Books-Trivia: 2007年8月アーカイブ

・心霊写真 不思議をめぐる事件史
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子供の頃は心霊写真を信じていた。信じていたが故に、怖いもの見たさで、夏にワイドショーの心霊写真番組(「あなたの知らない世界」とか)があると、欠かさずに見ていた。一般人が投稿してくるところにリアリティがあったし、「専門家」があれは地縛霊、これは浮遊霊、それは守護霊などと解説する形式は分かりやすかった。当時は、写ってしまうと嫌なので、お墓にはカメラを向けないようにしようと思っていた。

霊があるかどうかはともかく、いま思えば、そのときに見た、ほぼすべての「心霊写真」は偽物であった。レンズに光学的なフレアなどのノイズが生じるのはよくあることだし、昔のフィルムカメラの場合はコマ送りに失敗して二重写しになることも起きうる。誰だってたくさん写せば、それっぽい「心霊写真」は撮れてしまうことを、後になって知った。
日本の心霊写真史もまた同じような誤解から始まった。明治初期の、写真を撮ると魂が吸われるという迷信が信じられていた頃に、へんなものが写った写真がいわくつきで公開されるようになった。

「明治末期から家庭にカメラが普及しはじめたとき、カメラに関する知識が同時に普及しなかったことが、後の「心霊写真」の歴史に大きく影響したと言える。失敗写真を「心霊写真」と思い込む風潮は、実に百年後の今日まで続いているのである。」」

昔の心霊写真は意図を持って作られたものが多かったが、現代の心霊写真の多くは、カメラのノイズや樹木の影などに幽霊の姿を見立てるものが多い。著者は、なんでもない写真を心霊写真にするポストモダニズムが現代のブームであるという。写真の大衆化によって、一般人が写真を大量に撮影するようになり、それをテレビが取り上げる。ここに「投稿」→「鑑定」→「供養」というシステムができあがったのだという。

心霊写真は偽物であるという前提で、日本の心霊写真について明治初期から現代までの動向を丁寧に調べており、サブカル文化史としてとても読み応えのある一冊だった。

ところで、携帯カメラやデジカメで心霊写真が撮れたという話をブログ上であまり聞かない。写るんですやデジカメ普及で心霊写真の報告数は増えているらしいから、ブログのネタとしてはもっとあってもいいはずだ。いや、探せば事例はたくさんあるのだが、見てもあまり怖くないのである。

考えてみるに、銀塩じゃないと写らない気がする、とか、デジタル写真は合成加工が容易だから信用できないということもある。そもそもデジタル化されてブログに晒されちゃう幽霊というのが間抜けな気がして、怖くない気がするというのが、大きな話題にならない理由なのではないかと個人的には、思う。

・::HIRAX.NET:: : 恐怖!「心霊」を見つけ出すソフトウェア
http://www.hirax.net/articles/2006/07/30/dekirukana8_ghost

STUDIO-蔵:心霊写真工房
http://www.studio-kura.com/download/sinrei/
心霊写真工房は普通の画像ファイルを心霊写真に変えてしまうソフトです。思い出の1枚をちょっとサイケに変身させてみてはいかがでしょう?

・【匠のデジタル工房・玄人専科】 : 初級編&上級編:心霊写真改造講座(1)
http://pchansblog.exblog.jp/2463391/

・感動する科学体験100 世界の不思議を楽しもう
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科学雑誌ニューサイエンティストが2005年のクリスマスギフト用に限定販売したベストセラー「100 Things to Do Before You Die」の翻訳版。人生観が変わる体験が100個紹介されている。面白い。

最初の6個はこんな内容である。

1 ロケットの打ち上げを見る
2 ドラマチックな皆既日食を見る
3 巨大竜巻を追う
4 古代芸術(洞窟壁画)に感動する
5 グルーンフラッシュを見る
6 カエルの原腸胚形成を見る

私が体験した事があるのは、うーん、100のうち3個しかなかった。やりたいことは10個見つかった。すべての体験に共通しているのは、やろうと思わなかったらできないことばかりということである。偶然ミグジェットで空を飛ぶことはないだろうし、散歩の道端で、世界最大の花ラフレシアを見ることもないだろう。地下2000メートルの洞窟に潜ったり。中国奥地の客家円楼に招かれることもないだろう。人生観を変えるような体験は降って湧いてこない。だから○年以内にこれを体験するという目標を立てるのに、よい本である。

翻訳者はアイデマラソンの樋口さんご夫妻。出版の経緯は「私が英国のヒースロー空港で帰国直前に購入し、機内で読み通して、その面白さに感動して、帰国後出版社と交渉し、出版権を技術評論社で結び、私とヨメサンとで翻訳したものです。」であるとのこと。この本には、20万件を超える発想を書いた人が「これはスゴイ」と思った発想ばかりなのである。

・普通の手書きメモがデジタルに エアペン アイデマアラソン スターターキット
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/005043.html

・企画がスラスラ湧いてくる アイデアマラソン発想法
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/000904.html

・「金のアイデアを生む方法 ”ひらめき”体質に変わる本
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004920.html