2012年11月アーカイブ

スマホをカラオケリモコンに デンモクLite
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最近のカラオケのリモコンって液晶がついて大型化し、楽曲を選ぶタッチパネルデバイスになっている。紙の歌本で選んでリモコンで番号を押していたころと違って、リモコンの一人当たり占有時間が長い。

使い慣れたスマホがリモコンになればいいのに、普段聴いている楽曲を入力できたらいいのに、と前から思っていたのだが、もうあったのですね。DAMでiPhone専用ですが、相当便利なアプリ。

カラオケボックスで対応する機器ならば8989-01をリクエストすると画面にQRコードが表示される。それをアプリで撮影すれば、インターネット経由で機器に楽曲予約を送るリモコンとして機能するようになる。

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楽曲検索、予約機能が充実していて、カラオケに行く前に事前に歌いたい歌として登録しておくこともできる。iPod検索機能では、携帯している楽曲をカラオケ予約に送ることができる。

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ちなみにTwitter連動機能をオンにしておくと、楽曲を転送するたびに、ツイッターに曲名をつぶやいてくれる。これは誤ってオンにしているとすごく恥ずかしい気がするぞ。

デンモクLite 公式
http://www.clubdam.com/denmokuapp/

デンモクLite - DAIICHIKOSHO CO.,LTD


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フェイスブックやツイッターのタイムラインで動画が流れていても、平日は中身を確認せずにスルーしてしまうことが多い。

・時間がない
・音が出せない

というのがスルーしてしまう理由だが、このアプリを使うと休日や暇な時間にまとめて話題の動画を見ておける。結構面白い動画を友人知人が発掘しているのだなあと発見があった。

使い方は簡単で自分のフェイスブックやツイッター、Youtubeなどのアカウントを登録するだけ。動画を紹介する友人がいないという人でも、それぞれのサービスでの人気動画を見ることもできる。

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新聞社、放送局などがソーシャルメディアに公開している動画もフォローすることができる。かなり充実している。今話題のTEDカンファレンスの最新動画をフォローしてみた。

Showyou - Remixation, Inc.

・MAKERS―21世紀の産業革命が始まる
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日本のメーカーの人たちはこれを読んで何を思うだろうか?。

『フリー』『ロングテール』のクリス・アンダーソンが書いた次世代のトレンドは21世紀のメーカー革命。コンピュータと3Dプリンターによって製造手段が民主化し、クリエイティブな人々が、これまで大企業でなければ生産できなかったような"モノ"をつくり始めると予言する。

「有能な少数の人々がインターネット接続とアイデアだけで世界を変えるというイメージは、製造業にも当てはまるようになってきた。」

ネットによって需要のロングテールが実現された次は、供給のロングテールへと向かうという点で著者のビジョンは前著からちゃんとつながっている。

「これまでの10年は、ウェブ上で創作し、協力する方法を発見した時代。これからの10年は、その教訓をリアルワールドに当てはめる時代。」

製造手段を支配するものが権力を持つ時代が終わったという。本書に紹介される3Dプリンターやソフトウェアを使えば、数十万円程度の予算で、自分が思い描く家電や家具、さまざまなガジェットを製造してネットで販売できてしまう。

そして数百万人というマスマーケットではなく、目の肥えた数千人のニッチ市場に提供される製品が工業経済を根本から変えていく。ビット経済よりもアトム経済のほうがはるかに大きい(アメリカではビット経済が20%くらい)。ソフトウェアと情報産業の雇用は人口のほんの数パーセントに過ぎない。デジタル革命に続くこのメイカーズの革命が起きるならば、世界の経済へのインパクトはとてつもなく大きい。もちろんこれまでの製造業者は考え方を変えなければならない。

「本当のウェブ革命は、豊富な品ぞろえから品物が選べるようになったことではなく、僕たちが自分のためにものを製造し、それをほかの人たちにも利用できるようになったことにある」

テクノロジーの進歩によって、私たちが制作可能になるのはモノだけではない。ナノとバイオの技術によって、臓器や器官、生物までをも創造できるようになるかもしれないという。

設計図を入れてボタンを押せば万物を生み出す"レプリケーター"のビジョンはミチオ・カクの『2100年の科学ライフ』にも出てきた。この分野は進歩が激しいみたいだ。

2100年の科学ライフ
http://www.ringolab.com/note/daiya/2012/11/2100.html

もちろんマスプロダクションの世界が消えるとは思えない。私たちは多様だけれども共通する部分だってとても大きい。大量生産で低価格の生産ニーズは相変わらず大きいはずだと思う。だから、すべてがロングテールでパブリックでフリーにシェアされる、わけではないのと同様、すべてがメイカーズにはならないと思うが、他の著作と同様にグローバルのベクトルを今回もわかりやすく語っている。クリス・アンダーソン、すごい人だなと改めて思った。

kindleで読書。

・Kindle Paperwhite 3G
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発売日に入手してずっと使っているKindle Paperwhite 3G。電子書籍の品ぞろえはまだまだ不満なレベルだが、読書環境としての使い勝手はとても満足している。もう手放せない。

まずパッケージをあけて驚いたのが本当に何の設定もしないで自分の端末として使えるということ。初期設定で所有者である私の名前、Aamzonのアカウントが出るのだ。注文時に個人情報が紐づいているので当たり前と言えば当たり前だがちょっと感動した。Kindleサービスには、KindleStore含めてユーザーに対するサービス精神が各所にあってかなりよい印象を持っている。

Kindleが良い、趣味は読書の人におすすめできると思っているのはWhispersync、リーディングタイム、パーソナルドキュメントの3つの機能があるから。

■Whispersync

なんといってもWhispersync機能が便利。

私は、

iPhone(のKindleアプリ)
ipad(のKindleアプリ)
Paperwhite 3G

の3台でKindleの電子書籍を読んでいる。Whispersyncは自分がどこまで読んだか、注釈やブックマークをすべての端末間で共有する。外出時Kindleを忘れてきた日でも、とりあえずiPhoneで同じ本を前にめくったページから読むことができてしまう。3G回線で同期がいつでも可能なのが重要なポイントでもある。Kindleは読書端末として便利というより、WhispersyncとKindleストアも含めて読書環境として便利といったほうが正確だ。

■リーディングタイム機能

今読んでいる章や本を読み終える時間を表示するのがリーディングタイム機能。ページめくりから読書スピードを計測して、読了までの時間を予想して表示する。私は時間を意識して読むことが多いので、この計算をこれまで自分の頭でやっていた。いつでも予想が見られるのはとんでもなくありがたい。

■パーソナルドキュメント

Kindleを見せびらかしていると、よく聞かれるのだが自作文書も簡単に読める。Kindleにはメールアドレスがひとつ割り当てられていて、そこへWordやPDFなどのファイルを送信すると、Kindleで読めるようになる。私はプレゼン資料をKindleに送って確認できるようにしている。

Kobo Touch用ケース 幡ヶ谷カバン製作所のフェイクレザー
http://www.ringolab.com/note/daiya/2012/09/kobo-touch.html
Kobo用のケースだがKindleを入れたらぴったりだった。そのまま流用して使える。

iPhoneでKindle 電子書籍ビューアーアプリ
http://www.ringolab.com/note/daiya/2012/10/iphonekindle.html

・iPhone Magazine (アイフォン・マガジン) Vol.32 2013年 01月号
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iPhone4SをiPhone5へ乗り換えたので買った雑誌。冒頭にiPhoneとAndoroidのシェアが掲載されている。iPhone32.3%、アンドロイド64.1%。数字的にはアンドロイドなのだがiPhoneは1機種で3割以上のシェアをとっているのが凄いとしている。iPhone5とアプリの紹記事がメインだが、ケースやアクセサリのカタログとしてもよい本だった。

・アップル iPhone 5 対 iPhone 4S 詳細比較チャート
http://japanese.engadget.com/2012/09/12/iphone-5-iphone-4s/

ファーストインプレッションはあまり変わらないなあというものだったが、使っているうちに、じわじわと良さがわかってきた。私の考えるiPhone5移行のポイントは3つ。

1 LTEが高速
体感的にも実測値的にも無線LANと同じような速度が出ている。通信がボトルネックになるアプリは多いので、CPUの高速化もあるだろうけれど全般的にLTEのおかげで軽快感がアップしている。

2 画面が縦に伸びたこと
3.5インチ 960 x 640→4インチ1136 x 640と縦に伸びた。アプリのアイコンが縦に5段入っていたところが6段になった。よく呼び出すアプリが見つかりやすくなり、操作性がよくなった。通知センターの情報量が増えた。

3 テザリングが利用可能
これはソフトバンクの場合、12月からなのであるが、iPhoneとWiFi版iPadを持ち歩く身としてはありがたい。

不便なこととしては

・マップの性能がよくない。
・コネクタの形状が新型変わってしまった。iPad充電と併用できない。

の2点。

とはいえ全体的には乗り換えに満足。

下記セミナーを開催いたします。よろしくお願いします。無料です。
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【データセクション、企業様向けセミナー開催】
『次世代ソーシャルメディアの可能性』
― 新しいテクノロジー・ビジネス・コミュニティーのかたち ―
ソーシャルメディア分析を事業とするデータセクション株式会社( http://www.datasection.co.jp/ 、本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:澤 博史、以下 データセクション)は、定期的に企業のマーケティング活動におけるソーシャルメディア活用を支援するセミナーを開催しており、12月度は『次世代ソーシャルメディアの可能性』 ― 新しいテクノロジー・ビジネス・コミュニティーのかたち ― を、12月12日(水)に渋谷にて開催します。


国内数百社のソーシャルメディア戦略に関わってきたコンサルタント3人が、基礎から応用まで「顧客の声を発見するための課題解決に向けた分析手法」から「ソーシャルメディア市場の今後のトレンド」を、しっかりとお伝えします。また、インターネット草創期から活動してきたデータセクション会長、橋本の登壇では、ソーシャルメディアだけには留まらない、これからの可能性や新潮流についてお送りする盛りだくさんな120分のセミナーとなります。10年以上、ソーシャルメディア分析の知見を蓄積してきたデータセクションだからお伝えできる内容の濃いものとなっております。奮ってご参加ください。

◎詳細・お申込み
http://insightintelligence.jp/archives/1518


■開催の背景
ソーシャルメディアの活用で世界的に知られた事例として、全米最大のリテールであるウォルマートは、地域住民のつぶやきを分析してスーパー各地店舗の品揃えを最適化しています。スターバックスやDELLは、ソーシャルから新製品のアイデアを引き出しています。加えて、製造業やB2Bの分野でも、次々にイノベーションが起きています。

ソーシャルメディアの活用は海外をはじめ、国内の企業においても試行錯誤の段階を脱して、手応えや費用対効果が見え、ソーシャルを基幹戦略に織り込む企業が増えています。10年前、企業がモバイルサイトや検索エンジン最適化、各種クラウド利用を実施することは画期的なことでしたが今日では当たり前になっております。ソーシャルの活用も営業・広報・開発・CRM・リスク管理などの幅広い分野で当たり前になってきております。

本セミナーでは、国内数百社の企業や様々な部門のソーシャルメディア戦略に関わるデータセクションの事例をもとに、活用のポイントやこれからの可能性について解説いたします。


■こんな方を対象としたセミナーです
・ソーシャルメディア分析を通じて自社の飛躍的発展を検討している経営者の方
・自社のマーケティング活動にソーシャルメディアの視点を新たに取り込みたい方
・すでにソーシャルメディア分析を実施していて、今後の新たな可能性について知りたい方


■セミナー概要
日時 :2012年12月12日(水)15:00-17:00(14:30開場)
場所 :野村證券渋谷支店5Fホール
住所 :東京都渋谷区渋谷1-14-16
参加費:無料
定員 :120名
主催 :データセクション株式会社


■当日のスケジュール
【第1部】開会のご挨拶及び、ソーシャル時代のデータセクションの目指す方向性(20分)
・登壇者 データセクション株式会社 取締役COO 林 健人

【第2部】次世代ソーシャルメディアの可能性(40分)
・登壇者 データセクション株式会社 取締役会長 橋本 大也

【第3部】企業戦略の中のソーシャルリスニング(30分)
・登壇者 データセクション株式会社 マーケティングソリューション部 佐藤 央

◎詳細・お申込み
http://insightintelligence.jp/archives/1518


■講師プロフィール
橋本 大也
データセクション株式会社 取締役会長
2000年インターネットの可能性に目覚め、株式会社データセクションを設立。現在、ITコンサルタント・起業家として数社のITベンチャー役員を兼任すると共に、デジタルハリウッド大学等で教鞭をふるっている。主な著書は『情報力』『情報考学―WEB時代の羅針盤213冊』『新・データベースメディア戦略』『アクセスを増やすホームページ革命術』『ブックビジネス2.0』等多数。NHK『クローズアップ現代』出演ほか、テレビ・ラジオなどメディア出演多数。
株式会社早稲田情報技術研究所 社外取締役
株式会社日本技芸 社外取締役
デジタルハリウッド大学 教授
多摩大学大学院経営情報学研究科 客員教授

林 健人
データセクション株式会社 取締役COO
2002年、早稲田大学商学部経営コースを経て、大手外資系コンサルティング会社に入社。CRMソリューションにおけるコンサルタントとして従事。大手自動車メーカーやコンビニエンス企業、百貨店企業等へ、CRM戦略を始め様々な領域におけるビジネスプロセスの改革を実施。2007年、大手事業投資会社へ入社し、企業のビジネスプラン作成による資金調達・事業開発から、新規サービスの立ち上げ、グループ会社へのM&A等を実行すると共に、CGM分野での新規事業開発を行う。大手事業投資会社時代にデータセクション社と共同でCGMを活用した事業・サービスを開発した経緯から2009年、データセクション株式会社取締役COOに就任。

佐藤 央
データセクション株式会社 マーケティングソリューション部マネージャー
ソフトウェア開発を行うソフトウェアハウスを経て、Webコンテンツ企画制作会社に入社。大企業を始め中小企業向けに様々なWebソリューションを提供。2012年8月にデータセクションに入社し、大手企業向けにソーシャルリスニング導入コンサルティングを行う。


【会社概要】
社名  : データセクション株式会社
URL   : http://www.datasection.co.jp
所在地 : 〒150-0002 東京都渋谷区渋谷2-17-2 太陽生命渋谷ビル7階
代表  : 代表取締役社長 澤 博史
設立  : 2000年7月11日
資本金 : 170,217,000円(資本準備金含む)
事業内容: リスクマネジメントサービス事業
      知識オペレーティングシステムの開発
      データベース型コンテンツの提供
      インターネットビジネス調査事業
      セミナー、執筆事業
      コンサルティング事業
      Webサイト・デザイン・プロデュース事業

式の前日

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・式の前日
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メディアで絶賛レビューが相次ぎ発売3日で増刷、その後入手困難となり、私の場合、予約から配達まで一ヶ月もかかったコミック(今は品薄も落ち着いた)。泣ける読み切り6篇。やっと読んだ。

これ、イイ!絵柄は少女漫画系だが、わずか20ページでこんなに余韻の残る切ないドラマを描くなんて、この新人やるなあ。短いけれど必ず読み返したくなる。技巧派だけどちゃんと人生が描けている。特に1作目『式の前日』と2作目『あずさ2号で再会』が傑作だ。

大切な人との別れがすべての作品に共通するテーマ。別れといっても悲しいだけではなくて、読後感はむしろ明るい。さだまさしの歌みたいな情感たっぷりの人間ドラマ。ああ、いいもの読んだ、で安心して終われる。

オーディションで2010年に突然出てきた作家らしいが、月刊フラワーズではじめての長編を連載中とのこと。この作品集を読む限りでは、短い作品ほど良いものを書く人かもしれないので、長編はどうなっているんだろうか、とても気になるなあ。少女漫画雑誌は買いにくいが...。

もしこの短編レベルが毎回描けるのだとするとすごいのだが。

・アダムとイヴ - 語り継がれる「中心の神話」
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アダムとイヴの神話をめぐる文化、思想、文学、美術の解説、解釈を通して、中世から現代にいたるまで、私たちがどのような影響を受けてきたかを学べる本。人間の創造(最初の男と女の創造)、エデンの園(楽園の様子)、現在と追放(原罪を犯して追い立てられる二人)、エデンの東(追放後の運命)の4つの章からなる。美術作品の写真紹介もたっぷり。キリスト教と美術史がセットで学べる名著だと思う。

神はひとりぼっちのアダムを気の毒に思い、彼を眠らせて肋骨を一本抜いて、その助け手としての女性イヴを作った。「創世記」の記述はいかにも女性蔑視的に読み取れる。だが、プラトン主義者、ユダヤ教のラビ、グノーシス主義者などの間では両性具有としてのアダムというアクロバチックな解釈をしていたという。これなら平等に近くなるわけだが、アウグスチヌスはこれを異端だと否定する。

基本的に男の方が高級な存在であるという考え方は主流派として根強く続いていくが、歴史の中で女性の象徴イヴの扱いがたびたび揺れているのが面白い。現代のフェミニズム運動のはるか昔から、男女の平等や女性の有能さを評価する時期が幾度もあるのだ。

ルネサンス期の女流作家モデラータ・フォンテは『女性の価値』の中で「さらに、いっそう罪深いのはイヴではなくてアダムであることも強調されている。というのも「イヴが善悪の知識を得ようとして、禁断の果実を味わうにいたった」のにたいして、アダムは「そのような動機からではなくて、おいしいとイヴが言うのを耳にして、貪欲さと食い意地のせいで果実を口にした」からである。つまり理性的な判断と下したのはイヴのほうで、アダムは欲に目がくらんだだけだ、というのである。」と書いている。

そもそも禁断の果実を食べたことで、人類は永遠の命を失い、一生働かざるを得なくなるが、代わりに理性、知性を得ている。アダムとイヴの行為が罪なのかどうかは、実は微妙なところなのだ。

旧約聖書においてアダムとイヴの罪や罰は『創世記』以外ではほとんど取りざたされていないという指摘も面白い。原罪を強く言い出したのはキリスト死後にペトロが始めた教会なのだ。アダムの罪を背負ったキリストがその罪を贖うと説いた。「僧侶は罪を捏造することによって支配する」とニーチェが批判したように、宗教上の理由で巧妙に作られたものだったのかもしれない。

そして原罪を背負う裸のアダムとイブの姿はルネサンス期の芸術ではエロティシズムのモチーフとなる。芸術家が男と女の完璧な裸体を公に作品化する口実にもなっている。当時の感覚であまりにエロ過ぎて聖堂においてもらえなくなった作品も紹介されている。インスピレーションの源として最初のカップルは大人気である。

キリスト教の歴史と美術史の知識の整理ができる教養本だが、アダムとイヴに臍はあったか、イヴ以前にいた女性リリスは何者か、エデンの場所はどこか、など読者の興味をひく切り口もたくさん用意されていて、読み物としても楽しい。

襲撃者の夜

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・襲撃者の夜
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ケッチャム『オフシーズン』の続編。

「オフシーズン」の惨劇から11年後の、あの海岸沿いのリゾート地で再び食人族の悪夢がよみがえる。原題は"Offspring"(子孫の意)、"Off Season"の生き残りが家族や仲間を増やして帰ってくる。登場人物には前作の悲劇の保安官ピーターズの姿もある。

ゲームデザイナーの夫婦と9歳の息子がすむ家に、夫の暴力を逃れて幼い子供を連れて泊まっている妻の友人。そこへ性格破綻した暴力夫が接触禁止の法を破ってやってくるのだが、同時に食人族たちもやってくる。6人の人間のいる家へ、外から食人族が押し掛けるという設定は前作と同じなのだが、ケッチャムの腕が上がったのか、本作の方がより恐怖度、猟奇度が倍増したように感じる。私は結果として3作目→1作目→2作目の順で読んだが、実はこれが最適なんじゃないかと思ったりする。

このシリーズ、ケッチャムの筆がいいのは当然として、ケッチャム作品を多数てがける金子浩の翻訳のうまさも大きい。分単位で進むテンポの良い構成だが、そのスピード感、緊迫感が日本語の文章にうまく表現されている。どんどん読めてしまう。

この2作目も過去に映画化されているが評判はあまりよくないみたい。予告編を見る限りではチープなB級映画だ。

オフシーズン
http://www.ringolab.com/note/daiya/2012/11/post-1740.html
1作目

ザ・ウーマン
http://www.ringolab.com/note/daiya/2012/11/post-1739.html
3作目

オフシーズン

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・オフシーズン
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『ザ・ウーマン』は第三作で、その前に第二作『襲撃者の夜』、第一作『オフシーズン』がある。『オフシーズン』(1981年初版)はケッチャムのデビュー作だったが、あまりの残酷な描写に版元が著者にマイルドに改変させたうえ、ついには長期間絶版にしてしまった。この文庫版は最初の極めて残酷なバージョンを完全復元したもの。容赦ない。

舞台はカナダ国境に近いメイン州の海辺の避暑地。ニューヨークから6人の男女が休暇を別荘で過ごすためにやってくる。この家を、シーズンオフの静かな晩に謎の集団が襲撃する。汚い服を着た無表情な子供たちと、野人のような男と女が現れて、旅行者6人を次々に嬲り殺しにしていく。殺すだけではなく、生きたまま内臓を引き出し、手足を切断する。彼らの食糧とするために。

彼らに命乞いや取引のコミュニケーションは通じないが、彼らは知性を持っている。ゾンビではない(物語が進行すると正体はある程度明かされる)。6人の犠牲者たちとの生死を賭けた駆け引きに緊張感がある。

殺るか殺られるかの瀬戸際で、6人の男女は人間関係を破綻させ修羅場はより一層救いようのないものになっていく。これでもかといわんばかりに人間のダークサイドを見せつける部分はゴールデイングの『蝿の王』みたいでもあり、これは後の『隣の家の少女』で極まるわけだが。

巻末の著者インタビューにあるように『悪魔のいけにえ』『サランドラ』『食人族』など初期のスプラッタームービーの影響を強く受けており映画的だ。だいたい展開は読めるのだが、それやりすぎというくらい強烈な描写を極める。映像よりトラウマ度が高いかも。物凄い猟奇ホラーを読みたいという人にはとてもおすすめ。

ザ・ウーマン
http://www.ringolab.com/note/daiya/2012/11/post-1739.html

ザ・ウーマン

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・ザ・ウーマン
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ケッチャムと言えば代表作『隣の家の少女』が有名だが、実は私、読んでいながら、内容があまりに陰惨残酷猟奇的過ぎる上に救いがない話なので、このブログで紹介するのを控えたという経験があった。だからこの作品もどうしようかなあと思ったが読んだらはまってしまった。やっぱり陰惨残酷猟奇的なのだけれどそれだけではなく、ミステリ要素や意表を突く展開もあり、ミステリ系ホラー小説として傑作だと思う。

狩猟を趣味とする弁護士の男が、ある日半裸で森をうろつく野生児っぽい女を捕獲して、自宅地下室に監禁して飼うという話だ。家族にもこの女の面倒を見ろと命令する。監禁された女は日々、男に虐待されるが、その凶暴さは並大抵なものではない。いつ捕縛を脱して家族を皆殺しにするのだろうか?という緊張感漲っている。

ところで渋谷でカルトホラー系に強かったミニシアターのシアターNがもうすぐ閉館する。ホラーだけでなく『ホテルルワンダ』の舞台挨拶をみたのもシアターNだった。先日、見納めとして本作の映画版『ザ・ウーマン』が上映されていたので見に行ってきた。小説版は、ケッチャム単著ではなくこの映画監督のラッキー・マッキーが共著者として名を連ねているということもあって原作に忠実に映像化をしている。どんな内容かは予告編がよい感じにできているので見てほしい。

・ザ・ウーマン
http://www.the-woman-movie.com/

映画は低予算のはずだが決してB級映画にならず、キャラクターも描けており、猟奇ホラーとして上質で完成度が高い。米国の農場が舞台でそれにマッチするカントリーロック音楽も素晴らしかった。あんなに牧歌的な農場で、あんなに普通に見える家族が、あんなとんでもないことしちゃってというギャップが、映像でも見事に表現されていた。小説を先でも、映画が先でも、この作品のホラーの魅力をたっぷり味わえると思う。

・2100年の科学ライフ
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未来予想というのは、基本はあまり当たらないものであって、当たるかかどうかより、今の自分にとって啓発的かどうかで、その価値が決まるといってもよいと思う。科学関係のテレビ番組でおなじみの物理学者ミチオ・カクが今日の科学技術の延長線上として、SF小説の如く具体的な記述で、リアリティを感じさせる2100年イメージを語っている。これはすごい。

まず「コンピュータの未来」「人工知能の未来」が大きなイノベーションをもたらす。

「2100年までにコンピュータの性能が急激に向上すると、われわれはかつて崇めていた神話の神々のような力を手に入れ、周囲の世界を純然たる思考だけでコントロールできるようになる。神話の神々が手を振ったり頷いたりするだけで、物を動かしたり生き物を作りかえたりできたように、われわれも思考の力で周囲の世界を制御できるようになるのだ。環境にちりばめられたチップといつでも心でコンタクトをとって、密かに命令を実行できるのである。」

超伝導やブレインインタフェースの応用で強力な磁場により物体を思考で動かすことができるようになる。まるで魔法の世界だ。未来の私たちはコンタクトレンズや眼鏡で、現実の世界に仮想イメージを重ねてみながら暮らす。身体能力をインプラントチップにより強化し、犬や猫にしか聞こえない音を聞けたり、紫外線、赤外線、エックス線を見ることができる。外国人との会話では語学力は問題ではない。コンタクトレンズには外国語の字幕が出る。そして首と顔の筋肉の動きをセンサーが拾って母国語を声に出さずもごもごいうだけで外国語が発声される。心を読み夢を録画できるコンピュータ。だがハードウェアと違いソフトウェアの進化は緩やかと予想されている。

医療の進化によって人間の死が不可避でなくなる。若さを取り戻す。本人が望む年齢で老化をとめることさえできるようになる。テクノロジーと人間の生き方の関係にも言及が多い。ナノテクノロジーにより原子レベルで操作してなんでもつくることができるレプリケーターができる。欲しいものは望みさえすればなんでも手に入るようになり、持つものと持たざる者の差がなくなる。資本主義が機能しなくなり、地位や政治権力もなくなるかもしれない、という。

社会や人間の仕事も変わる。ロボットにできないこと。高度なパターン認識と常識を持つこと。創造的な資質を持つ職業、芸術、演技、ジョーク、ソフトウェア開発、リーダーシップ、分析、科学などの職業は生き残るが、単純事務の下級公務員、銀行の窓口係、経理担当などは仕事がなくなる。

こうした未来の予想にはひとつの法則があると著者はみている。

「問題は、現代のテクノロジーと原始的な祖先の欲求との軋轢があるところでは必ず、原始の欲求が勝利を収めていることだ。それが「穴居人の原理」である。たとえば、穴居人はつねに「獲物の証拠」を要求した。逃がした大物を自慢してもだめなのだ。逃がした獲物の話をするより、獲ったばかりの動物を手にしているほうがいいに決まっている。今のわれわれも、資料というと必ず、プリントアウトしたコピーを欲しがる。人はコンピュータの画面に浮かぶ電子的な文字を本能的に疑ってしまうため、不必要な時でも電子メールやレポートを印刷する。だからおオフィスのペーパーレス化は完全に実現してはいないのだ。」

ハイテク(先進技術)とハイタッチ(人間同士の触れ合い)。人は両方を欲しがるが、選択を迫られたら、祖先の穴居人と同じようにハイタッチを選ぶという生物学的選好は、リスクマネジメントでもあったのだろう。一足飛びに目新しいものに飛びつく人間ばかりでは、全滅してしまうかもしれない。アーリーアダプターもいればレイトマジョリティもいるのは種として正しいパターンなのだと思う。

「現代社会の最も憂うべき一面は、社会が知恵を蓄積するよりも速く、科学が知識を蓄積していることだ」アイザック・アシモフの引用があったが、著者はかなり楽観的に未来をとらえて予想をしており、長い本だがとても楽しい読書体験である。変に問題意識と悲観のビジョンで書かれていたらうんざりしていただろう。テクノロジーがひらくことができる可能性を知りたければ必読書。

お天気スナップカメラ-℃amera

曇りの日や雨の日にどんな写真を撮るのが良いのか。たとえば花の写真は晴天よりも少し曇りの日中の方が日差しが強すぎないのできれいに撮れる。雨の日は傘をさす人や濡れた路地などいつもと違う生活シーンが撮れる。ほかにはどんなものを撮影するのに向いているのだろうか?。このアプリでは天候別、季節別の写真の取り方のアイデアが見つかるのが面白い。

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撮影した写真に天気、気温、地名、撮影日を合成して共有する。専用SNSに投稿すると、いいねがついたりする。日本全国と海外からも写真が投稿されてくる。

気温、地名、撮影日で投稿された写真を検索することもできる。同じような天候でうまい写真を探すと写真の勉強になる。

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アルバムの撮影済み写真を投稿することもできるが、残念ながら天候情報は後からはつかない。後から天気や温度と照合できるともっと楽しいと思うのだが。

お天気スナップカメラ-℃amera・写真共有アプリ (スナップ・photo・share・ソーシャル) - DNP DIGITALCOM

・ULTRAMAN(1)
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小学館クリエイティブのヒーローズコミックスより2冊。

あの『ウルトラマン』の続編という位置づけで描かれた正統派後継的漫画。

かつて光の巨人たちが怪獣を一通りやっつけて故郷へ帰り、地球が平和になってから数十年が経過している。元ウルトラマンで科学特捜隊隊員だった早田進はいまや防衛大臣として忙しい。同僚だった井手隊員は科学技術研究所の所長となっている。実は最近怪獣事件がまた発生しているのだが、井手所長は映像に手を加えて国民からその事実を隠ぺいしようとしている。ウルトラマン因子を受け継いだ早田大臣の息子 早田進次郎は子供の頃より自分の異常な身体能力に気がついていた。あるとき異星人に襲われてその能力に目覚める。

ウルトラマン世代に対するサービス精神がたっぷりで、40代以上の読者にとって、かなり楽しめる漫画だ。このウルトラマンは研究所開発の特殊スーツを着ることで超人パワーを得る。巨大化はしない。昔のウルトラマンとは違うが、スペシウム光線は出てくる。ツボはおさえたままリニューアルした感じ。井手所長はゼットン星人と仲が良いらしいのだがなんでなんだ?。2巻が気になる。

・ヒーローカンパニー (1)
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街を守れ、人の命を守れ、自分の命も守れ、弱い者から守れ、会社の利益も守れ、自分の生活を守れ、正義を守れ、できれば平和も守れ、が会社の8か条。

街の平和と人を守りながらなんとか利益も出す優良企業ヒーローカンパニーには、正義感の強い若者が応募してくるが現実に社員になれるのは、正義感に燃えながらも冷静に仕事をこなせるわずかな人材のみ。それを選抜するための入社面接が第一巻の内容。

出社のタイムカードを押し、助けた相手には伝票にサインと領収書を私、帰社したら日報を書く。勤務時間外の悪に対してはスルーを決め込む超現実的なサラリーマンヒーローたちの繰り広げるドラマ。

こちらも仮面ライダーやゴレンジャーが好きだった世代のツボをつくコメディ。

これらが連載されているのは、月刊ヒーローズ。今回はじめて知ったのだが、内容が濃い。オリジンの連載が終わってしまった『ガンダムエース』よりこっちのほうが熱くなっていたのか。要注目のコミック雑誌。

・月刊ヒーローズ
http://www.heros-web.com/
200円とは思えないクオリティ。

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便利だ、便利。上の画面にテキストエディタ、下の画面にWebブラウザを表示させて、ネットの情報を見ながら、文章を書くことができるiPhoneアプリ。スマホの小さい画面でも解像度は結構高いわけで情報量は十分、ちゃんと原稿を起こすことができた。ひとつの画面でできるというのがポイントだ。

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グーグルやヤフー、Wikipedia、英語辞書、類義語辞書、Amazon、Yahoo!知恵袋など多数の検索サイトがあらかじめブックマークに登録されている。下画面の情報はテキストを簡単にコピーして、上のエディタへ貼りつけることができる。

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今表示しているページのタイトルとURLもテキストとしてクリップできるので、調べものだけでなく、Webでネタとなる情報を探してリンク集のようなものをつくるのにも向いている。

作成したファイルはフォルダ管理もできるし、メールや他のアプリ、ソーシャルメディアへ送ることができる。2000字くらいのコラム原稿であれば十分これで完結できる。

ブラウザノート - Word Ouen

ムフフなオフレコ写真を数秒間だけ仲間と共有してデータが残らない写真チャット Snapchat
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カラオケや飲み会が盛り上がって、参加していない仲良しの仲間にも、今の雰囲気を伝えたい。でも、酔ってはめをはずした写真は後に残したくない。そんなときにSnapchatが使える。

このアプリを使って誰かに写真を送ると、

1 送った写真は相手のスマホ画面上に数秒間だけ表示され自動消滅する、スクリーンショット不可

2 送った側にも写真のデータは残らない、ライブカメラのみ、写真アルバムから選んで投稿はできない

ということになる。

まず受信側はスクリーンショットを撮ることができない仕様になっている。(おまけにスクリーンショットを撮影しようとしたことが送信者に通知されてしまう)。表示秒数は3秒間から10秒間で送信者が設定することができる。

また送る側もライブなカメラ写真しか送信できないので、今目の前で起きているシーンを送ることしかできない。撮影した写真も保存されないので、送信者、受信者ともに雰囲気を伝えたらきれいさっぱり水に流すということができる。

海外で10代の若者たちに人気であるらしい。パーティなどの写真を送るのによく使われるそうだが、男女間でちょっと卑猥な写真を撮影して送る"セクスティング"にも利用されている、とか。

この写真、よく考えたら、受信側で表示中のスマホを別のカメラで撮影すれば、なんとか残せないこともないのだが...。

得体のしれないモノの一部、一見卑猥に見える写真(口の中とか)なんかを撮影して送りつけると、え?え?いまのナニー?と実に楽しい。

Snapchat - Snapchat, Inc.

・世にも奇妙な人体実験の歴史
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「何世紀ものあいだ、薬の安全性の検証は事実上、一般大衆の体によっておこなわれていた。用量を超えて飲めばほとんどの薬が危険だが、安全な服用量は誰にも分からなかった。とりあえず飲んでみて、様子を見るしかなかった。患者は薬を飲み、医者は患者が死ぬかそれともよくなるかを見るのだった。」

古代から19世紀にいたるまで多くの人々が病気の原因は悪い血であると信じていたので、腕を切開して瀉血したり、ヒルに血液を吸わせたりして、だらだらと何リットルも患者から血を奪っていた。医学的には患者を弱らせるのみの行為だった。

本当に効く薬や治療法を見つけるには、誰かが最初に試してみなければならない。動物実験というのも現代では盛んだが、結局のところ、最後は人間が試さない限り、本当に効くのかどうかわかりはしない。

ここに書かれているのは医学の本当の歴史である。一部の勇気のある医者が自らの身体をモルモットにして人体実験を行う無謀な行為が進歩させてきたという歴史である。有名どころではキュリー夫人はノーベル賞を2回もらった代わりに大量に放射線被ばくをしている。最後はそれが原因で死亡している。

キュリー夫人は危険性を知らなかったわけだが、知っていても挑むラディカルな医者たちがたくさんいた。黄熱病患者の吐瀉物を自分に注射したり、コレラ菌の入った水を飲んだり、ニトログリセリンを飲んで昏倒したり、自分の心臓にカテーテルを刺したり、梅毒患者の膿を自分の性器に塗布してみたり、急激な加圧や減圧実験で鼓膜が破れたり失明しかかったり...。

やばい人体実験の数々こそ現代医学の礎になっているのだ。最初に勇気のある誰かが食べてみたからウニとか納豆とかあるわけだが、最初に体をはった誰かがいたから、病気の治療法や薬ができている。

日御子

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・日御子
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今年ベストに選んじゃうかもしれない長編歴史小説。深く感動した。

お隣中国の歴史書『三国志』の中の「魏志倭人伝」に出てくるだけの邪馬台国と卑弥呼、志賀島で発見された「漢委奴国王印」と刻された由来不明の金印。2,3世紀の日本は史料が少なくて謎に包まれている。邪馬台国の場所だって九州か近畿かわからない。そのわずかにわかっている数か所の点から、こんなに厚みのある大河ドラマ、人間ドラマが立ち上がるなんて、帚木 蓬生、天才だ。

国王に仕え中国や韓国との外交を助ける使譯(通訳)一族の百年を超える物語。使譯は漢の言葉を厳しい勉学で身につけ諸外国の使節訪問を待つ。いざ国王に朝貢を命じられれば命を懸けて大陸に渡るのが使命。だが国内情勢(倭国大乱)や中国の王朝交代もあって、なかなか朝貢チャンスは訪れない。朝貢がかなえば一生の誇りとするが、中国の文書に那国のことを奴国と悪字で書かれたことを恥として一生気に病んだ者もいる。高い志を持っている。

使譯は外交官や政治家ではないから、志は高くてもままならない。政治や人間のしがらみのなかで生きている。自分なりの理想を曲げねばならないことも多々ある。使譯たちの生き様は狭い世間と組織の中で生きる日本人の姿を象徴している。

国のためを思い懸命に働く誇り高い一族には代々伝わる掟がある。「人を裏切らない」、「人を恨まず戦いを挑まない」、「良い習慣は才能を超える」、「骨休めは仕事と仕事の転換にある。」。代々の使譯たちは人生の岐路においてこれを指針として使う。やがてその職業人としての清々しく、凛々しい生き方が、君主たちにも影響を与え、国の未来を変えていく。

日本人はどう生きるべきか、古の日本人の生き方を通して、著者は現代の日本人に伝えたいらしい。中国と日本の海を越えて波乱万丈の物語もドラマチック。史実や伏線をたくさん織り込んだ緻密なプロットにも感嘆。長編歴史小説というと最近は「天地明察」「光圀伝」の冲方丁ばかり話題だが、帚木 蓬生ももっと売れていいはず。

・ニセモノ食品の正体
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これは衝撃だ。

「ほとんどの人は、自分が普段食べている食品の「正体」を知らない。朝食で食べるうめぼしが、梅エキスを搾り取られた出がらしに、添加物で味を調えた廃棄寸前の梅で出来ていることを。 スーパーに並ぶサイコロステーキが、クズ肉を破砕し添加物の力で油と一緒に融合したものであることを。 ファストフードのシェイクが牛乳や卵や生クリームではなく、水とガムシロップとサラダ油で出来ていることを。」

脂と軟化剤を注入した格安価格の人工霜降り肉、クズ肉を添加物で再結合したサイコロステーキ、大量の脂と調味料を注入したホッケなど、格安居酒屋、ファミリーレストラン、ファストフードで出回っている妙に安い肉や魚はほとんど"ニセモノ"なのだ。

個人的に長年の疑問が氷解したのは、

1 格安店の高級霜降りカルビやサイコロステーキは脂を注射して作っている
2 身が異常に細い定型エビフライは小さいエビを長く伸ばして練り物で固めている
3 コンビニのプリンはゲル化剤で固めたゼリーである
4 健康ドリンクはカフェインとアルコールと味に騙されているだけ
5 冷凍ピザなどの断面が同じの金太郎飴のようなゆで卵はロングエッグという

といったこと。なにか違う気がすると思っていたものばかりだ。

この本が取り上げるのは、食品として危険ということではないが、決して本物とはいえないという微妙な食品。写真つきなのでわかりやすい。本来は廃棄されてしまう部分を、技術力で食べられるようにした、おいしくないものをおいしくしたものと、ポジティブにとらえることもできるのだが。

・よいこと わるいこと (はじめての哲学)
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大人も楽しめるというか親子揃って考えさせられる深い絵本のシリーズ。

フランスで数々の賞をとり世界19か国に翻訳されて話題になっている。

大人と子供向けの哲学教室を開く哲学博士の先生オスカー・ブルニフィエが文章を書き、ビデオゲームや舞台芸術も手掛けるイラストレーター ジャック・デプレが絵(写真)を担当した。

「結論が出ないことを尊重する」本である。

『よいこと わるいこと』は、善悪とは何かを教える内容だが、いきなり1ページ目が「よいこと わるいこと といっても ひとの考えはさまざまです ときには正反対のことだってあります」という始まり方をする。そして善悪に対しては、世の中にさまざまな考え方があることを示し最後に「あなたは?どう思いますか?」でしめくくる。何が善で、何が悪という結論は一切示しれくれないのだ。

・神さまのこと (はじめての哲学)
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『神さまのこと』では、神さまという概念に対してもまたさまざまな考え方があることを次々に示していく。神は実在すると考える人もいれば観念だと思っている人もいる。一神教と多神教の違いもあるし、そんなものは迷信だと退ける人もいることを示す。そしてやはり最後は「あなたは?どう思いますか?」だ。

哲学とは自ら考えることを学ぶ学問なのであって、よいこととわるいことのリストや神とは何かという定義を学ぶ学問ではない。当たり前のことだが、重要なことが、学校の教育では忘れられている気がする。子供に読ませたくなる本だ。

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これは画期的だ。2画面分割エディタというのはPCのエディタでも機能としては搭載した者もあるが便利と思わなかった。iPhoneのエディタでは、実に画期的な使い勝手の良さがあった。

私は長文を起こすとき、まず大きな見出しや含めたいキーワードを書き出す。そのリストを見ながら執筆していく。iPhoneの通常のメモ機能では、リストをみながら本文を書くというわけにはいかない。Re:writerではできる。

アプリを起動するとまず2画面をどう分割するか、境界線を移動させる。そして文章を書きたい方をタップすれば書き始めることができる。左右のエディタではフォントサイズが異なるものを使うことができる。また一方から他方へとコピーアンドペーストももちろん可能だ。左右の入れ替え機能もある。

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左右のフォントサイズを変えることができる。参照情報が多い場合にフォントを小さくして一覧性を高めることができる。

書いた文章はメール添付で送ったり、クリップボードに入れたり、EvernoteやDropboxなどの連携アプリへと送信できる。

思いついたことをとりあえず右に書いておき、別の時間に左側でそれを材料に文章化するというスタイルで外出中に原稿を一本仕上げることができた。

Re: writer - Hiloki Satoh

・愛蔵版 機動戦士ガンダム THE ORIGIN X ソロモン編
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オリジンで断然、株をあげたキャラがドズルだと思う。前巻はララァ編だったがソロモン編はドズル編といってもいい。ビグザムの上に立ち、「たかが一機のモビルスーツに こおビグ・ザムがやらせるかっ!!」と叫んでガンダムに向けて機関銃を乱射するシーンは、テレビ版映像の何倍もドズルの執念が伝わってくる。

後半のクライマックスは、アムロ、シャア、ララァが戦闘で出会いながらテレパシーで会話をするシーン。これからはニュータイプの時代だとアムロに告げるシャアに対して「ララァから感じるものをあなたからは感じない」「あなたはニュータイプなんかじゃない」と切り返すアムロ。テレビや映画ではそこらへんがどうなのかよくわからなかったが、今回はアムロとララァが別次元にいることが明確になっているみたいだ。

オリジンのマシン設定ではガンダムはコアファイターではなくコアポッドを内蔵していることになっているが、この巻でその全貌が描かれている。それが妙にまるっこくてかわいい。わざわざ大河原氏に頼んでデザインしてもらったということでオフィシャルといえる。巻末にもおまけでカラーイラストがある。

ついに10巻まできた。おそらく12巻で終了だが、これまでの緻密な設定が後半に行くにしたがって、ドラマの厚みにつながっている。ここからが楽しみ。

愛蔵版 機動戦士ガンダム THE ORIGIN IX ララァ編
http://www.ringolab.com/note/daiya/2012/09/the-originix.html

愛蔵版 機動戦士ガンダム THE ORIGIN (8) オデッサ編
http://www.ringolab.com/note/daiya/2012/04/the-origin-8.html

語れ!機動戦士ガンダム と ガンダムフロント東京
http://www.ringolab.com/note/daiya/2012/07/post-1672.html

MG 1/100 RX-78-2 ガンダム Ver.2.0 チタニウムフィニッシュ
http://www.ringolab.com/note/daiya/2012/04/mg-1100-rx782-ver20.html

愛蔵版 機動戦士ガンダム THE ORIGIN VII   ルウム編
http://www.ringolab.com/note/daiya/2011/09/post-1512.html

・「ワンピース世代」の反乱、「ガンダム世代」の憂鬱
http://www.ringolab.com/note/daiya/2011/09/post-1503.html

・機動戦士ガンダム 光芒のア・バオア・クー 機動戦士ガンダム デイアフタートゥモロー ―カイ・シデンのメモリーより― 俺は生ガンダム
http://www.ringolab.com/note/daiya/2011/03/post-1400.html

・愛蔵版 機動戦士ガンダム THE ORIGIN VI 開戦編 と MG 1/100 MS-09R リック・ドム
http://www.ringolab.com/note/daiya/2011/01/vi-mg-1100-ms09r.html

機動戦士ガンダム アッガイ北米横断2250マイル
http://www.ringolab.com/note/daiya/2010/04/-2250.html

・愛蔵版 機動戦士ガンダム THE ORIGIN V シャア・セイラ編
http://www.ringolab.com/note/daiya/2010/01/-the-origin-v.html

・MG 1/100 ゴッグ MSM-03
http://www.ringolab.com/note/daiya/2010/01/mg-1100-msm03.html

・ラーメンズ・片桐仁のガンプラ戦士ジンダム
http://www.ringolab.com/note/daiya/2009/06/post-1007.html

・ザク大事典 All about ZAKU
http://www.ringolab.com/note/daiya/2009/03/-all-about-zaku.html

・MG 1/100 ズゴック MSM-07と愛蔵版 機動戦士ガンダム THE ORIGIN IV ジャブロー編
http://www.ringolab.com/note/daiya/2009/01/mg-1100-msm07-the-origin-iv.html

・HGUC 1/144 MSM-10 ゾックと機動戦士ガンダムTHE ORIGIN
http://www.ringolab.com/note/daiya/2008/02/hguc-1144-msm10-the-origin.html

・機動戦士ガンダム THE ORIGIN、MGアッガイ、ターゲット イン サイト
http://www.ringolab.com/note/daiya/2007/01/the-originmg.html

・ガンプラ・パッケージアートコレクション
http://www.ringolab.com/note/daiya/2008/08/post-820.html

・俺たちのガンダム・ビジネス
http://www.ringolab.com/note/daiya/2007/11/post-662.html

・ガンダム・モデル進化論
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/003091.html

・標高の高い場所への避難経路を表示するiPhoneアプリ 高台サーチ
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今いる場所や任意の場所を指定すると、現在地の標高が表示される。これに対して標高○○メートル(任意指定)以上の高台への経路を地図上に表示してくれる。

地図と方角と経路がでて、
歩いて ○分○秒
走って ○分○秒
車で  ○分○秒

という具合に教えてくれるので、もしも海沿いで地震に出くわしたときに、どちらに避難すればいいかを知ることができる。

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地震が起きてから調べるのではなく、日常において自分がよくいく場所の高台を事前に把握しておくのが賢明。このアプリが教えてくれるのは標高の高さのみなので、高いビルや避難タワーというのは表示されないが、だいたいあっちが高いのだということがわかれば逃げやすい。

高台サーチ - B.Creation Inc.

・ソーシャルもうええねん
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著者紹介。

「村上福之(むらかみ・ふくゆき)
株式会社クレイジーワークス代表取締役 総裁
1975年大阪生まれ、37歳。8歳からプログラミングを学ぶ。関西の家電メーカーでの開発職を退職してオーストラリアを放浪中、Webデータベース開発を受託したことからWebプログラミングを独学で学び、業績から永住権を得る。帰国後、フリーエンジニアとして漫画喫茶で開発した独自の動画コーデックが、経済産業省主催のビジネスプランコンテスト「ドリームゲートグランプリ」で国内2位となり、審査員を務めたGMOインターネット熊谷会長の支援で上京。その後に電子書籍プラットフォーム「androbook」や、音楽配信プラットフォームである「andromusic」などを開発。」

この脈絡不明気味の著者の村上さんと私はフェイスブックでつながっている。のだが、実は、いつどこでお会いしたのか覚えていない。社長なのに日常的に「金ない」「富士そばなう」「死にたい」的つぶやきを連発する。それに釣られてタイムラインをクリックすると、ソーシャルメディアやインターネットの本質を探究した独特のおもしろーい長文記事を書いているのがみつかる。その独特のおもしろーい記事を集めたのがこの本である。

「僕のように、よくブログを書きなおかつそのブログの文章が長い人はだいたい「なんらかの意味で面倒くさい人」です。」という法則な話とか、

「しかしながら、1万2000人というフォロワーがいるいもかかわらず、僕は土日を一人で過ごしています。嫁も恋人もいません。」という自虐的な話とか、

「フォローワーも、「いいね!」もカネで買える」(5000フォロワー3800円、5000いいね!15000円が相場)というあからさまな話、そして

「楽天で1位」「iPhoneの○○ランキング1位」は実はたいしたことがないという話。

他にも1日で作ったサイトを150万円でヤフオクに売った話とか、3日で280万円集めたソーシャル募金とか、年収12億円アフィリエイターとマック赤坂を信用調査してみた話など生々しい体験談も読みごたえがある。業界人の私でも新発見や再認識できてよかったと思える情報がいくつもあった。

タイトルからするとソーシャルのブームに踊らされてもいいことないよという後ろ向きな本かなと思ったが。実は後半はネットベンチャーとしてのサバイバル論や仕事のうまい進め方なんかもたっぷり書いてあって案外にポジティブ指向。ソーシャル大好き人間でも決して厭な気分には終わらない。著者のサービス精神旺盛さを端々に感じる楽しく、そしてITベンチャーな人には参考情報満載の本。

・バースト! 人間行動を支配するパターン
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人間がメールを送受信する、ウェブにアクセスする、プリンターに何かを出力する頻度には共通パターンがある。図書館で本を借りるパターン、電話をかけるパターン、写真を撮るパターン、病院にいくパターンも同じだ。

「どういう種類の人間行動を調べてみても、つねにバーストのパターンがあらわれた。長い休止期間のあとに、短い集中的な活動期間が続く」

著者が発見したのは人間の行動がベキ法則にもとづくという事実と、人間が行動に重要度による優先順位をつけて生活しているという事実だ。このふたつのパターンを解析すると、従来は予測不可能と思われていた人間行動を、高精度で予測できる可能性がでてくるというのがこの本のテーマだ。

たとえば実験によれば、大抵の人間は、朝の居場所がわかっていれば午後の居場所を90%の精度で予測ができるという。普通の人間は同じパターンを繰り返しているからだ。実験では予測精度が80%を下回った人間はほとんどいなかったらしい。

逆にこのパターンから著しく逸脱した移動経路の人間は一般人ではなく、テロリストの可能性がある。FBIはそうした経路の逸脱パターンで犯罪者を発見して尋問しているそうだ。

人間の行動はランダムだから予想はできないと諦めていた分野でも、バーストのパターンを織り込んだ予測モデルをたてれば、人間の複雑な行動ももっと予測可能になる、そんな可能性を感じさせる内容。

『新ネットワーク思考―世界のしくみを読み解く』のアルバート=ラズロ・バラバシの最新刊。

・新島八重 明治維新を駆け抜けた才女
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数多あるNHK大河ドラマネタの便乗ムック本なのだが、これは八重の研究書や小説を書いた専門家が監修しているので情報がまとまっている。大量の写真と絵図を中心にビジュアルに新島八重周辺を解説する。「八重の桜」の脚本家山本むつみインタビューも収録。

冒頭で「八重を知るための4つのキーワード」が挙げられている。

1 故郷・会津の教え「ならぬことはならぬ」
2 男装して自ら銃を持った会津のはねっかえり娘
3 京都で開けた第二の人生 新時代のハンサム・ウーマン
4 篤志看護婦として兵士を救護した白衣の天使

このキーワードを意識しながら、当時の写真を見ると、江戸から明治の変わり目の烈婦八重のイメージがわいてくる。このひとつめの「ならぬことはならぬ」は会津藩士の子弟に伝わった掟であり、八重の生涯をつらぬくポリシーだったと考えられている。

「什の掟」
一. 年長者の言ふことに背いてはなりませぬ
一. 年長者にはお辞儀をしなければなりませぬ
一. 嘘言を言ふことはなりませぬ
一. 卑怯な振舞をしてはなりませぬ
一. 弱いものをいぢめてはなりませぬ
一. 戸外で物を食べてはなりませぬ
一. 戸外で夫人と言葉を交へてはなりませぬ
ならぬことはならぬものです。

随分と旧弊で封建的な教えに思えるが、その八重は新島襄と結婚するとキリスト教に改宗して近代的な思想も取り込んでいく。ファッションも着物と洋服をあわせていた。前近代と近代の変わり目を象徴しているような写真がある。徳富蘇峰に「頭と足は西洋だが、胴は日本、まさに鵺のごと
き女性がある」と誹謗された八重は、和洋折衷の日本の先駆け的な存在だったともいえる。

新島八重 愛と闘いの生涯
http://www.ringolab.com/note/daiya/2012/11/post-1731.html

・幕末銃姫伝―京の風 会津の花
http://www.ringolab.com/note/daiya/2012/07/post-1677.html

・新島八重 愛と闘いの生涯
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大河ドラマでは綾瀬はるかが演じるそうだが、本当はジャイアンキャラなのにしずかちゃんが演じるみたいなことになりそうである。実際の新島八重は夫の新島襄も書いているように、必ずしも美人というわけではなかった。盲目の兄の覚馬を担いで運んでいたという記録もあって、かなり体格がよく力持ち。この本で言及されているが、芸能人で言うなら森山中の大島美幸がイメージ的には近いらしい。そして性格は男勝りのリスクテイカー。ドラマではオブラートに包まれそうだが、本物の新島八重は戦争についてこんなことを書いている。

「随分ト戦ト云ふモノハ面白イモノデゴザイマシテ、犬死シテハツマリマセン。ケレドモ、戦ウトコロヲミマスト女デモ強イ心ニナルモノデ、モウ殺サレルトカト思ヒナガラモ丁度一町程先ノ所デ戦ッテイルノナド見マシテゴザイマスガ、ナカナカ面白イモノデゴザイマス。」

女性でありながら、自ら大砲、鉄砲、薙刀で戦いジャンヌダルクにたとえられた。どうも記述を見る限り、やむを得ず戦ったというだけではなくて、戦争が心底好きだったのではないかこの人と思える部分がある。

この本の後半は史料抜粋に解説をつけるという形で、本当の新島八重とその時代を明らかにしていく。鶴ヶ城籠城の空気が伝わってくる本人の回想、これも生々しい。史料の抜粋もこの本の魅力。

「お城のお廊下にまでまいりますと、入城者がたくさん集まってをります。門の前には、武士が抜刀で、『たとひお女中たりとも卑怯な事は許しませぬぞ』と声高く叫んでをります。いかにも殺気に満ちた有様で、あるご婦人などは、白無垢に生々しい血潮の滴っているのを着てをられました。これはたぶん、家族に卑怯者があって、城中に入って戦ふのは厭だといふのを手に掛けて、その足でまいられたのでございませう。」

新島八重の人生は3つの時代にわけることができる。これはだいたいどの関連本を読んでも同じだ。

初期 誕生~27歳 一度目の結婚と戊辰戦争を戦い鶴ヶ城に籠城、敗戦、そして離婚
中期 27歳~44歳 京都で新島襄と出会いクリスチャンになり同志社設立に立ち会う
後期 44歳~86歳 新島襄の死去で未亡人となり篤志看護婦、茶道家として活躍する

江戸と明治、会津と京都、看護と茶道など、3つの時期はガラッと内容が変わるはずで、ドラマの展開が楽しみ。後期は、赤十字に加盟し日露戦争で篤志看護婦として活動したりして、日本のナイチンゲールとまでいわれる。ただ新島襄がいなくて同志社とのつながりも薄くなるので、あまり大きな動きがなさそうだ。12月ごろのクライマックスをどう乗り切るかも気になる。

・幕末銃姫伝―京の風 会津の花
http://www.ringolab.com/note/daiya/2012/07/post-1677.html
新島八重の前期を描いた小説。ドラマの原作ではない。

湘南在住のみなさん。湘南Biz surfという団体を立ち上げようと思っています。湘南のオモシロ人のるつぼをつくろうというイベントです。今週の日曜日に藤沢でキックオフのパーティをやります。湘南在住の八戸大学学長(起業家としても著名の大谷真樹氏)ほかキーマンも集結します。まだ参加申し込み可能ですのでお近くの方はぜひ!

湘南Biz surf 第1回キックオフパーティ
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趣旨:

普段あまり直接聞くことのできない様々なビジネスやサービスをLIVEで聞き、湘南界隈発の新たなビジネス/表現の可能性を「ゆるく」語り合います。そのことで新たなインスピレーション/ケミストリーが生まれ、ここから新たなビジネスのうねりをおこしていく事を目的とします。

日時:2012年11月11日(日) 15:00- Open   15:30- Start   21:00 End
参加予定数:30名
場所:ペスカードス http://www.csmonolith.com/ (南藤沢e-town)
主催:湘南Biz surf 実行委員会

TIME LINE
1.Opening :  湘南Biz surf 趣旨説明 10min
2.Key Note : 大谷真樹氏(八戸大学 学長)20min 
3.Lightning Session   5人(10pages/20min)Total:100min
橋本大也氏/青山幸成氏(オモロー不動産)/酒井信専任講師(文教大学)/川戸裕佑氏(グローカリズム)/川村行治氏(ロケッコ)
4.Discussion & KANPAI time 60min : モデレーター/高野学(ロケッコ)
   Theme : <ビジネスの波を起こす人、波を大きくする人、波に乗る人>
            上記5名に加え、音響プロデューサー/レストラン経営者 
            漁業関係者、サーファー、住職、建築家、セーラー
            フラダンサーなどを予定。
5.LIVE!! 
music 太麻(出演予定)
light show(overheads佐藤タカヨシ)

参加費/4,000円

お問い合わせ 株式会社ロケッコ内 湘南Biz surf実行委員会まで 

フェイスブックのイベントページからも申し込みが可能です。
http://www.facebook.com/events/476933152326828/

劇画毛沢東伝

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・劇画毛沢東伝
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藤子不二雄Aが1971年に発表した作品。

「ぼくが描いたのはその前期である。この間は毛沢東にとって、波乱と苦難に満ちた時期ではあったが、"中華人民共和国の建国"という大きな夢とロマンがあった。そして、その頃の毛沢東は革命の戦士であると同時に、志の高いロマンチスト、ヒューマニストでもあったと思う。しかし、建国後の毛沢東は、7億の人民を統治する大指導者として、ロマンを捨てた国家内闘争の道へと進まなければならなかった。」(あとがきより)

文化大革命以降の毛沢東にはダークなイメージもあるが、1949年10月の中華人民共和国成立までの英雄としての毛沢東を描く。登場人物や勢力が多くてわかりにくい中国現代史を、毛沢東という強烈なひとりの英雄の視点で描くことで随分とらえやすくなった。

影絵なみのベタ塗の絵が強烈だ。粒子の粗い報道写真みたいなコマも多い。激動の時代にぴったりの描写であり、歴史解説中心のコマまでもがドラマチックにみえる。

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1971年に漫画サンデーで連載された「革命家シリーズ」の第一弾だそうだが、同シリーズはその後『劇画ヒットラー』(水木しげる)、『劇画マルクス』(滝沢解作、芳谷児画)、『劇画マホメット』(つのだじろう)と続いたらしい。ヒットラーは読んだ。ざっぱんになっているつのだじろうをなんとしても読みたい。

大学・高校実践ソリューションセミナー2012東京 内田洋行主催
http://www.uchida.co.jp/seminar/121106_1107/index.php
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11月6日(火)16:30~17:30 に内田洋行が主催するセミナーの1つとして

「FaceBook!ソーシャルメディアを大学広報、授業に活かす!
~各種事例紹介~」

講師:
十文字学園女子大学 人間生活学部 教授 安達 一寿 氏
聖学院大学 広報局長 大学広報部長 山下 研一 氏
データセクション株式会社 会長 橋本大也

というイベントに出演いたします。ソーシャルメディア分析を使った大学広報について、概要をお話しさせていただく予定です。教育関係の皆様、ソーシャルメディアの活用について知りたい方、ご来場をお待ちしております。

大学・高校実践ソリューションセミナー2012東京

日時 平成24年11月6日(火)・11月7日(水)
セミナー
11:00~17:30
展示
10:30~17:30
会場 株式会社内田洋行 新川本社・新川第2オフィス
東京都中央区新川2-4-7
※会場までの地図はこちらをご参照ください。
http://www.uchida.co.jp/seminar/121106_1107/index.php
費用 無料
主催 株式会社内田洋行
後援 New Education Expo 実行委員会

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