Misc: 2009年12月アーカイブ

今年このブログの紹介記事を経由してAmazonで販売された本の売り上げ冊数ランキングです。1位はもちろんアレなのですがどうもありがとうございました。

・2008年度 書籍売り上げランキング ベスト20
http://www.ringolab.com/note/daiya/2008/12/200820.html

・2007年度 書籍売り上げランキング ベスト20
http://www.ringolab.com/note/daiya/2007/12/200720.html

・2006年度 書籍売り上げ ベスト20
http://www.ringolab.com/note/daiya/2007/01/200620.html

・2005年度 書籍売り上げランキング ベスト20
http://www.ringolab.com/note/daiya/2005/12/200520.html

・2005年度 書籍売り上げランキング ベスト20
http://www.ringolab.com/note/daiya/2004/12/6-1.html


■1位 情報力
http://www.ringolab.com/note/daiya/2009/01/post-900.html

・情報力

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自分の本が1位でした。当たり前ですが...。読んでいただいた皆様に感謝します。また2010年にも本を書きたいと思います。

私はこの本の冒頭で"ハイパー個人"という言葉を造りました。デジタルとネットワークで情報処理能力を飛躍的に増大させた人を意味します。圧倒的に大量の情報の中から自分の意志決定に必要な適合情報を抽出し、分析して仕事と生活に役立てること。それがハイパー個人のための情報術です。

■2位 人を幸せにする話し方―仕事と人生を感動に変える言葉の魔法
http://www.ringolab.com/note/daiya/2009/09/post-1070.html

・人を幸せにする話し方―仕事と人生を感動に変える言葉の魔法
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「たとえば、講演を聴き終わった人が、「今日の講演はすごかった。あんなすごい人がいるんだなあ」という感想を持ったとします。 この講演は、成功したと思いますか?それとも失敗したと思いますか?。 その講演の目的が「講師がすごい人であることを知らせること」なら別ですが、残念ながら、講演として成功したとは言えません。」

■3位 十頁だけ読んでごらんなさい。十頁たって飽いたらこの本を捨てて下さって宜しい。
http://www.ringolab.com/note/daiya/2009/10/post-1087.html

・十頁だけ読んでごらんなさい。十頁たって飽いたらこの本を捨てて下さって宜しい。

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遠藤周作が昭和35年に書いた原稿が、46年後に発見されてこの本(元は単行本)になった。手紙や文章の書き方をやさしく教える内容。病人への見舞いの手紙、彼女を上手くデートに誘うラブレター、告白されて断るときの心得(女性編)、お悔やみ、など、軽い読み物なのだが、遠藤周作がいかに人と違う文章、凡庸でない文体を確立することを大切にしていたかがよくわかる。

■4位 はじめて講師を頼まれたら読む本
http://www.ringolab.com/note/daiya/2009/12/post-1128.html

・はじめて講師を頼まれたら読む本
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元吉本興業プロデューサー。年商1億円、年間300回以上の講演をする人気女性講師の「話し方のコツ」。そんな数字が示されているとつい計算してしまうのだが、基本は90分50万円で講演を引き受けているそうだ。「わたしは、五分のネタを180本以上持っています。180本くらいのネタのストックがあると、その日のお客さんの状況や年齢層などによって、話しをアドリブで組み替えることもできます。」

■5位 絶対貧困 世界最貧民の目線
http://www.ringolab.com/note/daiya/2009/07/post-1037.html

・絶対貧困 世界最貧民の目線
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世界の5人に1人は1日1ドル以下で暮らしている。物乞い、物売り、ストリートチルドレン、売春婦...路上やスラムに暮らす世界最貧民の実情を生々しくレポートする。その貧困の悲惨さを強調するのではなく、彼らがどんな生活をして、日々何を考えているのか、を潜入取材による同じレベルの目線で明らかにしていく。

■6位 HEALTH HACKS! ビジネスパーソンのためのサバイバル健康投資術
http://www.ringolab.com/note/daiya/2009/02/health-hacks.html

・HEALTH HACKS! ビジネスパーソンのためのサバイバル健康投資術
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自称「健康オタク」であるこの先生は、世の中にあふれる健康情報を幅広く収集し、自身で体験し、エビデンス(科学的根拠)の有無を論じている。たとえば、水は沢山飲んだ方が良いとか、暗いところで本を読むと目が悪くなるとか、とにかくやせたほうがいい、沖縄県民は長寿だ、無理せず気持ちよく歩け、毛を剃ると剛毛になる、などは俗説でありエビデンスを欠いた眉唾健康情報だと切り捨てる。

■7位 世界は感情で動く (行動経済学からみる脳のトラップ)
http://www.ringolab.com/note/daiya/2009/03/post-955.html

・世界は感情で動く (行動経済学からみる脳のトラップ)
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高いワインほどおいしいと感じられてしまうハロー効果、占いがよく当たると思いこむバーナム効果、経験の強烈な部分と最後の部分が判断に影響を及ぼすピーク・エンドの法則など、私たちが陥りがちな認知バイアス=「脳の罠」とその回避法についてのエッセイ集。

■8位 儲かるオフィス 社員が幸せに働ける「場」の創り方
http://www.ringolab.com/note/daiya/2009/02/post-931.html

・儲かるオフィス 社員が幸せに働ける「場」の創り方
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知識ワーカーがクリエイティブに働くためのオフィス論。多摩大学大学院教授(知識経営論)の紺野登先生の本。「クリエイティブなオフィスというとフリーアドレスを思い浮かべる人が多いかもしれませんが、すでに指摘したように実は創造業務には向いていません。創造業務に必要なのは「対話」の質や密度、その背景となる組織の知の質であって、自由に座ることではないからです。ちなみにフリーアドレス制が向いているのは、営業部門のように在籍率が低い組織です。」「組織図をそのままオフィスレイアウトに反映させてしまうと、創造的な環境は生まれません。したがって、無思想なファシリティ・マネジメントは、「儲からないオフィス」のきっかけになりかねないのです。」

■9位 100年予測―世界最強のインテリジェンス企業が示す未来覇権地図
http://www.ringolab.com/note/daiya/2009/11/100-3.html

・100年予測―世界最強のインテリジェンス企業が示す未来覇権地図
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各国政府、軍機関、多国籍企業、ヘッジファンドなどを顧客に抱え、「影のCIA」と呼ばれるインテリジェンス企業ストラトフォーのCEOジョージ・フリードマンが書いた長期未来予測。文字通りの100年の計である。著者に言わせれば2008年の金融危機などありふれた景気循環の山にすぎない。主な予測は以下の通り。

・21世紀はアメリカの時代になる。
・日本、トルコ、ポーランドが新たな覇権国として台頭する
・意外にも中国が世界的国家になることはない
・海洋、そして宇宙を制する者が覇者となる
・2050年頃に勃発する世界戦争は宇宙戦争である
・21世紀後半のアメリカの脅威は隣国メキシコである

■10位 さあ、才能(じぶん)に目覚めよう―あなたの5つの強みを見出し、活かす
http://www.ringolab.com/note/daiya/2009/12/5-8.html

・さあ、才能(じぶん)に目覚めよう―あなたの5つの強みを見出し、活かす
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本は読まなくていいのです。1冊にひとつ付属するIDを使ってWeb上のテスト「ストレングスファインダー」を受験してください。180問の質問に答えるとぞれぞれの強みが5つわかるというものです。書籍はその説明書にすぎません。数十万人のビジネスパースンに対する調査データから、受験者の生来の資質を指摘するというもの。自分の美点を5つみつけてもらえます。そしてその美点がいかに素晴らしいものであるかを説明してくれます。読んでいてうれしくなります。

■11位 アイデア・スイッチ 次々と発想を生み出す装置
http://www.ringolab.com/note/daiya/2009/07/post-1023.html

・アイデア・スイッチ 次々と発想を生み出す装置
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「創造手法の専門家たちは、これまでに、さまざまな「アイデア創出方法」を見いだしています。つまり「発想装置」を起動するための「スイッチ」が、実は存在しているのです。おもしろいことに、このスイッチには複数の種類があります。「即効系」のものは短時間で次々と発想させてくれますし、「深考系」のものはステップを踏んで確実に創造的なアイデアを発想させてくれます。」

■12位 シッダールタ
http://www.ringolab.com/note/daiya/2008/02/post-708.html

・シッダールタ
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「車輪の下」のヘルマン・ヘッセのもうひとつの代表作。アメリカ合衆国だけで500万部、全世界では43カ国で翻訳され、1000万部を超える大ベストセラーになった。和訳はいくつもあるが、これは2006年に草思社(がんばれ)から出た新訳版。現代人にわかりやすい文章。

■13位 科学する麻雀
http://www.ringolab.com/note/daiya/2008/05/post-758.html

・科学する麻雀
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もし私が麻雀現役だった学生時代にこの本を読んでいたら、こういう紹介文章なんて絶対に書かないで、知識を独り占めにしていたと思う。この本を読む前と後では、麻雀の強さが数パーセントは確実にアップしたんじゃないかと感じている。必勝法が書いてあるわけではないのだが、科学的に正しい情報を得て配牌に迷いがなくなるから、確実に余裕が生まれる。

■14位 傷はぜったい消毒するな 生態系としての皮膚の科学
http://www.ringolab.com/note/daiya/2009/07/post-1028.html

・傷はぜったい消毒するな 生態系としての皮膚の科学
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驚き。食品包装用ラップで傷が治る?。2001年よりインターネットで傷を消毒しない、乾かさない「湿潤治療」を啓蒙する医師の書いた本。コペルニクス的な転回が面白い。

■15位 [オーディオブックCD] 世界一おもしろい日本神話の物語
http://www.ringolab.com/note/daiya/2009/02/cd-cd.html

・[オーディオブックCD] 世界一おもしろい日本神話の物語 (CD)

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イザナミとイザナミに始まる日本神話の代表的エピソードを50本、朗読してCDに収録している。こうした神話は、古事記や日本書紀の現代語訳で読むこともできるが、日本神話は神様の名前がやたらとむずかしい。天邇岐志国邇岐志天津日高日子番能邇邇芸命(アメニギシクニニギシアマツヒコヒコホノニニギ)なんて読むこと自体が苦労である。だからこそ朗読を聴くといいのだ。

■16位 プロジェクトファシリテーション
http://www.ringolab.com/note/daiya/2009/10/post-1089.html

・プロジェクトファシリテーション
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創業125年の老舗大企業 古河電工。人事総務部門の担当者とコンサルティング会社のコンサルタントが二人で書いた業務革新の一大プロジェクトの回顧ノンフィクション。構成のアイデアが素晴らしい。同じ場面を担当者の視点と、コンサルタントの視点が交互に描いている。それぞれの言動がそのとき相手の立場からはどのように見えていたか、そして何を考えていたかが明らかになる。

■17位 ヤンキー文化論序説
http://www.ringolab.com/note/daiya/2009/03/post-951.html

・ヤンキー文化論序説
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そういわれてみればヤンキー的な生き方は実にオーソドックスな日本人的な生き方なのだ。であるがゆえに、日本では、品がない俗っぽい要素を効果的に取り込むことが大衆に受けるコツなのだ。彼らこそマスである。政治や選挙活動のスタイルがいつまでたっても"ベタ"な印象が強いのも、大衆がヤンキー的なものにひかれるからなのかもしれない。

■18位 借金の底なし沼で知ったお金の味 25歳フリーター、借金1億2千万円、利息24%からの生還記
http://www.ringolab.com/note/daiya/2009/05/-251224.html

・借金の底なし沼で知ったお金の味 25歳フリーター、借金1億2千万円、利息24%からの生還記
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25歳年収240万円のフリーターが、欲に目がくらんであっという間に1億2千万円、利息24%の借金を背負う。過酷な取り立てに追い込まれるが、自己破産することも許されない無間地獄の日々。生々しい。すべて著者の体験した実話だそうだ。借金体験記は世の中にいくらでもあるのだろうが、人気メールマガジンの作者なだけあって、リードから読ませるのがうまい。

■19位 裏方ほどおいしい仕事はない!
http://www.ringolab.com/note/daiya/2009/10/post-1096.html

・裏方ほどおいしい仕事はない!

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組織の中で権限なしに人を動かす方法論を述べた本。著者は裏方から会社のあらゆる人を動かす能力を「事務局力」と定義する。まず大切なのは人の置かれた立場でその人の感情を想像し、社長や社員の課題意識を明解な言葉にすること。事務局の仕事はコンサルタントの仕事と本質的に近いものだと述べられている。

■20位 落語論
http://www.ringolab.com/note/daiya/2009/08/post-1050.html 

・落語論
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落語を通して他者を魅了する芸とは何かの本質を論じている。芸人だけでなくプレゼン機会の多いビジネスマン、講師・教員、コンサルタントは必読の書である。ライヴの極意が書かれている。

来年のイベントのご案内です。

iPhoneとモバイルサービスの未来について、ソフトバンクモバイルのエバンジェリスト中山五輪男さんとディスカッションすることになりました。申し込み方法がTwitter限定と少々風変わりですが、無料ですので御気軽にご参加ください。

========以下、主催者のフィードパスによる案内文です。

【開催告知】Feedpath face to face Round Table Vol.2
http://www.feedpath.co.jp/topics/seminar/000543.html
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テーマ:橋本大也 × 中山五輪男 エバンジェリストと
iPhoneについて語ろう!

Feedpath face to face Round Table
Vol.2(FRT)は、iPhoneエバンジェリストとして日々国内を奔走しているソフトバンクモバイルの中山五輪男さんと「忘年会議」をはじめとする多くのセミナーで講演を行っているインターネット業界のオピニオンリーダーであるデータセクションの橋本大也さんというビッグネームの顔合わせを実現しました。フィードパスCTOの後藤康成を交えて2010年のiPhoneのトレンドについて徹底討論を行います。iPhoneに興味をお持ちの方々のご参加をお待ちしております。


§ 開催要項

開 催 日 2010年1月19日(火)
開催時間 16:00 - 18:00 (15:30から受付)
会  場 〒107-0061
東京都港区北青山2-7-26 フジビル28 9F CROSS COOP青山 9F
セミナールーム
アクセス http://crosscoop.com/conference/conference_access

参加費 無料

定  員 先着20名様
定員になり次第、参加申し込みを締切らせていただきます

MC 後藤 康成 フィードパス株式会社 取締役 CTO
ゲ ス ト 橋本 大也 氏 起業家。データセクション株式会社取締役会長
中山 五輪男 氏 ソフトバンクモバイル株式会社 マーケティング本部 事業推進統括部 シニアエヴァンジェリスト


PCの持ち込みについて
PC持ち込み可能。無線LANをご利用いただけます
PC用の電源タップは数に限りがございます

Twitter中継について
Twitterを活用してリアルタイム中継が可能です
FRTのTwitterハッシュタグはこちらをお使い下さい 【#FRT】

主催 フィードパス株式会社


§ プログラム
Keynote ライフスタイルに変化をもたらした、掌からアクセスできる
コンピュータの近未来
後藤 康成(10min)

Session 1 iPhone活用による『ユビキタス情報力』革命
橋本 大也 氏(30 min)

Session 2 進化し続けるiPhoneがビジネスを変革する
中山 五輪男 氏(30 min)

Discussion 橋本 大也 × 中山 五輪男 × オーディエンス
モデレータ 後藤 康成(30 min)
Networking

Conversation 名刺交換およびご歓談
(10min)

お申し込みはこちら
http://www.feedpath.co.jp/topics/seminar/000543.html

注意。
このランキングは1年遅れの2008年度のランキングです。私が昨年2008年中に読んで面白かった本です。毎年、フィクション部門とノンフィクション部門で、オススメ書籍を発表してきましたが、2008年度はフィクション美門だけ発表してノンフィクション部門の発表を忘れていたことに、この年末になって気がつきました。

2008年度 年間オススメ書籍ランキング フィクション部門
http://www.ringolab.com/note/daiya/2009/01/2008-3.html
これと対になります。

そういうわけで周回遅れの2008年度 年間オススメ書籍ランキング ノンフィクション部門です。この年度は私の読書傾向がはっきりしていて新刊よりも既刊・古典ばかりが並ぶ結果になりました。

2009年度版は年始に発表予定。

■1位 シッダールタ
http://www.ringolab.com/note/daiya/2008/02/post-708.html

・シッダールタ

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この本は最終章で解脱の境地に至ったシッダールタが語る人生の総括にすべてがある。「愛」とは何か、「時間」とは何か、「人は何のために生きるか」に対して現代日本に生きる私にも説得力のある答えが書かれていた。90年近く前にドイツ人の作家がこれを書いたということに驚かされる。学生時代に「車輪の下」を読んでもスルーだったノーベル賞作家なのだが、こちらはズシンときた。

■2位 脳は美をいかに感じるか―ピカソやモネが見た世界
http://www.ringolab.com/note/daiya/2008/04/post-742.html

・脳は美をいかに感じるか―ピカソやモネが見た世界

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美術の目的は脳機能の延長にあるという科学的美術論。ピカソ、フェルメール、ミケランジェロ、モネ、モンドリアンなど古今東西の美術作品を、脳はなぜ美しいと感じるのか、脳科学の研究成果と結びつけて解説していく。美とは何かという哲学的問題ととらえられてきた難問に対して、著者は明解な科学的な回答を提示する。

■3位 愛の空間
http://www.ringolab.com/note/daiya/2008/04/oso.html

・愛の空間

・愛の空間


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大変面白い。日本独特の文化である「性行為専用空間」の歴史学。井上章一が10年がかりで書いた傑作。好事家もここまで極めると新学問の開祖といってもよさそう。

■4位 選挙のパラドクス―なぜあの人が選ばれるのか?
http://www.ringolab.com/note/daiya/2008/10/post-864.html

・選挙のパラドクス―なぜあの人が選ばれるのか?

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ノーベル経済学賞受賞の経済学者ケネス・アローは、いかなる投票方法を持ってしても、票割れなどの好ましくない状況を完全に排除することはできないということを論理的に証明して見せた。アローの不可能性定理は民主主義の致命的欠陥ともいわれる。民衆が三人以上の候補者から最適な一人を選ぶことは、とても難しいことなのだ。

■5位 人はいかに学ぶか―日常的認知の世界
http://www.ringolab.com/note/daiya/2008/10/post-846.html

・人はいかに学ぶか―日常的認知の世界

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私たちは学校教育で教師から知識を学ぶ。一方で習わないこともたくさんある。日常を生きる上で必要な基本能力を私たちは「教え手なし」で獲得できる。学校に行かなくても生きていく基本能力は自然に備わる。発達心理学と認知科学を専門とする著者は、人間はこれまで一般に考えられてきたよりもずっと有能な学び手なのだという。現実的必要から学ぶとき人は教師から学ぶのとは異なる強力な学習をする。この本はそうした日常的認知の能力を解明しようとしている。

■6位 日本文化の模倣と創造―オリジナリティとは何か
http://www.ringolab.com/note/daiya/2008/05/post-756.html

・日本文化の模倣と創造―オリジナリティとは何か

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コンテンツビジネスに関わるすべての人が一読の価値ありの名著。日本と世界の文化史における模倣と創造の関係を多面的に検証し、ものまねではないオリジナリティの追究という幻想を打ち壊す。歴史を振り返ってみれば、ものまねこそクリエイティティの源泉だったのである。

■7位 J・S・バッハ
http://www.ringolab.com/note/daiya/2008/06/js.html

・J・S・バッハ

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楽聖と呼ばれるバッハの人柄や生活、職場や家庭について、この本ではじめて知ることができた。バッハは世襲の名門音楽家職に生まれたが、当時の音楽家は職人の一種であった。徒弟として師に学び職人修行の末に独立した楽士になるものだった。バッハはそうした職人気質の世界でも並外れて頑固で妥協を許さない性格で知られ、それが出世にマイナスに響いた部分もあり、高名ではあるが必ずしも時代の寵児で人気者というわけではなかったようだ。そして、そうであるが故にバッハの厳格さと倹約の精神はいっそう強くなったとらしい。

■8位 イスラーム文化 その根柢にあるもの
http://www.ringolab.com/note/daiya/2008/09/post-822.html

・イスラーム文化 その根柢にあるもの

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中東問題の記事を読むときに出てくるスンニー派、シーア派などが何を意味しているか根本的な理解ができる。インターネットで世界はすっかりつながった感じがあるが、文化的に断絶しているのが日本とイスラーム世界だと思う。日本人は一般に宗教を嫌うから外国の文化だけを理解しようとする。しかしイスラーム世界の場合、それでは無意味だということがわかる。イスラーム世界の文化的枠組を理解する名著である。

■9位 オオカミ少女はいなかった 心理学の神話をめぐる冒険
http://www.ringolab.com/note/daiya/2008/11/post-871.html

・オオカミ少女はいなかった 心理学の神話をめぐる冒険

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この本には、オオカミ少女とサブリミナルのほか、言語と虹の色の数の関係、双生児の研究、なぜ母親は左胸で抱くか、プラナリアの学習実験、恐怖条件づけとワトソンの育児書など、どこかで聞いた話が次々に出てくる。意識的にあるいは無意識に実験者が結果を作り出してしまう事例の研究書だ。読み物としても面白い。

■10位 マインド・タイム 脳と意識の時間
http://www.ringolab.com/note/daiya/2008/01/post-689.html

・マインド・タイム 脳と意識の時間

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認知科学で有名な意識の遅延に関する理論を、研究の第一人者の認知心理学者ベンジャミン・リベット自らが一般向けに語っている。この理論によると。私たちが意識の上で「今」だと感じている瞬間は正確には0.5秒くらい前なのである。

■11位 日本人と日本文化
http://www.ringolab.com/note/daiya/2008/03/post-716.html

・日本人と日本文化

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司馬遼太郎とドナルド・キーンの対談。古典的名著。キーンの日本文化についての知識の幅広さと深さに驚かされる。議論の中で何度も司馬遼太郎が防戦側に回っているように感じた。8本の対談が収録されている。議論はだいたい日本らしさ、日本人らしさとは何か、ということに収斂する。キーンに言わせると歴史的にみて「日本人はいつも何が日本的であるかということについて心配する」民族であったらしい。

■12位 中空構造日本の深層
http://www.ringolab.com/note/daiya/2008/12/post-882.html

・中空構造日本の深層

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今読むと、多様な思想を共存させるエコシステムとして、日本人の精神の深層にある中空・均衡構造は、ネットワーク時代の世界が持つべき構造のヒントになりえる気もする。欧米型の中心統合構造に対して日本は劣っているのではなく、むしろ中空・均衡構造という優れた構造を持っているのだと胸を張るべきなのだ。まあ、胸を張って言わないのが中空均衡構造のリーダーでもあるのだけれど。

■13位 迷惑な進化―病気の遺伝子はどこから来たのか
http://www.ringolab.com/note/daiya/2008/05/post-759.html

・迷惑な進化―病気の遺伝子はどこから来たのか

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ガンや糖尿病など遺伝が関係する病気は数多い。なぜ人類は進化の過程でこうした病気をなくすことができなかったのか。進化とは有害な遺伝子を淘汰して、役に立つ遺伝子だけを残すという取捨選択のプロセスではなかったのか?。気鋭の進化医学者が進化の仕組みについての最新の科学的見解を披露する。

■14位 「信用偏差値」―あなたを格付けする
http://www.ringolab.com/note/daiya/2008/12/post-885.html

・「信用偏差値」―あなたを格付けする

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「日本では、五百万円借りている人と一千万円借りている人を比べると一千万円借りている人の方がリスクが高いとみなされ、警戒される。ところが、米国では一千万円、二千万円借り入れていても、その人が返済しているのなら、信用があると、前向きに判断される。返済ができているのは、それだけ収入があるからだと、考えているためだ。」

■15位 戦場の生存術
http://www.ringolab.com/note/daiya/2008/05/post-757.html

・戦場の生存術

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1942年生まれ、1961年慶応大学在学中に傭兵部隊の一員としてコンゴ動乱に参加、その後、フランス外人部隊教官を経て、アメリカ陸軍特殊部隊に加わる、というプロフィールの日本人傭兵が書いた、正真正銘のサバイバル術。そんじょそこらの趣味的サバイバル本とはレベルが違う。平和ボケしている私たち日本人だが、平和ボケしていられることの幸福をかみしめるために、この本は価値があると思う。こんなノウハウが使われる日が来てはいけないし、一般人が知る必要もないのがよい社会のはずだ。ただ、戦争の恐ろしさを確認するために価値がある一冊かもしれない。老人の戦場体験よりも恐怖のリアリティが伝わってくる。

■16位 美を脳から考える―芸術への生物学的探検
http://www.ringolab.com/note/daiya/2008/06/post-777.html

・美を脳から考える―芸術への生物学的探検

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こうした美の原理の発見は、美の創造にも役立つ基礎データになるだろう。音楽におけるリズムの研究やダンスの研究の章もあるが、結論として世界中で言語は違っても、詩や音楽、会話のテンポは似ているのだ。その普遍性には聴覚器官の知覚能力や脳の情報処理能力と深い関係があるようだ。

■17位 日本の統治構造―官僚内閣制から議院内閣制へ
http://www.ringolab.com/note/daiya/2008/06/post-773.html

・日本の統治構造―官僚内閣制から議院内閣制へ

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私の受けた日本の教育では、国の運営について肝心のところを教えてもらえなかったと不満に思っている。社会の教科書には、憲法の主旨、三権分立の概念、二院制、選挙制度など日本のハードウェア構成は書いてあるのだが、それらが実際にどう運用されているのかの話はほとんど書かれていなかったと思う。90年代以降の改革の意味も含めて具体的にわかりやすく説明がある。高校や大学の授業でこれを教えるべきである。政治学者が書く一般書のお手本になる名著だと思った。

■18位 遊びと人間
http://www.ringolab.com/note/daiya/2008/07/post-803.html

・遊びと人間

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1958年にロジェ・カイヨワが書いた遊戯論の古典。特に遊びの定義と4分類は後の研究に大きな影響を与えた。遊びは人間だけのものではない。動物の子供も遊ぶ。遊びは動物に共通する本能である。その基本的な本能を公共のために飼い慣らすことができたのが人間の成功の秘密だったのかもしれない。カイヨワの遊戯論は後半でいつのまにか文明論に発展していく。読み応えたっぷりである。

■19位 大人問題
http://www.ringolab.com/note/daiya/2008/08/post-798.html

・大人問題

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絵本作家の五味太郎が大人向けに書いた教育論。子どもにとって大人は有害だと宣言する。子どもに問題があるのではなくて大人"は"問題であり、大人"が"問題であり、大人"の"問題であるのだ。大人問題の本。かつて大人や学校や大嫌いだった人(私はそうでした)には、拍手喝采の名言集である。

■20位 津山三十人殺し―日本犯罪史上空前の惨劇
http://www.ringolab.com/note/daiya/2008/10/post-853.html

・津山三十人殺し―日本犯罪史上空前の惨劇

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岡山県苫田郡西加茂村大字行重部落。昭和13年5月21日午前1時40分頃、農業 都井睦雄(22歳)は寝所から起きだすと、黒詰襟の服を着込み、足にはゲートルと地下足袋、頭に二本の懐中電灯をとりつけた。猛獣狩用猟銃を持ち、日本刀を腰に下げて、外に出ると、まず村の電線を断ち切り村を停電させた。世界的にも類例がないほどの単独犯による大量殺人事件の始まりであった。

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このエントリは報告ではなく参加者へのメッセージです。

これまで忘年会議(及び無敵会議、検索会議)にご参加いただいた皆様、関係者の皆様。
本当にありがとうございました。

2003年12月に、百式管理人の田口さんと二人で、忘年会と企画会議を合体させた「忘年会議」を始めました。それが好評だったため2004年は「無敵会議」シリーズとして毎月ベースで12回も開催しました。

その顛末はこちらの超まとめページが詳しいです。

・無敵会議 超まとめ
http://shigepi.seesaa.net/article/1432485.html

・無敵会議最終回 超忘年会議 
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/002751.html

2004年12月の会議がシリーズとしては一応の最終回でした。終了後に参加者の皆さんに胴上あげされて感激しました。その後の6年間は忘年会議(毎年末)と検索会議(不定期)だけを開催してきました。延長戦のつもりでしたから、こんなに長く続くとは思いませんでした。

サプライズ企画で皆さんから温かいメッセージを送っていただき、ぐっとこみあげるものがありました。企画してくださった皆さん、本当にありがとう。嬉しかったです。数十人の美しい女子に囲まれ花束を渡されたときは、あまりの雰囲気の濃密さに胸がドキドキしてしまい下ばかり向いていた気がしますが...本当はとても嬉しかったです。(あの美女ハーレムドキドキ感をデジタル、バーチャルで再現できたら、ラブプラスを超える大ヒットになるでしょうね。)

イベント後の懇親会では、なぜ最終回なのかとずいぶん聞かれましたが、

新しい発想を生み出す会議イベントがマンネリになっていた。それはそれでよいのだけれど2000年代の終わりで一区切りしよう。2010年代は新たな試みをしていきたい。それでこそ無敵会議マインドだと思う。

というのが個人的な私の理由です。それからもうひとつの理由は、

私も田口さんもこのイベントを通してネットコミュニティから十分すぎるくらいの恩恵を受けました。そろそろ、もっと若い人たちが、こんなイベントを企画したらいいのじゃないかなと思っています。

イベントの最後に一緒にここまでやってくれた盟友の田口さんに、皆さんの前でお礼を言ったわけですが、あの瞬間にこのイベントは終わったなあと私は思いました。というのは、あれを言ってしまうと、企画プロデュースの肝であった私と田口さんの間にあった緊張感も終わるからです。

長い間、皆様の参加と協力に支えられて、素晴らしいイベントを運営できました。参加者の中にはこのイベントがきっかけで事業を立ち上げたり、仲間と出会ったり、転職したりしたひとが、たくさんいらっしゃるようです。報告を頂きました。私たちはただ楽しかったからやっていたのだけれど、結果的にはそれ以上の価値を生み出せたことがうれしいです。

私と田口さんは7年間もやりました。もはや一生の思い出です。

というわけでいろいろ最終回ネタ書きましたが、実は本質的にはなーんにも終わっておりません。

田口さんはすぐ「新年会議」を発表しようかなと笑っていましたが、私も別に来年のイベント企画を考えていますけどね(笑)。そのうち、また彼と組んで何かをやることもあるでしょう。というわけで、終わりは始まり、今後もよろしく、お楽しみに。

田口さんの報告もぜひご覧ください。

・忘年会議をやり遂げた!
http://www.ideaxidea.com/archives/2009/12/bounenkaigi_2009-2.html

そして末筆ながら、私たちを強力にバックアップしてくれたヤフー株式会社と中西りささんをはじめとするスタッフの皆様に心から感謝しております。ヤフーの人たちは、私たちの企画の趣意を深く理解され、一度たりとも私や田口さんに宣伝的な要素を入れることを要求されたことがありませんでした。だからこそ、皆さんにこのイベントは親しまれました。個人やコミュニティの活動を盛り上げてくれたヤフーは素晴らしい会社であると思います。

・428 封鎖された渋谷で
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アドベンチャーゲーム。

前作『街』の大ファンだった私は、『428』には発売前から期待していた。428とは渋谷のこと。ある誘拐事件に始まり、渋谷が封鎖される一大事に発展する複雑な物語。クリア後のおまけまで素晴らしい出来。おすすめ。

テキストを読みながら、その中の選択肢を選び、物語を進めていくテキストアドベンチャー。複数の登場人物の視点を切り替えながら進んでいく。意思決定を間違えると、ある人物とある人物が出会えなくなってしまって"バッドエンド"になったりするとやり直し。10:00-11:00のように時間で区切られており、全員の話を1時間分正しく進めると、次の時間帯に移っていく。

ばらばらの各登場人物のストーリーが交差していた『街』と比べると、『428』は登場人物らの交差点が多くて、ひとつの大きな物語を作り上げている気がした。誘拐事件なのだが、午前中はのんびりしていて比較的各自がばらばらに進行しているが、午後遅くなるに従い事件の緊迫度が上がり、物語の絡み方が密接になっていく。スピード感が加速していく脚本と演出が素晴らしい。

・428 -封鎖された渋谷で- オフィシャルガイドブック
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このガイドブックはゲームの性質上かなりネタバレになるので本編クリア後に買った方がいい。それから『街』同様に、クリア後おまけが異様に長いので、終わってもしばらく楽しめる。

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