ゲームストーミング ―会議、チーム、プロジェクトを成功へと導く87のゲーム

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あまりに内容が濃くて熟読していてレビューが遅くなってしまった。

この本は現代の知識創造のバイブルといっていいと思う。「共創」とか「創発」という言葉は概念レベルでよくつかわれるが、それを具体的にどうやって実現するかを書いた本をはじめて読んだ。なるほど、こうやるのかという方法(ゲーム)が80種類も紹介されている。いくつか試してみたが、私の周囲では大好評で成果を挙げている。

「ゲームストーミングはゲームのアルゴリズムと視覚的効果および効用を利用してグループワークを促進させる手法・技術・行為の総称です。ブレインストーミング、ファシリテーション手法、アイスブレイキングといったテクニックと同様、ゲームストーミングも会議、セミナー、ワークショップなど協働において優れた効果を発揮します。」

この本はビジネスの会議で使えるゲーム的なワークショップ、ファシリテーション技法のマニュアル集だ。主要なゲーム、参加者の心を開き発想を拡げる開幕のゲーム、深く掘っていく探索のゲーム、収束させる閉幕のゲームの4パートで合計80以上のゲームの進め方が紹介されている。

3つほど簡単なゲームを紹介してみると、

「ペチャクチャナイトとイグナイト」。限られた時間で、たくさんの発表を、たくさん公開できるアイデア。

「ペチャクチャナイトのコンセプトは単純で、プレゼンテーションに使う「スライド(画像)の枚数と1枚あたりの表示時間を制御することによって情報を素早く簡潔に伝えるというものです。具体的には20×20、つまりスライドはひとり当たり20枚、1枚あたりの表示時間は20秒です。スライドの切り替えは自動的に行われ、発表者は制御することはできません。ペチャクチャナイトに触発されて生まれたイベント「イグナイト(ignite)」も同様にペースが決められています。」

参加者の理解度を確認する「5本指コンセンサス」。

「進行役は参加者に、議題についてどのくらい合意が取れているか5段階で評価するように依頼します。完全に合意が取れていると思う」場合は5本の指を上げ、「まったく合意が取れていないと思う」場合は5本の指を閉じます。これは特にその場で作られたグループの場合には効果的です。同時にいろいろな話題が議論されがちだからです。指が1本、2本、3本というように、いろいろなレベルの人がいるグループは進め方をもう少し検討する必要があるでしょう。」

問題の根本的下人を見つけ出す「なぜなぜ5回」

参加者に5枚の付箋を配って「なぜこれが問題なのか自問してみてください。そしてその答えを付箋1に書いてください」「付箋1に書いた答えがなぜそうなのか自問して、その答えを付箋2に書いてください。」「付箋2に書いた答えがなぜそうなのか自問して、その答えを付箋3に書いてください」...。全員の5枚の答えを縦に並べて、共通点と相違点を話し合う。

ゲーム的なセッションはアウトプットが曖昧に終わりがちであるが、この本のゲームを組み合わせて閉幕のゲームを後半に配置していけば、上司への報告も可能な創造的なミーティングができると思う。

監訳者の野村恭彦(富士ゼロックスKDIシニアマネージャー)は日本に「フューチャーセンター」という未来探索の方法論を紹介している国内有数の凄腕ファシリテーター。所属する会社での実践例が日本語版には収録されている。

デジタルの時代は、ツールの使い方に習熟するだけでは他人と差をつけることが難しい。こうしたアナログでアイデアを引き出す、チームで創発するやり方を知っている人こそ、クリエイティブなリーダーになれる。来年は"ゲーミフィケーション"より"ゲームストーミング"だ。

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このページは、daiyaが2011年12月 4日 23:59に書いたブログ記事です。

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