・性欲の文化史 1
41u9qJZ1D7L__AA240_.jpg

1.遊廓の形成と近代日本――「囲い込み」と取締り
2.性教育はなぜ男子学生に禁欲を説いたか――1910―40年代の花柳病言説
3.出口王仁三郎の恋愛観・男女観――『霊界物語』を中心として
4.日本女性は不淫不妬?――中華文人の日本風俗観察小史
5.女装男娼のテクニックとセクシュアリティ
6.「胎内十月」の見世物を追って
7.「人体模倣」における生と死と性
8.兄妹性交の回避と禁止

・性欲の文化史 2
41G1hHnkt5L__AA240_.jpg

1.桂離宮にエロスを読む
2.神仙の証――中国古代房中術にみるセックスと飛翔
3.韓国整形美人事情
4.摩登上海にうかぶ女体の群れ
5.映画のなかの性――戦後映画史における性表現と性意識の変遷
6.「ギャル男」のいる光景
7.男から生まれた女
8.ホステスたちは、何を売る?

井上章一を編者に複数の研究者が性欲の文化史をあらゆる視点から論考する。

「われわれの性感は、文化によって拘束されている。何に感じ、そそられるかは、時代により民族により、ことなっている。たとえばパンツでわくわくする文化史もあれば、そうでもない文化だってある。」「人間の性感を、生物学あるいは生理学的な性欲だけで論じきるのは、まちがっている。」(井上)。

いわゆる"パンチラ"を見た方が歓び、見られると恥ずかしがるというのは日本のローカルな文化なのである。アメリカでは見られた女性がウィンクして去っていくし、中国では「パンツをはいているから平気」なのである。「えへへ」「いやーん」なのは日本だけ(というわけでもないだろうが)文化が性感を作り出している例だ。

「性教育はなぜ男子学生に禁欲を説いたか――1910―40年代の花柳病言説」は、近代の性教育の言説戦略の考察。男子学生に男らしくあれと教えながら同時に禁欲を説いた理由が解明される。そこには結婚前に性交渉すると花柳病に罹患して破滅して志した事業に失敗した上、子供を作ることもできなくなるぞという脅しが含まれる。

「よりよき将来の「男らしさ」の発揮(立身出世と一家をなすこと)に、現在の一時的な「男らしさ」の抑制(性的卓越性の抑制)が貢献する仕組み」を織り込んだ巧みな言説だった。勉強して知識を得ることと子をなすことという近代社会の個人に対する要請に応えるための、国家戦略として性教育が形成されていたのだ。

このほか、魏志倭人伝から女装男娼まで、日本文化と性の歴史が多彩なテーマで多くの話者によって語られている。性欲、性感は自然な本能的な欲求だという見方が、いかに間違っているかを教えられる論考集である。

・日本の女が好きである。
http://www.ringolab.com/note/daiya/2009/06/post-1010.html

・愛の空間
http://www.ringolab.com/note/daiya/2008/04/oso.html

・性の用語集
http://www.ringolab.com/note/daiya/2006/11/post-482.html

・刺青とヌードの美術史―江戸から近代へ
http://www.ringolab.com/note/daiya/2008/07/post-807.html

・ナンパを科学する ヒトのふたつの性戦略
http://www.ringolab.com/note/daiya/2009/04/post-972.html

・ウーマンウォッチング
http://www.ringolab.com/note/daiya/2009/03/post-958.html

・身体地図情報検索システム
http://www.cipec.jp/project/index.html
bissearch01.jpg

1歳以上の子どもの死亡原因の1位は、昔は感染症だったが現在は不慮の事故だそうだ。事故予防は親や教育者にとって重要な仕事である。どういう状況でどういう怪我が起きるのかを把握するソフトを産総研がリリースしている。

国立成育医療センターで収集した子供の身体上の傷害部位のデータから、条件(例:「性別」が「男」、「怪我の種類」が「熱傷」など)を設定して検索を行えるソフトウェア。3Dの身体マップに怪我の頻度が色分けされて表示される。

絞り込み項目には性別、発達段階、月齢、事故の種類、事故が起きた場所、怪我の種類、事故に関連した製品がある。もっと詳しく見ると、

・事故の種類
転倒、転落、肘内障、やけど、交通事故、切る、はさむ

・事故が起きた場所
駐車場、家庭、道路、小学校・中学校・高校、保育園・幼稚園、公共施設、公園、児童館、友人宅、山川海など自然環境

・怪我の種類
挫傷、打撲傷、挫創、擦過傷、肘内障、裂傷、熱傷、スポーク外傷、切傷、爪剥離、刺傷、捻挫、脱臼

・事故に関連した製品
自転車、階段、小物類、椅子、遊具、ドア、ベッド、テーブル、おもちゃ、ソファ、調理器具、お茶・コーヒー・味噌汁、家具、ベビーカー

というリストだ。

たとえばベッドで起きる子供の怪我を可視化すると、こんなふうだ。頭が多い。

BISSearch_bed.jpg

やけどをするのはどこが多いのかを調べるとこんなかんじ。膝のあたりが多いとは意外である。熱い食べ物をこぼすということだろうか。

bissearch_yakedo.jpg

・日食シミュレーター
http://www.vector.co.jp/soft/win95/edu/se475769.html
solareclipse01.jpg

2009年7月22日の日食専門のシミュレーションソフト。

観測地点を選ぶと、日食の始まりから終わりまでをアニメーションで表示する。とにかく操作を簡単にしている。天文知識がゼロでもだいたいわかるのが良い。

たとえば東京の場合、

東経139.75 北緯35.7 東京(北の丸・東京都)
日食が始まる時刻 9時55.6分
食の最大の時刻 11時12.9分
(太陽の見かけの直径の 75% がかくされます)
日食が終わる時刻 12時30.3分

であることなどがわかる。データはクリップボードやテキストで保存可能。

国内ではトカラ列島あたりまでいかないと皆既日食にはならないようだ。

ところで、皆既日食というのは、本物を見ると人生が変わるくらいのインパクトがあるらしい。若い友人のDJ monsieur君は、2006年3月29日の日食をトルコで見て感動し、日食に対して嫉妬したことを日記に書いている。

「僕はとにかく、
ここに居合わせた世界中のクレイジーな人間たちの心を、
完全無欠に捉えてしまった皆既日食に嫉妬した。
これだけ "みんなのスゲェ!" をかっさらう奴を見たことはなかった。

http://dj-monsieur.com/-4-travel/south_europe/0329/0329.html

日食への嫉妬が高じて、彼は学校を飛び出しベースを片手に世界放浪の長旅に出て行った。そして次回の皆既日食がある今年、再び日本に戻ってきたのだが、いつのまにかベーシストからギタリストになっていた。橋本さんに出発前夜に教えてもらった『メメント・モリ』(藤原新也)に強く影響されました!とお礼のメールとともにCD販売のお知らせがやってきた。

・放浪の旅の記録
http://dj-monsieur.com/-4-travel/around_the_world/around_the_world.html

彼はこれまでにCDを2枚出している。まさに世界にインスパイアされたワールドミュージック。ギターのインストゥルメンタルを中心に、独特の音楽世界を築いている。Webで試聴できるので、ギター、民俗音楽、現代音楽に興味のある人は以下のURLをどうぞ。

・dj-monsieur.com
http://dj-monsieur.com/-1-audio/audio_top.html
1st Album 『 Total Solar Eclipse 』 / 1500 円
Total_Solar_Eclipse.jpg

2nd Album 『 World Bridge 』 / 1500 円
World_Bridge.jpg

この2枚目『 World Bridge 』 が100枚売れると「奇跡のフリーライブ」を開催するそうなので、応援したい人は買ってあげてください。現在30枚くらいらしい。未来の大物アーティストを育てることになるかもしれません。

・ヤンキー進化論 不良文化はなぜ強い
31wiBNSyTKL__SL500_AA240_.jpg

最近、盛り上がってきたヤンキーという文化集団の研究。これまで表で語られることが少なかった日本の地方の不良文化の系譜を明らかにする。特攻服の暴走族、リーゼントのツッパリ、ギャル、スケバン、レディース、DQNなどヤンキーと、曖昧にされてきた周辺の概念を定義していくのが面白い。

著者は、ヤンキー的であるとは、

・階層的には下(と見なされがち)
・旧来型の男女性役割(男の側は女性に対して、性的でありかつ家庭的であることを求める。概して早熟・早婚)
・ドメスティック(自国的)やネイバーフッド(地元)を指向

というファクターを帯びていることだという仮説を提示する。

ヤンキー研究の意義を「階層的に下位に位置づけられることが、自身のアイデンティティを毀損しない生き方」をポジティブに語ることに見出している。上品・洗練・高尚な文化資本だけで社会は成り立っていない以上、「バッドテイストですが、何か?」という強さも時に必要とされるのではないかと書いている。

著者は、諸説あるなかヤンキーの源流はやはり米兵(Yankee)文化だろうと分析する。暴走族、ツッパリ、親衛隊、ヤンキー的なものは脈々と受け継がれてきた。その様子を可視化した50年代からの時代の変遷マップが掲載されている。

ヤンキーの系統を芸能人の世代を分類したデータもあった。少しずつ違うのである。言葉にはしにくいがイメージがしやすくなる。

第一世代 矢沢永吉、館ひろし、和田アキ子、岩城滉一、ブラザーコーン、横浜銀蝿、鈴木雅之、島田紳助、長渕剛

第二世代 石橋貴明、哀川翔、宇梶剛士、嶋大輔、ゲッツ板谷、長原成樹、杉本哲太、ヒロミ、XJAPAN、中森明菜、小泉今日子

第三世代 工藤静香、辰吉丈一郎、ZEEBRA、飯島愛、中居正広、品川祐、綾小路翔、千代大海龍二、鈴木紗理奈

反学校的、悪趣味というキーワードも出てくる。

ヤンキーは「反学校的」だが、完全な反社会ではないだなと気がつく。彼らが好んだ学生服(改造する)も特攻服も、考えてみれば体制側の与えた服装だ。ルールに逆らいたいが完全に破ってしまうわけではない。そして大人になると地域の社会に溶け込んでいき、祭りで主要な役割を担っていったりする。そして「悪趣味」。敢えてダサいファッションを取り入れる。

主にファッションの変遷の分析から、ヤンキーという文化集団の様相が見えてくる本だった。ヤンキー文化論序説とあわせて読むべき本である。しかし、この本も著者はヤンキーというわけではないので、視点の設定に苦労しているのがうかがえる。根がヤンキーだと社会学者にならないわけで、なかなか難しい研究領域なのだなあ。

・ヤンキー文化論序説
http://www.ringolab.com/note/daiya/2009/03/post-951.html

・本は10冊同時に読め!―本を読まない人はサルである!生き方に差がつく「超並列」読書術
41HGpXy5joL__SL500_AA240_.jpg

これは個人的には凄く面白かった。元マイクロソフト社長の成毛眞氏による多読のすすめ。書評ブロガーとしても著名な方である。

・成毛眞ブログ
http://d.hatena.ne.jp/founder/

強烈な個性の本であるため、アマゾンのレビューは賛否両論である。

honha10satudojiniyome.jpg

こんなことが書かれているからである。

「たとえば「趣味は読書、最近読んだ本はハリポタ、セカチュー」という人は、救いようのない低俗な人である。また、ビジネスハウツー書ばかり読む人も、私から見れば信じられない人種である。まず、『金持ち父さん、貧乏父さん』系の本を読んでいる人、こうすれば儲かるという投資本や、年収1500万円を稼げるといった本を読んでいる人は、間違いなく「庶民」のまま終わるだろう。できる社員系の本を読んでいる人も同じである。なぜならば、他人のノウハウをマネしているかぎり、その他大勢から抜け出すことはできないからだ。」

成毛さんをレスペクトしている読者は、歯に衣着せぬ物言いにしびれる。そうでない人たちは「この人って何様のつもり?」とあきれる。この本自体がノウハウ本という矛盾もある。著者の名前で開かれた講演会みたいなものだと思って買うべき本なのである。

タイトルの超並列読書とはありとあらゆる場所に本を置いて、それぞれの場所で読書するという方法。当たり前だが決して10冊を横に並べて読むわけではない。

「リビングにいるときはリビングに置いてある本を、トイレに入っている本はトイレに置いてある本を読む。1冊の本を持ち歩いて読むのではなく、それぞれの所定の場所でしか読まないのだ。」

実は私も長年、同じことをやっている。ソファアの下に数冊、枕元に数冊、会社の机に数十冊、自宅の机に数冊、実家に数冊、鞄に2冊、常に置いてある。気の向いたときに少しずつ読めるので、自然にたくさんの本を読める。

成毛氏が高所から言いたい放題の本だが、読書が人生を変革するという考え方や、既存の価値観に従って行列に並ぶような生き方をしていてはダメだというイノベーター精神には共感しまくりである。

「私は、3ヶ月に1度ぐらい大型書店に足を運ぶ。ただし、2,3冊を買うのではなく、「ここの端から端まで全部」という感じで大人買いをしている。たとえば、ジュンク堂では気がついたら100冊以上も買い込み、カートを用意してもらったぐらいだ。」

自宅と別荘に4万5000冊くらいの蔵書があるらしい。

「本は捨てない、借りない、貸さない」主義。私も同じ主義なのだが、このまま貯め込むと蔵書スペースが足りなくなる。もっと読んで、稼げということか。がんばろう。

・読書論
http://www.ringolab.com/note/daiya/2009/02/post-932.html

・読書について
http://www.ringolab.com/note/daiya/2009/01/post-913.html

・読書という体験
http://www.ringolab.com/note/daiya/2007/05/post-569.html

・Wiiスポーツ リゾート(「Wiiモーションプラス」1個同梱)
512BQ4YulMCL__SL500_AA280_.jpg

世界で4500万本以上が販売されたWiiスポーツの続編。Wiiリモコンの感度を高めるWiiモーションプラスによって、細やかな動きを検出できるようになった。ラケットでボールを打ったときの手首のひねりで、飛び先を左右に振るというような技が可能になる。

今回は種目数が多い。チャンバラ、ウェイクボード、フリスビー、アーチェリー、バスケットボール、ピンポン、ゴルフ、ボウリング、マリンバイク、カヌー、自転車、スカイレジャーの12種目。全部試すだけで2時間以上かかる。

全種目の個人的感想を述べると、

チャンバラ:これだけで一本のゲームにしたらいいかも。楽しい。
ウェイクボード:リモコンの持ち方に臨場感がある。爽快。
フリスビー:これは結構、難易度が高いのでは。
アーチェリー:モーションプラスの精度の高さがわかります。精神力。
バスケットボール:タイミング重視です。
ピンポン:最高。前作のテニスに通じる定番っぽさが。
ゴルフ:疲れないので長く遊べる。はまる。
ボウリング:投げる瞬間の細かい動きで勝負
マリンバイク:リゾートスポーツらしさが味わえる
カヌー:ヌンチャク装着で両手でひたすら漕ぐ。スタミナ系。
自転車:ヌンチャク装着で両手でひたすらペダルをこぐ。スタミナ系。
スカイレンジャー:Wiiリモコンを紙飛行機みたいに持つのが面白い

ピンポン、ゴルフ、チャンバラはこれからかなりやりこみたい。カヌーと自転車は梅雨の運動不足解消によいかも。

Wiiモーションプラスを装着することで、リモコン全体が長く、重たくなったことで、より一層、モーション感が高まっている。周囲の人やモノにぶつかる危険度も一層高まった。子供が遊ぶときは、ゲーム内のチャンバラが本当のケンカのチャンバラにならないように気をつけないといけません。

・Wiiスポーツ リゾート
http://www.nintendo.co.jp/wii/rztj/

・「プログラムの追加と削除 一覧出力」
http://www.office-neo.jp/pglst/pglst.html
programnotuikatosakujo.jpg

Windowsにインストールしたプログラムの一覧を出力するフリーソフト。CSVファイル、プリンタ、クリップボードに出力することができる。PCの管理に役立つ。一覧に表示されるのは、[プログラムの追加と削除]に出てくるプログラムだが、そこに含まれないソフトウェアもユーザーが登録することが可能。

記録として紙に印刷しておけるのが便利である。新しいPCを使い始めるときに一度記録しておくとよさそうだ。

programnotuikatosakujo2.jpg

一覧画面はインストール日、サイズ、最終使用日時、使用頻度などでソートできる。CSVで保存した情報は、「比較」機能を使うことで、前回のチェック時にはなかったソフトの一覧を検出することもできる。コントロールパネルの[プログラムの追加と削除]よりずっと便利である。

私のノートPCには208種類がインストールされていた。ソフトレビューを書いているせいで増えてしまうのだが、整理の参考になった。

・アニメ文化外交
410qpWHbtL__SL500_AA240_.jpg

「アニメ文化外交」をテーマに世界中で講演を続けるコンテンツメディアプロデューサー櫻井 孝昌氏のフィールドワーク。ミャンマー、サウジアラビア、チェコ、イタリア、スペイン、フランス、カンボジア、ラオス、ドイツ、各地で日本のアニメがどのように受け容れられているかを、自身の訪問体験としてまとめた。

日本のアニメが公式の放送では流れていない国でも、いまやインターネット海賊版を介して、各国の若者にはすっかり浸透しているようだ。国際交流基金のバックアップを得て世界中を講演して回る著者のイベントには熱狂的なファン達がたくさん集まってくる。しかも彼らのコンテンツの理解度はかなり深いのである。

「ドイツでもスペインでも、通訳の方に聞いたところ、日本語の「せつない」に完璧に対応する言葉はないということだった。だが、日本のアニメのさまざまな場面で視聴者が感じる「せつない」という感情をヨーロッパのファンは明らかに理解しているというのが、これまで私がヨーロッパをアニメ文化外交で回ってきての印象だ。」

「もったいない」という言葉に続いて「せつない」も輸出できるのかもしれない。こうやって日本人の独特の心性が世界に理解してもらえるのであれば、まさに国際相互理解につながる。

カンボジアでは「まだ腐敗や暴力の根がたくさん残っている知で、友だちを何があっても信じたり、壁に向かって立ち向かっていく主人公たちを描いたアニメを子どもたちに好きになってもらうことの意義」を高く評価されたという。

世界中の若者にとって日本のアニメは、日本人にとっての往年のハリウッド映画やロック音楽のような存在になっているのだと著者は指摘する。基本的にアニメ好きは親日家になる。

「幼年期、少年少女時代、青年期といった多感な時期に長時間触れたコンテンツは、確実になんらかの形で人格形成に影響を及ぼす。そして、自分が好きなコンテンツを作ったクリエイターや会社、国に対して好印象を持つ。アイデンティティの形成期に自分のなかで育った、そうした感情はそうそう消えることはない。そういう意味でアメリカは、ハリウッド映画やディズニーアニメーションを通して、二十世紀、文化外交政策を世界の中でもっとも上手に進めることができたと言うこともできるだろう。」

ところで著者が世界中を回ってわかった、最も人気のあるアニメは、

『NARUTO』
『ONE PIECE』
『犬夜叉』
『BLEACH』
『鋼の錬金術師』

の5本だそうである。

正直、30代後半以上の人間は中身を知らないのじゃないだろうか。かくいう私もアニメは好きな方だが、この5つは世代が違うからよく知らない。日本の宝なのだから、一応、教養として知っておかないと損なのかも知れない。アニメ検定でも受けておくか...。

・アニメ検定
http://aniken.jp/index.html

最近観たアニメで感動したのは「つみきのいえ」。第81回 米国アカデミー賞 短編アニメーション賞受賞で有名になった。ジブリ以外の可能性としてこういうクリエイターが次々に誕生してくるといいのだが。

・つみきのいえ
51XSLFm7p0L__SL500_AA240_.jpg

「まるで「積み木」のような家。
海面が、どんどん上がってくるので、
家を上へ上へと「建て増し」続けてきました。
そんな家に住んでいるおじいさんの、家族との思い出の物語。」

たった12分で人生の追憶という普遍的な体験を視覚化した。DVDにはナレーションの有無で2バージョン収録されている。ナレーションなしを見てから、ナレーション付を見た。どちらもよいと思うが、なし→ありの順で見るのが正しい鑑賞方法だろう。

・心霊写真
51F7qHVqb6L__SL500_AA240_.jpg

宗教学者が宗教、科学、芸術の3つの視点で欧米の心霊写真を研究した本。(もちろん心霊写真満載ですが、実はあまり怖くはありませんよ)。

まず19世紀から20世紀初頭の心霊写真の原版は(撮影技術は稚拙だが)芸術作品に近い上質なものが多いことに驚かされる。(それを明らかにするために、この本は印刷にこだわっている)。現代のピンボケ心霊写真とは比較にならない。その洗練の理由の一つが当時の心霊写真は鑑賞を前提として作られたものだったからだ。3000枚も心霊写真を作成したプロの写真家も存在した。人々は誰か大切な人を亡くしたとき、自分の写真を撮ったのである。その横に死者に似た「エクストラ」が浮かび上がってくるのを期待して。

「心霊写真は死別を儀式化し、商業化した。嘆き悲しむ親族や友人たちにとって、心霊写真師の前でポーズを取ることは、故人の生前に「普通の」写真師を訪れたのと同様に、そして個人の死後に葬儀屋に予約を入れるのと同様に、慣習的な行事となった。写真師=霊媒は天国と地上を、死者と生者を、ガラスの板の上で結合させる。この意味で彼らは「司祭」の役割に就いたのである。」

その文化的背景には、

1 写真という科学技術は真実を映し出す信仰
2 不可視のリアリティが実在するという信仰

という人々の意識が横たわっている。霊という古い信仰を新しい技術が支援する関係ができあがった。心霊写真の最初のブームである。もちろん作り物であるから表現方法は時代の影響を受けている。著者は次々に時代背景と表現法の絡みを明らかにしていく。

心霊写真の構図や表現は西欧美術における天使や悪魔などの超自然的存在を図像化するコードと関係があること、ディケンズの小説『クリスマス・キャロル』における亡者達の描写も強い影響を与えたという事例が詳しく紹介されている。たとえば亡霊の文学上の伝統的な表現が「透明」であったため、心霊写真においても霊は半透明で表現されたようなのだ。

「心霊写真は、時代の子として、時代のものの見方、視覚言語、そして画家たちの主題と方法とを反映し、同時にそれに影響を与えた。」。

おそらく同じような現象がUFOやUMA写真、超常現象の報告にも言えるのだろう。私たちは心霊にではなく時代にとらわれているのだ。

・心霊写真 不思議をめぐる事件史
http://www.ringolab.com/note/daiya/2007/08/post-621.html

・ゲームと犯罪と子どもたち ――ハーバード大学医学部の大規模調査より
41FLZmdLisL__SL500_AA240_.jpg

「1994年から2001年までに殺人、強姦、強盗、加重暴行による逮捕者数は44%減少し、逮捕者数に占める青少年の割合は1983年以来最低となった。1993年には殺人事件による青少年の逮捕者数が3790人に達したが、2004年は1110人で71%減少した。」

ちなみに1995年が一般には暴力的とされるアクションゲームの大ヒット作『DOOM』の発売年である。この7年間はゲームが一般に浸透していく時期であった。一般の予想に反して、米国では(おそらく日本でも)ゲームの人気と現実世界の青少年の暴力は確実に反比例していたのである。

この本はハーバード大学医学部は1257名の子供と500名の保護者、数百名の業界関係者を対象に、ゲームが子供に与える影響を科学的に調査した報告である。結論からいうと、いくつかの相関はあるが、子供のゲームと暴力行動の間に強い因果関係は認められないという。

確かにゲームをする時間が長ければ長いほど、ゲームの内容が暴力的であればあるほど、男の子も女の子もいじめの加害者である割合が高くなる。週にゲーム遊び1時間未満の子供が加害者になる割合は1.4%だが、6から8時間ゲームをする子供では11.7%である。特に女の子の場合は顕著で、ほぼ毎日ゲームをする女の子は他の女の子と比べていじめの加害者や被害者になる割合が高い。

だが、この数字をゲームが子供に悪影響を与えると解釈しては間違いである。逆に、ほとんどのゲームをする子供がいじめも問題行動もしないことを意味しているのである。圧倒的多数の子供がゲームを遊ぶ中で、たとえ6から8時間も遊ぶような熱中派でさえ、9割の子供には問題が起きないということになる。ゲームと暴力は一部に若干の相関が見られるが、強い因果関係は認められないのだ。軍隊ごっこや宇宙人ごっこと何が違うのか。

そして定期的にゲームをしない(まったくしない、または通常週に0回)という子供の方が、暴力的ゲームをする男の子に比べて、けんかや窃盗、学校での問題行動を起こす割合が多かった。

これについては著者らは「男の子にとってゲームをするのは普通のことであるため、調査結果をそのまま解釈すれば、「ゲームをしない男の子は普通ではない」ということになる。」と解釈している。同様にゲームをたくさんする女の子は普通ではない。だから問題行動につながりやすいと見る。

他の研究事例の分析からは反社会的行動や暴力的行動の多くは遺伝的特性によるものが大きく、メディアの影響はあまり大きくないという事実も挙げられている。ゲームにも何らかの悪影響はあるかもしれないが、総体的に見たら順位が低くて問題にならないレベルというのが著者らの結論である。

ゲームについて保護者にできることとして「最初の一歩は、「子どもを暴力的なゲームから守るには、どうしたらいいですか?」というよく聞かれる質問を「子どもがゲームをする時間をもっとも有効に使えるように、どう手助けすればいいですか?」に変えることだ」という提言がある。

この本にはゲームのレイティング表示の話が出てくる(一定の効用を認めている)のだが、暴力や性的要素を判定するのではなくて、クリエイティブ度だとか教育的効用というポジティブ面を評価する別のレイティングを作ったらいいのではないかと思った。悪いゲームを禁止するのではなく、よいゲームを推奨することができれば、ゲーム市場も活性化するだろう。じゃあ、なにが本当に良いゲームなのか?ということになると、それはそれで調査研究が必要ではあるのだが。

・ダメなものは、タメになる テレビやゲームは頭を良くしている
http://www.ringolab.com/note/daiya/2009/02/post-937.html

・ザ☆歌謡ジェネレーション
51Bcbdgx4RL._SL500_AA280_.jpg

NintendoDSゲーム。素晴らしい。ちょっと感動した。

30代から40代で毎週ザ・ベストテンを熱心に見ていた歌謡曲世代にはたまらない内容。ゲームとしての出来は70点くらいだが、選曲がいいのですべて許せてしまう、個人的には100点をつけたい。収録曲目リストにぐっときたら、絶対に買いである。

70~80年代アイドル達が上の画面で歌いはじめると、下の画面に歌詞フレーズが降ってくる。カラオケ字幕の要領で曲の進行に合わせてタイミング良く、フレーズをタッチする。ジャストのタイミングならオリジナルそっくりの歌声が響く。前後にはずすと音程がうわずったり、落ち込んだりする。音ゲーとしての難易度はかなり低め。

51jU32ByEKkL__AA280_.jpg

鑑賞モードではすべての楽曲をただ普通に聴くことができる。ゲームに疲れたらこれだけでも結構、楽しめる。その他、80年代アイテムを集めたり、歌手を着替えさせたりする機能があるが蛇足。ま、曲がすべてですな、このゲームは。

テレビでザ・ベストテンを見ていた時代と、雀荘でこれらの曲をよく聴いた大学時代が目に浮かんでくる。ザ☆歌謡ジェネレーションという名前の通り、特定の世代のみが反応するジェネゲーなのであった。

2を期待する。それと松田聖子だけで続編を作ってくれないかなあ。

●収録曲

1970~80年代を彩どる下記のヒット歌謡25曲+αを収録。当時の雰囲気を再現したステージも10種類以上!田原俊彦、松田聖子、中森明菜、松本伊代、Wink、森高千里等のアイドル歌手やレベッカ、プリンセスプリンセス、ザ・ブルーハーツ等、ロックアーティストの代表曲も幅広く収録!

<収録曲名>
・年下の男の子
・どうにもとまらない
・ランナウェイ
・愛のメモリー
・魅せられて
・贈る言葉
・My Revolution
・抱きしめてTONIGHT
・CHA-CHA-CHA
・TOKIO
・フレンズ
・ツッパリHIGH SCHOOL ROCK'N ROLL(登校編)
・Diamonds
・リンダリンダ
・センチメンタル・ジャーニー
・淋しい熱帯魚
・1986年のマリリン
・17才
・飾りじゃないのよ涙は
・セーラー服と機関銃
・ハイスクールララバイ
・セーラー服を脱がさないで
・Romanticが止まらない
・ギザギザハートの子守唄
・旅立ちはフリージア


・ザ☆歌謡ジェネレーション
http://www.aqi.co.jp/product/utagene/

・美人好きは罪悪か?
41d8Gcrbn2L__SL500_AA240_.jpg

現代における美人の意味をさまざまな角度から問い直すエッセイ集。「もてない男」の評論家 小谷野敦による新書。表題のもてないけど美人が好きはいけませんか問題から始まる。

「二十世紀後半以後の人間は、未曾有の時代を生きているが、テレビや映画で、ふんだんに美女の姿を目にするというのは、昔であればありえない話だった。むろんその国の中心都市には美人が多いから、田舎者が都会へ出て美人に心奪われるといった話も多いけれど、テレビや映画はその比ではない。隣近所の娘たちだけ見て、まあこの程度が美人、と思っていた時代とはえらい違いである。」

「今の日本で、二十代の女性は七百万人くらい、三十代前半まで入れれば一千万人を超える。十人に一人の美人なら七十万から百万人、百人に一人という美人でも、七万人から十万人いるのである。」

メディアに登場する女性は美人が多い。全体では計算上は総数も多い。それにも関わらず、周囲に自分とつきあってくれる美人をみつけるのは難しいわけで、それが現代人に「ある疲れをもたらす」と著者は嘆いている。今は「美への憧れが強いけれど現実の美女を手に入れられない男を大量生産する時代」なわけだ。

メディアは容易に手が届かないものを作り出し、それへの欲望を煽る。そんな状況とどう向き合っていくかというのが、美人問題に限らず他のテーマについても、現代人にとって普遍的な問題なのだろう。美人論はほとんどメディア論である。

著者は近年の文学賞の成功度と受賞者における女性作家(しかも美人)の割合が正比例していることも指摘している。美人だから受賞したわけでなくとも、出版社は美人の経済効果を利用して本を売る。文学の内容もいずれ振り返ったときに、著者が美人であることの影響が出てくるだろう。

他に谷崎潤一郎の描く美人、髪型とヌードの関係、不美人ヌードの味わい、など、どうでもよさそうだがなんだか気になる問題について半ば趣味的に半ば探究的に語り尽くされている。井上章一の近著「日本の女が好きである。」と対で読むと良い内容。

・日本の女が好きである。
http://www.ringolab.com/note/daiya/2009/06/post-1010.html

・びっくり3Dペーパークラフト 犬&牛セット
41oeW6ewmFL._SL500_AA280_.jpg

3Dの錯視が体験できるペーパークラフト。

犬と牛のペーパークラフトがあって、説明図に従って何箇所かを立体的に山折り谷折りすると完成。これを見ると動物が立体的に見えてくるという。やってみたが最初の5分間は意味がわからなかった。もともと立体的な構造じゃないか、これ。何が楽しいんだろうと思っていたのだが...。

3645091953_732f4883d7.jpg

ところが焦点を動物の顔にではなく、背景に移して見ると、おお、できた!。確かに動物が奥行きをもって立体的なものに見えてきた。その顔を直視しようと目の焦点を手前に合わせてしまうと立体感が失われてしまう。不思議な体験。
31DSOVAkKiL__AA280_.jpg

2Dの錯視はよくあるが3Dというのが珍しい。先日、渋谷で開催されている「奇想の王国 だまし絵展」に行った。そこにはさらに物凄い3次元錯視作品が展示されていた。

誰もが驚いていて足を止めていたのが展示終盤近くにあるパトリック・ヒューズ作「水の都」。2次元の普通の絵を眺める場合、鑑賞する人間が上下左右のどこから眺めようが変わらないわけですが、この作品の場合、まるで額の中に本当の空間があるかのように変化します。しばし自分の目を疑いました。

・奇想の王国 だまし絵展
http://www.bunkamura.co.jp/museum/lineup/09_damashie/index.html
6月13日~8月16日まで渋谷のBunkamura ザ・ミュージアム
この展覧会はとても楽しいのでおすすめ。ショップも充実。

・パトリック・ヒューズ
http://www.patrickhughes.co.uk/

・AKANAME
http://muratagumi.sakura.ne.jp/010/
akaname01.jpg

デスクトップに気がつくと50個以上のアイコンが並んでしまうわけだが、プレゼン時には大変見苦しいのでどうにかしたいと思っていた。

この問題を解決してくれそうなツールを発見した。

AKANAMEはデスクトップから移動させたいファイルの条件を、

ファイルの拡張子
ファイル名に含まれるキーワード
ファイルサイズ(指定サイズより大きい、より小さい)
ファイルの作成日時(指定日時より新しい、より古い)

でルール指定し、さらにそれぞれの移動先を設定しておくと、定期的にデスクトップを監視して、該当するファイルを移動整理してくれる。移動ログ表示機能もあるので何が行われたかを確認もできる。

このツールを使っていれば、一時的にデスクトップを散らかしても、もう大丈夫である。

・仏陀―その生涯と思想
buddasonoshogaitosiso01.jpg

「この人を見よとわたしはいう。なんとなれば、ここにわたしどもが考えうるかぎりの、最高の人間像があるからである。」初期の経典や史実を紐解くことで、偶像としての虚飾を排し、一人の人間としての仏陀の実像に迫った、高名な仏教学者の傑作。

著者は人間の理想像としての仏陀を正確にとらえようとする。そのために阿含部と呼ばれる仏教の最初期の教典に重きを置いて、修飾されない仏陀本来の姿を再現する。たとえば仏陀は誕生したとき「天上天下唯我独尊」と言ったのは後生の作り話だし「生まれによりて聖者になるのではない」ことが仏陀の真の偉大さなのだと教える。

生誕から出家、最初の説法、有名な山上の説法、伝道の長い旅、祇園精舎、最後の説法、入滅まで、人間としての仏陀の生涯を代表的エピソード単位で追いかけながら、それぞれの教えの本来的な意味を著者が解説している。仏陀を偉大に見せるためのお化粧を、初期教典検証によって取り除き、その素顔が見えてくる。

相手を見て理を説くべきだという「対機の説法」はブッダが教えた伝道の方法論だが、それ故に仏教の基本知識のある者とない者向けには、説教の内容が変わる。日本の仏教はさらに神道や民俗信仰が融合して伝わっているので、多くの日本人にとって仏教はなんとなく知っている状態である。そういう状態はこの本が書かれた昭和20年代頃と大差がないかもしれない。著者は仏教本来の教えと、天国と地獄があるような伝道上の方便を区別して説明している。わかりやすさより"本物志向"で仏教を知りたい人向けだ。

後半にでてくる「中道の教え」は無宗教の私が仏教哲学に魅力を感じる部分だ。

琴を弾くのが上手なソーナという弟子との対話で、仏陀はいう。琴の糸があまりに強く張られていたらよい音がするだろうか?。次に、あまりに弱く張られていたらどうだろうか?。どちらにもソーナは否と答える。仏陀は「それでは強すぎず弱すぎず程よく張られていたら良い音がするであろう」、それこそが目指すべき究極の状態として中道の教えを説いた。

「その教えとは、いうまでもなく、中道の教えである。中道の教えは、釈尊の教説のあらゆる部分を貫いて存する。哲理について言えば、有無の二端をはなれることであり、実践に即して言えば、苦楽の二極におもむかざることであり、さらに修道の実際についていえば、いま釈尊がソーナのために説いたように、「諸根の平等をまもり、平等の精進に住し、かの中における相を取る」こととなるのである。」

ここで「中道度メーター」というものを設定してメーターの極端を目指せばいいなどと安直に考えるのは、たぶん間違いなのだろう。ブッダが言ったのは「良い音」という公理の異なる世界での価値だったのだから。

手塚治虫の漫画「ブッダ」やヘルマン・ヘッセの「シッダールタ」で仏教に興味を持った読者に特におすすめ。

・シッダールタ
http://www.ringolab.com/note/daiya/2008/02/post-708.html

・ブッダ 全12巻 漫画文庫
http://www.ringolab.com/note/daiya/2008/04/12-2.html