2008年11月アーカイブ

・3秒で夢をかなえる仕事術
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「3」と「3秒」の仕事術。

・3秒で結論を出すテクニック
・3秒で自分の「売り」をアピールするテクニック
・3秒で弱気な自分を励まし、やる気を起こす方法

など、人生を変えるような3秒の使い方と、3つ、3人、3割のような3にこだわった時間術、仕事術。1週間を3日だと考えて生き、1日をアウトプット時間・インプット時間・生活時間に3分割し、連続して集中できる時間を3時間確保し、3分のスキマ時間活用を意識して、毎朝3行メールを送り、社内に3人の協力者を探し...ひたすら3,3,3、サーーーーンッである。(もしかしてこの著者は流行りのお笑いギャグを意識している?)。
私も3つほど面白かった部分を紹介する。

1 3つの言葉で「引き」を手に入れる

会社組織では「さすが」「すごい」「そのとおり」を使った言葉で年長者の「引き」を手に入れろという。「年上の人たちにうとまれていると、せっかくいいアイデアを思いついても実現できないので、思いつかなかったのと同じになる。昇進できないと、年齢を重ねてもそれに見合った権限が与えられないので、ますますやりたいことが実現できなくなる。これでは損だと思い直し、好かれるキャラになろうと思い始めてから人生が好転しはじめた。」

そういえば、これはベンチャー起業家でも同じである。ワンマン経営者の多くが自分の組織では独断専横でも、外では"オヤジキラー"で年配の有力者から経営リソースを調達しているケースがよくある。

2 二者択一で迷う相手には3つめの選択肢を提示せよ

「多くの人は、3つのプランを提示されたらさすがにどれか選ばないといけないかな、という気になるケースが多い」。仕事を断ったらわるいなあと思っているとき、やる、やらないの二者選択をもってこられると答えにくい。断るのが嫌で返事を後回しにしがちだ。
私にもこのパターンは心当たりがある。つきあいのある編集者(Web担当者のノウハウ)が私のところへきて連載を書いてくれという。連載なんて無理と言ったら「隔月連載」ではどうですかという。ならいいかもと引き受けてしまった。そしてある編集者(雑誌宝島、書評欄)がきてまた連載を、というので断ろうと思っていたのに「3カ月おき連載ならどうですか?」というので引き受けてしまった。3つめの選択肢で粘られると人間は本当に断りにくい。

3 1日1項目ずつ、50日で1冊を書く

この本は3と3秒という軸で5章に8項目ずつ全40項目から構成されているのだが、著者は1日に1項目ずつ書いたそうである。飲み会などで書けない日を入れても50日くらいでこういう本を一冊書きあげられるわけだ。私も毎日こうしてブログを書いているわけだから、同じ方式で本を書くことも可能なんじゃないかと思った。50日で1冊だと1年で7冊出せる。来年はこの手でやってみるか、でも3日で終わったりして...。

4足のわらじをはいて活躍する著者の、「「忙しい」を言い訳にしない方法」の本。テンポよく読めて、取り入れてみようかというアイデアもいくつか見つかった。仕事机において休憩時間に3分ずつ読むといい感じ。

・白鳥の湖 華麗なるバレエ 1 (小学館DVD BOOK)
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クラシック・バレエの代表作の舞台を収録したDVDとカラー図版たっぷりの解説。シリーズ第一巻はバレエの代名詞「白鳥の湖」。ロシアのキーロフ・バレエの公演。チャイコフスキーの名曲でよく知られているが、そのストーリーというものは初めて知った。

悪魔ロートバルトの呪いで白鳥に変えられたオデット姫は夜の間だけ人間の姿に戻ることができる。彼女を元の姿に戻すには、誰も愛したことがない男の真実の愛の誓いが必要だった。

ある日、白鳥たちがすむ湖にやってきたジークフリート王子は人間の姿のオデット姫に一目惚れする。白鳥の湖のテーマとして広く知られるメロディや、4人が横一列に手をつないで踊る小さな白鳥の踊りの印象的なシーンは、この部分にある。

しかし、翌日、悪魔はオデット姫そっくりの娘オディールを宮廷の舞踏会に使わして、王子の心を惑わす。オディールを湖で会ったオデット姫と思いこんだ王子は策略にはまって、悪魔の娘にうっかり愛を誓ってしまう。その様子を窓から見ていたオデット姫は絶望にうちひしがれて湖へもどっていく。

間違いに気づいた王子は湖へ行き姫と抱き合う。悪魔がやってきてオデットを翻弄するが、王子は悪魔に戦いを挑み、激しい攻防の末に、ついに打ち負かす、というのがこの舞台のストーリー。

え?じゃあ呪いの話や誓いの意味はどうなってしまうの?最初から悪魔をやっつければよかったのでは?と疑問も残るわけだが...。

解説を読むと、この白鳥の湖は本来は悲劇で、二人は入水自殺して天国で結ばれるというストーリーだった。ロシアでは社会主義リアリズムの観点から男女が協力して悪を打ち負かす筋に変えられたという。いまも悲劇版とハッピーエンディング版の2種類が演じられているそうだ。

世界の一流バレエ団のひとつということもあって、姿勢を完璧に制御したバレリーナたちの動きが凄い。プリマバレリーナはその場で30回転以上しても乱れない。一糸乱れぬ群舞のシンクロぶりにも驚かされる。

解説のQ&Aでなぜバレリーナはトゥ・シューズを履くのか?という質問に対して、

「爪先で立つことは、地に足のつかない状態、浮遊感やはかなさの表現へとつながり、当時流行したロマン主義的物語に登場する妖精や精霊など、この世のものではない幻想的な存在を表現するのにふさわしいものだったからです。」

とあるが、まさに白鳥の湖は、薄暗いシーンが多く、白鳥の動きがモチーフであるがゆえに、幻想的で浮遊感たっぷりの作品。

・機密指定解除 歴史を変えた極秘文書
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「文書や記録そのものは、もちろん紙の上の単なる言葉のら列だ。しかしそれは、革命や戦争、暗殺など、歴史の流れを変えた重大な事件で、大きな役割を演じた人物や政策、さらにその背景に潜む陰謀などを知る格好の「のぞき窓」となっている。」

古くは15世紀から現代まで、事件から長い時間を経て一般に開示された機密文書50本を写真で見せながら解説するドキュメンタリ。スパイの書いたメモや報告書、国家レベルの密約、盗聴記録など。米国を原爆開発へと進めたアインシュタインの手紙、ナチスがつくった各国ユダヤ人の人数推計、大統領がつかまされた偽文書などもある。

第二次世界大戦中と冷戦時代の米ソの諜報合戦は特にすさまじい。二重スパイや偽文書、など手の込んだものが多い。敵の暗号通信を解読できても当面は敢えてアクションを起こさない。相手が安心して通信している様子を傍受し続けたいからだ。だまされているフリをしてだます。裏切り者を裏切らせる。

諜報機関はスパイや協力者をつくるため裏切らせる秘訣を研究していることがよくわかる。裏切りの動機は4つというのは興味深い。この4つの弱みをつけば敵の幹部をも寝返らせることができるというもの。

M Money  お金
I Ideology イデオロギー
C Coercion 抑圧
E Ego   エゴ

歴史上の二重スパイたちはだいたいこのどれかで転んでいること事例解説からわかる。

本書は監修者で元外務省のラスプーチンこと佐藤優が、早稲田大学大学院でインテリジェンスを教える事例研究のテキストに使ったらしい。本物である。

・プチリリ
http://www.vector.co.jp/soft/winnt/art/se455579.html
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この前紹介したLyrics MasterもiPodで便利だったが、デスクトップでは、これもいいなあ。

プチリリはWindows Media Playerで再生中の楽曲の歌詞をカラオケのようにテロップ表示するソフトウェア。タイトルや曲の長さなどをキーに約70,000曲の歌詞データの中から自動的にマッチする歌詞を検索・同期表示する。邦楽はかなりいける。

表示方法はウィンドウ表示とテロップ表示の2種類がある。テロップ表示はデスクトップにオーバーレイするので、たとえばブログを書きながら、楽曲の歌詞を画面端に流しておくなんていうことができる。

ブログを書きながらミスチルを聴く画面例。表示スタイルはかなり細かくカスタマイズできる。

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クリック一発でブラウザで全文歌詞を表示する機能もある。

ネットから歌詞をダウンロードしてiPodに取り込む Lyrics Master
http://www.ringolab.com/note/daiya/2008/11/ipodlyrics-master.html

限界芸術論

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・限界芸術論
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「今日の用語法で「芸術」とよばれている作品を、「純粋芸術」(Pure Art)とよびかえることとし、この純粋芸術にくらべると俗悪なもの、非芸術的なもの、ニセモノ芸術と考えられている作品を「大衆芸術」(Popular Art)呼ぶこととし、両者よりもさらに広大な領域で芸術と生活との境界線にあたる作品を「限界芸術」(Marginal Art)と呼ぶことにして見よう。」

鶴見俊輔の基準でわけていくと、

バレエ、歌舞伎、能は純粋芸術
ロカビリーやチャンバラのタテは大衆芸術
日常生活の身ぶりや労働のリズムは限界芸術

絵画は純粋芸術
紙芝居やポスターは大衆芸術
らくがきや絵馬や年賀状は限界芸術

詩は純粋芸術
大衆小説や俳句は大衆芸術
手紙やゴシップやタナバタは限界芸術

他には、祭り、盆栽や酒の飲み方や遊女の身のこなし、花火、5千年前のアルタミラ洞くつの壁画などが限界芸術に相当する。宮沢賢治が妹の死の一周忌に書いた見事な創作の手紙も例に引かれているのだが、今年の夏、漫画家の赤塚不二夫の葬式でタモリが即興で読み上げたという弔辞は、現代における最高レベルの限界芸術だったように思う。(私は読んだとき感動で震えた。)

・タモリの手には白紙...あふれる感謝そのままに
http://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2008/08/08/02.html

「限界芸術の諸様式は、芸術としての目だたぬ様式であり、芸術であるよりはむしろ他の活動様式にぞくしている。この特殊な位置の故に、限界芸術のことを考えることは、当然に、政治・労働・家族生活・社会生活・教育・宗教との関係において芸術を考えてゆく方法を取ることになる。」

そして、マスメディアが登場するまでの庶民は純粋芸術や大衆芸術に触れる機会はほとんどなく、限界芸術こそ芸術に参加する接点であったと述べられている。

だが、現代は限界芸術がマスメディアやネットワークにのって伝播していく時代だ。タモリの弔辞がテレビやネットで拡大されるのもそうだし、ブログのネタふりやチャットの絵文字だって限界芸術だろう。限界芸術の根源性と可能性を説いたこの芸術論の古典はネットのCGM文化を考える上でも読み返す価値があった。

・情報革命バブルの崩壊
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ITバブルが崩壊どころか世界経済がやばいという昨今的状況ですが「本書のテーマは、これら金が余っていたころに作られた情報革命のルールが、これから金が干上がっていくとき、どう変わっていくのかを見定めることにある。」という切り口で、ネット論客として知られる切込隊長山本一郎氏が書いた新書。濃い週刊誌の巻頭特集記事×5本みたいでタイムリーに面白かった。買うなら今な本だ。

・ネット空間はいつから貧民の巣窟に成り下がってしまったのか?
・ネット無料文化は終わる
・ソフトバンクの崖っぷち経営

など刺激的な論調が満載なわけだが、私が共感した部分は本筋ではないような部分なのだけれども、2か所抜き出してみる。

まず一つ目は、新聞というメディアについて。そういえばちょうど朝日新聞が創業130年にして初の赤字決算というニュースが先日あった。そんな中で新聞各社の差別化について隊長はこう語る。

「新聞業界の目線からすると、概ね全国紙各紙の紙面構成は共通している以上、そこで特徴のある紙面を構成しようとすると、スクープか論調(思想)しかあえりえないことになる。ただ、そうそう日々スクープ記事など書けるはずもなく、定常的にその新聞のその新聞らしさを発揮するためには、編集方針として特定の主義主張に基づいた論調で記事を編集することで、他紙にはない紙面づくりができるとされる。しかしその新聞業界側が他紙との差別化として価値があると考えている「論調」は、読者からすれば興味がない。」

今年のはじめに私も同じことを思ったのだった。

・あらたにす
http://allatanys.jp/

あらたにすは、2008年1月に開始された日経・朝日・読売の合同ポータルサイトである。各社の記事が横並びで表示される。新聞社側としては読み比べてくださいの意味なのだろうが、私が最初にこのサイトを見て感じたことは、大新聞はどれも一緒だな、もはやひとつでいいんじゃないの、ということだった。以前から気がついてはいたけれど、社説と書評程度しか違わないことがこのサイトではっきりしてしまった。正直、読み比べる意味がわからない。

二つ目の共感点は、プロに求められる情報量とタコつぼ化に伴うディスコミュニケーションの話。

「仕事で、趣味で、実用以上の成果を出すためには情報が必要だが、成果を出すために必要な閾値というものは情報化社会のおかげで着実に上がっている。本来の情報化社会とは、その人に必要な情報を効率よく大量に消費させることが可能な社会であるはずが、その方面で使い物になる人材になるためには飽きるほど情報摂取をし、常にスキルアップを続けなければ、文字通り半可通という烙印を捺されてしまう存在に成り下がる社会であると言えよう。」

という部分と

「一方、情報化社会が進展すると、その人が生きるためのコア知識の閾値が増大した結果、一般的な情報、とりわけまったく興味分野などが異なる第三者と話し合うために必要な情報が充分仕入れられないことになる。これでは話が合うはずがない。対人スキルが乏しく人づきあいのできない日本人が増えたという事情もうなづける。」

という部分。

記憶の容量は変わっていないのに、記憶すべき専門知の情報量が増えたせいで、一般教養などの共有知の割合が減ってしまい、その結果、対人コミュニケーションが難しくなったというロジックは、面白い分析だと思った。

といいうわけで、以上であるが、もし切込隊長氏がこのブログを読んだら、「なぜ俺様がいっぱい書いたのになぜおまえはそんな非本筋の部分ばかり引用するのか」と思われるだろう。

インターネット業界で新しい価値を生み出す企業がまだまだ登場するとポジティブに考えている「情報革命はこれからだ」の私としては、ネット業界が危ないという論調はコメントが難しい。博打やバブルの追放は賛成だ。同じ状況認識であり御意なのだけれども、見方はネガ・ポジ反転しており、あんまりコメントしたくないのである。で、そういう都合の悪さがあるからこそ面白い本なのである。

・けなす技術
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/003238.html

・栞と紙魚子の百物語
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「奇々怪々な事件が次々に起きる胃の頭町を舞台に、女子高生コンビの栞と紙魚子が大活躍!! 雑誌「ネムキ」好評連載の、諸星大二郎の人気シリーズの単行本最新刊。「妖怪司書」「弁財天怒る!」「百物語」ほか計7編を収録。 」

私が神様と仰ぐ漫画家 諸星大二郎の近刊。心酔している諸星先生に誤謬はありえないから諸星漫画は盲目的に受け入れる心境にある私だが「栞と紙魚子」シリーズ連載初期には、どうも読むときのノリが悪かった。この怪奇コメディという独特の作風は素直に受け入れがたいジャンルなのである。怖がらせるのか、笑わせるのか、両立なんてありえるのかと疑問に思ったのだ。

ところが、長期連載で少しずつ魅力が強まってきて、今は心待ちにしている。怪奇漫画のはずなのだが、最近は登場人物の人間と妖怪・物の怪・魑魅魍魎どもが、すっかりなれあいの関係を暖めてしまって、ずいぶんほのぼのとしてきた。マンネリ安定感はほとんどサザエさんである。いつまでもこの味を楽しんでいたいと思える長寿番組の魅力と風格がでてきた感じだ。

そして恐るべきことにこの作品は日テレの深夜番組としてアイドル(AKB48)起用で映像化されてしまったのである。いっぱい作品はあるのに、よりによってなぜ栞と紙魚子の百物語なのか、現実は漫画より複雑怪奇なりである。

・栞と紙魚子の怪奇事件簿
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壁男も地味に映画化されていた。

・映画DVD 壁男
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さて、映像の出来はというと...正直なところ「諸星ファンならば見よう」かなあ(笑)。

・私の好きな漫画家たち
http://www.ringolab.com/note/daiya/2003/12/post-46.html

・トゥルーデおばさん眠れぬ夜の奇妙な話
http://www.ringolab.com/note/daiya/2006/04/post-377.html

・「私家版魚類図譜」「私家版鳥類図譜」
http://www.ringolab.com/note/daiya/2007/04/post-554.html

以下は関連情報として諸星大二郎作品がでてくるエントリ

・日本の聖地―日本宗教とは何か
http://www.ringolab.com/note/daiya/2006/07/post-424.html

・安徳天皇漂海記
http://www.ringolab.com/note/daiya/2006/09/post-445.html


そして最後に充実した情報サイト発見。

・諸星大二郎博物館
http://book.geocities.jp/yasukenyan/
作品の網羅リストに感動。私は現在販売されている物は全部所有していて今はレアものを中心に買い集めている。ここは大いに参考になる。

・アナグラム・メーカー
http://hp.vector.co.jp/authors/VA028660/soft/index.htm
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英字の文字列からアナグラムを生成するフリーソフト。アナグラムとは文字の並べ替えであたらしいことばをつくること。このソフトは文字列をランダムに並べ直したパターンを次々に表示する。

このソフトの特長はパターンのなかで発音可能な部分をカナ表記を表示してくれること。カナ表示できないものは表示しないオプションもある。ネーミングで使いやすいように発音しやすいパターンだけが残るのだ。

たとえばここでは、ドラエモン Doraemon という文字列で試してみた。

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次々にでてくる。

モネラド monerado
ダロンメオ daronmeo
モドアレン modoaren
モエランド moerando
モンデアロ mondearo
レオマドン reomadon
ノメラド nomerado
モラエドン moraedon
ナドモレ nadomore
ラエモドン raemodon

ネーミングを考えたり、記憶しやすいパスワードのアイデアをえるのに便利なソフトだ。
・ネーミング支援ツール『命名ヤギさん』
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004262.html

ネーミング自動生成にはこのソフトは秀逸だった。

・ImeBig
http://www.neko.ne.jp/~freewing/software/imebig/
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最近、プロジェクターに画面を投影しながら、アイデアを書き出していくスタイルの会議が増えた。みんなでひとつの文書をつくりあげていく感じがよいのだけれど、入力中の文字が小さくて見えにくいという欠点がある。文書自体のフォントサイズを大きくしてしまうと画面あたりの情報量が減ってしまう。入力中の文字列だけが大きくなればよいのにと思っていたら、BigIMEを発見した。

起動しておけば自動的に変換中の文字列が大きく表示される。タスクトレイのアイコンを左クリックで文字の大きさを3段階&オフ切り換えできる。憂鬱とか薔薇などの複雑な文字を拡大してみるのにも便利。

1日使ってみたが、いま書いている文字が拡大表示されると、いつもより少しだけ言葉を選ぶようになる気がする。このツールは常用していてもよいかなと思った。視力が弱い人にもおすすめ。

IEやFirefoxでは使えないのが惜しいところ。みんなで画面を見ながら検索するときに、検索入力語を拡大できるツールがあるとうれしいのだが。

・リトル・チャロ Vol.1 ロスト・イン・ニューヨーク
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今年はNHKの英語講座を家族全員で見ている。

なぜかというとチャロの物語の続きが気になるから。

・リトル チャロ オンライン
http://www.nhk.or.jp/charo/index.html
公式サイト


日本生まれの子犬チャロは捨て犬だったが、翔太一家に救われて幸せな日々を送っていた。だが家族でアメリカ旅行に行ったとき、チャロはみんなとはぐれてしまい、広いアメリカにひとりぼっちで取り残されてしまった。日本に帰って翔太に会いたいという一心でチャロはその方法を探す長い旅に出る、という話。

毎回アニメーションの連続ドラマを教材にして、初心者向け英語講座がすすんでいく。
アニメドラマは一回5分と短い。残りの時間はドラマ内の会話を題材に、スタジオで人間たちによる復習(ここは普通の英語講座なわけ)が行われる。

チャロと個性的な仲間たちの魅力で、毎回、どうなっちゃうんだろうとストーリーが気になる。それでとりあえずアニメ部分だけ見ておくつもりが、結局、学習部分も見ることになる。自然と英会話を勉強してしまう結果になる。

DVDが発売された。アニメ部分だけ通して見られる+特典映像ということで、テレビで見たじゃないかと言いつつ結局買うことに。妻と息子はすでにチャロの大ファンなので、今後グッズなどが販売されると手を出しそう。NHKの策略にまんまとはまった気がするが、キャラクターアニメ+英会話というやり方、これはうまいなあと企画力に感心。

・リトル・チャロ 1 完全版[CD]
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こちらはラジオ版。

刑務所の前

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・刑務所の前 (第1集)
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猟奇的にして耽美的な作風で知られる異才の漫画家 花輪和一。私はこの人の漫画はほとんど保有している。花輪氏は90年代、モデルガンの趣味が高じて改造銃や実銃の所持で逮捕されたことはよく知られている。出所後に懲役3年の体験を漫画「刑務所の中」として描いたら、ヒットして映画にまでなったから。

「刑務所の中」は私も読んでいたのだが...。「中」でお腹いっぱいになり、「刑務所の前」という作品はもういいやと思って、買い忘れていた。ところが、むしろ、こちらの方がずっと花輪らしくて面白いのである。

・刑務所の前 (第2集)
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もともと花輪作品の真骨頂は時代モノ。刑務所体験漫画などではない。江戸時代とか平安時代を舞台に、陰惨でドロドロした男と女の因縁や怨念を描くことにかけて、日本有数の凄い人なのだ。自分を主人公に獄中生活を綴った「刑務所の中」のようなドキュメント漫画は飽くまで余技のはずなのだ。

「刑務所の前」は、なぜ自分が銃刀法違反で捕まり懲役3年で投獄されたのかを説明する漫画である。それなのに、どういうわけか主な舞台は江戸時代である。主役は花輪ではなくて、鉄砲鍛冶の生真面目な父のもとで暮らす娘や、良家に生まれながら己の両親の浅ましさに宗教に救いを求める少女とかの話だ。長大な時代劇の幕間に、現代に戻って逮捕に至った状況説明が挟まる。

・刑務所の前 (第3集)
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ひと言で片付けると、逮捕は銃に魅入られるフェチシズムや規範意識の薄さが理由なわけだが、それを直接に言わずに、得意の時代劇ドラマに作品化した。要は世の中に対しての、物凄く迂回した言い訳作品なのだ。この方がなぜ刑務所に入るはめになったのかのわかりやすい説明になっている。業の深い作品を描けるのは花輪自身がドロドロの業を抱えているからなんだなあと納得させられるわけである。

「刑務所の中」は大ヒットだったが、本来の花輪作品らしい、こちらは一般人には受けないだろう。でも、こっちのほうがずっと面白いと思う。私も業が深いのか。ただの悪趣味なのか。

・「失踪日記」 「刑務所の中」
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004916.html

・アイドルのウエストはなぜ58センチなのか―数のサブリミナル効果
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著者の調べによるとアイドル103人のウエストサイズ(プロフィールとして公開されたもの)を集計すると、58センチが突出して多い。前後の57センチと59センチはとても少ない。明らかにサイズ申告時に操作が行われたわけだが、日本人は基本的に8に好印象を持つことと関係があるようだ。スーパーの食料品も198円だとか298円のように8で終わる価格ばかりだ。米国では9.99ドルのように9が多いのに。日本人にとっての8の良さ、それは何か?

こうした数のサブリミナル効果を徹底的に研究した数詞の認知心理学的文化論。数詞のマーケティングに踊らせられたくない人、逆に人々を踊らせたい人にも役立つ知識満載。

・欧米人が円周率を暗記する方法は?
・スポーツの表彰台はなぜ三位までなの?
・ヤマタノオロチの首は本当は何本?
・「四捨五入して40歳」がショックな理由は?
・4択問題で「正解」が多いのは何番なの?
・「千の風になって」が「万の風になって」だったらヒットした?
・いちばん記念日の多い日は何月何日?
・「虹の色が7色」って世界の常識じゃないの?
・大相撲の土俵が女人禁制になった「奇数」な理由って?

勉強になった。子供のころからの疑問が氷解した。

いち に さん し ご ろく しち はち きゅう じゅうという数詞。4は「し」とも「よん」ともいう。7は「なな」とも「しち」ともいえる。このふたつの数字だけ呼び名が2種類あって不便だと思っていた。それに1,2,3とカウントアップするときはどちらの呼び方でもありなのに、カウントダウンするときは必ずじゅう きゅう はち 「なな」 ろく ご 「よん」 さん に いち になる。なぜなのか、という不思議だ。
和語と漢語が混在していることに原因があるのだがさらに追究していくと、和語数詞の音韻体系に隠された巧妙な数学的からくりが幾つも存在している事実がわかってくる。日本語の奥深さにうならされた。詳しく知りたい人は本書を読んでください。

ところで、かなり数字の認知心理を網羅したように思える本書にもない観点を私としては、持ち込んでみると、こういうのもあるよね。

2の乗数に過剰に反応する人がいる。IT業界系の人たちだ(含む私)。われわれは原則的に物事をビット的に考えるせいか、2,4,8,16,32,64,128,256,512,1024が大好きだ。普通の人たちにとっては100番や1000番が"キリ番"なのだけれど、われわれは128番や1024番も吉している。この文化はコンピュータあるところ世界共通のはずなので、地域に限定された「末広がりの8」や「不吉な13」なんかより、よっぽどユニバーサルな文化なのではないだろうか。整理番号が偶然64だったらニヤッとしちゃう人が世界中に何億人もいるはずなのである。

THE SECRET LIVES OF NUMBERSというサイトがある。Webの検索エンジンで1から10万までを順番に検索して、検索結果数をグラフ化したものだ。人間があらゆるシーンで使う数字の統計である。

・THE SECRET LIVES OF NUMBERS
http://turbulence.org/Works/nums/

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やはり1から10までの利用回数はダントツに多い。そして基本的には50、100、1000ようなキリのよい番号が高い山になっている。その間に12と24だとか、95、96、97、98、99まで(西暦の下二桁として利用か?)などの利用頻度の高い数字が散見される。2の乗数を確認してみると、全体の中で突出しているわけではないが、ほぼ確実に前後の数字よりも高くなっているのであった。
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・グランズウェル ソーシャルテクノロジーによる企業戦略
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「グランズウェルとは社会動向であり、人々がテクノロジーを使って、自分が必要としているものを企業などの伝統的組織ではなく、お互いから調達するようになっていることを指す。」

グランズウェル(大きなうねり)という言葉が浸透しておらずわかりにくいのだが、クラウドソーシング、ソーシャルテクノロジーの本。参考になる企業の成功事例が多数取り上げられている。いままさに旬な本である。

著者の二人はフォレスターリサーチのアナリスト。企業は社内外のコミュニティの力を借りる新しい経営手法を導入すべきだという内容の研究だ。B2C中心のイノベーションだったWeb2.0と比べて、経営手法としてとらえるならばROIを意識せざるを得ない。ケースのうちいくつかにおいてはそうした数字も計算されている。

米国Salesforce社はIdeaExchangeというコミュニティを立ち上げ、自社のWebサービスの改善アイデアを募った。初年度5000件のアイデアが投稿された。同社は顧客コミュニティ主導で、それらのアイデアを整理し、議論し、投票して、実装されるべき機能を絞り込んでいった。結果として2006年には2回だった新機能リリースが2007年に3回になり、2008年には4回になったという。一回の改善点もそれ以前の3倍になったそうだ。

一方、米国DELLはユーザーコミュニティに新サービスのアイデアを求めた。7000件のアイデアが投稿され、50万件以上の投票が行われた。「ウィンドウズではなく、Linux搭載のPCがほしい」という要望にこたえて、DELLは異例のスピードで2ヶ月後にLinuxPCを製品ラインナップに追加した。

ほかにも社内Wikiを活用して生産性向上に成功したインテルの事例や、コンサルティングノウハウをWikiで一般に公開することで、コンサルティング契約数を伸ばすことができたべリングポイントの例、10代女性を商品開発パートナーにつけたP&Gの例など次から次へと有名企業の事例のオンパレードで、アメリカは進んでいるなあと感心させられる。著者の事例の収集がうますぎるのかもしれないが...。

そしてこれらの成功事例から5つの戦略ノウハウが抽出されている。

1 耳を傾ける(傾聴戦略)
2 話をする(会話戦略)
3 活気づける(活性化戦略)
4 支援する(支援戦略)
5 統合する(統合戦略)

企業を取り巻く人々を、コミュニティに対するコミット度合によって、創造者、批評者、収集者、加入者、観察者、不参加者という分類をしている。そのレベルを引き上げていくにはどうしたらよいのか、抽象論ではなく、現場の担当者の声が聞けてわかりやすい。
要は企業が消費者や従業員をさまざまな活動にWeb2.0的テクノロジーを使って引き込むための仕組み作り集である。

経営企画の担当者は必読。おすすめ。

・究極版 逆引き頭引き日本語辞典 名詞と動詞で引く17万文例
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便利だと実感して使っている逸品の紹介。

動詞には名詞、名詞には動詞の組み合わせ例が見つかる文例辞典。

たとえば「趣味」という名詞でひくと、

「しゅみ【趣味】生かす。抱く。受け継ぐ。疑う。打ち明ける。重んじる。解する。超える。誇示する。探り出す。示す。高める。楽しむ。反映する。深める。【趣味と実益】兼ねる。」

という動詞が出てくる。「話し合う」という動詞でひくと、

「噂。思いつき。思い出。可能性。感想。境遇。近況。心。心の奥。事情。損害。手立て。とっちめ方。復縁。プラン。問題。話題。」

という名詞が出てくる。

これらの用例は文芸作品など300冊の文庫本で約350人の著者が実際に使ったもののうち、文章を書く上で参考になりそうなもの17万例を中心に編纂されている。

まえがきにはこの本の効能として、

・ピタッとする言葉を探す
・忘れていた言葉を思い出す
・使い方を確かめたり、別の適切な言い回しを探す
・似たような意味あいの言葉を探す

などが挙げられている。

私は普段、筆が止まってしまったときに、漠然と手遊び的にこの辞典をめくる。言葉のつながりが誘い水になって、また書き出せることがある。調べるというより、文章を書くテンポづくりに案外使える辞典だと思う。

・天才数学者はこう賭ける―誰も語らなかった株とギャンブルの話
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先週、日本の高名な数学者 伊藤清氏が亡くなった。株価などのランダムな動きを方程式であらわすことを可能にした確率微分方程式の考案者であった。毎日新聞の訃報にはこんな記述もあった。

・訃報:京大名誉教授・伊藤清さん死去 確率微分方程式創案
http://mainichi.jp/select/person/news/20081115k0000m040099000c.html

「この方程式を土台にデリバティブの理論を確立した米国の経済学者2人が97年、ノーベル経済学賞を受賞。伊藤さんは金融工学の分野で世界的な尊敬を集め「ウォール街で最も有名な日本人」と評されるようになった」

この米国の経済学者2人とは、本書の登場人物であり、ブラック-ショールズ方程式の考案者マイロン・ショールズとロバート・マートンのことだ。金融商品の価格決定メカニズムをモデル化した彼らの理論は、後の金融工学の発展に大きな影響を及ぼした。

ところが...。この2人は学者であると同時に投資家でもあった。自分たちの発明した理論で1000億ドルの投資ファンドを運用していたのだが、ノーベル賞受賞の翌年の1998年、アジア通貨危機やロシア財政危機のあおりで、巨額の損失を出して倒産してしまう。「取引同士の相関が高くなったときのパニックの可能性を過小評価していた」と本書では分析されている。

現実の株式市場は世界の頭脳をもってしてもまだ予測不能だったのだ。相場の必勝法は不可能だからこそ、多くの才能をひきつけるテーマだった。この本はそうした投資とギャンブルへの数学的挑戦の歴史を描いている。

投資理論も完成させた「情報学の父」クロード・シャノン、ブラックジャック必勝法発見で知られるエドワード・ソープなど、20世紀の天才数学者たちは、大学の外で投資事業を行っていたことでも知られる。自分のお金を張ったのだから、天才たちが本気であったことは確かだろう。

「シャノンは、ランダムウォークから稼ぎを得る方法を説明した。聴衆に向かって、価格が無作為に上下していて、上昇傾向も下落傾向も見られない株を考えるように求めた。資金のうち半分を株勘定に、残り半分を「現金」勘定に置く。毎日、その株の価格は変化する。毎日正午に、ポートフォリオを「調整」する。つまり、ポートフォリオ全体(株勘定と現金勘定)が、今、どれだけの値段かを計算して、株と現金とが元の五分五分の割合を回復するように、資産を株から現金へ移したり、その逆をしたりする。」

本書に登場する多くの数学者たちはシャノンと同様に、短期間で個別銘柄の値動きを正確に予測できるとは考えていない。株価はランダムウォークであることを前提としている。投資する個別銘柄は猿が選んでも熟練アナリストが選んでも将来のある時点での勝率は変わらない。たくさんの銘柄に投資すれば、成績は市場の平均リターンに収束していく。では、どうすれば勝てるのか?

ソープは「問題は『市場は効率的かどうか』ではなく、『市場はどの程度、非効率的か〔投資家のつけこめる余地がある〕か』、『そこにどうやってつけこむか』ということだった。」と考えた。ソープは投資商品の中から値動きは小さくても「ほとんど確実な取引」をみつけるのがうまかったようだ。そこに思い切った大金を投じた。つけこむ余地の発見にソープの頭脳は役立ったらしい。

この本には、何十もの投資理論が紹介されているのだが、実際に大きな利益を出したのは、意外にも長期保有のファンダメンタル投資であるように読める。シャノンが大きく儲けたポートフォリオが公開されているのだが、ヒューレットパッカードとかモトローラなど、時代の潮流に乗った企業を30年保有して売却したという内容なのだ。

「シャノンは「会社の経営やその会社の製品に対する将来の需要を評価して、今後数年の儲けの伸び方について外挿できること」を強調した。「株価は長期的には利益成長率に沿う動きをします」。値動きの勢いや変動の程度はほとんど気にしなかった。「鍵を握るデータは、私の見るところでは、株価がこの何日、何ヶ月でどう動いたかではなく、この数年で利益がどう変化したかです」。」

20年、30年後という将来に成長する産業と、その中心的プレイヤーになる会社を見極めて、一度投資したら動かさない。これはウォーレン・バフェット、ジョージ・ソロスなども似たような投資スタイルらしいから、今のところ判明しているベストな投資方法なのだろう。

株式投資の研究は「勝てば官軍」的なイメージが強いため、何が理論的に正しいのか、わかりにくい分野だ。世の中には科学的根拠を持たない怪しい投資本があふれている。そんな中で数学者たちの研究史という形で、厳密に情報を整理してくれる知的で面白い本だ。

・天才数学者、株にハマる 数字オンチのための投資の考え方
http://www.ringolab.com/note/daiya/2004/07/vewoaeneiissiilu.html

Wii Music

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・Wii Music
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ギターを弾くふりをして楽しむエアギターってありますが、Wii Musicはギターだけでなく、エアピアノ、エアトランペット、エアバイオリン、エアドラム、など60種類を超える楽器の"エア"演奏が楽しめるゲーム。

演奏スタイルは楽器系によって4種類あります。

ギター系楽器の場合は、Wiiリモコンにヌンチャクを装着して左手はギターのネックを持つフリ、右手は弦を弾くフリをするとジャカジャーンと音が出るわけです。トランペット系の場合はリモコンを笛を吹くように構えてボタンで2種類の音を出します。ピアノ系の場合は両手で鍵盤を弾くフリ、ドラムも叩くフリです。動きや傾きセンサーによって自分の演奏の姿勢がゲーム内の演奏者の動きに反映されるのが楽しいです。

どの楽器でも基本的にはリズムと強弱だけを考えていればよいです。ノリが勝負ということです。音程はリモコンを適当に動かしていれば自動で出てきます。自由に演奏できるモードと、ミュージッククリップを制作するモード、ミニゲーム(指揮、ハンドベルなど)のモードがあります。

点数を競うゲームというよりは、楽器の演奏を楽しむこと重視の姿勢が貫かれています。このソフトのメイン部分であるクリップ制作モードでは、演奏評価の点数は自分でつけるというところまで徹底されています。50曲の有名曲が演奏できますが、点数を競わないからアドリブをガンガン入れてかまわないのです。

このゲームの一番の楽しさは2人以上での合奏です。複数パートを異なる楽器で合わせてのバンド演奏気分が味わえます。これは子どもに、リードメロディ以外のパートが何をやっているか理解させるのに大いに役立ちそうです。

ミニゲーム内の指揮者モード(これは点数がつく)では、壮大な楽曲をオーケストラに演奏させる気分が最高です。このゲームのすべての操作の基本は指揮のタクトを振るのと同じだといえますが、指揮者というのは究極的にはエア"オーケストラ"奏者なんだとわかりました。

というわけで、せっせとミュージッククリップを制作して、演奏できる楽曲を順調に増やしています(半分はこどもがやっていますが...)。私はこれまで音ゲーってあまり好きではなかった(得意ではなかった)のですが、Wii Musicははまってしまいました。音楽好きの家庭にはすごいおすすめ。

・Wii Music 公式サイト
http://www.nintendo.co.jp/wii/r64j/index.html
映像をまじえて説明たっぷりのオフィシャルサイト。

最近ピアノに入門しています。毎晩15分だけの練習なので一向に進まず。エアじゃなくて弾けるようになりたい。

・震えてお知らせ バイブレーション機能付き カード型デジタルタイマー 「バイブカード」
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バイブレーション機能付きの小型タイマーをひとつ持っていると重宝する。アイデアを10分で10個出す、とか、30分と時間を決めてWebで情報探しをするとか、音を鳴らさないで密かなセルフマネジメントが容易になる。会社でも深夜の自宅でも使いやすい。

特にこの機種は小型で胸ポケットに入るため携帯も便利なのだ。携帯電話にも同様の機能があるかもしれないが、この10秒、1分、10分を一発で設定できる簡単インタフェースにはかなわない。アラーム機能もあるので必要であれば音も出せる。

私は通勤電車での読書ペースの確認によく使っている。1時間で100ページ読むと決めたら30分目にバイブレーターを設定しておく。不思議なことに途中で時間を意識するだけで自然と早く読めるものなのだ。

セミナーなどで講師として話すときの時間管理にも使える。残り時間5分前などで震えるようにしておくと焦らずに済む。動作音と振動は小さめなのでかなり静かな環境でなければ聴衆に気づかれにくい(胸にマイクを取り付けていたらまずいが。)。あるいは目の前に置いておくだけでも刻々と残り時間が表示されるので、ただの時計よりも直感的に参考になる。

・赤目四十八瀧心中未遂
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「十二年前、私は来る日も来る日も、阪神電車出屋敷近くの、ブリキの雨樋が錆びついた町で、焼鳥屋で使うモツ肉や鶏肉の串刺しをして、口を糊していた。東京での二年余の失業生活をふくめれば、漂流物のような生活に日を経るようになって六年目のことである。」

落ちぶれた男は大阪尼崎のオンボロアパートで朝から晩まで黙々と臓物を串に刺す。朝10時と夕方5時になると大きなビニール袋を持った無愛想な男が現れて出来た串を回収していく。一本いくらになるのかもわからぬ内職仕事だが、世を捨て隠れて生きるには格好の場所だった。

隣室からは夜中に人の出入りと男女のまぐわう声がする。向かいの部屋には刺青彫師が暮らしており、時折痛みをこらえる客の怒号やうめき声が聞こえる。なにもかもが胡散臭くて危険な感じがする。

インテリでありながら、社会の底辺へ転落することを敢えて選んだ主人公は、当初はドヤ街の世間に受け入れてもらえない。腐ったような臓物を黙々と串に刺す内職は、賽の河原で石を積む仕事にも似ている。ほとんど無意味で単調な労働だ。そんな仕事を放り投げない男を隣人達は訝しく思いながらも、興味を持って話し掛けてくるようになる。やばそうな仕事も頼まれる。そんなこんなで人と深く関わらずに生きるつもりが巻き込まれる。そして刺青彫師の女アヤちゃんと一夜の関係を持ったことから男の生活は決定的に一変していく。

この小説は少数の登場人物と狭い空間で物語が進んでいく。とにかくセリフがうまい。言葉遣いから人物像が立ち上がる。演劇みたいだなと思ったら、舞台化、映画化されたらしい。

平成10年度の直木賞受賞作。蟹工船に続くリバイバルとかどうだろ。

・奇跡のハイトーンボイストレーニング―プログラムCD付き 高い声を手に入れる
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現在の流行歌は1960年代と比較すると半音で6つもキーが上がっている。高音域の声はCM音楽やドラマBGMなどでよくきこえて有利という供給側の事情もあるらしい。携帯音楽プレイヤーが流行して、雑音の中でも聴き取りやすい音域でもあるからだろう。これは平井堅やMISIAのようなハイトーンボイスを出すためのヴォイストレーニング本である。

地声(オモテ声)で音程を高くしていくと、声が裏返ってしまうところがある。これを換声点を呼ぶそうである。この前後ではガラッと声の印象が変わるし、音程もはずれがちだ。この換声点を目立たなくして、ウラ声からオモテ声までが違和感なく、つながって歌えるようにするのが、このYUBAメソッドである。

「ウラ声が出ているときには、ノドの中で輪状甲状筋という筋肉が中心となって働いています。またオモテ声が出ているときには、閉鎖筋群という筋肉群が中心となって働いています。換声点では、これらウラ声とオモテ声を作る主役となる筋肉の働きが交代しています。」

トレーニングはまずウラ声とオモテ声をはっきり分けて出すことから始まる。両方でいろいろな高さの音を出せるようにする。両方で簡単なメロディを歌う。そして遂に、両方を行き来するメロディを挑戦し、混ぜて歌う完成形へ至る。

とはいっても、理屈だけでは難しい。そこで、この本にはわかりやすいレッスンCDが付属している。

付録CDには音域にあわせてそれぞれに7つのプログラムが収録されている。まずは最初のプログラム「あなたの音域はどれ?」を使って、男声・女声のどの音域なのかを確定させる。以後は該当する音域のプログラムのみを使う。

1セットは次の5種のレッスンで合計7分。

1 声の高さのチェック
2 ウラ声を出す
3 ウラ声とオモテ声を出し分ける
4 ウラ声とオモテ声を混ぜる
5 メロディーを歌う。

ウラ声で高い音程を取るのはかなり難しい。レッスンでは、わざと離れた音程が選ばれていたりするからなおさらだ。これを毎日少しずつということだが、なかなかこれだけのために時間が取れない。レッスンメロディは覚えてしまって、お風呂で練習すると良さそうである。

最近、徳永英明をカラオケで歌いたいものよ、と思っていて密かに練習中(って書いちゃったら全然密かじゃないですけど)。この練習方法は理論的に説得力があるし、レッスンに無理がないので、効果があるかも。

・VOCALIST & SONGS ~通算1000回メモリアル・ライヴ (Blu-ray Disc)
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Blue-rayで初めて買ったのはなぜかこれでした。雪の華の最高音部の歌唱法がCDと違うのが印象的でした。ライブではさすがにあのファルセットで歌いきるのは徳永でも無理だったか?。

<収録内容>
1ハナミズキ
2桃色吐息
3恋人よ
4いい日旅立ち
5別れのブルース
6恋におちて-fall in love-
7僕のそばに
8最後の言い訳
9迷い道
10わかれうた
11ENDLESS LOVE
12レイニー ブルー
13壊れかけのRadio
14オリビアを聴きながら
15雪の華
16翼をください
17もう一度あの日のように

正直書評。

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・正直書評。
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2004年から2008年までの日本文学・海外文学を中心とした書評集。

この秋に最高に楽しかったイベントはデジハリ大学の学園祭だ。「本のプロが語る、クリエイターのための読書術セミナー」というパネルディスカッションに出演した。そこで『文学賞メッタ斬り!』などで有名な書評家 豊﨑由美さんに、とうとうお会いできたことが感激であった。

・豊崎さんのBlog : 書評王の島
http://d.hatena.ne.jp/bookreviewking/

豊崎さんの歯に衣着せぬメッタ斬り書評を、私はずっと小説を読む際の参考にしてきた。だが、豊崎さんの書評本について書評を書くなどという危険な行為は避けていた。今回びびりながら書くわけだが(先方もブログをやっていらっしゃる...ゾゾゾ)、実物は想像通り、キレのある発言連発のかっこいい人であった。

当日、控室で対面するまではワクワクと同時にガクガクブルブルしていたのである。もともと私は強い女性に弱いので...、いやいや、今回はそういう性格的なことではなくて、トヨザキ社長の名前で私が強烈に連想するのが「ガター&スタンプ」だからである。トヨザキ社長が連載コラムの中で堕落した書評を表す言葉として使った言葉だ。

「ガター&スタンプ」はヴァージニア・ウルフの批評文にでてくる。「書評家は要約を抜き取り(ガター)、可の場合は*、不可の場合は別の印を押す(スタンプ)程度の仕事でもしてりゃあいいんじゃないの」という意味である。

そう。書評家の仕事というのは「要約+評価」という最低レベルからどれだけ上を目指すかという勝負なのだ。私のブログの記事は「ガター&スタンプ」に堕ちているものが多いと自覚している。書評を味わって読んでもらうというよりは、良い本との出会いを演出するナビゲーターとして、機能的に働きたいという思いもあって、ほどほどにしているんだという言い訳も、そこにはあるのだれども。

ブログを書くたびにトヨサキ社長の脳内アバターに「ほら、オマエ、またガター&スタンプを量産するな」と責め立てられている気分なのだ。

本書「正直書評。」の評価基準は3つ。

金の斧 親を質に入れても買って読め!
銀の斧 図書館で借りられたら読めばー?
鉄の斧 ブックオフで100円で売っていても読むべからず?!

面白い本はベタ褒め、つまらぬ本はメッタ斬りという、いつもの姿勢は本書でも変わらない。巻末袋とじ部では6ページも使ってあの有名な大物作家を殺気満々にぶったぎっている。レベルの低い作品を容赦なく吊るしあげるが、毒舌の背後には、伸びてほしい作家への愛が感じられるのがトヨザキ節。だから読んでいて楽しい。

この本の評価を定量的に見てみると、意外な事実もわかった。この本には100冊の紹介があるのだが実は「鉄」は15冊くらいにすぎない。「銀」もほとんどない。圧倒的に「金」が多いのである。メディアでの印象に反してトヨザキ社長は辛口の批評家ではなくて、実は大甘な批評家だったのである。

ちなみに私とトヨザキ社長の小説作品の好みは類似度70%くらいだと思う。見識は3倍くらいあちらのほうが上である。よって、このブログの読者の皆さんにおすすめである。とりあえず、これから読む本が「金」かどうか(そもそもリストアップされているかどうか)確認してから読むと失敗が減らせるはずと思う。

・オオカミ少女はいなかった 心理学の神話をめぐる冒険
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学術的には否定されているのに既成事実として何度もよみがえる心理学の話や考え方を叩き割る。

第一章のオオカミに育てられた少女アマラとカマラの話は作り話だったという事実に驚かされた。この事件は幼児期の大切さを説く材料として日本の小学校の道徳や高校の倫理の教科書にも使われてきた。私も学校で聞いた記憶がある。

アマラとカマラについては、発見者らによって詳細な観察日誌(和訳も出版されている)や写真が大量に残されている。二人の少女らしき人物がいたことは事実のようなのだが、オオカミに育てられた、だとか、保護された後の生育状況などは真っ赤な嘘らしい。著者は専門家ならばすぐに見破れる大きな矛盾を幾つも指摘している。ところが、当時、資料を真に受けた発達心理学者の大物がアメリカに紹介したために、マスメディアが大きく取り上げて、世界中が本当の話だと信じ込んでしまった。著者は真実の経緯を明らかにしていく。

そして、映画にサブリミナル画像を挿入したらコカコーラの売り上げが倍増したという実験も嘘だという話。この話が虚偽だったことは専門家では常識になったが、一般向けビジネス書やマーケティングのセミナーなどでいまだに、まことしかやかに引用される。1956年、実験期間は2週間、映画館で、5秒に一回3000分の1秒のメッセージ画像を挿入した、映画館の入場者数4万5699人、ポップコーンの売上げ57.5%増、コーラの売上げ18.1%増などという数字も出てきて信憑性を高めている。

だが、実際にはそんな実験は行われていないのだ。専門家らは仮に本当にそうした実験をしたとしても効果があるとは考えられないとも述べている。まず3000分の1秒では光量が少なすぎて、人間の眼が物理的に見ることができないそうだ。しかし、この嘘の実験結果に影響されてか、日本や米国ではテレビ局がサブリミナル映像を放映することを禁止している。

「根本的なところでは、人間が新しいもの・珍しいものが好きで、なんにでも原因(因果関係)を見たがり、説明をほしがるといったことがある。また、これまで社会心理学の分野で明らかにされてきた、確証バイアス、同調、ハロー効果、権威への服従、認知的不協和、被暗示性、先入観なども、説明の重要な要素として使えるだろう。記憶や思考の分野で研究されてきた、記憶の変容のメカニズム、情報源の取り違え、確率の判断の誤りなども、大きく関わっているだろう。」

心理学の実験結果というのは、私たちが日常会話のネタにしやすいものだから、ということもあるだろう。物理や化学の実験よりも、心理学の実験は素人でも理解しやすく、尾ひれをつけやすいのだ、と思う。

この本には、オオカミ少女とサブリミナルのほか、言語と虹の色の数の関係、双生児の研究、なぜ母親は左胸で抱くか、プラナリアの学習実験、恐怖条件づけとワトソンの育児書など、どこかで聞いた話が次々に出てくる。意識的にあるいは無意識に実験者が結果を作り出してしまう事例の研究書だ。読み物としても面白い。

・心は実験できるか―20世紀心理学実験物語
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/003773.html

・ 「心理テスト」はウソでした。 受けたみんなが馬鹿を見た
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/003417.html

日本の色辞典

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・日本の色辞典
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まず色見本の美しさに感動する。歴史や文化の背景を綴った個別の解説も充実している。
「三百七十九色のうち、本文で解説した二百九色の伝統色については、一部をのぞき、すべて天然の染料で絹布を染め、もしくは天然の顔料(岩絵の具)を和紙に塗って再現した色見本を付した。」

と、注でさらっと書かれているが、大変な手間暇をかけて丁寧に作られた出版物だ。本来の色を再現するため「延喜式」の資料までさかのぼり、染色材料の処方を調べ尽くした上で作られている。書籍の限界に挑戦している。

日本の伝統色は布や和紙に使われテクスチャの質感を伴ってこそ美しいのだ。写真ベースの色見本はこれだけで鑑賞に値する。伝統色は決してRGBのような単純な情報に還元できないことを思い知らされる。なかには女郎花色(おみなえしいろ)のように、薄い藍色と黄色の色糸を緯と経に織りなした布の襲でしか再現できないパターンもある。

赤、紫、青、緑、黄、茶、黒・白、金・銀の8グループに466色が分類されている。たとえば赤グループは、

【赤】 代赭色、茜色、緋、唐紅、今様色、一斤染、朱華、赤香色、赤朽葉、蘇芳色、黄櫨染、臙脂色、猩々色など104色。

冠位十二階で最高位の深紫、黒紫を含む紫グループは、

【紫】深紫、帝王紫、京紫、紫鈍、藤色、江戸紫、滅紫、杜若色、棟色、葡萄色、紫苑色、二藍、似紫、茄子紺など46色

などがある。(数の上では茶色(107色)が多い。)

古典文学や風雅な世界で使われる色名が、実際にはどんなに美しい色なのかがよくわかる。色見本にならべて、その色が主体の文物や風景、代表的な芸術作品もカラー写真で収録されているからイメージしやすい。

読み物部分が充実しているため、実用のリファレンスというだけでなく、鑑賞して楽しむ図鑑として、一家に一冊あってよさそう。日本図書協会選定図書。

・重複ファイルを高速に検出して削除する Undup
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ハードディスクから重複したファイルを探すソフトウェア。何度も同じカメラから取り込んでダブりだらけになった写真フォルダだとか、テンプレートを使い回した結果「契約書.doc」だらけになった仕事フォルダとかの整理に向いている。

「内容を完全に比較して重複をチェックしていますので、名前や日付が異っていても検出する事が可能」というのが特徴。ファイル名が違っても中身が違えば同一とは見なさない。賢いのだ。

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検出したファイルの削除処理もスムーズに行える。リスト上でチェックを入れたファイルだけを消すというのはもちろん可能だが、他に特定のフォルダにあるファイルだけ、あるいは逆にそれ以外のフォルダにあるファイルを全て選択して削除することが可能。ふたつのフォルダの相違をリストアップする機能やコマンドラインからの実行機能などもある。

・タクシーウォーカー
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歩いた距離をタクシー料金で換算するといくらになるか?で表示する、現金主義でわかりやすい歩数計。利用開始時にまず体重と歩幅を設定する。この数値で距離と消費カロリーが計算される仕組み。

料金表示は、最初の2キロメートルが初乗り料金(初期設定710円、変更可能)で、以降は280メートルごとに90円が加算される。メーターがあがる瞬間に音が鳴るのが面白い。タクシーの料金体系を体感学習できる。

ゲーム要素として、時速5キロメートルを超える速度で歩くと高速割増モードになり料金の加算が2割増しになる。続けて20分以上歩くと長距離割増モードになって料金加算が3割増になるという特別ツールがある。

・歩数表示機能
・料金表示機能
・消費カロリー表示機能
・7日間分のメモリー機能
・時計表示機能

などの表示モードを持つ。普通の歩数計としても使える。

実際に使ってみると初乗り料金達成までが結構長い。2キロは歩幅50センチで4000歩である。それを超えると頻繁に音が鳴るので楽しくなる。ちなみに平成9年度国民栄養調査によると日本人が1日に歩く歩数の平均は、男性8202歩、女性7282歩だそうだ。初乗り2回分くらい歩いているわけか。

ちょっと遠いな、タクシー乗ろうかな、歩こうかなと悩んだときに、これを持っていると自然に歩く方を選びやすくなる。健康と財布によいな、これ。

・いやな気分の整理学―論理療法のすすめ
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心理セラピー手法のひとつ「論理療法」の入門書。

私たちは日常、いやな気分を活性化するイベント(Activating Event) があって結果(Consequence)があると考えがちだ。たとえば、出来事A(失敗・陰口) → 結果C(落ち込み・腹立ち)ということがあると、落ち込みの原因は失敗や陰口のせいだと思いこむ。この思考では原因となる出来事を変えないと結果が変えられない。現実生活ではそれは難しいことが多いから悩むわけだ。

論理療法のABC理論では、この関係を見直す。AとCの間にB(Belief)を挟む。

出来事A → 考え・ビリーフB → 結果としての感情C

「よくない出来事と感情の間に、その出来事に対する受け止め方・考え方というものがあり、それが感情的な反応の違いを生み出している」というとらえ方に変える。だから、自分を落ち込みやすい困った性格から、強くて穏やかな性格に変えれば、いやな気分にはまらなくてすむと考える。

論理療法の創始者エリスは「ねばならない」「であるべきだ」「であってあならない」「はずがない」という非合理な思い込み(イラショナル・ビリーフ)が、不健康な否定的感情につながると指摘している。「絶対にうまくやらねばならない」、「私の人生は完璧であるべきだ」、「こんな不公平があってはならない」という思い込みが、いやな出来事Aをいやな気分に変換してしまうことが問題だとする。

そこで、論理的な対話型セラピーによって、イラショナル・ビリーフを解消していくのが、論理療法である。たとえば「私はまったく無力です」という人には「歩いてここまで来られたのですから、歩行能力があるんですよね?」に始まって、ご飯を食べたのだから咀嚼力も消化力もあるし、目が見えているから視力もあるじゃないですかという風に反論していく。

「人間の心はとてもおもしろいもので、「自分は無力だ」と考えると、無力感が襲ってきます。「微力だとしても、力はある」と考えると、少し力が涌いてきます。そしてよけいな「微」ということばは省略して、「私には力がある!」と言い聞かせると、ふしぎなことに元気が出てきます。」

論理療法には、フロイドやユングの心理学のような無意識・潜在意識の話が出てこない。思い込みの内容を意識して言葉として表出させて、論理的な説得を繰り返すことで、感情の自己コントロールが可能な性格に変えようとする。ポジティブ・シンキングに似ているが、こちらはすべての負の感情を除去しようとするものではない。

以下のような否定的な感情と健康的な感情のリストが掲載されていた。

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このうち否定的な感情を取り除いた上で、ポジティブシンキングを取り入れる下地作りをするのがこの心理療法らしい。実際の対話例(ひとりでもできる)がいっぱい掲載されているが、どれも論理的な道筋をたどっていくと、ポジティブに考えることが自分にとって最善の道であるということが、ロジックとして明確になる。

本当にうつの人をこの療法で治せるかはわからないが、ちょっといやな気分になった自分を、どう自身で励ますべきか、わかりやすい考え方を教えてもらった気がする。

異常快楽殺人

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・異常快楽殺人
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親友とメールをしていると、本の話になり「平山夢明の「異常快楽殺人」というドキュメンタリーは、ありとあらゆるホラーを凌駕する名作です。彼女はあまりのこわさに本当に泣き出してしまいました。それ以来その作家の名前を口にすると本気になって怒ります。そのぐらいこわいです。」という。

いや、でもさ、そりゃいくらなんでも大げさだろうよ、悲しい内容で泣くことはあっても、大人が怖くて泣くなんてあるかね、文章だろ?というのが素直な私の感想だった。

「昼はピエロに扮装して子供たちを喜ばせながら、夜は少年を次々に襲う青年実業家。殺した中年女性の人体を弄び、厳しかった母への愛憎を募らせる男。抑えがたい欲望のままに360人を殺し、現在厳戒棟の中で神に祈り続ける死刑囚...。無意識の深淵を覗き込み、果てることない欲望を膨らませ、永遠に満たされぬままその闇に飲み込まれてしまった男たち。実在の大量殺人者七人の究極の欲望を暴き、その姿を通して人間の精神に刻み込まれた禁断の領域を探った、衝撃のノンフィクション。」アマゾンの説明より。

読んでみた。

結論。ああ、これじゃあ確かに泣くかも。

あとがきにこの作品に関わった編集者達が情緒不安定になったり体調を崩したりしたと書かれている。これは十分にありえる話だ。著者曰く「もしも、ごく短期間に、この物語のなかに突入し無事に帰還、現在に至るも何の変調もきたさないとするなら、あなたの精神は自覚しているいないにかかわらず、相当のものであるといえる。」とあとがきで読者に警告している。

もともと平山夢明はホラーの名手であり、特に人を切り刻んだりする凄惨な修羅場をリアルに描くことを得意とする作家だ。これは、こんな筆力を持った作家が書いてはいけないテーマだっ。事件の再現描写に臨場感がありすぎて怖すぎるのだ。衝撃のノンフィクションという、うたい文句に偽りはない。

一人で何百人も殺した大量殺人鬼たちの人物像と事件の克明な描写が7本。背筋凍る。

映像より怖い文章を読んでみたい人向け。

・独白するユニバーサル横メルカトル
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004775.html
「日本推理作家協会賞を受賞した表題作含めて、最初から最後まで、人肉を喰らったり、切り刻んだり、拷問したり、洗脳したり、虐殺したりされたりの短編が8本。死体や血しぶきが飛ばない作品は収録されていないので、グロテスク、スプラッター大嫌いの人は手にとってはいけない。人間のあらゆる狂気の濃縮ジュースみたいな内容である。」

・治療をためらうあなたは 案外正しい EBMに学ぶ医者にかかる決断、かからない決断
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統計的に分析すると、病気の治療や検診は受けなくても結果にたいした差はないことが多いというショッキングな内容。医学教育の専門家がEvidence-Based Medicine(根拠に基づく医療)という新しい医療の考え方で書いている。

まず数字の見方を教えられる。脳卒中の高血圧を抑える薬の効果は次のように表記できる。実は全部同じ事実を述べているわけだが印象がずいぶん変わる。私たちは医者の説明によって医療や薬の効果を過大評価(あるいは過小評価)しているかもしれない可能性に気づかされる。

・10%の脳卒中を6%に減らす
・40%脳卒中を減らす(相対危険減少でみた場合)
・4%脳卒中を減らす(絶対危険減少でみた場合)
・25人治療すると1人脳卒中を予防できる(治療必要数でみた場合)
・薬を飲んでも6%が脳卒中になる
・薬を飲まなくても90%は脳卒中にならない

EBMは徹底的に事実と数字から医療の効果を検証する。取り上げられた病気は、高血圧、高コレステロール血症、風邪、腰痛、糖尿病、風邪、インフルエンザ、花粉症、アトピー性皮膚炎、ぜんそく、胃潰瘍、虫垂炎、ガン検診、うつ病。どの病気でも、治療や検診の効果を疑問視せざるをえない、もうひとつの合理的な見方が提示される。

たとえば乳ガン検診は1039人が検診を受けると1人ガン死亡を減らすという結果が出ている。この数字はかなり小さい。検診群と非検診群での乳ガン死亡率は、50歳未満なら共に0.3%、50歳以上でも共に0.5%と、検診・非検診で"ほぼ同じ"である。

集団検診は少ない数字とはいえ母数に比例して確実に死亡数を減らせるので、実施側はやる意義がある事業だが、個人にとっては、ガン検診はほとんど効果がないのだともいえてしまう(逆にレントゲン検査がガンを増やしているという研究さえある)。受けなくても、よほど運が悪くない限り、9割9分5厘まで、死ぬことはないのだから。非検診グループで大腸ガンで死亡しない率=99.41%という数字もある。

「集団検診の目的は、正確に言うと個人個人のガン予防のためでなく、集団としてのガン死亡率を減らすことなのです。」と著者は結論する。

早期発見にデメリットもあるという。考えさせられたのは、著者が持ち出した老人のガンの話だ。

65歳で検診を受けて胃を切除したグループは「検診のおかげで10年経った今も元気だ」と考えている。一方、検診を受けずガンであることを知らず過ごしたグループも「私はこの10年元気だった」と考えている。数字的には早期ガン患者が5年後にも早期のままである確率は36%と意外に高いので、後者グループの生存者は結構多いのだ。

苦しい治療と再発の危険に怯えながら再検査を繰り返す前者のグループと比べて、完全な胃のある状態で5年を過ごした後者のグループの方が幸せな人生だったのではないかと、著者は読者に問いかける。治療や検診にかかる時間や費用のコストも両者の生活の質に影響するはずである。

統計的には病気を「放っておく」のは案外、賢い個人の選択肢である、ということがいえる。健康に異常に気をつかいストレスを溜め込んでしまう人と比べて、検診や治療を受けない人というのは、それほど愚かな決定をしているわけではないのだ。

でも、私は検診や治療を受け続けるだろうなあとも思った。人間は合理的ではないからだ。確かに統計的には深刻な病気になる人は少数なのだが、それが私ではないとは誰にも言えない。1000人に1人救われる人になる可能性があるのなら、後悔しないために治療や検診を受けるという選択肢も、それほど愚かな選択ではないだろう。

・アラブの大富豪
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元アラビア石油駐在員でJETROサウジアラビア事務所長などを歴任したアラビアの専門家が書いた「アラブの大富豪」の実態解明本。わかりやすく情報が整理されていて、大変面白かった。

・アラビア半島定点観測 - 半島各国の社会経済及び支配王家に関する動向分析
http://ocin-japan.blog.drecom.jp/
この本の著者のサイト。

まだ多くの日本人が率直に答えるなら「アラブの大富豪」という言葉で連想するのはピンクレディーだろう(30代以上限定)。ヒット曲「ウォンテッド」に"ある時謎の運転手 ある時アラブの大富豪、ある時ニヒルな渡り鳥"という歌詞があった。80年代にはダイアナ妃がアラブの大富豪と一緒に死んだ事件もあったが、日本人の大半にとってこの言葉は得体の知れない大金持ちという記号でしかなかった。

記号を具体的な顔として見せてくれるのがこの本だ。

中東には世界の石油と天然ガスの半分=1兆2000億バレルが眠っている。日本の年間石油消費量は約20億バレル。その価値は1バレル当たり100ドル、1ドル110円で計算すると1京3000兆円にもなる。この巨額のオイルマネーは欧米企業の買収や不動産投資に当てられているという。

「その使い方は各国それぞれに異なる。米国を牽制する手段に使おうとしているのがイランであり、サウジアラビアもそれに近い。これに対してカタルやクウェイトはそれを米国に差し出すことによって自国の安全保障を確保しようとしている。そしてドバイは、それを利用して世界経済そのものの中で羽ばたこうとしている。」

しかし、こうしたアラブ産油国のマネーの実態はまだベールに包まれている。アラブ経済の主要プレイヤーが存在するサウジやドバイ、ヨルダンの企業は、情報開示義務を持たない非公開の王族系同族会社ばかりだからだ。

サウジアラビアの創始者アブドルアジズは36人の子供を作った。その子供が254人に増え、現在は孫の代でその数は1000人を超えるそうだ。この王子達が国家と国営企業の運営者となっている。故に現代アラブの政商は為政者自身であり、王族の財布=国家の財布という実態が明かされる。

オイルマネーを理解するには、経済合理性よりも、歴史や文化の深い理解が必要のようだ。この本では前半にサウジ、ヨルダン、ドバイの歴史と王族達の親戚関係の情報整理がある。そして大富豪で権力者である華麗な王族リーダー達のプロフィールが顔写真も交えて紹介されている。アラブの大富豪を覆う秘密のベールが少し薄くなった気がする。

今後のアラブマネーの動向を考える上で参考になる入門書だと思った。

・住んでみたサウジアラビア アラビア人との愉快なふれ合い
http://www.ringolab.com/note/daiya/2004/07/post-109.html

・Phun
http://www.phun.jp/
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これは子供にとって夢のようなお絵かきソフト。Physics(物理)とFun(楽しむ)に由来したネーミング。

ペンで円や四角や自由な図形を描くと、2次元の平面上に実体化する。そこには重力が働いているので図形は自由落下して画面から消えてしまう。そこで地面をつくる。動かない部品Planeを用意して下に敷くと、図形の落下はそこでいったん止まる。

地面を傾けておけば円は低いほうへころころころがっていく。四角なら転がらない。摩擦係数も再現されているのだ。上で次々に図形を描くと、落下した図形が積み木のように積み重なって、やがてバランスを失ってくずれていく。

手で動かなくなった図形を放り投げたり、振り回したりすると、他の図形とぶつかって思わぬ動きが楽しめる。とても爽快。フリーハンドで描いた絵が動き出すというソフトはこれまでも多数あったが、このソフトは軽快で本物っぽく動くのがすばらしい。

チェーンやスプリングのような仕掛けも用意されている。うまく組み合わせると動力のように使える。物理的な係数を変更することもできる。ヒンジは二つのオブジェクトを間接としてつなぐパーツだ。これを使うと生き物のような形をつくれる。


・クレヨンの落書きで物理シミュレーションゲームを楽しむ Crayon Physics
http://www.ringolab.com/note/daiya/2008/05/-crayon-physics.html

iPodやiTunesには歌詞表示機能があるけれど、CDから音楽を取り込んでも歌詞は出ない。歌詞を提供するサービスがいくつかあるが、いちいち検索するのが面倒である。Lyrics Masterは歌詞データを、そうしたサイトからダウンロードし歌詞データとして設定する作業を簡単にするフリーソフト。

・Lyrics Master
http://www.kenichimaehashi.com/lyricsmaster/
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iTunes連携モードにしておくと、iPodで再生中の楽曲データが検索欄に自動入力される。歌い出しで検索することもできる。正しい歌詞が表示されたら「適用」ボタンをクリックして、iTunesでの設定が完了する。

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ダウンロードした歌詞データはテキストファイルとして保存したり、印刷することができる。カラオケ対策としてもばっちり。

・Expressions
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最近、iPodで聴いている竹内まりやのベストアルバム。デビュー30周年の集大成。ヒットした曲は全部入りの3枚組。竹内まりやの歌ってメロディは軽快なのに、歌詞をみると、不倫や失恋の歌が多いことに気がつく。

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