Books-Sociology: 2009年7月アーカイブ

・絶対貧困 世界最貧民の目線
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「物乞う仏陀」に続いて読んだこれも当たりですっかり石井光太ドキュメンタリのファンになってしまった。

世界の5人に1人は1日1ドル以下で暮らしている。物乞い、物売り、ストリートチルドレン、売春婦...路上やスラムに暮らす世界最貧民の実情を生々しくレポートする。その貧困の悲惨さを強調するのではなく、彼らがどんな生活をして、日々何を考えているのか、を潜入取材による同じレベルの目線で明らかにしていく。

・男女はどんな恋愛をしているか
・どんなセックスをしているか
・出産や葬儀はどうしているか
・トイレはどのようになっているか
・路上でどのように、いくらくらい稼ぎ、そして巻き上げられているか
・貧困女性が多く従事する性産業の実態

など。大きくスラム編、路上生活編、売春編の3章構成。知らないことの連続。

「しかし、スラムだって路上だって、売春宿だって、そこで生きているのは、私たちと同じ人間なのです。恋もすれば、嫉妬もするし、自慰だって不倫だってするわけで、かならずしも涙に暮れた純粋無垢な被害者しかいないわけではないのです。」

マクロばかりみて理解したつもりでも、貧困層の人生を内側からの目線でも考えなければ、貧困問題の真の問題解決にならないということがよくわかる。いや外側、内側と言うより上半身でも下半身でも、といったほうが正しそうだ。ここに赤裸々に綴られた下半身の事情が、失業率や犯罪発生率の数字よりも、読む物の心に迫ってくるものがある。

「今後、世界のグローバル化はますます加速していくはずです。その時に大切なのは、海外での出来事を自分たちのこととして考えることです。「遠い国の出来事」として見て見ぬふりをするのではなく、我が身に降りかかってくる問題として受け止め、行動をしていくことです。」

まさに実践者である。シモネタ事情を中心に語っていても、著者の貧困層を見る目が温かいから下品には落ちない。ツカミの効いた読み物として読ませ、後からじっくりと考えさせる。素晴らしいノンフィクション。

・物乞う仏陀
http://www.ringolab.com/note/daiya/2009/02/post-935.html

・石井光太オフィシャルサイト
http://www.kotaism.com/

・現代の若者
http://kotaism.livedoor.biz/

・最底辺の10億人 最も貧しい国々のために本当になすべきことは何か?
http://www.ringolab.com/note/daiya/2008/08/10-10.html