Books-Internet: 2010年6月アーカイブ

・ツイッターノミクス TwitterNomics
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誰かに「ウッフィー、どお?」と挨拶代わりに聞かれるようなら、ウェブ2.0世界でしっかり受け入れられている証拠。「ウッフィー」の感覚こそ、ウェブの中でお金より価値がある通貨であり、ソーシャルキャピタルの指標である。そのためには、ネットのコミュニティで好かれること、つながること、一目置かれることを意識しなさい、というWeb戦略の本。企業とコミュニティの関係について非常に啓蒙的な内容。

ウッフィー・リッチになる原則として著者は次の5つのリストを繰り返し示す。

1 大声でわめくのはやめ、まずは聞くことから始める
2 コミュニティの一員になり、顧客との信頼関係を築く
3 わくわくするような体験を創造し、注目を集める
4 無秩序もよしとし、計画や管理にこだわらない
5 高い目標を見つける

企業がツイッターやフェイスブック、ブログをどう使うべきかという本ではあるが、各ツールについての本ではない。それらを使っていかにウッフィーを増やすかを論じる。増やすべきはビジター数でも売り上げでもないというのがポイントなのだ。もちろん何らかの指標は参照しなけれなならないが、

「たとえば、さきほどの「助け合いの文化」ということで言えば、新規登録会員の数はさほど意味を持たない。だが、既存会員が紹介した新会員の数なら、意味がある。こちらの数字は、既存の会員がサービスに満足しており、友達を誘ってもいいと考えていることを表わすからだ。」

というように、他にも多くのサイトの達成度とすべき指標が挙げられている。旧タイプのウェブマーケティングをやっている会社はまず読むべきだ。

「ソーシャルキャピタルは大きく二種類に分けられるという。第一は、ボンド・キャピタル。密着型の関係から生まれるソーシャル・キャピタルで、家族や親しい友人などとの信頼と愛情で結ばれた深い絆が、これに該当する。生きるか死ぬかの瀬戸際で頼りになるのは、これだ。ボンド・キャピタルは、生活をするうえでも、また心の安寧を得るうえでも、欠かせない。これに対して、ブリッジ・キャピタルは、広く社会における対人関係から生まれるソーシャルキャピタルである。 これに対して、ブリッジ・キャピタルは、広く社会における対人関係から生まれるソーシャル・キャピタルである。均質な環境から外に目を向け、新しい人と知り合って信頼を獲得するとき、ブリッジ・キャピタルが生まれる。パットナムによれば、ブリッジ・キャピタルは「これまで接触のなかった外の世界とのルートをつくり、情報を発信する」のに役立つという。ブリッジ・キャピタルは社会の潤滑剤であり、「懐を拡げ、持ちつ持たれつの関係作りをする働きがある」」

日米のソーシャルネットワークを見ていると、どうも米国の方がブリッジキャピタルが充実しているように思える。日本はリアルな学校や会社の仲間とつながってクローズドな日記を見せ合うが、米国ではそれに加えて積極的に外にネットワークを拡大している人が多いように見える。米国のフェイスブックの、グーグルに迫る勢いは、一般的信頼性が高いコミュニティのウッフィーパワーによるものなのではないかと思った。