Books-Psychology: 2006年2月アーカイブ

・子供の「脳」は肌にある
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臨床発達心理学者によるスキンシップのすすめ。

成人の対人関係について米国で学者がアンケート調査したところ、大きく以下の3分類に分けられた、という米国の研究が紹介されている。

安定型(56%) 他人と親しくなるのがたやすく、人間関係が好き
アンビバレント型(24%) 他人は自分が望むほど親しくしてくれない、と思う
回避型(20%) 他人と親しくするのが嫌い

この3タイプは、そのまま母子関係の母親3タイプに割合に対応していると著者は指摘する。母子関係が成人してからの対人関係につよく影響するというのである。

安定型(60%) 子供の要求にすぐに反応するタイプ
アンビバレント型(19%) なかなか反応しないタイプ
拒否型(21%) 拒否的に反応するタイプ

そして、対人関係は恋愛パターンをも支配しており、その人物が安定した人間関係を築いて幸せに暮らせるかどうかと深い相関関係があるとされる。母子関係(広い意味では父子関係も含む)がいかに子供の人生にとって大切なものか、示唆される。

関係の中でも特に重要なのがスキンシップであった。大学生への調査の結果、母親とのスキンシップが多かった学生は安定型になり、アンビバレント型になりにくかった。そして自分に自信を持ち、他人を信頼する傾向があった。父親とのスキンシップは、少し異なり、回避型になるのを防ぐ傾向があったそうである。

母親とのスキンシップが多いと依存型の、マザコンになるというのは誤解であるとこの本は俗説を否定する。なでなで、くすぐり、添い寝、抱きしめる。スキンシップが、こどもの思いやりを育て、キレない脳をつくるのだと多数のケースで説明がある。

医療の現場でも患部への「手当て」が効果をあげることが報告されている。心臓病の患者の腕に看護婦が手を当てるだけで心拍が下がって安定する。痛みが抑えられる。ストレスが低下する。こうした癒し効果は自分の手で触っても、他人のときほど期待できない。肌にある末梢神経は脳に通じている。他者とのリラックスした触れ合いはこの回路を起動させ、良い効果を挙げるようだ。

2歳の息子は意思表示がしっかりしてきて、あまりスキンシップを取りすぎていると「パパはあっち(へ行って)」と向こうを指差すようになってしまった。この本を読んでくれるといいのだが、無理か。