Books-Managementの最近のブログ記事

・一冊のノートで始める力・続ける力をつける―人生も仕事もうまくいくアイデアマラソン発想法
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ここ数年実践している「アイデアマラソン」メソッドの創始者、樋口さんの最新刊。

「新しいことをしようとする場合の、基本の原案は、どうもパソコンよりも、ノートの方が使いやすい。計画の内容がどんどん詳細になっていってペンで細かく追記して、詳細計画の項目の肩が触れ合うような緻密な計画になってくる。」

写真術の本でデジタルカメラよりもフィルムカメラの方が、フィルムを惜しんで一枚一枚構図や露出をを考えて写すから、上達が早くなるという話を読んだことがある(逆だという人もいるが。)。メモに置き換えると、パソコンで書いた文字は簡単に消せるが、ノートにペンで書くと消せない、という違いも大きいと思う。ノートに書くときの方が、なんとか形にしなければいけないという想いが強く作用すると思う。

ペンや紙との摩擦を手に感じる身体性や、視線の方向の違い(ノートは下を向く、PCモニターは正面を向く)も大きそうだ。どちらがよいというよりも、発想に詰まったら方法を柔軟に変えてみるのがいいのかもしれない。

なんでもデジタルで処理することが先進的な時代は終わった。今は上手にアナログとデジタルの使い分けができることが大切だ。この本ではアイデアマラソン実践に際して、紙のツールとしてのノートを、デジタルのツールとどう融合させて使っていくかが書かれている。

たとえば「仕事でも、待ち時間が決まっているような場合には、その短い時間に、簡単に処理ができる仕事を挟む。たとえば、パソコンのスイッチを入れる前に、ノートを拡げる。ノートを拡げ終わってペンを取り、それからパソコンのスイッチをいれるのだ。そうすれば、パソコンが立ち上がるまでの電子の速度としては異常に長い数分間を、ノートを見ていて思考する時間に充当できる。」。

これは私も最近実践を始めたノウハウだった。付箋とノートを身の回りに偏在させる。会社と自宅で1日2回PCを起動させるので、1日2つ月に数十本はアイデアを増やすことができる仕組みだ。大した発想がでなくても作業前の脳のアイドリングになる。

無駄なコピー印刷は減らすべきだが、アイデアを書きだすメモやノートは、過剰なくらい用意して、オフィスや自宅に置いておくというのが2台目のパソコンを買うよりもずっと安くてずっと効果がありそうだ。

始める、続けるということが主軸のまとめ方なので、季節柄フレッシュマンに特におすすめの一冊である。

・普通の手書きメモがデジタルに エアペン アイデマアラソン スターターキット
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/005043.html

・企画がスラスラ湧いてくる アイデアマラソン発想法
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/000904.html

・「金のアイデアを生む方法 "ひらめき"体質に変わる本
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004920.html

・つい口に出る「微妙」な日本語 その言い方は他人にどう聞こえているか
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著者は、ビジネスパースンや学生を対象に200件の聞き取り取材を行って「耳障りな言葉」と「自分でも言うことがある語句」の両面で「微妙な日本語」を選び出した。たとえば第一章で紹介されているのは、「微妙」、「とりあえず」、「かもしれない」、「一応」、「ちょっと」、「できれば」、「思われます」、「〜なはずですけど」、「〜という可能性も否定できない」。出現度と不快度を5つ星でそれぞれの言葉が評価されている。

後半にでてきた「ある意味」、「逆に言うと」、「要は」。これも私が一日のうちに何度も使ってしまう微妙語である。微妙語のほとんどはそれがなくても意味が通じるばかりか、ないほうが明確になるものが多い。

自分の言葉づかいを振り返って、諸問題の一因となっている言葉が、この本にでていた「難しいですねえ」である。何らかの仕事を「お願いできますか?」と聞かれると「できません」「不可能です」と言わずに、ついつい「難しいですね」と言ってしまうのだ。相手の困った顔をするのを見たくないと思うあまり、完全否定の言葉を出すことができず、とりあえず「難しい」と一応いうのだが...。

「お願いする側は必死ですから「難しい」と言われれば一縷の望みを捨て切れずに食い下がってきます。<中略>それでも、できないことははっきり言って差し上げる必要はあると思います。そうでないと、相手だって代替案の検討など、先に進めなくなってしまいます。また、足元を見て高い条件を吹っかけようとしていると勘繰るかもしれません。」

口に出す言葉というのは短くするとぶっきらぼうな印象を与えがちである。それを回避するために、意味的には不要な言葉を挟んでみるわけだが、NOをYESにすることはできないのだから、それは使い手の優しさとはいえないわけである。はっきり言ってあげた方が仕事では適切なのだ。

逆に長いほどよさそうなのが、ほめ言葉である。この本と同時にこれを読んでいた。

・「ほめ言葉」最強の一発変換!
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「「マメだね」を「リスク管理、きっちりできてるね」に、「ダンドリがいいね」を「仕事の全体像をイメージできてるね」に…。「ほめる」ことに慣れていない人がつい言ってしまいがちな言葉を、効果的なフレーズに変換して紹介。 」

実用予定なので、あまり中身を紹介したくないのだが(笑)、ほめ上手になるための、褒め言葉長文化テクニックが多数紹介されている。

・伝説のプラモ屋―田宮模型をつくった人々
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世界最大のプラモデルメーカー田宮模型を育てた伝説の2代目社長が語る田宮模型の歴史。この社長自身が模型が好き好きでしょうがない、こだわりを持った人である。だから製品開発で「数字にしたら0.7〜0.8ミリの誤差。私が感じた「何となく厭だ」を是正するのに要する費用は数千万円。時間は丸一年以上だった。」なんてこともよく起きる。

・1/48 フェアリーソードフィッシュMk.II
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数あるモデルの中でも、社長が「世界に誇れる名プラモデル」というのがこのフェアリーソードフィッシュ。

あの小さな兵士のフィギュアにも物凄いこだわりがあった。「もっとも、35分の1という小さな人形のモデルの表情にこんなにこだわったところで、何人の人が価値をみいだしてくれるか、はなはだ疑問だ。が、たとえ一万人にひとりであれ、違いに気づいてニンマリと笑みをうかべてくれる人がいれば、本望である」。

田宮模型の社史をたどって興味深く感じるのは、これだけ本業のプラモデルに思い入れをもっているにも関わらず、会社の危機を救ったり、急成長の原動力になった製品はプラモデルではないということだ。

昭和30年代に玩具用金型を流用してつくった小さなレースカーが最初の大当たりをだして大赤字の会社を再生させた。そしてラジコンカー、ミニ四駆(1億数千万台も売れた)など、プラモデルを追求していく過程で技術を応用してつくった製品が大ヒットとなっている。そうして儲けたお金をプラモデルの完成度を高めるのに回す。製造現場のクラフツマンシップと経営者のマーケティング発想が、理想的な相互作用をしてきた会社といえるのではないだろうか。クラフツマンシップだけだったら今の田宮模型はなかっただろう。

パッケージの重要性にいち早く気がついたのも田宮模型であった。当時すでに大物の作家だった小松崎茂に頼み込んで箱の絵を描いてもらうことで差別化をはかっている。私も子供時代にいくつか田宮の戦車を作った記憶がある。(その後ガンプラにいってしまうのだが。)。パッケージが本格派っぽくて惹かれた。

・小松崎茂―プラモデル・パッケージの世界
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この本は決して成功者の昔話に終わっていない。社長は70歳を超えたが21世紀以降も、世界を舞台に不断の挑戦をし続けていることが紹介されている。ホームページの充実ぶりを見ても、いつまたミニ四駆クラスの大ヒットがでてもおかしくないくらい雰囲気を感じる。

・★★TAMIYA INC. 株式会社タミヤ
http://www.tamiya.com/japan/j-home.htm

日本が誇れる会社の中身を知ることができて経営の勉強になった。

人ったらし

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・人ったらし
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コミュニケーションやプレゼンテーションのスキル本を読んでいて、ときどき強い違和感を覚えることがある。個性を無視して皆をひとつの理想型に押し込めようとしているように思えるのだ。明るく前向きな性格で、論理的に考えることができて、ハキハキと要領よく喋れる人がエラいという理想。ところが、現実の社会では必ずしもそういう「デキる人」が牛耳ってはいない気がする。個人的な観察では、そういうスキルで成り上がれるのは組織の、中くらいまでのポジションなのではなかろうか、と思う。

この本は「デキる人」の対極の、ダメな「人ったらし」の最強列伝である。桑田佳祐、吉行淳之介、アントニオ猪木、色川武大、希代の詐欺師など、たくさんの人ったらしの実話が紹介されている。

「あの人、いい人ね」。そんなことをいわれて喜ぶのは鈍い人間だけだ。「いい人ね」は「いてもいなくても、いい人ね」の同義語くらいに思った方がいい。「いい人ね」といわれたら、無能の烙印を押されたと思って、「このままじゃ、オレもオシマイだ!」くらいの危機感を持った方がいい。悪い奴とまでいわれる必要はない。しかし、「油断のならない奴だな」とか「一筋縄ではいかない奴」と陰口を叩かれてこそ一人前であり、ようやく「人ったらし」の域に達したといっていいだろう。」

規格化された能力のデキる人というのはリプレイスが可能だが、個性そのものを強みとする、人ったらしは取替え不能なのでもある。「あの人だからしょうがない」と愛され、人が集まってきてしまうのが「人ったらし」なわけである。

この本はそういう人ったらし養成のスキルの本ではない。知らないときは素直に「それ、知りません」と言おう、とか、「オネーさん、お水ね」「やっと会えたね」「女房には負けますよ、エッヘヘヘ」「オレ、死んじゃうよ」「なあんか、やばいらしいよ」なんてフレーズが人ったらしの特徴だとか、「人ったらし」指南も少しはあるのだが、基本的には事例集である。有名人たちの、あー、それをやられたら、確かに心に響くねという話が多い。

うまれつきの性格も大きそうだが、著者曰くサラリーマンより店屋の子供に人ったらしが多いという。親の働く姿を見て自然に、人のこころのつかみ方、あしらい方を身に着けるから、らしい。たぶん、誰しもが人間的な魅力を持っているのだろうけれど、それを愛嬌として表に自然に出せる人というのは稀なのだ。それって研究しても、真似ができるようなできないような。

画一的なコミュニケーション・スキル向上に違和感を持つ人におすすめ。

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人はカネで9割動く

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・人はカネで9割動く
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身もフタもなく、いやらしい、実践的な処世術の本。

「「金の価値」は、それをつかう人間の全人格ーいや演出によって何倍もの価値を生めば、捨て金にもなる」というのが著者の持論である。

たとえば同じ金額を誰かに渡すにしても、その渡し方の演出次第で費用対効果は異なる。この本の例では、同じ一万円でも「これで酒でも飲んでくれ」と言えばケチだが「お茶でも飲んでくれ」と言えば太っ腹だと思われるだろうという。チップならば帰り際に渡しても自分はいなくなるのだから無意味だから最初に渡す。しかも、毎回ではなく渡したり渡さなかったりすれば待遇はさらによくなる。といったような、同じ投資で相手にたっぷり恩に着せ、ありがたがってもらう「生き金」の使い方のノウハウを指南している。

とにかく、わかりやすくて、どぎつい。

目次を抜粋すると、

・ああ見えてもいい人なんだと思わせる金づかい
・相手を優位に立たせない接待の受け方
・祝い金は誰よりも早く、援助金は誰よりも遅く
・報酬は折半せず、相手の取り分は三割以下にすること
・落ち目の人間を選び、居酒屋で酎ハイをおごる
・評判をあげたければ礼金に金をかけること
・顔だけ出して、わざわざ来てくれたんだと思わせる
・頼まれ事には即答せず”値打ち”をつける
・カバンや小物へのこだわりが相手の気を呑む

などなど、これでもかとお金の効用最大化の術がある。。

この本には「成功者だけが知っている「生き金」のつかい方」という副題があるが、取り上げられる「成功者」とは、暴力団幹部、売れっ子ホスト、政治家、やり手経営者など、シビアな現実を生き抜く実践の知恵が紹介されている。人の葬式を印象操作の場として利用する方法まである。

投資に対する効用を最大化する経営者的な視点は、万人が知っていてもよいことだと思った。お金のやり取りは言葉や態度で示さないと意図が伝わらず、無用なトラブルをまねいてしまうことがあるのも事実。

だが「感謝の薄い金は死に金」というルールを、一般生活で使いまくると、下心が見抜かれて逆効果にもなるだろう。本来、本当のやさしさや誠意っていうのはメタレベルで伝わるものだよなあ、とも思った。

ベタで実践的な内容はとても面白かった。いわば「汚い大人読本」である。

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・たった2分で人の心をつかむ話し方(CD付)
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今月末に結婚式のスピーチを頼まれているのでノウハウを研究中。この本はよかった。

「長すぎる話は聞いてもらえません。人が話を聞く限界は3分といわれています。ですから、それ以上の長すぎる話は、最後まで聞いてもらえない可能性があります。「5分で話をしてください」とか、「話す時間は5分準備しております」というのであれば、聞き手もそのつもりで集中するかも知れませんが、それでも内容は3分以内にまとめるべきです。たとえば1時間の講演を頼まれた場合は、持ち時間は60分ですから単純に3分の話を20回すればいいわけです。」

「人民の、人民による、人民のための」で有名な、リンカーンのゲティスバーグ演説も、実際には、たった2分間の演説だったそうである。長い話を、小さなネタの連続としてとらえる発想は目から鱗であった。

そして、無駄を削ること。何を話すかと同じくらい、何を話さないか、が大切なわけである。話し方の「かきくけこの法則」という原則が最初に示される。

か 簡単(短く)・明瞭に
き 起承転結(序論・本論・結論)
く 具体的(体験・実例)に
け 結論をはっきりと
こ 言葉に気配りを

事前に話の材料を集めて、全体構造を設計し、それを意識しながら話しなさいということだろう。準備が十分だと余裕が生まれる。人を笑わせたり、驚かせたり、アドリブで楽しませるということもできるようになる。

「仕事・趣味・特技についてもう少し説明を加えるなら「ユーモアを交えて話す」ということです。たとえば「私は手品を趣味にしておりますが、タネはすぐばれるのが特徴です」と言えば面白くなります。こう言うと、聞き手は「タネがばれる」ということより、「手品をやっている」ということがより印象に残るものです。」」

笑いをとると同時に、聞く人の記憶への定着を促進するという高度な技だなあと感心した。CDに収録されている多数のサンプルも素晴らしい。話し方教室の先生と生徒の実演集で、確かに引き込まれる。本の実践イメージが明確になる。

「4つの箇条書き程度のものをポケットに入れて、どういうふうに話すのかではなく、何を話すのかを頭に入れておけば大丈夫です。」

「一番後ろの人に向かって声をかけるようなつもりで話すことです。そうすると自然に声も前に出ます。」

「ですから、相手の眼をストレートに見ないで、額や口元、目の付近を見るということがポイントです。聞き手側からすれば、それで十分見られているという感じがするのです。」

どれも知りたかったことで、参考になった。

・「頭がいい人」が武器にする 1分で話をまとめる技術
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004383.html

・「感じがいい」と言われる人の話し方
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004992.html

・話し方の技術が面白いほど身につく本
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/001029.html

・人生を変える黄金のスピーチ〈上〉準備編―自信と勇気、魅力を引き出す「話し方」の極意
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/001456.html

・人生を変える黄金のスピーチ〈下〉実践編―自信と勇気、魅力を引き出す「話し方」の極意
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/002404.html

・人を10分ひきつける話す力
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/003857.html

・「できる人」の話し方、その見逃せない法則
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・ハーバード流「話す力」の伸ばし方!―仕事で120%の成果を出す最強の会話術
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・その場で話をまとめる技術―営業のカリスマがその秘密を大公開!
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/003713.html

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人を動かす情報術

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・人を動かす情報術
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「「情報」の力が意思決定させるものであるとするならば、はたして、携帯やパソコンを使って意思決定のために大量の情報を受け取っている人々は、情報の力を享受していると言えるのだろうか。誤解を恐れずに言えば、それは情報の力を利用することではなく、実は情報を受け取る側が、情報の力の対象になっているにしかすぎないと筆者は考える。
「情報の力を利用すること」、それは「情報により個人や組織が意思決定する」ことではなく、「情報に基づき個人や組織に意思決定させること」である。つまり、情報は人々に意思決定を「させる」ことによってこそ、世界を変えてしまう力を持つのである。」

受動的な情報分析ノウハウではなく、人を動かすための能動的な「情報スタイリング」についての本である。情報が伝達される時間的、空間的な範囲「情報ステージ」に応じて、最も影響力のある情報発信は何かを、認知心理学や社会学などの研究成果に触れながら、ポイントを解説している。

ブログなどで情報発信を始めた多くの人が経験から学ぶこととして、著者がいう「大衆は理解できる情報の量が少ないということではなく、本質的に多くの人間が共通して理解できる部分は、人が増えれば増えるほど少なくなるということなのである。」ということがあるなと思う。読者が増えれば増えるほど、読者と共有する前提が少なくなる。読者が少なかったうちは書いても問題にならなかった表現が、しだいに問題になったりもする。

情報発信のスタイリングというのは、個人の情報発信者にとっても大切なノウハウになりつつある。言わば戦略的な情報操作といえるかもしれない。「歪んだ基準を与える」「不確実性を利用する」「レモン一個分というレトリック」「明るい名前、暗い名前」「耳に残るCMソング」など、集団という対象に対する表現法が紹介されている。

他にも読みどころが満載の本である。マクルーハンのメディア論、シャノンの情報理論などの古典から、ここ数十年のメディアの歴史の総括、最新のブログ、ミクシイ、2ちゃんねる論など、とても幅広く現代における情報について話題を網羅している。3冊くらいにわけてもよかったくらい話題がたっぷりである。

「情報社会で確実に増加しているのは、情報そのものではなく、あくまでも情報の表現なのである。決して、情報の意味が増加しているというわけではない」という。情報の表現(たとえばブログの数)が増えれば増えるほど、受け手は混乱する。少数の情報発信者と多数の受信者というモデルから、発信受信ともに多数という状況で、発信者が取るべき戦略とは何かを考える材料が、この本にはいくつかみつかった。

・アタマにくる一言へのとっさの対応術
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言葉の合気道の本。

言われっぱなしはゴメンだが相手と争うのも賢くはない。

「大事なことは、相手の期待どおりに反応しないことです。とくに「相手が失礼な態度をとったのだから、ただじゃおかないわ」といった、ありきたりの復讐気分にひきずられるのは最悪です。そうではなくて、この出来事をひとまず距離をおいて冷静にながめてみましょう。たとえば「相手が私に対して失礼な態度をとったわ。これはなにか新しいことを試してみる絶好のチャンスなんだわ」といったように。好奇心をもつことが、あなたの精神衛生にとってはベストなのです。奇妙な人間を相手にするという新鮮さを発見してください。世界はあなたが実験をするためにあるのです。」

挑発に乗らず、相手を空回りさせることが、よい対処であるという。真正面から言い返してしまっては、相手の思うつぼであるし、心理的にも縛られてしまう。「あなたはちょうど太陽のまわりを回る惑星のように相手を軸にしてぐるぐると振り回されているだけなのです。相手の態度をかえてやろうとすればするほど、あなたはますます敵にしばりつけられていきます。」と著者はその状態を説明している。

そこで、この本では、アタマにくる人ことへの対応術として、

・相手の攻撃に対して黙ったまま身振りだけで対応する。
・相手の攻撃に答えず、まったく別の話題を切り出す。
・相手の攻撃をひとことでやり返す。
・相手の攻撃にまったく当てはまらないことわざで受け答えする
・あなたを傷つけた言葉の意味を聞き返す
・褒め殺しで返す

など12の手法が紹介されている。翻訳書なので日本でそのまま使うと怪しいものもある気がするが、大半がかなり有効なのではないかと思った。いや、こういう方法論を知っておくこと、本を読んでおくこと自体が余裕につながるのだと思う。

学生時代に電話受付けのアルバイトをしていた頃、お客からのクレーム電話でいきなり怒鳴られることは日常的だった。罵られることも珍しくなかった。「私は電話受け付けのプロである」と思うことで、これは研修で学んだワザの見せどころだとか、コミュニケーションスキル向上のよい練習だと思えて、むしろ、クレーム処理はやりがいがあったりもした。ある種のゲームとおもえば、心は傷つかず、冷静に対処することができた。

アタマにきたときどうするかの準備をしておくことって、天災に備えるのと同じくらい大切で、それ以上に有効なことなのではないだろうか。

・ダメな議論―論理思考で見抜く
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「人はなぜ特定の考え方を正しいと思うのか」に関する考察。よく考えれば間違いがわかるのに、常識や空気にとらわれて、根拠のないダメな議論を受け入れてしまう理由について、チェックポイントと対策を示す。

一番、気になったのは読書について。

著者はありがちな読書についてこう述べている。

「私たちは、「自分の知らないことを知る」本を探しながら「自分の知っている(漠然と感じている)ことが書いてある」本を購入し、読書を「自分の役に立てる」ことを目標としつつ、「自分の思想・行動に何ら影響のない(読んでも読まなくても変わらない)」本を読んでいます。つまりは、自分が日頃から抱いている「信仰」にお墨つきを与えてくれる、「自分が読んで心地よいと感じる」本を選んでいるにすぎないというわけです。」

たとえば高所得の成功者は、成功するかどうかは自分の才能・努力によって決まるという考え方を支持するが、低所得者層は運によって決まるという考え方への支持が多いという。「実際に成功している人はそれが自分の実力によるものだと思いたがるのに対し、成功していない人はそれが自分の実力のせいだと思いたくないという心理によります。」

科学的に検証が必要な話題でない限り、私たちは信じたいものを信じてしまう。常識や空気によって「まぁ、ホントは間違いかもしれないけど、どっちでもいいや」や「何となく常識なことは何となく正しいと思っておくのが賢い」という経験則、処世術へ流れてしまう。

これは私もよく実感する。ときどき食事や飲み会などでマイ箸を持ち歩いている人がいる。割りばしが環境によくないからという理由なわけである。自治体や企業レベルで割りばしを使わないようにしよう運動もある。しかし、実際には割りばしが環境に与える影響はほとんどないらしいことを、私は知っている。環境を気にするのは良いことだし、マイ箸を持ち歩く害はないから、私が敢えてその人に「それって意味ないですよ」と言う必要はない。だから言わない。そうすると、割りばしは環境に悪いという説は、「常識」のまま残っていってしまう。

保守の力というのは多くの場合、こうした、信じたいものを信じる心理と、「まぁ、どっちでもいいや」の心理によって形成されていくのだろう。こういう決め方をこの本はダメな議論と呼び、

・定義の誤解・失敗はないか
・無内容または反証不可能な言説
・難解な理論の不安定な結論
・単純なデータ観察で否定されないか
・比喩と例話に支えられた主張

などの見抜き方を教えている。有名な評論家たちのダメな議論の実例もたっぷりで、面白く、ためになる本だった。

・仕事を100倍楽しくするプロジェクト攻略本
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著者は「バロック」「キングオブワンズ」「ぷよぷよ」「トレジャーハンターG」「魔導物語」等のゲームを監督/脚本/企画した米光一氏。仕事のプロジェクトをロールプレイングゲームの冒険に見立てて、その攻略法を説く。

米光さんはプロジェクトに対する観察眼が鋭いなあと何度も感心した。

「 根本の部分で冒険をデザインできていないと、必要のない苦労をすることになる。そうすると、人は「あのリーダーは人望がない」なんて言う。「人望がない」なんて言われると、簡単にはどうにもならない気がしちゃうけど、そんなことはない。
 ぐらぐらした土台の上で、ふらふらしながら、怒鳴ったり、愚痴を言ったり、言い訳しているから「人望がない」と思われる。
 冒険の土台をしっかり作れば、それだけで「人望がある」状態になる。かんたんだ。」
これは、自分の経験でも、その通りだよなあと、しみじみ共感する。

いいリーダーになれるかどうかは、能力や性格がどうだという以前に、ちゃんとした土台に立っているか、が問題なのだ。みんなが楽しめる、しっかりした土台の上にいるなら、ちょっとくらい優柔不断だったり横暴だったりしても、愛されるリーダーになったりするものだ。だからプロジェクトのデザインができる人こそ、いいリーダーなのである。

それから、”王様”とのつきあい方。これは他のプロジェクトマネジメントの本にはあまり書かれていない重要な事柄だと思った。若い勇者の冒険には”王様”という存在がつきものだ。会社という王国を率いてきた上司であったり、スポンサー、プロデューサーという人たちのことである。彼らは自分たちの方法論で成功した時代があった。

「新しい冒険では「旧A」という方法は使わない。別の「新B」という方法で行う。
勇者たちは「新B」という方法のよさをわかっている。逆に「旧A」については現場的な知識はないことが多い。古いよな「旧A」は、と思っている(そして実際に古くなっている)。
 だけど、「旧A」という方法でがんばってきた人たちにとっては、とても愛着のある方法だ。だから、勇者が「新B」の良さを言えば言うほど、勇者にその気がなくても「旧A」が否定されたように思えてしまう。」

王様の「旧A」に敬意を見せつつ、「新B」をやらせてもらう関係づくりが必要であるという話。この本のノウハウは、昔の言葉でいえば、空気を読み、根回しを怠るな、ということでもあるようなのだが、現代の勇者の気質向けにアップデートされている。

「ギラギラと競争するより、仲間と一緒にレベルアップしたい!
あくせく出世を狙うより、仕事を楽しく、充実させたい!
「オレについてこい!」と言われるより、自分で動きたい!

こう思っている人には、きっと最強の攻略本になります。 」

「ついてこい」式ではない、リーダーシップ論とも言えそう。

それから「ダメな会議の座席表」にバカ受けした。本のデザインやサイズもゲームの攻略本風で、最初から最後まで楽しく読める。

思考の整理学

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・思考の整理学
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初版は1983年。日本に”マイコン”が登場したころだ。著者は既にコンピュータ普及の影響を見通していた。

「これまでの学校教育は、記憶と再生を中心とした知的訓練を行ってきた。コンピュータがなかったからこそ、コンピュータ的人間が社会で有用であった。記憶と再生がほとんど教育のすべてであるかのようになっているのを、おかしいと言う人はまれであった。コンピュータの普及が始まっている現在においては、この教育観は根本から検討されなくてはならないはずである。」

人間らしい思考法を追求している。たとえば、まず寝かせるのである。

「思考の整理法としては、寝させるほど大切なことはない。」

大作映画の宣伝などで「構想ウン十年」というフレーズがある。あれはたぶん原作者がウン十年前に思いついたには違いないが、ほとんどの間は放っていたもののはずである。それでも、長く寝かされたテーマは発酵して力を持つことがある。人間の記憶とコンピュータの記録の違いだ。

小説などでも子供のころをテーマにした作品に名作が多いのは、それが理由なのではないかと著者はこう述べている。「素材が充分、寝させてあるからだろう。結晶になっているからである。余計なものは時の流れに洗われて風化してしまっている。長い間、心の中であたためられていたものには不思議な力がある。寝させていたテーマは、目をさますと、たいへんな活動をする。人間には意思の力だけではどうにもならないことがある。それは時間が自然のうちに、意識を超えたところで、おちつくところへおちつかせてくれるのである。」

寝かせるということは完全には忘れないようにほどほどに忘れるということだ。それでも強化されていくテーマは本物のテーマなのだ。「これはその人の深部の興味、関心とつながっているからである。忘れてよいと思いながら、忘れられなかった知見によって、ひとりひとりの知的個性は形成される。」

忘れないようにしながら、いったん忘れるために、紙に書き出して記録するのがよいと著者はすすめている。手帳→ノート→メタ・ノートというユニークな著者のメモ術が紹介されている。日常のメモは手帳に、重要なことはノートに転記し、さらに重要に思うことはメタ・ノートへ転記せよ、という手法である。

転記がすすむにつれ、重要度とともに抽象度も上がっていくわけで、究極のメタ・ノートというのは、座右の銘やことわざのようなものになっていくのかもしれない。そうやってメタに上がってくるものを常に見直すことが、思考の整理術として最重要なのだろう。

考えるということについて、本質的な考察がエッセイとして楽しく読める古典。

・無理なく続けられる 年収10倍アップ勉強法
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著者のプロフィール。

「公認会計士二次試験(合格率6%)を史上最年少の19歳で合格 以後、フルタイムの仕事をしつつ、かつ3人の子どもを育てながら、中小企業診断士試験(合格率4%)、オンライン情報処理技術者試験(合格率4%)合格 TOEICは新卒時420点から3年間で900点へ 社会人大学院でファイナンスMBAを取得。その結果、年収を16年間で新卒時の10倍とした著者が初めて公開する、本当に効率的で合理的で楽ちんで、目から鱗の勉強法。 」

文系ビジネスマンに勉強法を語る人として、とても説得力のある経歴。16年間で年収10倍というのは、新卒時から現在まで毎年26%の収入増のペースでやってきたことになるそうだ。

この本を知ったのは書評ブログ仲間の二人のブログで絶賛されていたから。

下記のエントリに内容の詳しい紹介がある。

・マインドマップ的読書感想文 「無理なく続けられる 年収10倍アップ勉強法」勝間和代
http://smoothfoxxx.livedoor.biz/archives/50952753.html

・俺と100冊の成功本 社会人版ドラゴン桜!?「無理なく続けられる 年収10倍アップ勉強法」
http://blog.zikokeihatu.com/archives/001224.html

著者いわく「IT機器を中心に、新しい道具をいかに使いこなして、無理なく続く仕組みを作るかに尽きる」。これはデジタルツールをフル活用した勉強法なのだが、使っているパソコンやMP3プレイヤーの機種名、ダウンロードサイト名まで教えてくれる具体的な記述が参考になる本だ。

「月収の5〜10%を目安に投資し続けることが大事」「しっかりと、いい道具を揃えて、いいコンテンツを買ってきて、うまく続くように、いろいろな仕組みを設計しましょう。」「必要なのは意志ではなく、仕組みや設備への投資です。」

情報収集については、

「本は乱読でいい。量が勝負と、ひたすらインプットする」
「テレビは時間当たりの情報量が少ないので、時間の無駄」
「一般誌を読む時間を減らし、その分、専門誌または書籍を」

というアドバイスがあって、前提として速読技術をまず身につけよとのこと。

目と耳から大量の情報を効率的にインプットするための秘訣が書かれている。「インプットとアウトプットに、勉強時間を半分ずつ使う」「アウトプットしてみてはじめて、ほんとうにわかっているかどうかわかる」。親指シフトによる高速入力、マインドマップによるまとめ作成など、パソコンを使ったアウトプットのノウハウも多い。

文系ビジネスマンのための、ITを活用した勉強法の、最新事情がよくわかって参考になる本だった。