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電子出版イノベーション 7つの突破口
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日本電子出版協会 定例会運営委員会のイベントで「電子出版イノベーション 7つの突破口 」というテーマの講演をさせていただきます。「昨年に大好評だった橋本氏を再びお招きし」と書いていただいてうれしいです。私は単なる本好き、出版人というわけではありませんが、ITビジネスとの境界線上にいる人間として、メディアのイノベーションを考えてみたいと思います。

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     電子出版イノベーション 7つの突破口
 ~ 読者視点で発想する、読みたい、買いたい電子書籍の未来形 ~
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 電子の黒船は来たけれど、なかなか文明が開化しない日本の出版市場。 英語にクリーン・スレート(きれいな石板)という言葉がありますが、これまでの常識にとらわれず、ゼロから発想することこそ、日本の出版業界の新しい石板(メディア)づくりのキーワードかも知れません。
 今回の定例会は、現状の「儲かるコンテンツ」や「売れるしくみづくり」を考えるのは一旦やめにして、読者はどんなコンテンツならば読みたいか、買いたいかという視点から、「7つの課題」を整理します。
 そして、各課題に対して新潮流や新技術をテコとして、成長率が急上昇カーブを描くような新市場を生み出すイノベーションをワクワクしながら発想します。
 昨年に大好評だった橋本氏を再びお招きし、電子出版の読者として視点から熱く語っていただきますので、奮ってご参加ください。

【講師】 橋本 大也 氏 (データセクション株式会社 取締役会長)

【日時】 平成25年9月4日(水) 15時30分~  (受付開始 15時)
【場所】 研究社英語センター B2 大会議室
東京都新宿区神楽坂1-2 (JR・メトロ/飯田橋駅から徒歩5分)
【参加費】 会員社、 無料   
非会員社、¥2,000円/人(当日ご持参下さい。引換えに領収書を発行します)

※内容は一部変更になる場合がございます。予めご了解ください。
※JEPA会員社は無料です。
※JEPA会員社は下記URLに記載されている企業・団体のみです。
http://www.jepa.or.jp/member/kaiinsha.php
会員社の法人構成も複雑になり、事務局で把握することが困難となりました。関係会社それぞれが個別に会員になられている場合もありますので、JEPA会員社リストに社名掲載の企業・団体以外は原則的に「非会員」とさせていただきます。
グループ企業で登録しているJEPA会員は、会員登録企業名で申し込んでください。

お申し込みはこちら
http://kokucheese.com/event/index/104539/

風立ちぬ 公式サイト
http://kazetachinu.jp/
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映画「風立ちぬ」を観た。空に憧れて 空をかけてゆく あの子の命はひこうき雲。ユーミンの歌が良かった。実に綺麗なファンタジーでありました。拍手。

風は吹いているか?夢の中で少年は憧れの天才飛行機設計者に問いかけられる。美しい飛行機をいつか作る。後のゼロ戦設計者の二郎は、大人になり時代の風、運命の逆風に立ち向かう。

ものづくりエンジニアの夢がメインテーマなのだが、技術はセンス、創造的人生の持ち時間は10年だというセリフがある。今を生きろというメッセージ。でも、それ過ぎちゃったら、後進の指導に回れということかなあ。いつがその十年なのかはわかりませんがね、まだ私も、とか思ってしまうのは年齢か(笑)。

1920年代の日本。不景気と震災が現代に通じるが、空気は相変わらずの懐古趣味。これじゃ、ある年代以上にしか受けないのでは?という私の予想を裏切って、Facebookつながりの今の大学生たちが良かった、と言っている。そうか、逆に新鮮なのか。逆に上の年齢には酷評する人も。

すれてない目で見ないと感動できない作品。醒めない夢の中に生き続けた二郎はすごい。凡人はちょっと風が強いと醒めてしまうからなあ。

かぐや姫の物語 公式サイト
http://kaguyahime-monogatari.jp/
次も気になりますが。

映画『図書館戦争』公式サイト
http://www.toshokan-sensou-movie.com/index.html

図書館戦争を観てきた。ファンタジーと恋愛。気軽なエンタメ映画としてはよかった。のんびりした図書館と激しい戦闘という組み合わせが意表を突いた。続編があれば観るだろうな。実は私は原作は読んでいない。図書館ものだから読まなきゃなと思いながらもずるずるときて映画で内容をようやく把握。

舞台は昭和の後の元号が「正花」となった平行世界の日本。メディア良化法の施行によって表現の自由が制限されている。書籍の検閲が強化されており対象図書の範囲が大きく拡大されている。書店や図書館側は、法に基づいた対抗組織の図書隊に望みを託す。良化特務機関と図書隊は武装を認められており、警察権力は両者の争いには介入しない方針をとっている。表現の自由をめぐる戦争の物語。

作中に出てくる「図書館の自由に関する宣言」は現実の日本図書館協会の綱領だ。この宣言については知っていたが、まさか映画でこんな地味な内容にスポットライトが当たるとは...。

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「図書館の自由に関する宣言」
 図書館は、基本的人権のひとつとして知る自由をもつ国民に、資料と施設を提供することを、もっとも重要な任務とする。この任務を果たすため、図書館は次のことを確認し実践する。
第1 図書館は資料収集の自由を有する。
第2 図書館は資料提供の自由を有する。
第3 図書館は利用者の秘密を守る。
第4 図書館はすべての検閲に反対する。

図書館の自由が侵されるとき、われわれは団結して、あくまで自由を守る。
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最後の一文がしびれる。この宣言を起草した人たちは学生運動の闘士みたいな人たちだったのだろうか。この宣言から妄想が広がって戦争につながったのだろうか?


映画のアナザーストーリーがウェブで公開されている。

図書館mini戦争 | Angle Pictures
http://toshokan-mini.anglepic.com/

・夢売るふたり
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西川美和監督作品。一筋縄ではいかない、相互依存する男と女のドロドロ関係がたまりません。女優 松たか子最高。

幸せになるか不幸になるかは別として長年連れ添えるのは、相互依存する夫婦なんじゃないだろうか。それは互いの足りないところを補完し合うなんてキレイごとじゃなくて。

片思い、両思いという言葉が恋愛初期にはある。でも、二人の関係が長く続くと、単純な片思いの双方向化では説明できないはたらきが生まれる。泥沼みたいなどうしようもない場の引力が創発して二人を穴に引き込む。

お前、俺の稼ぎが少なくてハズレつかんだと思っているだろうと夫は妻をなじる。妻は別にそんなことは思っていないのだが、否定しても肯定しても、夫はそうに決まっていると自分を追い詰めていく。妻はそれを見て、だめな男に尽くす自分に生きがいを感じる。

阿部サダヲもいいんだけれど、松たか子の暗い表情が、喜怒哀楽の分類に収まらない複雑な心情をとらえている。前半で浮気されて食パンをむさぼり喰うシーンはわかりやすい修羅の表情で良かったが、話が進んで事情が複雑になるにつれて彼女に求められる演技は難しくなっていく。愛憎や損得の相互依存の表情を見事に計算して表現してみせた。出てきた頃は良家のお嬢様みたいなキャラだったのに凄い女優になったなあと思ったら、この作品で彼女は、2013年 第36回日本アカデミー賞 優秀主演女優賞をとっているのだった。

サラの鍵

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・サラの鍵
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第二次世界大戦のパリ。ドイツ軍に予告なく家を訪問され収容所に連行されるユダヤ人家族。姉のサラはアパートを出る時、とっさの判断で幼い弟を納戸に閉じ込めた。その鍵をサラは握りしめて過酷な日々を生き抜いた。ドラマはその60年後、そのアパートを所有する女性ジャーナリストが、サラの足跡をたどるところから映画は始まる。

これは好きな映画だ。終盤にいたるまで誰のための何の話なのか読めない。ありきたりな起承転結ではないから、見ている間、この話はどこへ落としてくれるのだろうという吊り上げられ感がある。だがミステリー仕立ての緊張感を持った展開が続く、そして登場人物も魅力的に描写されていくので、飽きることがなかった。そして何よりラストではちゃんと受け止めてもらえた。メッセージを受け取れた。それはアウシュビッツに至るユダヤ人迫害の記録であり、傷ついた少女の話もであり、現代を生きる子供たち家族の再生の物語であり、多元的な展開が見事につながっていった。

モデルになったのはフランスのパリで発生したディヴェール大量検挙事件。ユダヤ人の悲劇はドイツだけではなかったのだ。初めて知る残酷な事実に衝撃を受けた。真実を知ることは時として残酷だけれど、真実を乗り越えていかなかったら、本当の人生はない。そういうメッセージかなと私は受け取れた。いい映画見たなあとしみじみ思える良作。

映画『サラの鍵』公式サイト
http://www.sara.gaga.ne.jp/

原作小説は300万部のベストセラー。

孤高のメス

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・孤高のメス
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DVDで『孤高のメス』(2010)を観た。久々に大感動した。当時劇場に行かなかったのを後悔。

「やっぱりこの俳優(女優)はうまいなあ」と思わせる程度では凡庸なのだ。登場人物が俳優であることを忘れさせ、芝居であることを忘れさせるくらいのリアリティを作り出す映画こそ一流だと思う。そういう意味でこの映画は一流だと思う。生真面目な看護婦役の夏川結衣による迫真の演技にすっかりやられた。踊るとか相棒とか見ている場合じゃないぞ、と。次元が違うから。大傑作『八月の蝉』の成島出監督作品。

日本初の生体肝移植。法を超えて命を救うことに全身全霊をかけた医療現場のハードコアドラマなのだけれど、私が感動したのは大義名分の美しさではなくて、厚みをもって描かれた人間像。尊敬できる医師が赴任してきて、現実に疲れていた中年看護婦が生気を取り戻していく。医師にメスを渡すときの「ハイ」の一言が以前とまるで違うものになってしまう。「ハイ」一言で内面の成長を感じさせてしまう夏川結衣の演技力が凄い。

それから、私はこの映画は社会派作品というよりも本質は大人の恋愛物語なのだと思う。病院が舞台なので役者たちは化粧っ気がないし、筋立てにもラブストーリーに必要な要素がほとんど登場しないにも関わらず、人を好きになるということを純粋に描いた傑作だと思う。

この映画は大傑作だがひとつだけ難点がある。リアリティ追求のために、手術シーンも、開腹した内臓をアップで写すのだ。血液や内臓のビジュアルが苦手な人(私ですが...)は、鑑賞中にその手のシーンになると、画面の端っことか天井に目を向けながら横目でちらちら見ることになる。しかも手術内容は物語の筋とも関係があり見逃すことはできない因果なつくりになっている。

『孤高のメス』 予告編 - YouTube

企画展「波瀾万丈!おかね道―あなたをうつし出す10の実験」を日本科学未来館でみてきた。一見、地味な展示なのだが、知的好奇心を満足させる内容で面白かった。すいているときにいって、じっくり考えながら体験するのがおすすめ。

・企画展「波瀾万丈!おかね道―あなたをうつし出す10の実験」
http://www.miraikan.jst.go.jp/sp/okane/
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お金の使い方をめぐって自分自身を明らかにする脳科学、心理学、ゲーム理論、物理学、経済学の実験が10個。たとえば見知らぬ相手と対面に座って取引。相手がどう出るかによって、自分の所持金が変化するゲーム。社会的ジレンマや認知的不協和、損失回避傾向、現在バイアス、アンダーマイニングなどを体験できる。選択肢がおかね手帖に記録されるので一緒に行った人との違いが見えて楽しい。ちなみに私は現在バイアス強くて認知的不協和があって公平です。最後に10の実験回答の統計があって、え、それはみんなのそんなに?と意外な項目もあり。

こうした内容を先行体験できるアプリが公開されている。

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展示はこのような構成だがいくつかをアプリでも体験できる。

実験場(1) 「ホモエコノミカスの実験場」 ~まずは自分の合理性をチェック!
実験場(2) 「ヒューリスティクスの実験場」 ~待った! その買い、間違えていませんか?
実験場(3) 「同調伝達の実験場」 ~あなたのその判断が、バブル経済を起こす
実験場(4) 「認知的不協和の実験場」 ~お金=満足=幸せ?
実験場(5) 「アンダーマイニングの実験場」 ~ごほうびとやる気の深い関係
実験場(6) 「現在バイアスの実験場」 ~計画だおれの理由、ここにあり!
実験場(7) 「プロスペクトの実験場」 ~確実をとるか、リスクをとるか?
実験場(8) 「ベキ分布の実験場」 ~ウォール街のデモはなくならない
実験場(9) 「社会的価値志向性の実験場」 ~不公平との終わりなき闘い
実験場(10) 「社会的ジレンマの実験場」 ~協力を生みだす意外なヒケツー

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ただ何も知らないで体験した方が新鮮な驚きと学びがあるので復習コンテンツとして使う方がいいかもしれない。

波瀾万丈!  おかね道 - National Museum of Emerging Science and Innovation (Miraikan)

国宝 大神社展
http://daijinja.jp/
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国立博物館の国宝 大神社展をみてきた。神社庁と全国の神社パワー結集の神道美術展。国宝と重要文化財が160件。二度と見られないかもしれないという御開帳百連発的な企画。最終コーナーの神像勢揃いが凄い。一体一体が神社に戻れば貴重なお宝、ご神体。百済王が倭王に贈った七支刀(国宝)も実物が見られて感激。音声ガイドには説明のBGMに御神楽や雅楽が収録されていておすすめ。

グッズコーナーでは「ジンジャー飴」とか「ジンジャークッキー」が売られている。極め付けは「神社エール」だった。

ところで国立博物館は最近完了した東洋館とミュージアムショップのリニューアルもみどころだった。

長期間の工事だった東洋館改装の第一印象は、以前と同じような内部構造で大きく変わっていないというものだったが、展示作品に対する照明がとてもよくなっており、国立博物館らしい品格が備わった気がした。

インパクトが強かったのが新ミュージアムショップ。すっかり明るくモダンな雰囲気になった。

東京国立博物館 ミュージアムショップ
http://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=125
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こんなのを買ってきた。

土偶と埴輪のミニオブジェのセット
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これは机の横に並べるのにちょうどよいサイズ。

土偶の金属製ブックマーク
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金属製のしおりは本を傷つけやすいので敬遠しがちですが、これは一目ぼれ。

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2013年NHK大河ドラマ 特別展「八重の桜」。江戸東京博物館でみてきた。5月6日で終了で今後は福岡と京都で開催。

ドラマは毎週見ている。にしゃは、なじょすて、くなんしょ、など独特の会津弁をだいぶ覚えた。視聴率は伸び悩んでいるがこの展示は大人気。音声ガイドはドラマと同じ草笛光子なのが素晴らしい。

松平容保が肌身離さず持ち歩いた孝明天皇の御宸翰や、鳥羽伏見の戦いの時の瓦版、山本覚馬の建白書など、今回の展示は手紙モノが多いのだが、地味なのに歴史を実感できるものばかりで感動した。新島襄が妻の八重に当てた手紙が長文で2メートルもつれづれ話を書いていたり、長生きした八重が晩年に襄の書と同じ「心和得天真」という文言の書を書いていたり。この二人はかなり仲が良かったのだな。川崎尚之介との離婚の詳細は不明、ドラマではどう描かれるか。

今後のドラマで出てきそうなモノがいっぱいあって今後も確実に最後まで観るであろう私のような熱心な視聴者は行く価値がある。

なぜ会津がぼろ負けする話を大河ドラマにしたのだろうと疑問におもっていたが「戊辰戦争の敗戦から立ち上がる人々の姿を通して、復興へのメッセージを伝えていく」という趣旨だったのか。しかし、敗戦後の八重は京都に行ってしまい同志社や篤志看護婦として活躍するわけで、復興フェイズの福島が描かれないような気がするのだが、後半の展開が気になる。

・2013年NHK大河ドラマ 特別展「八重の桜」
http://www.nhk-p.co.jp/tenran/20120926_171430.html

八重の桜 前編 (NHK大河ドラマ・ストーリー)
http://www.ringolab.com/note/daiya/2013/01/-nhk.html

・新島八重 明治維新を駆け抜けた才女
http://www.ringolab.com/note/daiya/2012/11/post-1732.html

・新島八重 愛と闘いの生涯
http://www.ringolab.com/note/daiya/2012/11/post-1731.html

・幕末銃姫伝―京の風 会津の花
http://www.ringolab.com/note/daiya/2012/07/post-1677.html

・おおかみこどもの雨と雪 BD(本編1枚+特典ディスク1枚) [Blu-ray]
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ブルーレイで「おおかみこどもの雨と雪」をみた。予想外の内容で感動した。大人向けアニメの傑作と思いました。「私が好きになった人は、"おおかみおとこ"でした。」。だから、オオカミの道と、人間の道、どちらも選べるように、子供を育てた母の物語。

親と子の成長の普遍的な姿を描きながら、説教臭くなく、甘くもなく、本物の出汁の味で、大人ならわかるみたいな味付けにしびれました。ジブリ作品にありがちな伝統的な価値観、倫理観の押しつけがましさみたいなものがなくて、私はこの方が好き。

「しっかり生きて」という主題歌も素晴らしい。

男の子の生き方、女の子の生き方の違いというのもうまく描き出していたと思う。

★★★★★。

でも、これ子供と映画館に行った家族もいたでしょうね。子供にはちんぷかんぷんであったでしょうね。いや大人でも相当に感想がわかれそうな作品ではあります。年代や子育ての有無、段階によってまた感じ方が違ってくるはず。公開時も評価が微妙で、大ヒットとはならなかったのがうなずける名作なのでした。

「おおかみこどもの雨と雪」
http://www.ookamikodomo.jp/index.html

今年もNTT R&Dフォーラムに参加してきた。

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GOOラボの今回のワークショップのファシリテーターはなんと現代(サブ)カルチャー分析の天才 濱野智史氏。テーマは「ネット社会における生活空間の変容と未来」。

いきなり、就職も恋愛もない『漏れ落ちた人々』というキーワードが提示された。このネガティブにも響く言葉は、ここではいわゆる格差デバイドとは違った意識で扱われている。

濱野さんの連れて来た頭良さそうな「漏れ落ちた」アイドルオタクの若者たちとともに、NTTの先端技術でAKBのライブや握手会議をエンハンスするイメージを検討するところからセッション開始。

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3D立体映像音響でAKBと話したり、生体信号センサーでAKBと総選挙のドキドキを心拍数で共有したり。。。莫大な研究開発投資が、アイドル萌え消費に収束するアイデアが連発。まあ、ソーシャルゲームもソーシャルネットワークも、ある意味、幸せに漏れ落ちる技術なのではないか。必要を満たす以上の発想が求められる。サービスデザインとしては面白い領域。

これまでのテクノロジーは人間の能力の拡張志向だと思う。できなかったことができるようになるとか、競争に勝つための技術を追求するリア充系技術だったと思う。しかしネット社会が成熟してくると、ネットに埋もれて案外幸せに完結して暮らす人たちが現れてきて、それがしっかりマーケットとして、カルチャーとして育ってきている。時の過ぎゆくままに、墜ちていくのも幸せだよと、本気で思ったり。

それでグローバルコンペティションは厳然としてあるわけだが、そこでは日本の下流は世界の中の上くらいの位置であるととらえることもでき、「漏れ落ちた」とはいったって、アフリカの飢餓に苦しむ難民とは違う。だったらオタクの楽しさに未来を見ても良いのじゃないか。その先に新しい社会や経済を夢見るのも、ひとつのあり方なのではないか、と。

便利、安心、使いやすいという否定できない共通項を追い求めても限界がきており、オタクの楽しさみたいなニッチに対して次々にサービスを打ち出すということも重要なのではないか。

漏れ落ちたがキーワードのこのワークショップは、同じ時間帯に行われているNTT社長の"バリューパートナー"がテーマの基調講演とは、たぶん逆のことをいっているのだろう。両面の真理を扱っているのが、このフォーラムの懐の深さというか、レベルの深さだと思う。カルチャーの側面からテクノロジーを探究したこのセッション、本当に面白かった。濱野さん天才。

セッションにはグラフィックファシリテーターのやまざきゆにこ氏が参加して、みんなの議論をリアルタイムに絵にしていった。発言内容がみるみるうちに大きな絵に描かれていく。とりとめもなく話しても明解なイラストで可視化される。この職人技は何度みても感動してしまう。で、絵にした人が一番がわかっていたということで、セッションの詳しい内容は、下記のブログエントリがおすすめ。

・市場を動かすアイドルヲタ(←!)のハート@gooラボイベント
http://www.graphic-facilitation.jp/cp-bin/blog/index.php?eid=226

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このブログでは、原作の小説を、「もうすぐ映画化」される作品として7年前に紹介している。その後、製作が二転三転し、結局『グリーン・ディスティニー』『ブロークバックマウンテン』のアン・リーが監督やっと完成、公開となった。

待っただけのことはあって、もうすぐ発表のアカデミー賞を『レ・ミゼラブル』とで二分するのではないかというくらいの名作になった。原作とおなじくらい素晴らしい。

インドで動物園を経営する一家がカナダへ動物たちと引っ越すために貨物船に乗る。船は波にのまれて沈没し、唯一の生存者である少年のパイは、救命ボートに乗り合わせたトラとにらみ合いながら227日間の漂流を始める。

カナダ人の原作に、インド人の俳優が出演して、台湾人の監督が撮った。主人公の少年は3つの宗教を信じている。作中で沈む船は日本船籍。ハリウッド映画なのだが、エキゾチックな感性に彩られていて新しいと思った。主人公と漂流するベンガルトラをはじめとする動物たちや海の映像の美しさは特筆に値する。IMAX3Dで観るのがおすすめ。

どうやってトラを演技させたのだろう?と謎だったが、Webをみたらナルニア国物語のCGを担当した会社が、監督の「あのライオンよりもリアルに」という要望に応えて、ほぼフルCGでリアルなベンガルトラをつくりだしたとのこと。本物にしかみえない。

・ライフ・オブ・パイ / トラと漂流した227日
http://www.foxmovies.jp/lifeofpi/

・原作小説『パイの物語』
http://www.ringolab.com/note/daiya/2006/09/fpfcoee.html

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昨日は神奈川県民ホールで第85回舞台芸術講座 「チェンバロ」の魅力―はじかれた弦の美しさ―というコンサートイベントに行ってきた。ギターを練習していたころ、先生から教えられてバッハのインベンションとシンフォニアのCDを聴き、その独特の音色が好きになり、いまだにはまっているという経緯のチェンバロ。めったに実物とおめにかかれない楽器なわけで生演奏ははじめて。

プログラム
 W.A.モーツァルト:きらきら星変奏曲
 J.P.ラモー:ミューズたちの語らい
 F.クープラン:神秘の障壁
 L.クープラン:組曲 ハ長調
 C.ペッツォールト:メヌエット ト長調
 J.S.バッハ:イタリア協奏曲
 L.アンドリーセン:オルフェウスへの序曲
チェンバロ・お話し:大塚直哉(東京藝術大学准教授)

という古楽器の魅力を伝えるバラエティのある選曲と、演奏者による解説も充実していて素晴らしかった。チェンバロ(ドイツ語)とハープシコード(英語)とクラブサン(フランス語)は同じ楽器ですという基礎知識や、各国製作のチェンバロのデザインや響きの傾向という専門的な話までトーク部分もこの先生の人柄がよくてききやすい。

CDでは電子音に近い金属音だと感じていたが、このホールのチェンバロはフランス製でやややわらかい響きをする。もちろんマイクなどは通さない生演奏。CD以上に弦をはじいて出すという感覚が生々しく魅力が伝わってきた。

現代作家の前衛的な曲では日本の琴のような響きをすることもあるのが意外だった。確かに弦を弾く原理が同じなわけだが。終了後はチェンバロの蓋をあげて調律師の内部説明や応募者による公開練習もありもりだくさん。次回は11月開催。

大塚直哉オフィシャル
http://homepage3.nifty.com/utremi/

・バッハ インヴェンションとシンフォニア

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頭の中が整理されて明晰になる気がして大好きなチェンバロの一枚。

・HG 1/144 GPB-04B ベアッガイ (模型戦士ガンプラビルダーズ ビギニングG)
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毎年年末にひとつ作るガンプラですが、今年は邪道のベアッガイです。赤いランドセルに縦笛をつけた唯一の小学生モビルスーツ。私もよく知らないのですが「「模型戦士ガンプラビルダーズ ビギニングG」より、主人公イレイ・ハルの友達、ノヤマ・リナが所有する改造ガンプラ!GPB-04B ベアッガイ」という設定だそうです。

ファースト以外はガンダムではないが信念の私ですが、あまりのインパクトのあるビジュアルにAmazonで衝動買いしたのが2年半前。以来、自宅に箱のまま、なかったものとして保管していたのですが、今年は新路線やろうという思いつきで、遂に作ってしまいました。HGのため、例年のMGと比べて作りは簡単。ベースのアッガイの造形の秀逸さに改めて気がつかされる。

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144分の1スケールなので体育座りなどの柔軟なポーズは無理だが付属の腕を伸ばすパーツをつけると3倍くらい伸びる。

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ちなみにピンクのベアッガイというのもガンプラExpoで販売されていた。遊びやすいモビルスーツだから。

【ガンプラEXPO限定】ガンプラビルダーズ HG 004 1/144 GPB-04B ピンクベアッガイ
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このベアッガイにはなぜかセブンイレブンカラーが発売されている。

HG 1/144 GPB-04B ベアッガイ セブンイレブンカラー
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ガンダムもある。

HG 1/144 RX-78-2 ガンダム Ver.G30th セブンイレブンカラーVer.1.5
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いやあ、ガンダムをなんだと思っているんでしょうね。

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昨年11月に「ガンプラEXPOワールドツアージャパン2012」が秋葉原UDXで開催されていた。巨大スクリーンに躍動する実物大のRGゼータガンダムを投影。映像だが動くというのがお台場のガンダムとの違いで迫力があった。

が、一番感動した、度肝抜かれたのはガンプラ×ホログラム、ガンプラ×プロジェクションマッピングの展示。プラモデルに映像を投影することで見たこともない斬新な世界が目の前に広がる。これは新しいプラモデルの魅力を拓いた。やりたい人多そう。絶賛。残念ながら撮影禁止でした。

ガンプラの世界コンテストもあり一票投じて来た。その後どうなったかなと思ったら私が一票入れたのが日本のオープンコース代表になっていた。

世界コンテスト結果発表
http://bandai-hobby.net/GBWC_JAPAN/GBWC2012.html

展示されていたプロモデラーの作例はさすが別格。DJになったジオングとかピンクのアッガイ笑えた。CGがコモディティの時代だからこそモデラーの表現が際立つ。特に塗装とライティング。見飽きない。

今年もいろいろ観たけれどこれが間違いなく最高の映画。

映画『レ・ミゼラブル』
http://www.lesmiserables-movie.jp/

映画館で涙というのは珍しくないのだけれど、胸が震えて止まらないという体験はめったにない。見終わった後で15年ぶりくらいにパンフレットを買ってしまった。十年に一本くらいの大傑作だと思う。正月休みぜひ見に行ってください。相当の大予算映画だが、そのカネは見事に活かしきっていると思った。

監督は生歌にこだわっている。ミュージカル映画だがクチパクではなく生の歌唱で撮影されている。序盤ではフォンテーヌ役のアン・ハサウェイの『夢破れて』の絶唱からまず引き込まれる。小説もミュージカルも有名だからストーリーはよく知られている。平凡に筋を追うだけじゃ見るものを感動させられない。アン・ハサウェイはこの歌のために自身の髪を切り、20日間で7キロ減量して瀕死のフォンテーヌの魂の歌を、役になりきってワンテイクで歌い切っている。いきなり圧倒的な存在感に驚かされたが、物語が進んでいくとその他の俳優も凄かった。ソロだけでなく、ジャン・バルジャンとジャベールの確執関係の掛け合い、三角関係の3人の男女の掛け合い、革命軍の合唱など、あらゆるパターンで聴きごたえたっぷりの歌を聴かせる。

私はアン・ハサウェイ、ジャベール、エポニーヌの演技が凄いと思った。

憎しみにとらわれていた男が、人の優しさに触れて、人を愛する喜びを知るまでの波乱万丈の人生。キリスト教色が結構強い内容だが、なんだかストレートに心洗われた。158分の大作だが、長い尺を活かしてより細やかに心理描写を、より多くの背景を描けていたのもよかった。

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