Books-Culture: 2011年9月アーカイブ

・「ワンピース世代」の反乱、「ガンダム世代」の憂鬱
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世代論のネタとして秀逸。

アニメオタクではなくて経営戦略コンサルタントが書いた本なので、深いサブカルチャー論は期待してはいけないのだが、40代中心でタテ社会的「ガンダム世代」と20代中心のヨコ社会的『ONE PIECE』世代の対立という、大きな見立ては、かなりの説得力を感じた。

「『機動戦士ガンダム』に影響を受けた世代は、組織は理不尽なものと理解しつつも、そこに所属することをよしとしている。一方で、『ONE PIECE』世代に影響を受けた若い世代は、組織への所属よりも仲間への所属をよしとしている。」

「若者は、彼ら自身が第一の軸と考える「仲間」をとても大切にしていて、コミュニケーションも濃密に取る傾向がある。その一方で、第二の軸である「勤めている会社」などに対しての所属感はそれほど強くはない。さらに大きな「日本社会」という軸に対しては、所属という感覚はとても希薄になる。」

ガンダム世代の私はワンピース世代が気になる。著者によると、ワンピース世代は、身内に対するコミュニケーション能力が非常に長けている。出世よりもお金よりも「自由」を愛する。完全な自由を得ることが成功である。自分の意見を持つ前に、意見をネットで検索する世代だ、など、そうかもなあという見立ての話が続く。

もちろん世代全部が同じ属性のわけはないし、いつの世でも普遍の若者の属性、オジサンオバサンの属性があるはずだとは思う。しかし、ガンダムとワンピースという世代に圧倒的な人気を誇った漫画に、各世代の生き方のイメージを読みとるアプローチは、わかりやすいし共有しやすい。社会学的にデータをもとに世代を論じることも有益だが、わかりやすい見立てこそ、実践の場で使う知としては重要だと思う。今後、社会学者たちが、ワンピース世代、ガンダム世代を検証したらさらに面白いテーマになるだろうなあと思う。

・教養としてのゲーム史
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ゲームの「進化の系統樹」がよく整理されている。

たとえば最初に紹介されているのは、

ポン → ブレイクアウト → インベーダー → ギャラクシアン → ギャラガ

という進化系。単純なテニスゲームのポンにブロック要素を加えるとブレイクアウトになり、ブロックが動くインベーダーに進化して、さらに自由度の高い動きをするギャラクシアンができて、合体などの要素が加わるとギャラガになる。

ほかにも

ヘッドオン → 平安京エイリアン → パックマン
ドンキーコング → マリオブラザーズ → スマブラ
ウルティマ、ウィザードリィ → ドラクエ
ドルアーガの塔 → ハイドライド → ゼルダの伝説
プリンセスメーカー → 同級生 → ときメモ → ラブプラス 

などなど、主に画面の見立てを軸にして系統を有名なゲームを挙げながら説明していく。80年代から代表的なゲームを遊んできたという人ならば、頭の整理ができて気持ちがよい体験が味わえる。

果たしてこのやり方で、数千、数万もあるゲームのすべてをわかりやすく進化の系統樹で説明できるのかどうかわからないが、この取り組みはビデオゲームの考古学で有効な分類法だと思う。今後の著者の集大成に期待したい。

ゲームの進化の歴史には開発上のドラマやハプニングもあったことが紹介されている。制約を魅力に変えたインベーダーの開発エピソードなんて特に面白い。インベーダーでは敵を倒すほど、動きが速くなってエキサイティングになるわけだが、あれは実は制約由来だった。現代の富豪的プログラミングの状況では生まれなかったかもしれない演出だったわけである。

「スタート直後にインベーダー軍団が一匹も欠けていない状態では、描きこむドットの数が多い分だけシステムの負担も大きく、動作も重い。が、インベーダーが倒されて数が減ると、処理能力にも余裕が生じて、移動スピードや攻撃も速くなる。ハードの弱点となるはずの特性が、逆に展開にスリリングな緩急を与えたのである。」

当時はユーザーも、画面上に巨大なボスキャラクターがうごめいたり、複数の敵キャラが高速に同時に動き回るのをみると、素直に感動したものだ。ゼビウスで描きこまれた地面がスクロールするのを唖然としながら見ていた人も多かった。ゲームってどんどん進化しているなあと言う感覚が日常的にあった。あの80年代の日々がゲーム進化のカンブリア爆発だとすると、高機能・高精細のゲーム環境になれてしまっている現代は進化が停滞している気がするなあ。

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