・方法への挑戦―科学的創造と知のアナーキズム
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孤高の天才科学哲学者ファイヤアーベントの代表作。知のアナーキズム。ゲーデルの不完全性定理やドーキンスの生命機械論並みに、人生観を変えるくらいのインパクトがある本。

「科学は本質的にアナーキスト的な営為である。すなわち理論的アナーキズムは、これに代わる法と秩序による諸方策よりも人間主義的であり、また一層確実に進歩を助長する。」よって、進歩を妨げない唯一の原理は、anything goes(なんでもかまわない)であるというのがこの本の理論である。

ファイヤアーベントは、科学は一般にどこまでも合理的と考えられているが、実は神話に近いものであり、人類の数多くの思考形式のひとつに過ぎず、特別なもの、最良なものというわけではないと論ずる。なぜなら科学の進歩は、古い合理性の外側からやってきた非合理な発見によって牽引されてきたからである。

「繰り返して言うが、この束縛解放の実践は、単に科学史上の事実であるというだけではない。それは理にかなっていると同時に、知識の発展のために絶対的に必要とされるものである。もっと詳しく言うと、次のことを示すことができる。すなわち、科学にとってどんなに「基本的」であれ、ないしは「必要な」ものであれ、ある規則があったとすると、単にその規則を無視することのみならず、その反対のものを採用することが賢明であるような、そうした状況が必ずあるのである。」

あらゆる方法論が普遍の地位を与えられてはならず、狂気や遊戯、トンデモ科学やきまぐれのようなハチャメチャさにこそ、方法論が真に進化する可能性が秘められているという。秩序ではなく無秩序こそ重要ということになる。

「これらの「逸脱」、これらの「誤謬」は進歩の必要条件なのである。それらはわれわれが住んでいる複雑で困難な世界の中で知識が生きのびることを可能にし、われわれが自由で幸せな行為主体であることを可能にする。「混沌」がなければ、知識はない。理性の度重なる解任がなければ、進歩はない。今日科学の他ならぬその基礎を形成している観念は、ひとえに、先入見、うぬぼれ、情熱のようなものが存在したために、現存しているのである。」

発見の文脈と正当化の文脈の区別、観察語と理論語との区別、共約不可能性といった観点から、完全に合理的で普遍的な方法論よりも、アナーキーになんでもありの方法論の方が、知識の発展において価値があるということを証明していく。結構な大著だが、全体が理性という権威に対する反抗の意思に満ちており、とても血の騒ぐ熱い本である。

遊びや例外はいつだってなきゃいけないのである、それこそ本質なのである、四角定規でなんでも測れると思ったら大間違いなのである。「あらゆる方法論は限界をもち、生き残る唯一の「規則」は「なんでもかまわない(だから好きなようにしろ)なのである。」だそうだ。秩序のない現代にドロップキック万歳。


・理性の限界――不可能性・不確定性・不完全性 -
http://www.ringolab.com/note/daiya/2009/10/post-1099.html

・パラダイムとは何か クーンの科学史革命
http://www.ringolab.com/note/daiya/2010/02/post-1150.html

・知識の社会史
http://www.ringolab.com/note/daiya/2009/09/post-1069.html

・ELECOM クリスタル ワイヤレスフルキーボード パンタグラフ式 103キー TK-FDP012
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自宅PCのワイアレスキーボードを床に置いていたら、子供が踏んで破壊してしまったため、新しいのを買うことにした。いろいろ研究した末に、選んだのがこれ。このツヤツヤテカテカ感(クリスタルのような、と表現すべきらしい)のこの新製品。

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1 クリスタルのような透明感と手触り

何より見た目の美しさ。なかなか実物を見ないと伝わらない気もするが、キートップの美しさ、手触りは特筆すべきものがある。テカテカのツルツル。高級感がある黒も良かったが汚れが目立つかもしれない。結局、白にした。

2 タイプ感は残しながらタイプ音はしない

薄型パンタグラフ方式という技術で、薄型なのに適度なタイプ感を残しながらも、タイプ音がしない。自宅で夜間に利用することが多いので、音がしないことは重要。

3 デザイン

カナ表記をなくした英語表記だけのシンプルなキートップ。慣れてしまえばカナ表記がないことは気にならない。見た目の美しさ優先。キートップ上の文字は、内部パーツに刻印されているそうで、長く使っても消えたりしない。

ワイアレスで気になる電池だが、単42本使用で想定電池使用期間は約7ヶ月。

・TK-FDP012シリーズ オフィシャルサイト
http://www2.elecom.co.jp/peripheral/full-keyboard/tk-fdp012/

・ドキュメント高校中退―いま、貧困がうまれる場所
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・毎朝登校する生徒は33人中5人
・1から100まで数えられない生徒がいる
・九九が完全にできるのは160人中20人
・入学者の半数が中退する
・高校を中退する生徒の半数は1年生
・やめさせようとする教師たちの存在

などいわゆる底辺校の実態と増加する高校中退者のドキュメンタリ。

現代の高校中退は個人の問題ではなく社会の深刻な病理のようだ。

高校中退の背景には家庭の貧困があり、不安定な生活や余裕がない家庭環境が、生徒の低学力、不登校を引き起こし、中退へとつながっている。学習意欲と貧困の間にも密接な関連が見出されている。エリート校と底辺校の格差は増大傾向にある。

高卒以上が圧倒的マジョリティを占める日本社会において高校を出ていないことは極めて不利にはたらく。実際、不況の中で高校中退者の就職は困難を極めている。調べてみると生徒の父母もまた中退者であったりして、格差の拡大という負の再生産が発生してしまっている例もある。

「1980年代からの世界を巻き込んだ新自由主義の実験は、世界中に無惨な結果を残した。新自由主義が主として攻撃の対象とした福祉国家とは、資本主義の成立の要である労働力の再生産にとって欠かせないもののはずだった。ところが新自由主義は、労働力の再生産に必要な住宅・教育・医療・福祉を市場化し、福祉国家を解体することによって、もっとも福祉を必要とする貧困層に打撃を与え、さらに中間層をも分解するという結果をもたらしたのである。」

「社会の底辺」という言葉が存在しない社会をつくるには、夢や希望を失った一番若い人たちを救済することが特に重要だろうなあと思う。著者が解決策として結論する高校教育の無償化が効果的なのかは確信が持てないが、高校中退=社会からのドロップアウトという図式をなくすことが何より大切だろう。競争社会とセーフティネットは共存しないと人間的ではないと思う。

・フィールド情報学入門 ―自然観察,社会参加,イノベーションのための情報学
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「本書では、フィールドを「分析的、工学的アプローチが困難で、統制できず、多様なものが共存並立し、予測できない偶発的な出来事が生起し、常に関与することが求められる場(片井 修)と定義する。フィールド情報学はこうしたフィールドで用いられる起源の異なるさまざまな方法を、記述、予測、伝達という情報の視点から集約することを目指している。本書はフィールド情報学を志す初めての教科書である。」

社会科科学のアプローチを使って情報学的に、社会や自然というフィールドを科学する。
・リモートセンシングや地理情報システムで、広域から人々の行動情報を集める
・バイオロギングによって生物の活動を長期的に記録する
・社会をシステムダイナミックスとして記述する
・マルチエージェントシミュレーション
・参加型の観察による分析 エスノグラフィー

など、社会や自然をどう情報としてとらえていくかの研究が多数紹介されています。

ところで私の会社は先週、こんな研究成果のビジネス化の発表をしました。

・Twitter上の「つぶやき」や「プロフィール」からオピニオンリーダーを検知する 『Twitterオピニオンレーダー』を開始
http://www.datasection.co.jp/news/twitter_20100304.pdf

・Twitter上のオピニオンリーダー分析サービス、データセクションが発売(日経ネットマーケティング)
http://business.nikkeibp.co.jp/article/nmg/20100304/213157/?ST=nmg_page

今年の私の会社としては、従来の統計と自然言語処理による定量的な分析から、定性的で創造的な「デジタルエスノグラフィー」に取り組むのがテーマです。具体的にはブログやツイッターを分析して、商品開発やプロモーション企画に活かすためのコンサルティングソリューションを展開しています。

こういったテーマに関しての論者として3月9日(火)

情報処理学会創立50周年記念(第72回)全国大会 フィールド情報学セミナー
http://www.ipsj.or.jp/10jigyo/taikai/72kai/event/17.html
フィールド情報学とは?
http://www.ai.soc.i.kyoto-u.ac.jp/field/

にパネルとして出演することになりました。

橋本 大也(データセクション株式会社 取締役会長)

【パネルにおけるポジション】

データセクションではBlogosphere(ブログ生態系)というフィールドから、データを大規模に収集し、書き手の行動パターンやプロファイルを分析するビジネスインテリジェンスシステムを開発した。日々の書き込みを深く読むことで、消費者のマイクロトレンドを発見したり、オピニオンリーダーの行動を予測することができる。大手広告代理店と連携した"流行創出"事業、保険会社と共同で上場企業の風評リスクを早期に察知する"風評リスク事業"など、フィールド情報分析の事業化に取り組んでいる。

略 歴 1970年生まれ。起業家。データセクション株式会社取締役会長。大学時代にインターネットの可能性に目覚め技術ベンチャーを創業。主な著書に『情報力』『情報考学--WEB時代の羅針盤213冊』『新・データベースメディア戦略。』『アクセスを増やすホームページ革命術』等。(株)早稲田情報技術研究所取締役、(株)日本技芸
取締役、株式会社メタキャスト 取締役、デジタルハリウッド大学准教授、多摩大学大学院経営情報学研究科客員教授等を兼任。

フィールド情報学セミナーではビジネスにおける事例や展望をご紹介する予定です。

・Cupmen
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株式会社いいじゃんネットの創立十周年記念パーティで頂いたオモシロアイテム。

カップラーメンでお湯を入れて3分間じっと待つ間、フタを閉じておくためのストッパー。熱に反応してだんだんと色が変わっていきます。

・いいじゃんネット
http://www.e-jan.co.jp/
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私の会社データセクション社も今年の7月で創業10周年を迎えるのですが、最初の数年間、いいじゃんネット社と弊社は表参道のオフィスを共有して苦楽を共にしていました。日本の市場では10年続く企業は全体の数パーセントに過ぎません。2社ともに健在で今日を迎えたのは統計上は0.1%台のレアケース。経営努力と社員のがんばりあってこそ、両社ともに、よくがんばったで賞(これって死語?)。

いいじゃんネットは、社外から社内のメールやデータベースに携帯でアクセスするセキュリティソリューションCACHATTOサーバを提供している会社です。ノーツやエクスチェンジなど多くの企業システムに「かちゃっと」プラグインできるのが特徴で、大企業を中心に導入が進み、同分野でトップシェアと言われるまでに成長しました。

・CACHHATO
http://www.cachatto.com/
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坂本社長はパーティスピーチの中で、今でこそ業績好調で大躍進中のいいじゃんネットですがかつては苦難の連続でした、というお話をされ、志を忘れぬよう「崖っぷちにへばりつく姿」のこのアイテムを招待者に配ることにした、とのこと。一同大爆笑。

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カップラーメンをつくっていないときは、机の上においておくと、心がなごむアイテムでもあります。

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坂本さん、いいじゃんネットのみなさん、ありがとうございました。両社ともにいい20周年目指してがんばりましょう。次の記念品は"登りつめたポーズ"の何かを探しておかないといけませんね。

・坂本社長のブログ 坂本史郎の【朝メール】より
http://blogs.itmedia.co.jp/shiro/

・アンダーカレント
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文学的で、静かに感動を呼ぶ、上質な漫画。よいです。

静かな日常の下に隠れた暗くて激しい底流というものがテーマ。

銭湯を経営する関口かなえは、何の兆しもなく失踪した夫のことを、できるだけ考えないようにしながら、日々の仕事に追われていた。人手不足の銭湯に組合の紹介でやってきた寡黙な男 掘さんが、店に住み込みで働き始める。おかげで一息つけるようになったかなえは、抑えていた自分の感情と正面から向き合うようになる。

なぜ夫は出て行ったのか?。他に好きな人がいたのか、何かやりたいことがあったのか、自分を嫌いになったのか、銭湯の仕事が嫌いだったのか。考えてもよくわからない。彼のことをまったくわかっていなかったのではないかと思うのがつらい。そんな葛藤のかなえのもとに探偵を使って調べてみないかという誘いがやってくる。そして失踪の真相が少しずつ明らかになっていくのだが。

淡々とした日常が物語の3分の2を占めるので、一話一話を取り上げると地味な印象を受けるが、通しで全部を読むとしっかりと残るものがあって、よくできた映画や小説のような厚みがある。個性的な脇役も活きている。コマ割は映画のようだ。これは映画化される、に一票。

・アイデアをカタチにする仕事術
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不況でモノが売れない時代はプロデュース力で売る。

ポニーキャニオンで制作ディレクターや宣伝プロデューサーとして「チェッカーズ」や「おニャン子クラブ」、「中島みゆき」「だんご三兄弟」等の大ヒットを手がけた、現デジタルハリウッド大学大学院教授 吉田 就彦氏が語るビジネスプロデュース、コンテンツプロデュースの理論と秘訣。元デジタルガレージ副社長。最近はテレビでも活躍されている。

「R25」「おくりびと」「相棒」「ALWAYS三丁目の夕日」「モンスターハンター」など有名なプロデューサーたちの名前と成功事例がいっぱい挙げられる。いまどきの売れっ子プロデューサーたちが日々何を考え、行動しているか、具体的にわかるのが魅力の本。

吉田先生の独自のプロデュース理論は、まずHS(ヒットシグナル)をみつけて花開かせるというもの。その過程に「0から1を生む「創造」、1を100に育てる「実現」、 そして、二つのプロセスの「融合」。 ビジネス・プロデューサーとは、「0-1創造」したものを「融合」させ大きくして、「1-100実現」ができる人材、すなわち、アイデアをカタチにできる人材であるという。

ビジネス・プロデューサーの7つの能力として、下記の要素を挙げている。

発見力 チャンスやヒットの芽や新しい人財などを発見する力
理解力世の中の動きや物事の本質を理解する力
目標力ビジョンを描きゴールをイメージできる力
組織力さまざまなビジネス資源を組織して有効活用する力
働きかけ力「人」や組織を励まし、力を吹き込み、目標に向かって育てる力
柔軟力トラブルや環境変化に対応するなど、柔軟に物事を調整する力
完結力さまざまな事を乗り越え実行し、達成して、次への蓄積とする力

幅広い能力が求められる。では、どうすれば能力をそれぞれの開発できるのか?本書ではデジハリ大学院での授業で行われているワークセッションが紹介されている。これがかなり面白そう。

たとえば

・目の前の人に座っている人たちを「立ってください」という言葉だけで立ち上がらせる。

・一人に好きな人、嫌いな人を思い浮かべさせて、残りのメンバーはその顔の表情からどちらを想像しているかを当てさせる。

などなど。

結局、プロデューサーというのは人の心を読み、働きかけて、動かすことが基本なのだと再認識させられた。

・ブログ ヒットコンテンツブログ
http://hitcontentlab.jp/blog/

吉田 就彦氏のブログ。

・友だち地獄―「空気を読む」世代のサバイバル
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現在の若者心理の研究。いじめ、ケータイコミュニケーション、ネット自殺などを軸に、いま10代、20代くらいの若者たちのコミュニケーション動態と深層心理を探る。

近年の調査では思春期に反抗期がなかった若者が増えているそうだ。

かつて尾崎豊の「十五の夜」の歌詞にあったような社会に対する反抗心と、現代のアンジェラ・アキが歌う「手紙 ~拝啓 十五の君へ~」の未来の自分に対するメッセージを比べると歴然としているが、現在の若者世代は他者との対立の回避を最優先にする「優しい関係」の世代だ。

だが、この優しい関係は決して個々の心にとって優しくはない。「教室は たとえて言えば 地雷原」という川柳があるそうだが、見かけ上の「優しい関係」を営む場に絶対権が与えられ、息苦しさを感じている若者が多いという。

「「優しい関係」とは、対立の回避を最優先にする関係だから、互いの葛藤から生まれる違和感や、思惑のずれから生まれた怒りの感情を、関係の中でストレートに表出することはままならない。むしろそれらを抑圧することこそが、「優しい関係」に課せられた最大の鉄則である。したがって、その違和感や怒りの感情エネルギーは、小刻みに放出されることによる解消の機会を失い、各自の内部に溜め込まれていくことになる。」

著者は現代型のいじめもそこから生まれると分析する。被害者に仲間とのまなざしを集中させることで、互いの対立点を見ないで済むことができる。

「相手の事情を詮索して踏み込んだりしない、あるいは自分の断定を一方的に相手に押しつけたりしない。そういった距離感を保つ「相手に優しい関係」とは、ひるがえってみれば、自分の立場を傷つけかねない危険性を少しでも回避し、自分の責任をできるだけ問われないようにする「自分に優しい関係」でもある。だから、意図せずしてこの「優しい関係」の規範に抵触してしまった者には激しい反発が加えられる。いじめの大賞もそのなかから選ばれるのである。」

本書では「二十歳の原点」(1969年)の高野悦子と、「卒業式まで死にません」(1999年)の南条あやという二つの世代の自殺した若者の日記作品が比較分析される。この30年で若者の思想は大きく変わった。

高野の世代では未来の希望は自分が今後いかに変わっていくかにかかっている。一方で南条の世代では、自分がいかに変わらないでいられるかにかかっている。自分の存在の根拠を主体制の獲得に見出すか、生来的な身体性に見出すか、実に対照的な二つの価値観がある。

コミュニケーション面では、ケータイまわりがじっくり考察されている。メールの即レスを意識する若者たちはメッセージ内容の「意味伝達指向」ではなくつながること自体を目指す「接続指向」で生きている。ケータイではいつも会っている友達と頻繁に短いメールをする。インターネットは世界に開かれているが、使い道はやはり仲間内の優しい関係づくりなのである。

つながっていることを確認すること、複数の他者のメッセージを三角測量しで仲間内での自分の位置を割り出すこと、それがケータイの利用目的となる。自己の脆弱な存在基盤をふれあいGPSがおぎない続ける。

この本を読んでわかったのは、それぞれの世代に生きづらさがあって、それと向かい合う困難があって、その戦いには強い人と弱い人がいて、という構図が時代を超えて普遍であるということだ。世代間に優劣はつけられないし、「優しい関係」や「空気を読む」こと自体が良いこととも悪いこともいえない。ただそういうものだということを認めて、両世代がつきあうことが何よりも大切なのだろう。

・知性について 他四篇
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ショーペンハウエルによれば知性とは普遍的な事柄の認識能力である。知識欲が普遍へ向かうと学究心と呼ばれ、個別へ向かえば好奇心になる。個別への関心は動物でもあるが、普遍をとらえるのは人間だけである。だからその普遍度が哲学や芸術のように高ければ高いほど知的レベルが高い、とする。逆に知性が欲望を満たすことや実践的な物事の処理に奉仕するのは、低レベルな知性だという。

そして世の中を大多数の凡人と、一握りの天才にわける。

「大多数の人間は、その本性上、飲食と性交以外の何事にも真剣になれないという性質をもっている。この連中は、希有の崇高な資質の持ち主が、宗教や学問や芸術の形で世の中にもたらしてきたすべてのものを、たいていは自分の仮面として用いて、ただちに彼らの低級な目的のための道具として利用することになる。」

つまりショウペンハウエルに言わせれば"プロ"や"MBA"は知性のうちに入らない。ただの"学者"も失格扱い。そういう世俗で役立つことに役立っちゃうようではまだまだレベルが低いのだ。本書の天才は1億人に1人という記述もあったくらいで、著者の志はとてつもなく高い。

じゃあ、どうやったら天才に近づけるのか?。それは世俗との断絶だと答えている。

「独創的で非凡な、場合によっては不朽であるような思想を抱くためには、しばらくの間世間と事物とに対して全然没交渉になり、その結果、ごくありふれた物事や出来事さえも、まったく新しい未知の姿で現れてくるというようにすれば、それで足りるのである。というのは、まさにこのことによって、それらの物事の真の本質が開示されるからである。しかしながら、ここで求められる条件は、困難であるどころか、決してわれわれの自由にならないものなのであり、ほかでもなく、天才のはたらきなのである。」

誰からも教わることなく、自らうみだした知識を人類に教えるのが、そうした天才の役割だと説く。凡人の知性は日常にしばられているから、解放しないとだめなのだ。どんだけ高みを目指しているんだあんたはという感じである。

私はショーペンハウエルの拗ねた哲学がときどき無性に読みたくなる。不遇のショーペンハウエルは自身をその天才の一人と認識して書いているのは間違いないように思う。圧倒的な知性を持った拗ね者の独白として、その背景の心理に着目して読むと、ショーペンハウエルの厭世哲学はなんだか非常に人間的で、実は弱者的で、共感するところもいっぱいの、おもしろさを感じてしまう。

・読書について
http://www.ringolab.com/note/daiya/2009/01/post-913.html

・まっくら、奇妙にしずか
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2005年3月、ドイツのハンブルク応用科学大学デザイン=メディア=情報学部の卒業審査で、学生アイナール トゥルコウスキィが提出した作品の出来栄えの見事さに教授たちは目をみはった。たった一本のシャープペンシルで400本の芯を使って3年かかって描き上げたという細密画と、独特のシュールさ漂うストーリー。世に出た作品はたちまちドイツの有名な絵本賞を連続受賞した。

絵本とはいっても対象は大人向け。ある日、町のそとの砂丘の廃屋に、奇妙な男が住みつく。男はわけのわからぬ仕掛けで漁のようなことをしている。没交渉のまま裏で監視を続ける町の住人たちは、わけのわからぬものへの恐れや嫉妬から、よそものの男を排斥するムードに傾き始める...。

ムラ社会の創造性のなさを悲しい目で見ているのは、おそらく作者アイナール トゥルコウスキィ自身の実体験からくる感慨なのだろう。卒業制作といっても当時すでに33歳。誰にも理解されないまま、黙々と細密画を描き続けてきた画家は、雲をつかむような仕事をひとりで続ける主人公の姿そのものだったのじゃないだろうか。

この話からは無理解のムラに対する怒りや批判はあまり感じられない。あるのは外に対しては諦めと悲しさ、内には孤高の創造行為に没頭する充実感。表現に激しさはないが、姿勢はある種のアウトサイダーアートといってもよいのかもしれない。ここ数年で作者は社会的評価を受けて、広く人気も出て、ポピュラーになりつつあるようだが、次はどんな作品を描くのかを見てみたい。


・「百頭女」「慈善週間または七大元素」
http://www.ringolab.com/note/daiya/2008/06/post-771.html
・アウトサイダー・アート
http://www.ringolab.com/note/daiya/2008/04/post-739.html

以下は大人の絵本系

・『終わらない夜』と『真昼の夢』
http://www.ringolab.com/note/daiya/2009/08/post-1049.html
・なおみ
http://www.ringolab.com/note/daiya/2008/12/post-895.html
・大人な絵本 「天才の家系図」「裁判所にて」
http://www.ringolab.com/note/daiya/2008/09/post-812.html
・「平家物語 あらすじで楽しむ源平の戦い」と「繪本 平家物語」
http://www.ringolab.com/note/daiya/2008/09/post-823.html
・ちいさなちいさな王様
http://www.ringolab.com/note/daiya/2008/01/eel.html

・ビジネス書大賞 Biz-Tai 2010
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<70名の選考委員+500名以上の読者投票で選ばれたビジネス書ランキングの決定版>

私も選考委員の一人として参加させていただいビジネス書大賞の結果が本になった。

「ビジネスパースンにとって学びや気づきがある本」ならなんでもノミネートできるので経営やスキルアップ本以外からも、おもしろい本がリストアップされた。そのすべてと約350本の推薦文とともにこの本に収録されている。(私の著書『情報力』も二人に推薦していただいたようで、感謝感激です。)。

・ビジネス書大賞 Biz-Tai 2010
http://biztai.jp/

ランキングだけならウェブで確認できるが、本書は収録されたインタビューが楽しい。1位の『ブラック・スワン』の翻訳者のインタビューが、インタビュアーに対してかなり斜めに応えていて、受賞インタヴューと思えぬ毒舌ぶりでかなり笑える。読者賞を受賞した勝間和代の「... 5歳、10歳年上の同じ職場の先輩のことだけを聴いていると、かえって間違うことが多い」から自分で考えるための材料としてビジネス書は重要という推薦も独特だなあ。

で、本書にも掲載されているが、私の推薦作品は以下の5冊。選考委員の数が多いので、他の委員とかぶらない本を挙げたつもりだったが、結構かぶっていた。さすが本好き集団。実は私、5冊の推薦文全部に"歌謡曲"を入れるという工夫をしていたのだが、紙ではバラバラに掲載されたため気がついた人はいないだろう...。

なので、ここに再掲載させてもらう。

■デジタルネイティブが世界を変える
ドン・タプスコット (著), 栗原 潔 (翻訳) 出版社: 翔泳社 (2009/5/14)
http://www.ringolab.com/note/daiya/2009/12/post-1138.html

ボブ・ディランの名曲に「The Times They Are A-Changin'(時代は変わる)」という歌があった。子供の世代が古い価値観の親の世代に交代を迫る社会派の歌詞は時代は変われど普遍的なものだ。21世紀初頭の社会のChangin'とは、PCやネットを自在に使いこなす"デジタルネイティブ"と、旧世代の"デジタルイミグラント"の交代劇である。ネイティブ層1万人へのインタビューをもとに、8つのキーワードが浮かび上がる。次世代の行動原理を知らずに未来を考えることはできない。

■脱「でぶスモーカー」の仕事術
デービッド メイスター (著), 紺野 登 (監修), 加賀山 卓朗 (翻訳) 出版社: 日本経済新聞出版社 (2009/9/11)
http://www.ringolab.com/note/daiya/2009/09/post-1079.html

肥満も喫煙も"わかっちゃいるけどやめられない"からずるずる続く。会社組織だって「スーダラ節」なのは一緒で、短期的誘惑や満足感に負けてためになるとわかっていることをしないから、利益が出ないのだ。プロフェッショナル組織のリーダーシップ論の世界的権威である著者が、プロ意識を持つ集団において互いに意欲や決意を引き出す方法論を語る。「人に弱みを認めさせ、改善させるのに最悪の方法は、その人を批判することである。」北風でなく太陽のアプローチ。著者は組織の空気を創造的に入れ替える天才である。

■人を幸せにする話し方―仕事と人生を感動に変える言葉の魔法
出版社: 実業之日本社 (2009/4/10) 平野 秀典
http://www.ringolab.com/note/daiya/2009/09/post-1070.html

講演や授業が生業の一部になっている人は、話術の最低限のテクニックは身につけているものだ。だが、聴衆と、どのような関係性をつくるべきかという点で根本を誤っているケースは結構多いなと思う。壇上のスピーチや日常の会話で、聴く人を幸せにする話術とはなにか?。それは美空ひばりの「愛燦々」の歌詞の如く「人生て
うれしいものですね」としみじみさせるような言葉だ。共感を抱かせ、心の琴線を震わせるための心構え。情報の伝達と心理操作を主としたMBA的な話術とは対極にあるものだ。

■グランズウェル ソーシャルテクノロジーによる企業戦略
出版社: 翔泳社 (2008/11/18) シャーリーン・リー (著), ジョシュ・バーノフ (著), 伊東 奈美子 (翻訳)
http://www.ringolab.com/note/daiya/2008/11/post-875.html

インターネットコミュニティの大きなうねり(グランズウェル)を、どう企業戦略に活かすことができるのか。フォレスターリサーチの二人のアナリストが大規模な企業実態調査の結果から抽出した戦略論は、現代の経営者、新規事業関係者、必読である。著者はコミュニティに対するコミット度合によって、人々を創造者、批評者、収集者、加入者、観察者、不参加者と7段階に分類している。そのレベルを引き上げることに成功したグローバル企業の発想の転換ケースがどれも見事だ。現代は"Power
To The People"な時代だが、さらに"to the company"を続ける企業が勝ちなのだ。

■落語論
出版社: 講談社 (2009/7/17)
堀井憲一郎 (著)
http://www.ringolab.com/note/daiya/2009/08/post-1050.html

落語家の自己の面子にかけて、今この場をとにかくどうにかするんだという気迫。紅白の大トリで北の漁場を歌う北島三郎の如く。ビジネスの会議やプレゼンの場でも、そういう姿勢は本当に重要だと思う。ポジション、能力にかかわらず、一緒に仕事をしたいと思う人はそういう人だ。往々にしてその手の人はポジションも能力も既に高いし、それは才能でもあるのだが...。これは落語分析の本なのだが、著者の深い洞察によって明らかにされる場の演出、ライヴの極意は、ビジネスシーンでも活用できそうだ。

・死なないための智恵
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知っていれば、助かるかもしれない。

秋葉原無差別殺人事件、十四歳少年バスジャック事件、池田小児童殺傷事件、阪神大震災、和歌山毒カレー事件など日本を震撼させた数十の殺人事件や事故、災害における死を検証して、どうしたら生き残れるかをアドバイスする内容。著者は30年間東京都の監察医をつとめ二万体もの変死者の検死解剖を行った人物。

刃物でいきなり刺されたらどうするか?。とりあえず腕の外側で防ぐ。出血したらまず色を見る。黒ずんだ血なら静脈をやらてたのであわてなくてよい。鮮紅色の赤だったら早急に対処しないと危険。動脈の位置は知っておけ。

人質として首にナイフをつきつけられたら、喉を切られても即死しないが、頸動脈を切られると死ぬと考え、万が一でも耳の下を切られないように意識せよ。プロの殺し屋は喉笛をかき切ることはしないのだそうだ。

私が年に1回くらいで危険を感じる将棋倒しでは、

「満員状態におけるエスカレーターの急停止や逆走は本当に危ない事故だ。それで将棋倒しがおきてしまうと呼吸ができずに圧死してしまう。もし助かりたいと思ったら瞬間的に腕で胸をかばうようにするといい。呼吸ができるように胸の動きを確保するのである。あるいは肺を守るために、身をかがめるような姿勢を取るといい。」

というアドバイスがある。

火事にあったら。海に投げ出されたら。熱湯や薬品がかかってしまったら。誤って毒を飲んでしまったら。有毒ガスが発生したら。動けない状態で放置されたら。拳銃を向けられたら。喧嘩に巻き込まれたら。

そもそもそうした状況に陥らない予防と、遭遇してしまった時の対処法が書かれている。結果的に死んでしまった人たちを調べた研究成果なので説得力がある。いざというときに生き残る確率を少しでも増やすための知恵がいっぱいである。

・死なないための智恵
http://www.ringolab.com/note/daiya/2008/05/post-757.html

・くらべる図鑑 (小学館の図鑑・NEOぷらす)
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子供に好評で、親が見ても楽しいカラー図鑑。小学校低学年向け。

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動物の大きさを比べるページでは、大腸菌からシロナガスクジラまでノアの箱舟をひっくりかえしたように多種多様な動物を並べる。小学生の子供と皇帝ペンギンの身長はほぼ同じであるとか、シロナガスクジラは25メートルプールに入りきらないなど、子供の読者が実感でわかるように描かれている。

走りや泳ぎの速さも可視化される。競争で一番速い動物ほど先頭に描かれる。泳ぎの競争では、トップのバショウカジキは25メートルプールを1秒で泳ぎ切ってしまう、マグロも相当に速い。人間はまだスタートしたばかりなのにねえと親子で会話がはずむ。

さまざまなものの高さを大阪の通天閣と比較するページがあって笑えた。世界で一番高い木のセコイアはだいたい通天閣と同じ高さなのだって、関東育ちの私にはよくわからない。関西人にはわかる、のだろうなあ。

この図鑑いいじゃんと思ってWebを調べたら、昨年の発売以降にベストセラーになっているらしい。図鑑で16万部というのは圧倒的なのでは?。

・【手帖】小学館『くらべる図鑑』売れ行き好調
http://sankei.jp.msn.com/culture/books/090906/bks0909061317011-n1.htm
「小学館の図鑑NEO+(ぷらす)、加藤由子ほか監修・指導『くらべる図鑑』(1995円)が売れている。7月初旬に初版7万部で発売したが、約2週間後には4万部を増刷。それもたちまち売り切れて、2日現在第3刷(5万部)を合わせた計16万部に達している。」

・ブランド 価値の創造
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価値があるから消費者に選ばれてブランドになるいう「ブランド自然選択説」。ブランド自体の世界観やビジョンが価値を創造するという「ブランドパワー説」。ブランドに対しては対照的なとらえかたがあるが、消費欲望や権威に還元するだけでは説明できない「何か」こそブランドのブランドの本質であると説くブランドの本質論と、有名ブランドをケースにしたブランドマネジメント論。

「ブランドと製品群とはまさに相互に支えあって、ひとつの世界をつくりだしている。それはいわば、どちらかがどちらかを支えているという一方的な関係に還元して理解できず、お互いがお互いを前提とすることで根拠づけられるという自己言及的な関係だといえる。それは、ひとつの社会的実在としての意味世界を形成するきっかけでもある。」

アップルが価値があるのはアップルだから、ソニーがいいのはソニーだからでもある。ブランド価値の定義は無限循環の自己言及プロセスになる。メディアはメッセージであるというマクルーハンの思想が、ブランドという概念にもあてはまる。ブランドパワーは制作者や経営者がこめる思いや夢が想像する意味世界が、実体の世界を動かす力になる。

この本ではブランド・パワーの構成要素として以下のようなものが挙げられている。

「そのブランドは、どれだけ消費者に知られているか」(ブランド知名度)
「その内容を、消費者はどれだけ理解しているか」(ブランド理解度)
「それは、どれだけの試行購入を喚起するか」(トライアル喚起力)
「それは、どれほどの再購入意図を生みだしているか」(リピート喚起力)
「消費者は、それに、どれほどの新しさや驚きを感じているか」(情緒尺度)
「それは、価格面で、他のブランドにひけをとらないか」(相対価格)

こうした要素ではかられたブランドパワーアメリカの上位ブランドは、半世紀以上続いたものがほとんどだ。そこでは一度作られたブランドに対して常に絶えざるブランド価値の再構成が行われてきた。認知されたブランドを企業はどう拡張していくべきか、成功例と失敗例、経営におけるブランドのマネジメント論が語られている。

1999年初版の本なので目新しい事例はないが、ブランドってなんだろうと改めて本質を振り返ってみたいときに役立つ教科書的な内容。

・スキエンティア
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感動した。連作短編集だが全作が傑作ではずさない。

スキエンティアはラテン語で「知識」という意味。クローン、ロボット、惚れ薬など、未来の禁断の科学技術が、人々の生活にどんな影響を与えていくかを描いたサイエンスフィクション。基本はSFなんだけれども、とてもヒューマンドラマしている。

「ボディレンタル」
「媚薬」
「クローン」
「抗鬱機」
「ロボット」
「ドラッグ」
「覚醒機」

クローンにしても人工知能介護ロボットにしても、ここで取り上げられる技術は、人間心理の微妙な領域に入り込んでくるものばかり。生と死、性、家族、恋愛などを変革するイノベーションが登場したとき、私たちはそれをどう受け入れて行くか、あるいは拒絶するかのシミュレーション。

一話目。四肢が動かなくなった大富豪の老女が、人生をもういちどやり直すために、若い女の身体を借りる「ボディレンタル」。映画『アバター』みたいな設定だが、こちらの設定では、二人の意識はひとつの身体に同居する。起業家としてパワフルに生きてきた老女と、何事にも流され気味だった女の、二人の心がせめぎあう。

どの話も人間の命や尊厳と関わっていて、重たく切ない内容なのだが、すべて希望をもたせる終わり方をするのがいい。ほろっ、じわっ系。どらえもんの未来技術とブラックジャックのヒューマニズムを足して2で割って、絵はちょっと諸星大二郎的劇画調。

連続ドラマ化されたらいいなあ。

・著者 戸田誠二氏のサイト
http://nematoda.hp.infoseek.co.jp/