Books-Culture: 2010年7月アーカイブ

・ブックビジネス2.0 - ウェブ時代の新しい本の生態系
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先日の「電子書籍と出版」に続いて、もう一冊この本を共著で書きました。

私が書いた「印税90%が可能なエコシステムを」は昨年のイベント第1回ARGフォーラム 「この先にある本のかたち-我々が描く本の未来のビジョンとスキーム」で考えたことを、まとめて書きました。

出版ビジネス再編の議論のきっかけになればと思っています。

どうかよろしくお願いします。

内容:

iPadやKindleだけが「本の未来」ではない。
この先にある「本」のかたちをめぐる、俊英たちからの提案集。

【CONTENTS】
はじめに 仲俣暁生

電子書籍で著者と出版社の関係はどう変わるか
津田大介 / ジャーナリスト インターネットユーザー協会代表理事

印税90%が可能なエコシステムを
橋本大也/ 起業家 データセクション取締役会長

未来の図書館のためのグランドデザイン
岡本真/ アカデミック・リソース・ガイド代表取締役

ディジタル時代の本・読者・図書館
長尾真/ 国立国会図書館長

多様化するコンテンツと著作権・ライセンス
野口祐子/ 弁護士 NPO法人クリエイティブ・コモンズ・ジャパン常務理事

ウィキペディアから「出版」を考える
渡辺智暁/ 国際大学GLOCOM主任研究員

「コンテンツ2.0」時代の政策と制度設計
金正勲/ 慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科准教授

ブックビジネス2.0 ? ウェブ時代の新しい本の生態系 特設サイト
http://bkb20.com/

ハッシュタグ #bkb20 のまとめ
http://togetter.com/li/34498

・パリ、娼婦の館
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19世紀のパリに栄えた娼婦の館の研究書。フランスの小説に登場する記述や、20世紀初頭にパリを訪れた日本人の証言、写真資料から、当時「メゾン・クローズ」と呼ばれた娼家の実態を調べている。ひたすら妖しく淫靡な世界が再現される。

娼婦たちはなぜ身を売るようになったのか。日常生活はどのようなものだったのか。女将や女衒はそもそも何者か。娼家の経営の実態。風俗情報の流通。管理売春の制度。高級店と格安店のちがい。衛生管理の状況。100年前のパリの娼家のあらゆる側面が語られている。

「衣食足りて変態を知る」であり、高級店ほどマニアックなサービスを提供していた。超高級店はSM、イメクラ、○マルフェチと、なんでもありのバリエーション。具体的な内容の説明が凄い。たとえばニワトリの羽だらけになって女の子たちに追い回されるプレイなんていうニッチな要望にもこたえていたという。

「高級なメゾン・クローズに通ってくる金満家の客の中には、直接の接触を好まず、ひたすら「見る快楽」のみを追求したがる客、いわゆる「覗き魔(ヴォワユール)も少なくなかった。こうした覗き魔のために、店ではいろいろと工夫を凝らしたアトラクションを用意していたが、その中で最も一般的だったのは、ストリップの原初的形態である活人画(タブロー・ヴィネヴァン)だった。 すなわち、何人かの娼婦が全裸ないしは半裸で絵画の中のオダリスクを演じるのだが、客がまるで絵画を至近距離から眺めるように、目を近づけて(あるいはムシ眼鏡を使って)この活人画を「鑑賞」するところに面白さがある。」

こうした密室でのサービス内容の記述から、19世紀パリの夜の文化の爛熟ぶりが伝わってくる。ヨーロッパ的な官能の原風景がここにある気がする。奇書の類といっていいけれども、フランス古典文学を読むときの参考にもなる本だ。

・神様 OH MY GOD!―小林伸一郎写真集
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日本の地域に棲むロードサイドの神様たちを写した写真集。大型本。

あなたがもし雑誌「ワンダーJAPAN」の愛読者だったり、都築響一「ROADSIDE JAPAN 珍日本紀行」にひかれるという人だったら、まさにそういう嗜好で大当たりの作品集なので、迷わず買うべきだ。

ユニークな神様ばかり。

土着土俗の信仰っていうのはまず表のメディアにのらない。地方の富豪が人知れず建立したマイナー巨大仏や、立派な男根や女陰の形をしたご神体、極私的な信仰によって異様にカスタマイズされたブッダやイエス様の像など、想像力のバリエーションが爆発している。

私の地元の江の島にいる裸弁財天とか龍神、大船の観音様も、こうした方向でなかなかインパクトがあると思うのだが、この写真集に登場する土着系の神々はさらにぶっ飛ばして、周囲に独特の亜空間をつくりだしている。すばらしい。実際に観に行きたい。

見た感じ廃墟チックでさびれてしまっている神様もあるが、ピカピカに磨かれている神様もあって、こういうマイナーに思われる神様を、信じて救われている人が、日本にはいっぱい?いるんだなあと、なんだか感動する。日本は神の国と言うのは本当なのだ。

・晴れた日は巨大仏を見に
http://www.ringolab.com/note/daiya/2008/05/post-748.html

・「世間遺産放浪記」「奇想遺産―世界のふしぎ建築物語」
http://www.ringolab.com/note/daiya/2007/10/post-643.html

・和聖地巡礼 ~秘宝館の胎内~
http://www.ringolab.com/note/daiya/2008/06/post-768.html

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