2013年4月アーカイブ

・集合知とは何か - ネット時代の「知」のゆくえ
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感動した。やはり西垣通は凄い。バズワードともいえるくらい広まっているが、定義がなく諸説入り乱れる集合知を、日本の情報学の権威が整理してくれた。集合知がなぜ有益なのか、論理的な根拠が大切だとして、基本としての式が示されている。大勢が知恵を集めると誤差が減るのだ。

集団誤差=平均個人誤差 ー 分散値

だから「推測を行うメンバーのそれぞれの推測モデルの質がよいこと、しかも多様な推測モデルが用いられることが、集合知によって正解がえられる条件にほかならない」。文殊の知恵が起こる条件を示している。

人間は世界についての知識を外部から獲得するのではなく、世界のイメージを「内部でみずから構成していく」。心は本当は閉じている。私の赤とあなたの赤が同じ保証はない。生命はオートポイエーシス自己創出系だ。だから、一人称の視点から三人称の客観知をいかに導けばよいのだろうかという問題設定がでてくる。西川アサキ『魂と体、脳 計算機とドゥルーズで考える心身問題』がしばしば引き合いに出される。この本も読まなくては。

そして対話から生まれるリーダー論。これがネット選挙解禁の今、まさに注目すべき重要な考察が展開されている。

「もしある特定のメンバーが「物知り・情報通」で、多数のメンバーの質問に答える能力をもっていれば、対話を繰りかえすうちに、そのメンバーはやがて集団のリーダーと見なされるだろう。そしてリーダーの回答(意見)は単なる個人的な回答(意見)にとどまらず、いずれ三人称の客観知識に近い権威をもつようになっていく。要するにリーダーとは、他のメンバーから「信用」される偉い存在なのだ」

こうして、メンバー同士の対話が頻繁におこなわれるとき、あるメンバーが、他の多くのメンバーから借りた知識を、一時的にせよ集約してたくさん身につけ、いわば知の交流センターのような役割を集団のなかで果たす場合がある。このとき、そのメンバーは名実ともに集団の「リーダー」という存在になっているのだ。

インターネットコミュニティのようなフラットでオープンなネットワーク上でリーダーの選出が行われるとき、何が起きるのか?ここではシステム論的観点から、予想される政治状況が明らかにされる。

「大ざっぱにいうと、開放システムでは、各メンバーにとって世界があまりに「透明」に見えすぎるのだ。瞬間的にせよ、そこでは一元的で絶対的な価値観(世界観)がうまれる。したがって、従属閾値などわずかな周囲条件(外部環境)の変動にも敏感に反応し、グローバルな状況が急激に変わってしまう。つまり外部環境に他律的に依存して、「唯一のリーダー/複数のリーダー/リーダー無し」といった状態のあいだを不安定に揺れ動くのである。」

リアルタイムにフィードバックし合うようなシステムは不安定になりがちというのは直観的にもわかる。ほどほどの相対主義と価値観の共有が大切という結論が導き出される。そしてほどほどの不透明さや考える時間も人間社会には必要なのだ。

「フラットで透明な社会、つまり、情報が迅速に伝わりすぎる社会で、質疑応答による議論をしていると、かえって社会は安定しなくなり、適切な秩序ができなくなる。過度に均質化され中央集権化されてしまうか、逆にアナーキーな無秩序状態になりやすいのだ。 人間集団のなかに、ある種の不透明性や閉鎖性があるからこそ、われわれは生きていけるのである。情報の意味内容がそっくり他者に伝わらないというのは、本質的なことなのだ。」

著者はコンピュータの役割進化はAI(Artifical Intelligence) IA(Intelligence Amplifier)への転換すると予言している。人間の思考を代行してくれるのではなく、集合知の生成を支援するツールであり場として進化していくということらしい。

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ITビジネス雑誌がなくなっていく中で果敢に創刊するアスキークラウド。創刊準備号を読んだ。

力の入ったAmazon特集。アマゾン消費VS楽天消費というユーザー行動比較調査が面白かった。私は典型的な「アマゾンおやじ」だ。ネットを活発に利用する自由人型男性ユーザー。楽天はライトユーザー、女性客に人気でポイント意識高いとか。同じ価格の商品を購入する場合に選ぶ店としては6割が楽天と答えていたのは意外。

「もうモテ男はLINEでナンパしない!?」というポストLINEの次世代SNS予想も先を行く話題で突き抜けてて次も読みたいと思った。かなりネットオタクのつもりの私も知らないサービスを紹介している。ムムムやるなってかんじ。力は入っているが硬派すぎることもなく、週刊アスキーよりも読みごたえたっぷり。

書評コーナーが3ページもあったが充実させてほしい。

この雑誌、全体としては大人のビジネスマンがワールドビジネスサテライトみたいに家でくつろぎながら読むのによいかな。実は会社を取材してもらったので次号あたりで掲載してもらえるかもなのですが、この記事内容のレベルなら嬉しい。期待期待。

http://ascii.jp/cloud/

・伊藤潤二傑作集(8)
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伊藤潤二の漫画は気持ちが悪いのに、何年かに一回無性に読みたくなる中毒性がある。

朝日コミックスから傑作集として短編が集められている8巻目。伊藤潤二作品集は複数の出版社からでているが、これはコミックサイズで文庫サイズよりも大きいのがよいところ。

収録作品は、

超自然転校生
うめく配水管
血玉樹
首吊り気球
あやつり屋敷
肉色の怪
異常接近
土の中

の8編。最初と最後の2つが好きだな。

「超自然転校生」
超自然研究会に入ってきた転校生が「この町にはすごい滝があるんだね」と学校の裏道にあるはずのない滝の話をする。実際に行ってみると昨日までなかった滝が存在している。そして次は不思議な湖を発見したというので行ってみると...。

「土の中」
二十年前中学の卒業記念に校庭に埋めたタイムカプセル。旧友たちが集まって遂に掘り出す日がやってきた。ひとりだけこない生徒がいる。当時、過去のことをうじうじいうので嫌われて村八分にされていた女生徒だ。そういえばこの20年間誰も彼女と会っていないという。

表題作は映像化されている。予告編がYoutubeでみつかった。これがものすごくB級作品っぽくて笑えた。普通に考えて、水道管に人間が引き込まれていくとか、映像化は無理だろう...。

うめく排水管 [DVD]
栗原瞳 (出演), 岩佐真悠子 (出演), 及川中 (脚本)
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江戸の同心井筒平四郎が、長屋の住人達に次々に起きる怪事件を解決していく宮部みゆきの人気シリーズ。物語のナビゲーターで井筒平四郎の奥方役を原田知世がつとめる。往年の原田知世のファンにはとくにおすすめ。声って年をとっても変わらないな、あの声は薬師丸ひろ子と並んで今もいいな、と。

江戸深川にある鉄瓶長屋。平和だった生活が、ある夜、住人の殺人事件が起きたのを皮切りに、次々に住民が立ち退かざるを得なくなる事件が発生する。ひとつひとつの事件は一応の解決を見せるのだが、裏につながりがあるように思えてならない平四郎。長屋の大家の湊屋が何かを画策しているのではないかときがつき、岡っ引きの協力をえながら、真相の解明に挑む。

物語の前後で毎回、原田知世が江戸の風俗や社会制度を説明してくれる部分もよくできており、歴史の勉強になる。

2005年から4年間、ニッポン放送系のラジオで、ナイターオフの日曜夜に放送されていた連続ラジオドラマ。オーディオブックとしてiTunesで購入できる。1話20分くらいで全12話。毎晩眠る前に1話ずつ聞くのにちょうどよい長さ。オーディオブックには音声ドラマが珍しくないが作品のレベルはいろいろ。この作品は宮部みゆきの小説なので内容は安心のクオリティである。

なお続編オーディオブックに「日暮し」がある。同じ登場人物で物語の続きが楽しめる。残念ながらラジオドラマ化されたのはここまで。

ぼんくら  全十二話完全版 - 宮部みゆき

・日本文化の論点
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本書のいう日本文化最大の論点とは「AKB48」なのだが...。

能動態と受動態の中間としての「中動態」として人間をとらえることが現代社会を読み解く切り口だという論が光っている。それは自分が対象に働きかけていると同時に自分もまた対象になっているような状態のこと。

ビジネスマンは人間を、マーケティングの対象として、あるいは、マスメディアの受け手として、受動的な存在とみなす傾向がある。だが情報技術を使いこなす現代の人間は、自ら情報を発信してメディアになったり、さまざまな社会的活動に参加したり、半ば能動的な存在でもある。

中間的な存在としての人間の社会論、文化論を語るにあたって、「日本的想像力」や「情報技術」というキーワードを説明するのに、AKB48ブームをめぐる諸現象を研究するといいというのが著者の考え。「リトル・ピープルの時代」では仮面ライダーでありウルトラマンだった役割を今回はAKB48が担っている。今回も著者の思い入れが強すぎて、ついていけなくなるところがある、が、現代社会の分析の鋭さはやはりすごい。AKBのことはわかったようなわからないようだが、情報社会が日本の何を変えつつあるかはよくわかった。面白い本だ。

書き言葉をめぐる考察にブロガーとしては強く共感した。

「有史以来、人間がここまで日常的に書き言葉でコミュニケーションをとっている時代はない。たとえば僕たちは携帯のメールやライン(LINE)で連絡をとりあい、ブログやツイッターやフェイスブックに日々の雑感を記している。この一点をもってしても、現代における情報化の進行は人類の文化そのものを大きく変化させようとしているはずです。」

映像の世紀の後にきたのは活字の世紀なのだよね。ソーシャルメディアをよく使う人間は、新聞や書籍は読まなくなったかもしれないが、以前にもましてテキストをたくさん読んでいる。新しい文体ということになるかもしれないが、文章を書く能力は今後、見直されるべきだと思った。

「今まで書き言葉とは基本的に自分の外側にある特別なもので、それを本というパッケージングされたものを通して摂取してきた。そのため、それを積み上げることが教養を得ることであり、成長だと考えられてきたわけです。しかし今の僕たちはすでに、言葉や教養、知識体系などさまざまな情報ネットワークに接続されているため、個々の情報をどこで区切るかのほうが問題になっている。」

読解力という点でも、パッケージ的な書籍を著者の本意を読み取って正しく解読する能力よりも、検索で芋づる式に集めた断片的な情報を、どう立体的に再構成するかという構想能力が重要になりそうだ。

・リトル・ピープルの時代
http://www.ringolab.com/note/daiya/2011/11/post-1550.html

・リバーシブルマン 1
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これはかなりグロい...漫画。

東京では連続猟奇殺人の死体が話題になっている。人間の皮膚が脱ぎ捨てられた服みたいに裏返しにされていたのだ。内にこもった抑圧感情が限度を超えたとき、人間の身体が裂けて内臓が露出して、裏返るのだという都市伝説が、若者の間で広まっている。ウラガエリを放っておくと、一見元の姿に戻って、普通の人間に混ざってしまうという。

「山科刑事の捜査ファイル」によるとウラガエリは「身体が裂け、そこから内蔵が飛び出し、流れ出していく。次第に流れ出した内臓が裏返った身体に引き寄せられ、粘膜質が人間の形を形成し始める。半透明の人形の繭の中に、内臓や血管が透けている。数時間後~数日後には表面が肌色に近くなり、元の姿に近づく。最後には裏返った目玉がもとに戻る。」というプロセスになる。

爪が反っているのが通常の人間とウラガエリの見分け方になるのだが、かなり無理のある設定だとは思う。想像するだけでも相当に気持ちが悪いし、内臓爆発が満載の絵も相当にグロテスク。しかし、ためこまれた抑圧が限界を超えて人間を内側から爆発させるというコンセプトは、抑圧の多い現代社会のホラーのコンセプトとしては秀逸だった。

ウラガエリを自分の意識で止めた女子高生ダークヒロインの復讐劇。

手描きペイントアプリ。450円とちょっと高いがこれが最高だという評判を聞いたので購入。これはまさにiPhoneで使えるPhotoshopだ、と感動。水彩筆などリアルにタッチを再現していて、Windowsのペイントツールなどとはまったく違う。かなり繊細な描画が可能なプロツールとなっている。

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15種類のお絵描きツールと450種類のブラシが用意されており、試すだけでもかなり楽しい。Photoshopのような高度なレイヤー管理やトーンカーブの修整ができる。お絵描きだけでなく、写真の修整も得意としている。遊び心のあるフィルターも多数ある。

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これはまさにペイントツールの決定版という印象だが、多機能すぎるため、学習が必要なのが難点。ささっと写真にモザイクを書けたり、メモのお絵描きをするのには向いていない。単純なツールも併用して、難しいことをやるときはこれということにするとよさそう。

Flickr: ArtStudio Gallery - iPhone / iPad

ArtStudio - お絵かき、ペイント、写真編集に - Lucky Clan

古典を漫画文庫で知る「まんがで読破」シリーズ。創刊の頃は、古典は原典にあたるべきであって、漫画であらすじを知るなんて邪道だと思っていたのだが、刊行が進み、何十冊も本棚に並ぶ壮観な様子にちょっと手に取ってみた。あれ、これよくできているじゃん...。見直しました。

・カーマ・スートラ (まんがで読破)
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古代インドでは人生の目的をダルマ(法)、アルタ(利)、カーマ(愛)の3つにわけて特にカーマについて論じた愛の経典がカーマ・スートラ。異性を誘い夢中にさせる性愛の技術が体系的に論じられている、というのは知っていたが、具体的に何が書いてあるのかまでは知らなかったわけで、いやあ、これは凄い(笑)。

・死者の書 (まんがで読破)
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古代エジプトでは紀元前1500年頃から死者を埋葬する際に「死者の書」を棺に入れるようになった。そこには死者が冥界で道に迷ったり、悪霊に襲われたときに、身を守る呪文が書かれていた。古代のある男の冥界への旅立ちを例にとって、当時の死生観と死者の書の役割を明らかにしていく。

・わが闘争 (まんがで読破)
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これもいつか読まなくてはと思いながら後回しになっているヒトラーの著。早くに両親を亡くした生い立ちから、ナチスを立ち上げ独裁者への道を歩む過程を、ヒトラー自身が語っている。ヒトラーの第一回の革命の失敗、ミュンヘン一揆のプロセスがよくわかった。

とりあえずシリーズから3冊読んでみたが、あらすじ漫画といっても、結構長編なので、しっかり内容や背景説明に触れていて、学習教材といってもいいくらい、よくできた作品群だということを理解した。

・高校生からの経済データ入門
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高校生向けに、物価、金利、人口、経済成長率、国際収支統計、就職率などの基本的な経済データの読み方を教える新書。国の大きな数字だけでなく、コンビニの来客数・売上データから夏は客数、冬は売り上げ単価重視の経営戦略を読み取ったり、プリンタの価格(変動するがモデルチェンジで価格戻す)とインクの価格(安定している)にみるメーカーの価格戦略の巧みさに感嘆したり。身近なビジネスのデータ分析の例もたっぷりあって大人も勉強になる。

経済のデータというのは、公開された数字を見て、へえ、そういうものなのか、覚えておこうと思って終わりにしてしまうことが多い。結局、覚えてさえいないものだが。この本には考えてみよう!という練習課題が用意されていて、さざざまな経済データのグラフや表から、何が言えるかを問う。たとえばじゃがいもとポテトチップスの価格が連動しないのはなぜか。分析の切り口を自分で考えられれば、記憶にも定着しやすい。

データ分析はグラフではなく表で行えという指導があった。あまり考えたことがなかったが、

「一般的に、表とグラフでは、グラフのほうがすぐに特徴をみつけやすいといえます。だからといって、そうしてみつけた特徴が本当に意味がある特徴かどうか、単なる錯覚ではないのか、グラフをみたことで先入観をもってしまったあとでは、検証がむずかしいでしょう。 だからこそ、まずは、特徴をみつけにくい表をながめてデータ分析をすることが、データ読解力を高めるうえでは大切です。」

こういうことはあるかもしれない。私たちはついつい楽な方へ流れてしまうから、わかりやすいグラフに頼りがち。ITツールに頼りがちということもありそう。学校の勉強と同じで、スキルとしてのデータ読解力を高めようと思ったら、練習問題を解くように、頭に負荷をかけるしかないということなのだろうな。

・狐筋の一族 武富健治実話作品集
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『鈴木先生』でブレイクした武富健治氏が、漫画実話ナックルズやバンブーコミックスなどで描いた実話ベースの漫画作品を16本収録した作品集。第一章 怪談、第二章 都市伝説、第三章 秘境と因習、第四章 死と暴力。掲載誌は読み捨てられる安っぽい大衆誌であるから、作家にとって、これを自分の代表作にするという意気込みはなかったはずだが、だからこその表現の遊びのバリエーションが楽しいと思った。

狐憑き家系と差別を扱った表題作は、昭和まで残っていた因習が引き起こした悲劇を描く。女性を誘拐してレイプして強引に結婚する"おっとい嫁じょ"とか、九州の離島に残るカルト集団"クロ宗"の実態など、秘境と因習の章は特に、取材ベースで強く印象に残るものが多い。

『連続射殺魔死刑囚の最期』は『無知の涙』で知られる殺人犯 永山則夫の晩年を描いた作品。こういう事件が起きたのは、あの頃、俺が無知だったからだ、貧乏だったから無知だったんだ。貧困が原因で罪を犯すことになったという永山と文通を重ねるうちに、獄中結婚する決意をする一般女性がいたという実話。『無知の涙』を読んでみたくなった。

この作品集を読んで、実話系劇画誌というのは、かつての日活ピンク映画市場のような、作家を育てるという面で、一定の役割を果たしているのかもしれないなと思った。(漫画実話ナックルズは休刊してしまったそうだが...。)

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このアプリは驚いた。iPhoneで心拍数を計測するアプリ。

どうやって?カメラで、だ。

カメラのレンズに指を置き、フラッシュ発光を行う。こうすると血流を画像として認識することができるから、その変化で心拍数を計測できるという仕組み(たぶん)。15秒間で計測が終了する。驚きのカメラの技術利用だ。

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男性・女性、年齢をあらかじめ登録しておく。休憩時なのか運動後なのかを入力すると、年齢の割にあなたの心拍数は高いとか低いとか診断をしてもらえる。過去の心拍数もグラフに残る。

枕元に置いて振動パターンから、睡眠の深さを計測するアプリなんていうのも出ているが、そんなことまでスマホで測れてしまうのという意外性アプリ、まだまだ出てくるのだろうな。体温や脳波も測れたりする?

Heart Beat Rate - Heart rate monitor - Bio2imaging

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フェイスブックなどでちょっと目を引く画像加工をしたいときに使える。中央に目立たせたいモノを入れた構図で写真を撮影する。被写体はカラフルなものだとベター。アプリで写真を取り込んだら、マスク作業をする。写真の中で目立たせたい部分だけカラーを残して、あとは白黒化する。手で色を残すところを塗りつぶせばOK。

次に色合いの調整。基本的には背景をグレー化すると印象的な加工になる。

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フレームを設定する際に、サイズを小さくすることで、被写体が枠を飛び出してくるかのような効果を加えることもできる。商品を紹介するときに使えそうな一発系画像加工ツール。

PopAGraph - Flambe Studios LLC

・色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年
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高校時代の親友4人に突然絶縁された過去をずっとひきずって大人になった主人公多崎つくる。4人の名字は赤松、青海、白根、黒埜。つくるにだけ名前が色彩をもたない。過去の自分と向き合う巡礼の旅のように、裏切られた旧友たちをひとりずつ訪問しにいく設定がさすがに巧みだと思った。それだけで緊張感ある見せ場が何度か担保される。再会するごとに謎が明らかになっていくミステリの面白さが基本。

少しずつ時間をかけて過去の傷から回復していく再生の物語でもあるが、村上春樹という天才をしても、最新テクノロジーと共存する人間的なドラマを描くのって、難しいんだなと思った。オフライン環境をつくって物語をスローダウンさせようとする工夫が目立って感じた。

ケータイがなかった昔、待ち合わせは今よりもずっとドラマチックだった。思い人と会えるかどうかわからない。約束を信じるしかない。待ち合わせに行かないというメッセージの伝え方もありえた。だから、会えなかったら一生会えないかもしれないみたいなロマンがあった。この作品はある意味ではまだ、ポケベル時代くらいの、古き良き時代設定を使っている。クライマックスも通信事情が悪そうな異国の辺境の地を選んでいる。

グーグルやフェイスブックはこの作品にちゃんと登場する。昔の仲間たちの現状を調べるツールとして重要な役割を果たしさえする。だが、主人公自身はネットを使わない。恋人に任せて調べてもらうばかりだ。スローライフ、スローニュース指向、メンタリティが古いのだ。絶縁の理由を16年間も知らずに過ごすなんてネットワーク社会の現代っ子ではありえないだろう。

そろそろ小説読者のITリテラシーがあがってきていて、村上春樹の読者たちも普通にスマホやフェイスブックを使っているわけだから、今回はうまく回避しているが、次回作あたりは、ノーベル賞候の文学者も真正面から取り組まざるをえなくなるのではないかと思う。

近隣にあるコンビニ、銀行ATM、ファストフード、ファミレス、カラオケなどをみつけるアプリ。対応している情報が多彩で、便利であるだけでなく、エンタテイメントとしてとても面白い。

コンビニ、銀行ATM探しがまず実用的で便利だ。都市生活ではこの二つがみつかればだいたいの用が足せるわけだから。現在地からの経路表示が一発で出来る。

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マップライブラリが大変に充実している。

トイレマップ、喫煙所マップ、ラーメン探検地図など実用的なものが多いのだが、「殺人・事件・事故・失踪等地図」なんていう地図を見つけた。その名の通り、有名な事件が起きた場所が記録されている。パワースポットや心霊スポットの地図も配布されている。

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収録されている情報

【コンビニ】セブンイレブン/ローソン/ファミマ/サークルK/セイコーマート/ミニストップ/サンクス/ココストア/ローソン100/まいばすけっと/Odakyu MART/ポプラ/セーブオン/スリーエフ/デイリーヤマザキ
【モール/デパート/アウトレット】イオン/イトーヨーカドー/三井アウトレットパーク/プレミアムアウトレット/伊勢丹/高島屋/大丸/阪急百貨店/阪神百貨店/近鉄百貨店/ルミネ/三越/西武/丸広百貨店/天満屋/
【スーパー】西友/ダイエー/ライフ/サミット/オオゼキ/マックスバリュ/いなげや
【銀行ATM】みずほ/三井住友/三菱東京UFJ/りそな銀行
【コインパーキング】タイムズ/三井のリパーク/NPC24H/ナビパーク(料金、リアルタイムの空車状況確認可能)
【ドラッグストア】マツモトキヨシ/ツルハ/サンドラッグ/スギ薬局/ウエルシア/セガミ/セイジョー/キリン堂/コクミン/ダイコク/ミネドラッグ/ウェルパーク
【カジュアルウェア】ユニクロ/しまむら/無印良品/GAP/H&M/ZARA/FOREVER21/WEGO
【ホームセンター/家具】ニトリ/コメリ/コーナン/カインズ/島忠/ホーマック/ビバホーム/くろがねや/ビーバートザン/スーパーバリュー/ユニディ/Jマート/ジョイフル本田
【カラオケ】シダックス/ビッグエコー/コートダジュール/カラオケ館
【ディスカウント】ドン・キホーテ/業務スーパー/OKストア/ジャパン/ジェーソン/MrMax/オリンピック
【100均】ダイソー/ローソン100/Seria/キャンドゥ/シルク/得得屋/ナチュラルキッチン/フレッツ/meets./レモン/オレンジ
【カフェ】ドトール/スターバックス/ミスタードーナツ/コメダ珈琲/タリーズ/エクセルシオール/ブレンズコーヒー/カフェクロワッサン/カフェドクリエ/カフェデュモンド/カフェラミル/シャノアール/コロラド/デリフランス/ヒロコーヒー/ホリーズカフェ/イタトマ/珈琲館/カフェミラノ/カフェ・ミヤマ/モリバコーヒー/ニューヨ-カーズ・カフェ/小川珈琲/プロント/ルノアール/サンジェルマン/サンマルクカフェ/シアトルズベスト/セガフレード/珈琲哲學/UCCカフェプラザほか/上島珈琲店/ベローチェ/WIRED CAFE
【バーガー】マクドナルド/モスバーガー/KFC/ミスタードーナッツ/サブウェイ/ロッテリア/フレッシュネスバーガー/バーガーキング/ファーストキッチン/A&W/ドムドムハンバーガー/クアアイナ
【ベーカリー/パン】アンデルセン/アンテンドゥ/ドンク/リトルマーメイド/ポンパドール/サンメリー/ヴィ・ド・フランス
【回転寿司】かっぱ寿司/くら寿司/スシロー/アトムボーイ/長次郎/銚子丸/元祖寿司/がってん寿司/元気寿司/函館市場/はま寿司/平禄寿司/すし市場/かいおう/活鮮/まぐろ人/マリンポリス/すし三崎丸/天下寿司/魚屋路/うず潮
【うどん】丸亀製麺/味の民芸/はなまる/山田うどん/杵屋/のらや/讃岐製麺
【そば】富士そば/小諸そば/ゆで太郎
【丼もの】吉野家/すき家/松屋/東京チカラめし/かつや/天丼てんや/なか卯/神戸らんぷ亭/どん亭/牛丼太郎
【ラーメン・餃子】大阪王将/餃子の王将/リンガーハット/天下一品/幸楽苑/日高屋/寿がきや/来来亭/ゆきむら亭/らーめん花月/一風堂
【カレー】ココイチ/ゴーゴーカレー/上等カレー/チャンピオンカレー/サンマルコ/C&C/インディアンカレー/アルバ
【ファミレス】藍屋/バーミヤン/馬車道/BigBoy/びっくりドンキー/CASA/ココス/カウボーイ家族/デニーズ/どん/EL TORITO/フライングガーデン/フラカッソ/フレンドリー/不二家レストラン/五右衛門/グラッチェガーデンズ/ガスト/華屋与兵衛/ジョリーパスタ/ジョナサン/ジョイフル/ステーキハウスけん/神戸屋/マンマパスタ/レッドロブスター/ロイヤルホスト/サンマルク/サイゼリヤ/さと/シズラー/トマト&オニオン/とんでん/ヴィクトリアステーション/フォルクス/夢庵
【とんかつ】かつや/和幸/さぼてん/かつくら
【定食】大戸屋/やよい軒/まいどおおきに食堂/宮本むなし
【弁当】ほっともっと/ほっかほっか亭/オリジン弁当/本家かまどや
【家電量販店】ヤマダ/ケーズ/エディオングループ/ヨドバシ/ビック/コジマ/上新電機/PC DEPOT
【レンタルCD/DVD】TSUTAYA/ゲオ
【スポーツ用品】ゼビオ/ムラサキスポーツ/スポーツデポ/スポーツオーソリティ/アルペン/ビクトリア
【ゴルフ】ゴルフパートナー/ヴィクトリアゴルフ/GOLF5/二木ゴルフ
【シューズ/靴】ABC MART/東京靴流通センター/シュー・プラザ/チヨダ
【映画館】ワーナー・マイカル・シネマズ/TOHOシネマズ
【ベビー/子供】アカチャンホンポ/トイザらス・ベビーザらス/西松屋
【カー用品】オートバックス/イエローハット/タイヤ館
JINS/Zoff/パリミキ/眼鏡市場/メガネスーパー/愛眼/オンデーズ
【宅配便】ヤマト運輸/佐川急便(営業所)
【書店/本屋】あおい書店/ブックファースト/文教堂/フタバ図書/啓文堂/紀伊國屋書店/くまざわ書店/リブロ/丸善&ジュンク堂/宮脇書店/三省堂/東武ブックス/有隣堂
【スイーツ】サーティワン/不二家/シャトレーゼ/コージーコーナー
【居酒屋】やきとり大吉/和民/魚民/笑笑/白木屋/千年の宴
【リサイクル】ブックオフ/ハードオフ/トレジャーファクトリー/セカンドストリート/古本市場/買取王国
【床屋】QBハウス/サンキューカット
【ゲームセンター/アミューズメント】セガ/ナムコ/タイトー/ラウンドワン
【携帯電話】ソフトバンク/au/ドコモ/ウィルコム
【ビジネスホテル】東横INN/ルートイン/アパホテル/スーパーホテル/ドーミーイン/チサンホテル/ワシントンホテル
【旅行代理店】JTB/日本旅行/HIS/近畿日本ツーリスト
【楽器】島村楽器/ヤマハミュージック/山野楽器/イシバシ楽器
【交通】駅(鉄道)/バス停/高速サービスエリア/道の駅
【役所】都道府県庁/市役所・区役所/町役場・村役場/税務署/ハローワーク/労働基準監督署/社会保険事務所・局/都道府県税事務所/法務局出張所
【公共施設】学校/警察署/交番/消防署/公園/図書館/病院/動植物園・美術館
郵便局

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・カウントダウン・メルトダウン
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ジャーナリスト船橋洋一が文芸春秋から出した福島第一原発事故ドキュメンタリ上下巻。全交流電源喪失から一旦の収束に至るまでを時系列で21章に分けて語る。大作だが、関係者の会話を中心として状況がまとめられているので読みやすい。そして緊迫感がある。

原発事故の前半で最も印象的なのが管首相のイライラ。中途半端に原子力の知識があったために、関係者に怒鳴り散らして、現場をかなり混乱させてしまった。誰しもイライラしていたわけだが一国の首相としては人格的に問題があったのが明らか。

「今、福島第一から撤退すれば、1号機から4号機、5,6号機まで全部爆発する。福島第一原発だけでなく福島第二原発も爆発する。」「日本の領土の半分が消えることになる。日本の国が成り立たなくなる。何としても命がけで、この状況を抑え込まないといけない。」

そして、事故を何度振り返ってもこの逃げられないぞ発言はなんだったんだろうと思う。
「君たちは、当事者なんだぞ。命をかけてくれ。東電は逃げても、絶対に逃げ切れない。金がいくらかかっても構わない。日本がつぶれるかもしれないときに撤退はありえない。撤退したら東電は100%つぶれる......。」

当時は首相の本気を示す言葉だと思っていたが、キョトンとした顔で東電の幹部は首相の一方的な演説を聞いていたという。重要な場で話がかみ合っていなかったのだ。

カウントダウン・メルトダウン
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3月14日の吉田所長のことば。「細野さん、すみません。もうダメかも知れません。2号機に水が入らないんです。原因がわからないんです。このままいくと燃料棒全露出になってしまいます。」。報告を聞いて管首相は「制御不能になったということか」「ダメか...」。

この国がまた緊急事態に陥ったら、決して政府発表を信じてはいけない。まず最悪の事態が裏で進行している可能性を想定して、個人が判断をしなければならないということがはっきりする。


・死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発の五〇〇日
http://www.ringolab.com/note/daiya/2013/01/post-1757.html

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電源コンセントを使える近くの店を探すiPhoneアプリ。

電源コンセントだけでなく各店ごとに利用可能なWi-Fiサービスの情報もある。

マクドナルド、モスバーガー、ロッテリア、ケンタッキーフライドチキン、ミスタードーナツ、銀座ルノアール、スターバックス、タリーズコーヒー、ドトールコーヒーなどは電源が使える店が多い。

こういう有名なチェーン店の看板がすぐ見つかればいいのだが、みつからないときでも、このアプリに登録された一般の喫茶店の情報が役立つ。独立経営の店でも提供しているケースが結構ある。

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いろんな駅を見てみたが、都内のJR駅周辺はやはり充実しているが、ちょっと郊外へ出てしまうと電源状況はまだまだ厳しい。

電源検索Lite powered by モバイラーズオアシス - Mobiler's Oasis

・夜見の国から 残虐村綺譚
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これは驚いた。コンビニで売られているような安いホラーかと思ったら、そうではなく、すごくいいじゃないか。八つ墓村のモデルとなった津山三十人殺しを描いた長編漫画作品。描写が直截的で強烈なので猟奇系が苦手な人にはおすすめできないが。

村人たちの冷たい仕打ちに怒りを貯めこんできた青年がブチ切れて、村人たちを次々に惨殺して回る。鬱憤を貯めこむまでの緊張感と、それが破裂するときの高揚感。どちらも完璧に描いた。村人の"躾"と称する主人公へのいじめは陰惨極まりなく、またその復讐を何倍返しにもして返す。最後の晩は圧倒的な怒りの前に社会とか道徳とかは完全に消滅してしまう。

津山三十人殺しは資料がいっぱいあるから、リアリティ重視でそのまま描くこともできたはずだが、かなり著者ならではの創作を入れている。その創作がとてもうまく活きていて、村八分にされた若者が大量殺人者へと変わっていく狂気のプロセスが説得力を持っている。

この作家は別のをもっと読みたい。

津山三十人殺し―日本犯罪史上空前の惨劇
http://www.ringolab.com/note/daiya/2008/10/post-853.html

・CROSSED カッシアの物語2
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3部作の第2作目。ディズニーが映画化するのでもうすぐ大きな話題になるはず。ヤングアダルト向けだが大人が読んでも十分に面白い。

未来の地球。完璧な医療と社会サービスが実現されている。市民は決められたルールに従っている限り、適当な伴侶を割り当てられ、決められた数の子供を産み育てて、ぴったり80歳まで平穏に生きられることが約束されている。完全予定調和の社会で、完璧な秩序を維持するため政府は逸脱者を許さない。

制度に縛られた理想社会を抜け出した少女カッシアは、政府ではなく自分自身が選んだ運命の人カイを追って、逸脱者たちが追いやられた辺境地域で働くシーンから始まる。前回は完璧な政府の監視下で静かな展開だったが、今回はその外側の無法地帯へ逃げて行ってからの話が多くて動的な展開。少しずつ世界の謎が解けていく。

このシリーズのテーマは自由の追求。アメリカの若者たちにこれが受けるというのが面白い。
自由の国でありながら、若者たちは閉塞感の中に生きているということなのか。そして体制からの逸脱と自由への逃走の動機となるのが男女の恋愛である。実は尾崎豊ワールドなのだ?BGMでI Love Youとか流れてきておかしくない気もしてくる。青い情熱のSFファンタジーなのだった。

・カッシアの物語
http://www.ringolab.com/note/daiya/2012/01/post-1586.html
"地球温暖化で一度滅びた人類は、同じ過ちを繰り返さないように、すべてをコンピュータと官僚機構が決定する完璧な管理社会をつくりあげている。人々は人生のすべてを決められた通りに生きる代わりに、予期せぬ不幸、病気や事故はなくなった。この世界では人は定められた日に生まれて、定められた相手と結婚し、定められた職業に就いて、やがて子を生み、そして80歳の誕生日に死んでいくのだ。あらゆる行動は監視され過度な自由意志と一切の私有は法律で禁じられている。"

・捨てがたき人々 上
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ジョージ 秋山の傑作。

何の取り柄もなく、無職で醜男子で、生きるのがつまらないと感じている狸穴勇介。ある日、弁当屋で働く京子と出会う。顔は悪いがが体つきだけはよい女だ。「神我の湖」という新興宗教にはまっている。性欲が強い勇介は、京子につきあいたいと思い近づくが、やがて口説くのも面倒になってストーキングしてレイプするに至る。そこから二人は互いの醜さを嫌いながらもひとつ屋根の下で暮らし始める。

・捨てがたき人々 下
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レイプから始まる男女関係に象徴されているが、人間のだらしなさ、どうしようもなさをこれでもかといわんばかりに強調した作品だ。煩悩を抱えた登場人物が煩悩のままにうごめいている。それは読者の心の中にもいくらかはある煩悩であり、読み進めると、自分がどんどん堕落していく気持ちになる。その堕落感がいい。

作品名にある「捨てがたき」という形容詞の説明は作中にないのだけれど、
執着(愛)を捨てられない人々
あるいは神の視点から
世界から捨てられるべきではない人々
という意味でとらえるといいのだろうか。
小説のようなしっかりした読後感をもらえる大人向けの傑作漫画だ。子供は読んじゃダメ。


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テレビ番組検索としては普段は操作が軽快なテレBingを愛用しているが、これだとCSが分からない。このスカパーが提供するテレビ検索アプリは、地上波・BS・スカパー、スカパープレミアムサービスに対応しており、番組名や出演者名でデータベース的に検索することができる。

検索して見つけた番組は、カレンダーボタンによりiPhoneのカレンダーに登録することが可能なのがうれしい。

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iOSのネイティブアプリだが、どうやら表示にはHTMLを使う部分が多いらしく、検索結果の表示動作はもっさりしている。

番組の情報をFacebookやTwitterへつぶやく機能、よく検索するキーワードをボタンとして登録しておく機能がある。

IT業界のトレンドである「ビッグデータ」と「ソーシャル」というキーワードを登録してみた。ヒットする番組数は少ないが、見逃しをなくす工夫になりそうだ。

テレコ!いつでもどこでもテレビ検索! - SKY Perfect JSAT Corporation

セミナー開催「ソーシャルデータ活用の"いま"と"未来"」を語る
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ソーシャルメディア上に存在する膨大な生活者の口コミを分析を行う、ソーシャルリスニングの需要が高まっています。しかし一方でソーシャルメディアデータ活用に踏み切れないご担当者様の声をよくお聞きします。

「ROIを明確化するのが難しい。」
「POSデータと比較したいがソーシャルメディアは母数が一定でない。」
そこで今回データセクションではソーシャル活用戦略の実践手法指南セミナーを開催します。

主にBtoC企業におけるソーシャルメディアデータと、多種多様なデータのクロス分析実践をテーマに、弊社パートナー企業のご担当者様にご講演頂く予定です。

【セミナー概要】
株式会社博報堂、株式会社インテージよりゲストスピーカーをお招きし、ソーシャルデータとTV露出量、パネルデータ、POSデータ等のクロス分析についてお話しいただきます。ソーシャルデータと多様なデータをクロス分析し、自社のマーケティング施策に活用するポイントやこれからの可能性について博報堂、インテージ、データセクション3社の取り組みや事例をもとに講演いたします。

【ゲスト】
株式会社博報堂エンゲージ面とプロデュース局データドリブンマーケティング部 島野真氏
株式会社ドコモ・インサイトマーケティング 代表取締役社長


【セミナー対象社様】
商品企画、ブランディング等のマーケティング戦略担当者
ソーシャルメディア分析を全社的に活用したい経営者層
ソーシャルメディア分析を自社の分析リソースに追加したい方
新たなソーシャルメディア分析の可能性について知りたい方

【開催日時】2013年4月24日(水)15:00-17:00(14:30開場)
【開催場所】野村証券渋谷支店5階セミナーホール(東京都渋谷区渋谷1-14-16)
http://www.nomura.co.jp/branch/branch/shibuya.html

【参加費】 無料
【定員】  120名
※同業他社、一般の方、営業目的での参加申込みはご遠慮願います。
申込み締切 2013年4月23日19:00
主催 データセクション株式会社(http://datasection.co.jp)

イベントの詳細とお申し込みはこちら
http://www.datasection.co.jp/news/2013/03/0424seminar.html?utm_source=20130404&utm_medium=e

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あなたの夢はお金で買えますか?
字はきれい?
どちらが好き?(2枚の女優の写真)
本屋や図書館に行くとトイレにいきたくなる?
アクエリアスとポカリスエット どちらが好き?

など、ユーザーが投稿する二択質問にユーザーが答える。すると全体の割合が表示される。みんなはどう答えたかを知りたくなって次々に質問に答えてしまう。ひまつぶしにはうってつけのサービス。

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答えるだけでも面白いのだが、質問をするとさらにはまる。1枚か2枚の写真と質問文章、選択肢を入力すると、質問がアップされる。難しくなく誰にでもわかるような、ある意味、くだらない質問ほど回答がつきやすい。画像も重要だ。上のキャプチャは私の質問例。

ある程度の数の質問に答えてから、どっち度を確認すると、あなたが全国平均でどのくらいマジョリティ(マイノリティ)なのかを教えてくれる。

FLAG ~みんなはどっち?二択でスッキリ!~ - jig.jp co., ltd.

Webページをスクロールして全長キャプチャするiPhoneアプリ
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縦に長いWebページをすべてキャプチャすることができるiPhoneアプリ。

上も下も見せたいのに、普通の画面キャプチャでは上だけしかとれない。上から下まで1画面ずつ移動してキャプチャをして全部をつなぎわせられたらよいのに、と思うことがときどきあるが、このアプリなら一発で完了。

専用ブラウザーでキャプチャしたいURLを入力する。画面に表示されたらキャプチャボタンをおす。瞬時にキャプチャがとられてカメラフォルダに画像として保存される。

フェイスブックのスレをキャプチャしてとっておくのに重宝している。

ロールペイパー - ニイハチヨンサン

・私のように黒い夜―肌を焼き塗り黒人社会へ深く入った白人の物語
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1959年。公民権運動が盛んになる前のアメリカ。黒人差別があからさまに行われる状況で、白人ジャーナリストJ.H.グリフィンは、薬剤と日焼けと塗料で肌を黒く塗り、南部の黒人社会に潜り込む。

「気狂いじみてる」「殺されちゃうぞ」と友たちは心配した。だが変装は巧妙で、当時のグリフィンの写真が掲載されているが、黒いサングラスをかけてしまえば、すっかり貫録のあるインテリ黒人にみえる。これにグリフィンの相手をした白人も黒人もみんなだまされた。

当時の米国では、黒人はレストランもトイレも別。白人と一緒に歩けば白い目で見られる。バスに乗るにも白人の後ろに並ばなければならない。白人の気を損ねると痛い目に合わされる。警察も黒人の扱いに厳しい。気に入らない態度をとれば不当に逮捕されてしまう。そういう社会へ白人だったグリフィンは肌の色を変えて飛び込んだ。

レストランでは、白い顔のときには丁寧に笑顔で応対してくれたウェイトレスが、黒い顔のときには横柄な態度で接してくる。町の白人たちは見知らぬ黒人を、犯罪者に近い人物とみなして危険視してくる。"この黒ン坊の禄でなしめ、こんな所をうろついて何してるんだ?"が白人の基本姿勢だ。

グリフィンが黒人として生活して精神的に最も傷ついたのは、白人たちが誰も自分を個人として扱ってくれないということだった。黒人は、異質な個人として差別されるのではなく、黒人というカテゴリで一律に差別されてしまうのだ。

白人たちの中にも黒人を差別しない紳士はいるが、それらの中にも根底に差別意識を強く持った偽善者がたくさんいるということにグリフィンは気がつく。表面上は差別はいけないと進歩的な顔をしながら、実は個人的に黒人とつながることを嫌悪している白人に、黒人モードのグリフィンは憤りを覚えている。

「絶えず、あらゆる所でといってもいいほど、黒人はこういった二重性に直面していた。白人は正しいことをいい、黒人に対する不当な行為に深い関心を示し、人種差別という問題を解決するために決意は表明するけれど、対等の人間として、黒人と話し合うことはしないのだ。アメリカという国がいったり、信じたりしていることと、黒人が日々体験していることの大きな違いは、私たちの激しい怒りを掻き立てた。」

潜入の数か月後、肌を白く戻してドキュメンタリを発表し、テレビにも出演して、この潜入体験を公にした。想定通り、グリフィンは怒った黒人たちからバッシングを受ける。グリフィンの人形が街頭で燃やされるなど身の危険も生じた。しかし黒人にも白人にもグリフィンのジャーナリストとしての活動を評価するものがいた。

現代米国においてはこんな露骨な差別は解消されたわけだが、差別問題全般を考えるにあたって、被差別者のくらしを体験したこの潜入調査は貴重な資料だと思う。弱者の権利を守る強者が忘れがちな、被差別者のデリケートで複雑な気持ちを、このルポはうまくとらえていたと思う。

・「苦労話」はすればするほど職場がよくなる
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成果主義とIT導入により職場から雑談が消えている?。

「不機嫌な職場」をよくするには「苦労話」が効く。その効用は、

1 自己理解と相互理解を深める力
2 問題と向き合い、相手や原因を客観視し、本質的な解決策に近づける力
3 心のなかにある思いを紡ぎ出し、重ね合わせ、組織の思いに変える力

の3つがあるとされる。

苦労話をするときには、不満だけをぶつけない、互いの話を聞く、持論を押し付けない、何を感じ学んだのかを大切にする、明るく前向きに話す、共通点を重ね合わせるといったルール&マナーを守りましょう、というアドバイスがある。

苦労話を自慢話、愚痴話にせずに、発展的コミュニケーションの肴に使うというのは、
やってみると案外、難しい。

この本にも「苦労話と聞くと、単に昔話をして、昔のほうがもっと大変だった。今の若い奴らは甘いという話をする上司や大ベテラン社員を想像する人もいるかもしれません。苦労話といいながらも、結局は自分を正当化し、周囲を否定するような言動をしてしまうと、その人の話をこれ以上、聞きたいとは思えなくなります。」という解説がある。

そうそう、確かにそうなってしまう。直近の苦労話よりも子供の頃の苦労話を選んだ方がうまくいくようだ。転校してきて友達ができなくて困った、とか、英語のLRの発音ができないで困ったとか、憲法前文の暗記が苦手で最後まで残ったとか。

上手に苦労話をするノウハウも紹介されている。自分の人生の転機図を描くというのは楽しそうだ。10歳ごろから現在までの、自分の気分を天気模様として折れ線グラフに描いてみる。上がっているときと下がっているとき。それぞれに元気話、苦労話をするという手法だ。

仕事の提案書、企画書を持ち寄って語るという手法も職場でうまく使えそうだ。自分で書いた提案書や企画書には、思いがいっぱい詰まっているし、当時の問題点も生々しく思い出されるものだ。失敗を素直に語るツールとして、埋もれがちな過去の提案書を使うのはアイデアだと思った。

・不機嫌な職場~なぜ社員同士で協力できないのか
http://www.ringolab.com/note/daiya/2009/04/post-966.html

白檀の刑

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・白檀の刑〈上〉
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莫 言(モー・イエン)は2012年のノーベル文学賞を受賞した中国人作家。

清朝末期の山東省で、鉄道を敷設しにきた横柄なドイツ軍兵士に妻を凌辱されそうになった孫丙は、ドイツ人の技師を殺害してしまう。これに怒ったドイツ軍は町を攻撃して住民を大量虐殺する。伝統大衆芸能の演者だった孫丙は持ち前の演技力でシンパを集めて反乱軍を組織する。事態を重く見た袁世凱大統領は、孫丙をとらえさせ、見せしめのために最高の極刑に処することを高密県知事に命じる。

その知事と孫丙の娘が裏では愛人関係にあったり、かつて朝廷で伝説の処刑人として名をはせた孫丙の父親が息子の処刑を請け負ったりと、複雑な人間関係のドラマもあるのだが、何よりも印象的なのは残酷な処刑法の丁寧な解説の部分。

・白檀の刑〈下〉
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確かに中国史には残虐な刑がいくつもあるというのは有名だ。

たとえば腰斬刑は腰のところで受刑者を真っ二つにする刑だ。受刑者は切られてもすぐには死なないらしくて、数分から数十分の間、のたうちまわり、大変な苦しみを味わうことになる。凌遅刑は小刀で受刑者の身体を少しずつ削ぎ取っていく刑だ。肉を削ぐ回数が決まっていて、最後の一刀で絶命させるのが、執行者の技だった。この小説にも凌遅刑の執行場面がでてくる。描写が生々しくて気持ち悪くなってしまうほど。

だが凌遅刑では、そう長くは受刑者の命がもたない。みせしめ効果を期待した袁世凱は受刑者に5日間以上、生きたまま地獄の苦痛を味あわせることを要求した。5日持たずに受刑者が死んでしまえば、次は処刑人の命が危うい。天才処刑人が提案した、受刑者の阿鼻叫喚が延々と続く究極の「白檀の刑」とは?嗚呼惨い。


列強に蹂躙される中国。内部が、権力との癒着や官僚主義、権力闘争、迷信迷妄、不倫といった汚濁にまみれて腐りきっており、出口が見えない。架空の伝統演劇「猫腔」の絶唱に乗せて、民衆の絶望の叫びが響く。壮大なドラマだが、極刑描写、不倫ドラマ、抵抗運動、動乱の中国史、清朝末期の朝廷の様子など、読者をひきつける要素がちりばめられていて、長編だが短く感じた。

・のめりこませる技術 ─誰が物語を操るのか
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大学生に短い映画を見せる印象的な実験の話から始まる。映画の内容は二つの三角形と一つの丸が平面上を移動するというものだった。静止した四角形も登場した。上映後に何を見たかの説明を求めると大学生たちのほぼ全員が、二つの三角形が喧嘩している男で、丸はそれから逃げようとする女であると答えた。ただの図形にも、人は意味や物語を見出してしま習性があるのだと学者は結論した。

物語るという行為がテクノロジーの変化に伴い変質していく。かつては活字の小説で語られていた物語が、映画になり、テレビの連続ドラマになり、ウェブ上のインタラクティブな物語に変化してきた。より連続的で参加型のストーリーに人々はのめり込むようになっている。いまや広告、ゲーム、ウェブ、テレビドラマ、映画、何を作るにせよ参加型でのめりこませる仕掛けが成功の鍵となる。

「ゲームと物語に共通しているのは、どちらも"人生の練習体験"だということだ。物語というものは「願望や恐怖を反映した物語という小宇宙、あるいは本物そっくりな現実を構築してその中にドップリ入り込む」ということだった。ここの部分は変わっていない。しかし"物を語りたい"という渇望はメディアの進歩とともに肥大し、同時に私たちが"注ぎ込む"ものも大きくなっていく。」

想像の小宇宙を提示したスターウォーズの映画の興行収入は「シスの復讐」一本で40億ドルだが、フィギュアやゲームなどの関連商品の売り上げは150億ドルもある。ストーリーにのめり込むファンたちのオタク消費がコンテンツビジネスの肝となっているのだ。

ダークナイト、アバター、ヘイロー、ロスト、ディズニー、グーグル、フィクションの、のめりこませる技術を最大に活かしたコンテンツやマーケティングの事例が米国中心に語られる。日本人はあまり知らないCMやドラマもあるが、これから日本でも起こりうる現象、仕掛けられるプロジェクトとしてみると興味深いものばかりだ。

「遊ぶために想像力は不可欠だ。物語についても同様だ。語り手だけではなく、聞き手にも想像力がなくては、物語は成立しない。消費者が広告主との共犯関係で広告を完成させる、というのも同様だ。テレビを漫然と眺めているかに見える視聴者も、実は受け身の存在ではない。"物語"の語り手は、登場人物を創作し話を紡ぐ。聞き手は隙間を埋めて話を完成させる。物語は語り手と聞き手がいて始めて完成するのだ。」

完全に閉じた世界観ではなく、読者の想像力と参加によって広がっていく物語の環境を用意しなければならないわけだ。本書が論じているのめりこませる技術は、現代においてヒットするコンテンツやマーケティングを考えるのに避けては通れないノウハウだと思う。

・穢れと神国の中世
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中世において穢れの観念はどのように生まれて広まったのかの研究。

死や出産など「穢れ悪しき事」に触れた人間は、一定期間、行動を慎まねばならない。穢れを帯びた人間は、寝起きする場所や食事を別々にされたり、神社や山に出入りすることを禁じられた。そして穢れの観念は、穢れたものと清浄なもの、「われわれ」意識と排除される他者を生み出すことにもなった。

穢れの起源は古く「延喜式」にさかのぼる。人間や動物の死や出産について細かく何が穢れか、その性質が規定されている。穢れは穢の発生源と同じ空間に着座したことを以て成立し、穢れはその場にいた人間と同一の場に着座した人間に伝染する。しかし無制限に伝播することはなく基本的には伝染するのは一段階だけなのだ。これは人間の普遍的な感性というよりは、かなり恣意的な文化的な観念である。

高速移動の交通手段も、マスメディアもない時代に、どうやって穢れという人為的な観念を日本列島で人々は広く共有することができたのか。考えてみれば不思議なことだ。著者は穢れ観念の広がりの原因を、災いと、それを体系化する論理の一斉体験に見出す。干ばつや疫病、そして蒙古襲来という列島を襲った災厄があり、その解決の実践手段として列島各地の神社の神事の取り組みがあり、穢観念と行動規範が全国へ広まっていったという仮説だ。

穢れ意識はそれを共有する「われわれ」というナショナリズム意識が芽生えさせもした。さらに穢れを祓い秩序を維持していくには、不浄を処理する職業も必要となる。排除される他者を生み出す原因ともなったと著者はいう。中世の史料を紐解きながら、穢れ観念と国家意識の萌芽を関係づけていくストーリーが面白かった。

・データ・サイエンティストに学ぶ「分析力」 ビッグデータからビジネス・チャンスをつかむ
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原題は"Sexy Little Numbers"。和訳ではリトルデータと訳されている。既に手元にある魅力的なデータという意味。企業が蓄積したさまざまなデータを分析することで、戦略意思決定に役立つという事例を、欧米の事例から読み解く。サイエンスよりもビジネス寄りの本だから、マーケティング部必読。

最近はビジネスシーンでビッグデータがバズワードになっているが、それで何をしたらいいのかはっきりしていない会社が多い。この本ではデータ分析においては「何が測定できるか」ではなく「何を測定すべきか」を考えることが重要、「データで何ができるか」という考え方より「データで何をすべきか」が大切だというポイントが強調されている。

収録事例の多くは、計測した定量的なデータを意味づけるために、正しい分析ロジックのフレームワークへ落とし込む手法を解説している。コンサルタントにはおなじみのビジネスロジックにまとめる例が多いが、数字を意味に紐づける部分というのはやはり職人芸になりやすいのだなと感じた。

著者は「言い換えれば、企業のなかでマーケターマインドとサイエンスの調和と融合が必須である。」「データとその解釈が揃うことで、初めて分析作業が楽しいものとなる。分析の半分は科学で、半分はアートで出来ているのだ。」と述べている。ビジネスの現場におけるデータサイエンティストは純粋にサイエンティストではありえない。ビジネス経験も豊富になければ、分析フレームワークの選択や読み取りができないからだ。大学院をでたばかりの統計の専門家だけでもだめなのだ。新しいタイプの人材が重要になる。

「それでは人間は、どのような役割を担うことになるのだろうか。おそらくたった2つの仕事だけが残されることになるだろう。ひとつは「技術者」、つまり自動化されたシステムがスムーズに機能することを守る仕事である。もうひとつが「魔法使い」だ。これは手元にあるツール類を最大限に活用して、売上や利益を劇的に改善するアイデアを創造し、実行に移すことのできる人々を指している。」

ウェブのデータ分析の分野では、ミートメトリクスというツールの利用例が面白かった。Webのユーザービリティ分析ソフトを使って、Webサイトのデザインをパーツに分ける。そしてパーツを4096通りの組み合わせで実際に表示させてユーザーの反応を記録した。A/Bテストの4096通り版である。そして最もお客が物を買ったり会員になったりするパターンを選び出す。最適化の成功例ではコンバージョン率が2ケタアップしたという。デザインとサイエンスが見事に一体化している。ネット上のビジネスにおいてはマーケティングの自動化はますます盛んになっている。

著者は消費者情報の価値とは、予測貢献度、鮮度、排他性にあると書いている。次の一手がでてくるデータ分析を考えるにあたって参考になる情報がいっぱい書いてあった。

まちづくりマネジメントはこう行え 2011年10月 (仕事学のすすめ)
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まちづくりのコンサルタント 西郷真理子の仕事をまとめた小冊子。住民たちがディベロッパーになる、住民参加型のまちづくりには独自のノウハウがある。ステークホルダーがまちづくり会社を設立して、地権者たちは利用権利を委譲する。土地と所有と利用の分離、公共性と事業性の両立というしきりを作ったうえで、徹底的に話し合い合意形成をする。

だから従来の都市デベロッパーにはできないことができる。

人の集うあいまいな共有空間が大事。手法としてクリストファー・アレグザンダーのパターンランゲージ、デザインコードを重視している。真ん中にシンボル的なものを置く。道路の広さと建物の高さの関係(D/H)は1:2くらいだと心地よいが開きすぎるとだめ。ヒューマンスケールをベースに考えることが大切。移動には300メートルくらい歩くくらいがちょうどいい。そういったパターンをもとに、実際の空間をデザインする。

同氏の代表作である高松市丸亀町商店街の例をこの前見てきた。

kame3.jp - 高松丸亀町商店街 - http://www.kame3.jp/

大きなドームを中心にしたメインストリートは明るく近代的な商業モールのようでありながら多数の昭和的な横丁が混在する、有機的な深さを感じる商店街だった。規模もとても大きいがにぎわっていてシャッターを下ろした店もほとんどなく元気な地域をみた気がした。

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縁側、テラス = 外でも内でもないあいまいな空間、心地よい遊びのある空間に人は集まるという発想が実際に生かされていた。

「職住一体」という言葉があるけれど、最近では商と住一体というのもあるらしい。米国では
ライフスタイルセンターというコンセプトでショッピングモールの3Fが住居の、アーケードのないオープンモールが注目されている。

街づくりは時代とともに変化する。著者は都市を集約してコンパクトに戻していくべきだという。日本の人口1.28億人は30年後には1億人になる。1970年の人口に戻るのだ。だからこそコンパクトシティの発想が大切になるという。豊かな地域コミュニティ、顔の見える商店街の復活、集団で支えあう街へと古くて新しい価値観への挑戦の事例がこの冊子にはいろいろ書いてあった。

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