セックスメディア30年史欲望の革命児たち

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・セックスメディア30年史欲望の革命児たち
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電話風俗(Q2、テレクラ)、出会い系サイト、エロ雑誌、アダルト動画、大人のオモチャ、性風俗...。欲望のメディアは新たな規制や技術が登場するたび、大きく形を変えながら発展してきた。この本は過去30年間でインターネットとケータイがセックスメディアをどのように変えていったかを、メディアの作り手へのインタビューも交えて、総合的に振り返る。

セックスメディアをオカズ系、出会い系、性サービス系の3つに分類し、それぞれの市場の発展具合を検証していく。各分野の仕掛け人的な人たち、たとえばTENGA、ラブドールのオリエント工業、芳賀書店、DMM、動画ファイルナビゲーターなどの経営者や担当者へのインタビューがあって、生の声があるのも面白い。

エロを大きく変えてしまうのが、規制と技術だ。

規制がメディアを変えるわかりやすい例が、この本で紹介されている、コンビニで売っているエロ雑誌の表紙の変化だ。

「2005年11月から東京都では青少年健全育成条例の改正により、二か所のテープ止めが義務化され、立ち読みができなくなった。このため表紙で内容をわからせなければならないと、コンビニ売りエロ雑誌は必然的に内容を全て表記するようなゴチャゴチャしたデザインへと変わっていった。」

私の思春期のエロ本と言うのは表紙が文字でゴチャゴチャということはなかった。作り手たちはこうした制約の中で、青少年を魅了するコンテンツ、売れるコンテンツをつくりだそうと創意工夫を展開する。品質を真面目に考える経営者もいる。だからこそ脈々とアダルトコンテンツ産業というのは、したたかに続いてきたのだろう。

風俗サービスへのナビゲーションの変化の話もあった。

「スポーツ新聞、アダルト雑誌、ピンクチラシ=電話ボックスといった広告から、ウェブと案内所を用いた広告へ。「ポン引き」や「案内所のお兄さん」に「社長、今日はどんな子を?」と尋ねられていた風景から、勧誘が禁止になり(といいつつも、2011年現在でも多くの場所で見受けられるが)、風俗へのアクセス方法も「探索から検索へ」とその姿を変えた。そのため「店舗での写真見せ」から「ネットでの写真見せ」へ変化し、掲示板などで口コミ情報が共有される「ネットを前提とした風俗」へと変わっていった。」

「探索から検索へ」というのはWebのキーワードでもあるが、一般のネット広告産業がたどった道のりと一緒で、アダルトの広告も投資対効果や説明責任やらが重要になっていくのかもしれない。この本では触れられていなかったが、アダルトの広告の状況も知りたいなあ、と思った。

私は昔から思うのだが、こういうセックスメディアというのは、もっと一般人がふつうに楽しめるものであっていいと思う。裏社会の、うしろめたい、日陰の存在にしているよりも、もっと明るくおおっぴらに性を語れる世の中にしてしまった方が健全だと思う。この本に紹介される「欲望の革命児たち」のなかには、TENGAみたいな日陰のアダルトグッズのメジャー化を指向する人などもいて、おもしろい動きだなと思った。

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このページは、daiyaが2011年6月29日 23:59に書いたブログ記事です。

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