Books-Economy: 2005年7月アーカイブ

・バリュー・プロフィット・チェーン―顧客・従業員満足を「利益」と連鎖させる
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■企業の価値とは何か、誰にとってのどのような価値か

この本の大意は、顧客と従業員を満足させることと、製品・サービスの価値提供の仕組みを創出することを連動させることで、価値の連鎖を最大化する現代の企業組織の方法論である。

この本がいう価値とは顧客にとっての結果であり、結果を得るまでの過程品質である。

古いマーケティングの言葉に「顧客は四分の一インチのドリルではなく、四分の一インチの穴を買うのだ」というのがある。この言葉の意味は、四分の一インチのドリルの販売を考えている経営者は、低費用で穴を開ける優れた方法を開発している業者の競争相手にはなれない、ということである。ドリルは製品である。ドリルの修理はサービスである。「結果こそが事業である」と定義したとき、その事業は初めて利益の出るものになる。」

顧客は製品やサービスを購入するのではなく、結果を購入する。そしてさらに言えば、結果がもたらされる方法、すなわち「過程品質」をも同時に購入している。この本では(結果+過程品質)÷(価格+顧客のアクセス費用)が価値であると述べられている。

■顧客も従業員も「関係が深いほど価値に貢献する」

顧客は満足度と忠誠度が向上すると企業にとって「敵対者」→「傭兵(浮動票)」→「忠誠者」→「伝播的忠誠者」→「使徒・所有者」へと変化していく。ステップが上がるごとに顧客にとっての生涯価値もあがっていく。他の消費者に対して製品を推奨するようになる。

満足 予測していた以上のものを手に入れる

忠誠 繰り返し購入することで「予算のシェア」を大きくする

コミットメント 忠誠を示すとともに満足したことを他者に話す

伝道者的行動 高い忠誠へと発展して他社の購買を説得する

所有者意識 提供物の継続的な成功への責任を負う

多くの製品・サービスでは伝播的忠誠者や使徒・所有者レベルのヘビーユーザが15%を超えることはないが、彼らは販売額の85%を購入している。この本の試算では10年間で「伝播的忠誠者、使徒・所有者」グループは「傭兵」グループの138倍の価値があるとしている。関係が深いほど価値に貢献するということになる。

従業員のもたらす価値も顧客と同じかそれ以上に重要だとされる。特に生産性の高い従業員の離職は企業に大きな損失をもたらす。経験豊かな自動車ディーラーが新人に代わると生産性が低下し販売に30万ドル以上の累積費用が生じるという。データベースのオラクルのエンジニアが辞職すると代わりの採用と教育に数倍の費用が掛かるらしい。メリルリンチでブローカーが引き抜かれることは、クライアントを失うことにつながり数百万ドルの損失にもなる。

しかし、生産性の低い従業員を長く雇用することの負の効果もある。誰が生産性の低い10%かを見分けて、計画的に離職させていく方針をとって成功する企業もある。従業員には類は友を呼ぶ性質があり、AクラスのプレイヤーはAクラスと共に働きたいと考える。結局、従業員価値を高めるには、「より少なく、よく訓練され、よい給与の従業員が常に勝つ」組織を作ることが大切であるとされる。忠誠や生産性の高い従業員は関係性も深いことも数字で示されている。

■「リーダーシップと経営者」「ビジョンと戦略」「価値観と文化」

こうした関係性や価値を定式化して、従業員価値方程式、パートナー価値方程式、投資家価値方程式、顧客価値方程式などの計算式が示される。

そして、これらの方程式群を最大化し、価値連鎖を生み出す組織の注目ポイントとして「リーダーシップと経営者」「ビジョンと戦略」「価値観と文化」の3つを挙げ、業績の三位一体の総和を最大化せよと説く。価値連鎖を起こす方向にすべてを変革せよということである。

従業員の成功と、顧客やその他の人々の成功とを密接にリンクさせる「組織業績のハードワイアリング」が最も大切な戦略になると結論されている。具体的に取引、戦略、文化、組織の各階層でのハードワイアリングの事例も示されている。

全体的に、とてもたくさんの有名な企業ケース(IBM、セメックス、シスコ、GE、ウォルマートなど)が示されていて、理論の理解もわかりやすい。従来の経営指標では隠れてしまう顧客、従業員の関係性に着目し、それらを価値連鎖に向けて全体最適化すべきだというのが要旨となるだろう。

この本には登場しないが、SNSや社員ブログ、顧客ブログはこうした指標に密接に関わってくるようにも思った。新聞に発表されるような単純な会員数や社員数、売り上げや利益では計ることができない部分があるというのは特にネット企業の評価において、多くの人が気がついていることだろう。同じ100万人の会員を持つ100人の社員の組織でも、内実はまったく異なる。従業員や顧客の関係性の濃さ、価値創出への噛み合い方をどのように見極めるかが、これからの経営の鍵になるというのは間違いないだろうと思った。

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