Books-Education: 2005年2月アーカイブ

・ハーバードからの贈り物
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味わい深い本。

ハーバード大学ビジネススクールでは、最終講義で教授が、これから世界に羽ばたく卒業生に向けて、特別な送る言葉を話す伝統があるそうだ。この本はその特別なメッセージだけを15人分、エッセイとして文章化し収録している。

・ビジネスの成功に必要なものはなにか?

・どういう生き方をすべきか?

・人生の岐路にたったときどう決断すべきか?

贈る言葉はどれも想いが込められていて感動的。

登山の遭難体験で知った本当に大切なものについて語る教授。貧しかったけれども誰よりも尊敬できる生き方をした自分の母親について語る教授。高い地位につくとはどういうことか戒めを語る教授。

企業会計の選択授業でハーバード1,2の人気を争うヘンリー・B・ライリング教授は、ビジネスで成功する能力として5つを挙げた。

1 失望から立ち直る能力
2 運に恵まれていることを知ること
3 リーダーシップの資質
4 公正さ
5 判断力

感動的なエピソードでなぜそれが必要なのかを語る。ぐっときた。

この本を読むと「初心」に戻らされる。背筋をピンと伸ばしたくなる。目頭が熱くなる話もある。

私はハーバードと関係ないわけだけれども、こうした贈り物をもらったことがある。高校を1年で中退したときのこと。一番私に良くしてくれた英語教師のF先生が退学した私に一枚の葉書を送ってくれた。

そこに書いてあったことば。

「人生我以外皆師也」

葉書を頂いたときには、意味がよく分からなかった。でも、齢を重ねるごとに先生は私のことを本当によくわかってくださっていたのだなと思うようになった。私のゴーイングマイウェイな性格に対して「オマエ、人の話をよく聞けよ」ということであり、退学した学生に対して「どんな環境でも学ぼうと思えば学べるぞ」という、見事に適切な、送る言葉だったのだと大人になってから気がついた。

昔話のように書いてしまったけれど、

今は人の話をよく聞けるようになったのか?

自問自答してみると、さあ、よく分からない。分からないけれど、高校生だった私には「尊敬する人」がいなかった。でも今は何人かいる。その違いは大きいと感じる。

偶然にも上述のヘンリー・B・ライリング教授は「賢者は経験から学ぶが、真の賢者は他人の経験から学ぶ」とも書いている。これからの人に贈る言葉の定番なのかもしれない。そして、この本には価値ある「他人の経験」のエッセンスが集約されている。

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