2007年04月02日

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・なぜ株式投資はもうからないのか
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団塊の世代の大量退職やITブームの再燃で株式投資に手を出す人は増えている。「まだ株をやっていないってヤバくないですか?」と証券会社出身の著者にマジメ顔で話す人がいたらしい。株で大損するほうがヤバいですよと著者は冷静に答える。

一般人の株式投資が当たり前のイメージがある米国でも、株式投資に充てられる個人の金融資産は3割だそうだ。7割はより安全な手法(預金、債券、投信)で運用されている。世界的に見ても、個人資産の運用で株式投資が3割を超えるのは高すぎる。

3割の資産を必死の株式投資で10%増やすことに成功しても全体では3%増加するにすぎない。国債や社債の購入でも年率1.5%〜2%程度の利回りはあるので、株式投資に一生懸命になるのは考えものであるという。

そもそも一般投資家と機関投資家では情報の格差があり、個別銘柄の発掘方式で一般投資家が大儲けするのはかなり大変であると著者は繰り返し語っている。何がどのように違うのか、証券会社や機関投資家の優位性の中身が説明されている。

「以上、さまざまな形で一般投資家の不利益を見てきたが、「証券村」は、証券会社とプロの投資家だけが住むことを想定されていなかった。ゆえにどうしても割を食う存在になっている。」

「負けてくれる人がいないと市場は活性化されない。業界関係者は、一般投資家に株式投資は大して儲からないものだと見破られることが実は一番怖いのである。」

「まず、根本的な話になるが、毎回推奨株が当たる営業マンが存在するなら、そんな人が営業をし続けるわけがない。さっさと自分で株式投資を始めるに違いない。」

コンピュータやインターネット使った情報処理、情報共有によって、一般投資家が機関投資家との情報格差を埋める可能性があるという、著者のアイデアが面白い。たとえば一般投資家は感情に左右されて非合理的な取引をして失敗することが多い。自分や他人の投資行動を分析して、冷静なアドバイスを言うソフトウェアがあれば効果的かもしれないとのこと。

機関投資家はどのくらいのリスクでどのくらいのリターンを得るかをあらかじめ決めて行動している。だから損切りも即座に決断する。一般投資家は、リスクもリターンも設定していないので、毎日の値動きに一喜一憂し、泥沼にはまるのである。

一般投資家の不利を知った上で、あえて投資をするならば、投資ファンド追随型、TOB追随型などが大儲けはできないが確実性は高いだろうと述べられている。せいぜい損をしないレベルの投資が現実であるということか。

株式投資に夢中になるリスクとして、他のことをもっと考えるべきなのに株のことばかり考えてしまう機会損失ってかなり大きいんじゃないかと思う。本来は自社株を買って業績向上に夢中になるのが本筋だと思う。

株式投資の情報というのは、共有メリットが小さい上に、広く共有されると無効になる。本当に儲かっている人は秘密を明かさない。市場には他者の追随を誘うことで儲けようとする扇動者がいる。アマチュアがうかつに手を出しても厳しい戦いになるというのは当然なのだろう。

近年の株式投資ブーム。これが続きそうという見込みはある。やはり、起業して株を発行する側に回るのが一番、可能性があるんじゃないかなあ、と思って自分の会社をがんばっている私である。


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Posted by daiya at 2007年04月02日 23:59 このエントリーを含むはてなブックマークこのエントリーをはてなブックマークに追加
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