2005年04月21日

NAB2005報告 「30秒を超えて」を聴くこのエントリーを含むはてなブックマークこのエントリーをはてなブックマークに追加


スポンサード リンク

・NAB2005 - The World's Largest Electronic Media Show
http://www.nabshow.com/sessiondetail.asp?id=1202912
nab200501.gif

nab2005photo01.jpg

世界最大の電子メディア展示会のNAB2005に参加中。こんなセミナーを聴く。


Beyond: 30-New Advertising Models for Television

A confluence of factors is rapidly changing the television landscape. Audience fragmentation, the perpetual rise of new media channels, growing diffusion of PVR, significant changes in the metrics associated with TV audience research... such factors are gradually changing the business models associated with television in fundamental ways. Increasingly, networks will need to diversify their revenue streams. Advertisers, too, will need to discover new models of advertising designed to complement the traditional 30 second spot.

Moderator
Duane Varan, Director, Interactive Television Research Institute, St Perth, Australia

Panelists
Tim Hanlon, Sr. VP/Director, Starcom MediaVest Group, Chicago, IL

Rick Mandler, Vice President, Enhanced TV, Walt Disney Internet Group, New York, NY

Barbara Bacci Mirque, Sr. Vice President, Association of National Advertisers, New York, NY

「30秒を超えて」とは、HDDレコーダー(PVR)やインターネットの影響を受けて、現在の30秒のスポットCMを超えて、未来のテレビのビジネスモデルはどうなるかを、ある意味旧体制の側に立つ4人のキーパースンがプレゼンし、ディスカッションした。

PVRの米国の普及率は2006年には20%に達する見込み。

テレビ広告は、アカウンタビリティ(説明責任)とROI(投資対効果)の時代に突入するという結論の言葉が印象的だった。従来のテレビスポットCMは視聴者の規模の大きさを背景に、ある意味ドンブリ勘定であった。しかし、ネット対応のPVRやオンデマンド放送(VOD)の普及により、CMスキップは常態化し、広告主の反応もクリックや購入で測れるようになってくる。テレビはマスだからという曖昧な理由では広告主が満足しなくなる。

そこでCMに幾ら投じたら、幾らの効果が戻ってくるかを、メディアは広告主に説明できなければいけなくなる。これが、これからはアカウンタビリティとROIの時代になるという言葉の意味である。

スピーカーの提示した資料によると、各メディアのROIは以下のような順位になっているらしい。

広告の投資対効果

ダイレクトメール 42%
インターネット  19%
雑誌       7%
米国主要テレビ  6% (いわゆるNetworkTVの意)

テレビはひどく分が悪いのだ。現在、PVRは1560万の家庭で使われている。このうち録画をリアルタイムに見ないタイムシフト視聴派は7割を占める。この母数が上述のように今後のどんどん増えていく。このままではやはり既存の広告モデルを支えてきた視聴者、放送局、広告主の三角関係は崩れてしまうことは容易に想像できる。

だが、変化と危機感を感じつつも、従来のテレビの力を信じるスピーカーもいた。新技術や新メディアの登場の影響で、今後、視聴者がテレビをもっと見るようになるとは思えないと感じている。だがその一方で、3分の1はテレビをもっと観るようになると考えているというアンケートが提示された。そしてPVRユーザの3分の1はCMスキップの方法を知らないのだ。

1955年の古い広告を取り出して、当時、登場した新しいテクノロジー「リモコン」も、テレビの視聴形態に大きな変化(チャンネルを次々に変えてみるザッピング)が危機として考えられていたことが紹介される。そうリモコンも、かつてはCM飛ばしの技術として恐れられていたというのである。だから今度も大丈夫と言うわけ?それはさすがに甘いような気がする。

全体としては、PVRやインターネットはテレビの現在のビジネスにとってパラダイム変革を引き起こす破壊的技術(Disruptive Technology)だという点ではスピーカーたちも認めざるを得ないようではあった。だが、旧体制側のためか、どうも歯切れは悪かった。

広告は規模の経済(Economy of Scale)からターゲットの経済(Economy Of Scope)の時代に変化していくと結論したスピーカーもいた。露出(Expousure)から契約(Engagement)へとも言っていた。つまり、何百万人のマスチャネルが少数ある時代から、特定少数のターゲットを持つインタラクティブメディアが無数にある時代になり、広告主は露出回数ではなくて結果としての販売数や契約数を重視するようになるという意味だ。

具体的にアカウンタビリティの技術としては、米国大手ネットワークが採用したAd-IDなどが話題になっていた。広告に識別可能なIDを入れて、トラッキングを行う技術で、RFIDなどとの連携も視野に入れられている。

・USATODAY.com - U.S. advertisers go digital to track ads
http://www.usatoday.com/tech/news/techinnovations/2004-08-18-rfid-plus-ads_x.htm

で、結局、30秒を超えてと題されたこのセッションでは、変化の波を感じている広告業界の危機感は強く感じた。新しい技術とその視聴者行動への影響についても予想はしているようだ。だが、既得権としての現在のビジネスをすぐに解体するわけにもいかず、時機を見極めようとしている姿勢がうかがえた。

他にもたくさんの新しいインタラクティブ広告のモデルが提示されていたりして、勉強になるセッションだった。時間の関係なのかゆっくり見せたくないのか、その広告の新形態についての詳細資料のスライドが数秒で飛ばされてしまったりして、思わせぶりなところも。スピーカーに頼むと参加者はすべての資料を送ってもらえるらしい。頼んでみよう。


スポンサード リンク

Posted by daiya at 2005年04月21日 23:59 | TrackBack このエントリーを含むはてなブックマークこのエントリーをはてなブックマークに追加
Daiya Hashimoto. Get yours at bighugelabs.com/flickr
Comments

Your blog is very informative, I have learned so much from it. It is like daily newspaper :). Added to fav窶冱.

Posted by: Sweet..but at 2008年04月09日 19:40
Post a comment









Remember personal info?