Books-Science: 2009年10月アーカイブ

・長寿を科学する
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長寿の科学的探究と超高齢化社会時代への提言。

長寿大国日本は人生80年時代から90年時代に移り変わりつつあり、100歳を超える"センテナリアン"が目下急増しているそうだ。1963年には153人しかいなかった百歳超の老人が、2008年には3万6276人もいる。45年間で200倍以上に増えている。

高齢化社会というが、2050年には2.5人から3人が65歳以上になる。高齢者の内部にもグループ分けが必要になってくる。65歳から74歳までの前期高齢者は2015年まで増加するが、そこから逆に75歳以上の後期高齢者が増え始め、2017年には後期高齢者13.8%となり、前期高齢者13.1%をを上回ることが予測されている。日本はもうすぐ高齢化社会から超高齢化社会の時代へと突入するのだ。

センテナリアンについての研究が多数紹介されている。100歳を超えられる人はどんな人なのか、本書の記述を拾ってリストにしてみた。

・4分の3は女性。ただし元気なのは男性。
・体格は平均的で太った人はいない。60歳以上は標準体重のまま。
・農村が多い。
・沖縄県がトップ。
・長男・長女が比較的多い
・学歴は高い傾向がある
・アルコールは飲む人はいるが喫煙はしない
・家系に長寿者が多い
・体温が低い
・経済的には多くは恵まれている

面白いのはこんなプロファイリングもあること。

「仕事のことでは、若いころから比較的重労働に従事した人が多い。仕事好きで、芯の通ったところがあり、苦難な道をたどり、苦痛に打ち勝ってきた経験者が多い。そうした苦悩を克服してきた粘り強さが目立つ。さらに、順応性が高いことも特徴で、こうした特性があるから逆境をも乗り越え、切り抜けてきたのではないかと思われる。」

苦労人が長生きできるというのは、なんだか良い話ではないか。のほほんと生きているだけではボケてしまうのだろう。積極的に社会と関わりを持つことが高齢者の生きがいとなり、長寿の秘訣でもあるという「プロダクティブ・エイジング」という言葉が何度も出てくる。生き生きとしていることが、長生きにつながる。ただ長生きするというのは無為であると思うが、案外に難しいことのようだ。

100歳からの1年間の死亡率は64.4%。100歳になった人の3分の2は翌年にはこの世にいないそうである。身近に100歳のお祝いがあったら、これが最後かもしれないと思って、会うべきなのだなあ。

・ヒトが永遠に生きる方法―世界一やさしい身体の科学
http://www.ringolab.com/note/daiya/2004/07/post-108.html

・死ぬまでに知っておきたい 人生の5つの秘密
http://www.ringolab.com/note/daiya/2008/12/-5.html

・100歳まで生きてしまった
http://www.ringolab.com/note/daiya/2003/09/100.html