2012年7月アーカイブ

・独立国家のつくりかた
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建築家には変な人が多い。著者は熊本に勝手に新政府を設立し、初代内閣総理大臣に就任した似非建築家だ。震災後に逃げろといわなかった政府に失望し、「プライベートパブリック」という概念を唱え、「新政府」を勝手に始めてしまった。所有権があいまいになっている土地を全国にみつけては領土としている。

とはいえ日本には、法律というものがある。内乱罪にならないように新政府活動は「芸術」と呼び、社会を変える行為としての芸術活動として、新政府をやる。トンデモのようでいながら、相当なしたたかさを持った人だ。現代の日本社会の楽しい歩き方を教えている人でもある。

お金がなくても楽しく暮らせる社会を目指す。たとえば0円特区構想。お金を稼がなくても楽しく生きていくために「態度経済」を実現せよと説く。それは「社会を変えよう、少しでもよくしようという態度を見せ続ける人間を、社会に飢え死にさせちゃまずいと考え、相互扶助を行い始める」という状態をいう。

「ただ人が歩き、話し、ハイタッチする。それで経済がつくられる。なぜなら、そこにはとても心地よい家や町や共同体があるからである。」。プロボノ的な労働や相互扶助の精神で、個人がお金も土地も所有しない幸福社会を夢想する。ただその世界はまったくの別天地に作るのではなく、現実の日本と同居しているのでもある。

現実世界の上に仮想的な新しいレイヤーを想像する力を持つことで、今の日本にいながらにして、新しい生き方の可能性を探っているようにみえる。この人は社会を転覆させるのではなく、私たちの意識、考え方を転覆させる、モダンな革命家なのである。現実的でありつつ夢想家でもあり、モノづくりに手も動かす思想家。いいなあ。

・まほろ駅前多田便利軒
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第135回直木賞受賞作。

三十代半ばで便利屋を営む多田のもとに、十数年ぶりに再会した高校時代の友人の行天が一文無しで転がり込んでくる。同居しつつも一定の距離を保ち、仲が良いのか悪いのか微妙な関係の二人が、便利屋に持ち込まれる、さまざまな依頼をこなしていく。やっかいごとの背景にある複雑な人間模様がみえてくる。物語よりもキャラの味わいが売りのキャラクター小説だ。漫画化、映画化もされている。

この作品は楽天Koboでも読んだ。電子ブックストアには芥川賞・直木賞受賞作品という特集コーナーがあるが、クリックするとまだ6冊しかない。いくらなんでも品ぞろえが悪いのだが、いつもだったら選ばない本を読む機会になる、とポジティブに考えて選んだのがこの有名な作品だった。電子書籍として、軽めの短編連作集はとても読みやすいし。
8本の連作。犯罪はあるが猟奇的な殺人とかひどい暴力は出てこない。二人の男の奇妙な友情、その愉快な仲間たちの関係が主題であり、ミステリタッチでありながら、どちらかというと心温まるオチを指向している。男と女がいっぱい出てくるが、みんな総じて中性的。どろどろしない。便利屋という職業がなんだか昭和的でもある。女性作家が書いた男の奇妙な友情はあまり真実味がないが、ファンタジーとしては楽しい。世界観にはまると次の話が読みたくなる。

続編も出ているが、こういう作品こそ電子書籍的には1話100円でバラ売りにしたらよいと思う。バラ売りにすると一話ごとで売上げ、人気もわかるから、読者に何が受けているのか作家にも明確になる。そうするとフィードバックを受けながら、ストーリーを変えていく作家も出てくるだろう。テレビの視聴率をみながらつくるドラマみたいなもの。それが文学にとってよいか悪いかわからないが、映画化や漫画化を指向しているこういう作品は向いているように思った。

民放テレビ局132社がインターネットでのオリンピックの公式動画配信をおこなうために作られたGorin.jpのスマホアプリ。2,000本を超える動画を配信する予定だそうで、オリンピック応援系で間違いなく最強の情報アプリである。

http://www.gorin.jp/

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テレビのオリンピック番組の放映スケジュール、選手データ、そしてハイライト映像と、公式ならではの強みを活かして、観戦に必要な情報が集約されている。ニュースやコラムも読むことができるので完璧。

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一画面に複数の情報を表示する画面分割が最初は戸惑うが、慣れてしまえば便利。ソーシャルメディア応援用の「1億2500万人の大応援団」と、このアプリがあれば完璧な準備。

オリンピック応援スマホアプリ 1億2500万人の大応援団
http://www.ringolab.com/note/daiya/2012/07/12500.html

gorin.jp - PRESENTCAST INC.

スマホやタブレット便利といっても紙メディアは落ち着く。

雑誌としては私はこれを買った。

・NHKウイークリーステラ臨時増刊8月28日号 ロンドンオリンピック放送をぜんぶみる!
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全26競技みどころ解説や280名超の日本代表選手名鑑など、データの一覧性の高さはまだまだ紙メディアだなと思った。

オリンピック番組をみていたらこんなCMをやっていたわけで、

ファイヤー!を単純に自分でもやってみたいと思って、ケンタッキーフライドチキンへ。ファイヤーウィング入りのセットを買う。新製品はおもったほど辛くないなといいながら早速ケンタッキー公式アプリをダウンロード。iPhoneとAndroidに対応。

こんな紙の指輪をつくるシートをもらえるので、切り折りして指にはめておく。この指輪の絵柄をアプリに認識させると炎が出るしくみ。

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絵を認識させるにはかなりスマホを近づけなければならず、すると炎を吹くために顔全体を入れるのが結構難しい。なんどか苦労して撮影に成功。起動時のロゴ表示を見ると、ARの技術は自社開発ではなく、Aurasma社のソフトウェアを利用しているらしい。調べてみるとユニクロやソニーミュージックも採用している。注目企業か。

・Aurasma
http://www.aurasma.com/

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電通によるオリンピック応援用公式アプリ。これはよくできている。iPhoneとAndroidに対応。

-Twitter機能
-選手名鑑
-試合/番組スケジュール
-試合/番組アラーム
-競技の実況機能
-試合速報

などの情報が大変充実している。テレビをみながらツイッターで応援している人は必携のアプリだ。オリンピックに関するつぶやきだけを見ることができるし、発言時には、#オリンピックや#競技名といったタグを自動的につけてくれる。

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ユーザーは応援用アバターを作成する。スタジアムの中で自分のアバターに発言させたり、動かしたり。応援をすればするほど、アバターの衣装やアクションのアイテムが増えていくのが楽しい。

競技ごとにアラーム機能があり、試合が始まる前、テレビ番組が始まる前にアラートを表示させることができる。

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いまどの局が一番つぶやかれているかをグラフ表示して、各局ごとにつぶやきを参照することができるテレビ番組視聴用のツイッタークライアント。リアルタイム発言率をみるアプリとしてはWiz.tvやTuneTVがあるが、なんといってもこのアプリはヤフーが開発しているところが期待のポイント。

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いま見ている番組のつぶやきをみる、つぶやくだけでなく、一番盛り上がっている番組にチャンネルを変えるという使い方をする人も多いのではないだろうか。テレビ側に一番発言が盛り上がっている番組に自動的にチャンネルを切り替える機能を搭載しても面白いかもしれない。テレビとネットの立場が逆転していく。

AQUASの一部機種ではこのアプリからテレビのチャンネルを切り替える機能がある。

米国のYahoo!はIntoNowというテレビコンパニオンアプリを出していて、テレビから流れている音声を聞かせると、番組関連情報が表示されるなど、面白いサービスをやっている。日本のヤフーももっと意欲的な機能に爆速で取り組んでもらいたい。

・テレビ番組のつぶやき率をみるアプリ wiz tv
http://www.ringolab.com/note/daiya/2012/06/wiz-tv.html

・タテに振ると電源オン・オフ、横に振るとチャンネルと音量のアップダウン テレビの手
http://www.ringolab.com/note/daiya/2012/06/post-1655.html

・地上波、BSに加えてCSも対応した iPhone TV番組表
http://www.ringolab.com/note/daiya/2011/11/bscsiphone-tv.html

・iPhone/iPadでテレビ番組表 マイクロソフトが開発 テレBing
http://www.ringolab.com/note/daiya/2011/08/iphoneipadbing.html

テレViewing - Yahoo Japan Corp.

宇宙兄弟

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・宇宙兄弟
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宇宙への夢をひたむきにおいかけていた兄弟が大人になった2025年、JAXAの宇宙飛行士試験を通過した弟は世界の注目を浴びながら、いままさに宇宙へ飛び立とうとしている。一方で兄はつとめていた会社で上司に頭突きしてクビになり、悶々とした日々を送っている。そんな兄だが、ひょんなことからJAXAの1次選考試験を通過してしまったことをきっかけに、弟と同じ道を目指しはじめる。

この漫画はKoboで(も)読んだ。電子書籍版のマンガを体験するために、有名で未読だったこの作品をあまり期待しないで読み始めたのだが、諦めないことの大切さを教える内容に、かなり、ひきこまれて続巻をどんどん読むことになった。

宇宙飛行士というと頭脳も体力にも恵まれた特別なエリートが自力で競争に勝ってその資格を勝ち取っていくものというイメージがあったが、宇宙へいく人間も、それを選考する人間も、みな普通の人間である、みんなの情熱が宇宙へ人を運ぶのだという世界観が素晴らしい。この作品に影響されて宇宙飛行士になる子供がでてくるかもしれない。夢をはぐくむ内容。

Koboでの漫画もなかなかよい。ちょっと文字が小さいと感じるページはあるものの、電車内で漫画を読んでいると悟られずに楽しめるし、長編の漫画は置き場所に困るので、電子版はありがたい。

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ところでKoboの現状のインタフェースではストア上で漫画が何巻なのか、巻数を確認できないという致命的な欠陥がある。早急に修正してほしい。

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どこからでもアクセス可能なオンラインストレージといえばDropboxのユーザーが多そうだが、Googleドキュメントとの連携が便利なGoogleDriveにも捨てがたい魅力がある。これはiPhone用のGoogleDriveクライアント。

私はDropboxとGoogleDriveを仕事と趣味のように系統をわけて使っている。結局オンラインストレージも、ファイル数、フォルダ数が増えると検索しないとファイルが容易にみつからなくなるが、複数のドライブを使い分けておくと、ほどほどの数なので管理しやすい。

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内蔵ビューアも高機能だが、ファイルを選択した後のメニューでOpen Inを選択すると、iPhoneにインストールされている対応アプリの一覧が表示される。ファイル形式ごとにいつものアプリで見られるのがうれしい。

GoogleDriveならではのファイルの共有機能、星つけ機能などにも対応している。

Google Drive - Google, Inc.

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ブラウザー、メールソフト、ニュースリーダー、メモ帳、スケジューラーなど、あらゆるアプリでコピーした内容をEvernoteへ送るためのソフトウェア。常駐してバックグラウンド動作して、ユーザーがいろいろなアプリでコピーを行うのを待ち受けている。

コピーした内容は画像でもテキストでも、すべてEverclipの一覧へ送り込まれる。ここはEvernoteへ送るデータの待機場所みたいなもので、この中から本当に必要な情報を選んで送信する。

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地味だが使用頻度が高いアプリだ。これまではアプリ自体にEvernote連携機能がないと、わざわざEvernoteをそのたび立ち上げてコピペしたり、メール経由で送ったりしていたが、この方式だと簡単だ。ニュースなどは気になった情報を片っ端からコピーして待機所へ送っておいて、あとから選ぶということもできる。

EverClip - Ignition Soft Limited

・はって、とれて、またはれる 名刺ホルダー harrytoree(ハリトレー) タイプ01 オレンジ
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大阪の中小企業の発明品。

ハリトレーを買ったら、背の部分のシールを何枚かはがして粘着シールを露出させる。名刺を普段どのくらい持ち歩きたいかによって、はがす枚数は調整する。この部分に名刺の断面をあてて収納する。すると、名刺がはりついて落ちなくなる。本のページをめくるように名刺を管理できる。

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パーティーでは渡す名刺ともらう名刺が混ざってしまって困ることが多い。渡す分はしっかりと粘着シールでとめておけば、迷わず自分の名刺を差し出すことができるというわけ。名刺に限らずカード類の管理に使うことが可能。

・鍵のない夢を見る
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辻村 深月の直木賞受賞作。

『仁志野町の泥棒』
『石蕗南地区の放火』
『美弥谷団地の逃亡者』
『芹葉大学の夢と殺人』
『君本家の誘拐』

泥棒、放火、逃亡、殺人、誘拐。収録5作品はすべて犯罪と関係がある。

小学校の友達のお母さんが泥棒だったら。ショッピングセンターでふと目を離したすきにベビーカーがなくなっていたら。出身研究室の教授が殺されて犯人に心当たりがあるとしたら。平凡な日常の中にあらわれる暗い闇の淵へと落ちていく5人の女性が主人公。

生まれつきの犯罪者ではなく、自身の性格の弱さや偶然から、普通の人間が犯罪者に変貌していく"魔がさす"瞬間の描写が見事。映像的な場面展開もうまい。現実に起きた事件の再現ドキュメンタリみたいに思える生々しさを感じる。

そういえばこの小説は、だらしない、頼りない、デリカシーのない男性ばかりが登場する。その描写にとてもリアリティがあるのだ。キレるにしてもブチ切れて大乱闘するのではなく、鬱屈した男が陰湿にキレるみたいな。

ところでこれはKobo電子書籍版ではじめて読破した小説だった。短編集は電子版と相性がよい。

・鍵のない夢を見る
http://rakuten.kobobooks.com/ebook/%E9%8D%B5%E3%81%AE%E3%81%AA%E3%81%84%E5%A4%A2%E3%82%92%E8%A6%8B%E3%82%8B/book-N8pAxWKGX0S9RT-y17cOQA/page1.html

ちなみにAmazonではこのブログ執筆時点では売り切れで入荷待ちとなっている。直木賞受賞発表の直後だからだ。電子版は人気作品でも売り切れないのがポイントだと思う。短編が対象の芥川賞は受賞時に単行本未出版ということも結構多いが、電子版で発表と同時にでればもっと読者が増えるかもしれない。

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両賞に限らず、受賞したのに読めない文学賞をなくす電子出版効果に期待。

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当面紙の本は読まないぞと意気込んで使い始めた楽天Koboのファーストインプレッション。Koboハード自体の感想は、予想していた通り。可もなく不可もなく、この価格帯ならばこれでよいのではないかと思うレベル。iPadやAndoroidの汎用タブレット端末を期待していた人からは辛辣なレビューも書かれているみたいだが、安価な電子ペーパー+αだと思っている私には、軽さ、薄さ、画面の見やすさ、電池もちの良さ(一か月)は合格だから全体評価は「まずまず満足」。読書中にたまにフリーズする。これは早急なファームウェアのアップデートを待ちたい。

改善を期待したいのは電子書籍の品ぞろえだ。提供各社は電子書籍ストアを爆速で充実させないと、読みたい本がみつからず、せっかくの電子書籍端末への注目が、もったいないことになる。楽天(Amazonもだけど)は本当に全力をあげるべき。多くのカテゴリで検索数ページ目で洋書ばかりになってしまう。(洋書が簡単に入手できること自体は大変よいことだが)。

直木賞受賞作『鍵のない夢を見る』(辻村深月)を1冊目に買った。1冊目はよく考えて買うべきだ。定評のある面白い小説を1冊目にした私の選択は大正解で、ぐいぐいひきつけられる展開に、Koboの印象もよいものになった(笑)。

ページをめくるシンプルなインタフェースは読書には集中できる。ただネットワーク連動機能(ソーシャルリーディング)や文章を選択する、保存するなど、それ以外の機能動作は重たい。Kobo Touchはひたすら読むために使うのが正解なのだと思う。

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読書データが表示されるのが面白い。私は1冊目の小説を3.3時間で読んだ。ページめくりの回数は746回。平均読書時間16分(連続した読書時間のことらしい)。またバッジ機能というのがあり1冊読み終わると「読破」したことをフェイスブックに投稿できる。一晩中読書すると「ナイトライダー」というバッチがもらえたり、10回以上、辞書機能を使うと「勉強家」がもらえたりする。この機能は楽しいし、学習意欲更新にもなるだろう。

その他、現段階での雑感。

電子ペーパーは普通の液晶よりも目にやさしい。体験としてはまだまだ紙の代用という感じは否めないものの、読書進行度をページ数や厚みではなく、パーセントで把握するとか、本を閉じない、とか、しおりをはさまない、とか、根本的なところで読書体験がじわじわ変わっていく。

多読のコツとしてカバンに硬軟混ぜて2,3冊持ち歩くと読みたい本を読みたいときに読めて読書速度も上がる、というのがあるが、電子版が充実すると2冊目、3冊目は電子版でいい、ということになるかな。

書評ブログで本を絶賛紹介するとオンラインストアが在庫切れになってしまうということがあるが、電子版でも買えるようにしてくれると機会損失は防げる。

Koboを買ってまず欲しくなったのは本ではなくてカバー。カバー市場は結構あるな。

・暗号 情報セキュリティの技術と歴史
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暗号。ある文章を第三者に分からないように別の文字や数字に変換すること。本書では合言葉やパスワードはその定義に含めない。

著者は情報セキュリティ大学院大学の創設時の学長 辻井重男氏。現代情報社会の基盤となっている暗号技術の発展の歴史と、共通鍵暗号、公開鍵暗号、零知識対話証明などコアテクノロジーを解説する。暗号とその周辺についての教養を深めると同時に技術の本質をつかむことができる科学読み物。

紀元前のスキュタレー暗号、アルファベットをずらすだけのシーザー暗号からはじまって技法の高度化、複雑化が進み、ナチスドイツのエニグマ暗号あたりまでを、著者は古典・近代暗号の時代と呼ぶ。そして1970年代に生まれたDES制定と公開鍵暗号という画期的事件からをポストモダンの時代と定義する。

その暗号技術の革命の意味は、

「1 同一組織内に限定して秘密に使用されていた暗号が情報ネットワーク社会の信頼関係を築くための公開的共通基盤技術となった。

 2 秘匿を主な機能としていた暗号が、それと合わせて、人・モノや情報の真正性を保証し、情報に信用を付与して、情報流通を促進するための、認証機能、すなわち署名・改竄防止機能を持つこととなった。

 3 コンピュータにより暗号化(秘匿)、復号あるいは、署名、検証を高速に行うとともに、不正な解読や改竄に対しては、いかにコンピュータを駆使しても計算量が爆発するように暗号装置を設計するようになった。」

と総括されている。

これらの革新を可能にしたのが新しいアルゴリズムの発明であり、共通鍵、公開鍵、零知識対話証明といった代表的なポストモダン暗号の数理的な解説が後半のテーマとなっている。

暗号のしくみはややこしい。だからといってあまりに要約して比喩だけにすると、本質が伝わらないものだ。この本では基本的な数式と図表を使いながら、ある程度、理系の素養のある読者に向けて丁寧に説明がなされている。最後は「フェルマーの定理」や楕円曲線理論とつながるなど、科学系読み物の読者を飽きさせない要素も多く織り込まれているので、あきらめずに読みすすめやすい。

歴史的にみると日本では「人間の悪意に対抗するための工学的体系」=「鍵の文化」が根付くのが諸外国に比べて遅かったという文化人類学者の引用があるが、これは今も変わらないと思う。企業や政府の重大な不祥事があっても責任者の謝罪で終わってしまいがちで、問題が起きるアーキテクチャーの議論がなかなか進まない。セキュリティの技術で何ができるか、意思決定者が知らないからというのもひとつの原因だろう。

ポストモダンの暗号技術で人間社会の何が守れるのか、運用していくうえで何が危険性となるのか。より多くの人が、この本にでているような知識を、この本のレベルくらいで、常識としておさえておくことが重要だと思う。

・KYBER SmartMarker ECOとA5ノート
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ノートをスマートフォンで撮影すると、海外のセンターに画像データとして送られて、半分人力処理で、文字認識とデジタル化が行われて、テキストとして返ってくるKyberのデジタル文具シリーズ。上の写真ではKyberのA5ノートを使っている。

KYBER SmartMarker ECOはモノとしては単なるオレンジ色のマーカーなのだが、これでなぞった部分をスマートフォンで撮影すると、デジタルテキスト化が行われるという画期的な発想のペン。

利用開始時に、付属のIDを入力してアクティベーションを行う。1本のペンに5000文字分のデジタル化権が付属している。原稿用紙に万年筆で書いて、パシャっと撮って、執筆の仕事完了、なんていう仕事スタイルができるわけでしびれる。

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喫茶店で講演プレゼンテーションの構想を練るのに使ってみた。ひととおり書いたら、ここはデジタル化しておこうという部分をマーカーで囲む。どうでもよい覚え書きは省略してしまう。骨子部分が数十分でデジタルになって戻ってきた。PCの前に座ったら、これをもとにパワーポイントをつくるつもり。

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スマートペンで複数個所を囲んだ場合、上下の順番がずれて入ってきたのが少し気になった。ペンを使わない一般的なKyberオールモードで撮影してしまうと、うまく取り込めている。ここはアップデートで修正してもらいたいところ。

手書きメモを撮影するとテキスト化されるメモ帳
http://www.ringolab.com/note/daiya/2012/07/post-1674.html

・サブリミナル・インパクト―情動と潜在認知の現代
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「本人も与り知らない無意識の認知メカニズムの存在が、ヒトの本性を規定するとともに現代社会に特有の諸現象にも深くかげを落としている」ということを名著『サブリミナル・マインド―潜在的人間観のゆくえ』の認知心理学者が語った続編的な内容。

無意識と情動。心と身体のあいだにあるはたらきが、顕在意識や行動に大きく影響を及ぼしているとする研究成果が多く提示される。悲しいから泣くのではなく、泣くから悲しいというジェームズ・ランゲ説。生存に必要なものに注意が向かう無意識の定位反応によって対象を注視していると、自覚的にも好きになってしまう現象。意識にのぼらない知覚というものがあって、思考や判断の下部構造となっている。予感や予兆は、本人がうすうす知っているがまだ意味を自覚できない時期の知覚だなんていう話もある。

現代社会のコマーシャルには、こうした人間の潜在認知過程をコントロールする技術が採用されている。多くは

1 狭める
2 誘発する
3 気づきにくくする

という自覚以前の操作を企むものだ。巧妙な広告宣伝は、消費者が自らの「自由意思」で企業側の望む選択をしてくれることを目的として設計されている。○○のことを覚えてくださいというのではなく、○○のことを忘れてくださいという指示をすると被験者は、より○○を強く記憶してしまう、みたいに。

リアリティの脳内人工増殖という著者の考え方が面白かった。日々進化していく私たちの情報環境とともに私たちの感じるリアルさや感覚もまた進化しているという。

「脳内を活性化するものこそもっともリアル」
「物理的な現実味とは関わりなく」
「実際の社会的きずなとも関係なく、社会脳を刺激さえすれば」

高精細の映像に本物と同じかそれ以上の臨場感を感じることはあるし、"ソーシャル"の情報に一喜一憂したりもする。逆にリアリティを感じられない現実というのもある。"本物の感動"というときの本物が増えるというのだ。

「情動系、社会系をはじめ感覚系、記憶系、運動系など、様々な脳内システムを一気に活性化するのが感動の新定義だ、と、こう言ってみたら。そういう人工的なのは本当の感動ではない。太古以来の自然に接したり、人の素朴な情に接したりしたときの感動こそ本物だ。たちまちそういう反論が聞こえてきそうです。 だが、残念なことに、この反論はまさに議論の眼目を見落としています。なに、そういう太古のヒトの脳だって環境の刺激に対して最適に鋭敏化していたはずです。現代社会の環境への適応も、その同じ脳の生物学的機能の延長に過ぎません。」

潜在認知レベルから脳を刺激して操作することができるようになれば、本物を超えた超本物を知覚する超感動なんていう体験もでてくるのかもしれないなと妄想。

・サブリミナル・マインド―潜在的人間観のゆくえ
http://www.ringolab.com/note/daiya/2004/01/post-52.html

・にげまどうし みんなみんな、にげたがり
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この作家は、連載打ち切りになってしまった前作『必要とされなかった話』がつぼみだったとすれば、本作でついに花開いたと思う。世界観はよかったのに尻切れトンボに終わった前回と比べて、本作はテーマを語りきっており、文句なく面白い。

「世の中には、居場所を増やし続ける旅人と居場所を失い続ける旅人の二種類の旅人がいます。」。異界から現れる「にげまどうし」が案内するのは、居場所をみつける旅ではなく、永遠に居場所をうしない続ける旅だ。

なにをしてもうまくいかない日常から逃げたい青年、暴力的な家庭から逃げたい少女、職場で事故を起こしてそのまま逃げだした男、母親の過剰な期待におしつぶされそうな子供。現代社会で逃げ場がなくなるほど追いつめられた人たちが主人公の4作。

逃げ出したいと思っている人のところに「にげまどうし」は現れて、別の世界に連れていく。すると連れて行かれた人のことを人々は忘れてしまう。そんな人は最初からいなかったことになってしまう。逃げ出した人が後悔してもとの世界に戻りたいと思っても、その条件はとても厳しい。

にげまどうしは、逃げることを肯定する漫画だ。逃げ方を問題にしている。八方ふさがりになった現代において、孤独に逃げれば行き場がなくなる。誰かが一緒に逃げてくれるような発展的な逃げ方をしなさいというメッセージだと受け取った。

・必要とされなかった話
http://www.ringolab.com/note/daiya/2010/06/post-1246.html

・こどもと楽しむマンガ論語
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「『論語』というのは、今から約二千五百年前の中国で生きた、孔子という人が話したことや行動などをまとめたものなんだ。どうせ昔のもの?むずかしそう?確かに孔子は昔の人で、先生とよばれるような人だよね。でも、孔子も君と同じなやみを持ち、同じようなことを考えていたのかもしれないよ。」

親と子供が一緒に楽しめる論語のマンガ参考書。

38の教えが元の漢文と読み下し分と解説、そして小学生くらいの生活で身近なことにたとえたマンガで説明していく内容。児童向けの本だが、取り上げる教えがやさしいものばかりではないのと、構成がしっかりしているので、実は一緒に読む親も楽しめる。

だっていきなり第1章が、

子曰く、「異端を攻むるは、斯れ害なるのみ。」

である。第2章は、

子曰く、「衆之を悪むも、必ず察す。衆之を好むも、必ず察す。」

である。歯ごたえあるな。

児童には難しいんじゃないかという内容だが、それぞれ「やたらに自分の考えとちがうことをきらっているようでは、かえって自分によくないよ」「みんながきらっていても、必ず本当にそうなのか確かめること。みんなが好んでいても、必ず本当にそうなのか確かめること。という意味なのだよと、文章と漫画でかみくだいて教えている。

編者のポリシーを感じる本だ。わざわざ「女子と小人とは養い難し」という現代の子供に教えるにはややこしそうな教えも敢えて収録しており、見事に解説している。論語とは何かをはじめて教える教材としてよくできている。

地元の神奈川県藤沢市発のベンチャー企業なので大注目中。

地図上に落ちている情報タマゴをその場所へ行ってキャッチすると、中にはその街のお店や観光地の情報や、クーポン、クイズなどのコンテンツが入っている。

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ユーザーはタマゴをコレクションしたり、ともだちとタマゴの交換をすることもできるようになっている。TwitterやFacebookに連動してつぶやくこともできる。

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iPhoneとAndroidに対応。

飲食・小売流通店舗などはお得なオファーや告知を、地方自治体は観光案内を街に配置して、スタンプラリーキャンペンを行うことができる。アイテムを個体管理しているのが技術的な特徴で、情報に有効期限を設定することもできる。地元で位置情報アプリを使ったキャンペーンを検討している人にプラットフォーム候補としておすすめ。

ロケッコ - 株式会社ロケッコ

ウサギ、キツツキ、カニ、カタツムリ、鳥、花...。手を使った影絵だけで構成されたアクションゲーム。両手でハートの形をつくって、それがそのままプレイヤーのヒットポイント表示になる冒頭の演出からデザインセンスに惹かれた。

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スーパーマリオブラザーズのような横スクロールのアクションゲーム。ジャンプして敵を踏みつけたり、アイテムをとって無敵化したりして先を目指す。ステージの最終地点には巨大なボスも待ち受けている。

操作は右左とジャンプのみだが、助走してジャンプなどのアクションがよくできていて、やりこみができる。

個人の作者が開発しているみたいだが、センスがいいなあ。

Shadow Love - Strawberry Gohan

・幕末銃姫伝―京の風 会津の花
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2013年NHK大河ドラマのヒロイン新島八重の前半生を描いた小説。ドラマの原作ではない。

新島八重は同志社創立者の新島襄の妻となり、社会福祉活動に貢献して日本のナイチンゲールと呼ばれた人物。まだ女性の活躍に批判的な明治時代にあって、その勝気な性格と旺盛な行動力により、悪妻、烈婦と評されながらも、女性の社会進出への道筋を拓いた。民間人の女性としてはじめて政府から叙勲されている。

この小説作品は、八重が新島襄と出会う前の、少女時代から最初の結婚、そして八重自身が武器を取って参戦した戊辰戦争と籠城戦までを描いている。会津藩の砲術師範の家に生まれた八重は、男勝りの性格と腕力を持つおてんば娘で、女だてらに最新の砲術を学んで育つ。

幕末、朝廷と幕府の間で板挟みにされ、やがて薩長に追い詰められていく会津藩。遂に戊辰戦争がはじまり、八重の住む城下にも戦火が及ぶと、自ら銃を持ち、大砲部隊を指揮して、苦しい籠城戦を戦った。「幕末のジャンヌ・ダルク」とも呼ばれる。結局敗戦してすべてを失うが、決してあきらめず、明治維新後の激動の日本を力強く生きた。

女性らしいことが嫌いで「私は、どうして女に生まれてきたのでしょう」と嘆く少女八重だが。兄の友人に憧れたり、思わぬ人から告白されたりと、恋愛面も盛んで、ストーリーに華やぎを加えている。

八重とは直接絡むことはほとんどないが、会津藩をめぐる政治の動きの中で、佐久間象山、勝海舟、高杉晋作、西郷隆盛、坂本竜馬など幕末の偉人たちが多く登場する。ひとりの会津の女性から見た戊辰戦争、会津戦争という視点で歴史物としても魅力的な作品だ。

大河ドラマの序盤部の予習としてとてもよかった。

・Habibi I [日本語版] [大型本]
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近年まれにみる傑作。アラビアンナイトの如く妖艶で純粋で煌びやか、そして力強い生命賛歌もありで、これまで味わったことがない漫画表現にクラクラきた。読後にスタンディングオベーションを送りたい気分になった。

大型本700ページ(2巻組)の米国発グラフィックノベル大作。ニューズウィーク誌「2011年度 絶対読むべき本10冊」、米国Amazonでランキング1位など、世界で絶賛されている作品が遂に日本語化された。

Habibiとはアラビア語で「私の最愛の人」という意味。

物語の舞台はいつの時代かわからないイスラムの王国。親に売り飛ばされた挙句、奴隷商人に捕まった9歳の美少女ドドラは、市場で出会った3歳の幼い黒人奴隷ザムをつれて、砂漠へ逃げる。

砂漠に埋もれた難破船で二人は母親と息子として暮らす。ドドラはときどき通りかかる旅の隊商を相手にひそかに売春をして生計を立てる。二人だけの静かな生活が何年も続くが、やがて思春期を迎えたザムはドドラに対して欲望を抱き始める。そしてザムは、母親のドドラがどうやって自分たちの生活に必要な食べ物を得ていたかの秘密を知ってしまう。
そして事件が起きて二人の蜜月は突然に終わりを迎える。ドドラは王宮のハーレムへ、ザムは厳しい流浪の旅へと向かい、二人の道は遠く離れていく。第一巻はドドラの物語、第二巻はザムの物語が主体。別れた二人の人生がやがて最愛の人を求める強い思いによって、またひとつになるまでの長い長い波乱万丈のドラマ。

Habibi II [日本語版] [大型本]
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エキゾチックさが最大の魅力だ。

イスラム教のコーランやユダヤ教の旧約聖書の説話×アラビア語の文字のカリグラフィー芸術×手塚治虫のマンガ的に苦悩する主人公×アメコミの表現手法など異種の文化が見事に融合している。みたこともない世界観をつくりだした。

コーランも、アメコミも、手塚漫画も、それぞれが豊かな世界観をもったホンモノなわけで、リミックスっていうことでもあるけれども、異文化の深いレベルでそういうことをやると、エキゾなすごいのがでてくる。異文化の底知れぬ深さをどう創造に利用するかが現代クリエイティブのテーマだなと感じた。

●アメリカでAmazonのベストブック第一位(2011年10月)
●「漫画界のアカデミー賞」アイズナー賞2012年ノミネート
●ニューズウィーク誌「2011年度 絶対読むべき本10冊」

など国際的に評価されている。


下記NTTによるコンテストの審査員をつとめることになりました。データ分析に興味のあるエンジニアのみなさん、どんどん応募してください。

プレスリリース
http://www.ntt.co.jp/news2012/1207/120710a.html


データ分析アイデアコンテスト 「Jubatus Challenge Japan 2012」 の開催
~ 日本発ビッグデータ分析オープンソースソフトウェア 「Jubatus(ユバタス)」による分析コンテストの開催 ~

URL: http://www.facebook.com/JubatusChallenge2012

 日本電信電話株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:鵜浦 博夫、以下NTT)は学生を対象としたデータ分析アイデアコンテスト「Jubatus Challenge Japan 2012」の参加者募集を本日より開始いたします。
 本コンテストでは、NTTが2011年10月よりオープンソースソフトウェアとして公開しているビッグデータ*1のリアルタイム処理を可能とするJubatusを用い、データ分析のアイデアおよび分析内容を競って頂きます。本コンテストの開催にあたり、アイデアソン*2形式によるセミナーを東京・大阪で開催いたします。9月末の最終報告会では、外部審査員による審査を経て優秀作品を決定いたします。入賞作品は、公開実験などを行い事業化の可能性を探ってまいります。
 NTTでは本コンテストを通じて、Jubatusの多様な事業領域における有効性およびリアルタイム分析の利活用を探究することで、オープンソースコミュニティの活性化とともに日本発のビッグデータ分析技術の発展を目指してまいります。
Jubatus Challenge Japan 2012実施概要

 参加者(チーム)にはJubatusを利用したサービス、分析、ツール等のアイデアとその価値を競っていただきます。開催期間中、参加者は「Jubatus実行環境」および素材となる実データをNTT R&Dクラウド*3内にて利用することができます。利用可能なデータは下記を想定しております。
ポータルサイトログ
株価ヒストリカルデータ
電力データ
サーバの統計情報
※対象データ項目は今後拡大する予定です。適宜、コンテスト公式サイトを通じて通知いたします。Twitter等のSNSデータをはじめ、様々な公開データを分析環境に持ち込み分析にご利用頂けます。
 コンテスト開催にあたり、アイデアソンを東京(7月20日、7月28日)・大阪(7月27日)で開催いたします。効果的なアイデア検討に向け、いずれかの回へ参加されることを強くお薦めいたします。
コンテスト参加募集期間

コンテスト参加申し込み期間
2012年7月10日(火)~2012年8月31日(金)
参加方法

コンテスト公式サイト(http://www.facebook.com/JubatusChallenge2012 )からオンラインでの申し込み
(※)申し込みは、個人または個人からなるチームでの参加が可能
参加資格

2012年7月時点で学生である方
その他参加資格につきましてはコンテスト公式サイトをご覧ください。
最終報告会

 2012年9月22日に最終報告会(東京開催予定)を開催いたします。同日、最優秀賞・他優秀賞等を発表致します。結果は後日コンテスト公式サイトで発表いたします。
審査員

橋本大也氏

2000年、早稲田大学政経学部在学中にインターネットの可能性に目覚め、株式会社データセクションを設立。現在、ITコンサルタント・起業家として数社のITベンチャー役員を兼任すると共に、デジタルハリウッド大学等で教鞭をふるっている。NHK『クローズアップ現代』出演ほか、テレビ・ラジオなどメディア出演多数。
株式会社早稲田情報技術研究所 社外取締役
株式会社日本技芸 社外取締役
デジタルハリウッド大学 教授
多摩大学大学院経営情報学研究科 客員教授
岡野原大輔氏

株式会社プリファードインフラストラクチャー 取締役副社長 情報理工学博士
未踏ソフト創造事業 スーパークリエータ認定 2005年度、 第1回、第2回NLP若手の会シンポジウム(YANS)最優秀発表賞、 言語処理年次大会2009年度、 2010年度 優秀発表賞、 東京大学総長賞
※他数名の審査員を予定しています。

最優秀賞 50万円 ほか、優秀賞、特別賞等
副賞 パブリッククラウドサービス「Bizホスティング Cloudn」 *4利用権 総額30万円分
事務局

Jubatus Challenge Japan 2012 運営事務局
http://www.facebook.com/JubatusChallenge2012
協賛・協力(50音順)

エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社
株式会社QUICK
株式会社プリファードインフラストラクチャー
参考 「Jubatus(ユバタス)」とは

 日本電信電話株式会社(東京都千代田区、代表取締役社長:鵜浦 博夫、以下「NTT」)と株式会社 プリファードインフラストラクチャー (東京都文京区、代表取締役社長:西川 徹、以下「PFI社」)は、ビッグデータと呼ばれる大規模データをオンライン機械学習ベースでリアルタイム分析処理する基盤技術「Jubatus(ユバタス)」を世界に先駆けて開発し、2011年10月よりOSS(オープンソースソフトウェア)として公開しています。
 従来のバッチ処理によるビッグデータ分析と異なり、新しいデータを取り込みリアルタイムに分析することで、不正検知、市場・経済・株価予測、自然災害予測、製造業の部品・材料調達予測、健康リスク予測、生命科学・自然科学上の予測技術などの広い領域で付加価値サービスの創出に貢献できます。
 またJubatusは、高度な統計処理や機械学習による深い分析エンジンを搭載しながら、複数のサーバ間で緩やかに途中処理結果を共有する仕組みによって高いリアルタイム性と解析精度を確保スケーラブルな基盤であり、多値分類、線形回帰、推薦、統計解析、グラフマイニング等をサポートしています。
 これまでに2011年10月、2012年2月、同6月に3回のバージョンアップを行い、Jubatus OSS 提供サイト http://jubat.us/ にて公開してきました。
 Jubatusの開発は、NTT(旧情報流通プラットフォーム研究所、現在のソフトウェアイノベーションセンタ)とPFI社とのオープンイノベーションの成果であり、今後も継続的に、ビッグデータ活用に寄与する共通財産として、オープンソースソフトウェアとして公開して参ります。
※過去のプレスリリースは右記をご参照ください。http://www.ntt.co.jp/news2011/1110/111026a.html
用語解説

*1ビッグデータ
 量が膨大であり、しかも構造が複雑であるため、従来の技術では管理や処理が困難とされているデータ群のこと。まだ明確な定義はないが、通常は、数百テラバイトからペタバイト級以上で、大量であると同時に、非定型であり、リアルタイム性の高いデータ群を指すことが多い。たとえば、RFIDタグや各種センサからの情報、ブログなどに代表される新しいコミュニケーションツールの記述なども含まれる。

*2アイデアソン
 アイデアとマラソンを合わせた造語。テーマを定めた上でチームごとにアイデアを出し合い、それをまとめていくワークショップ形式のセミナーとなります。短時間で集中してアイデアを検討するため、参加者は時間に比して大きな達成感を得ることができます。事前にアイデアソンを行うことで、素晴らしいアイデアが生まれる、チームの交流を深める、その後の開発アプリケーションの方向性を定められる等のメリットが期待できます。

*3NTT R&Dクラウド
 NTTの研究所とグループの事業会社が共同してR&Dをクラウド上で行う取組みです。広く利用してもらうことでクラウドの活用技術を蓄積し、クラウドとしての生産性向上、省電力化、運用効率の改善に継続的に取り組んでいます。http://www2.pflab.ecl.ntt.co.jp/keywords/ntt_r_and_d_cloud.html
*4Bizホスティング Cloudn
 NTTコミュニケーションズが提供する豊富なAPIを備えた拡張性の高いパブリッククラウドサービスです。月額945円(税込)から運用が可能で日米のデータセンターから選択できます。
http://www.ntt.com/cloudn/

・商店街はなぜ滅びるのか 社会・政治・経済史から探る再生の道
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商店街は歴史的には新しい存在なのだそうだ。20世紀初頭の都市化、近代化の流れで農村を出た多くの若者たちは、町に出て被雇用者となるか、零細規模の小売商店主となった。ほとんどの商店街は昭和の発足なのだ。中世に発祥を持つというのは俗説であり、その歴史の浅さゆえに弱点があったという。

疑似血縁組織のイエをベースとしたかつての伝統的な商家と違って、商店街の家業は近代家族制度をベースとした。家族という閉じたなかで事業が行われたために、跡継ぎがいないと、1,2世代で終わってしまうのが宿命だったのだ。

当初の商店街の理念とは、

1 百貨店における近代的な消費空間と娯楽性
2 協同組合における協同主義
3 公設市場における小売の公共性

で、規模を拡大することで資本力と専門性を高める戦略であった。これは数十年間はうまく機能した。だが、スーパーマーケットやショッピングモール、そしてコンビニの登場により消費空間としての魅力が低下したこと、世代交代不能による事業継続問題が続出したことで、いまや各地で存続の危機に陥っている。

近代家族制度と日本型政治システムが商店街という独特の商業形態、消費空間を生み出したというもので、著者はその弱さを指摘すると同時に、「地域社会の消費空間は、けっして経済的合理性だけで判断されるべきものではない。」。古き良き価値を残すためにはどのような政策が求められているかを提案する。

商店街というものが法人格を持っているとか、どんなふうに運営されているかといった基本的な事柄を私は知らなかったので、とても勉強になる本だった。ちょうど私が住んでいる藤沢に、全国でも稀な商店街の新規設立があって、地域の話題になっている。若い人中心で新しい商店街の可能性を探るという面白そうな試みだがこういう分析の本の知見を踏まえて長く続くものになってほしいなあ。

逆風の中で新商店街、藤沢駅近くに若手経営者ら設立へ/神奈川
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120506-00000016-kana-l14
「県内の商店街は、1990年の1048団体をピークに、現在は約700団体まで減少。近接地に大規模商業施設ができたり、後継者不足などで閉店が相次ぎ、商店街の維持が難しくなるケースが多い。商店街の新規登録は年に数件で、それも既存組織が体制を見直す場合などが大半という。」

【講演】富士通総研 ソーシャルメディア・マーケティングの最前線「ソーシャルメディアとビジネスモデル:つながりと口コミが拓く近未来マーケット」
http://jp.fujitsu.com/group/fri/events/conference/conference-28.html
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富士通総研のコンファレンス『ソーシャルメディア・マーケティングの最前線』で基調講演及びパネルディスカッション参加をさせていただくことになりました。私の講演テーマは『ソーシャルメディアとビジネスモデル:つながりと口コミが拓く近未来マーケット』です。

開催概要
 日時 2012年7月27日(金曜日) 13時30分~17時30分 (受付開始:13時)
 会場 経団連会館 2階 国際会議場
 住所:東京都千代田区大手町1-3-2 [地図] 電話:03-6741-0222(直通)
 主催 主催:株式会社富士通総研、協賛:富士通株式会社
 参加費 無料

ソーシャルメディア・マーケティングの最前線

"富士通総研では、2012年7月27日(金曜日)、経団連会館において、特別企画コンファレンス『ソーシャルメディア・マーケティングの最前線』を開催いたします。
フェイスブックやツイッターなどソーシャルメディアをマーケティング・ツールとして活用する企業が急増しています。ソーシャルメディアには、社内の情報共有、ブランド認知の向上、自社商品に対する評価の把握や不満の検知、消費者インサイトの発見など、様々な使い方があり、試行錯誤を繰り返しつつも革新的な成果をあげている企業もあります。しかし、一方で、満足な成果を得られず、アカウントを開いたまま放置している企業、あるいはソーシャルメディアの利用自体を懐疑的に考える企業も多いのが現状です。
では、どのような活用例があるのか、成功のポイントは何か、どのような点に留意しなければならないのか、また今後の新しい可能性はどのような分野に存在するのか。
こうした諸点に関する深い議論を展開し、ご参加される皆様と一緒に考える機会とすることができれば幸いです。"

詳細と参加申し込みはこちらへ
http://jp.fujitsu.com/group/fri/events/conference/conference-28.html

・三菱総研の総合未来読本 Phronesis『フロネシス』〈06〉消費のニューノーマル
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三菱総研総合未来読本シリーズ6冊目。三菱総研オリジナルの3万人によるアンケート結果から新しい消費のトレンドを浮かび上がらせる。新市場のヒントがみつかる。

たとえば昔は女性の生き方というと、「専業主婦」、「OL」、「キャリアウーマン」の3種類だったが、現在はライフコースが多様化し、「コンサバ若年層」「ワーキングマザー」「らしさレス夫婦」「シングル女子」「スーパーウーマン」という種族が生まれたという。男性のライフコースは結婚しようがしまいが似たパターンに収束するが、女性の場合、結婚、出産、子育て、それに伴う退職、再就職と、選択パターンが複雑になるためライフコースが多様化するのだ。

だからサザエさんみたいな専業主婦や、バリバリ働くキャリアウーマンというステレオタイプにマーケティングしていてはだめで、新たな消費のニューノーマルを見出さないといけないというのが、今回のテーマだ。

3.11前夜に行われたという同志社大学浜 矩子教授と三菱総研の阿部淳一センター長の対談が面白かった。ニューノーマルにとっての豊かさと創造性の関係についてこんなやりとりがあった。


阿部 豊かさというのは、どれだけ選択肢があるのかということに尽きると思いますが、だんだん選択肢が少なくなっている気がしますね

浜 選択肢が少なくなるということは、選択するという知的活動がなくなるわけですから、奇抜なものや刺激的なもの面白いものを作る能力が退化してしまう。日本はガラパゴス化しているから駄目だといわれました。ガラパゴス自体はいいと思うんです。共通の価値尺度に振り回されることなく、純粋にその世界のなかで進化を遂げていく。とてもユニークで面白さがあります。大切なのはいかに巧みにガラパゴス化を進めるかです。なるべくほかの人がやっていることは見ない。一般的な解答がどこにあるのか、見極めようとしすぎると独自の発想が出てきません。何もない状態から考えることが必要なんです。」

検索したら情報がいくらでも見えてしまう時代に、どうやって自分のガラパゴス環境をつくるか。これは社会人も大学生も考えないといけないテーマだと思う。似たり寄ったりの学生時代、似たり寄ったりの社会人生活。そこにはあまり選択肢もないから、豊かさもない。

中途半端な環境ではネットにつながればすぐにみんな均質化してしまう。ガラパゴス環境は、誰かに弟子入りして厳しい環境で修行するとか、どこか閉鎖環境に閉じこもるとか、制約や孤立化に身を置いてみるということが有効なのではないかと思った。

・KYBER SmartNote SmartPhone Classic x3 pack
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一見ふつうの手のひらにのる小さなメモ帳

このメモ帳に手書きで書いた文字をスマートフォンで撮影すると、デジタルのテキストに変換される。写真はネットワーク経由で処理センターに送られて、機械処理のOCRと人力のチェックによって、高精度でテキスト化が行われる。このサイズだと写真を撮影してから20分以内くらいでテキストが戻ってくるようだ。

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こんな風にメモをとる。読んだ本の感想を電車内でメモしてみた。これをKyberの専用アプリで撮影してアップロードする。(事前にメモ帳1冊ごとについている認証コードを入力する必要がある。)。完璧にテキスト化されて戻ってきた。

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秘匿性の高いビジネスで使うメモだと、中身を処理センターに読まれてしまう危険性があるのでは?セキュリティはどうなっているの?というと、それも万全の体制であるらしい。同社によると撮影された写真データは、行ごとで分割されて、センターに送られる。そしてまず機械的にOCRにかけて、さあらに複数の人間が必要な部分的に確認処理を行う。だから、メモの全体はセンター側では誰にも把握できないそうだ。

一冊500円もするのが難点であるが、未来的な体験ができて楽しい。昨年の発売から私はすでに何度か追加購入している。

KYBER - O-RID Co., Ltd.


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これはかなり前から使っているのだが、まだブログでは紹介していなかったので。

iPhoneのSafariではFlashコンテンツを表示できないという弱点があるが、Puffinを使えば表示させることができる。iPhoneでFlashが使えないというのは嘘なのだ。公式サポートではないので、表示速度が遅かったり、完全に機能しない場合もあるが、Flashサイトの中身をモバイルであきらめずにチェックするのに重宝している。上のスクリーンショットではユニクロックを表示させている。

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Flash表示以外の部分でも軽快なタブブラウザーとして、なかなかよくできていて、常用ブラウザーとして使ってもよいレベルの出来である。よくみるサイトやブックマーク、タブ関係の動作はSaafariより使いやすいと思う。

Flashアプリを利用する際にも必要になるわけだが、このブラウザには疑似マウスパッド機能がある。これを使うとカーソルを動かして、任意の場所をクリックできるようになる。

Puffin Web Browser - CloudMosa, Inc.

・楽園のカンヴァス
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和製『ダ・ヴィンチ・コード』と呼んでよさそうな美術作品の謎をめぐる上質なミステリー。

大原美術館で監視員を務める早川織絵は、毎日、静かな館内に立ち、観客が作品に触れないように何時間も展示作品を見張っている。ある日、一介の監視員であるはずの織絵は、あったこともなかった館長に突然呼び出される。ニューヨーク近代美術館の有名キュレーター ティムブラウンが、日本で開催するルソー展の絵画貸出にあたって、織絵を担当にするように指名してきたという。織江にはかつてソルボンヌ大学で最年少で美術の博士号をとり、斬新な研究論文で学会を賑わせた天才研究者という隠した過去があったのだった。

20年前、織江とティムは、伝説の美術コレクターから、秘蔵作品の真贋鑑定を依頼された。7日間、スイスの富豪の館に泊まり込み、互いのキャリアをかけて直接対決をする。ルソーに関する未発表の重要資料を、毎日1章ずつ読み、アンリ・ルソーの『夢』そっくりの『夢を見た』の真贋を最終日に結論するというのが対決のルール。20世紀の美術史に秘められた謎を二人はその豊富な美術知識を使って解いていく。

『ダ・ヴィンチ・コード』と比べると、主題となる絵画も、館に閉じこもった展開も地味なのだけれど、ドタバタがない分、落ち着いて美術作品をめぐる知的な謎解きを楽しめてよかった。

山本周五郎賞受賞作。

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スマートフォンアプリ市場に関する調査結果 2012
http://www.yano.co.jp/press/press.php/000919

矢野経済研究所の予測によると、2012年の国内スマートフォンアプリ市場は139.9億円で前年比170%。ソーシャルゲーム市場3000億円と比較するとそれほど大きくない数字に思えるが、世界市場においてはアップル単独で過去3年半累積で5000億円以上の売り上げがあったといわれる。成長が見込める注目の市場であることは間違いない。

世界でどんなアプリが人気があるかを調査するツールがこの「AppRanking WorldWide」。世界各国のiOSアプリのランキングを表示する。カテゴリで絞ることもできる。120か国以上の国における無料、有料、売上、新着のカテゴリをそれぞれ見ることができる。

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iPad版では縦に12か国をメニューとして並べておける。この国名は自由にユーザーが変更することが可能。

これをみるとグローバルで売れるものとそうでないものが分かれていることがわかる。いま有料iPadアプリで世界で流行しているのは、FIFA12というサッカーのゲーム。90%オフセール中ということもあるが、オリンピック前でサッカーというのは世界中で共通の関心の的だからだろう。

日本のランキングには仕事効率系やお勉強系のアプリの上位ランキングが比較的多いようだ。欧米ではカジュアルなゲームが上位を占める日が多い。やはり日本人は真面目なのか、仕事熱心なのか。だが、そうしたアプリの多くが海外からやってくる。Evernote然り、Dropbox然り。日本人ももっと世界での売れ筋を研究していくべきだと思う。

各国のアプリランキング
AppRanking WorldWide - HuMinghua

タッチペン一体型ネックストラップ PenNe(ブルー)【Dock コネクター】
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iPhoneのネックストラップにタッチペンが一体化した製品。

タッチペンはお絵かきに便利だが、使いたいときに手元にないものの代表格。タッチペンが常にあれば、手書きメモ、イラストメモも増えるはず、ということで、このストラップ一体化を使ってみている。

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接続部分はこんな風になっている。バネ式でドックに挿すだけでiPhoneが完全に固定される。取り外しの際は、タッチペン両サイドを押し、ロックを解除する。やわらかいゴム製のストラップだが、2kgもの重さにまで耐えられるそうだ。

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全体像はこんなかんじ。デザイン的にもタッチペン部分がアクセントになっている。タッチペン部分は小さいので使い勝手は100点とはいえないが、さっと落書きをするには十分なモノだった。

・語れ!機動戦士ガンダム
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台場にできたガンダムフロントへ行く予習として読んだムック本。データブックとしては類書によくあるレベルだが、富野由悠季、安彦良和、大河原邦夫、岡田斗司夫へのロングインタビューが素晴らしいのでファンなら買う価値あり。

個人的に注目しているのはジ・オリジン完結後の安彦良和氏の活動なのだがこんな風に答えている。「『ジ・オリジン』の前に歴史物を多く描いていたんですが、それが完成していない。ですから、ちょっと生意気なようですが、にほんがどうやって成り立ったとか、それ故に、どうあらなければいけないのかというような意識を投げかける、古事記や日本書紀といった古代史を題材にしたものを描きたいんです。」。私が一番好きな作品『ナムジ』『神武』の続編が遂に出るのかと思うと涙がでそう。

岡田斗司夫のガンダム考も秀逸で、「お台場の巨大ガンダムは大仏なんです。21世紀型の新しい宗教と言えます。」「ガンダムの完成度は非常に高いのでなかなか卒業できないんですよ。」などガンダム世代がなぜ大人になってもとりつかれたままになっているのかを解説する。

「これだけ長く愛してもらっているのはうれしいことですが、本当は、実物大ガンダムの立像が古めかしいものに見えてこなければいけないんじゃないかな。」という富野由悠季は、他のメディアにもよくアニメオタク批判を繰り返しているが、大人なリア充右翼なので、ここでも冷めた目でブームをみつめる。

で、ガンダムフロントに行った。

・ガンダムフロント
http://gundamfront-tokyo.com/jp/

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実物大ガンダムを拝むのは2度目であるが、今度のバージョンはマグネットコーディングのリアル指向で、前回のお台場のものよりも、本物っぽい。前と違って足に触ることができないのはちょっと残念であるが、ディティールまで作りこまれているのがわかる。

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無料ゾーンと有料ゾーンに分かれている。有料ゾーンでは直径16m、6台のプロジェクターと13台のスピーカーが設置された特設巨大ドームで、シリーズ作品総登場のウェルカム映像が大迫力。実物大コアファイターやストライクフリーガンダム胸像が展示されている。ファースト以外無関心の私でも、暗い室内で照明に浮かび上がるストライクフリーガンダムはアートとして見ごたえがあった。

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