2012年10月アーカイブ

茶の本

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・茶の本
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岡倉天心(覚三)が海外向けに英語で書きおろした"The Book of Tea"(1906)の日本語訳。日本の茶道は単に飲み方の洗練ではなく、高度に完成された美学体系であり、人生哲学であり、宗教とも呼べるものだと賛美する。

なぜ日本の茶道が世界に誇れるものなのか?天心はその理由をこう述べている。

「日本の茶の湯においてこそ始めて茶の理想の極点を見ることができるのである。1281年蒙古襲来に当たってわが国は首尾よくこれを撃退したために、シナ本国においては蛮族侵入のため不幸に断たれた宋の文化運動をわれわれは続行することができた。茶はわれわれにあっては飲む形式の理想化より以上のものとなった。今や茶は生の術に関する宗教である。」

日本の茶は、中国発祥の道教と禅道に発祥をみるが、それが日本に着床して独自に開花したものととらえている。

茶の道は自然であること、シンプルであるこを最上とする。ごてごてした西洋的な装飾美とは対極にあるものだ。敢えて英語で書いた茶の本で天心は西洋人たちに、この日本の美のあり方を挑戦的に訴えかける。「西洋の諸君、われわれを種にどんなことでも言ってお楽しみなさい。アジアは返礼いたします」という一説もある。それだけ茶の完成度に自信を持っていたと思える。

「かくのごとくわが茶室の装飾法は、現今西洋に行われている装飾法、すなわち屋内がしばしば博物館に変わっているような装飾法とは趣を異にしていることがわかるだろう。装飾の単純、装飾法のしばしば変化するのになれている日本人の目には、絵画、彫刻、骨董品のおびただしい陳列で永久的に満たされている西洋の屋内は、単に俗な富を誇示しているに過ぎない感を与える。」

「鑑賞力」という言葉を天心は使っているのだが、茶の美は感じる側に洗練された感性や知識を必要とするわけで、派手なビジュアルで誰でもわかる西洋の芸術よりもよほど高尚なものなのだぞといいたいわけだ。その繊細な様式を具体的に語ってもいる。

「茶室においては重複の恐れが絶えずある。室の装飾に用いる種々な物は色彩意匠の重複しないように選ばなければならぬ。生花があれば草花の絵は許されぬ。丸い釜を用いれば水さしは角張っていなければならぬ。黒釉薬の茶わんは黒塗りの茶入れとともに用いてはならぬ。香炉や花瓶を床の間にすえるにも、その場所を二等分してはならないから、ちょうどそのまん中に置かぬように注意せねばならぬ。少しでも室内の単調の気味を破るために、床の間の柱は他の柱とは異なった材木を用いねばならぬ。」

西洋人は日本が高尚な文化を育んでいた時代は馬鹿にしていたが、富国強兵で西洋列強と並んだら、高く評価するようになったとして、要するに役に立つものは理解するが、高尚な文化を評価する素養がないのだと西洋人を叩く。ちょっと痛快。

千利休が秀吉に死を命じられて開いた最期の茶会の壮絶でこの本は締めくくられる。美に殉じる心というのも西洋人にはわかりにくい日本的感性かもしれないのだが、それを英語で書いてちゃんと発表していた。クールジャパンの伝道師の祖が岡倉天心だったのだなと思う。現代にもこういう人が必要。

光圀伝

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・光圀伝
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この小説を読まないのは大損。NHKは大河ドラマの原作にすべき。120点。

「「大義なり、紋太夫」
光圀は優しく囁きかけると、膝下に捕らえた男を、ぶつりと脇差の刃で刺した。」

1500枚の長編は67歳の光圀が少年時代から可愛がってきた家老を自らの手で刺し殺すシーンから始まる。天下の副将軍が生涯を賭けた大義とは何だったのか。水戸光圀といえば好々爺の水戸黄門がお供を連れて諸国漫遊するイメージがあるが、あれは史実とは異なる。常陸国水戸藩の第2代藩主として名君と呼ばれ、その財力で「大日本史」の編纂という大事業の創始した人物。実際には関東をほぼ出なかったといわれる。

若い頃は血気盛んな傾奇者で辻斬りで人を殺めることもあった。跡取りの器かどうか試す過酷な試練を与えてくる父との確執、文事(詩歌、学問)で天下を取りたいという熱い思い。好々爺などではなく猛虎を内に秘めたような男であったという新しい光圀イメージを確立させた。

宮本武蔵、山鹿素行、保科正行など歴史上の有名人たちが次々に登場して光圀の人生に絡む。「天地明察」の主人公安井算哲も、もちろんでてくる。光圀の立場から算哲と面談するシーンがあって楽しい。日本人としてラーメンをはじめて食べるシーンも。史実を重視していながらも、ドラマチックだ。よくこれだけのピースを破綻なく収められるなと小説家の手腕に驚かされる。光圀が文事の師として仰いだ後水尾院は、7つ×7つの詩歌を縦横に並べて、どこから読んでも意味が通る作品(蜘蛛手の歌)を作ったというが、まさにこの作品自体が蜘蛛手の歌と讃えていいのではないか。素晴らしい完成度。

個人的には左近萌えである。光圀は妻に先立たれ後妻をとらなかったが侍女の左近というツンデレ美女が、光圀を支える。たぶん、この左近はライトノベル出身の著者ならではのキャラクター創作だと思うが、映画化、ドラマ化された際の私の一番の注目は、この左近を誰が演じるかだというくらい、左近がいい(笑)。

光圀伝オフィシャルサイト
http://www.kadokawa.co.jp/mitsukuniden/

天地明察
http://www.ringolab.com/note/daiya/2010/06/post-1240.html
先日天地明察の映画を観てきた。あれだけ長い話を2時間にまとめるのは大変なわけでずいぶんはしょられていた。特に最初の妻とのエピソードを省いてしまったから、算哲とえんの二人がやっと結ばれました感が少し弱まっちゃったのが残念ではないかな。しかし一般向けにこの時代の天文ロマンを紹介する作品としてはよくできていたと思う。宮崎あおいは映画でまくりだが常に良妻賢母。別の役割も見てみたいものだが。

映画天地明察
http://www.tenchi-meisatsu.jp/index.html

iPhoneでKindle 電子書籍ビューアーアプリ
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先日日本でもKindleが発売になった。私はPaperwhite3Gモデルを予約した。

電子書籍端末としての日本語版Kindleが世に出るのは11月以降だが、電子書籍販売のKindleストアが一足先にオープンした。Kindleの書籍はKindle端末以外でも、iPhone、iPadやAndoroidで利用できる。一足先にコンテンツを利用してみた。

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標準辞書(初回無料ダウンロード)やGoogleやWikipediaを使って言葉の意味を調べることができる。この標準辞書は大辞泉らしいが無料なのに詳しくて高評価。

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KindleではPDFやワード、HTML、テキストなどを表示させることもできる。専用メールアドレスに添付ファイルでメールを送るだけだ。パーソナル・ドキュメントで変換・転送できるドキュメントは以下のファイル形式。

Microsoft Word (.doc, .docx)
Rich Text Format (.rtf)
HTML (.htm, .html)
Text (.txt) documents
圧縮フォルダ (zip , x-zip)
Mobi book

Kindle - AMZN Mobile LLC

・とっさのひと言で心に刺さるコメント術
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おちまさと氏によるコメント術。とっさのコメントがうまいと評価があがる。まずいことをいわないというのもポイントだし、これは年齢が上がるにつれて求められる力でもあるよなあ、どんな内容なんだろと思ったら、なんと、まず「コメントは事前に用意するな」である。

「○○さんになりきる」などコンセプトを決めておけばいかにもその人がいいそうなセリフが出てくるはずだとか、頭の中の検索エンジンにコンセプトを入力すると自動的にいい言葉がズラリと出てくる「自分グーグル」をつくっておけという指南が続く。

確かに必ずしも準備しておけばいいコメントができるわけではないし、十分な準備をすると時間がかかる。みんなにコメントを求められる立場の人は忙しいわけで、このアドバイスは確かにすごく正しい。そして即興で的確なコメントを返すためのトレーニング方法がいくつも挙げられている。

フェイスブックで、人の記事にいいね!を押すだけでなく必ずコメントをする感想力のトレーニングをすることが重要と説いている。「どんな些細な出来事にも、まずは「ちゃんと感想を言ってやるぞ」と意識して向かうこと。その積み重ねが「コメント脳」をつくるのです。」。フェイスブックの使い方を意識するだけでだいぶ変わりそうだ。

ほかに私が取り入れようと思ったのは、

・本や映画のストーリーの要約をしよう
・相手の話に「いまのお話は、○○ということですね」
・「いまバタバタで」を言い訳に使わない。
・「びっくり」「おいしい」「きれい」と言わず内容を表現

など。

こういうトレーニングの先に著者が理想とする「みんながうすうす気づいていて、でも言葉にできなかったことを言語化したもの」がとっさに出る状態がある。個別に準備するなということだが、備えとしてかなりの訓練は必要だと思った。

・息がとまるほど
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面白い、面白い、とても性根がいやらしくて(笑)。

年上の上司との不倫。別れるつもりの最後のデートを同性の同僚に見つかってしまったOLの気苦労を描いた「無邪気な悪魔」。生き馬の目を抜くような銀座の夜の世界。独立して店を開きたいと思っている中堅ホステスが新人に教える生き残りの心得「ささやかな誤算」。だいたい妙齢の女子が主人公で、若さを失う焦りから生じる落とし穴にはまっていく。

女性の虚栄心、嫉妬、優越感、劣等感、愛憎、欲望が直接的に出てくる話ばかりで、それらが煮詰まって破綻する修羅場シーンは「息がとまるほど」怖い。状況設定はちょっとバブル的だし(著者の唯川 恵氏がその世代だからか)、人物描写が単純過ぎるのだが、その分、ドラマチックになっており、短編集としてスリル感を楽しめた。

これKoboで読んだのだが、Kindle版も出ている。短編1本あたりが15分くらいで読めるはずなので、電車内読書にちょうどいい。もっとでてないか同じ著者で調べる。

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これってかなり楽しい。

録音した言葉にメロディをつけて歌にしてくれるスマホアプリ。平板な音声にメロディとリズムがのる。曲調は選ぶことができる。多くの楽曲は有料で販売されている。これが1曲170円とか結構高いのであるが、Krushという仮想通貨があり、CM的な動画を見ると貯まる。150Krushで曲の購入ができたりもする。ちょっと面倒だが、お金を使わずに楽曲を増やすことはできる。

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作成した曲は公開することができる。他のユーザーの人気楽曲を聞いたり、いいねを送りあったり。楽曲データはFacebook。Twitter、メールなどで人に送ることが可能。

これは算数の九九や歴史の年号、憲法の条文などを覚える際の学習にも使えそう。早速やってみた。

室町幕府の最盛期.m4a

Songify - Khush Inc.

・超心理学――封印された超常現象の科学
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明治大学情報コミュニケーション学部の学部長が書いた超心理学の本。

実験で被験者が興奮する画像(男性に対してヌード写真)と普通の写真を画面にランダムに提示する。次に表示されるのがヌードだと思ったら、ボタンを押してもらう。次の写真を予測させる超心理学実験だ。この実験をたくさんやると数パーセントだがランダムよりも高い精度で予測が当たっているという実験ケースが示される。

世界中に乱数発生器を設置して観察している研究グループによると、9.11のテロや大災害の発生時に、乱数の発生状況に有意な偏りが見られたという。人間の心理が機械に対して影響を与える可能性を示唆するものとして紹介されている。

テレビによく出る超能力者マクモニーグルやユリ・ゲラーの実態も紹介されている。

科学の常識からすれば、どれもこれもありえない。実験の誤差や作為だとして一笑に付して終わりにされそうな話ばかり。しかし、著者は科学者としての懐疑的精神を保ちながら、現象が存在する可能性を擁護している。

超心理学は人間の心理が物理的世界に影響をするものなので、信じていない人に囲まれても能力は発揮されない。また超能力があるとしても、それは派手なものではなく、統計的に数パーセントのような数字で表れるレベルのものだろうと著者は推測している。

ありえない可能性、考えてもみなかった可能性が、科学のブレークスルーなわけであり、科学の非常識を疑ってみるという、この本のような姿勢はとても重要だと思う。まあ、そういう意義はともかく、大枠として科学の内側にとどまりつつ、超心理学の現状を楽しめる本だ。

・粘菌 その驚くべき知性
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粘菌を出口に餌を置いた迷路に閉じ込めると、最短距離に近いコースで出口にいたる。繰り返すと学習する。迷いもする。単純な細胞でしかない粘菌が「司令官はなし、各人自律的に動くのみ」という自律分散モデルによって知性を持っているかのようにふるまう。

たくさんある選択肢からどの選択をすべきか。組み合わせ数爆発を招く複雑な問題に対して、生物はすべての可能性を計算して比較するわけにはいかないから、大雑把ではあるがすばやく答えを導く「フィザルムソルバー」という解法モデルをとっていると著者は指摘する。

粘菌の周りに複数の餌場を置くと、粘菌は分裂しながら移動していき、ついには複数の餌場間をつないでしまう。この粘菌が餌探しをする移動経路の評価には3つの指標があり

1 もっとも短いルートを選ぶ最短性= コスト(経済性)
2 すべての2点間の平均距離 = 効率
3 一か所が分断されてもまだつながっている連結保障性 = 保険

であるが、このうち、1のコストと2の保険を同時に最適化かしようとする「多目的最適化」であることを研究者たちは発見している。JRの鉄道ネットワークも粘菌と同じ多目的最適化パターンだそうである。そして単純な粘菌細胞は細胞内の化学反応に内在する濃度の振動を化学的な振り子として使って同期しているという仮説で、粘菌の知性的な動きを説明する。

知性ってなんだろうなと考えさせられる。人類を圧倒的に上回る高次元の知性を持つ宇宙人が、地球を観察した場合、その表面で勢力を拡大している人類の動きも、粘菌みたいに見えるはずである。脳という器官や欲望という機構が発達していて、部分的には我々と似たところもあって下等生物なのにたいしたもんだ、なんて言われているかもしれない。

デジタル時代の授業のノート取り方研究
メディアサイエンス研究所 研究発表会(近未来教育フォーラム2012と同時開催(10月29日(月)@秋葉原))で「デジタル時代の授業のノート取り方研究」発表します。
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発表内容は下記のとおりです。

デジタルハリウッド大学 橋本大也研究室とマーケティングサークル知恵の輪が共同で、デジタル世代のノートの実態を研究して、ニーズにもとづいたユニークな製品案を創造する。学生100人にノートを数ページ分撮影させてデータ収集。学生たちのノートの使い方、要望(満足や不満足)、ユニークな事例、パターンやノウハウを抽出する。デジタル世代のアナログ文具の新製品を自由に発想。文具メーカーのコクヨが研究協力を行う。

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ご興味をもっていただけた方、ご来場をお待ちしております。

marvyふきだしテンプレート
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本来は漫画家がふきだしを描くのに使うらしいのだが、ビジネスで使うノートにも使いやすい形の種類、大きさが揃っている。ふきだしだけでなく一般的な楕円や四角形もあるので、関係図を描きやすい。

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私は普段は乱雑にノートを取る、書き殴るタイプだけれど、この定規があると少しは綺麗に書いてみようかという気になる。発想を広げていくに当たって、この定規で先に三つふきだしを描く作業をしていると、その作業の間に3つのアイデアが思い浮かんできたりすることがある。手を動かす効果、視覚の効果とでもいうべきか。これに対してパワーポイントでは簡単にふきだしを出せるので思い浮かぶ暇がない。アナログなツールの魅力、可能性ってまだまだあるなと思う。

bunch of paper
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85mm×70mmの青いメモ用紙が100枚に黄色いゴムバンドがかかっている。デザイン性が高いメモ用紙。

メモ用紙は上部が薄く接着されているから剥がして使う。

しかし、ポストイットのように裏面にべったりとノリがついているわけではない。だから壁に貼るのであれば別途接着用のノリが必要である。実は私は買ってから、その事実を知って戸惑った。貼れないんじゃ意味がなくないか?と。

が、使っているうちに用途を見出した。
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卓上で動かしながらブレインストーミングをするのに向いている。
保存しておきたいメモはブロックの背面にまわして、ゴムバンドでとめて携帯できる。
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中長期のプロジェクトのにひとつのブロックを割り当てて使うのがよさそうだ。これまでに出たアイデアを持ち歩いて、いつでも卓上に広げて、ブレインストーミングを再開できる。

・duet notebook
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左右のページに異なる罫線を配したライフのデュエット ノートブックのシリーズ。

このノートは、左のページは方眼、右のページは無地になっている。絵や図を描く、テキストを書く、が見開きで分けてできる。

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面白いノートでしょうと見せびらかしていたら、「鎌倉ノート」という似た発想のノートがあるということを教えてもらった。

これは
右目からはいる情報は論理脳の左脳へ入る
左目からはいる情報は視覚脳の右脳へ入る

だから左側に無地で絵を描けるようにして、右側に罫線を配している。ライフのノートとは逆のデザイン。なかなか面白い考え方だと思うが、人間は両目で見ているのだから厳密にそれをやるなら、左右の間に衝立のようなものをおいて遮断しないといけないんじゃないのと思ったり。

なにはともあれ左右非対称のノートというコンセプトはまだまだ可能性を感じる。

口内炎を即効で直したチョコラBBとパープルショット

先週、睡眠不足が続いたせいか史上最悪の口内炎に罹ってしまった。同時多発で4,5か所できており、ひっかき傷のように大きいものもある。食事と会話に支障がでる。これは早急になんとかしなければと思って、ウェブで調べて対策したのがこの2本。おかげで2泊3日で完治。この組み合わせは覚えておかねばと思って書いておく。

一般的な口内炎の原因は、

1 ビタミンBの不足
2 細菌・ウィルスの感染

であるから、ビタミンBを補い、口内を殺菌すればよいことになる。

で、ネットで効きそうな2つを発見。

・エーザイ チョコラBBローヤルT 56錠
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こちらを1日2回 1回2錠飲む。

・パープルショット 30ml
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こちらを1日5,6回使った。患部に吹きかける。

もちろん薬は個人差もあるのだろうが、私はこの2つ+歯磨きで即効で直すことができた。口内炎で薬を使ったのはこれが初めてだった。

・日本語横書きに最適化した変形台形ノート 伊葉ノート
http://www.iha-notebook.com/
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なぜこんな形状になったかというと奇抜なデザインを狙ったというのではなくて、ちゃんと設計者の理論的仮説にもどついている。人間工学的な論文があるわけではないが、作者の観察と商品テストによって、使いやすさを検証しているという。

1 角度をつけたほうが腕や肘に楽という理論に基づいている。

2 角度が点いていた方が正面から読みやすい

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確かに使いやすい。人前で出すとそれなんですか?と突っ込まれるのが難点であるが、普通のノートを少し角度をつけて使っていた人にとってこれは合理的だと思う。すべてのノートがこの形状になってもよいのじゃないかと思った。

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伊葉ノート オフィシャルサイト
http://www.iha-notebook.com/

詳しい理論の説明がある。

一言をレイアウト 言葉のinstagram Whims

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Whimsはことばをレイアウトして披露しあうサービス。

これはかなり面白い。句会みたいな楽しさがある。

英語圏のサービスで投稿作品の多くは英語であるが、日本語も使用は可能。

テキストを書いたら、フォント、サイズ、行間、背景色を選んでポストする。多数用意されたデザインのテンプレートを選ぶことで、誰でも美しいデザインにすることが容易。

アプリ内からフェイスブックやツイッターに投稿することができる。

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人気作品はSpotlightのコーナーに展示される。

ある種のアート作品としてつくることもできるし、「今日の会議は最高だったね!」と仲間に向けたメッセージボードとしてつくることもできる。使い方はいろいろ。ツイッターでは表現できない視覚的なテキスト表現ができるのがうれしい。

【ナカバヤシ】【2013年】スマレコダイアリーA5 [SRD-DA5-13]
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紙のスケジューラーとデジタルなスケジューラーの内容が同期していなくて、ダブルブッキングとかした覚えのある人に朗報。グーグルカレンダーと紙のカレンダーを同時に見ることができるスマレコダイアリーのシリーズ。

専用アプリをインストールしてスマートフォンでカレンダーページを撮影する。するとアプリ内では、紙の写真データの上に、スケジュールをデータとして書き込むことができるようになる。

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紙のスケジュールにペンで追記したら、再度撮りなおせばデータは更新される。

データとしてはスマホでみる画面を常にマスターと考えればよい。

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グーグルカレンダーと連携させることができる。上の画面でLと書いてある日付にはグーグルカレンダー上の予定が入っている。タップすれば内容を確認できる。

さらに紙に書いた情報がグーグルカレンダーにもデータとして登録されると便利になるのだが、そのうち対応してくれるのを待つ。

スマレコ手帳 - Nakabayashi Co.,Ltd.

・ロディア クリックブロック
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マウスパッドになるロディアのメモ帳。

これは買ってよかった。

机上にあるマウスパッドは、当然のことながら利き手の手元なので、落書きするのにちょうどよい場所にあるし、そこに書くと自然と視線がいきやすい。メモやリファレンスをおくには最高の場所であることがわかった。

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ロディアの紫色の罫線方眼が30ページ。いま抱えているプロジェクトについてのアイデア、電話の内容、検索キーワードなど、デスクトップ作業をしながら、当面、消したくないアイデアを残せる。パソコンは電源を落としたら画面が消えてしまうが、ここに書いておけば消えない。当たり前だがそれが便利だ。

紙だからといって、すべりが悪いとかマウス認識がよくないということはない。低反射で赤外線マウスに対応。紙ではあるがマウスパッドとして性能は申し分ない。

ときどき紙をめくって新しい面がでるので、普通のマウスパッドよりも衛生的であるかもしれない。30枚のメモ帳ののりづけの方式も考えられていて、マウス操作によってめくれてしまわないように設計されている。

デジタル世代のアナログ文具として秀逸。

・ワーク・シフト ― 孤独と貧困から自由になる働き方の未来図〈2025〉
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働き方は今、旬な話題だ。長引く不況による雇用の流動化や、スマホやクラウドの普及によって、日本人の働き方は多様化している。ノマドワークやシェアオフィス、フューチャーセンターなど、新たらしいキーワードもメディアにしばしば取り上げられている。

これはロンドン・ビジネススクールを中心とした「働き方コンソーシアム」がまとめた2025年のグローバル視点の未来ビジョンの本。仕事に必要な3つの資本を、

1 知的資本 (知識と思考能力)
2 人間関係資本 (つながりの強さ、広さ)
3 情緒的資本 (やりがい、幸福、楽しさ)

と簡潔に定義した上で、

働き方を変える 〈3つのシフト〉として

●ゼネラリスト→連続スペシャリスト
●孤独な競争→みんなでイノベーション
●金儲けと消費→価値ある経験

という大きな変化を予言している。

連続スペシャリストというのは新しいキャリアのイメージだ。ちょっと極端だがわかりやすくいうと、たとえば文章を書く専門能力とその隣接能力を伸ばすことで、企業広報から新聞記者に転職したのち、大統領のスピーチライターを経て人気小説家に転身する、というように進化していくキャリアが「連続スペシャリスト」だ。そこでは競争力よりも共創力が成功のカギになっており、アイデアを広く集める"ビッグクラウド"や、信頼できる数人の参謀"ポッセ"というソーシャルネットワークを持つものが強い。カネを稼ぐことだけではなく、楽しさややりがいの追求が今より大きな意味を持つ。

そして働き方が変わる 〈5つのトレンド〉として、

●テクノロジーの発展
●グローバル化
●人口構成の変化と長寿化
●個人、家族、社会の変化
●エネルギーと環境問題

という大きな潮流を分析していく。

ビッグアイデアクラウドとポッセ
ホットスポット
同僚との気軽な関係の消滅と幸福感
自己アピールの時代
ダイバシティ(多様性)はモノカルチャー(単一文化)を凌駕する
コ・クリエーションの時代

などなど、数多くの啓蒙的なキーワードとコンセプトが提示されている。それらが3つのシフト、5つのトレンドという枠組みで構造的に示されていて、いま世界で働く人々の間で何が起きているかを整理するのに最適な内容になっている。

近未来教育フォーラム2012(10月29日(月)@秋葉原)で「デジタルコミュニケーションが変える教育の新しいかたち」講演
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デジタルハリウッド大学が主催する近未来教育フォーラム2012 で14:15より「デジタルコミュニケーションが変える教育の新しいかたち」という講演を行います。このセッションはキャスタリアの山脇智志社長(『ソーシャルラーニング』訳者)との対話をしながら、デジタル教育の未来について考えるライブにしようと考えています。

講演概要:
デジタルコミュニケーションの普及に伴い、急速に変化する海外のソーシャルメディア先端事例、またそれらを用いたデジタルハリウッド大学を中心とする実践事例を紹介。人々の参加を自然と生み出すデジタル活用事例を通じて、分かりやすく、今後の教育現場へのデジタルコミュニケーション活用を考え、近未来の教育を実践に移す方法を学ぶことのできる講演となっている。

参加申し込みと詳細はこちら
http://www.dhw.co.jp/forum2012/program02.html

■日時
2012年10月29日(月)12:00~17:00(開場 11:30)

■場所
富士ソフト アキバプラザ 5階・6階

〒101-0022 東京都千代田区神田練塀町3 富士ソフトアキバプラザ
※受付にて名刺を頂戴します。
・JR線「秋葉原駅」中央改札口より 徒歩2分
・つくばエクスプレス線「秋葉原駅」A3改札口より 徒歩1分
・東京メトロ日比谷線「秋葉原駅」 2番出口より 徒歩3分

■無料(要予約)

「近未来教育フォーラム2012」について

このたびデジタルハリウッドでは、来たる10月29日(月)に「近未来教育フォーラム2012 ~デジタルコミュニケーションで加速するオープンエデュケーションによる教育革命~」および「2012年度デジタルハリウッド大学メディアサイエンス研究所研究発表会」を開催致します。

ソーシャルメディアを中心とした様々なテクノロジーの発達により、教育や経済、ライフスタイフのあり方が大きく変化している昨今、デジタルハリウッドでは、大学、大学院、専門スクールにおいて、次世代を担う人材育成に取り組んでまいりました。当フォーラムでは、デジタルコミュニケーション時代に対応した私どもの実践的な教育研究の戦略、挑戦、手法についてご理解・ご意見をいただくと共に、最新の海外事例を踏まえた無限の可能性を秘める次世代の教育環境の展望など、活発な情報交換の促進を図れれば幸甚に存ずるところでございます。

また、デジタルメディア・コンテンツ等の自主研究や委託研究に積極的に取り組んでおります本学研究所の研究発表の場もございます。その研究成果や過程をご覧いただき、皆様と共に産学連携を推進するきっかけ作りができればと存じます。

ご多用と存じますが、ぜひこの機会に近未来教育フォーラムおよびメディアサイエンス研究所研究発表会へ足をお運びくださいますようお願い申し上げます。

デジタルハリウッド大学 学長 杉山 知之

・ブロックロディア No.08 (210×74mm) cf8200
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210×74mmという細長い形状がユニークなロディアのメモ帳。ペンよりも長い。短冊みたいな形をしているが、方眼の罫線はやはりロディアのおなじみのものなので、横書きで書けと言われている気がする。

使ってみて思ったのは、とにかくブレインストーミングに向いているということ。キーワードをどんどん書き出していくのに最高のフォーマットだ。

ひとりで5分でアイデアを10個書く(このサイズは15個くらいがちょうどいいみたいだが)なんていう自己強制セッションとしてこのメモ帳は使える。あるいは、はい、まずこの紙にアイデアを全員10個書いて指示して配ってもよい。

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十数個書くと下までびっしり埋まる。逆に書かないと余白が目立つ。なんとか下まで埋めたくなるアフォーダンスが埋め込まれている感じがする。

これは何ていう虫?写真で判定するスマホアプリ 虫判定器
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虫の写真を撮影して送信すると、何という虫か、Wikipediaの説明ページもつけて、教えてくれるスマホ(iPhone,Android)アプリだ。

虫の写真を撮影しようと思ってわざわざ横浜の三溪園にいってみた。トンボがうじゃうじゃいるので楽勝と思ったが、近づくと逃げられてしまうので結構難しい。急ぐのでピントもあいにくい。手にとまらせたほうが静かになると後で虫好きから聞いた。

なんとか撮影したトンボの写真をアップロード。虫判定までの時間はサーバの混み具合によるらしく、私の場合は3日かかると言われた。数十分で戻ってきた人もいる。

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見事にアキアカネと判定された。虫以外はどうなるんだろうと思って鳥を撮影して送信してみたが、こちらは判定不能 写真に虫が写っていませんと出た。

このサービスはどう考えても判定をする「中の人」がいるっぽいのだが、虫好きの人が運営しているのだろうか。24時間虫の写真が大量に送られてきて、天国みたいな状況を味わっているのかもしれないと思う。この「中の人」方式は虫以外の判定器にもいくらでも応用できそうだ。

虫判定器 - リクルート

平凡な日常を映画の予告編的なドラマチック映像に編集するviddy
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いわばビデオ版のinstagram。15秒間の映像を撮影して、フィルターをかけ、音楽をつけることで、平凡な日常の風景もドラマチックな映像に変わる。まるで映画の予告編やプロモーションビデオみたいになる。ビデオはviddyのSNSで共有したり、FacebookやTwitterへ投稿することができるので反応ももらいやすい。

たとえば運動会会場で左から右へパンしただけの映像に対してフィルターとBGMをつけるとこんなんじになる。

徒競走になるとよりドラマチックになる。


・怪物はささやく
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ヤングアダルト向けの大傑作小説。大人が読んでもひきこまれる。

母親と暮らす13歳の少年コナーの前に、毎晩12時7分になると、近所の大きなイチイの木が巨大な怪物の姿で部屋に訪れる。怪物は少年にいう。「わたしが三つの物語を語り終えたら、今度はおまえが四つめの物語をわたしに話すのだ。おまえはかならず話す...そのためにこのわたしを呼んだのだから」と。

怪物が話す3つの幻想世界の物語はどれも一般的な物語としては落ち着きが悪いものばかり。予定調和に終わらない筋書。最後に正義や善が勝つとは限らないし、善人だと思っていた人が別の観点では悪人に思えたりする。怪物はいう。

「物語にかならず善玉がいるとはかぎらん。悪玉についても同じだ。たいがいの人間は、善と悪のあいだのどこかに位置しているものだ。

コナーは首を振った。「退屈な話だ。それにずるすぎる」

これは実話だ。真実というものはたいがい、ごまかしのように聞こえるものだ。」

この作品は中盤まで主題が見えない。奇怪な怪物や不思議な物語はいったい何を意味しているのか?が宙ぶらりんで置かれる。後半ではそれらの断片的なメッセージが重なり合って、少年の置かれた残酷な現実、受け入れがたい真実が明らかにされていく。

私は少年時代に『モモ』(ミヒャエル・エンデ)という児童文学の傑作を読んで、小説物語が好きになったのだが、この作品と小中学生の頃と出会っていたら、たぶんまた違ったきっかけとなって大きな影響を受けていただろう。特にこの結末にはぞくっときた。

・僕たちがスタートアップした理由
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ITベンチャーのインキュベーター MOVIDA JAPAN株式会社のCEO孫泰蔵氏監修、2010年代の新しいスタイルによる起業のすすめ。MOVIDAの経営陣(実はそのうちのひとりでかつての一緒に起業したこともある伊藤健吾氏から献本頂きました)や、支援を受けたスタートアップ起業家たち、国内のVC関係者たちへのインタビューと寄稿を中心に、シリコンバレーの最新事情から国内スタートアップの現状とアドバイスなど情報が盛りだくさんの内容。シリコンバレー事情は、起業十数年目の私にとっても面白い情報だった。

まずIT系ビジネスの起業コストは10年間で20分の1~100分の1にまで下がっている、という分析がある。「10年前のドットコムバブルの投資のほとんどは、膨大なサーバー投資、ソフト制作人件費、販売促進費などに消えていったんですね。」

それがこの10年間で、

膨大なサーバー投資 → 安価なクラウドサービスの登場
膨大なソフト制作人件費 → 高度なオープンソースソフトウェアの登場
膨大な販売促進費 → ソーシャルメディアの発達

といった大きな変化によって起業のハードルが下がってきた。

だから、MOVIDA JAPANのスタートアップへの投資の基本金額は500万円だ。これは数人の若者が6か月懸命に働いて1つのプロダクト、サービスを作り上げて市場に投入するまでのスタートアップのコストを500万円と見積もっているからだ。

「出資に関しては株式による出資ではなく、日本版のConvertible Noteである新株予約権付転換社債で行っています。これは我々の出資時点でValuationを決定せず、次の投資家が出資するときまでつなぎ融資をしているイメージです。次の出資が決まれば株式に転換することになっています。起業家の株式希薄化のスピードを緩めたり、我々投資家側のダウンサイドのプロテクションにもなっています。」(MOVIDA JAPAN伊藤健吾氏)

才能ある若者たちに数人でのバンド感覚の起業をすすめている。業界で経験を積んでから満を持して覚悟の起業という古いスタイルとは違う。バックパッカーのような新しい感性の新しい起業家たちが、この本にはケースとして何人も登場している。彼らは起業プロセス自体にはまったく悩まず、いきなり面白いサービスつくりに集中している。この新しい起業家のプールから新しい何かが生まれてくるかもしれない。

本書に登場するDCMパートナーの伊佐山氏いわく、成功する起業家の条件はメガロマニア(誇大妄想癖)、パラノイア(強烈な偏執癖)、ヒュメイン(人間味)の3つを備えた人。カジュアルに起業できる時代といっても、根源的な部分で莫大なエネルギー量を持った人間でなければ経営者として成功することはないだろう。そういうちょっとヘンで、かなりあつくるしく、しかしどこか気になる顔たちが見える一冊だった。若手起業家予備軍におすすめ。

・それでも、読書をやめない理由
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米国ロサンゼルスタイムズの文芸批評担当記者が書いた読書論。コンピュータや携帯の普及によって本当に「文学は死んだ」のか?。慌ただしい情報社会において深い思索の時間、深い読書の時間はむしろ価値が高まっているのはずだという希望と、読書のニーズが変わったのに旧態依然として変化に対応できない出版業界への批判がある。

「わたしたちは、自分たちが今まさにそのただ中にある問題についてさえ解説を求めたがるのだ。今まさに自分たちが主役である世界についてさえ、ことこまかに知りたがる。四年間の任期の半ばも過ぎていないのというのに、どうして大統領としてのオバマを評価できるだろう?不確定要素もあれば、理解できないこともたくさんあるのだと認める余裕などあるのだろうか?」

確かにネットが登場してからというもの、とりあえず答えを出す、までの時間が短すぎる。昔は図書館に通ったり、人に会って聞いたりで、大事な問題に対してとりあえずの答えを出すにも数日はかかるものだった。現代ではそれがほんの数分のネット検索やケータイの通話で終わらせてしまう。理解できないまま心のもやもやとして、何かひっかかった状態を維持することが難しい。そういう状態こそ自分なりのアイデアや信念を生み出す時間だったかもしれないのに。

「さて、今こそ読書の───真の読書の───出番である。なぜなら読書には、余裕が必要だからだ。読書は瞬間を身上とする生き方からわたしたちを引きもどし、わたしたちに本来的な時間を返してくれる。今という時の中だけで本を読むことはできない。本はいくつもの時間の中に存在するのだ。」

紙の本は数年や数十年という時間感覚で書かれている。著者は内容をある程度長く使えるように普遍化して語るし、読者は執筆された時期を考えて読む。執筆にもブログよりも長い時間を必要とする。一冊の本を読みとおす数時間は、内側から湧き上がるものをとらえる時間でもあった。

「本が内側から外側を照らし出すものであるのに対し、映像はその逆なのだ。言葉とは内的なものだ。わたしたちは、他社の記した言葉から、自分なりのイメージや映像やリアリティを創り出さなくてはならない。それこそが、言葉の力の源だ。」

だが著者は深い思索を指向した読書の礼賛には終わらない。電子書籍時代に受け入れざるを得ない変化も痛感しており、これに対応しない業界人を批判する。ケータイ小説やアプリもまた新しい出版であり読書体験なのだと認めているのだ。

「出版業はほかの事業とは違い、紳士の(あるいは淑女の)事業であって、そこで重要なのは利益ではなく思想なのだ」という考え方に良くも悪くも支配されてきたが、読書と並行して操作するアプリケーション」が増えていく新しいデジタルアプリケーション時代において、この考え方を再考せざるをえないのではないかと著者は指摘している。

古い器と新しい器の長所短所を正確にとらえたうえで、いま起きている電子出版の革命に対して、業界人は心を開くべきだとするバランスのとれたメッセージだと思う。

・藤子・F・不二雄大全集 UTOPIA 最後の世界大戦/天使の玉ちゃん
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これまで本屋で入手可能な『UTOPIA』はこれとは別の版もあったが3,990円と高かった(ちなみに初版の鶴書房版は数百万円の値が付く)。全集の最終巻として出たことで、ぐっと廉価になった。藤子不二雄の単行本デビュー作『UTOPIA 最後の世界大戦』と、高校3年生のときのういういしい連載デビュー作『天使の玉ちゃん』が収録されている。日本の漫画史に興味がある人は必読の作品だろう。

『UTOPIA 最後の世界大戦』。1953年に足塚不二雄という名義で発表された。科学技術の暴走や、人間性を搾取する管理社会への抵抗というメッセージ性が強く感じられる。流線型の未来都市デザインとともに、手塚治虫の強い影響を受けていることがよくわかる(鉄腕アトムの連載は1952年~)。当時の二人がやりとりしたメモも公開されている。

『UTOPIA 最後の世界大戦』には、女性のキャラクターがひとりもでてこないという指摘があり、そういえば藤子不二雄の漫画って、その後の作品を見ても、しずかちゃん的な記号的な女性が多いが、生々しい女性はでてこない気がする。原点からして女性は苦手な作家だったといえるのかも。だからこそ少年漫画で成功したのだろう。

少し冗長なストーリーや、キャラクターの描き分けが不完全であるなど、処女作の持つ欠点はあるが、一枚絵として鑑賞できそうな未来の未来風景、時代を感じさせるカラーページなど価値ある一冊。

・藤子・F・不二雄大全集 SF・異色短編 1
http://www.ringolab.com/note/daiya/2012/08/f-sf-1.html

・半熟行政書士!
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行政書士ってどんな仕事なのか、弁護士とはどう違うのか、ぶっちゃけ食っていけるのか?25歳の新人行政書士(とその妻)の奮闘を赤裸々に描いた漫画。カネなし、事務所なし、依頼なし。行政書士の単独開業後の実態をのぞきみるのは、行政書士を目指しているわけではない部外者にも、社会見学的に面白かった。ベンチャー起業と同じで、最初何もわからないうちのドタバタ劇はドラマがいっぱいあって、どの分野でも楽しい。

実はこの漫画の後日談のおまけ部分が衝撃であった。現在の著者は行政書士をやめて古本屋をやっている。弁護士法違反で訴えられて廃業を決断、不起訴となったが、今も弁護士会と係争中とのこと。その裁判の話も漫画になっている。

・明日、夫が逮捕されちゃう!?
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「主婦のキヨは、行政書士の夫と平穏な毎日を送っていた――。
そんなある日、仕事場に向かおうとした夫がマスコミに取り囲まれる。
「今日の"逮捕報道"についてどう思われますか?」
「はぁー?」(何で? 逮捕? オレ、逮捕されんの?)
夫は「弁護士法違反(非弁活動容疑)で大阪弁護士会に告発されたのだ。
しかし、違法な行為をした覚えはまったくない。
そこには、弁護士数が増加して競争が激化したため、行政書士の仕事を奪いたいという弁護士会の思惑がからんでいた。
マスコミの直撃取材におびえ、夫がいつ逮捕されるかわからない"激動の日々"が始まった!!
妻のキヨが描いた、すべて「実話」のコミックエッセイ。」

行政書士と弁護士との棲み分けというテーマはこの作品でも大きく取り上げられていたのだが、まさかそこが原因で事件に巻き込まれるとは。結果として行政書士という仕事のリスクもまた明らかになる。

・グロービス-MBA用語集
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3C、5F、CSR、ERP、KPI、KSF、M&A、MFTフレーム、PDCAサイクル、ROCE、SWOT、VA、VE、アウトソーシング.、アカウンタビリティ、アドバンテージ・マトリックス、委員会設置会社、イグジット、イノベーションのジレンマ。

MBA用語の意味をiPhoneで確認できるアプリ。検索、履歴、単語帳作成ができる。

上司が会議で専門用語を使って、メンバーがそれを理解できないとき、私は悪いのは上司の方だと思う。特にマイナーな用語を振り回すのはよろしくない。しかし、部下は部下で知らないならば柔軟な対応力を身につけるべきだとも思う。

たとえばこんなアプリでを机の下で起動してカンニングして、あたかも知っていたかのように応戦し、さらに難しい単語を使って迎撃するくらいのたくましさをもっていてほしいぞ、と。かくして会議はどんどん難解な用語だらけになっていき、ある日、「やはり無理するのやめようよ」という全体のコンセンサスに落ち着くプロセスこそ大切なのだ。

グロービス-MBA用語集 - Globis University


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次世代型RSSリーダーの市場は、FlipboardやPulseなどスグレものが競争を激化しているが、Googleはカレント。いつのまにか日本からもダウンロードできるようになっていたので紹介。(デフォルトの登録コンテンツは英語ばかりだが、GoogleReaderと連携させることで、日本語のコンテンツも利用可能。)

ライブラリからジャンル別のコンテンツを選んで登録する。昔のRSSリーダーみたいに、自分でRSSを供給しているサイトを探してくる面倒な作業はいらない。HuffingtonPostは43万人、AlJazeraEnglishが16万人、DallasMorningNewsは4千人、というふうに購読者数が表示されていて、英語圏ニュースのメジャー感、マイナー感がわかる。

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ビジュアル系のニュースリーダーでは、タイトル以上に、記事内で使われている画像が、読者をひきつけるのに重要な要素になっている。文字だけの記事は目を引きにくい。オンラインブックマークが人気だったころは、キャッチーなタイトルをいかに書くかが、アクセス向上の秘訣だったが、これからは記事に使う画像をうまく作れる人が人気になりそうだ。

このブログでも、書評、プロダクト評ならば商品画像、イベントならタイトル画像や写真、アプリならばスクリーンショットを入れるようにしている。アクセスログを見ると、キャッチーな画像は誘導効果が実際に高い。

Google カレント - Google, Inc.

iPadアプリ 雑誌みたいなレイアウトとページめくりで、ツイッターやニュースサイトを読む Flipboard
http://www.ringolab.com/note/daiya/2010/08/ipadflipboard.html
iPAd ビジュアルなインタフェースでニュースやブログを読む Pulse News Reader
http://www.ringolab.com/note/daiya/2010/06/ipad-pulse-news-reader.html

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これまであまり視聴できていなかったWOWOWを、このアプリを使い始めてから、よく見る(録る)ようになった。興味はあるのになかなか見られないのは、郵送されてくるプログラムガイドをチェックする暇がないからだ。このアプリはほぼ丸ごとその中身を読むことができる。

番組情報をカレンダーへ登録する機能も、家へ帰ってから録画操作するのに大変重要。また視聴した番組について日記を書くことができる。見終わった後にこまめに感想を残していれば、年間ベスト映画紹介とか、ちょっとしたコンテンツになる。

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サムネイルがついた番組表が見やすい。

機能
・月刊プログラムガイドの掲載(毎月20日頃更新、掲載は主要ページ)
・番組表(表示期間は最大2ヶ月です)
・全番組紹介(ジャンルや条件検索が可能です)
・キーワードによる番組検索
・番組のアプリ内お気に入り登録
・カレンダーに番組情報登録
・番組情報を利用した日記機能
・Twitter、Facebookおよびmixiへの投稿機能
・今月のオススメ番組をまとめた番組紹介
・無料動画紹介
・米国エンタメ情報を毎週更新で紹介「The WOWOW Times」
・映画の中で使われるクラシック音楽を毎週更新で紹介「今日の音楽」
・番組「BBC EARTH 2011」オリジナル壁紙の提供
・毎週更新の人気動画コンテンツ「町山智浩の映画塾!」をポッドキャスト形式(動画、音声)で提供


WOWOW プログラムガイド <プラス> - WOWOW INC.

実名のグルメ投稿でレストランを発見する Retty
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ぐるナビはクーポン主体で広告営業っぽい。食べログはクチコミではあるがメディアとして注目されたことで最近はノイズが増えてきた印象が強い。それで、今年よく見るようになったのがRettyだ。

・Retty
http://retty.me/

FacebookかTwitterで認証を行う。すると実在するユーザーのお気に入りの店や、行きたいと思っている店、行った店とその感想を読むことができるようになる。

ソーシャルメディアと連動することで、実名実顔をだすことになる。まさかリアルな友人知人相手にステマまがいのサクラコメントを連発するわけにもいかないので、自然と書き込みは信頼できるものになる。また自分と似た友人・知人の好みは自分とも相性がいい

使っていて思ったのは女性の書き込みに発見が多い、信用ができるということ。そういえば私のリアルなコミュニケーションでは、同性ばかりにうまい店ないかと聞いている。知り合いの女性にはほとんど聞くチャンスがなかった。味にも価格にも雰囲気にも女性の方が敏感なので、クチコミを一覧できるのは貴重な情報源だ。

スマホアプリでは近くの店のクチコミを見ることができる。エリア別ユーザーランキングもある。

Retty 実名グルメ口コミ - Retty.Inc

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