Books-Misc: 2008年7月アーカイブ

・komomo 日本語版
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傑作ドキュメンタリ写真集。

サラリーマン家庭の一人っ子としてるり子は生まれた。海外志向の両親の仕事の都合で生誕地はメキシコシティ。3歳で帰国したが、事あるごとに着物を着せられたり、日本の伝統を教えられた彼女は、幼な心に「日本の文化を大切にする」ことを、両親の期待を遙かに超えて学んでいた。彼女は京都で舞妓になることに密かにあこがれていた。

少女時代を日本で過ごすが、再び両親の都合で中国へ渡って「外国人クラス」に入る。
日本を外から眺めることで、日本の伝統文化への憧憬がなおさら深まった。京都の芸妓「小糸さん」のホームページを見つけて、京都への思いは再燃、最初のメールを書いた。それから3年、るり子は15歳の春に単身で京都へ渡った。舞妓「小桃」になるために。

あどけない少女が舞妓に入門して、伝統芸を身につけ、一人前になるまでの長期間、写真家は彼女をひたすら撮り続けた。少女から女へ、新米の舞妓から風格の芸妓へと変化していく様子が完璧に記録されている。一人の人間の成長を通して、舞妓、芸妓という伝統文化の現在をまるごと映像化した。

華麗で妖艶な表舞台の写真は美しさに思わず息をのむ。舞妓や芸妓のイニシエーション儀式の写真からは張り詰めた空気が伝わってくる。舞台裏の息抜き時間に見せる素顔の柔らかさ。そして京都祇園の四季の風物など見所が満載の写真集である。一般人にはわかりにくい芸者の世界を、丁寧に解説する文章も充実している。

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