Marketing: 2004年1月アーカイブ

風邪でダウン。体調は回復するも山積みの仕事を消化中で更新停滞しています。手持ちのボツ原稿で埋めちゃおう。。。(編集部のTさん、いいですよね、これ宣伝になるから...)

・Webドメインマーケティング
http://webdomainmarketing.jp/
この連載用に書いたWebドメインについてのコラムでしたがテンポがよくないということでお蔵入りした原稿です。

なおWebドメインマーケティングについては、

三歩先をいくビジネス誌「宝島」
takarajima0402.JPG

の巻末の方の特集で私も写真入で登場中。企業ウェブマスターの皆様ぜひご覧くださいませ。


ここ数日でも、Webドメイン関連はこんなニュースもあってホット。

・JPRS、IDN未対応ブラウザから日本語JPドメイン名が利用できるサービス
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2004/01/19/1783.html
・PIR、“日本語.org”などIDNの一斉抹消は中止へ
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2004/01/19/1785.html

■汎用.jpドメイン、日本語ドメインの魅力

あなたが勝ちのある企業や組織のWebマーケターだったとして、自社のドメイン名
を選ぶことになったとする。考えた名前の候補に対して、あなたは次の4つの質
問に自信を持ってYESと答えることができるだろうか?

・DNS管理の安定性は大丈夫ですか?
・もしも訴えられたら対応できますか?
・取りたい名前を取ることができますか?
・印象に残る、間違わないドメインですか?

ドメイン名候補を考えるという作業は会議のひとつもすればたくさん思いつくだ
ろう。ドメイン名を登録するという作業は、多数の代行業者がサポートをしてく
れるから手間もかからない。

だが、このドメイン名選びひとつで、不要なリスクを背負い込んでしまったり、
お客を遠ざけてしまったりする可能性がある。4つの質問に対してすべてYESのド
メイン名を選ぶのが、企業のマーケティング担当者として賢い選択なのだ。

■質問1 DNS管理の安定性は大丈夫ですか?

.jp、.com、.net、.tvなど、日本語のサイトには、さまざまな種類のドメイン名
が使われている。専門的な言葉を使うと、ドメイン名の最後の部分=トップレベ
ルドメイン名は国際管理されているgTLDと国別で管理されているccTLDの2種類に
分けることができる。

ドメイン名の種類がいくつくらいあるかご存知だろうか?

・gTLD(Generic Top Level Domainの略)
.com、.net、.org... 10個

・ccTLD(の略)
.jp(日本)、.kr(韓国)、.ch(中国)... 約250個

ドメイン名はこの2種類の合計で約260種類も存在している。日本語サイトで多い
のは、.jpや.comであるが、以下のようなドメイン名を使ったサイトもちらほら
みかけることがあるだろう。

.tv ツバル
.to トンガ
.cc ココス島
.cx クリスマス諸島

.tvや.toはキーワードと組み合わせると意味の通った魅力的な名前になることが
あるため、企業のドメインでも採用例があるようだ。これらの小さな国や地域の
ドメイン名の多くは、比較的、資本力の小さな管理組織、場合によっては海外の
ベンチャー企業によって運営されている。

あまり知られていないことだが、トップレベルドメインの安定したDNS管理には
莫大な費用がかかる。小さな管理団体のケースでは運用上のトラブルが起きてア
クセス不能になる事故も実際に起きている。

2000年には、クリスマス諸島の.cxドメインがドメイン管理にかかる費用を納め
るのが遅れて、一時的にアクセス不能になるという事件があった。.cxドメイン
を利用していた主なお客である海外企業がこの影響を被ってしまった。企業サイ
トのダウンタイムはそのまま営業機会の損失につながってしまう。重要なドメイ
ン名に使うには、本当にそのドメインが信頼できる品質の運用体制を持っている
かどうか、調べておく必要がある。

汎用.jp及び日本語jpドメインの運用はその開始以来、大きなトラブルもなく、
品質は国際レベルでもトップクラスと高く評価されている。

■質問2 もしも訴えられたら対応できますか?

多くの企業がドメイン名を持つようになり、紛争も多く発生する。ドメイン名に
まつわる訴訟がニュースで話題になるようになった。

・米人気プロレス団体のドメイン「WWF.com」に商用使用差し止めの決定
http://internet.watch.impress.co.jp/www/article/2001/0813/wwf.htm・横行する「ドメイン乗っ取り」、登録会社の責任は?
http://www.hotwired.co.jp/news/news/Business/story/20030625102.html
・「goo.co.jp」ドメイン名使用権でNTT-Xが勝訴〜東京地裁が判決
http://internet.watch.impress.co.jp/www/article/2002/0426/goo.htm
・日本初のドメイン裁判,原告のジャックスが全面勝訴
http://itpro.nikkeibp.co.jp/free/NC/NEWS/20001206/1/

.comドメインの裁判は米国で行われる。当然のことながら訴訟対応は英語を使っ
て現地で行うことになる。米国事情に詳しい弁護士を雇って、英語で現地との打
ち合わせをすれば、旅費や通信費、翻訳費もかさむ。この点、.jpドメインには、
企業名や商標名の権利を保護するための仕組みが用意されている。

1 サンライズピリオド:異議申し立て期間による権利保護の仕組み

他者が勝手に自社の権利の名称をドメイン登録したことを発見した場合に、30日
以内に異議申し立てを行えば、その登録を解除することができる。

2 DPRS(ドメイン名紛争処理方針):悪用されたら取り返す仕組み

jpドメイン名に関して紛争が発生したときに正当な権利者を守り、訴訟を含む紛
争解決を円滑に行う手順を決めた方針。

・ドメイン名紛争処理方針(DRP)
http://www.nic.ad.jp/ja/drp/index.html

■質問3 取りたい名前を取ることができますか?

.comドメインには既に2千万件を超えるドメイン名が登録されている。.comはイ
ンターネットの草創期から運用されているため、世界中のユーザが先を争って登
録を行った結果、名前の空間が埋め尽くされてしまい、今からでは、取りたい名
前を登録することは困難な状況である。

ドメインブローカーによるドメインの値段の吊り上げの結果、一般名詞の取引価
格が1千万ドルクラスの名前まで現れてしまった。例えば、ITニュースサイトの
Hotwired記事によれば、『business.com』、『drugs.com』、『wallstreet.com』
はそれぞれ750万ドル、82万5000ドル、100万ドルで販売されたという。ドットコ
ムIPOバブル全盛期ならばともかく、これだけの投資を単にドメイン名から回収す
ることは現状ではほとんど不可能であろう。

・参考記事:ドメイン名で大儲けの夢を追い続ける再販業者たち
http://www.hotwired.co.jp/news/news/business/story/20030514106.html

そもそも.comドメインは古くからあること、登録時の制約が緩いことという理由
だけで安易に選ばれがちであった。

日本の企業のWebマーケターは冷静にこの事実に気がつき始めている。

jpドメインの中でも、co.jpという属性ドメインには、1組織1ドメインの原則と
いう登録時のルールがある。最初に企業名で登録するとブランド名やサービス名
でco.jpを登録できないという制約があったが、汎用jpや日本語jpドメインは自
由に取得することができる。

■質問4 印象に残る、間違わないドメインですか?

日本語jpドメインには印象に残る、間違わないというメリットがある。

例えば「小学校」のドメイン名として、メディアに登場させるときに、次のふた
つはどちらが分かりやすいと感じるだろうか?

1 「shogakko.com」
2 「小学校.jp」

ほとんどのユーザが2のほうが目にしたときに分かりやすい、印象に残ると答え
るはずだ。1はローマ字としてはSyogakko.comともShougakkou.comなど数パター
ンで書けるから間違えて入力するユーザも多くなる。

もうひとつ例を出してみよう。

1 meti.go.jp
2 経済産業省.jp

これもまた2のほうが万人に分かりやすく間違えられないはずだ。

国際化ドメイン名として日本語.comというドメイン登録も可能ではあるが、漢字
は日本以外でも国際的に使われている文字だ。「現代.com」というドメインを取
得して、隣国の財閥からクレームが起きたり、「美食.com」と書いたら同名のブ
ランドから注意が来たり、実は他国ではこの漢字が妙な隠語であったという事態
も考えられる。前述したように日本語jpであれば日本企業の持つブランド名が保
護されやすく、訴訟リスクは小さくなる。

現段階では日本語ドメイン名の採用例は決して多くはない。ブラウザーが日本語
jpドメインの直接入力に対応しておらず、追加プラグインソフトのインストール
を必要とするからである。この状況も、一部のブラウザーが標準対応したという
ニュースもあったりで、変化の兆しが見えてきた。

・日本語ドメイン名プラグイン(JPRS提供)
http://jprs.jp/i-Nav/・RFC準拠方式で日本語JPドメイン名のWebアクセスが可能に
http://internet.watch.impress.co.jp/www/article/2003/0710/jprs.htm

漢字やカナ文字とローマ字を比較すると、前者の方が日本人には圧倒的に認知さ
れやすく記憶に残りやすい。将来的には、雑誌広告や交通広告の表示は日本語
.jpが主流という状況も十分に考えられそうだ。

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