Books-Presentation: 2005年8月アーカイブ

・科学者が見つけた「人を惹きつける」文章方程式
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古今東西の名文を科学者が選び、ひとつひとつの名文が読むものを惹きつける理由を分析し、解説した本。

・成功術 時間の戦略
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/003654.html
この本と同じ著者。

ジャンルごとに名文方程式をまとめている。

・「恋」の名文方程式
・「青春」の名文方程式
・「食」の名文方程式
・「笑い」の名文方程式
・「元気」の名文方程式
・「美」の名文方程式
・「逃避」の名文方程式
・「人生」の名文方程式
・「知性」の名文方程式
・「静寂」の名文方程式
・「旅」の名文方程式

恋の名文なら、具体性を省き、日常を超越し、繰り返しや相似形を使って、催眠をかけろ。美の名文なら色のコントラストや使え。静寂を表したいなら、無機質な用語で時間を静止させよ、など、事例ベースで具体的なアドバイスがある。

紀行文や食のコラムを突然書かねばならないといったときに、個別に参考になりそうな本である。事例が実際、名文が多いので、引用された本を読みたくなってくる。

■私が見つけた名文 茨木のり子、笹 公人

最近、個人的にはまっている名文は詩である。

詩はあまり詳しくない分野だったが、本屋で気まぐれに手に取った詩人 茨木のり子の作品には感動した。詩というと、よそいきの気取った言葉を使うと思いがちだが、茨木のり子は違う。日常の思考の言葉を使って、人生や心の真実を、語りかけてくる。

・自分の感受性くらい
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・倚りかからず
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もう一人、まったく違った名文を見つけた。詩人、笹 公人。この人の文章はおかしい。ズレている。どのようにおかしいか。たとえるなら、2ちゃんねるや電車男的なズレである。そのズレが映像的に見えてくる。新しいタイプの名文だと思う。

・念力図鑑
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・「速く・わかりやすく」書く技術―原稿用紙3枚をラクラク30分!
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速読ではなく速く書く速書ノウハウ。著者のSRS能力開発法の営業色もある本だが、個人の情報処理能力を高める一般的な方法論が中心。医学博士、薬学博士。東京大学理学部数学科、同医学部医学科卒で医師で教授を兼任。効率よく知的作業をこなす技には長けていそうな人だということで読んでみた。

この本、実は速く書くことは目的とされていない。


「スピード」に関しては、「結果として速く書ける」ことを目指すのではなく、「速く書くことを追求する過程で従来とは異なる意識の新しい領域を巻き込む」ことが本質的に重要だ

というスタンス。書くことで全能力の統合効果を発揮し、潜在能力を開発しようというのがねらい。

■敷衍訓練と補間訓練(2単語、3単語))

2,3のキーワードから文章を書き出す練習方法が紹介されている。このやり方はピンときた。私は日々、キーワードメモをベースに、このブログを書いているのだけれど、それとまったく同じだからだ。

たとえば、

「経済、曲がり角」「子供、インターネット」「経験、再雇用」

といった組み合わせでなにか意味のある文章を書いてみよう、であるとか、

「         通り雨          虹    」

というテンプレートの隙間を埋めて文章化してみるという練習。

要集観展創力の6つの要素を重視して文章を書け、と指導している。

要 文章の目的を定める
集 文献や関連情報を集める
観 全体の見取り図を決める
展 具体的な内容を配置する
創 主張の価値や独自性を設定する
力 相手に与えるインパクトを工夫する

文章の文字数が足りないときや、推敲時にチェックリストとして使えそうだ。

■1行1分法はほとんどブログ

速く書く速度については1行40字が目標値とされている。10分あれば10行、30分あれば30行。30行は1200字なので原稿用紙3枚書ける計算になる。

1日に3つのニュースにコメントを3行書くという訓練法が紹介されている。かかる時間は3分である。ただし毎日続ける。すると1年間で1000個を超すニュースの要約が蓄積される。1000件あれば、1年間の世の中の動きについて、自分の視点でコメントし続けた日記は、世の中を俯瞰する世間史であり、同時に自分史になるという。必ずコメントには日付をつけるのも忘れるなとのこと。

あれ、これって、ほとんどブログではないか?と思った。

「編集の時間最適性の追求」という項で感銘したのが次のノウハウ。


まとまった時間や集中力がない場合でも、ひとまずおおざっぱなアイデアに従って下書きをしておき、意識下で時間をかけて熟成させて、別なチャンスに編集し完成する方法も有用だ。最初から一気に完成させよう意気込んで取りかかるより、このような2段階方式で行う方が、全体としての作業時間は短縮できることが多い。これは間の活用ともいえる。」

これその通りだなと思う。集中できないときに、メモ、下書きレベルの部品をいかに作っておけるか、が生産性を左右している気がする。

■アイデア「ベスト3作成」

私が最近編み出したのが「ベスト3の作成」による部品作成。個人的にはかなり役立っている。混雑した電車で何もできないときや、集中力がないときに1日1回はやるようにしている。

まずテーマを決める。映画、音楽、書籍の特定テーマのベスト3でもいいし、自分の知り合いの中で最強デザイナーベスト3、最強プログラマーベスト3など、なんでもいい。手元に雑誌があれば記事のベスト3でもいい。3つくらいは思い浮かぶ。

順位づけをするには頭を使わねばならないが、好きなものの順位を考えるのは楽しい。集中力がいまひとつのときでもできる。1位が1位である理由を考える。2位と3位の違いを考える。説明つきのベスト3は、文章の部品として使えるし、雑談でも興味を持ってもらえる。話しやすい。ベスト3メモが何百もたまると文章書きにとってはちょっとした情報資産になる。

おおざっぱなアイデアや下書き、メモをどう作り出し、どう蓄積し、どう再利用するか。そのプロセスをどうITで効率的に進めるか、が、これからどんどん重要になっていくのではないかと思う。研究中。

・その場で話をまとめる技術―営業のカリスマがその秘密を大公開!
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営業力で知られるリクルート社でトップセールスとして6期MVPを受賞した、現「アントレ」編集長の書いた営業・会議ノウハウ本。理屈というより、こういうスーパーマンが日常、何を要点と考えているか、を知りたくて読んでみた。

著者は「会議の時間はコスト」だと意識せよ説く。営業課長を10人集めて2時間会議すると、時給4000円ならば8万円以上のコストがかかるのだと例を出している。だから、参加者全員が「会議は共同作業」と認識して、まとめることを最優先すべきだというのがこの本のテーマ。

話し好き、人好きであれば、社内会議でも営業先でも、盛り上がるのは比較的簡単だ。だが、盛り上がるだけ盛り上がって何も決まらないことは多い。「商談で話をまとめるためには、盛り上げることにより、事実を確認しながら前に進む仕切りが大切なのです」

「まずは今日の商談のゴールを確認しませんか」で始めるのが効果的だという。

時間がないから別の機会にと言われたら、「今日前進した内容をまとめましょう」と言って「中間決算」を出せ、他者と比較させて欲しいと逃げられそうなら、「一番の比較ポイントは何ですか」と聞け、「時期尚早な気がする」とやられたら「次回の検討日時を決めてください」とつっこめ、など、営業や会議を無駄に終わらせないための切り返し術もいくつか紹介されている。

次回に「持ち越し」 「時間稼ぎ」 「チャブ台返し」といったネガティブパターンにいかに突っ込みを入れて、状況の停滞や後戻りを避けて前進させていくか、こそ極意である。「資料を持ち帰って検討」で本当に次回までに熟慮してくれるひとなどほとんどいないというのは本当だろう、と思った。

「ドウドウ巡りする5つのパターン」として以下のパターンが挙げられている。

 チグハグ 議題に対して出される意見がまったくかみあっていない
 我が強い 参加メンバーが自分の話したいことばかり話す
 わがまま 人の意見に耳を傾けない
 的はずれ 質問に対する適切な回答を行っていない
 脱線   まとめ役が議題を自ら横道に逸らしている


この本で個人的に私の弱点(=話しすぎる)に効きそうなアドバイスもみつかった。

「言いたいことの6割を話せば十分である」、一点集中で適量で話せ

「企画書の説明よりも議論に時間をとりましょう」、資料を3分で各自読んでもらう

「聞き上手から一転まとめに入る」、メリハリのある営業

この話の目標は何か、時間内に何をまとめるべきか、を片時も忘れずに、脱線しそうな状況に対して適宜テクニックで応酬できるのがスーパー営業マンなのだ、と分かった。

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