこに起きるさまざまなエピソードが、無理やり昭和の大事件と接続されていく。あれもこれも黒幕は丹生雄武郎だったのか、壮大な我田引水的風呂敷が広がっていく。

あまりに荒唐無稽な展開に、小説としてのリアリティは物語前半で早々に破綻するが、著者の悪ノリこそが、この本の真髄である。『日本のセックス』同様に日本文学を下品にレイプするかのような破壊力と、日本の現代史を批判的に読むインテリジェンスとが同時にある。ひでえ小説だなあと思うと同時に、昭和について結構な見識がないと楽しめない内容でもある(だから40歳以上におすすめ)。

ひねりと笑いの効いた怪小説。私はかなり好きだな、この作家。

・日本のセックス
http://www.ringolab.com/note/daiya/2010/08/post-1280.html
同じ樋口毅宏の作品。これもまた色モノだけど大傑作。

・Newton (ニュートン) 2011年 07月号
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科学雑誌NEWTONは地震と原発・放射線について、ここぞとばかりに有益な情報提供をしていて、素晴らしいです。NEWTONは昔は定期購読していたのですが、特集が竹内均前編集長の死去や特集のマンネリ気味で、ストップしていましたが、6月号と7月号は科学雑誌の真骨頂、実にいい出来です。

カラーで大判のビジュアル資料を使って、原子力発電のしくみ、放射能・放射線のはたらき、福島第一原子力発電所の状況、放射能のリスクが、徹底的にわかりやすく正確に説明されています。テレビでは科学的な詳細は省略されることが多いですが、この雑誌なら少し突っ込んだところまで教えてくれます。

ところで今回の原発事故により、原子力や放射線について、日本国民の知識が世界でトップレベルにまで引きあげられたことは間違いないでしょう。原子炉には圧力容器、格納容器、建屋があって、燃料棒とか制御棒がありますとか、ベクレル、シーベルトの意味や放射線から身を守る方法など、いまやみんな知っています。この原子力の知識レベルを、発電以外のポジティブな方面で使う方法をもっと考えたらよいのではないかと思いますが、なにかありえるでしょうか。

・ニュートン 超巨大地震
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NEWTONはiPhone/iPad向けの電子版もよくできています。こちらは3.11以前に発行されていた内容の改訂版ですが、超巨大地震と大津波が日本を襲った場合のシミュレーションです。

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今回は発生しなかったようですが、震災後に、火災旋風という恐ろしい竜巻が被災地を襲って大量の死者を出す可能性が論じられています。

ニュートン 超巨大地震 - Newton Press Inc.

・ポトスライムの舟
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・退職理由のホンネランキング
http://rikunabi-next.yahoo.co.jp/01/honne/honne1.html

リクナビが退職理由のホンネをアンケート調査したところ第1位は上司との人間関係。

労働の内容が嫌で悩む人よりも、職場の人間関係が嫌で悩む人の方がずっと多いと思う。仕事はある程度選べるけれども、上司や同僚は選べないからだ。職場の関係が楽しければ、自然と仕事を覚えるし、周囲に支えられて才能だって開花させやすくなる。

特定の職業にこだわって絶対俺は大工になるんだとか、私はアナウンサーになるのよというプロ志向の人間は、多少は厳しい人間関係でも耐えられる。だが、それが漠然とした多くの新入社員にとっては、最初の上司や同僚との関係性は"すべて"といっていいくらい大きい。

そう考えると「職業教育」が取り組むべきは、

1 コミュニケーション能力や処世術を身につけること
2 特定の職業へのこだわりをインストールすること

の2点に重点を置くのが就職率、定着率を高める上で効果的ということになるだろうか。それで今の大学では「社会人基礎力」と称して1を強化する教育が増やされているわけだが、本当に必要なのは2の方なのではないかと観察していて思うのだ。

彼らは空気を読む世代だからコミュニケーション能力はもともとある程度備えている。空気を読めるグループ内では、お互いの要求レベルが高くなる。空気が読めない集団の中で空気が読めれば、「よく気の利く人」「優しいいい人」にもなれようが、優しい人間関係指向の集団で、そうした有利なポジションをとれるのは、高度に洗練された資質を持つ一部の人ということになってしまう。一部のメンバーを排斥することでコア集団は安定を保つというのも真理だと思うし、人間関係の悩みは悩みだしたらきりがない。

一般的に古い職種には憧れのロールモデルがあり、試練とそれを乗り越えた栄光への長期のキャリアパスが見えやすく、職業への特別なこだわりが形成されやすい。だが古いだけあって、そろそろ斜陽が多い。一方で勃興している新しい職種では、こだわりがなかなか芽生えにくい。10年前、20年前にはなかったわけだから。何が何でもWebマーケッターになるぞとか、石にかじりついてもiPhoneプログラマになるんだというマインドはまだ育つ土壌が用意されていない。

現代の若者の働き方がテーマで芥川賞受賞作のこの本の主人公には、やっぱり職業へのこだわりがない。1より2だと思うんだよなあ。

ちなみにポトスライムというのはこれ。地味な観葉植物。

・ポトスライム6寸吊
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梅雨の季節が到来。

ウェザーニュースやそら案内はよくできているのだけれど、いちいち天気予報アプリを起動して確認するのがわずらわしい。この「降水確率」なら、iPhoneのホーム画面に降水確率を表示することができる。

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アプリにはあらかじめ天候を調べたい地域を設定しておく。降水確率の情報は6時、12時、18時を目安(1-2時間程度遅れる場合もあります)に1日3回、プッシュ通知にて更新される。アプリを起動すれば1週間の天気予報の詳細情報を見ることが可能。

降水確率 - Atsushi Odawara

これからの梅雨の季節にとても重宝しそう。

24本骨傘 高強度グラスファイバー仕様 【雨宿】 (あまやどり)
http://www.ringolab.com/note/daiya/2009/06/24.html
・24本骨傘 高強度グラスファイバー仕様 【雨宿】 (あまやどり)
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2009年に紹介して大人気だった傘。今はさらに安くなっているようです。

高層難民

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・高層難民
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大震災が大都会を襲ったときに生じる「高層難民」「帰宅難民」「避難所難民」という震災の新しい顔について実態を解説した新書。

日本で高層建築が始まったのは、建築基準法で高さ制限が撤廃された1963年。高層ビルが立ち並ぶ東京は、関東大震災以来80年間、巨大地震に襲われていない。阪神淡路大震災は被害は甚大だったが規模はM7.3の直下型で短周期振動の「大地震」であって高層ビルの被害はほとんどなかった。だがM8級で高層建築の弱点である長周期振動を起こす巨大地震に見舞われた場合、高層ビルが大きな損壊をする可能性もあるという。

そしてエレベーター閉じ込めが30万件発生し、閉じ込め1万2500人以上が長時間、運が悪いと数日間も、エレベーターに閉じ込められたままになる。なんとか知恵を使って脱出すれば?いやいや。「エレベーター内に脱出口があると思っている方があるかもしれませんが、あれは映画の世界の話で、エレベーターのカゴに外側から中に入ることはできても、内側から外側に出ていくことはできません。」とのこと。

そして揺れが収まった後には長期間エレベーター、電気・水道が停止して生活が困難になる「高層難民」が発生する。5階以上のマンション住民は生活物資の調達に昇り降りさえ大変な困難が伴うことになる。水洗トイレタンクと冷蔵庫の製氷ボックスで合計10~12リットルの飲料水が貴重な水になる。カロリーメイトも常備しておきなさい、と。

そしてビルの外では、交通がストップしてオフィスから帰宅できない帰宅難民が大量発生する。東京駅(14万2000人)、渋谷駅(10万3000人)、新宿駅(9万1000人)、品川駅(8万9000人)、池袋駅(8万5000人)。こうした事態は東日本大震災でも現実になった。もしも大地震が直接首都圏を襲ったら1日後に540万人~700万人の避難者が発生し350万人~460万人の避難所生活者が出ると想定している。避難所の小中学校が崩壊することも予想されるため、避難所にさえ入れない避難所難民もでてきて街はあふれかえることになる。

こうした大都市の大震災直後の世界をシミュレーションして、個人や組織で取りうる対策を教えてくれる。なるほどと思うサバイバルのノウハウがいくつも見つかった。都市住民は必読の内容。おすすめ。

・東北・関東大地震。揺れる新宿の高層ビル 2011年3月11日

3.11 東北地方太平洋沖地震発生時の新宿高層ビル群(Earthquake in Japan)

・こんなに違う!世界の性教育
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「人と人との基本的な関係を教える性教育には、その国で国民一人ひとりがどう扱われているかが投影されます。また、きれいごとでは済まされない、その国の背負ってきた歴史や切実な現実も反映されています。つまり、ある国の性教育を見れば、その国の歴史や文化、社会のなりたちなどが透けて見えてくるのです。」

アメリカ、オランダ、フィンランド、イギリス、ドイツ、オーストラリア、カナダ、タイ、中国、韓国、日本。各国の性教育に詳しい日本人研究者が一章を担当して丁寧に執筆している。各国の性教育の教材、教科書も紹介される。

世界の性教育の先進国はオランダである。5歳から性教育を学校で教える。同性愛と結婚、ドラッグ、尊厳死、セックスワーカー。オランダはこれらすべてを合法化した自由の国。だが透明化して、情報をきちんと与えることで、10代少女の出産・中絶率、マリファナ使用率も実は低い。超早期の性教育は「寝た子を起こす」にはならなかった。

性教育はお国柄が表れる。推進派と反対派がぶつかるイギリスでは性教育は義務にも関わらず親が授業を退席させる権利を持つ。ドイツには東西格差がある。禁欲教育をめぐり揺れるアメリカ。オーストラリアではインターネットサイトが性教育をサポートする。中国では専門誌「人之初」が国民的人気。マイノリティに優しいカナダでは性の多様性教育に力を入れる。

HIV大国でもあるタイはコンドームキャンペーンが有名だが、エイズ予防キャンペーンで実施した「水の交換」もわかりやすいワークショップだ。参加者数と同じ数だけ水の入ったカップを用意し、そのうちの2つだけに無色透明の水酸化ナトリウムを入れておく。これがHIVウィルスの代わりだ。そして皆でカップを手に持って3人の相手と数滴だけ水を交換する。フェノールフタレインをたらすと水酸化ナトリウムが入ったカップの水は赤くなる。ほんのわずかな回数の交換でHIV感染が全体に広まっていくリスクを実感できる。

日本は性教育ではどちらかというと遅れている国だ。ヨーロッパ諸国の15歳の性交経験率は男子平均30%、女子24%だが、日本では男子7.2%、女子9.4%と遅いからということもあるだろうし、同性愛や性同一性障害に対する認知の低さも原因にあるようだ。中学校での性教育の時間は保健の授業内でたった3時間しかない。そういえば私もあまり受けた記憶がないのだ。

日本は貧しい性教育にも関わらず、中絶やHIV感染はさほど社会的な問題となっていない。メディアを通した接触でどうにかこうにか中学高校あたりで独習しているということなのだろうか。同性愛者の受容度は高いとは言えないあたりが問題といえば問題ですかね。

・神饌 ― 神様の食事から"食の原点"を見つめる
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神饌とは神様の食事のこと。伊勢神宮、石清水八幡宮、住吉神社、北野天満宮、美保神社、日吉神社、諏訪神社、香取神社...日本各地の神社の神饌を美しいカラー写真で紹介し、各社の神事の様子を詳細に伝える。特別な許可を得て撮影された貴重な写真も含まれる。

この日本の食の伝統は半端ではない歴史を持っている。究極の神饌と言われる伊勢神宮の神饌では「日別朝夕大御饌祭の神饌は、新鮮の究極であり基本である 神宮では、一年三六五二地、台風が来ようが、雪が降ろうが、一日も休むことなく約一五〇〇年(豊受大御神が、天照御大神の御饌都神として鎮座されたのは、天照御大神の御鎮座から約五〇〇年後のこと)、外宮の御饌殿で、朝に夕に神饌をお供えする日別朝夕大御饌祭(常典御饌ともいう)が行われている。」という

神饌は清らかで美しいと同時にグロテスクでもある。獣の匂いにむせかえる猪の頭や羽のついた野鳥の肉、生の魚貝がいかにも獲りたて状態で供される。赤飯や焼き鳥のような調理されておいしそうなものもあるるが、目立つのは土地で獲れる命のお供えである。たとえば琵琶湖の老杉神社では"めずし"なるものをつくるが、これは酒粕のボール状に丸めたものに生きたタナゴを突き刺して窒息死させたもの。日本の神饌の原点というのは、荒らぶる神に捧げる生贄だったのだろうなと思えてくる。(実際、住吉神社では一夜官女といって村の娘を神の生贄に差し出していたなんて伝承が由来として紹介されている。)

お供えした後の神饌はどうなっちゃうのだろうと疑問に思ったが、儀式が終わればちゃんと人間が食べるのだそうだ。神様が召しあがったものと同じものを食べることで、神と一体となり霊力をいただくという意味があるとのこと。

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有楽町にあるドコモスマートフォンラウンジで、本をテーマに毎月一回トークイベントを主宰しています。今月もたくさんの本とネットの話題をお話したいと思います。

今月はテーマ本コーナーでは「漫画」について語ろうと思います。

このラウンジは多数の未来のコミュニケーションツールに触りまくり、試しまくり、で一見の価値ありの場所です。スマートフォンの未来を体験しがてら、私のセッションものぞいてください。よろしくお願いします。

■日時

 2011年 6月23日(木曜日)19:00~20:00

■場所と参加申し込み
 有楽町にあるドコモスマートフォンラウンジ内イベント/セミナースペース
 http://www.dcm-spl.com/cool_events/2011/02/-passion-for-the-future-offline.html
Webから参加の予約することができます。実は当日ふらっと参加も可能ですが、予約していただけると大変うれしいです。モチベーションになります。

■イベント概要

『ザ・本とインターネット』 ソーシャル読書セミナー
(Passion For The Future オフライン)

本とインターネットとどうつきあうか。それで人生が変わります。

IT起業家で書評ブロガーの橋本大也氏が、"今月の面白い本ベスト10"や、電子書籍やWebの最新事情を語ります。年間500冊超の読書生活で発掘してきた名著・奇書の書評のライブ・トーク。ひとりで本屋に行くより、気になる本がきっと見つかるセッションです。さらに未来志向で、パソコンやケータイ、タッチ端末など先端テクノロジーがもたらす読書スタイルや出版文化の変容も考えてみようと思います。

構成:

1 自己紹介とごあいさつ
2 今月読んだおすすめ本
3 今月のテーマ本
4 デジタル読書生活向上委員会

講師紹介

橋本 大也 データセクション株式会社 取締役会長

2000年、大学在学中にインターネットの可能性に目覚め、株式会社データセクションを設立。現在、ITコンサルタント・起業家として数社のITベンチャー役員を兼任すると共に、大学等で教鞭をふるっている。主な著書は「情報力」「情報考学―WEB時代の羅針盤213冊」「新・データベースメディア戦略」「アクセスを増やすホームページ革命術」「ブックビジネス2.0」ほか多数。

株式会社早稲田情報技術研究所 社外取締役
株式会社日本技芸 社外取締役
株式会社メタキャスト取締役
デジタルハリウッド大学 教授
多摩大学大学院経営情報学研究科 客員教授

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・教科書の詩をよみかえす
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1993年前後の教科書に掲載された詩31篇を、詩人の川崎洋が選んで、その詩に触れて考えたことを綴っている。登場する詩人は、

川崎 洋 , 石垣 りん , 吉野 弘 , 草野 心平 , 黒田 三郎 , 中野 重治 , まど・みちお , 辻 征夫 , 萩原 朔太郎 , 室生 犀星 , 山本 太郎 , 谷川 俊太郎 , 栗原 貞子 , 伊藤 比呂美 , 島田 陽子 , 大岡 信 , 三好 達治 , 山田 今次 , 青木 はるみ , 中原 中也 , 土井 晩翠 , 茨木 のり子 , 小海 永二 , 村野 四郎 , 松井 啓子 , 北原 宗積 。

で、民謡やわらべ歌なども含まれている。

教科書に出る詩というと、古い価値観で、教条的で、優等生的なものを想像してしまうが、選者のせいかもしれないが案外にそうでもなくて、幅広い。さすがに恋愛や享楽をテーマにした詩はほとんどないのは仕方ないか。

一番気に入ったのは、これ。

---
紙風船 黒田三郎

落ちて来たら
今度は
もっと高く
もっともっと高く
何度でも
打ち上げよう

美しい
願いごとのように
---

今読むと復興のメッセージのようにも響く。

31の詩のうち3分の1くらいはすんなり入ってきて、3分の1は何も感じなくて、3分の1は違和感を感じる。第一印象で違和感を感じた詩を何度も何度も読み返していくと、新しい世界を発見して自分の感受性を拡張できたように感じられるときがある。

蝶のゆくえ

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・蝶のゆくえ
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橋本治 第18回第18回柴田錬三郎賞受賞の短編集。

19歳の短大生、20代のOL、中年の主婦、58歳の未亡人まで、現代に生きるさまざまな年齢層の女たちを主人公にした6編。著者は、巻末収録の自作解説で本作を「女にとって家とはどういうものなのか」という疑問を中心軸にした作品集で「Aによって見られるBと、Bを見ることによって現われるAの姿」という鏡構造を持ち、「普段はあまり意識されてはいない関係が浮かび上がる物語」と書いている。

登場する女たちはなにかしらの関係性にとらわれていて不幸だ。定年退職したばかりの夫がオヤジ狩りにあって殺されてしまったり、連れ子を新しい夫と一緒に虐待してしまったり、二股をかけられた男に呼び出されて関係をぐずぐず続けてしまったり、夫の経済的困難で身を寄せた実家で姑との関係に悩んだり。

昔の女の一生と違うのは現代の女たちは自分で人生を選択できるところ。そうではない道も選べるのに、怠惰や欲望やなにものかにとらわれて、ずるずると不幸へはまっていってしまう。その様子にすごくリアリティがある。平穏な日常に潜む闇が怖い。

・巡礼
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近隣住民との対話を頑なに拒否するゴミ屋敷の主人の屈折した半生をたどる。

・SANYO エネループ モバイルブースター KBC-L2BS eneloop mobile booster
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定番ですが。

iPhone、iPad、iPod、Xperia、携帯ゲーム機などUSB経由で充電できるモバイル機器用の大容量充電器。幅70×奥行22×高さ62mmで約130gとやや大きなサイズだが、iPhoneなら2回フル充電することができる。従来型BC-L2ASの2倍となる最大1Aのハイパワー。

2回フル充電できるわけですから、電池が切れて困っている友人・知人に気前よく貸してあげることができる。USBの口が2つついているので2台同時充電もできる。マイクロUSB用アタッチメントによりマイクロUSB端子から充電する機器にも対応。

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満充電までの時間はACアダプター充電で約7時間、USB充電で約14時間。充電供給時間は5.0V/500mAの場合が1口使用時で約4時間(2口は約2時間)、5.0V/1Aの場合が1口使用時で約2時間。

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ランプ点滅で4段階の充電状態を確認できる。

やや重たいのが欠点だが、使い勝手はこれまでに買ったモバイル充電器で一番よかった。

・アメリカン・デモクラシーの逆説
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民主主義の共和国であると同時に世界に君臨する帝国、アメリカの抱える矛盾。

「もともと共和国は、啓蒙主義思想に基づく自治精神を基盤とするとともに、啓蒙主義の持つ普遍性・普遍化への意思を内包している。かたや、古典的帝国の特徴は「完結した一つの世界」として自らの統治を提示する態度にある。それゆえ、帝国の内部では民族・宗教・言語的な多様性について比較的寛容なのに対し、帝国の外部については、その存在を積極的に認めることはなく、しばしば制服や略奪の対象にすらなった。共和制と帝政では政体の主体がまったく異なることは自明だが、実は、動作原理そのものは類似している。」

ゲーテッド・コミュニティ、メガチャーチ、ストリート・ギャング、カラーライン、恐怖の文化、オーディット文化、...。自由市場と民主主義、多文化主義、個人主義が行きつくところにある歪みを著者は取り上げていく。日本人はいまだに米国に模範を求めがちだが、米国の抱える闇は深い。

オバマが大統領になれる多様性の国でありながら、いまだに肌の色は見えない壁をつくっている。全米では230万人、成人100人に1人が服役中であるという。収監者の7割は非白人で、人口の13%に過ぎない黒人が全体の半数を占めるという。黒人の3人に1人が生涯に一度は収監される計算になる。そして監獄の運営は民間に委託され巨大な獄産複合体を形成している。

個人主義や契約と訴訟の文化も社会に大きな弊害をもたらしている。

「アメリカでは幼い子どもが自らの親を告訴することも珍しくないが、結婚前に財産の割り振りや互いの義務、責任の所在などを事細かに取り決めする婚前契約書(prenuptial agreement)を交わすケースも1980年代以降増加している。これらは公的領域の論理と力学が私的領域を包摂していることを示唆する例であると同時に、アメリカの訴訟社会化と密接に結びついた現象でもある。」

多文化主義の原理主義化として少数民族の優遇政策の行きすぎ事例などが紹介されているが、要は米国と言うのは中庸という美徳を知らないのだ。この本では米国の主義や原理を追究しすぎるあまりに、人間が疎外されている様子を、いくつもの「逆説」にみることができる。

・トゥーランドット 蝶々夫人 ラ・ボエーム
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里中満智子が名作オペラを漫画化するシリーズ。

ヤマハの楽器屋さんでみつけて、プッチーニの巻を手に取ったら意外にもはまった。

なかなか見に行く機会がない有名なオペラ作品を、漫画で、ああ、こういう話なのね、とあらすじを知ることができる。一流の漫画家の里中満智子なだけあって、あらすじがわかる以上に、鑑賞に値するレベルの作品に仕上げている。少女マンガとオペラはかなり相性がいい。

『トゥーランドット』の舞台は中国、『蝶々夫人』はの舞台日本。求婚者に謎かけをして答えられなければ殺す王女と、外国人の夫を従順に待ち続ける日本女性。どちらもかなり西欧人バイアスで誇張された創作世界なのだけれど、その分、実にドラマチック。

他にも名作オペラがいろいろある。

・椿姫―アイーダ/リゴレット/マクベス
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フィガロの結婚―魔笛/ドン・ジョバンニ/セビリアの理髪師
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カルメン/トリスタンとイゾルデ/サムソンとデリラ
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Microsoft PhotosynthがiPhone版をリリースした。所要時間はほんの数分、手軽に立体パノラマ画像を作成することができる。

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眺望がよい場所でphotosynthを起動して、ゆっくりと上下左右に向けると、自動的に景色の撮影が行われる。こうして撮影された複数の写真は、継ぎ目がないように自動的につなぎあわされて、大きなパノラマ画像となる。やろうとおもえば360度パノラマも可能。

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合成した作品は、大きな写真として保存される。Photosynth.netにアップロードすれば、ブログやFacebookでインタラクティブに動かせる映像として公開することもできる。

上下左右、ズームイン、ズームアウトができる。

Photosynth - Microsoft Corporation

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