情報を情報に隠すステガノグラフィー技術

| | コメント(2) | トラックバック(0)

Slashdotを読んでいたら、こんな技術が話題になっていた。

・日立、紙文書の流通経路を特定する電子透かし技術開発
http://biztech.nikkeibp.co.jp/wcs/leaf/CID/onair/biztech/comp/269967

印刷時に透かしを入れて、文書の著作者などの情報を隠して入れておく、いわゆるステガノグラフィーの技術。画像に情報を埋め込む技術が多いが、これは通常のビジネス文書を対象としているらしい。類似した事例はいくつか知っている。

フリーソフトでもステガノグラフィー体験はすることができる。

・画像ファイルにファイルを隠すステガノグラファー
http://www.vector.co.jp/soft/win95/art/se158183.html

例えばこのソフトを使うと任意の画像に任意のファイルを隠すことができるのだ。例えばこのロゴマークに、私は「Google活用トリビア.txt」という別の書き下ろし記事を埋め込んでいる。興味のある方は取り出してみて欲しい。

・この画像にもうひとつ記事を隠しました
stegotest.png


・音楽MP3にファイルを隠すMp3Stego
http://www.petitcolas.net/fabien/steganography/mp3stego/

音楽に隠すというのもある。

・ステガノグラフィを用いた秘匿通信の研究開発
http://www.ipa.go.jp/SYMPO/SYMPO99/pdf/1_51_5.pdf

画像ではなくテキストにテキストを埋め込むという考え方もある。上の論文などがその例で、ステゴテキストというようだ。ステゴテキスト技術の一種である辞書変換法という方式の場合、複合名詞(ふたつの名詞が「の」でつながっているような言葉の連なり)を、専用辞書を使って名詞を、類似した言葉に書き換える。

あらかじめ、置き換えても分からない「AのB」「BのA」という複合名詞節の辞書
を作成しておき、これを使って、例えば、

これはWebサイトの検索エンジンです。

これはホームページのサーチエンジンです。

というような置き換えを行う。

そしてこの変換パターン自体に、辞書に対応隠蔽情報を設定しておけば、

変換パターン 隠蔽情報

Webサイト → ホームページ 「123」という数字情報
検索エンジン → サーチエンジン 「456」という数字情報

という結果が得られ、結果として上記の変換後の文章から、分かる人にだけ、123と456という情報が伝達可能になる。さらに、埋め込み情報の中に、情報隠蔽の開始と終了に関するメタ情報を埋めこむことで、解読の正確性を確保する。

同様の応用としてはSpammimicが面白い。これはどんな情報もすべてスパムのようなメールに変換してしまうサービス。上司に監視されているメールボックスで、秘密通信を繰り広げるのに使えるかもしれない。使い方は簡単で、Encodeを選んで隠したいメッセージ(英語)を入力するとスパム状のメールにテキスト変換してくれる。

・SpamMimic
http://www.spammimic.com/

「My name is daiya hashimoto.」を埋め込んだスパムテキスト。

トラックバック(0)

このブログ記事を参照しているブログ一覧: 情報を情報に隠すステガノグラフィー技術

このブログ記事に対するトラックバックURL: http://www.ringolab.com/mt/mt-tb.cgi/1079

コメント(2)

musasi :

この本は古今東西、暗号が歴史にかかわったエピソードや
ドラマをメインに取り上げている本なのですが、
この中にステゴ系の暗号についても書かれていた章が
あった気がします。FYI。

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4105393022/ref=sr_aps_b_2/250-4656140-1571456
暗号解読―ロゼッタストーンから量子暗号まで
サイモン・シン (著)

daiya :

コメントありがとうございます。読んでみます。

余談ですがこの本に出てくるナヴァホ暗号って、
ウィンドトカーズに出てきました。暗号を使うインディアンとそれを護衛する米兵の戦争映画ですが、なかなかこれもよい映画でした。

このブログ記事について

このページは、daiyaが2003年10月 6日 19:52に書いたブログ記事です。

ひとつ前のブログ記事は「デジタル・ビジネスデザイン戦略―最強の「バリュー・プロポジション」実現のために」です。

次のブログ記事は「NTTICCシンポ「記録と表現」パネラーとして登場」です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。

Powered by Movable Type 4.1