データ・サイエンティストに学ぶ「分析力」 ビッグデータからビジネス・チャンスをつかむ

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原題は"Sexy Little Numbers"。和訳ではリトルデータと訳されている。既に手元にある魅力的なデータという意味。企業が蓄積したさまざまなデータを分析することで、戦略意思決定に役立つという事例を、欧米の事例から読み解く。サイエンスよりもビジネス寄りの本だから、マーケティング部必読。

最近はビジネスシーンでビッグデータがバズワードになっているが、それで何をしたらいいのかはっきりしていない会社が多い。この本ではデータ分析においては「何が測定できるか」ではなく「何を測定すべきか」を考えることが重要、「データで何ができるか」という考え方より「データで何をすべきか」が大切だというポイントが強調されている。

収録事例の多くは、計測した定量的なデータを意味づけるために、正しい分析ロジックのフレームワークへ落とし込む手法を解説している。コンサルタントにはおなじみのビジネスロジックにまとめる例が多いが、数字を意味に紐づける部分というのはやはり職人芸になりやすいのだなと感じた。

著者は「言い換えれば、企業のなかでマーケターマインドとサイエンスの調和と融合が必須である。」「データとその解釈が揃うことで、初めて分析作業が楽しいものとなる。分析の半分は科学で、半分はアートで出来ているのだ。」と述べている。ビジネスの現場におけるデータサイエンティストは純粋にサイエンティストではありえない。ビジネス経験も豊富になければ、分析フレームワークの選択や読み取りができないからだ。大学院をでたばかりの統計の専門家だけでもだめなのだ。新しいタイプの人材が重要になる。

「それでは人間は、どのような役割を担うことになるのだろうか。おそらくたった2つの仕事だけが残されることになるだろう。ひとつは「技術者」、つまり自動化されたシステムがスムーズに機能することを守る仕事である。もうひとつが「魔法使い」だ。これは手元にあるツール類を最大限に活用して、売上や利益を劇的に改善するアイデアを創造し、実行に移すことのできる人々を指している。」

ウェブのデータ分析の分野では、ミートメトリクスというツールの利用例が面白かった。Webのユーザービリティ分析ソフトを使って、Webサイトのデザインをパーツに分ける。そしてパーツを4096通りの組み合わせで実際に表示させてユーザーの反応を記録した。A/Bテストの4096通り版である。そして最もお客が物を買ったり会員になったりするパターンを選び出す。最適化の成功例ではコンバージョン率が2ケタアップしたという。デザインとサイエンスが見事に一体化している。ネット上のビジネスにおいてはマーケティングの自動化はますます盛んになっている。

著者は消費者情報の価値とは、予測貢献度、鮮度、排他性にあると書いている。次の一手がでてくるデータ分析を考えるにあたって参考になる情報がいっぱい書いてあった。

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このページは、daiyaが2013年4月 2日 23:59に書いたブログ記事です。

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