Books-Misc: 2008年5月アーカイブ

・世界のスピリチュアル・スポット
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写真主体の全編カラー250ページ超の大判ビジュアルブック。この値段でこのクォリティを実現したランダムハウス講談社は素晴らしいと思う。倍の価格くらいの価値はあると感じた。ビジュアルに息をのみ、魅了される体験がしたい人におすすめ。夜中にひとりで空想の世界に飛ぶのに最適。

「「世界のスピリチュアル・スポット」では、地球上で最も力があり、畏怖の念を呼びさます地を選び、壮大な写真とともに世界をめぐる巡礼の旅へと案内する。ここで取り上げている場所は、そのいずれもが平安と力をたずさえた場所であり、祈りと儀式のための場所だ。こうした土地は私たちに、神なるものや未知のものについて語りかけてくる。そして、人と世界とのかかわりという大いなる謎の中で、私たちに喜びを与えてくれる。」

なお、「スピリチュアル」というタイトルになっているが、トンデモ系スピリチュアル要素はまったくない。解説文は百科事典風に撮影地の歴史や文化を客観的に説明しており、写真も抒情感を排したナショナルジ・オグラフィック風だ。「アラスカのランゲル=セント・エライアスの凍てつく景観からギザの灼熱の砂漠まで、そしてヨルダンの岩山の裂け目からペルーの山岳の寺院に至るまで」聖地と呼ばれる場所を巡礼する。敢えて精神性が演出されなくても、それぞれのスポットが放つオーラだけで十分なのである。

・地球のすばらしい樹木たち―巨樹・奇樹・神木
http://www.ringolab.com/note/daiya/2007/03/post-535.html
ビジュアルブックとしての完成度はこの本に匹敵する。

ところでこの本に取り上げられたのは世界の超A級スピリチュアル・スポットばかりだ。遠い外国や秘境ばかり。実際にはそう簡単に行けない場所が多い。そこで、私は最近、神奈川県の近所にB級スピリチュアル・スポットを発見したので、ここに紹介したい。

・田谷の洞窟(正式名称は瑜伽洞、写真をクリックでWikipediaへ)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%91%9C%E4%BC%BD%E6%B4%9E
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東海道線 大船駅から徒歩の「田谷の洞窟」だ。大きな洞窟が近所にあるということは子供時代から聞いていたのだが、先日はじめて実際に訪問できた。「田谷の洞窟」で検索すると、体験者の多くが「B級だが感動した」という趣旨の感想を書いている。私も同じ所感である。

・幽玄の巨大地下迷宮「田谷の洞窟」【神奈川】 :日本珍スポット100景-B級スポット観光ガイド-
http://b-spot.seesaa.net/article/14610397.html

洞窟内部は写真撮影禁止なので絵で紹介できないが、入口でローソクを点けて棒の先に刺し、その灯りだけを頼りに全長1キロの真っ暗な巨大洞窟を巡る。壁にはいつの時代のものともわからぬ(パンフレットを読めば説明はあるが...)修行者たちが彫った仏像や碑文が無数に存在する。

この洞窟は「鎌倉時代に真言密教の修行場として開鑿されたのが直接の起源」だが、古墳時代に作られた横穴墓という説もある。手に持ったローソクの火のゆらめきを見つめながら、ゆっくりと30分かけて一周すると、まるで黄泉の国を巡って帰ってきたような気持ちになる。

・晴れた日は巨大仏を見に
http://www.ringolab.com/note/daiya/2008/05/post-748.html

近くにある大船観音と一緒に訪問すると、大船はかなりスピリチュアルな場所なのだなあ(たぶん)。

・科学する麻雀
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もし私が麻雀現役だった学生時代にこの本を読んでいたら、こういう紹介文章なんて絶対に書かないで、知識を独り占めにしていたと思う。この本を読む前と後では、麻雀の強さが数パーセントは確実にアップしたんじゃないかと感じている。必勝法が書いてあるわけではないのだが、科学的に正しい情報を得て配牌に迷いがなくなるから、確実に余裕が生まれる。

著者はインターネット麻雀対局「東風荘」の実戦データを大量に収集して解析している。数万件、数十万件ものデータをベースに、戦略・戦術の発生確率や勝率を厳密に計算して、長年雀荘で語られてきた根拠のない俗説を次々に論破していく。

まず確率的には、ほとんどのケースで「先制リーチせよ」「手変わりを待つな」が正解になることが明かされる。よほど高い手が狙える稀な場合を除いて、安くても、どんどんリーチで攻めるべきなのだ。

「和了の大部分は、純粋に数学的な理由によって、テンパイ後の短い期間に固まるのだ。リーチすると得点はダマの場合と比較して2倍以上になるので(中略)ダマで和了できる形に、それも高い可能性でそうなってしまう形に取る場合、リーチしないことによる和了時の得点損失を埋め合わせることはひどく困難なのである。」

解析された数字が挙げられている個所を見るとゾクゾクする。

「統計的には持ち持ちの確率は10%程度である」

「ドラ待ち先制カンチャン・シャンポンリーチは実測によると、40%程度の確率で和了できる。また無スジ456のドラ単騎待ちリーチだと20%程度となる。」

「通常、リーチの半分以上はリーチ後6順程度以内に和了する。安全牌候補と呼ぶべき牌が3枚程度もあれば、まずまず上手に降りきることが可能なのである」

麻雀は手牌全体の変化を考えると3順先を考えるだけで1億通りもあるため、牌効率を読み切ることが人間にはもちろんコンピュータにとっても現実的ではない。そこで、実際にはパターンを読むことになるわけだが、どう読むかが後半で詳説されていて読み応えたっぷり。これをもとに麻雀ゲーム用の人工知能を開発できそうな知識が開示されている。

科学的分析が導く結論は、決して必勝法ではないのだが(そもそも麻雀は偶然の確立要素の強いゲームであることも最初に分析される)、科学的にまたは統計的にこれだけは言えるという戦略や戦術を多数教えてくれる。

読んでいたら、うずうずして、久しぶりに打ちたくなってきた。思えば3年くらい前に、雑誌ネットランナー(現ネトラン)の編集部企画で、メイド雀荘での大会に参加したのが最後になっている。真剣勝負はもうずいぶんやっていないわけだが。それでも本書は面白かった。

なお、麻雀用語は説明なしでばりばり使われるし、ゲームとして何が肝なのかを実戦である程度把握していないと、読めないレベルの内容である。理系雀士中級者以上におすすめ。麻雀現役であれば一読の特に価値ありである。

・図説 異星人―野田SFコレクション
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老舗出版社のZiff Davisが会社更生法を申請して再建中であるらしい。

・Ziff Davis Media、米連邦破産法第11章に基づく再建手続きを申請:ニュース
http://japan.cnet.com/news/biz/story/0,2000056020,20368986,00.htm?ref=rss

私は90年代に寄稿者として昔ZDNET日本語版に記事を書いていたこともあったのだが、社名の由来のZiff Davisって何なのか、これまでまったく知らなかった。Wikipedia英語版には、ちゃんと書いてあった。

・Ziff Davis From Wikipedia, the free encyclopedia
http://en.wikipedia.org/wiki/Ziff-Davis

1927年にシカゴでウィリアム・B・ジフ氏とバーナード・G・デイビス氏が創業したことが社名の由来だったのか。Ziff Davisは飛行機やクルマやカメラや写真、エレクトロニクスなどの高級ホビー分野で長年、雑誌を出版し続けてきた。80年代以降はコンピュータ、テクノロジー分野の出版社になり、近年はインターネットメディア事業に力を入れている。

Ziff Davisは、1920年代から30年代には「Amazing Stories」誌などのSFパルプ雑誌の出版社として一時代を築いていた。この本はそうしたパルプ雑誌を中心に、イラストを収集して、往時のブームを解説する。

・パルプ・マガジン
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%91%E3%83%AB%E3%83%97%E3%83%BB%E3%83%9E%E3%82%AC%E3%82%B8%E3%83%B3

「アメリカSF雑誌が輝きに満ちた時代、その自由奔放なイメージ空間に咲きみだれた美女とベム!タコ型火星人から見事な星間生物園まで、貴重図版満載でおくる大好評「野田コレクション」の真打ち登場。 」

次から次へとでてくる着色添加物たっぷりな感じの、毒々しい異星人デザインがたまらない。20世紀SFのイメージの原点回帰の本だ。こういう米国の古典SFイラスト集を洋書フェアでみつけると衝動買いしてきたのだが、この解説書で情報が整理できたのがうれしい。

・Worlds of Tomorrow: The Amazing Universe of Science Fiction Art
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004172.html

この表紙コレクション本も飛びぬけて素晴らしかった。

ついでに、今年の丸善洋書フェアで入手したアメリカポップカルチャー本では、このプレイボーイ50周年記念本が良かった。

・Playboy: 50 Years : The Cartoons
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「プレイボーイ誌は50年もの間、世界の一流の漫画作家を紹介してきた。そのそうそうたる顔ぶれは、バック・ブラウン、ジャック・コール、エルドン・デディーニ、ジュール・ファイファー、シェル・シルバースタイン、ダグ・スニード、ギャハン・ウィルソンをはじめ、数百人にもなる。流行に敏感な「破壊分子」で、ずるがしこい革命派であるプレイボーイのアーティストは、ほかの男性誌にはない洗練されたユーモアで、現在も支持されている。 今日、プレイボーイは、最もすばらしく、最もおもしろいマンガを集めることで、50周年を祝おうとしている。すべての作品の中からヒュー・M・ヘフナー自身が厳選したもので、性革命、恋愛関係、金、政治などのトピックごとに、含蓄に富むコメントがつけられている。450点以上にのぼる作品は、若者時代の甘い出来事、ふしだらな女、陽気な妻、求婚者、色男であふれている―― 50年間のプレイボーイマンガの騒々しい集大成なのである」

これもまた古き良きアメリカのイメージが満載。

・戦場の生存術
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1942年生まれ、1961年慶応大学在学中に傭兵部隊の一員としてコンゴ動乱に参加、その後、フランス外人部隊教官を経て、アメリカ陸軍特殊部隊に加わる、というプロフィールの日本人傭兵が書いた、正真正銘のサバイバル術。そんじょそこらの趣味的サバイバル本とはレベルが違う。

前半では実戦の常識が語られる。たとえば敵の数の把握の仕方として足跡からの推測法などが紹介されている。山で遭難したとか、外国で誘拐されたとき、など非常事態に使える(かもしれない)ノウハウとして参考になる(ような気がする)。

「アメリカ陸軍の方式は、かなり人数がいても正確に出る。すなわち75センチから90センチ程度の間隔の線を、足跡がたくさんあるあたりに引く。それから線にひっかかっているのを含め、すべての足跡を算え、その総数を単純に2で割る。これでやると何と18人くらいまでほとんど確実に割り出すことができるのだ。」

男女の違いはつま先の向きに出るから性別までわかるらしい。満腹時に腹に被弾すると命がないから満腹まで食べるな、現地語は知っていても知らないふりをして一方的に情報を得よ、と戦場で生死を分けるポイントが次々に語られている。

圧巻は後半である。そこではもはや日常世界のモラルがまったく通用しなくなる。自分が殺されないために相手を殺す話が満載である。殺されてしまえば何もないのだから、戦士にとって、もはや武士道も法律もないのである。これは経営や人生にも活かせるなと思える話はのっていない。純粋に本物のサバイバルの話だ。

「敵の重傷者を完全に動けなくして、その身体の下へ安全ピンを抜いた手榴弾をセットしておくのは効果的なやり方のひとつだった。」。助けにきた敵の仲間を吹き飛ばすブービートラップのこと。

「だから戦闘が終息に向かっていない限り、降服の意思表示は無視するべきだ。全体が抵抗を止めない限り、攻撃を加えた方が賢明と言えるだろう。」。降参したふりをして攻撃してくる兵士もいるから、全部基本は皆殺し。

「早いとこ白状し、その内容が正確だったら、吐いた人間は生かしておく。もう敵方に戻れないから、こちらの協力者として働くことが多い。また別の利用価値が生じてくるのである。ただ拷問を受けてからようやく吐いたのはダメだ。いつか裏切られるから助命すべきではないだろう。」。助命すべきじゃないのである。

嗚呼。

平和ボケしている私たち日本人だが、平和ボケしていられることの幸福をかみしめるために、この本は価値があると思う。こんなノウハウが使われる日が来てはいけないし、一般人が知る必要もないのがよい社会のはずだ。ただ、戦争の恐ろしさを確認するために価値がある一冊かもしれない。老人の戦場体験よりも恐怖のリアリティが伝わってくる。

・戦争における人殺しの心理学
http://www.ringolab.com/note/daiya/2006/03/post-365.html

・SAS特殊任務―対革命戦ウィング副指揮官の戦闘記録
http://www.ringolab.com/note/daiya/2006/05/sas.html

呼吸入門

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・呼吸入門
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「声に出して読む日本語」などで有名な斉藤孝氏による呼吸のノウハウ本。「私は呼吸法研究に自分の生活すべてを賭けていた。」という同氏は若い頃に呼吸法研究にのめりこんだことがあったらしい。この本ではその二十年間に及ぶ研究のエッセンスが紹介されている。

真髄は「鼻から三秒呼吸を吸って、二秒お腹の中にぐっと溜めて、十五秒間かけて口から細くゆっくり吐く」という三・二・十五の斎藤式呼吸法である。「息を長くゆるく吐き続けることによって、セロトニン神経系という攻撃衝動を抑える神経系がうまく働き出すのです。」などという効能の説明もあるのだが、なにより、これを実際にやってみると気分が落ち着く。

「息をどれだけ長く深く続けることができるか、息と動きをどれだけ連動させることができるか---息の力とはこの二点にクリアに集約されます。というのも、動きと連動した深く長い息こそが、モードの持続力を決定する。それは脳の働きと密接なかかわりを持っています。」

三・二・十五の呼吸法をパソコンの前で練習するために、使えるソフトを見つけた。

・活き息
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「呼吸法ソフト「活き息」は、上下するアニメーションに合わせて腹式呼吸を行うパソコンソフトで、表示アニメの動きと、表示位置の工夫で、会社でパソコン作業に集中しながらでも、作業を中断することなく、腹式呼吸ができるよう配慮されています。
また、自分で設定したインターバルで自動起動しますので、呼吸法を楽に習慣化できます。」

デスクトップ上をキャラクターが上下するのに合わせて呼吸をする。画面にオーバーレイする形なので、仕事の作業をしながらでも無理なく使うことができる。任意の秒数設定ができるので、3,2,15秒に設定すればこの本のメソッド用にもなる。なかなか便利だ。結構、こういう健康系ソフトの重要って今はまだ特殊な分野だが、これから伸びるかもしれない。

・オンサイト! 1
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・オンサイト! 2
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「夏子の酒」の尾瀬あきらが少女を主人公に描いたフリークライミングがテーマの漫画。「オンサイト」という言葉からシステムの保守業務を連想してしまうのは職業病かな。このタイトルのオンサイトは、誰かのルートを追うのではなく、初見で登攀に成功することを意味する山岳用語だ。

小学生の少女麻耶は、岩に登ることに夢中の少年舜と出会って共に山登りをはじめる。ライバル意識を燃やしながら、異性として微妙な二人の関係が、甘酸っぱくてさわやかで、この作品の最大の魅力。誰かの道を追うのではなくて自分の道を行くという意味で「オンサイト」な麻耶と舜のひたむきな青春の物語。物語もいいしフリークライミング(ボルダリング)という競技の内容や面白さも伝わってきた。

実はこの漫画は全2巻で二人が中学卒業の段階で第一部が終了し連載が止まっている。ここまででも十分面白いのだが、続けていたら大傑作になりそうな下地ができているだけに、ものすごくもったいない気がする。再度、続編を書いてほしいと切に願うばかり。


・Expeditions Vol.2 クライミング・ザ・ビッグ・ウォール: アレックス・ロウ, ジェアード・オグデン, マーク・シノット, リン・ヒル
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「第1話「グレート・トランゴ・タワー」
パキスタンのカラコルム山脈中心部にそびえ立つ、ロック・クライミング史上最難関とされる6,286mの巨大な岩壁グレート・トランゴ・タワーに挑んだ世界中のクライマーから多大な尊敬を集めるアレックス・ロウ、ジェアード・オグデン、マーク・シノットの3人のチームによるファースト・アセントの記録を追う。
第2話「マダガスカル:女性クライマー リン・ヒル」
カリフォルニア ヨセミテ谷のノーズルートを最初に征服したことで知られる最も有名な女性クライマー、リン・ヒル率いる女性クライマーたちによるマダガスカルのツァラノラ・マッシフ、初制覇の道のりを追う。ナレーションを、世界的ミュージシャンである元ポリスのスティングが務める。 」

2編収録のうちの1編はオンサイト!に主人公の憧れの人物として登場した、トップ女性クライマーのリン・ヒルのドキュメンタリ。垂直に見える、とてつもない絶壁に何週間も張り付いて、ひたすら登り続ける映像に圧倒される。

このDVDのExpeditionsシリーズは、危険なアウトドアスポーツの魅力を、ぐうたらでも鑑賞できるので好き。まさか絶壁には登れないが、室内ボルダリング練習場があったら体験してみようと思った。

・晴れた日は巨大仏を見に
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「日本中の大仏を見にいくことにした。大仏のなかでも、とりわけデカい巨大仏を見にいく。これを巨大仏旅行といい、そんな言葉があるのかというと、今私がつくったのである。昭和から平成のはじめにかけて、日本各地にやたら大仏が建立された。それまでは日本一の大仏と言えば奈良の大仏と決まっていたが、今やその何倍もの高さを持つ巨大な仏が北海道から九州に至るあちらこちらに出現している。」

牛久大仏、淡路島世界大観音、北海道大観音、加賀大観音、高崎白衣大観音、九州の巨大仏、会津慈母大観音、東京湾観音、親鸞聖人大立像、仙台観音、太陽の塔(大仏ではないが)など、日本中の巨大仏紀行文。

著者は大仏にハマったのは幼少の頃に見た神奈川県の大船観音を見たのがきっかけだったとカミングアウトしている。実は私は大船の隣駅に子供のころから住んでいるので、今も昔も東海道線に乗るたびに、つまり毎日のように大船観音を眺め続けている。

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慣れるということがない。何度見てもゾクッとする。ヌッと山の上に真っ白に現れる上半身だけの観音は、真っ青な青空と真っ白な対比が一番ゾクっとするが、夜の闇にほのかに見える姿もゾゾゾっとする。

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「突然不穏なことを言うようでなんだが、世界平和大観音にも牛久の大仏にも、ぬっとした巨大仏は、何か妖怪的な、見ようによっては、人間のことなどまったく知ったことではないというような、非情な手触りがないだろうか。仏さまだから、本当は慈悲の心に満ち溢れているはずなのに、そんなもん一切わし知らんがな、とでもいうような冷たさが、巨大仏にはないだろうか。」と著者は書いている。

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