Books-Management: 2006年3月アーカイブ

・2分以内で仕事は決断しなさい―スピード重視でデキる人になる!
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下着業界で急成長を遂げ、大手ワコールに次ぐ2位のシェアを誇るに至ったトリンプ・インターナショナル・ジャパン社長の書いたスピード経営論。文章の勢いにも圧倒されて元気が出てくる。

トリンプの社員は120人でこれは18年前とほぼ同じ数字だそうである。一方、売り上げは18年間で5倍に伸びている。スピード経営の成果であるとし「社員のIQを5倍にしたり、労働時間を5倍に増やすのはまず不可能ですが、スピードならやり方しだいで5倍にできる」と説明する。

もちろん精神論だけではスピードははやくならない。トリンプという会社には、スピードアップのための、たくさんの仕掛け、ノウハウがある。それが次々に明かされている。その中心にあるのがユニークな早朝会議。


早朝会議では、毎朝40〜50の議題を扱います。私が議題を選び、担当者が報告する。私が質問をして、担当者が答える。煮詰め方が甘ければ、さらに私が突っ込んで、担当者も負けじと言い返す。私を見事納得させることができれば、次の議題にパッと移ります。この間、1分〜2分です。

私を納得させられなくても同じです。何が足りないのか、どこが煮詰められていないかを指摘して、その部分を次の日までの宿題にする。この場合も、長くて2分で次の議題です。

2分で議論し決済をもらうには、担当者は何が問題なのか、本質は何なのかを簡潔にまとめておかねばならない。実物公開のA4半分の企画書という数行の企画書も驚きだ。「議論に議論を重ねても結論が出ないのが普通」という反省から、こうした即断即決の会議スタイルが生み出され、会社の高成長の仕掛けとなったそうだ。

トリンプは45分の昼休みが他の会社より15分早く11時45分に始まる。これは近隣の飲食店が混む前に食事をして早く戻れるようにな設定。そして午後12時半から2時半までを「がんばるタイム」とし、私語は一切禁止、電話もダメ、席を立つのもダメ、仕事に集中するルールがある。ハードワークな会社だが、定時の6時になると自動的に部屋の電気が消されて社員は全員強制退去になる。6時完全退社は家族を持つ女性社員に評判がいいらしい。

がんばるタイムに電話が出来ないと仕事にならないのではないか?と疑問に思ったのだが、実はここにも秘密があった。この会社は多くの仕事のデッドラインを翌朝の早朝会議までと設定している。外部に電話連絡ができるチャンスは早朝会議後の午前中か、がんばるタイム後から6時までの2回しかない。午後の短い時間に電話をして相手が不在なら大変なことになる。だから皆、午前中に電話をするようになる。

そして残業罰金制度がある。残業した社員がいる部署はボーナスから罰金分が引かれてしまう。がんばるタイムの不徹底や「さん」づけ不徹底などのその他の罰金規定もある。全員が事実上の禁煙強制。窮屈な雰囲気なのではないかと思ってしまうが、社員はこれをゲーム感覚で楽しくやっているから、自らハードルをもっと高くしようと挑戦するらしい。

この本にはスピード経営、即断即決のノウハウが無数に見つかる。組織は軍隊を見習いなさい、会社に民主主義はいらないと断言するワンマン社長のいうことなので、すべての会社に応用が効くかわからないが、とても説得力のある章の連続で勉強になった。