2008年12月アーカイブ

・Web担当者 現場のノウハウ SEOスペシャル 2009 冬号
51IuSQuKXmL__SL500_AA240_.jpg

今年はインプレスのWeb担当者Forum忘年会に参加してきた。私はこの編集部に雑誌「Web担当者 現場のノウハウ」創刊時から連載ライターとして参加している。会では長年のおつきあいのあるマクニカの鈴木さん(Webマーケティングの専門家)とツーショット。ネット業界の古株勢揃いみたいなイベントだった。久しぶりにこういう場所に行くと自分にとっての古巣な気がして安心する。

・Web担忘年会へのご参加ありがとうございました
http://web-tan.forum.impressrd.jp/e/2008/12/15/4668

この編集部が久々にムックとして発売した最新刊がこの「Web担当者 現場のノウハウ SEOスペシャル 2009 冬号」である。日米のSEOプロ60名以上が評価するYahoo!とGoogleで上位表示するための57個の要因が大変に役立つ。アクセス解析ツールの選び方&19製品徹底比較というのも勉強になる。

なお私はWeb担当者ForumのWebサイトで2年以上「橋本大也の帰ってきた"アクセス向上委員会」という連載をしている。Webマーケティングがテーマで今年は4本書いたのでここで紹介させていただく。

・#012 ~ソーシャルネットワーク第3勢力の逆襲
http://web-tan.forum.impressrd.jp/e/2008/12/26/4528

PCならmixi、携帯ならモバゲータウン、アバターならGREE。ソーシャルネットワークサービス(SNS)の覇権争いは終わっていたかと思いきや、ソーシャルネットワークの世界では第3勢力の逆襲が始まっている。この1年間で急速にユーザー数を伸ばした新手のSNSがいくつもあるのだ。

・#011 ~健全なポップアップツールで行動履歴分析
http://web-tan.forum.impressrd.jp/e/2008/05/22/3103

今回は、ユーザー行動に反応して役立つ情報をオンデマンドに表示するポップアップアプリを紹介する。これらのアプリは、ユーザーからみると単なる便利ツールだが、サイト側からみるとアクセス向上ツールでもある。ブラウザ上でのアテンション獲得競争は熾烈だが、背後のデスクトップは、まだ未開拓の領域だと思う。

・#010 ~昭和30年代を代表に年代セグメントが再燃
http://web-tan.forum.impressrd.jp/e/2008/04/02/2842

年代別にインターネットユーザーをターゲティングする考え方は、近年再び注目されている。インターネットの普及に伴って各年代層の利用者分母がそろってきたことや、ユーザーデータからプロファイルを分析する技術が発達してきたことなどが背景にある。

・#009 ~「診断系」のツボ
http://web-tan.forum.impressrd.jp/e/2008/01/23/2509

「診断系」というのが、今年もいけると思うのである。診断系というのは私の勝手な呼び方だが、2006年に流行した「成分解析」、2007年に流行した「脳内メーカー」のように、自分に関するデータをほんの少し入れると、個別の診断結果が返ってくるようなサービスである。

今年このブログの紹介記事を経由してAmazonで販売された本の売り上げ冊数ランキングです。今年は意外な本が1位になりました。

・2007年度 書籍売り上げランキング ベスト20
http://www.ringolab.com/note/daiya/2007/12/200720.html

・2006年度 書籍売り上げ ベスト20
http://www.ringolab.com/note/daiya/2007/01/200620.html

・2005年度 書籍売り上げランキング ベスト20
http://www.ringolab.com/note/daiya/2005/12/200520.html

・2005年度 書籍売り上げランキング ベスト20
http://www.ringolab.com/note/daiya/2004/12/6-1.html


■1位 科学する麻雀
http://www.ringolab.com/note/daiya/2008/05/post-758.html

・科学する麻雀

41T32FJA6YL__SL500_AA240_.jpg

もし私が麻雀現役だった学生時代にこの本を読んでいたら、こういう紹介文章なんて絶対に書かないで、知識を独り占めにしていたと思う。この本を読む前と後では、麻雀の強さが数パーセントは確実にアップしたんじゃないかと感じている。必勝法が書いてあるわけではないのだが、科学的に正しい情報を得て配牌に迷いがなくなるから、確実に余裕が生まれる。

■2位 迷惑な進化―病気の遺伝子はどこから来たのか
http://www.ringolab.com/note/daiya/2008/05/post-759.html

・迷惑な進化―病気の遺伝子はどこから来たのか

51U2eKQgC9L__SL500_AA240_.jpg


これは抜群に面白い。ガンや糖尿病など遺伝が関係する病気は数多い。なぜ人類は進化の過程でこうした病気をなくすことができなかったのか。進化とは有害な遺伝子を淘汰して、役に立つ遺伝子だけを残すという取捨選択のプロセスではなかったのか?。気鋭の進化医学者が進化の仕組みについての最新の科学的見解を披露する。

■3位 人生を決めた15分
http://www.ringolab.com/note/daiya/2008/06/15-110000.html

・人生を決めた15分 創造の1/10000

41f1qmEbYxL__SL500_AA240_.jpg


「カーデザイン業界で、世界中でたった1人、僕だけが達成したことがある。それは世界の3大スポーツカーと言われるコルベット、ポルシェ、フェラーリのすべてをデザインしたことだ。これは前例がなく、以降も例はない。」という世界レベルのプロフェッショナル奥山清行氏の仕事術。全ページカラーで見開きに奥山氏が仕事で描きためたスケッチが半分、本文が半分という構成。

■4位 人はカネで9割動く
http://www.ringolab.com/note/daiya/2007/12/9-3.html

・人はカネで9割動く

41qbO4CuIFL_AA240_.jpg

身もフタもなく、いやらしい、実践的な処世術の本。「「金の価値」は、それをつかう人間の全人格ーいや演出によって何倍もの価値を生めば、捨て金にもなる」というのが著者の持論である。

■5位 いやな気分の整理学―論理療法のすすめ
http://www.ringolab.com/note/daiya/2008/11/post-775.html

・いやな気分の整理学―論理療法のすすめ

iyanakibunnnoseirigaku.jpg

心理セラピー手法のひとつ「論理療法」の入門書。私たちは日常、いやな気分を活性化するイベント(Activating Event) があって結果(Consequence)があると考えがちだ。たとえば、出来事A(失敗・陰口) → 結果C(落ち込み・腹立ち)ということがあると、落ち込みの原因は失敗や陰口のせいだと思いこむ。この思考では原因となる出来事を変えないと結果が変えられない。現実生活ではそれは難しいことが多いから悩むわけだ。

■6位 戦争における「人殺し」の心理学
http://www.ringolab.com/note/daiya/2006/03/post-365.html

・戦争における「人殺し」の心理学

4480088598.09._OU09_PE0_SCMZZZZZZZ_.jpg

こんなテーマだが、読む価値がある素晴らしい本である。著者のデーヴ・グロスマンの経歴。米国陸軍に23年間奉職。陸軍中佐。レンジャー部隊・落下傘部隊資格取得。ウエスト・ポイント陸軍士官学校心理学・軍事社会学教授、アーカンソー州立大学軍事学教授を歴任。98年に退役後、Killology Research Groupを主宰、研究執辞活動に入る。『戦争における「人殺し」の心理学』で、ピューリツァー賞候補にノミネート。」この本は米軍学校で教科書として使われている。

■7位 究極版 逆引き頭引き日本語辞典―名詞と動詞で引く17万文例
http://www.ringolab.com/note/daiya/2008/11/17.html

・究極版 逆引き頭引き日本語辞典 名詞と動詞で引く17万文例

kodanshagyakubikiatamabikijiten01.gif

便利だと実感して使っている逸品の紹介。動詞には名詞、名詞には動詞の組み合わせ例が見つかる文例辞典。

■8位 予想どおりに不合理―行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」
http://www.ringolab.com/note/daiya/2008/12/post-891.html

・予想どおりに不合理

51FA5QzV-HL__SL500_AA240_.jpg


面白い。人間は伝統的な経済学の理論ほど合理的な決断をしていない。だがその不合理な行動は十分に系統だって予想可能なものである。それが「予想どおりに不合理」というタイトルの意味である。消費者行動を操る心理学。

■9位 戦場の生存術
http://www.ringolab.com/note/daiya/2008/05/post-757.html

・戦場の生存術

senjonoseizonjutu01.jpg

1942年生まれ、1961年慶応大学在学中に傭兵部隊の一員としてコンゴ動乱に参加、その後、フランス外人部隊教官を経て、アメリカ陸軍特殊部隊に加わる、というプロフィールの日本人傭兵が書いた、正真正銘のサバイバル術。そんじょそこらの趣味的サバイバル本とはレベルが違う。

■10位 空中スキップ
http://www.ringolab.com/note/daiya/2008/02/xflfbfv.html

・空中スキップ

51to6IdAw6L__AA240_.jpg


空中スキップの原題は「Flying Leap」。飛びながら跳躍する。まさにそんな読み心地の本だ。私って空を飛べるかもと思いついて跳んでみたら本当に空を飛べてしまってその先にあった物語という感じ。そういう夢のような跳躍を次々にリズミカルに読む短編集という意味でも、この空中スキップという訳語はすごく適切だなと思った。

■11位 ドラマで泣いて、人生充実するのか、おまえ。
http://www.ringolab.com/note/daiya/2008/04/post-744.html

・ドラマで泣いて、人生充実するのか、おまえ。

doramadenaitejinsei01.jpg


著者の橘川さんとはかれこれ5年以上お会いしていないのだが、私にとっては恩人の一人である(と勝手に思っている)。橘川さんは1996年、まだ私が学生をしている時代に「デジタルメディア研究所(略称デメ研)」を設立され、大手メーカーのマーケティングプロジェクトなどをプロデュースされていた。その一環の座談会に私は何度か呼んでいただいたのだった。ほんのお小遣い稼ぎのつもりで参加したのだが、それはちょっとした感動だった。まずフリーランスでありながら大企業のマーケティングに対して強い影響力を持つ、そのカリスマぶりにしびれた。

■12位 人はいかに学ぶか―日常的認知の世界
http://www.ringolab.com/note/daiya/2008/10/post-846.html

・人はいかに学ぶか―日常的認知の世界

41vUb69CXfL._SL500_AA240_.jpg


おもしろいです。これは。私たちは学校教育で教師から知識を学ぶ。一方で習わないこともたくさんある。日常を生きる上で必要な基本能力を私たちは「教え手なし」で獲得できる。学校に行かなくても生きていく基本能力は自然に備わる。発達心理学と認知科学を専門とする著者は、人間はこれまで一般に考えられてきたよりもずっと有能な学び手なのだという。現実的必要から学ぶとき人は教師から学ぶのとは異なる強力な学習をする。この本はそうした日常的認知の能力を解明しようとしている。

■13位 鉄則!企画書は「1枚」にまとめよ
http://www.ringolab.com/note/daiya/2003/12/seaeiu1veuaessae.html

・鉄則!企画書は「1枚」にまとめよ

4484031116.09.MZZZZZZZ.jpg

こんな私でも最近、長いこと仕事をしているおかげで、企業の重要なポジションの方々に直接、提案をさせてもらえる機会が増えた。要職につかれている人の共通点として、とても忙しいという事実がある。頑張って作りこんだ長い企画書は、この人たちには、読んでもらえない。全容を語るのに何百ページ必要な内容であろうと、簡潔な企画書にしないと眼にとめてもらえないような気がする。理想は1枚。

■14位 死ぬまでに知っておきたい 人生の5つの秘密
http://www.ringolab.com/note/daiya/2008/12/-5.html

・死ぬまでに知っておきたい 人生の5つの秘密

31ACiSUH4AL__SL500_AA240_.jpg


「これまでめぐりあったことのある、ご高齢の賢人といえば、誰ですか?」米国とカナダに住む一万五千人に推薦してもらった結果、1000人の賢者のリストができた。町の理容師、教師、経営者、聖職者、詩人、政治家など、さまざまな職業や社会的地位の人物がいた。著者はそこから235人を訪問して長時間のインタビューを行った。死ぬまでに人生について知っておくべきことは何でしょうか?次の世代に何を教えるべきでしょうか?。高齢になって周囲から賢人と呼ばれる人たちが語った人生の知恵を収集するプロジェクトが始まった。

■15位 自己評価の心理学―なぜあの人は自分に自信があるのか
http://www.ringolab.com/note/daiya/2008/09/post-827.html

・自己評価の心理学―なぜあの人は自分に自信があるのか

51JA5GM3E4L__SL500_AA240_.jpg


自己評価について総合的、徹底的に理解することができる充実した内容。自己分析、恋愛、結婚、子育て、友人関係、仕事などに役立つ知識がたくさんみつかった。

■16位 快適睡眠のすすめ
http://www.ringolab.com/note/daiya/2008/10/post-848.html

・快適睡眠のすすめ

41WK6ND4JFL__SL500_AA240_.jpg


国民の50%が起床する時刻を調査したところ、60年代には曜日にかかわらず朝は6時起床、夜は10時に就寝していたそうだ。ところが、この35年間で起床も就床も30分から1時間遅くなり国民全体で夜型が進行しているという。

■17位 オオカミ少女はいなかった 心理学の神話をめぐる冒険
http://www.ringolab.com/note/daiya/2008/11/post-871.html

・オオカミ少女はいなかった 心理学の神話をめぐる冒険

51qmOZhAviL__SL500_AA240_.jpg


学術的には否定されているのに既成事実として何度もよみがえる心理学の話や考え方を叩き割る。

■18位 日本文化の模倣と創造―オリジナリティとは何か
http://www.ringolab.com/note/daiya/2008/05/post-756.html

・日本文化の模倣と創造―オリジナリティとは何か

416265MD92L__SL500_AA240_.jpg


コンテンツビジネスに関わるすべての人が一読の価値ありの名著。日本と世界の文化史における模倣と創造の関係を多面的に検証し、ものまねではないオリジナリティの追究という幻想を打ち壊す。歴史を振り返ってみれば、ものまねこそクリエイティティの源泉だったのである。

■19位 フェルマーの最終定理
http://www.ringolab.com/note/daiya/2006/01/post-340.html

・フェルマーの最終定理―ピュタゴラスに始まり、ワイルズが証明するまで

4105393014.09._OU09_PE0_SCMZZZZZZZ_.jpg


クライマックスではこみあげてくるものがあって目頭が熱くなった。知的好奇心を満足させる科学読み物でありながら、心をゆさぶる感動のドラマとして成立している。アマゾンの50以上の読者レビューのほとんどが最高点5つ星をつけての絶賛となっている。私は6つ星をあげたいくらいだ。

■20位 「ほめ言葉」最強の一発変換!
http://www.ringolab.com/note/daiya/2007/07/post-602.html

・ぼくには数字が風景に見える

51Lhu4PYYZL__AA240_.jpg

円周率22500桁を暗唱し、10ヶ国語を話す天才で、サヴァン症候群でアスペルガー症候群で共感覚者でもある著者が書いた半生記。これらの病は稀に天才的能力を持つ者を誕生させるが、自閉症やその他の精神障害を併発することが多いため、こうした本を書ける人が出てくることは稀である。

2008年に書いた記事に限定して、各記事のはてなブックマーク数を調べました。アクセス数ではなくブックマーク数のほうが、読者の関心を反映しているのではないかと思います。今年は死ぬ、消す、短い、減らすなどシュリンク系のキーワードが多いかなあ。

1位 死ぬまでに知っておきたい 人生の5つの秘密
http://www.ringolab.com/note/daiya/2008/12/-5.html
2位 写真から不要な友人や電信柱を消し去るphotowipe
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/005169.html
3位 重複ファイルを高速に検出して削除する Undup
http://www.ringolab.com/note/daiya/2008/11/-undup.html4位 ネットから歌詞をダウンロードしてiPodに取り込む Lyrics Master
http://www.ringolab.com/note/daiya/2008/11/ipodlyrics-master.html
5位 オオカミ少女はいなかった 心理学の神話をめぐる冒険
http://www.ringolab.com/note/daiya/2008/11/post-871.html
6位 大人の時間はなぜ短いのか
http://www.ringolab.com/note/daiya/2008/10/post-854.html
7位 複数の画像をひとつのPDFファイルにまとめる画像梱包
http://www.ringolab.com/note/daiya/2008/08/pdf.html
8位 日本人の声
http://www.ringolab.com/note/daiya/2008/09/post-839.html
9位 文章は接続詞で決まる
http://www.ringolab.com/note/daiya/2008/10/post-856.html
10位 フリーズする脳―思考が止まる、言葉に詰まる
http://www.ringolab.com/note/daiya/2008/07/post-786.html
11位 アイドルのウエストはなぜ58センチなのか―数のサブリミナル効果
http://www.ringolab.com/note/daiya/2008/11/58.html
12位 文章をダメにする三つの条件
http://www.ringolab.com/note/daiya/2008/10/post-860.html
13位 天才数学者はこう賭ける―誰も語らなかった株とギャンブルの話
http://www.ringolab.com/note/daiya/2008/11/post-874.html
14位 いやな気分の整理学―論理療法のすすめ
http://www.ringolab.com/note/daiya/2008/11/post-775.html
15位 いろいろな形式の動画を1枚のDVDに焼く DVD Flick
http://www.ringolab.com/note/daiya/2008/10/1dvddvd-flick.html
16位 2007年度 年間オススメ書籍ランキング ノンフィクション部門
http://www.ringolab.com/note/daiya/2008/12/2007-6.html
17位 オフィス文書のファイルサイズを激減させるNXPowerLite
http://www.ringolab.com/note/daiya/2008/01/nxpowerlite.html
18位 快適睡眠のすすめ
http://www.ringolab.com/note/daiya/2008/10/post-848.html
19位 イベント用の用紙いっぱいに印刷 aorist
http://www.ringolab.com/note/daiya/2008/09/-aorist.html
20位 エア
http://www.ringolab.com/note/daiya/2008/10/post-842.html

・真説 ザ・ワールド・イズ・マイン
51kniyKODrL__SL500_AA240_.jpg

何度も何度も読者の度肝を抜く激烈なバイオレンス漫画。全5巻。非常に長編なので連休にどうぞ。物凄いこと保証。

野生の獣のように凶暴な謎の男モンと、爆弾作りを趣味とする元郵便局員トシはある日運命の出会いをする。モンの本能のおもむくまま二人は北海道を目指すが、途中の青森県で衝動的に連続爆破事件と大量殺人事件を引き起こす。無差別テロ犯として全国民の注目が集まったことで、調子に乗った二人はさらに殺戮行動をエスカレートさせていく。そこへ突如ウルトラマンの怪獣のようなサイズのでかさの"ヒグマドン"が現れて二人がいる青森を圧倒的な力で破壊していく。

前半は社会派な漫画である。トシとモンは大勢の人質をとって立て籠もり日本国総理大臣に対して3つの公開質問を突きつける。

第1の要求 人命の人種別、国別による重さと値段
第2の要求 人が人を殺してはいけない理由
第3の要求 世に棲む生きとし生けるものすべてが自由に平和に平等に美しく明るく楽しく暮らせる幸福と善意と優しさと愛に満ちた世界

国家の公式見解を出せと総理大臣に迫る。破天荒な総理大臣ユリカンの絶妙な回答はこの漫画の前半の見せ場だ。過激だが本質的な回答がネットでも話題になった。「人類の究極の罪は想像力の欠如です。」というユリカンは、テレビパフォーマンスを使って世の中の正義・正論をぶちこわそうとする。

常識に飼い慣らされた人々こそユリカンのいう死ぬべきバカであり、トシとモンはテロで、ヒグマドンは聖なる力として、人類の欺瞞をご破算にしようとしていく。後半でトシとモンとヒグマドン、そして多くの癖のあるキャラクター達のストーリーが交差して、話のスケールが世界レベル、宇宙レベルへと雪だるま式に発展していく。究極のチカラを求めるトシとモンが長い破壊の旅の最後に見るものとは?。

一生覚えていそうな強烈な印象を残す漫画だ。

#トシとモンの記述が当初逆でしたので訂正しました。ご指摘@はてブの方に感謝。

・われらが歌う時 上
51um-cEGuxL__SL500_AA240_.jpg

現代世界文学の最先端をいくリチャード・パワーズの最新邦訳。上下巻で千ページを超える大傑作。ニューヨークタイムズ紙(2006年度)、シカゴ・トリビューン紙ほか世界のメディアで年間ベスト作品に選ばれている話題作。年末年始の連休読書におすすめ。

20世紀前半、人種差別の激しいアメリカで黒人歌手のディーリアとユダヤ系ドイツ人で亡命物理学者のデイヴィッドが恋に落ち、二人の間には3人の混血児が誕生した。家族は歌を愛し毎晩のように楽曲をごちゃまぜにして合唱する遊び「クレージー引用合戦」を楽しんだ。外の世界には差別と迫害の嵐が吹き荒れていたが、家族は家の中で多声が調和する音楽の世界に浸って厳しい現実をやり過ごす日々。

だが音楽が家族をひとつに結びつけていた幸せな時間はあっという間に過ぎ去っていった。やがて両親の与えた英才教育によって才能を開花させた色白の長男ジョナは天才的なテノール声楽家として世界に羽ばたいていく。次男の「私」には平凡な才能しかなかったが共に音楽の道に進み伴奏者としてピアノを弾くようになる。妹のルースは白人的な文化に激しく反発して黒人過激派運動に身を投じていく。黒人でもなく白人でもない子供達は自らのアイデンティティーと居場所を求めて長い旅に出ることになる。

・われらが歌う時 下
51fpdkULWlL__SL500_AA240_.jpg

ディーリアとデイヴィッドの時代と"私"の時代が対位法のように交互に語られる。人種問題、音楽、時間の3つの主題が通奏低音として終始響いている。黒人とユダヤ人の混血家族が黒人と白人、敵と味方という二元論の時代をなんとか生き延び、孫達の世代がハイブリッドでポリフォニックな未来を予感するまでの家系の歴史である。

バロック音楽、オペラ、ゴスペル、ブルース、ジャズ、ヒップホップなどあらゆる音楽がそれぞれの時代や登場人物の人生を彩る。音はジャンルの垣根を越えて次第に混ざり合って、新たな時代の音楽を生み出していく。現実世界でも混血の大統領が誕生しようとしているアメリカの姿を、音楽をモチーフに描いているのだとも言える。

この作品は文学的であると同時に娯楽性もある読み物として最高レベル。ずっしりとした文学作品を読み切った充実の読後感がある。2008年の翻訳物としてベスト。なおこの物語は前奏的な上巻の後、下巻で激動の時代に突入し本格的に動き始める。長いが必ず最後まで読み通す価値のある傑作である。

・阿佐田哲也の麻雀秘伝帳
510ZGDG5KhL__SL500_AA240_.jpg

一流棋士の勝負論も面白いが凄みという点では修羅場、鉄火場の勝負論の方が一枚上かもしれない。表紙の写真の目が常人と違う。麻雀放浪記の著者であり、「雀聖」と呼ばれた阿佐田哲也による麻雀論。とてつもない本である。裏本である。だって、はったりとイカサマの本なのだもの。

阿佐田は最初に麻雀は"運10"のゲームであると断定する。プロ雀士の目から見ると一定レベル以上の雀士の間に技量の差は小さいらしい。そして相手のこころを読むのではなく"つくる"ことが必勝につながると著者は説く。

「あの人は強い、とそれだけ思ってしまっただけでもそのときからあなたは負ける。 たとえば強いと思う人がリーチをかけるとあなたのオリが早くなる。オリというのは和了を放棄することだ。和了を放棄する人が多ければ多いほど相手はやりやすい。 相手はいろいろなイメージを与えることによって、あなたの心をつくってくるのだ。あなただってごく自然に、他人を強いなどと思い込むはずはない。多くは相手の意図的術中いはまり、そう思い込んでいくのである。 偶然の配牌をとり、偶然の自摸で手を作り、お互い大差のない技術常識でやっている以上、ポイントは心理戦にある。マージャンは自然を尊ばない。あくまでも人工的なゲームである。そして相手の人工的ペースに乗ったら負けと思いなさい。」

プロのすさまじい心理戦の実態が明かされている。すべての会話は心理操作のためにある。「やつはなんであんなことをいう必要があるのか」を起点に考えよ。そして余計な情報を与えるな。「自分の手牌および自摸牌に落としている視線は、死んだ視線と悟るべし」とくる。

はったりとならんで重要なのがイカサマである。阿佐田は本書の中で自分は天和を40回もあがったと告白している。運のゲームだからこそ真の必勝法はイカサマであると結論しているのだ。そして自身がかつて勝負師として生きていた頃に編み出したイカサマの数々を全面的に公開した。

積み込み(元禄と爆弾)、エレベーター(牌を隠し持つ)、通し(二人が内通)、ぶっこ抜き(手牌の入れ替え)など、具体的なやり方が示されていく。その記述は配牌過程の綿密な分析や確率論に基づいており、ここまで考えてやっていたのかという点でも唖然とする。相当の勉強と練習量が必要である。

この本の初版は1971年。暴露されたイカサマの多くは手積みを前提とした積み込み系であり全自動麻雀卓全盛の現代では使えないものである。だが、阿佐田のハッタリとイカサマの勝負論は、麻雀以外の勝負事に通じる普遍性を持っている。根底には何事もやるならばとことんやれという哲学を感じる。阿佐田は若い頃、修行のために財布を持たずに雀荘へ出かけたそうである。負けて払えなければ痛い目に遭う状況に自身を追い込んだのだ。たかが麻雀だがされど麻雀。極めた男の哲学は深い。

・科学する麻雀
http://www.ringolab.com/note/daiya/2008/05/post-758.html

・Subject To Change -予測不可能な世界で最高の製品とサービスを作る
subjecttochange01.jpg

ユーザーエクスペリエンス重視のコンサルティング会社として有名なAdaptive Path社のメンバーが執筆した製品開発の方法論集。イノベーション創造型ベンチャーの経営指針として有益なヒントになりそう。

「マーケティングの世界では、顧客が事実上ヒツジとして見られている。多数意見と宣伝文句という卓越風によってあっちこっちへと流される従順でのろまな生き物だ。人間に対するこうした見方が、何百万というフォーカスグループや市場調査を生み、追跡に熱中し、またポジショニングやパッケージ、広告などによって嗜好に影響を与えようという試みを引き起こした。」

多くの企業がユーザー調査から導かれる答えにばかり頼ってしまうのは、自分の考えで冒険するよりもリスクが少なくて、提案を通しやすいからという事情もありそうだ。調査結果に基づく提案は妥当のように思えるがエッジが立っていないものが多い。改善には役だってもイノベーションを引き起こす新製品にはなりえない。長年の経験に基づく勘や、極度に高いモチベーションに基づく試行錯誤の方が、市場創造型の新製品を生み出す方法論のような気がする。

「探究に行き詰ることが無駄な出費とみなされる環境では、真のイノベーションは生まれない。」と著者は書いている。冒険を奨励する環境づくりこそ経営者の課題なのだろう。そして、敢えてけものみちを行く会社は、的を得た質問からすばらしい新体験を生み出すという話も面白い。問題解決ではなく問題作りが凄い新製品を生むのだ。

「時として束縛がすばらしいアイデアのきっかけになることがある。かつての解決法(ライバルの現在の解決法でもよい)が避けて通ろうとした束縛に、正面から取り組むアイディアでは特にそうだ。簡単な例をいくつか。翌朝までに配達できたら?(Fedex)。持っている音楽を全部持ち歩けたら?(iPod)。レンタルビデオの延滞料がなくなったら?(Netflix)。ノートパソコンが誰でも買えるほど安くなったら?(「世界の子どもたちに1台ずつノートパソコンを」プロジェクト)。好きなときにテレビが見られたら?(Tivo)。的を得た質問はすばらしい新体験を生み出す。」

まとめ的な意味合いでアジャイル開発の手法が紹介されている。

・人と人との対話を、プロセスとツール、より優先する
・動作するソフトウェアを、包括的なドキュメント、より優先する
・顧客との協調を、契約交渉、より優先する
・変化への対応を、計画の遂行、より優先する

こうした手法は、組織がある程度デキル人の集団であることが前提にあるなとリストを眺めていて感じる。

これ2008年ではなくて2007年のランキングです。

このブログでは年末年始に年間のおすすめ書籍をまとめているわけですが、昨年は書籍「フィクション編」は公開したのに、「ノンフィクション編」を公開しなかったことに気がつきました。いまは2008年版を作成中なのですが、その前に2007年度に読んだ本で面白くておすすめのリスト公開し忘れてしまいました版を公開しておきます。

なお、このリストは私がその年に読んだというだけで、その年に出版された本ではありません。かなり昔の古典も含まれています。


【過去の年間ベスト おすすめ書籍】

・2004年度 年間オススメ書籍ベスト20 この本が良かった。
http://www.ringolab.com/note/daiya/2004/12/20.html

・2005年度 年間オススメ書籍ランキング ベスト20冊
http://www.ringolab.com/note/daiya/2006/03/200520-1.html

・2006年度 年間オススメ書籍ランキング フィクション編
http://www.ringolab.com/note/daiya/2006/12/2006-3.html

・2006年度 年間オススメ書籍ランキング ノンフィクション編
http://www.ringolab.com/note/daiya/2007/04/2006-4.html

・2007年度 年間オススメ書籍ランキング フィクション部門
http://www.ringolab.com/note/daiya/2008/01/2007-5.html


■1位 あの戦争から遠く離れて 私につながる歴史をたどる旅
http://www.ringolab.com/note/daiya/2007/12/post-683.html

・あの戦争から遠く離れて―私につながる歴史をたどる旅
a01d83d28fa0647e0d5a411.jpg

「あの戦争」がぐいぐいっとひきつけられて、間近に生々しく語られる。歴史に対する遠近感が独特の作品である。それは父親の帰国は1970年だったこととが大きい。この家族にとってはそれまで戦争は続いていた。だから遠く離れた「あの戦争」も30数年前の一昔前のこととして語られるのである。だから、30代の著者は自身の人生と地続きの話として、父親の人生も情感たっぷりに語ることができたのだと思う。

■2位 黄泉の犬
http://www.ringolab.com/note/daiya/2007/02/post-532.html

・黄泉の犬
4163685308.01._AA240_SCLZZZZZZZ_.jpg

藤原新也の世界は劇画的だなと思う。世界を描く線の数が多いのだ。あらゆることを意味や価値に結びつけて、自分の哲学の完成を追及している。いちいち深いのだ。反発を感じつつも、魅了される。

■3位 ヨーロッパをさすらう異形の物語
http://www.ringolab.com/note/daiya/2007/11/post-665.html

・ヨーロッパをさすらう異形の物語 上―中世の幻想・神話・伝説
517bLPQxWVL__AA240_.jpg

「中世ヨーロッパの伝説が解説つきで24編が収録されている。一部が童話として変形して伝わった以外は、日本ではあまり知られていない話が多いように思う。海外の人が、桃太郎や金太郎、一寸法師や海幸山幸のような昔話をよく知らないのと一緒だろう。知っていれば、異文化の文学や創作を深く味わうことにつながる。」

■4位 ナショナル・ストーリー・プロジェクト
http://www.ringolab.com/note/daiya/2007/03/post-537.html

・ナショナル・ストーリー・プロジェクト

4105217097.01._AA240_SCLZZZZZZZ_.jpg

ポール・オースターがラジオ番組から、全米のリスナーに対して、あなたが語るべき人生の物語を投稿してほしいと呼びかけた。あらゆる年齢、性別、職業、人種の人々から、何千編もの実話の投稿が集まった。どの話も、語り手にとって人生の中で人に語りたいことが数ページに濃縮されている。オースターはその中から珠玉の180編を選び出して番組で放送した。そしてこの本ができた。

■5位 「いき」の構造 他二篇
http://www.ringolab.com/note/daiya/2007/07/post-606.html

・「いき」の構造 他二篇
51WNVRFDWHL__AA240__.jpg

真剣で一途な恋は「いき」ではない。恋の束縛から自由な浮気心は「いき」である。追いかけすぎてもいけない。もっといえば「運命によって諦めを得た「媚態」が「意気地」の自由に生きるのが「いき」である」。

「要するに「いき」とは、わが国の文化を特色附けている道徳的理想主義と宗教的非現実性との形相因によって、質料因たる媚態が自己の存在意義を完成したものであるということができる。」

この本の特徴は「いき」をトポロジーで説明したことだ。表紙にあるこの図は見ていて飽きない。さらに詳しい解説を読みこむと、漠然としていた言葉の意味がすっきりと整理される。

■6位 千年、働いてきました―老舗企業大国ニッポン
http://www.ringolab.com/note/daiya/2007/03/post-539.html

・千年、働いてきました―老舗企業大国ニッポン
4047100765_01__AA240_SCLZZZZZZZ_.jpg

100年以上続く店舗や企業はお隣韓国には1社もなく、中国やその他のアジア諸国にもほとんどない。ヨーロッパでさえ老舗の数は日本に及ばず、最古の企業の歴史は600年程度である。日本の老舗企業の多さは世界で飛びぬけた現象であると書かれている。

■7位 経済学的思考のセンス―お金がない人を助けるには
http://www.ringolab.com/note/daiya/2007/06/post-591.html

・経済学的思考のセンス―お金がない人を助けるには
41HJ6KFT6VL__AA240_.jpg

この本の面白さは「ヤバい経済学」に似ている。経済学だが、需要と供給の話はほとんどでてこなくて、インセンティブや人々の生活思考を研究の対象にしている。新書だが単行本なみに内容が詰まっている。

■8位 たった2分で人の心をつかむ話し方
http://www.ringolab.com/note/daiya/2007/10/cd-1.html

・たった2分で人の心をつかむ話し方(CD付)
51sgyo0CGuL__AA240_.jpg

「人民の、人民による、人民のための」で有名な、リンカーンのゲティスバーグ演説も、実際には、たった2分間の演説だったそうである。長い話を、小さなネタの連続としてとらえる発想は目から鱗であった。

■9位 メメント・モリ
http://www.ringolab.com/note/daiya/2007/03/post-542.html

・メメント・モリ
4795810222.09._AA240_SCLZZZZZZZ_.jpg

この写真集を見て心を揺さぶられない人はいるのだろうか?

20年前に出版された、藤原新也の伝説的な傑作。

メメント・モリ=死を想え。

■10位 視界良好―先天性全盲の私が生活している世界
http://www.ringolab.com/note/daiya/2007/07/post-616.html

・視界良好―先天性全盲の私が生活している世界

41EA5DMyH8L__AA240_.jpg

先天性全盲である著者が、聴覚、触覚、嗅覚をフル稼働させて、どのように世界を認識しているかを書いた本。この表現が適切かどうかわからないのだが、"目から鱗が落ちる"記述の連続である。そして面白い。

■11位 教育力
http://www.ringolab.com/note/daiya/2007/04/i-1.html

・教育力
31oCVsy6RnL__AA240_.jpg

冒頭で「教育の根底にあるのはあこがれの伝染である」と著者は結論をいう。いきなり納得して、続きを読みたくなった。

■12位 考えることの科学―推論の認知心理学への招待
http://www.ringolab.com/note/daiya/2007/06/post-583.html

・考えることの科学―推論の認知心理学への招待
41QANW8529L__AA240_.jpg

人間の日常的な推論は、認知的な制約や感情的な要因が入っていて合理的といえない結論をしてしまうことがありがちだ。著者は多くの実例を出しながら、人間の認知の欠陥を指摘していく。簡単な論理式や図を使って、わかりやすく且つ厳密に説明してくれるので、読みやすくて勉強になる。とても面白かった。

■13位 陰影礼賛
http://www.ringolab.com/note/daiya/2007/06/aae.html

・陰翳礼讃
51ZPTM6P91L__AA240_.jpg

谷崎は抽象論にいかず、ディティールにこだわる。蝋燭の明かりに映し出された味噌汁って色がうまそうだろう、日本女性の身体のつくる陰って白人女性にはない隠微さがあるだろう、漆器や金蒔絵なんかも暗いところの方がきれいに見えるものだ、とか書いている。明るくて清潔で騒々しい部屋の生活に慣れた現代人が忘れかけている闇の中の美をずばり言い当てているのが凄い。

■14位 妄想に取り憑かれる人々
http://www.ringolab.com/note/daiya/2007/07/post-607.html

・妄想に取り憑かれる人々
51B0QEXS27L__AA240_.jpg

最もふさわしくない場面で、最もふさわしくない「おぞましい想念」を考えてしまう精神状態に関する、強迫性障害の世界的権威の書いた一般向けの心理学の本。

■15位 ステータス症候群―社会格差という病
http://www.ringolab.com/note/daiya/2007/11/post-661.html

・ステータス症候群―社会格差という病
51nhXqbsJaL._AA240_.jpg

世界中で社会格差と人々の健康には明らかな相関があることがデータで示されている。貧しい階層よりもお金持ちの階層のほうが病気をせずに長生きする。両極の中間層では階層があがるにつれて確実に健康状態がよくなっていく勾配が見られる。さらに学歴や社会的地位や身長で人々を比べてもほぼ同様の結果になる。高いほど健康なのだ。これがステータス症候群である。

■16位 図説 金枝篇
http://www.ringolab.com/note/daiya/2007/05/post-563.html

・図説 金枝篇
4487761581.09._AA240_SCLZZZZZZZ_.jpg

少し値が張る本だが、長大な民族学の古典「金枝篇」を見事に要約し、原典にはなかった写真やイラストで本文の理解を深める工夫が素晴らしい。装丁もよく、本として完成度が極めて高い内容。フレーザーを読むならこれがおすすめ。

■17位 超人類へ! バイオとサイボーグ技術がひらく衝撃の近未来社会
http://www.ringolab.com/note/daiya/2007/06/post-595.html

・超人類へ! バイオとサイボーグ技術がひらく衝撃の近未来社会

51F4BMXQFFL__AA240_.jpg

遺伝子操作による身体能力や精神の改造、インプラント(体内埋め込み)による心身の能力拡張、脳とコンピュータの融合によるテレパシー通信の実現など禁断のテクノロジー領域に迫る。テクノロジーが人類という種を超人類に進化させる可能性を、最新の先端科学の成果で検証し、未来への展望を探る。

■18位 今日の芸術―時代を創造するものは誰か
http://www.ringolab.com/note/daiya/2007/07/post-612.html

・今日の芸術―時代を創造するものは誰か
518MGPEMSJL__AA240_.jpg

岡本太郎の考えでは表現行為とは人間の本質であるから、誰もが思う通りに絵を描いたり音楽を作ったりすればいいのだ、下手も上手もなくて、ユニークかどうかが大事なのだということである。上手な芸術家をまねて美しく、ここちよい表現をするのは芸術ではないのである。日本の芸術家も教育も間違っていて、けしからんのである。

■19位 生物と無生物のあいだ
http://www.ringolab.com/note/daiya/2007/07/post-598.html

・生物と無生物のあいだ
51oeIDl3HxL__AA240_.jpg

人は生物と無生物を簡単に見分けられるが、何が生命なのかと定義を問われると、明確には答えることが難しい。この世紀の難問に対して、分子生物学者の著者は、生命とは「動的な平衡状態」であり、「かたちの相補性」を原動力にするものだ、と明解で美しい答えを出す。

■20位 グノーシスと古代宇宙論
http://www.ringolab.com/note/daiya/2007/04/post-557.html

・グノーシスと古代宇宙論
4326100532_01__SCLZZZZZZZ_V45102064_AA216_.jpg

グノーシスの宇宙観では、神は二人いる。至高神と造物主である。至高神は宇宙を開闢したあと造物主を生み、目に見える物質界の創造はそれにまかせた。造物主はこの世界や生物をつくり、惑星を司る7人の支配者にその世界を委ねた。これにより神の叡知界→星辰界→地上世界という創造と被造、支配と被支配のヒエラルキーが確立される。

・死ぬまでに知っておきたい 人生の5つの秘密
31ACiSUH4AL__SL500_AA240_.jpg

「これまでめぐりあったことのある、ご高齢の賢人といえば、誰ですか?」

米国とカナダに住む一万五千人に推薦してもらった結果、1000人の賢者のリストができた。町の理容師、教師、経営者、聖職者、詩人、政治家など、さまざまな職業や社会的地位の人物がいた。著者はそこから235人を訪問して長時間のインタビューを行った。

死ぬまでに人生について知っておくべきことは何でしょうか?次の世代に何を教えるべきでしょうか?。高齢になって周囲から賢人と呼ばれる人たちが語った人生の知恵を収集するプロジェクトが始まった。

賢人たちは人生が「あっという間」だったと口をそろえる。充実した人生は一層短く感じられるものかもしれない。

「トルストイは『アンナ・カレーニナ』のなかで、「幸福な家族はみな似ているが、不幸な家族はそれぞれ独自の不幸をかかえている」と記した。ぼくがインタビューを通じて発見したのは、幸福な人たちの生き方には、五つの秘密が共通点としてあったことだ。そしてもっと重要なことに、かれらはそれを実践して生きていた。」

5つの秘密とは次のようなものだ。

1 自分の心に忠実であれ
2 思い残すことのないように生きよ
3 愛になれ
4 いまを生きよ
5 得るよりも与えよ

どれも当たり前の教訓であって秘密というほどのものではない。だが、実際に賢人にインタビューするとこれらを強く意識して、実践しているという結果が出たことが真の秘密なのだと著者は書いている。日々、こうしたことができているか自分に問いかけながら生きている賢者も多かった。でも無理はしない。自身の進路を毎日修正して目標に近づいていくことが自然に出来ている人が賢者なのだ。

幸福な人生とは後悔しない人生なのだと賢者の明るい語り口からわかる。そして賢者の中にも、何かをしなかったことチャンスをいかさなかったことをしきりに悔やむ発言をした人もいた。

「事実、"高齢の賢人たち"のあいだで、あまり幸福そうでない人と幸福な人との違いは人生における後悔との折り合いのつけ方にあった。だれよりも幸福そうな人たちは、人生と折り合いをつけ、満足していた。だが不幸な人たちは、逸した機会をいつまでも惜しみ、後悔の泥沼に陥っていた。」

うまくいかない人生とうまく向き合う。「上を向いて歩こう」ということか。「おそらく、ぼくたちの人生で幸福を決定する物は、挫折や失敗のあとで踏みだす第一歩なのだろう」とは著者の分析。

巻末には「人生の秘訣を一文で表してください」という質問に対する回答リストがある。どれも短いが深い。

・100歳まで生きてしまった
http://www.ringolab.com/note/daiya/2003/09/100.html

・FUJIFILM デジタルカメラ FinePix F100fd

41YZoRZwrHL__AA280_.jpg

2008年3月の発売日に購入して以来、愛用9ヶ月のコンパクトデジタルカメラ。富士フイルム100周年記念モデルとして型番も"100"で送り出すということでメーカーを信用して購入、ここまでに4,5千枚は撮影しているが、総合的にかなり満足度の高い優等生のカメラである。未だ同社のラインでは最新機種だが店頭価格はこなれてきたのでお買い得な状況。たぶん、来年次の機種が出るのだろうけれど。

・デジタルカメラ FinePix F100fd
http://fujifilm.jp/personal/digitalcamera/finepixf100fd/
オフィシャルサイト

・物凄く詳しい デジカメウォッチのレビュー
http://dc.watch.impress.co.jp/cda/review/2008/04/30/8351.html

詳細な製品情報と専門家レビュー記事はネット上にたくさん出ているので私の感想だけ書くと、総合点では89点くらい。細かい設定を敢えていじらずAUTOまたはナチュラルフォト(フラッシュを使わない)モードでバシャバシャ撮影するとよい感じに撮影できる万能機。

ワイドダイナミックレンジで自然や夕暮れなど階調表現を出すのも楽しい。もともとよい風景写真が撮影できる状況で、ダイナミックレンジ400%を使うと、最終的に10%くらい仕上がりがよくなるという印象。

この9ヶ月で撮影した写真の中からサンプルを掲載。

http://www.flickr.com/photos/datasection/2499812736/
Flower


・人は意外に合理的 新しい経済学で日常生活を読み解く
9e14a1909fa002758f7bd110__AA240__L.jpg

経済合理性という視点から世の中の仕組みを鮮やかに解明した名著。「ヤバイ経済学」級のおもしろさ。いきなり「アメリカでは、オーラル・セックスをする未成年の割合が10年間で2倍に増えたのはなぜか」から始まってびっくりするが至って真面目な本である。

合理性は人類の行動のあらゆる場面を支配している。たとえば、きまぐれに思える男女の出会いも案外、合理的だ。お見合いパーティを統計的に分析すると男女のマッチングに法則が見出されるという。

「たとえば男性は太りすぎていない女性を好む。そうだとするとある夜のスピードデートに太りすぎの女性がいつもの数の二倍参加したら、その夜はデートを申し込む男性が少なくなるはずだ。ところがそうはいかない。男性陣がデートを申し込む割合はまったく変わらないのである。そのため、太りすぎの女性が二倍居ると、デートに誘われる太りすぎの女性も二倍になる。」

相手を選べるときは好みがよりうるさくなり、相手を選べないときはそれほどうるさくなくなるということ。デートの成立は市場の状況への反応で9割以上が決まっていると結論されている。とりあえずモテたいならばレベルが高くないパーティに参加すべきということか。

出会いと並んで身近なところでは喫煙者の行動なんていう話題もある。煙草の価格を大きく引き上げるとヘビーユーザーから完全にやめていく傾向があるらしい。逆に思えるわけだが、これにはこんな理由がある。

「中毒性の物質は、価格の変化に対する感応度が中毒性のない物質に比べて高くなることがあり、中毒者は、接種頻度の低い使用者、いわゆるライトユーザーよりも価格に注意を払うと考えられる。つまり、ライトユーザーは値上がりすると摂取を減らす傾向があるが、ヘビーユーザーは摂取を完全にやめる道を選ぶかもかもしれないということだ。」

合理性は全知と同じではないから、みんなが合理的に行動した結果、不都合が生じることも多い。たとえば犯罪や差別はそれを行った場合の利益が不利益を上回る場合は「合理的な犯罪者」、「合理的な人種差別者」によって引き起こされる。なぜ人種差別や経済格差はなくならないのか、その理由が人々の偏見以上に根深い合理的判断の積み重ねにこそあることを著者は指摘する。

人類が産業革命以降になって技術革新を幾何級数的な速度で実現することができた理由も人口と経済の関係で合理的な説明をしている。

「卓越したアイデアが毎年人口十億人当たり一つ生み出されると仮定すると、紀元前三十万年にはホモ・エレクタスの総人口は三十万人だったため、そうしたすばらしいアイデアは1000年ごとに生み出されていたことになる。産業革命が幕を開ける1800年には、世界には10億人の人口がいたため、イノベーションの発現率は上昇し、驚くほどすばらしいアイデアが毎年一つ生まれており、1930年には、世界を一変させるアイデアは六ヶ月ごとに生まれていたということだ。現在、地球上には六十億の人口がいるため、二ヶ月ごとにこの種のアイデアが生み出されているはずである。そうしたアイデアには、複式簿記から輪作まで、あらゆるものが含まれうる。」

人口が増えたとき、市場経済を発達させた国から産業革命は進展した。この革命は科学の天才が生み出したものではなく、人々が単純な経済のインセンティブに合理的な反応をした結果であったというわけだ。

著者は男女関係、ギャンブル、中毒、犯罪、差別、能力給とパフォーマンス、企業経営、選挙、人類100万年の進化など、あらゆる現象の背後に隠れている合理性を明解な証拠とともに発見していく。

・予想どおりに不合理
http://www.ringolab.com/note/daiya/2008/12/post-891.html
同じ時期に出版されたこの本と非常によく似ている。

・ヤバい経済学 ─悪ガキ教授が世の裏側を探検する
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004611.html
この本に影響されていると思う。

・Tim Harford
http://timharford.com/
著者のサイト

・Fimo
http://www.vector.co.jp/soft/win95/util/se108867.html
fimoapp01.jpg

Fimoは指定したフォルダ内を監視し、誰かがファイルを追加・更新・削除したら、それを自動的に通知してくれるユーティリティ。通知ウィンドウではファイルの変更内容が一覧できる。

fimoapp02.jpg

ひとつのフォルダ上で共同作業をしているとき、複数のファイルをダウンロードしているときなどに、ファイルが出来次第、状況を把握できるから、社内ツールとしても、いろいろ便利に使えそうだ。

監視の間隔は1秒(リアルタイム)、1分、5分、15分、30分、60分を選択することができる。コラボレーション作業の場合は、他人の更新が頻繁に分かりすぎると自分の作業に支障があるから、こうした設定ができるのもよいところ。

更新があった場合に、監視フォルダを自動的にエクスプローラで開いたり、特定のアプリケーションを実行させることも可能。

・ROME[ローマ] コレクターズBOX
51PwluTSZwL__SL500_AA240_.jpg

総制作費200億円、イギリスのBBCとアメリカのHBOが共同制作したローマ帝国を舞台にした超大作ドラマシリーズ全22話。私が今年見た海外ドラマの中でダントツで第1位である。物語はシーザーの台頭と暗殺までを描くシーズン1と、アウグストゥスの皇帝就任までのシーズン2の二部構成からなる。エミー賞5部門受賞。

シーザー、アントニウス、アウグストゥス、クレオパトラという歴史上の英雄の活躍を綿密な時代考証でなぞるだけなら平坦な大河ドラマに終わっていただろう。この作品が傑作となったのは大河ドラマでなく人間ドラマであるからだ。アントニウスの部下で百人隊長のヴォレヌスと兵士プッロの男同士の友情という縦軸。シーザーの姪アティアと、シーザーの愛人のセルウィリアの女同士の確執という横軸。このふたつの軸で織り上げられる華麗で壮絶な物語が視聴者の心をとらえてはなさない。

後半はあと数話で終わってしまうのかと思うと残念で大切に観た。DVDには特典映像として時代考証や撮影舞台裏を解説する長編番組も収録されている。これも、かなり丁寧に作られていて価値あるおまけになっている。

暴力シーンとエロティックなシーンを大量に含むので家族視聴には適さないR15作品という面もある。強烈なセックス描写と人殺しシーンがない回の方が珍しい。逆に言えば大人はビジュアル的にもひきつけられるシーン満載ということ。なお、途中でアウグストゥスの俳優が少年役から大人役に交代したのは珠に傷である。

年末年始にぜひ観てください。本当におすすめです。

・ワーナーのオフィシャルサイト
http://wwws.warnerbros.co.jp/rome/

・ROME[ローマ]|WOWOW ONLINE
http://www.wowow.co.jp/drama/rome/

・バンド・オブ・ブラザース
http://www.ringolab.com/note/daiya/2005/11/post-311.html
海外ドラマとしてはこのシリーズもよかった。

なおみ

| | トラックバック(0)

・なおみ
41fO4yKMuL__SL500_AA240_.jpg

6歳の女の子と日本人形の「なおみ」が古い洋館で過ごした少女時代の記憶。谷川俊太郎のひらがなの詩と、幻灯のように暗くざらざらした質感の沢渡朔の写真が、トラウマになりそうな強烈な印象を残す。

1982年出版の伝説的な絵本の復刻。ある種のダークファンタジー。大人向け。おしゃれなカフェの本棚に置いておくのに向いていそう。

「 なおみは いる
  わたしの うまれる
  ずっと まえから
  なおみは いた
  わたしのそばに 」

人形は変わらない。けれど少女は成長していく。人形と心が通うのは、ほんの短い間のこと。その出会いと別れのつかの間を見事に映像化した。思い出の中で凍結された時間のギャラリー。

なおみの無表情で真っ白な顔とまっすぐに凝視するまなざしが怖い。少女とだけ心が通じて会話をしているように見える。少女の生に照射されて人形は魂を帯びたように映る。死んでいるのか、生きているのかわからないのが怖いのだ。人形(にんぎょう)というよりも人形(ひとがた)というほうがふさわしい。

この日本人形はこの絵本のために特別に制作されたらしい。出版後何十年が経過し、この少女は外国人男性と結婚して、やはり娘が生まれたとのこと。絵本の内容にそうした人生を予言したような部分があって不思議な感じがする。

草祭

| | トラックバック(0)

・草祭
51bW0hKdt2L__SL500_AA240_.jpg

「夜市」「雷の季節の終わりに」「秋の牢獄」と異界物の傑作を書き続けてきた恒川光太郎の最新刊。今回もクラシックな湿り気のある妖怪譚と、モダンな平行世界のアイデアが絶妙にブレンドされた恒川ワールドが読者を引き込む。どこか懐かしい感じのする不思議な町、美奥町を舞台にした連作。

「けものはら」
中学3年の夏、雄也は行方不明になった友達の春を探して心当たりのある場所へと向かった。そこはかつて二人で一度だけ迷い込んだことのある団地の奥の用水路の先の、誰も知らない野原だった。果たして春はそこにいたのだけれど何か様子がおかしくて...。

「屋根猩猩」
夜になると瓦屋根の上を屋根猩猩が通り過ぎていく。猩猩は町の守り神で屋根の上で宴会をして、人間と取引をしに降りてくることもあるという。ある日私は上からひらりと降りてきた不思議な少年と仲良くなった。

「くさのゆめがたり」
「オロチバナはヤマタノオロチが血を流したところに咲くといわれる花だ。どこにでもあるものではないし、五感のみで生きている者は通りがかっても視えぬ。禁断の神薬、クサナギを作るのに使うという」

「天化の宿」
「<天化>のルールについて言葉で完全に説明することは困難です。<天化>は、カードと苦解き盤がセットで一つの世界を作っており、麻雀牌を一度も見たことがない人間に、役の説明をするのが困難なのと同じです」。

「朝の朧町」
トロッコ列車に乗ってひとり美奥町にやってきた加奈江には誰にも言えない暗い過去があった。彼女は知り合いの長船さんに連れられて、ぼんやりと靄がかかった町にはいっていった。


今回は過去の作品でいうならばデビュー作「夜市」や「風の古道」に近いかなと思った。「のらぬら」とか「クサナギ」など最初は名前だけ登場して、なんだかよくわからない魑魅魍魎や怪奇現象が、繰り返し登場するうちになじみ深い世界観の一部になってくるのが連作の面白さであり、読み終わるのが惜しい作品集となっている。

・秋の牢獄
http://www.ringolab.com/note/daiya/2008/07/post-776.html

・雷の季節の終わりに
http://www.ringolab.com/note/daiya/2006/11/post-489.html

・夜市
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004796.html

・人はなぜ形のない物を買うのか 仮想世界のビジネスモデル
41FUEt8vlXL__SL500_AA240_.jpg

最近のオンラインゲームはアイテム課金が増えている。アイテム課金制のゲームでは月額などの定額課金制と違って誰でも無料でゲームを始められる。だが本格的に楽しもうと思ったら、着飾るための衣服や仲間と連絡する道具などのアイテムを購入する必要がでてくる。この戦略が収益面で成功しているようだ。

この本によると日本のオンラインゲーム市場では定額課金制とアイテム課金制の平均単価は

     定額課金(平均)アイテム課金(平均)
2005年 1338円         4483円
2006年 866円          4385円

という状況であるという。アイテム課金の方が4倍も儲かるという結果になった。無料版と有料P版を分けるというのではなくてゲーム内のアイテムを有料化する。このアイデアはゲーム以外のWebサービスでも使えるアイデアかもしれない。

著者はオンラインゲームを中心に仮想世界における消費者行動を広く分析している。ゲームの娯楽性よりも、コミュニティがユーザーが長く遊ぶ動機になること、居場所の提供が大切な概念であることなど、現実のゲームユーザーの実態調査から次々に興味深い事実が明らかになる。

消費行動に関連して、仮想世界内での新しいオピニオンリーダー像についての考察が個人的には大変勉強になった。ちょっと長いが引用させてもらうと、

「オピニオンリーダーの特性については、Rogers(1962)が、次のような条件を挙げている。第一に、コミュニティ外部にある先端的な情報にアクセスできるだけの、能力・知識・地位をもっていることである。第二に、コミュニティ内部で、他のメンバーに新しい情報を伝えるだけの、社交性と社会的地位があることを挙げている。ここでいうコミュニティとは、職場や地域社会という現実世界での人間関係を想定している。 当時、新しい情報にアクセスできるのは教養や社会的地位のある人に限られていた。オピニオンリーダーは地域社会のリーダーと想定されていたのである。しかし、インターネットの登場で、誰もがクリック一つで世界中の情報にアクセスできるようになる。情報が希少な時代から情報が氾濫する時代へと、状況は大きく変わったのである。あうると希少な情報を持っているというオピニオンリーダーの条件がそぐわなくなっている。今日ではむしろ、膨大な情報の中から適切なものを選び、他人に説得するプレゼンテーション能力が重要なのではないかと思われる。例えば、人気ブログの魅力は、その人の視点で情報が整理され意味付けられストーリーとして語られることにあるのではないか。さらには、近年の情報ベースから活動ベースへのコミュニティの変化は、オピニオンリーダー像をさらに変容させている。情報発信型のリーダーから、「実際に客をひっぱってくる」という活動面でリーダーシップを発揮するユーザーが登場する。」

ネットでは全人格的なリーダーシップではなく、プレゼンのうまさ、視点の斬新さ、客引きのうまさなど、分業化階層化された、複数の特殊なリーダーシップによって仮想世界コミュニティの社会や経済は動いていくようである。

仮想世界コミュニティの実態に深く分け入った秀逸な研究書だった。ネットビジネス全般のビジネスモデル考察の参考にもなる。

ビラヴド

| | トラックバック(0)

・ビラヴド
5191AYZ2QWL__SL500_AA240_.jpg

93年度ノーベル文学賞受賞作家トニ・モリスンの代表作。南北戦争の頃のアメリカで、白人によってすべてを奪われた黒人奴隷達の魂の苦悩を幻想的に描く物語。

 わたしは、わたしの民でなかったものを、わたしの民と呼び、愛されなかった者を、愛されし者と呼ぶだろう     (ローマ人の手紙 第九章二十五節)

逃亡奴隷のセサは絶望の中で殺した実の娘の墓碑に「Beloved(愛されし者)」と刻印した。だが殺された赤ん坊の恨みは収まらず、セサの家に取り憑いて家族を悩ませた。長い時間が経過し残った家族も悲惨な状態で離散していった。寂しい生活を送るセサと末娘の前に忽然と「ビラヴド」と名乗る正体不明の女が現れた。彼女は本当にあの世から生き返ったあの娘なのだろうか。セサは過去の償いをするようにビラヴドを溺愛し始める。

ノーベル文学賞作家として初の黒人女性トニ・モリスンは、この小説を6千万人の祖先達に捧げている。ビラヴドは愛されず死んでいったものたちの象徴であり、忘れ去れていたものたちの怨念が実体化したものだ。

物語の中で何度か繰り返される「人から人へ伝える物語ではなかった」というフレーズが印象的だった。あまりにも悪意に満ちていて残酷な過去は、セサにとって忘れたいものであると同時に語りたいものでもある。その深い葛藤が炎となって燃え上がり、すべてを焼き尽くしていくような、激烈で悲しい物語。かつての黒人奴隷に限らず差別や虐待、愛の不在を普遍的に描いているように思った。

・予想どおりに不合理
51FA5QzV-HL__SL500_AA240_.jpg

面白い。

人間は伝統的な経済学の理論ほど合理的な決断をしていない。だがその不合理な行動は十分に系統だって予想可能なものである。それが「予想どおりに不合理」というタイトルの意味である。消費者行動を操る心理学。

値の張るアントレをメニューに載せると、それを注文する人がいなくても、レストラン全体の収入が増える。5000円と3000円のコースが2つだけしかなければ安い3000円が売れるが、8000円のコースを加えると5000円を選ぶ人が増えるからである。メニューの作り方だけで消費者行動を操る実例がいくつも示されている。

たとえば25ドルのペンを買うときには7ドル安い店が近くにあれば移動してそちらで買う。しかし2000ドルのスーツを買うときには1993ドルの店が近くにあっても、今いる店で買うだろう。大きな買い物をするときは端数部分の金額の大きさが気にならなくなってしまう。

社会規範と市場規範という話も興味深い。弁護士の集団に1時間あたり30ドルで困窮している退職者の相談に乗る仕事をお願いするとほとんどの弁護士に断られた。しかし無報酬ならば話に乗る弁護士が多数現れたという。彼らの通常の報酬はかなり高いので市場規範で見れば30ドルでは安すぎる。だが、困っている人を助けるという社会規範で訴えかけられれば、タダでも動くのだ。

価格が支払った金額が高い薬ほどよく効くという実験も人間の身体に経済心理学が組み込まれていることの証で興味深い話だ。これからは風邪薬や目薬を買うときは一番高いのを買うことにしよう。

他にも、無料は単なる値引き以上の効果があること、性的興奮時は選択オプションに大胆になる、所有意識(所有者の売り手は買い手よりも高く評価してしまう)も価値であること、現金の代わりにもの(引き換え券など)を報酬にした実験は不正が多くなることなど、セールスや経営を考える人に参考になる話題が満載。

・ペコッぱ
310T0yO1yEL__SL500_AA280_.jpg

うなずき理論

人間の音声に反応して「空気を読んで」3種類のうなずき方をする植物型ペットロボット。机の上においてブツブツ独り言を言うと、これが反応して軽くパタパタする。「だよなあ?」なんて話し掛けるとうんうんとうなずく。

人は単に言葉だけでなく、うなずきや身振り手振りなど身体によるリズムを他人と共有して、互いに引き込むことで円滑にコミュニケーションをしているとする「うなずき理論」をもとにして開発された、そうである。

かなり愉快。場が和む。動く観葉植物はもっと大きいのを作っても良いかも知れない。
人間と同じくらいの大きさの樹木がユッサユッサと動いていたら不気味で素敵だ。枯れてしまう生身の木ではなくて、コミュニケーションを活性化する観葉植物は、オフィス開設の贈り物なんかに企業ニーズもあるかもしれない?。

「うなずき理論」の岡山県立大学・渡辺富夫教授のサイト
http://hint.cse.oka-pu.ac.jp/~watanabe/index.html

・ペコッぱ
http://www.segatoys.co.jp/pekoppa/index.htmlオフィシャルサイト

・夢をかなえるゾウ
yumewokanaeruzo01.jpg

不覚にも100万部売れてから読んだ。これ傑作ではないか。

なぜ今までこの本を読まなかったのかといえば、作者の水野さんを知っていたからだ。
私の記憶では、4年以上前、彼は持っている服を全部浜辺で燃やして全裸で海に浸かりながら「リボーン」と叫ぶ"ミズノンノ"であり、竹刀を片手に性愛を語る熱血教師水野愛也だった。何度か私と田口さんが主宰するイベントにきてしゃべってもらったことがあった。

・2004年05月21日 おしゃれ会議 満員御礼に感謝 報告第1弾
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/001557.html

「ミズノンノって誰?という方は勉強が足りません。あのミズノンノです。上のURLで確認してください。まあ、そういう事情で、持っている服をすべて燃やしてしまい、過去の手持ち服にとらわれないファッションの達人になると宣言しリボーン!した彼なので、今日も服がないのでジャージで登場。なにか叫んでいたのですが、すいません、覚えてません。彼自身がエンタテイメントなので、何か叫んでいたで十分でしょう。言葉を超えています。事情を知っている人は大爆笑、知らない人はあっけにとられて口をポカーンとされていました。成功です。彼はすでにベストセラー作家なのですが(ついでに言うと慶応出のインテリのはずなのですが)、おしゃる技術でリボーンして新たな前人未到の世界を切り拓こうとしています。今年後半で、もしかするとメディアで大ブレイク、来年の今頃は雲の上の人である可能性ありで、無敵会議実行委員会としては、彼に賭けており、その行く末を今後も見守らせていただこうっていうか次回も出てください、と思っております。」

このミズノンノが夢をかなえるゾウの作者の水野敬也氏である。4年ほど経ってミリオンセラー作家、本当に「雲の上の人」になってしまった。私はうっかり年下の変人が書いた自己啓発本だからということで、不覚にも昨日まで読まなかったのであった。

自分を変えたい"僕"の前に突然現れたぐうたらなゾウの神様ガネーシャは、自分を変えるための課題を毎日一つ出してくる。課題の中身は「靴を磨く」「募金する」「人を喜ばせる」など誰にでもできる当たり前の内容ばかり、本当にこんな神様の言うことで自分を変えることができるのだろうか?。半信半疑に思いながら部屋に居着いたガネーシャと奇妙な共同生活を始めるというストーリー。

僕とガネーシャのコントのような軽妙なやりとりの中で、現代人の人間心理の深く分析する記述が次々に出てきて驚かされる。なぜ自分はなかなか変えられないのかというところから始まって、変わるとはどういうことなのか、そもそも変わることに意味があるのか、という根源的な問いかけにまでおりていく。成功哲学本にありがちな成功者の嫌らしさがなくて万人が受け入れやすい内容になっている。万人というか100万人が読んだわけだが。

というわけで万人におすすめ。

・八甲田山死の彷徨
51SBPS7T29L__SL500_AA240_.jpg

ド迫力。

日露戦争前夜の1902年に起きた八甲田雪中行軍遭難事件を題材にした新田次郎の小説。映画化もされた。日本陸軍の冬季訓練中に参加者210人のうち199人が死亡した日本の登山史上で最悪の遭難事件である。

真冬の八甲田山は地元民でさえ怖がって立ち入らない地域であったが、帝国陸軍は対ロシア戦に備えてこの厳寒の山での長距離行軍訓練を行うことを決定する。ふたつの聯隊が選ばれて同じ日程で逆の行路を行くことになった。事実上の競争である。

「この雪中行軍が死の行軍になるか、輝かしい凱旋になるかは、この行軍に加わる人によって決ります。雪地獄の中で一人の落伍者が出ればこれを救うために十人の落伍者が出、十人の落伍者を助けるために小隊は全滅するでしょう。雪地獄とはそういうものです」

出発前より指揮官らは人間や組織が重要だと気がついてはいたが聯隊間の競争意識で目が曇った。面子を賭け大部隊での行軍を選んだ第31聯隊は、指揮系統の混乱により悲惨な壊滅状態へと陥っていく。上官らの判断ミスに兵卒が服従することによって状況をみるみるうちに悪化させてしまう。ピラミッド型の命令系統を持つ組織の致命的な問題点を浮かび上がらせた。

現実の八甲田山の遭難での階級別の生存者率は以下の通りだった。服従した兵卒達が圧倒的に高い割合で死んでいる。

准士官以上(16人)の生存者数 5人に1人
下士官(38人)の生存者数 13人に1人
兵卒(156人)の生存者の割合 31人に1人

真冬の八甲田山も怖ろしいが、200人の大部分を殺したのは明らかに人間の組織であったように思える。そして、こうした組織的な判断による破滅は、現代の企業組織にもよく見られるように思う。リーダーが読むべき失敗学の参考書として経営者にもおすすめ。

・小笠原流礼法で強くなる日本人の身体
51RZPoX9rAL__SL500_AA240_.jpg

800年続く武家作法、小笠原流礼法宗家が書いた日本人のための身体づかい論。

正しい障子や襖の開け方ってご存じだろうか。

「引き手に両手を添えて開けることが正しいマナーだと思っていませんか。ところが体の働きや物の機能を考えれば、両手で開けることは理にかなっていないことだとわかります。 引き戸である襖を左から右へ開ける際に、両手で開けようとすると、引き始めでは右手の上腕部の筋力を使い、体の中央を過ぎると、逆に左手の上腕部の筋力を使うことになります。 すると襖には斜めに曲がった力が加わり、しだいに襖はゆがんでしまいます。 まずは左手で襖を開け、体の正面で手を替えて、右手で開くというのが、腕の筋肉に沿った無駄のない動きであり、物を大切にする所作でもあるわけです。 これが古来の作法と形式的なマナーやエチケットとの違いです。」

というように、特に日本家屋や日本的な生活様式において、無駄がない動き方、自然に見える動き方を教えている。立つ、歩く、座るの基本から、お辞儀、礼、訪問・来客応対、名刺交換、着席、和食会食、酒席、冠婚葬祭などの細かな作法を教えている。

ひとつの流儀として一貫した作法だから、いくつかの基本原則を覚えると理解しやすくなる。たとえば息を合わせることがこの流儀の極意の一つだそうだ。

「なめらかで、かつ美しい動作をする秘密は、動作に呼吸を合わせるのではなく、呼吸に動作を合わせることです。」動作をするときに吸う。止まっているときに吐く。すると、一定のリズムで自然な動きとなり、見た目にも美しく映えることになります。呼吸に合った動作は疲れにくく、効率の良い動きでもあります。」

たとえば、礼をするときは「吸う息で上体を傾け、吐く息の間そのままとどまり、さらに吸う息で上体を起こすのです(礼三息)」というふうにやる。自然な呼吸のリズムで行うので、いつ頭を上げたらよいかに迷うこともない。相手の呼吸に合わせれば「息が合う」。

細かな作法に縛られたくはないが、逆に正式が何かを知らないと、堂々と自分流に振る舞うこともできないものだ。まずは日本のマナーの基本を知るのにこの本はとても勉強になる。

・グラウンデッド・セオリー・アプローチ―理論を生みだすまで
51E4GSJ2N7L__SL500_AA240_.jpg

本来はフィールドワーク研究手法の本だがビジネスマンが読んでも学べる部分が多い。分析の方法がわからない現象をどうひも解いていくかの考え方が見えてくる。

質的研究とは現象に関しての先行研究の蓄積が少なく変数が把握されていないときに用いられる研究手法のこと。対象へのインタビューや参加観察、手記や自伝、手紙、カルテなどの資料の読み込みを通じて、背後にある概念を抽出し、概念同士の関係を解明して理論にする。内容分析、KJ法、現象学、マイクロ・エスノグラフィー、ナラティブ・アプローチなど質的研究手法と並んで有力な手法が本書のテーマ「グラウンデッド・セオリー」である。

「グラウンデッド・セオリー・アプローチは、データに基づいて(grounded)分析を進め、データから概念を抽出し、概念同士の関係づけによって研究領域に密着した理論を生成しようとする研究方法です。」

グラウンデッド・セオリー・アプローチには、データの読み込み → コーディング → 理論的飽和という3段階のプロセスがある。

1 データの読み込み
データをひとつずつじっくりと読む。文脈を重視する読みをまず試みる。そして切り分ける。文脈と切り離した切片化を行い客観的に眺めることも大切。

2 コーディング
まずオープン・コーディングで切り分けられたデータにその内容を表現する簡潔な名前(ラベル)をつける。このときラベルにはプロパティとディメンションという属性とその値の情報も付記する。たとえば「置物」というラベルに「重さ」というプロパティに23グラムというディメンション。「色」というプロパティに「赤」というディメンションがあるという具合。そして似たラベル同士をまとめてカテゴリーをつくる。ディメンション → プロパティ → ラベル → カテゴリーの順で抽象度が高くなっていく。

次のアクシャル・コーディングでは、カテゴリとサブカテゴリー(いつ、どこで、どんなふうに、なぜ、など)を関係づけて現象をあらわす。そしてセレクティブ・コーディングでは現象を幾つも集めてより大きい現象を説明する理論をつくる。パラダイムの構造抽出やカテゴリー関連図という技法が紹介されている。

3 理論的飽和
そしてすべての現象に説明がつくようになった状態が理論的飽和であり、研究の完成段階を意味する。

という流れで研究を進めていく。

この本はこうしたプロセスについての詳しい説明書である。各段階での考え方や工夫が照会されている。たとえば理論的サンプリングという方法がある。

「たとえば、経験の長いC医師の分析の後に、経験の浅い医師からデータを収集して両者を比較したり、C医師とアメリカの医師のデータを比較したり、成人のがん専門医からデータを収集して小児科医であるC医師のデータと比較するとおもしろそうだなどと考えて、データ収集をおこなうわけです。」

量的な研究ではタブーとも考えられる方法だが、事例が少なく分析の枠組みが定まっていないような分野ではこれが有効なわけだ。まずは仮説をうみだすことが理論化に向けて重要な一歩になる。

データを集めたけど次にこれどう分析しよう?というときに読む本である。ビジネスやマーケティングの分野でも有効な気がする。

・「信用偏差値」―あなたを格付けする
417MyaTABmL__SL500_AA240_.jpg

大変面白かったです。

今年後半でよく使うようになった電子マネーのnanaco。自宅と会社近所のセブンイレブンでほぼ毎日使う。いま確認してみたらポイントが(利用料金の約1%与えられる)が900円を超えている。いつのまにか10万円近く使っていることに気がついた。これにSUICA、家電量販店等のポイントを加えると年間に数十万円も、私はいわゆる電子マネーを利用しているのだった。

この本によるとクレジットカードショッピング取扱高は毎年10%程度の割合で伸びている。2006年時点での総額が34兆円。発行枚数は2.9億枚で国民一人当たり二枚以上は持っている。これに対して電子マネーは2007年度に8444億円、2008年度に1兆3783億円、2012年には3兆2695億円に拡大すると見込まれている。クレジットカードと比較すると規模はまだ小さいがクレジットカードは月2.5件、電子マネーは月10件で4倍も使われている。日常生活に密着する点では電子マネーが強い。ここ数年、日銀券発行が減少に向かっている理由が電子マネーの普及でもあるらしい。メジャーだけでも10種類ある電子マネーの特徴や普及の状況、マイルのバブル崩壊の解説なども詳しい。

クレジットカードと電子マネーが融合していく傾向もあるのだが、統合が進むと、あらゆる決済が信用情報機関に集積されていくと怖ろしい面もある。日本でも米国と同様にこれまで別々だった銀行や保険やノンバンク、クレジットなどの信用情報を統合する方向に金融業界は動いている。この本の主題はその個人の信用格付け(クレジットスコア)が日本経済や社会にどのような影響を与えるかの未来予想である。

米国の個人のクレジットスコア評価基準というのが公開されている。

1 返済履歴(35%)
2 与信総額に対する利用総額の比率(30%)
3 クレジット履歴(期間)の長さ(15%)
4 ローン利用の実態(10%)
5 新しいクレジットカードを作ったか(新しい取引を始めたか)(10%)

年収や勤続年数、持ち家を高く評価する日本とかなりこの評価基準は異なる。

「日本では、五百万円借りている人と一千万円借りている人を比べると一千万円借りている人の方がリスクが高いとみなされ、警戒される。ところが、米国では一千万円、二千万円借り入れていても、その人が返済しているのなら、信用があると、前向きに判断される。返済ができているのは、それだけ収入があるからだと、考えているためだ。」

米国では、このスコアが住宅ローンや車のローン、転職などの人生のあらゆる局面で照会される。そして支払うべき金利や受けられるサービスが決定されてしまう。スコアが高い人はよいサービスを安く受けられるが、米国ではスコアの悪い人は良い人に比べて生涯で3000万円も多く支払わなければならないという。

「米国では、クレジットスコアを導入したことで、結果的に、サブプライムローンを発生させ、世界強行突入の元凶となった。さらに、この偏差値が一人歩きを始めており、金利だけでなく就職から転居、携帯電話加入まで、ことごとく格差を拡大する方向に働いている。富裕な人は金融から就職まで高いクレジットスコアの裏打ちがあって、プラスに働いてくれるが、信用力の低いサブプライムな人たちは、家を失ったり、就職試験に落ちたり、様々な不便を被っているのだ。」

信用情報機関は日本では銀行など金融業者のために設立されたが、米国では名簿業者から始まったため、マーケティングへの反映に制限が少なかったようだ。そして日本でも、万人に対する一定の金利の時代から、個人のスコアに応じた金利の時代への以降が今まさに始まっているという。

じゃあ、そういう時代にどうすれば賢いのか?という疑問へのアドバイスが明示されていて参考になった。ライフスタイルに応じた持つべきクレジットカード2種類のリコメンドや、スコアを高めるために注意するポイントなども詳しい。

電子マネーとクレジットカードに現状について裏も表もよくわかる良い本だと思う。非常に知識が増えた、勉強になった。

・鉄道写真テクニカルガイド
tetudoshasintechnicalguide01.jpg

鉄道写真を撮ろうと思ったことはないのだが、旅先で電車を見ると反射的に写真を撮ってしまう。当然、何のノウハウもないからうまく撮るのは難しい。新幹線や特急ホームで車両を何も考えずに撮影するだけではありきたりの写真になりがちである。

DSC_0101

まず鉄道写真には次の4つのジャンルがあることを知った。

「形式写真」 停止している列車の特徴を記録する
「編成写真」 走行している列車を撮影する
「鉄道風景写真」 風景写真と編成写真の融合
「イメージ写真」 流し撮り、夜間撮影、車窓風景、シルエット撮影など

形式写真では側面:正面が7:3になるのが基本的な構図。

鉄道写真の世界は広く奥深い。写り込む架線の処理なんてこれまで考えたこともなかったが、考えてみると難しい問題だ。

「複線・電化区間での構図の決め方で一番問題になるのが架線柱をどのように処理するかである。焦点距離の短いレンズでは、左右いずれかの架線柱や信号設備が入り込んだりすることもあるが、135mm-200mmクラスの望遠レンズであれば、画面ないから架線柱などを上手く逃して、理想的な構図を得ることができるだろう。」

そして、カーブを曲がる列車は編成写真の肝である。インカーブ/アウトカーブ、ローアングル/ハイアングルの組み合わせと、それぞれのパターンに最適な構図の作り方、レンズの選び方、シャッターや露出設定など、カーブの撮影は最も詳しくマニアックにコツを教えている。

本格的な編成写真は、あらかじめ撮影地を決めて三脚を立て、やってくる列車を待つのが基本撮影スタイル。前の列車で練習できるとはいえ、ピントはあらかじめ設定しておく「置きピン」が基本。

「線路にピントを合わせる際の注意点は、2本のレールのうち、手前ではなく奥のレールにピントを合わせるということだ。手前のレールやバラストにピントを合わせてしまうと、右から4分の1の位置でも実際にピントが合っている位置は、かなり手前の方(前ピン)になってしまうのだ。」

DSC_0037.jpg

人物ポートレイト写真も奥の瞳にピントを合わせよという教則を読んだことがあるが、レールも奥にピントなのだな。さらに車両全体を画面におさめる(切れるのは失格)ためには、距離感をつかむ必要があるが、「日本の線路は1本25メートルが基本案ので、ロングレールでなければ線路のジョイントの数と列車編成の長さから、画面の右端の位置を決めるのがコツだ。」という指導がある。

鉄道マニアでなくても、きれいに鉄道を撮影する秘訣を知ることができたのはちょっと嬉しい。勉強になる本だった。

・1日1鉄
http://railman.cocolog-nifty.com/blog/
著者の写真ブログ。

・顔の左右対称検査
http://www.vector.co.jp/soft/winnt/home/se447075.html
kaonosayutaishokensa01.jpg

美男美女の顔というのは左右対称性が高いという研究がある。寄生虫や病気や怪我などによって左右対称は妨げられる。だから左右対称な顔をしているというのは健康な個体であり、異性からも繁殖や庇護を求めるパートナーとして好まれるというのが理由らしい。

このソフトウェアは写真やUSBカメラの入力画像から、顔の左右対称性を計測する。

目鼻口頬顎などの12点をポイントして判定ボタンをおすと数値が表示される。

自分の写真でやってみたところこんな結果だった。(年をとるにつれ左右対称度が崩れてきている気がする...)。

kaonosayutaishokensa02.jpg

なおデジカメ写真を使わなくても、USBカメラを入力に使えるため、店舗やイベントなどでも使えるかもしれない。

対極にあるような、実は同じ方向性のような漫画2冊。どちらもにやりとわらえる。

・理系の人々
51PUMVxlyYL__SL500_AA240_.jpg

私は純然たる文系(政治学科)なのだが、普段、理系の発想や行動に共感するところが多い。気の合う仲間にも理系野郎が多い。テクノロジーや理論が大好きだ。散歩に行く場所は本屋か電気屋ってこのマンガにでているそのとおり。当然のようにデジタル新製品が出ると飛びついてしまう。先日もPomeraなんか買ってしまった。隣席の同僚ともチャットで会話する、だってその方が楽ではないか。バーチャルで間に合うものはバーチャルを優先する。パソコンに触っていること自体が楽しい。でも私は前述のように偽装理系なのだが...。理系の典型である作者が、その実態をコミカルに描いているから、理系的なものを笑いものにするというより、理系万歳の前向きな内容だ。明るい。

・女どうしだもの
519qqPHVs2L__SL500_AA240_.jpg

デパートに就職して女の園に勤務することになった新入社員えみこの毎日を描くマンガ。会社の給湯室的女子社会って、どんなかんじなのだろうかという男の好奇心をも満足させる実体解明本。お局様や派閥問題、井戸端会議の中身、男性社員を巡る女子社員の駆け引き。ハイレベルな心理戦。女どうしの社会では空気を読むってことがどれだけ重要かよくわかった。この水準から見たら、我々男はほとんど全員KYである。やれやれ男でよかった。

というわけで「理系」と「女どうし」と、ある種の生態系をデフォルメして描く2冊どちらもかなり面白い。

・中空構造日本の深層
511JKXFDV8L__SL500_AA240_.jpg

元文化庁長官の心理学者 河合隼雄の論考。もはや古典。日本の神話、昔話の分析を通して日本人の深層構造を理論化した。

1 アメノミナカヌシとタカミムスヒとカミムスヒの、アメノミナカヌシ
2 アマテラスとツクヨミとスサノオの、ツクヨミ
3 ホデリとホスセリとホオリの、ホスセリ

古事記にはそれぞれ3柱がセットで生まれてきたのに、その後の神話にほとんど登場しない影の薄い神がいる。たとえばアメノミナカヌシは漢字で書くと天之御中主であり、まさに世界の中心に位置する重要な神のはずなのに、その他の二柱と違って、古事記冒頭の記述以降はちっとも出てこない。アマテラス(太陽神)、ツクヨミ(月神)、スサノオ(海神)の組では、多くの文化で太陽神と月神はセットで活躍するのに、日本神話ではツクヨミの登場場面はほとんどない。ホデリは海幸、ホオリは山幸で有名な兄弟の争いの物語があるのに、一緒に生まれたホスセリはチョイ役で目立たない。

そしてスサノオは神々の世界を追放された手のつけられぬ暴れん坊であると同時に、出雲に降りて偉大な神となる。アマテラスは実の兄弟のスサノオに翻弄されて戸惑う存在である。著者はこういった動きを、日本の神話では何かの原理が中心を占めるということがなく、中空のまわりを巡回していると表現している。

「つまり類似の事象を少しずつ変化させながら繰り返すのは、中心としての「空」のまわりを回っているのであり、永久に中心点に到達することのない構造であると思われる。このような中空巡回形式の神話構造は、日本人の心を理解する上において、そのプロトタイプを提示しているものと考えられるものである。」

日本人はひとつの原理に統合されることを嫌う。天皇は第一人者だが権力者ではないというように敢えて「無為の中心」としておく。そしてその周囲の対立者たちもまた完全な善や完全な悪という立場をとらず、一方が他方をやりこめると次は必ずゆりもどしがくるという風に、巧妙に中空構造を保つよう均衡を維持してきた。

「中空が空であることは、善悪、正邪の判断を相対化する。統合を行うためには、統合に必要な原理や力を必要とし、絶対化された中心は、相容れぬものを周辺部に追いやってしまうのである。空を中心とするとき、統合するものを決定すべき、決定的な戦いを避けることができる。それは対立するものの共存を許すモデルである。」

「わが国が常に外来文化を取り入れ、時にはそれを中心においたかのごとく思わせながら、時がうつるにつれそれは日本化され、中央から離れていく。しかもそれは消え去るのではなく、他の多くのものと適切にバランスを取りながら、中心の空性を浮かびあがらせるために存在している。」

中空構造論から、日本には、自らの力で全体を統率する大統領的なリーダーが出てこないのは人材がいないからではなく「リーダーというよりはむしろ世話役」として全体のバランスをはかる人がまとめ役として求められてきたからだというリーダーシップ論にも発展する。

今読むと、多様な思想を共存させるエコシステムとして、日本人の精神の深層にある中空・均衡構造は、ネットワーク時代の世界が持つべき構造のヒントになりえる気もする。欧米型の中心統合構造に対して日本は劣っているのではなく、むしろ中空・均衡構造という優れた構造を持っているのだと胸を張るべきなのだ。まあ、胸を張って言わないのが中空均衡構造のリーダーでもあるのだけれど。

・仏教が好き!
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/001708.html
中沢新一と河合隼雄の仏教についての対談集。

・日本語と日本人の心
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004782.html
大江 健三郎,河合 隼雄,谷川 俊太郎という豪華な3人のパネルディスカッション

「声」の秘密

| | トラックバック(0)

・「声」の秘密
41JYlGSo4ZL__SL500_AA240_.jpg

「現代は誰もが個人情報に過敏になっている。ハッカーやクッキーに神経をとがらせ、データを保護する対策を講じる。そのくせ、個人情報が声から漏れだしていることには驚くほど無頓着だ。口を開いてしゃべりはじめた瞬間から、声は怖いほどに私たちの情報を漏らしている。何を話すかは関係ない。下水処理に関する法律の条文を読みあげているだけでも、体や心がどういう状態にあるか、さらに社会的地位までが暴かれる。服のサイズ、身長、体重、体格、性別、年齢、職業。こうした情報はすべて声から読み取とることが可能だ。性的嗜好が見抜ける場合も少なくない。」

イギリス人ジャーナリストが、人間の声を生物学、心理学、社会学、文化人類学、ジェンダー学などの多彩な切り口から分析していく。声には全人類が共有する普遍的な部分もあれば、所属する社会や個性で大きく違う部分がある。

世界的な比較を行うと日本人女性ほど高い声で話す女性はまずいないそうだ。日本人女性が丁寧にしゃべる時の声は450ヘルツで、イギリス人女性の最高値320ヘルツと比べて異常なまでに高い。国際的には 日本人女性 > アメリカ人女性 > スウェーデン女性 > オランダ人女性という順だそうだ。理想の男性像と理想の女性像の差がないオランダ社会の女性たちは高い声を使わない。

日本女性は身体が小さいということもあるが、それ以上に最近まで女性には女性らしさが求められてきたからではないかと分析されている。男女の身体構造の違いに起因する高低差以上に、実際に男女が使っている声の差は大きい。男も女も文化的な理由で高い声や低い声を出しているのだ。

確かに私たち日本人は、若い女性が電話に出る時、はじめて同士で自己紹介するときなどは高い声を期待してしまう。女性が低い声だと不機嫌なのかなあと勘ぐってしまうくらいだ。男性の気をひく女性の声も、やはり高い声である必要がある、だろう。

楽器と同じように大きい構造からは低い音がでる。だから、攻撃的な男性は自分の体が大きいことを相手に知らせるために低い声を選ぶ。逆に服従する人間は高い声を出して自分を小さく見せる。「高い声イコール服従、低い声イコール攻撃」の生物進化論的な図式が文化にも反映されたのではないかと考えられている。

一方、幼児の話すリズムは「人間メトロノーム」があるのかと思えるくらい共通部分が多い。赤ん坊がバブバブ言う時は一つの音の長さが約0.35秒でどんな文化でも変わらない。子守唄のリズムやメロディは世界中で似ている。赤ん坊と母親が互いに注意を向けあうサイクル(赤ん坊が乳首を吸う長さなど)は世界中どこでも3秒から6秒である。

「母と子が言葉によらない声のやりとりをするとき、そのタイミングは大人同士の会話のタイミングと非常によく似ている。こういうやりとりが「原会話」と呼ばれるのも無理はない。赤ん坊は、言葉で話すようになるはるか前からリズムで話すのを覚える。」

そして、子どもが大きくなるにつれて次第に文化の影響を受けて声のコミュニケーション様式は各文化仕様に変化していく。声から個人情報が怖いほど読み取れるというのは、先天的な部分の共通度が高く、こうした後天的な部分で差が大きいからなのだろう。

この本ではこうした生物的な声、社会的な声の基本を論じた後、大統領、首相、独裁者の声の分析や、音声合成テクノロジーの進歩で声が盗まれる話とか、映画やテレビやパワーポイントが変えた声など、声に対していろいろな角度から迫っている。

・奇跡のハイトーンボイストレーニング―プログラムCD付き 高い声を手に入れる
http://www.ringolab.com/note/daiya/2008/11/post-861.html

・日本人の声
http://www.ringolab.com/note/daiya/2008/09/post-839.html

・声のふしぎ百科 - 情報考学 Passion For The Future
http://www.ringolab.com/note/daiya/2005/12/post-322.html

・7秒のイメージ・マジックであなたの声はもっとよくなる―相手を説得する、声の印象が変わる、気持ちが伝わる
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/003015.html

・いつまでも、いつまでもお元気で―特攻隊員たちが遺した最後の言葉
itumademoitumademoogenkide01.jpg

昭和二十年の3月から6月にかけて鹿児島県知覧の基地から特攻隊として沖縄周辺に散ったに若者たちの遺書を、美しい風景写真とともに収録している。ほとんどが二十代ということもあり「御母様、いよいよこれが最後で御座います」という風に、実の母親に別れと感謝を述べるものが多い。

itumademoitumademoogenkide02.jpg

有名人の辞世の句と違って、公開を意図していない個人的な遺書ばかりだ。飾らずまっすぐに心がこもっていて、胸打たれるものが多い。戦争や特攻隊という文脈と切り離して読んだ。人間が文字通り必死で伝えようとしたメッセージの強さを感じた。

一番、印象に残った手紙を引用してみる。

  あんまり緑が美しい
  今日これから
  死にに行く事すら
  忘れてしまいそうだ。
  真っ青な空
  ぽかんと浮かぶ白い雲
  六月の知覧は
  もうセミの声がして
  夏を思わせる。
  作戦命令を待っている間に
  小鳥の声がたのしそう
  「俺もこんどは小鳥になるよ」
  日のあたる草の上に
  ねころんで
  杉本がこんなことを云っている
  笑わせるな
  本日十三、三五分
  いよいよ知ランを離陸する
  なつかしの
  祖国よ
  さらば
  使い慣れた
  万年筆を"かたみ"に送ります。
   「枝幹二 22歳」

偉大な詩人の才能が失われたのか、死を前にしたからこそ詩の才能が解き放たれたのか。巻末には書き手の隊員の写真付きプロフィールがあって感慨深い。

itumademoitumademoogenkide03.jpg

百式の田口さんと共同で主催をはじめて、実に6年目の「忘年会議」。

今年もYahoo! JAPANさんのご協力のもと六本木ミッドタウンで開催します。内容も例年通りではありますが、参加者のみなさんの投稿によって「究極のウェブ」を選んだり、検索ワードで今年のトレンドを振り返ったり、豪華ゲストが登場したりの3時間。

以下、プログラムと開催概要です。

■ プログラム

【第一部 発表!究極ランキング!】

みなさんの投稿から読み解く「究極のウェブ」ランキングを発表します。

【第二部 特別ゲスト】

今年大ブレイクした「夢をかなえるゾウ」を書いた水野氏にいろいろお話を伺います。大ブレイクした理由、ドラマ化などの裏話、今後の展望など、来年「夢をかなえるための」ヒントを一緒にさぐります。

【第三部 検索キーワードで読み解く2008年】

日本の検索サービス最大手のYahoo!検索チームから、検索キーワードのデータを使って2008年を振り返ってもらいます。彼らの持つ検索データと分析を披露していただき、来年に向けてのヒントをもらってしまいましょう。

【第三部 主催者2008~2009】

主催者の二人は2008年に何を考え、2009年に向けて何にチャレンジするのか。

【第四部 全体会議】

最後はもちろん全員参加の全体会議です。わいわいと交流しながら来年のトレンドを議論しましょう!

■ 開催概要

日時2008年12月13日(土)
17:00~20:00(忘年会議)
20:00~(忘年会)
場所Yahoo! JAPAN社内会議室(六本木ミッドタウン)
詳細は参加確定者にお知らせします。
費用忘年会議は無料。その後の忘年会は実費(3~4千円程度)。
定員抽選で100名程度
協力ranking.gif
備考全員参加の会議を実施します。筆記用具をお持ちください。

■ 事前課題

忘年会議へのご参加には事前課題への投稿が必須となります。お申し込みの際には下記の質問にお答えください。

Q1. 2008年、あなたにとっての「究極のウェブサイト」のURLを教えてください(あまりみんなが知らないようなサイトだとうれしいです)。

Q2. そのサイトが究極である理由を具体的に教えてください。あなたの生活が変わった、ビジネスに役に立った、悲しい日に元気づけてくれた等々、具体的なエピソードを交えて回答してください。

※ 投稿されたアイディアは主催者、参加者、協力・協賛企業によって自由に使用される可能性がありますのでご了承ください。

■ お申し込み

忘年会議のお申し込みは下記フォームにて12月5日(金)の正午まで受け付けます。抽選結果は12月7日中にお知らせします。

» 「忘年会議2008」へのお申込はこちらから!

なお、忘年会議に参加できない方からも「究極のウェブ」投稿を受け付けています。投稿された方には忘年会議開催後に全投稿リストをプレゼントします。他の人がどんなウェブを究極だと思っているのか知りたい方は是非ご参加ください!

» 会議には参加できないけど「究極のウェブ」を投稿したい方はこちら!

それではあなたのご参加をお待ちしております!

このアーカイブについて

このページには、2008年12月に書かれたブログ記事が新しい順に公開されています。

前のアーカイブは2008年11月です。

次のアーカイブは2009年1月です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。

Powered by Movable Type 4.1