Books-Internet: 2006年3月アーカイブ

・開発者のための実装系Webソースコードマガジン CodeZine(コードジン)傑作選 Vol.1CodeZine BOOKS
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まだインターネットがなかった頃、趣味独学でプログラミングを勉強するのは、今よりもずっと大変だった気がする。まず周りにパソコン(マイコン)ユーザがいない。聞く手段もない。書籍も少ない。だから、問題に突き当たり、一度止まってしまうと、一人悶々と悩んでいた記憶がある。

学習としては一人で悩んだ時間も価値があったとは思う。しかし、ひとつの問題解決のために1ヶ月や2ヶ月は、コーディングが止まってしまっていた。Webでサービスを公開し、ユーザの意見を取り込みながら作りこんでいくような、リアルタイム実装には向いていないやり方だと思う。

実装で大切なのは一人で悩まないことな気がする。

CodeZine BOOKSは、言語や目的ごとに整理された、コミュニティ参加型のプログラミング情報サイト。ほとんどの言語とツールについて、解説記事とサンプルコードが大量に投稿されている。参加者数は12000人を超えている。

・プログラミング・開発者・ソースコード CodeZine
http://codezine.jp/

このサイトでの人気記事40本をムック化した第1弾がこの本である。

概要:

1 Java編(JakartaPOIでExcel形式の帳票を出力する
外部のRSSフィードを自サイトで公開する
iTextを利用してJavaからPDF形式の帳票を出力する ほか)
2 Windows編(.NETによるプラグイン機能を持つテキストエディタの作成
DataGridにComboBoxを表示可能な列を作る
.NETとAIでスパムボットに対抗する ほか)
3 Web&Tools編(ADOdbでサクサクDBアクセス
モジュールを使わないシンプルなアクセスカウンタ
コマンドの出力をtop風に表示させるtopless ほか

Codezineのサイトには、印刷機能ボタンがあって、記事ごとに使われた回数が閲覧数と並んで表示されている。ネット時代とはいえ、紙に印刷して落ち着いて読むと頭に入りやすいものだ。この紙の電子化ならぬ電子情報のパルプ化はかなり意味があるように思えた。興味がない記事も紙だと飛ばさずについつい読んでしまう。知識を広げるのにも役立った。

この号ではJavaと.Netの話題が中心だった。PerlやPHPの特集も出ないかな。

関連:

コード解説記事は手元において整理しておきたいとも思った。

JavaScriptのサンプルコードをたくさん集めて収録し、検索できるフリーソフトをみつけた。JavaScript Collectorには、Webプログラミングでよく使われるJavaScriptコード例が、キーワード別に200個登録されており、検索も可能だ。ずばりのコードが見つかれば、コピーアンドペーストですぐ使える。Codezineもこんなアプリケーションになったらさらに便利だと思う。

・JavaScript Collector
http://www.greencow.se/jsc_index.shtml
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・俺流amazonの作り方―Amazon Webサービス最新活用テクニック
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Amazon Webサービス(AWS、ECS)を使って、自前のサイトを作りたい人向けの開発ガイド。開発言語はPerl。商品の検索、類似商品の表示、商品カテゴリの表示、リスト情報の利用、ショッピングカーとの操作など、Webサービス経由でAmazonのあらゆる機能や情報を取得して、自分のサイト上に組み込む手法が示されている。最新の技術情報やコーディングノウハウがたくさんみつかって役立つ。

Amazonの情報は膨大で、商品画像、価格情報、ユーザレビューなど使える情報が豊富にある。短いコードを追加するだけで、自分のテストサイトが、情報でにぎわう。コードを試しながらワクワクしてしまう。さあ、何ができるだろうか?。

実はそのアイデアが結構難しい。

Amazonの機能をWebサービス経由でフルに使って自分のサイトに実装できても、アイデアがなければ、単にAmazonのコピーサイト、劣化サイトを作り出すに過ぎない。Amazonというサイトは長年のユーザフィードバックで、既にかなりよく作りこまれている。その完成度を超えることは真正面からでは難しい。

著者は、Amazonにはない魅力を持つサイトを作成するために、次のような戦略を提案している。

・Amazonとほかのサイト情報を組み合わせる
・特定の利用者にターゲットを絞る(セレクトショップ
・情報を加工して表示する(ランキング推移のグラフ表示など)

米国のWebサービスの開発者向けのブログがこうした創意工夫をワールドレベルで見られて楽しい。

・Amazon Web Services Blog
http://aws.typepad.com/aws/

このブログには「Cool Sites」カテゴリがあって、AWSを使ってユーザが開発したサイトが紹介されている。まさにAmazon Webサービスのショウルーム。

・Amazon Web Services Blog: Cool Sites
http://aws.typepad.com/aws/cool_sites/index.html

3つほど面白いと感じたサイトをピックアップしてみた。

・Track Amazon price changes With RSS Feeds
http://www.rsstalker.com/
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指定した商品の価格の推移をRSSとして配信してくれる。値段が安くなったら買おう思っている商品があったらチャンスを見逃さない。

・AMZ Dashboards
http://www.amzlists.com/amazondashboards/main.cfm
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Amazonにおける人気商品ランキングや、ユーザ評価の星の分布、肯定的評価と否定的評価の数などを時系列でグラフ化する。

・S M A R K E T S :: Salesrank Markets
http://www.smarkets.net/
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SmarketsはAmazonで販売されている商品を仮想的な株式とみなし、売り上げランキングを株価とみなす。ユーザは売れそうな商品の株を売り買いする。新製品がどれくらい売れるかを予想するゲームなので、マーケティングを仕事にする人間にはいいトレーニングになりそうだ。

関連:

・Amazon アソシエイト・プログラム ブログ
http://aws.typepad.com/assoc_jp/

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http://japanese.joelonsoftware.com/

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http://japanese.joelonsoftware.com/Articles/TheJoelTest.html

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Web2.0 BOOK

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・Web2.0 BOOK
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いい本が出ました。


第二世代インターネットの波に乗り遅れるな!

ロングテール、マッシュアップ、マルチプラットフォーム、ユーザー参加のアーキテクチャなど、Web2.0のポイントを、豊富な図解でやさしく解説。Web2.0的なやりかたとはどのようなものかを、米国、日本の豊富なビジネス事例や、企業インタビュー等も盛り込み、読み解いていく。Syndicateカンファレンスレポートなど、米国&日本Web2.0企業の最新情報も満載!

冒頭の「刊行によせて」には次のような書評を書かせていただきましたので、このブログでも、そのまま紹介します。

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「Web2.0」の時代がきたというのはWebエンジニアの素直な感慨なのだと思う。

ここ数年でインターネットテクノロジーには大きな変化があった。XMLメタデータやWebサービス技術の浸透、端末やサーバの高機能化、そしてWeb系技術の標準化が進んだ。以前はむずかしかったWeb同士の連携だとか、デスクトップアプリのようなWebアプリ開発が容易になった。

それはエンジニアが作りたいものを作りやすくなったということであり、マネージャーが発想を形にすることが容易になったということでもある。Web2.0の時代はアイデアが勝負のクリエイティブ・エンジニアリングの時代だと私は考えている。

著者の後藤氏は、シリコンバレーでの活躍後、国内で数々のネットベンチャーを孵化させてきた技術者であり、経営者である。この本にはWeb2.0がビジネスとテクノロジーの両方に与えるインパクトが、事例も豊富に示されている。これからのインターネットビジネスを考えるための絶好のネタ帳だ。

(データセクション株式会社 代表取締役 橋本大也)

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Web2.0のキーワードが全部入り、です。

Web2.0って何?と、Webを探していっても、情報が錯綜していて、余計わからないものですが、この本を最初から最後まで読めば、間違いなくキーワードは網羅的におさえられるでしょう。関連URLも多数紹介されるので、Web2.0の実物を確認していけば理解がさらに進められます。

エンジニア、ビジネスマネージャー、プロデューサー、アナリストなど、どの立場で読んでも参考になる本です。

・メタデータ技術とセマンティックウェブ
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いまネット技術でキーワードの「Web2.0」とも関係が深いメタデータとセマンティックウェブについて書かれた研究書。主に理系の学部生向けレベルの入門の難易度。RSSやWebサービスのAPIをいじるのは楽しいが、より深いレベルで技術を理解したい人も増えたはずの今、タイムリーな刊行(2006年1月出版)。

目次:

序章 メタデータのもたらすものとは

第�T部 メタデータ
 第1章 メタデータアーキテクチャ
 第2章 標準化の流れ
 第3章 メタデータ基本技術とその背景

第�U部 セマンティックウェブ
 第4章 セマンティックウェブの意義
 第5章 メタデータ記述言語RDF
 第6章 オントロジ記述言語OWL

第�V部 メタデータ応用
 第7章 デジタル時代のメタデータ流通
 第8章 NIメタデータ流通システム NI日本ノード構築にむけて
 第9章 電子政府
 第10章 学術情報流通とメタデータ
 第11章 新聞社のメタデータ技術への対応  NewsMLを中心に
 第12章 サーバ型放送とメタデータ
 第13章 デジタルシネマのメタデータ流通


各章では主要技術の概略や応用事例が簡潔にまとめられている。各技術の詳細を知りたい場合は別の専門書が必要だが、コード例や概念図などが挙げられて、”感じ”はつかめる。

いくつか参考になる考え方を知った。

ひとつは、メタデータに共通の要求条件とは何か。

メタデータに共通の要求条件:

1 更新性 常に最新の状態を示すこと
2 常時性 いつでも即手に入ること
3 同報性 多数の人が同時に手に入ること
4 一覧性 一度に見られること
5 ターゲット適合性 役に立つときに役に立つ人が使えること
6 コンテンツ密着性 いつでも取り出せること

このリストは、そのメタデータ技術がイケてるか、イケてないか判断する材料として使えそうである。また、メタデータの用途種別として、制作、存在、検索、権利・許諾、流通・配信、利用・評価という6種類があるという表も参考になった。メタデータの設計に使える知識である。

そして流通の前後では事前に静的に付与されるデータと、事後に動的に付与されるデータという分け方もあった。私は機械が付与するものと人間が付与するものという分け方をしていたが、こちらの方が意味がある分類だと納得。

この本には、実にさまざまなメタデータが登場するが、今のところWebで成功しているのはRSSのように記述が簡単で構文解析が容易なライトウェイト系と言えると思う。より本格的ではあるはずのMPEG7やOWLのフルバージョンなどヘビーウェイト系は流行の兆しがない。

項目が多くて階層が深い設計のヘビー系は、表現力は豊かな分、作成コストも学習コストも高い。あまりに厳格な記法では、ネット上のラフ(いい加減)な実装系が処理できない。ライトでラフでは信頼性が疑わしいと長い間考えられてきたが、最近はネット上の市場原理、自然淘汰で信頼性の問題も解決できそうな希望も見えてきた。

少数の専門家が中央集権的に付与するメタデータの時代から、多数の一般ユーザが分散的に付与するメタデータの時代になったように思える。流通ボリュームの観点からすれば、現在は勝手にユーザがメタデータをつける「勝手メタ」の時代である。本書のような「正しいメタデータ」本と並んで、「勝手メタ」の扱い方の研究本もそろそろ必要なのではないだろうか。

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