Books-Management: 2012年10月アーカイブ

・とっさのひと言で心に刺さるコメント術
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おちまさと氏によるコメント術。とっさのコメントがうまいと評価があがる。まずいことをいわないというのもポイントだし、これは年齢が上がるにつれて求められる力でもあるよなあ、どんな内容なんだろと思ったら、なんと、まず「コメントは事前に用意するな」である。

「○○さんになりきる」などコンセプトを決めておけばいかにもその人がいいそうなセリフが出てくるはずだとか、頭の中の検索エンジンにコンセプトを入力すると自動的にいい言葉がズラリと出てくる「自分グーグル」をつくっておけという指南が続く。

確かに必ずしも準備しておけばいいコメントができるわけではないし、十分な準備をすると時間がかかる。みんなにコメントを求められる立場の人は忙しいわけで、このアドバイスは確かにすごく正しい。そして即興で的確なコメントを返すためのトレーニング方法がいくつも挙げられている。

フェイスブックで、人の記事にいいね!を押すだけでなく必ずコメントをする感想力のトレーニングをすることが重要と説いている。「どんな些細な出来事にも、まずは「ちゃんと感想を言ってやるぞ」と意識して向かうこと。その積み重ねが「コメント脳」をつくるのです。」。フェイスブックの使い方を意識するだけでだいぶ変わりそうだ。

ほかに私が取り入れようと思ったのは、

・本や映画のストーリーの要約をしよう
・相手の話に「いまのお話は、○○ということですね」
・「いまバタバタで」を言い訳に使わない。
・「びっくり」「おいしい」「きれい」と言わず内容を表現

など。

こういうトレーニングの先に著者が理想とする「みんながうすうす気づいていて、でも言葉にできなかったことを言語化したもの」がとっさに出る状態がある。個別に準備するなということだが、備えとしてかなりの訓練は必要だと思った。

・ワーク・シフト ― 孤独と貧困から自由になる働き方の未来図〈2025〉
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働き方は今、旬な話題だ。長引く不況による雇用の流動化や、スマホやクラウドの普及によって、日本人の働き方は多様化している。ノマドワークやシェアオフィス、フューチャーセンターなど、新たらしいキーワードもメディアにしばしば取り上げられている。

これはロンドン・ビジネススクールを中心とした「働き方コンソーシアム」がまとめた2025年のグローバル視点の未来ビジョンの本。仕事に必要な3つの資本を、

1 知的資本 (知識と思考能力)
2 人間関係資本 (つながりの強さ、広さ)
3 情緒的資本 (やりがい、幸福、楽しさ)

と簡潔に定義した上で、

働き方を変える 〈3つのシフト〉として

●ゼネラリスト→連続スペシャリスト
●孤独な競争→みんなでイノベーション
●金儲けと消費→価値ある経験

という大きな変化を予言している。

連続スペシャリストというのは新しいキャリアのイメージだ。ちょっと極端だがわかりやすくいうと、たとえば文章を書く専門能力とその隣接能力を伸ばすことで、企業広報から新聞記者に転職したのち、大統領のスピーチライターを経て人気小説家に転身する、というように進化していくキャリアが「連続スペシャリスト」だ。そこでは競争力よりも共創力が成功のカギになっており、アイデアを広く集める"ビッグクラウド"や、信頼できる数人の参謀"ポッセ"というソーシャルネットワークを持つものが強い。カネを稼ぐことだけではなく、楽しさややりがいの追求が今より大きな意味を持つ。

そして働き方が変わる 〈5つのトレンド〉として、

●テクノロジーの発展
●グローバル化
●人口構成の変化と長寿化
●個人、家族、社会の変化
●エネルギーと環境問題

という大きな潮流を分析していく。

ビッグアイデアクラウドとポッセ
ホットスポット
同僚との気軽な関係の消滅と幸福感
自己アピールの時代
ダイバシティ(多様性)はモノカルチャー(単一文化)を凌駕する
コ・クリエーションの時代

などなど、数多くの啓蒙的なキーワードとコンセプトが提示されている。それらが3つのシフト、5つのトレンドという枠組みで構造的に示されていて、いま世界で働く人々の間で何が起きているかを整理するのに最適な内容になっている。

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