Books-Internet: 2010年2月アーカイブ

マイコンとファミコンにどっぷりつかった8ビット世代なら楽しめる漫画を2冊。

・8bit年代記
61jUBSBkGrL__SL500_AA240_.jpg

ゾルゲ市蔵氏による80年代年代記の形をとった自伝マンガ。日本のデジタルコンテンツ第一世代が、薄暗いゲーセンと低解像度な画面で過ごした青春回想。30代から40代でパソコンをやっていた人は懐かしさに浸れるはず。

インベーダー、ゼビウス、MZ-700、X1、スペースハリアー、そういえば80年代は画面背景は常に黒だったなあ。日本のネット黎明期、人気のISPベッコアメの背景が黒だったため、どことなくWebにも、アングラ、サブカルなイメージがあったなあと、今振り返ると思う。"黎明"っていうけれども、ゲーセンにせよ、8Bitパソコンにせよ、ビデオゲームにせよ、薄暗がりの中から、次世代のコンテンツが立ち上がってくる法則ってないだろうか。ないですか?。

・ピコピコ少年
picopicoshounen.jpg

「●ファミコン中毒のきっかけとなった少女との淡い出会い「初恋少年」/●ユートピアだったあの駄菓子屋は今?「駄菓子屋少年」/●FFV発売を待つ列の先頭での恐怖の一夜「行列少年」/●俺のBrand New Heartはどこに?「センチメンタルハート少年」/●雨の日に最高に贅沢にプレイする方法「秘密の城少年」......みんな実話です!!」

こちらもダメ人間感漂う80年代期。日本の"ビーイング・デジタル"の実像ってこんな風だと思う。ニコポンがいうような高尚なものじゃなかったはず。こうした原体験を共有する世代が、いまコンテンツ産業の中核になろうとしている。日本のアニメには弱者への優しさや強すぎない正義感が織り込まれている気がするのだけれど、それは制作者たちがこういうマイノリティ文化の出身だからというのは大いにあるんじゃないだろうか。

ところで、この本には登場しないが、80年代にはレンタルソフト屋という業態が存在していた。レンタルビデオと同じように、市販のパソコン用ソフト(多くはゲーム)を2泊3日500円くらいで貸し出すという商売だ。5000円とか1万円以上もするゲームソフトやビジネスソフトが、そんなに安く手に入るのだから、当時のマイコンオタクたちはレンタルソフトを愛用していた。今なら「それって違法じゃ?」と思うわけだが、当時はソフトウェアをめぐる法律がはっきりしておらず、レンタルソフト屋さんはレンタルビデオと同じように、表の舞台で営業していた。ああいうのの内幕を描いた作品誰か描かないかな。最後どうなったんだろ?