2005年11月アーカイブ

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・羞恥心はどこへ消えた?
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レンタルビデオ店でアダルトビデオを借りる際の男子学生200人の行動を調査分析したところ、そこには4つの作戦が発見されたという。

隠蔽工作
・カウンターに他の客がいないときを狙う
・カウンターに女性の店員がいないときを狙う

偽装工作
・用がなくても他のビデオコーナーを回る
・アダルトビデオ以外にも興味があるように装う

関与否認
・連続して借りない
・借りたらしばらくその店にいかない

他人行儀
・店員にわざと無愛想にふるまう
・店員とはできるだけ視線を合わせないようにする

地べたに座り込んだり、電車で化粧をしたりと、若者は羞恥心が薄れたなどと言われるが、こんな事例を見るとまだまだ根強く機能していることがわかる。羞恥心は進化上、極めて重要な役割を果たしてきた人間社会にとって本質的なものだと著者は論じる。


羞恥心は単なる自己顕示欲や虚栄心といった世俗的なプライドを守る道具ではない。人類が社会に依存して生きることを決めたときから、世代を重ねる中でアップグレードされてきたシステムである。進化心理学の視点から考えてみると、恐らく人類史の中で敏感な羞恥心を持たない人物は、社会から排斥されその形質を後世に伝えることができなかったはずだ。これが繰り返される中、より優秀な羞恥心の持ち主が社会の中で生き残り、このシステムはさらに洗練されていったものと考えられる。

人間は集団で生きるため、自分の中に「集団の存続や福祉に貢献できないこと」「協調性や道徳性の欠如」「対人魅力の欠如」につながる要素をみつけると強い不安を感じる。社会から排斥されてしまうのではないかと恐れて改善しようとする。そのセンサーとしてはたらくソシオメーターが、羞恥心なのだ。

この本に紹介された研究結果によると、羞恥心は以下の式で計算できる。

羞恥心=相手との関係の重要度×自己への評価の不安度

この式では、自分の会社の社長と初対面で失言をしてしまったときはかなり恥ずかしい、と例がある。関係は家族のように極めて親密であったり、二度と会うことがない他人のように極めて疎遠であったりすると、羞恥心は鈍くなる。ほどほどに親しい関係の相手が最も恥ずかしさを感じる対象であるようだ。

「ミウチ」「タニン」「セケン」という日本文化の区分けでいうと、ミウチとタニンはあまり羞恥心を感じない。「セケン」は恥ずかしいということになる。最近の若者の羞恥心の弱体化は「地域社会のセケン機能の低下」「地域社会のタニン領域への移行」「セケンの機能細分化とミニセケンの増加」というセケン弱体化と関係があるのではないかと書かれている。

ジベタに座り込む若者は、その地域社会をセケンと考えていないし、仲間同士の目だけを気にするミニセケンに生きていると指摘する。アンケート調査の分析により、ジベタに座ることが恥ずかしくないから、ではなくて、座らない方が仲間内で恥ずかしいから座っていることが判明する。羞恥心は弱体化したのではなく、感じる部分が変化してきただけなのだ。

羞恥心は文化によってかなり異なるようだ。世界には裸で暮らす民族がいるが、彼らの社会では男性は女性の性器を直視してはいけないという厳しい規律があるのだという研究が紹介されていた。

・起業バカ 2 やってみたら地獄だった!
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起業が失敗した成れの果てを起業地獄と著者は名づけた。


ある会社は、会社をたたんで自己破産、夜逃げ、一家離散と奈落の底に転がり堕ちる。ある人間はタガが外れて銀行強盗、コンビニ強盗、放火、殺人、幼児誘拐に突っ走る。また、ある人間は、すべての負債を一身に背負い自殺に追い込まれ無残な最期を遂げる。父親の借金のカタに、風俗に堕ちる娘だって少なからずいる。

地獄を見た体験者の実例が多数、取材されて収録されている。著者自身が倒産の修羅場をくぐった実践者でもある。

・起業バカ
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/003465.html

のパート2。

続編の方が面白くなっていると珍しい例だと思う。

紹介される実例の中で一番魅力的だったのが、1980年代にウィークリーマンションで大富豪となるも、バブル崩壊時に1000億円の負債を負い、しかし、諦めずに新事業で復活を果たした川又三智彦社長の章。

・川又三智彦公式ホームページ
http://www.222.co.jp/president/
このホームページは面白い。

1000億円の負債の話は、

・毎日連載!1000億円失って:バックナンバー
http://www.222.co.jp/president/daily/

で詳細が読める。

「社長になっちゃいけないヤツがなったから失敗する」というのが川又社長の結論で、とにかく、気が遠くなるほど諦めない人間以外は社長は向いていないということになる。

ところで前作で起業詐欺の例としてナマナマしい実態が書かれていて面白かったのだが、案の定、著者は、書いた先から訴訟を起こされているらしい。今回もそれ書いちゃって大丈夫ですか?と心配になる体験談がいくつか書かれている。

ブームに乗った安易な起業に、強烈な警鐘を鳴らす本であるが、起業家にとっての試金石みたいな本であるとも思う。この本の裏テーマが、実は起業のススメであることは間違いないようにも感じる。

とりあえず、この本を読んで少しでも怖いと感じた人は起業は諦めた方が賢明だろう。そもそもこの本を読むような人間は起業に向いていないからやめておきなさいと書いてあったりもする。やる人は読む前にやってしまっているはずだからという。こういう警告の本はもっとあってもいいと思った。


・逆風野郎 ダイソン成功物語
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/003886.html

・成功前夜 21の起業ストーリー
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/003020.html

・ 起業人 成功するには理由がある
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/000712.html

・図解 株式市場とM&A
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/003975.html

・明日は誰のものか イノベーションの最終解
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『イノベーションのジレンマ』『イノベーションへの解』に続く破壊的イノベーション論の集大成。「ハイテクのマーケティングを理論的にやりましょう」という内容で、情報通信業界では教科書の如く引用されるようになった。ケース満載。

マーケットリーダー企業は、要求の厳しい顧客の声に耳を傾けて、自社の製品・サービスを進化させる。その「生き残りのイノベーション」企業は、より利益率の高い金持ちマーケットに積極的に進出していく。一方で、新興企業は彼らが狙わないローエンドで新たなマーケットの創出を狙う。その武器が破壊的なイノベーションである。

・イノベーションのジレンマ―技術革新が巨大企業を滅ぼすとき
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/002943.html
詳しくは前作の書評を参照。

破壊的なイノベーションは、

・非消費に挑み全く新しいマーケットの確立を目指す
・ローエンドにおける攻撃(非金持ちマーケット)

という特徴を持つ。

本作でも、破壊的イノベーションに関わるたくさんの企業ケースが丁寧に解説されている。そこから抽出された、以下のような教訓が掲げられている。

1 破壊はあるプロセスであって、結果ではない

2 破壊は相対的な現象だ。ある企業にとっては破壊的なことが、他の企業にとっては生き残りに役立つということもあるだろう。

3 今までとは違っているテクノロジー、あるいは過激なテクノロジーが、そのまま破壊的だということはない

4 破壊のイノベーションがハイテクのマーケットに限定されているわけではない。破壊はどんな製品やサービスのマーケットでも起こりえるし、国家経済間の競争を説明するのにも役立つはずだ。

破壊的イノベーションが市場を席巻するまでには

1 変化のシグナル

2 競争のための戦い

3 戦略的な判断

という3つのプロセスがある。

大企業のマネージャーにとっては、ベンチャー企業の話題の新製品をまめにチェックし、自社の品質基準で比較したときに見くびらないこと、それが異なる評価軸で新しい顧客を開拓しているかもしれないと疑ってみること、が大切な心構えになる。ベンチャー企業にとっては、大企業同士がハイエンド向けの開発中心の生き残りフェイズに入った市場を発見したら、ローエンド対象に、まったく違う需要を満たす低価格帯製品の開発にアイデアを絞っていけということになる。

時代は動いている。常に眼を光らせて、破壊的イノベーションで勝利する側にまわれ、そのためには、この本を読んで理論を勉強せよ、という本である。一冊目から順に読んだほうがわかりやすいのだが、これは集大成本なので、巻末の資料も読めば、この本一冊でも著者の理論の全体像を理解できるようにまとめられている。

・しあわせの理由
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例によってグレッグ・イーガン作品。


12歳の誕生日をすぎてまもなく、ぼくはいつもしあわせな気分でいるようになった…脳内の化学物質によって感情を左右されてしまうことの意味を探る表題作をはじめ、仮想ボールを使って量子サッカーに興ずる人々と未来社会を描く、ローカス賞受賞作「ボーダー・ガード」、事故に遭遇して脳だけが助かった夫を復活させようと妻が必死で努力する「適切な愛」など、本邦初訳三篇を含む九篇を収録する日本版オリジナル短篇集。

TRONの開発などで有名な坂村健東京大学教授があとがきでグレッグイーガンのすすめを熱烈に書いているのも付加価値。

この短編集の基底にあるテーマを探すとすれば「アイデンティティ」だろう。しあわせの理由の主人公は、異常な化学物質の分泌によって、しあわせな人生を生きているが、あるとき、その分泌が止まる。自分が本当は何が好きなのか、その理由は何なのか、を考える内容だ。実のところ、私たち自身、自分が何かを好きな本当の理由は不明だろう。何かが好きで何かが嫌いだという組み合わせこそ、アイデンティティの基本なのだと気がつかされる。

そしてグレッグイーガンは、あるときは脳の物質への還元によって、あるときは量子論的不可能性によって、あるときは個々の意識の還元不能性によって、幾重にもアイデンティティを崩壊させていく。「私」という問題の不可思議さを味わえるおすすめの一冊。

グレッグ・イーガンのサイトがとても充実していることに最近、気がついた。

・Greg Egan's Home Page
http://gregegan.customer.netspace.net.au/
作品に登場する科学理論の解説や、一部作品の全文公開。

・Quantum Soccer
http://gregegan.customer.netspace.net.au/BORDER/Soccer/Soccer.html
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短編「ボーダー・ガード」に登場する「量子サッカー」をプレイすることができる。


収録作品の個人的ベスト3は以下。

1位 しあわせの理由
2位 適切な愛
3位 闇の中へ

・顔文字パーティー オレンジの顔文字辞書ver3.1
http://facemark.vis.ne.jp/download.htm
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顔文字入力支援辞書。

7000種類の顔文字をWindowsやMacの日本語入力支援ソフトから”読み”で入力できるようになる。♪⌒ヽ(*゜O゜)ノ スゴイッ!!!。ヽ(`Д´)ノ (д´ノ) ヽ(   )ノ (ヽ´△) ヽ(´△`)ノ。

顔文字を苦手としている私でも、辞書に登録されていると、楽しくてついつい呼び出してしまう。チャットで使うと超軽薄な人物を演じることができる。ヤッタネ!!(v゜ー゜)ハ(゜▽゜v)ィェーィ♪。

仕事で使うPCに登録してしまうと大変なミスにつながるかもしれないので注意。たとえば「いや」と入力すると変換候補は以下の通り。オロオロ(( ( ̄_ ̄;)(; ̄_ ̄) ))オロオロ。

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「あ」の項目は最初はこんな感じで始まる。

ああ o┤*´Д`*├o アァー 顔文字
ああ 〜〜〜〜〜((((((ノ゜�凵K)ノあぁ 顔文字
ああ ( ´△`)アァ- 顔文字
あいあいがさ (*・・)o个o(・・*)アイアイガサ♪ 顔文字
あいあいさー (`◇´)ゞアイアイサー! 顔文字
あいあいさー (`o´ヾ アイアイサー!! 顔文字
あいあいさー ∠( ̄◇ ̄) アイアイサ-!! 顔文字
あいあいさー (・0・)ゞ アイアイサァー! 顔文字

辞書への登録方法は、IMEごとに用意された辞書をダウンロードして、日本語入力の辞書登録ツールから設定する。最新のWindowsのIMEには対応したファイルがないが、その場合は「顔文字一覧 テキスト辞書インターネット対応」をダウンロードすれば大丈夫。ヤッタネ!!(v゜ー゜)ハ(゜▽゜v)ィェーィ♪。

もうチャットでのプレゼンスは誰にも負けない。

・ユーザビリティエンジニアリング―ユーザ調査とユーザビリティ評価実践テクニック
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新サービスのインタフェースについて考えている最中だったので、大変参考になった。

■ゴムのユーザ、弟子と師匠、シナリオ、ユーザの声の限界

ユーザビリティ設計の陥りやすい罠として「ゴムのユーザ」という言葉がでてくる。設計者の都合でゴムのように伸び縮みする想定ユーザモデルのことだ。インタフェースをデザインする際には、ついつい対象を広げようとして「流行と自分らしさの調和を大切にする大人のユーザ」のような、輪郭の曖昧なユーザモデルを想定してしまうことがある。対象は「すべてのお客様」というのもまずい。今のままでもなんとか使ってくれそうなユーザモデルをでっちあげるのもいけない。

曖昧なユーザモデルを避け、明確な姿を設定する方法論として「師匠と弟子形式のインタビュー」が紹介されている。このやり方では、実際に試作品をユーザに使ってもらいながら、

1 インタビューアはユーザに”弟子入りする”
2 ユーザ(師匠)は仕事を見せながら説明する
3 インタビューア(弟子)は、不明な点があればその場でどんどん質問する
4 ひと通り話を聞いたら、インタビューア(弟子)は理解した内容をユーザ(師匠)に話して、間違っていないかどうかチェックしてもらう

という手順を踏む。

ユーザが教えるつもりになることで、結論だけでなく、自らの体験の最初から終わりまでを順序だてて詳しく説明してくれるのが、この方法の良い点であるという。コンテキスト調査法とも呼ばれる。

こうして得られた情報を、ユーザが製品やサービスを使う際の物語(シナリオ)として書き出して残すのが次のプロセス。物語にはユーザの文脈が残るので、分析者が理解が容易になる。

「ユーザの声」だけでインタフェースを設計するには、限界があるともいう。ユーザが仮にインタフェースに不満を述べたとしても、それが真の原因とは限らないから注意せよと著者は述べている。ユーザの意見と実際の行動が一致しないことも多いのだそうだ。意見ではなく行動を分析せよとアドバイスがある。

後半では、プロトタイプ設計やテスト評価のノウハウ、チームのリクルーティングからマネジメント方法まで、実践論が続く。抽象理論ではなく、現場ですぐに使えるノウハウがいっぱいあって勉強になった。インタビューの質問例やカードソートによる情報デザインなどはすぐにも試してみたい。

ちょうど問題解決中の私にとっては、ユーザビリティのコンサルを雇った気持ちになる一冊だった。

■10ヒューリスティックス

ユーザビリティの研究者、ヤコブ・ニールセンの「ユーザインタフェースデザイン 10のヒューリスティクス」が引用されていた。

・Heuristics for User Interface Design
http://www.useit.com/papers/heuristic/heuristic_list.html

1 システム状態の視認性を高める
2 実環境に合ったシステムを構築する
3 ユーザにコントロールの主導権と自由度を与える
4 一貫性と標準化を保持する
5 エラーの発生を事前に防止する
6 記憶しなくても、見ればわかるようなデザインを行う
7 柔軟性と効率性を持たせる
8 最小限で美しいデザインを施す
9 ユーザによるエラー認識、診断、回復をサポートする
10 ヘルプとマニュアルを用意する

以下のサイトも詳しい。

ウェブサイトユーザビリティアンケート評価手法の開発
http://www.iid.co.jp/files/his_10th_paper.pdf

・U-Site
http://www.usability.gr.jp/index.html

・ラッセルのパラドクス―世界を読み換える哲学
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哲学者バートランド・ラッセルの入門書。

ラッセルは「プリンキア・マテマティカ」の中で、次の条件を満たす「理想言語」の必要性を述べている。

・名前としては、世界に確実に実在するとわかっているものの名前だけを含む
・個々の名前はただひとつのものだけを指す
・実在するものの間に成り立つ関係を表わす語が、名と名を結びつける。つまり、世界の論理構造をそのまま反映する

私たちが日常使う言葉には「世界に確実に実在するもの」以外の虚構の対象が入り混じっている。そのようなニセの指示句をラッセルは「不完全記号」と呼んだ。不完全記号は言葉の多義性を含んでいるが、それゆえに、話がわかりやすくなったり、簡潔に言うことができる長所がある。

ラッセルは不完全記号の使用も認めつつ、いざというとき、不完全記号を解体し、真の名前、つまり実在する対象を一義的に指す名だけからなる表現に変換できることを担保するために、日常言語に換わる人工的な理想言語を構想した。

「世界に確実に実在するもの」とは、より小さな構成要素を持たない単純者のことである。自らの存在を他の構成要素に依存していないため、実在する確かさが最大である単純者の名だけを使うことで、厳密に意味を確定できる言語を模索したことになる。

この本では「犬」が例でよくでてくる。個々の犬はもちろん実在する。個々の犬(タイプ0)の集合を一つ上の階層(タイプ1)まとめる名前に「セントバーナード」、「柴犬」、「ドーベルマン」などの犬の集合がある。さらに上の階層(タイプ2)には「犬種」という集合の集合がある。ラッセルのタイプ理論は、実在するものをすべてこうして階層化する。

この階層は、個々の犬の持つ属性(吠える、四本足、しっぽがある、など)が、個々の犬という構成要素よりも、上位に位置する集合になる。理想言語的には、階層(タイプ)の位置関係は厳密に区別されねばならない。

だから、

1 犬は、吠える
2 この犬は、吠える

という2つの文章があったとき、厳密な理想言語的解釈では、2は下位のタイプ(この犬)の述語として「吠える」という上位のタイプが使われているから、意味が特定できる。しかし、1は、一般名詞としての「犬」と「吠える」は共に集合であり、タイプ1であるため、意味を成さなくなる。タイプ理論では、主語より述語は高階になければならない。
これでは述語が不完全記号になっている。

しかし、誰が読んでも1は日常言語としては意味が通る。そこでラッセルは記述理論によって、本来あるべき隠れた文章を補い、不完全記号を解体して意味を確定する方法を編み出した。

1は

「いかなるXについても、もしXが犬であるナラバ、Xは吠えるものである」

が本来の意味であり、日常言語では省略して「犬は吠える」と言っている、とフレーズを足すことで論理的にも意味が一つに確定できるようにした。こうしてみると、1は主語述語ではなく述語述語であったことになる。

タイプとは別にオーダーという系列もある。

「ナポレオンは、偉大な将軍に必要な属性をすべて持っていた」

という例が挙げられている。

その属性とは勇敢であり好色であり、頑健であり慎重であったりする。無数に属性を列挙できるがその中には「偉大な将軍に必要な属性をすべて持っている」という属性も仮定できる。

自己言及が含まれると状況は複雑になる。

タイプ1 勇敢、好色、頑健、慎重
タイプ2 偉大な将軍に必要な属性

という階層があることになる。タイプ1の述語としてタイプ2がある。

しかし「偉大な将軍に必要な属性をすべて持っている」は「偉大な将軍に必要な属性」に含められない非述語的な属性である。そこで、これをオーダーという別次元の系列とし、述語同士のもうひとつの階層関係と定義した(分岐タイプ理論)

要素の集合と階層を扱うタイプ理論だが、集合のややこしい問題に「自分自身の要素でない集合の、集合」がある。

「あなたが今日考えたものの集合」という場合、無数の考えたものに加えて「あなたが今日考えたものの集合」自体が含まれる。これは自分自身を要素とする集合である。逆には自分自身を要素としない集合がある。

「自分自身を要素とする」「自分自身を要素としない」は曖昧ではないので、「自分自身の要素でない集合である」ものは必然的に決まる。そうなれば「自分自身の要素でない集合、の集合」が考えられることになる。

だが、「自分自身の要素でない集合の、集合」とはなんだろうか。定義自体が矛盾しているようにも読めるが、これを考えた時期のラッセルは言語的に意味をなす表現は必ず指示対象を持つと考えていた。実在するにも関わらず、意味が特定できないものが、厳密な論理の果てにうまれてしまう。これがラッセルのパラドクスである。

自己言及を禁止することで、一応はこのパラドクスを回避できることはわかっている。だが、自己言及の禁止によって、扱えなくなる問題が数多くある短所があることなどがこの本に詳細に説明されていた。私の理解はまだまだ怪しいが、ラッセルは論理的に非常識を扱う風で興味深い。

もっともっと知りたくなる好奇心を書き立てられた入門書であった。

・CPUターボ2A
http://www.vector.co.jp/soft/winnt/hardware/se377981.html
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CPUやメモリの利用率を視覚的にメーター表示してくれるアプリケーションは多数ある。このソフトが一味違うのは、CPUやメモリをエンジンに見立てて、その動作状態をエンジン音で表現していること。

動作状況を音で表現する。その実用性はともかくとして、逆転の発想がいいなあと感じた。CPU動作率が高いときは、動作が遅いときであり、普通はイライラする。このソフトの場合は「全快バリバリで大量の処理をやっつけてるぜ」というPCの今必死メッセージを肯定的に受け取れる、気がする。

とかいうことを、想像しながらダウンロードしてみた。

(Q)で実際に使ってみてどうか?

予想もしない使用感だった。

(A)PCと自分が一体化した気がする!

CPUやメモリが忙しくなると、エンジン音が高くなる。PCというマシンに自分が搭乗して乗り回している感覚が不思議だ。1時間も仕事中に使っていると、CPUとメモリの使われ具合が直観できるようになる。一般的なビジネスアプリケーションでは、メモリはよく使われるが、CPUは瞬間的にしか使われない。

CPUを限界まで使うには3Dグラフィクスのレンダリングや長時間の統計計算をさせるといった処理が必要であることがわかった。次の自分用のマシン購入時にCPUを豪華にすべきなのかメモリをたくさん積むべきかの判断材料になりそうだ。

なお、おまけとして

1.メモリーを50%解放してくれる

2.XP専用のハードディスクを快適化してくれる

3.IPアドレスボタンを押すとクリップボードに転送されIPアドレスを貼り付けることが出来る

4.ノートパソコンの場合はバッテリーのメーターが現れる

という4つの実用的な機能もある。

宇宙消失

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・宇宙消失
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グレッグ・イーガンをまた一冊書評。


2034年、地球の夜空から星々が消えた。正体不明の暗黒の球体が太陽系を包みこんだのだ。世界を恐慌が襲った。この球体について様々な仮説が乱れ飛ぶが、決着のつかないまま、33年が過ぎた…。ある日、元警察官ニックは、病院から消えた若い女性の捜索依頼を受ける。だがそれが、人類を震撼させる量子論的真実につながろうとは!ナノテクと量子論が織りなす、戦慄のハードSF。

「シュレディンガーの猫」という有名な思考実験がある。

要約すると

猫を実験箱に入れる。この箱には一粒の原子とその分裂崩壊を検出できるセンサーが入っている。センサーが原子の分裂を検出すると箱の内部は毒ガスで満たされて猫は死んでしまう。原子がいつ分裂するかはわからない。さて、実験は開始された。今、箱の中の猫は生きているのだろうか、死んでいるのだろうか?。箱を開けないで猫の生死を予測せよ。
常識では、原子の分裂はいつ起きるかわからないのだから、猫は生きているか、死んでいるか、どちらかの状態にあると考えられる。しかし、原子のような小さな世界を扱う量子力学では、観察者が観察したとき(フタを明けた瞬間)に、結果が決まるとされる。観測されていなかった時間は、猫は生きた状態と死んだ状態が重ね合わさった奇妙な状態にあったと量子力学者は考える。

私たちの世界は、多数の可能性の波動が重ね合わさった”拡散”状態から、観察行為によって、ひとつの可能性に”収縮”した状態が選ばれるのだと考えられる。

というような実験である。

そしてこの実験が、この本のメインテーマでもある。

サブテーマとしてマインドコントロール技術がある。もしも人間が意識や思考を制御する技術開発に成功し、自由に使えるようになったら、どうなるのか。主人公は冒頭からこの技術を使っている。本来の自分だったらそうは考えないはずと知りつつ、異なる合理的選択をする人生の物語。

「万物理論」より少し前に書かれたグレッグ・イーガンの名作。

昨年度マイベストSF 大作は「万物理論」、中短編は「あなたの人生の物語」
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/002774.html
・祈りの海
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/003779.html

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・バンド・オブ・ブラザース Vol.1 BAND OF BROTHERS
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すばらしい。自信を持ってオススメの大作。本当は長々と感想を語りたいのだけれど、敢えてネタバレなしで紹介してみる。

とかくテレビドラマは映画より格下だと思われがちである。

「バンド・オブ・ブラザース」は、映画の巨匠スティーヴン・スピルバーグとトム・ハンクスが製作総指揮で、制作費が約156億円。10話の連続エピソードの中で、見るものも共に従軍したかのような臨場感を味わえる。テレビの連続ドラマだからこそ作れた感動作品。

演出はハンクスの「プライベート・ライアン」に似ている。派手な戦闘シーンに頼らず、静かにリアルに、戦争の真実を描いた。

第二次世界大戦末期、ノルマンディー上陸作戦からドイツ降伏までヨーロッパ戦線で戦った、アメリカ陸軍・第10空挺師団506連弾第2大隊E中隊将兵の体験を描く。主題は仲間の絆。国内での訓練学校時代から、パラシュート降下で参加するノルマンディー上陸と、内陸での死闘、そして迎えた終戦まで、視聴者はいつのまにか、自分も隊員であるかのように感情移入してしまう。

最終話を見終わったときは目頭が熱くなったと同時に、もう一度最初から見たくなった。2回目も十分に味わえる余力を持った名作である。

2001年ゴールデン・グローブ賞最優秀作品賞を含む華麗な受賞歴。

エミー賞
2002 ミニシリーズ部門作品賞 受賞
ミニシリーズ部門監督賞 受賞
ミニシリーズ部門キャスティング賞 受賞
ミニシリーズ部門シングルカメラ編集賞 受賞
ミニシリーズ部門シングルカメラサウンドミックス賞 受賞
ミニシリーズ部門音響効果賞 受賞
ミニシリーズ部門脚本賞 ノミネート
ミニシリーズ部門メイクアップ賞 ノミネート
ミニシリーズ部門美術監督賞 ノミネート
ミニシリーズ部門撮影賞 ノミネート
ミニシリーズ部門視覚効果賞 ノミネート
ミニシリーズ部門ヘアースタイル賞 ノミネート
ミニシリーズ部門スタント賞 ノミネート
優秀メインタイトル・デザイン賞 ノミネート

ゴールデン・グローブ賞
2002 ミニシリーズ部門番組製作術賞 受賞

ゴールデン・サテライト賞
2002 ミニ・シリーズ部門助演男優賞デヴィット・シュワイマー 受賞

TV批評家協会賞
2002 ミニシリーズ・映画部門優秀賞 受賞

・BAND OF BROTHERSの世界
http://www.bandofbrothers.ne.jp/

・AXN|バンド・オブ・ブラザース
http://www.axn.co.jp/bob/
11月からAXNでも放映。

・Band of Brothers 絆で結ばれた兄弟たち
http://www.h3.dion.ne.jp/~brothers/

・DnsEye monitoring DNS packets in network and displays DNS information
http://www.nsauditor.com/network_tools/dns_monitoring.html
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DNSEyeはパソコンがインターネットの名前解決システム(DNS)を利用すると検出してリアルタイムにリスト表示してくれるフリーソフト。たとえばWebブラウザーでYAHOOにアクセスすれば、www.yahoo.co.jpが記録される。

大手の商業サイトを見に行くと、アクセスしているURLのドメインと一緒に、広告配信サーバや画像専用サーバらしいサーバ名が多数検出された。怪しいドメインへの自動アクセスが行われていないかのセキュリティチェックに使える。

使い方は簡単で起動したらRunをクリックすると、検出が開始される。検出したサーバ名のログはテキストファイルとして保存できる。検出状態で1日使っていたら、自分が何台くらいのサーバのお世話になっているかがわかって、楽しそうでもある。

・さようなら、私の本よ!
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さようなら、私の本よ!

死すべき眼のように、想像した眼もいつか閉じられねばならない。

この本を大江健三郎は、長い作家生活の最後の小説と宣言してから発表した。過去にも断筆宣言や最後と言ったのに次を書いたことがあるセンセイであるから、本当にこれで最後になるのかは定かではないが、それなりの覚悟で書かれた作品であることは、読みながら感じ取れた。

ノーベル賞作家としての著者の分身である主人公、長江古義人と、奇縁で結ばれた幼馴染の著名な建築家椿繁の”おかしな二人組”が、老年になって過去のわだかまりを越えて再会するところから物語が始まる。繁は若い教え子とともに、大きな暴力に対する、小さな抵抗のためのテロの企みを持っている。繁が所有する”小さな老人の家”という名の別荘で、病後の静養に誘われた古義人。彼らとの共同生活の中で、その一部始終を見て書き残す役割に、作家としての意味を見出し始める。だが、企みは外部の世界の思惑も絡んで、思わぬ展開を見せ始めて......そんな内容である。

私は学生時代から読み始めて、大江健三郎の本は、エッセイ集も含めて9割は読んでいると思う。最後の読者サービスなのか、読み続けている熱心な読者にとっては、読みどころが特に多い。四国の谷間の森、障害者の息子アカリと音楽、エリオット、ダンテ、渡辺一夫(この本では故人の六隅さんとして登場)、樹木への執着などの、歴代作品に登場してきた一連のメタファーが、次々に説明なく登場する。ファンは各々の文脈を知っているのですぐに独特の世界観にひきこまれるが、逆に過去の作品を知らない読者には読みにくいかもしれない。

読みにくいといえば、そもそも大江作品は翻訳調の読みにくい文体が特徴である。序盤で主題がわかりにくい作品も多いように思う。とっつきの悪さを我慢して半分くらいまで読み進めると、ドラマが大きく激しく動き始めて、物語の大きなテーマが浮かび上がって、ずっしり読むものの心にのしかかってくる。それが私の大江作品の全体印象だった。


新進作家のぼくが、年末に出版社のやるパーティに出て、手持ちぶさたにしているところへ、あの記者がやって来たんです。そして、あなたの出発点の文章はスッキリして、書いていることがよくわかった。今はゴテゴテしている。それは批評家が褒めてるような、あなたに豊かな資質があるというようなことじゃなくて、いま何を書いたらいいかわからないから、形容詞の煙幕を張ってということじゃないのか?そういって、向こうへ行った......

その夜、ぼくは下宿へ帰って、インタヴューの時、もらった名刺を取り出して考えたのね。明日ここに電話をして、も一度話を聞かせてもらったら、自分の入り込んでいる迷路から出られるかもしれない......しかし、その勇気はなくて、そのままになりました。

読みにくさ、自覚していたらしい。このように自身を主人公にして客観視する作風が多い作家だったが、この本では長い作家生活全体をパースペクティブに、大きく振り返っている風である。題名も「さようなら、私の本よ!」であるから、しめくくりのはずなのである。

しかし、これ、本当に最後の小説なのだろうか。自らを老人で大きな仕事を終えてしまった大作家と認めているが、9.11に始まる世界の現実に積極的に言及しているし、なにがしかの仕事を成し遂げる意欲を持った老人二人が出てくる。そのシンパの若者も物語の中で壮絶な役割を果たす。ぜんぜん枯れきってはいない。

著者は単に高齢で、いつ”大きな音を聞く日”が来てもいいように、次を最後の遺作にすると宣言しているだけなのではないか。話の中で主人公が執筆に使ってきた万年筆をなくす段があるのだが、その後もワードプロセッサで現実から読み取る”徴候”を熱心に書き続ける姿がある。このくだりを読むと、まだ次の作品、あるような気がする。

「最後の小説」を力点に書評してしまったが、物語として面白かった。

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・シュメル―人類最古の文明
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いつか行ってみたい国がイラク。

人類最古の文明、メソポタミア発祥の地だから。

・MSN エンカルタ 百科事典 ダイジェスト - マルチメディア - ウルのジッグラト
http://jp.encarta.msn.com/media_461550220_761572159_-1_1/content.html

聖書に登場する「バベルの塔」のモデルになったといわれる聖塔ジッグラト。一度、自分の目で見てみたいが、すぐにはいけそうにない状況である。イラク博物館も、戦争で破壊・略奪されて、図鑑に掲載されているような貴重な遺産が失われてしまったりもしたようだ。

メソポタミアを知る上で、このDVDは素晴らしかった。

・四大文明 第二集「メソポタミア〜それは一粒の麦から始まった〜」
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大成建設がCGを担当している。この会社は古代文明の建築物の再現CG制作を得意とするようで、少し古いが、こんなサイトも見つかった。解説付きの再現映像でたっぷりみごたえあり。

・大成建設 古代文明都市 バーチャルトリップ
http://www.taisei-kodaitoshi.com/index.html

ティグリス河、ユーフラテス河の間の土地という意味の「メソポタミア」文明は、5千年前に文字やハンコ、学校、法律を創り出し、人々は都市生活を営んでいた。この文明を生み出したのが、出自が謎のシュメル人であった。

世界の神話の原型をシュメルに見ることができる。


七日と七晩の間、大洪水が国土で暴れ、
巨大な船が洪水の上を漂った後で、
ウトゥ神が昇って来て、天と地に光を放った。
ジウスドゥラは巨大な船の窓を開いた。

シュメル語版「大洪水伝説」

これはキリスト教の聖書にでてくる洪水伝説やその他の文明の類似神話の原型となっている話である。預言者モーセやローマの建国伝説ロムルスとレムルスの原型になった、川に流される赤ん坊の伝説もみつかる。

こうした神話は、楔形文字による粘土板にしっかり記録されている。文字はシュメルで生まれたともいわれる。粘土板読みと呼ばれる研究者は一生をかけて少しずつ、粘土板を解読しているそうだ。この本はそうした気の長い解読の何十年の成果から、当時のシュメル文明の姿を描き出そうとしている。

シュメルのみの本というのは珍しいので、古代史・神話好きにはたまらない新書であった。歴史の教科書ではメソポタミアというと「ハンムラビ法典」「円筒印章」程度で一瞬で通過してしまう部分であるが、たくさんの「世界のはじまり」がこの時代にあったことに驚かされる。

・コンテンツビジネス・マネジメント
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日米で活躍する弁護士によるデジタルコンテンツ論。

デジタル技術とインターネットの出現によって、法律の想定を超えた、思わぬコンテンツの創出や流通形態が次々に登場している。こうした新形態は「ニューユース」の問題として、法曹界でも議論が始まったばかりのホットな問題である。

この本はデジタルコンテンツに明るい弁護士が果敢にニューユースに切り込んでいる。

■アイドル証券化

インターネットはコンテンツの資金調達という創出のフェイズから新しいチャレンジの場として機能している。新人グラビアアイドルを証券化という話題が取り上げられている。私もネットのニュースで見て注目していた。

・ジェット証券株式会社
http://www.jetsnet.co.jp/g_idol/main_fr.html

・ITmediaニュース:“萌えドル”も参加するアイドルファンド第2弾
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0412/16/news068.html

出資は1口5万円。調達した資金は、写真集やDVD、CDの製作にあてる。投資家には売り上げの12〜15%が出資者印税として支払われ、最終的な投資利回りは売り上げに応じて変動する。

 出資受け付けは2005年1月6日から2月18日までジェット証券Webサイトで行う。総額6000万円の調達を計画している。

 写真集は新潮社が発行する。DVDとCDはAmazon.co.jpで独占販売し、強力なプロモーションを行う。ネット販売により流通コストを大幅にカットし、その分をプロモーション費用に回すことでヒットを狙うとしている。

・「アイドルファンド」のJDC信託が急伸、信託業参入で問われる実績 - nikkeibp.jp - 企業・経営
http://nikkeibp.jp/wcs/leaf/CID/onair/jp/biz/381319

同時にファンドを立ち上げ、これまで67案件、延べ20億円を投資。ファンドの運営手数料などの売上高は前期連結ベースで12億円に上る。しかし話題のアイドルファンドで、出版した写真集などの売れ行きが配当可能ラインに達したアイドルはまだいない。

ゲームの世界でも、ヒット作品になりそうな続編企画でファンドが立てられ話題になっていた。

・世界初の投信「ゲームファンド ときめきメモリアル」〜11月から募集
http://www.watch.impress.co.jp/finance/news/2000/10/25/doc817.htm

1口10万円で投資を集めたのだが、結果はこうなった。

・「ゲームファンドTMときめきメモリアル」の償還に関して(マネックス証券・2003年2月17日)/マネックス・ビーンズ証券
http://www.monex.co.jp/AboutUs/00000000/guest/G800/new/news30217-2game.htm

10,000円に対して10,088円が償還

意欲的な企画だったけれども実際は投資商品としては厳しい結果に終わった。

しかし、米国ではコンテンツの証券化はコンテンツ創出の重要な役割を担い始めているという。日本ではまだ、長期的に利益を生み出せるコンテンツの企画の担い手が少ないことなどが原因に挙げられている。

投資商品としては「会社」よりも「コンテンツ」や「有名人」の方がわかりやすい人も多いはずだ。これからに期待である。

■電車男の出版

そして当然、コミュニティが生成したコンテンツとして大ヒットをおさめた電車男も解説対象になっている。


「電車男」の著作権は誰に帰属するのか、出版によって生じる「印税」は誰のものか、あるいはこの物語に興味をもってドラマ化や映画化する場合には誰に許諾を求めればいいのか


書籍には各投稿者の著作権は放棄されていないという認識のもと、著作隣接権者である「2ちゃんねる」の運営者に許諾を得て出版に至ったことが断り書きとして記載されていますが、これでは許諾を受けたことにはなりません

テレビドラマにまでなった電車男だが、著作権を完全にクリアしたわけではないようで、むしろ出版も放送も、意欲的な試みとして位置づけられていた。コミュニティが創出したキャラクターを勝手に利用したとして、その後、のまネコ問題でエイベックスが痛手をこうむることになった。今後は著作権の扱いとは別に、それを生んだコミュニティとの関係性も大切に考えていかないと、ビジネス展開は難しいようだ。

■日本ではミッキーマウスの著作権は既に消滅している?

面白い事実がいろいろある。

1928年に米国でディズニーのミッキーマウスが映画デビューした頃、著作権の保護期間は56年間であった。ミッキーマウスは、1985年には保護期間が切れてパブリックドメインとなる予定だった。誰でも自由に使えるキャラクターになるはずだったのである。だが、1979年に著作権法は改正され、保護期間は75年間で19年間の延長が決まった。そして、その延長が切れる直前の2004年、米国に著作権延長法が成立し、保護期間が95年間に再設定された。ミッキーマウスは2024年まで保護されることになった。

ディズニーの著作権が切れそうになると、著作権保護期間が延長されるようにも見えるため、ミッキーマウス保護法などと揶揄される。これは有名な話なので私も知っていた。

しかし、著者によると、これは米国の法律であり、日本には効力が及ばない。意外な事実が指摘される。


ミッキーマウスが映画の著作物であると考えると、保護期間は公表の翌年の一月一日から五十年ですから、わが国では1979年にはすでに著作権保護期間が満了したことになります」

戦時加算という敗戦国の日本に課された特別延長ルールを適用しても、1989年にはミッキーマウスの著作権は国内では消滅しているという。日本ではミッキーマウスが公有の存在である可能性があるようなのだ。ウォルト・ディズニー・ジャパンにこの件を問い合わせると「お答えできません」という返事が返ってくるとのこと。

ただし、商標としての「ミッキーマウス」は別に存在しており、著作権が切れたからと言って、自由に使えるものでもないらしい。「シンデレラ」や「白雪姫」はパブリックドメインでありながら、ディズニーのキャラクターとしても活躍している。パブリックドメインになる部分とそうでない部分を組み合わせた利用は新たな課題になりそうだと述べられている。

この他、

・日本の法律はパロディを許容する器量がない
・ウルトラマン初期作品の海外での商品化権を円谷プロは持っていない
・宇宙戦艦ヤマト、キャンディキャンディの著作権紛争
・ゲームは映画の著作物に該当する
・テレビ番組のリメイク権、フォーマット権

などなど、著作権絡みの話題がたくさんわかりやすく解説されている。

・著作権とは何か―文化と創造のゆくえ
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/003459.html
・知財戦争
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/002828.html

・図解 株式市場とM&A
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縁があって、著者の保田さんと私は毎週顔を合わせて一緒に仕事をしている関係なのだが、この本を偶然みつけて読み終わるまで、実のところ、よく知らなかった。読み終わって一気に尊敬モードに以降。来週の会議からは先生と呼ばせていただきます。いや本当に。

・ちょーちょーちょーいい感じ
http://chou.seesaa.net/
保田さんのブログも発見。最新の株式市場に対する解説記事が参考になる。

身内だからほめているので決してなくて、アマゾンで第三者がたくさん絶賛してもいます。「株式・社債の部」1位にもなったそうです。投資銀行時代の経験と自身の起業体験を活かして、株式市場とM&Aについてやさしく書かれています。

私も学生時代に起業してから10社ほどのベンチャー企業の創業や役員就任を経験しています。株価、株主、出資、議決権、増資、ストックオプション、M&A、配当、デューデリジェンス、上場(これはやったことないけど)は、一通り経験したり、身近でみてきました。この本のキーワードで知らなかった単語はありません。

しかし、この本のおかげで、知っていること同士の関係が、1段階上のレベルでわかった気がしました。創業者の視点で体験する順序で、各キーワードの意味が説明されているのが、わかりやすさの秘密でしょう。

内容は、一人の若者が友人らの出資を受けてカフェを創業し、複数店舗展開した末、株式を公開、他のカフェの買収や、逆に敵対的買収(TOB)を仕掛けられるまでになるという、青春熱血起業物語です。小説形式なのが教科書と違います。

ドラマとしても演出が効いていて、最後のエピソードでは本当に目頭が熱くなりました。ベンチャーに対する見方が、投資銀行業務出身なのに、暖かでさわやかです。カネのためだけではなくて、自分の夢、みんなの夢のために会社を作る、育てることの楽しさと苦労がよく伝わってきます。

もちろん、実際の起業では、こんなにキレイに物事が進んだり、判断要素がクリアなことはないのですが、経営の基本知識の適切な要約になっています。突っ込んだ細かい事柄はばっさり省略されていますが、社長自身が知っておくべき事柄はこれで十分だと思いました。細かいことは、現場で著者のような専門家に聞けば良いわけですからね。

この本、著者は身内ですが、内緒で自腹で買いました。その価値がある本だと思いました。起業を考えている人、創業以来突っ走ってきたけれどもここらへんで知識を整理したい現役経営者にうってつけの良書。

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・マインドマップ読書術―自分ブランドを高め、人生の可能性を広げるノウハウ
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有名な書評サイトを運営し、何冊も本を著す、大手企業のマネージャー松山真之助さんの読書マインドマップ作成のすすめ。

・Webook
http://webook.tv/松山真之助さんの書評サイト


読書ばなれが叫ばれて久しい。それは出版社にとっては憂うべきことなのかもしれませんが、本から知恵を得ている人たちにとっては、差別化の優位性がますます大きくなるということかもしれない。

ブログの秘訣の一つはネットの外からネタを持ってくることなのだと思っている。検索エンジンが高度化してネット上の話題は、皆が取り上げる。独自取材や体験をネタにするという手もあるが、書籍は比較的手軽にネタをネットにもちこめる情報ソースだと思う。

「本を読むこと=書評を出すための準備作業」とは書かれているものの、もちろん、松山さんも(そして私も)、本来は本が好きだから読んでいるだけなのだと思う。情報発信のネタとして使うというのは、この習慣をより意味のあるものに変えるためのノウハウということだろう。

この本は、読書内容を自由な連想図解「マインドマップ」形式で書き出して、ネットで公開することで、


1 読んだものを読書マップにすれば記憶に残りやすい
2 読書マップにして外に出せば(他人に見せれば)、知のネットワークが広がる
3 出せば成る(活動領域が広がる、人生の選択肢が増える)

という効用があると言うことを実体験から語り、読者にもすすめる本である。

「出すという目的があると入るものが違ってくる」

この言葉も納得で、読んだことや考えたことをブログに書いたり、人前でしゃべることを続けていると、インプットの定着率が高くなると感じている。著者が勧める「読書マップ」は、厳密にはマインドマップとは限らないようだ。誰かに内容を話すために、考えたことを書き出すことが重要だという内容である。

読書マップには、自分が感じたこと、そこから連想されたこと、関連のある本のタイトル、自分ならこうする、まったく逆の意見などを書き出していくとよいという。読者投稿から厳選した10冊の書評のマインドマップがこの本には収録されている。他人の書いたマインドマップをたくさん見る機会は少ない。どのように読書マップを書いたらよいのかが、とてもよくわかる。

この本に書いてあることは既に私も日々実践しているため、最初から最後までうなずきながら読んでいた。著者も私と同じ長時間通勤なのだが、毎日往復4時間以上も通勤時間があるらしい。私は2.5時間くらいである。通勤時間は読書タイムなのだ。なんだか羨ましい。

関連:マインドマップ

・デスクトップ発想支援ツール
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/000139.html

・おしゃれ会議 満員御礼に感謝 報告第1弾
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/001557.html

・畑村式「わかる」技術
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失敗学、決定学、創造学の畑村教授著。

■わかるとはどういうことか

世の中のすべての事象はいくつかの「要素」が絡み合う形で、ある「構造」を作り出している。多くの場合は複数の構造がいくつかまとまって「全体構造」を成す。そして、構造同士を組み合わせ、何らかの「機能」を持っている。乗用車ならば、いくつかの部品(要素)で製造されるエンジンやタイヤ、ハンドルやアクセルが構造で、走るや曲がる、止まるなどの機能が実現されているわけだ。

わかるというのは、次の3パターンなのだという。

・要素の一致
頭の中の要素のテンプレートと目の前の事象の要素が一致した状態

・構造の一致
頭の中の構造のテンプレートと目の前の事象の構造が一致した状態

・新たなテンプレートの構築
自分がすでに頭の中に持っている要素や構造を使って新しくテンプレートをつくることで理解すること

動的な構造の理解ではさらに次の3パターンがあるとされる。

「構成要素の摘出」
静止させた状態で構成要素を確認する

「構造化」
要素同士を組み合わせて別の大きな働きをする構造を頭の中につくりあげる

「試動」
頭の中のモデルに刺激を与えて動かしてみて現実と比較する


■逐次思考と飛躍思考、直観と直感

わかるプロセスがあきらかでも、現実の事象は複雑である。すべての要素の組み合わせを逐一考えて試していては、現実的ではない。3つの選択肢から正解を3回連続で選ばねばならないようなケースでは、しらみつぶし式では27通りを試さねばならない。これが逐次思考。しかし、3回の選択を次はAだろう、次はBだろう、次はCだろうと3回選ぶだけならば、9通りを試すだけですむ。これを著者は飛躍思考と呼んでいる。

もちろん、飛躍思考で正解を得るには全体の構造を理解できていなければならない。それには過去に徹底的にそのことについて考え、演習して答え合わせまで行う経験をしていることが大切である。経験と知識に裏付けられた飛躍思考を直観と呼んでいる。直観でわかるが理想である。

直観と似て非なるものが直感や勘である。これは刺激を受けて思い浮かべたもの。なんとなくサイコロで次に5が出るような気がするという論理的根拠がない思考だ。自分の持っているテンプレートが不完全なのに、目の前の事象と一致しているように見えて、すべての説明ができるように思えてしまう錯覚にも気をつけよという。

では直観でわかる力を鍛えるにはどうすべきなのか。

■現地、現物、現人


現代社会で本当に必要とされていることは、与えられた課題を解決する「課題解決」ではなく、事象を観察して何が問題なのかを決める「課題設定」です。課題解決と課題設定のちがいは「HOW」と「WHAT」のちがいと言ってもいいでしょう。そして何よりも「WHAT」が社会で必要とされる時代なのです。

それは本当にそうだと思う。「HOW」は今はネットで検索すれば誰でもすぐにみつけられる時代でもあるからだ。変化が激しい状況では、解決すべき課題が何なのかを見抜く人が求められている。

見ない、考えない、歩かない、の3ナイがいけないと著者は指摘する。現地、現物、現人を観察し、自分で考えることが直観を鍛える上で、大切だと結論している。逆演算の重要性という章もあったが、ネットで検索するとHOWがすぐに見つかってしまう現代では、手を動かして検算する疑い深さがますます重要になってきているように思われる。

わかるという当たり前のプロセスを根底から解き明かそうとする一冊。

・決定学の法則
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/001676.html

・創造学のすすめ
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/000846.html

・わかったつもり 読解力がつかない本当の原因
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/003801.html

・「わかる」とはどういうことか―認識の脳科学
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/000973.html

・「分かりやすい文章」の技術
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/001598.html

・「分かりやすい表現」の技術
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/000451.html

・人生は数式で考えるとうまくいく
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著者大村あつしさんが創業者として12年間、育てた会社が他人の手に渡るシーン。


調印を終え、その場を立ち去る「新社長」の後ろ姿を努めて冷静に見届けた私に、弁護士は、「最後まで立派でしたよ、大村さん」とやさしく声をかけてくれました。

しかし、帰宅した私は緊張の糸が切れたのでしょうか。悔しくて悲しくて苦しくて、ガソリンがなければ走れない自動車のように、心のガソリンが空になり、とにかく気持ちが「走れない」のです。ベッドから起き上がれない状態が数週間続きました

大村さんのことは90年代から知っていた。Visual Basicなどの解説書をたくさん書かれている(累計100万部超)ライターで元は編集プロの経営者で、日本最大のVBAコミュニティの主宰者だった。私も著書を読んでVBAを使えるようになった一人だから、お世話になっている。

・大村あつし ボクは不死鳥 - ブログ
http://www.fushicho.com/blog/

その大村さんと最近ときどき渋谷のバーで会うようになった。私のことをご存知だったので、嬉しかった。ライター出身でコミュニティ主宰者として活動し、経営者になったと言う点では私とも経歴が似ていると思っていたから。だが、上述のような会社乗っ取り事件や、駆け出し時代の苦い体験を乗り越えて、活躍されているなんて知らなかった。

表題の人生の「数式」は至って単純なものだった。

目標 − 現状 = 課題

知識 × 経験 = 知恵

このわかりやすい式に、大村さんの個人的な生々しい体験が代入される。

物事を多角的に見る知恵の説明として、フロントホックブラってどんなブラジャー?という質問の例がある。ほとんどの男性は前で外すブラと答える。ほとんどの女性は前で着けるブラと答える。前で着けるブラジャーと答えられる男性、前で外すブラと答えられる女性が、成功者になる可能性が高いのだと言う。物事を他人と違った視点で眺め、わかりやすく説明することができる人になるには知識と経験の掛け算ができないといけないということだ。

フリーランスとベンチャーを10年やってきた、似たような立場の人間として、大村さんの等身大の成功論、人生論にはとても共感するところが多かった。自ら経験した成功と失敗の両方を堂々と語っている。ひとつひとつの決断を積み重ねてきて今があることの誇り、なんだと思う。自分の信用で取引をし、自分の人生をハンドリングしている感覚を持てることはフリーランス、ベンチャーの醍醐味だと思う。そのことがいっぱいこの本には書いてある。

この本、八重洲ブックセンター 週間ベストセラー 初登場総合1位。アマゾンでもベストセラーになるなど、とてもよく売れているようだ。この前、お会いしたときには「これからはテレビを舞台に活動するつもりです」と少し突っ込んだお話も聞かせてもらった。大村さんに負けないように私も頑張らねばと思った。

・宗教常識の嘘
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宗教学者の島田裕巳によるコラム集。

2005年8月、読売新聞の世論調査によると、何か宗教を信じている人はわずか23%で、信じていない人は75%を占めた。宗教を信じている人の割合はオウム真理教事件以降、減少傾向にあるようだ。

世界の総人口の32.9%がキリスト教徒。19.9%がイスラム教徒。13.3%がヒンズー教徒。儒教・道教・中国民間信仰が6.4%。三大宗教と日本では呼ばれる仏教は5.9%で、実は第5位の比較的小さなグループに過ぎない。

欧米で3大宗教というとキリスト教、イスラム教、ユダヤ教という組み合わせの方が一般的だ。そして、これら3つの宗教はイスラエルを聖地とし、同じ唯一神をアッラーと呼んだり、ヤハウェ、エロヒムと呼んで信仰している。世界人口の過半数をこの宗教グループが占めている。

無宗教がマジョリティのはずの日本だが、聖地参りという点では世界的にも稀に熱心な国である事実が指摘される。イスラエルのメッカは世界中からイスラム教徒が詣でることで知られており、年間参拝者数482万人に及ぶ。キリスト教の聖地ルルドも年間500万人を集める。しかし、日本の三が日の初詣の参拝者数は全国で9千万人に及ぶ。個別の聖地をみても、明治神宮(310万人)、成田山新勝寺(265万人)、伏見稲荷(261万人)など200万人を超える神社が他にもいくつもある。

イスラム教でもキリスト教でも、聖地参拝者の皆が皆、厳格な信者と言うわけではなく、現世利益や軽い気持ちで参拝するような人もいる。宗教心の薄い日本の初詣とまったく別物ともいえないだろう。日本は隠れた宗教大国なのである。

近年、宗教は原理主義やテロリズム、カルト宗教と結び付けられてメディアに報じられることが多い。イスラム教徒の原理主義ばかりがクローズアップされるが、本島の原理主義者はアメリカにいるという指摘がある。

2004年のニューヨークタイムズの調査によると、アメリカ人の55%が人類の誕生は「神が創造した」と回答した。「神が関与した」も27%で「進化による」は13%に過ぎなかったと言う。聖書の記述を真実だとし、進化論を認めない福音派はジョージ・ブッシュの支持基盤ともなっていた。メガチャーチという巨大な教会をつくって礼拝する保守的な白人中心の信者が中心となっている。日本人からは見えにくいところで、米国の宗教は根強く栄えているようだ。

空海はいまも生きている。隠れキリシタンの信仰の内容の不思議。イスラム教徒になる方法。イスラムに聖職者はいないこと。戒名を勝手につけてしまった著者の見解。日本人は本当は一神教だ論。創価学会や立正佼成会などの新宗教の状況や、宗教法人への課税の理由の解説。そして、キリスト実在についての大胆な仮説など、世界と日本の宗教を肴に、興味深いテーマのコラムが続く。全体を通して、見えにくかった宗教の今について理解を深めることができる一冊。

・日本人の神
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/003868.html

・日本人はなぜ無宗教なのか
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/001937.html

・仏教が好き!
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/001708.html

・「精霊の王」、「古事記の原風景」
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/000981.html

・脳はいかにして“神”を見るか―宗教体験のブレイン・サイエンス
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/000134.html

・禅的生活
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/002275.html

・神の発見
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/003728.html

・科学を捨て、神秘へと向かう理性
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/002634.html

・神の発明 カイエ・ソバージュ
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/000314.html

・古代日本人・心の宇宙
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/001432.html

・日本人の禁忌―忌み言葉、鬼門、縁起かつぎ…人は何を恐れたのか
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/000809.html

・人は見た目が9割
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非言語コミュニケーション入門。

・非言語(ノンバーバル)コミュニケーション
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/000549.html

このテーマでは上述の名著があるのだが、少しばかり出版が古い。この本でも参考にしつつ、最新の研究成果を紹介している。著者は本業が演出家であるため、日常のコミュニケーション論だけではなく、役作りのノウハウを絡めてこのテーマを語った点が面白かった。

心理学者アルバート・マレービアンの研究によると、人が他人から受け取る情報の割合は以下の通りで、

・見た目・身だしなみ、仕草・表情 55%
・声の質(高低)、大きさ、テンポ 38%
・話す言葉の内容 7%

言葉は7%しか伝えていない。

そもそも話す以前に話し手の顔のかたちも影響する。演出では丸顔は「明るい」「包容力」「決断力・行動力がない」、角顔は「情に流されない」「短気」「積極的で意思が強い」、逆三角形顔は「明るくない」「学者タイプ」「先頭に立って仕事をするタイプではない」などの印象を与えるのだという。役者選びの際には、顔の形の持つ印象も参考にしているらしい。

確かにドラえもんのスネ夫くんが丸顔だったら、スネ夫くんらしくない。

演劇の演出や漫画の原作をてがける著者は、「こういう役はこういうしゃべり方」という典型があるとして次のような例を挙げている。


貧しい農民は東北弁、ケチは大阪弁。浮世離れして上品な人物は京都弁。ヤクザは広島弁。志が大きな男は土佐弁(坂本竜馬のイメージ)。男っぽくて逞しいと博多弁。人望のある傑物は薩摩弁(西郷隆盛のイメージ)。

漫画では「可愛い女の子」は、膝を内側を向けて立つ姿で描き、ぎこちない感じを出すと効果があるらしい。目は大きく開き、両目の距離をくっつけすぎないように描けば、隙があるように見えて一層効果的。こぶしは握った方が少年っぽさを演出して、逆に可愛い感じになるとのこと。作例も提示されていて納得。

顔つき、仕草、目つき、匂い、色、温度、距離など非言語コミュニケーションの研究成果やノウハウが各章にまとめられている。深く知るに当たっての入門書としてとっつきやすい本だった。

・マンガ・心理分析
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/002605.html

・人と人との快適距離―パーソナル・スペースとは何か
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/001278.html

・間合い上手 メンタルヘルスの心理学から
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/003644.html

・しぐさでバレる男のホンネ、女の本心
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/003936.html

・電車でGO! POCKET 山手線編
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予約して発売日に購入。


大人気電車運転シミュレーションゲームが、PSPでついに登場。車掌の仕事を再現した「車掌乗務」、新しいダイヤを購入する「ダイヤの購入」、運転している電車を外から見ながら運転できる「アウタービュー」、運転評価を連続で満たすとボーナスが加算される「チェインシステム」、アイテムを使えて初心者でも楽しめる「エンジョイモード」、さまざまな電車の写真が鑑賞できる「ミュージアム」など、PS2で好評のモード&システムを踏襲。上手にプレイして、より高い運転士等級と称号を勝ちろう。通信機能を使って友達と「運転士名刺交換」も可能。

・電車でGO!ポケット 山手線編:タイトー
http://www.taito.co.jp/d3/cp/den_pocket/

グラフィックの美しさに目をみはる。ゲーム内容は電車でGO!なのだけれども、運転中の電車を外部視点で眺める「アウタービュー」がすばらしい。車内放送とドアの開閉だけを行うエンジョイモードは、グラフィックを楽しみたいだけの人にも楽しめる。

日常的に使っている山手線なだけに、あの場所はどう描かれているかな?を確認するだけでも最初はハマってしまった。そして私以上にハマっているのが鉄道オタクの2歳の息子。私が遊んでいると、まだ操作もできないのに、PSPを奪おうとしている。

そもそもこの発売を知ったのは、息子が本屋で見つけて離さないので仕方がなく買ったこの雑誌の広告記事がきっかけ。

・鉄道ファン
http://www.railfan.ne.jp/koyusha/
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当初「鉄オタ」かよーと、まったく興味がなかったのだが、読んでみるとこの雑誌もかなり面白い。長年使ってきた鉄道には知らないことがいっぱいある。さらにマニア向けの出版物やイベントの告知が気になってしょうがない。中身をもっと知りたくなってしまった。毎月買っている。

鉄道オタクの世界、結構、私も向いているのかも?。

・白地図 KenMap (白地図作成ソフト)
http://www5b.biglobe.ne.jp/~t-kamada/CBuilder/kenmap.htm
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国土地理院発行の数値地図データを使って、都道府県単位、市町村レベルの白地図を作成できるソフト。白地図にデータファイルから情報を読み込ませたり、色分けしたりすることで、オリジナルの地図をつくることができる。企画提案や教育にいろいろと活用できそうだ。


都道府県単位で,市区町村行政界を示す白地図を描きます.複数の都府県にまたがった地図を描くこともできます.

都道府県名一覧から,あるいは,市区町村名を指定して検索し,該当する地域の白地図を描くことができます.

マウスをドラッグして指定した範囲の拡大地図を描くことができます.

全国の市区町村名を表示し,その読みがなを知ることができます.また,島名,山名を表示することもできます.

地図上に記号を付けたり任意の線を引くことができます.

平成8年以降の市町村合併による新しい行政区画や新市町村名にも対応していますが,従来の区画や市町村名も選択して表示できます.

経緯線,経緯度,尺度(スケール)を表示することができます.

任意の色およびパターンで,市区町村別の塗り分け地図を作成することができます.また,塗り分けに対して凡例を作成し,表示することができます.

地図上の任意の位置に,任意の文字をラベルとして表示することができます.

地図上に任意の位置を中心とする複数個の距離円(同心円)を描くことができます.

マウス位置の経緯度/座標値表示,ドラッグして2点間の距離測定を行うことができます.
さらに,任意の経路に沿った距離や閉じた領域の面積を測定できます.

全国の島名および主要な山の位置とともに山名、読み、高さを表示することができます.
都道府県庁,市役所,町村役場の所在地を表示し,それぞれのホームページにリンクしたり,またメールを送信することができます.

インターネットを通して,国土地理院の地図閲覧サービス(ウオッちず)に接続し,25000分の1の詳細地図を表示することができます.

・白地図 KenMap - ベクターソフトニュース
http://www.vector.co.jp/magazine/softnews/050406/n0504061.html

詳しい説明

・大型店とまちづくり―規制進むアメリカ,模索する日本
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大型店とまちづくりの日米比較。

1990年に大型店は全国に2358店舗あり、2003年には4111店舗に増えた。この間に店舗数は1.7倍に拡大した計算になる。特徴としては大型スーパーが増えており、逆に百貨店はやや減っている。そして大型店は増えたにもかかわらず、その全体の売上高は1997年から2003年の期間で7%以上も減っている。店舗が増えたのに全体の売り上げが減っているのだから、一店舗あたりで計算すると27%の売り上げ減という深刻な状況にある。

小売の全国の売り場面積に占める大型店の面積比率は2002年に44%。売上高比率では32.4%に達するという。地域社会の生活や経済に多大な影響力を持っている。特に最近の出店は郊外、ロードサイドに集中している。

大型店は売り上げが落ちた店舗は即刻閉店し、閉店数を上回る数の新規出店を続けることで収益を確保しようとする(スクラップアンドビルド)。大型店が郊外、ロードサイドに開店すれば地方都市の中心市街地の商店街は客を奪われ大打撃を受ける。

地方都市郊外や周縁部、そして中心地でも大型店が閉店したまま建物が放置されている「グレーフィールド」が増えている。私も関東と関西でいくつか事例を知っている。建物を壊した空き地のままの数も入れると閉店店舗例の40%を超えるらしい。

売り上げが落ちると閉店し、別の場所へ出店する大型店の「焼畑商業」が街のイメージダウンや失業者の増加、治安の悪化、経済の落ち込みの大きな原因になっている。スプロール開発(低密度土地利用による土地浪費型、かつクルマ依存の郊外開発)も、地域社会にとってマイナスになる。

大型店を誘致する地方自治体には「雇用機会の増加」「買い物機会の拡大」「市税の増収」の3つの期待があるとされる。しかし、実際には郊外出店により中心地の商業の壊滅による地価の下落、固定資産税の減収につながってしまう例が続出。閉店によって失業者増加、利益は域外の本部に吸い上げられ地元経済には落ちないなどの見込み違いが起きる。
米国のシンクタンク、シビックエコノミクスの調査によれば、域外商店に比べて地元商店のほうがはるかに地域経済に貢献することがあきらかにされている。試算では地元商店で1ドルの消費があると、平均73セントの地域経済効果がある。これに対して域外商店で消費があっても平均43セントの効果しか得られない。

そこで米国では「小さな町」コンパクトシティの計画が積極的に各地で展開され、一定の成功をおさめはじめている。米国の多くの街はロードサイドに同じような大型店舗が並び、均質的な街並みが多いが、さすがにそれでは

米国の地域自立研究所による「我々の小売店」論は、大型店に変わる3つのモデルを提唱している。

・食料品を中心にした消費者共同組合
・地元起業家によるコミュニティ・ビジネス
・州民を対象に株を発行し、プロが経営する店舗

そして、ウォルマートのような低所得者層、失業者、年金暮らしの高齢者の多い地域に大型店を出店し、低賃金で住民を雇用することで、低所得のままにしておき、納入先にも無理な低コストを要求するひどい仕組み「毛沢東理論のウォルマート版」だと強く批判したジャーナリストもいる。

この本の最後では、日本における大型店の規制条例の制定や、街づくりをみなおして地域の活性化で成功し始めた自治体の事例がいくつも紹介されている。経済的費用だけではなく、社会的費用まで考えると、トータルでは大型店よりも、地元商店を活性化させたほうが住民にとって恩恵が大きいということを考えさせられる本であった。

理屈ではわかるのだが、地方都市に住んでいる一消費者としては、地元商店街を応援したい気持ちもありつつ、魅力的な店舗が少ない現実があるなと思う。イトーヨーカドー、ダイエー、トイザラス、郊外のショッピングモールなどは、品揃えや集積メリットなどを総合すると便利であり、やはり足がそちらへ向いてしまう。

昨年、気になった地元の活性化企画にこんなビジネス発想コンテストがあった。藤沢市は全国的に見れば悪くない方だと思われるが、「商店街にある休眠中の店を、斬新な発想と感性で再生させる新ショップ開発の部」という項目があり、グレーフィールド問題は身近でも問題であるようだ。

・湘南藤沢商店街活性化・アイディア大募集!ビジネスコンテスト 結果発表!!
http://www.cityfujisawa.ne.jp/~shouren/busicon/

実は私も一夜で書いたおもいつきを応募していたのだが入選はならずであった。結果発表を見ると、古着のリメイクショップが入選。私の案はちょっとひねりすぎていたらしい。今年もあったらわかりやすいアイデアでまたチャレンジする予定。

こうした発想の取り組みの中からこの本にでてきた「我々の小売店」の魅力の具体例が示されれば、大型店とまちづくり問題の解決につながっていくのかもしれない。

デジカメの破損データを復元するツール 500枚の写真救出体験談

昨日のエントリで公開した沖縄のスライドショーの裏には手に汗握ったドラマがありました。一人プロジェクトX状態。以下その体験談。

沖縄旅行で持って行ったデジタルカメラの、XDピクチャーカードのデータが破損した。「このメディアはフォーマットされていません」というエラーが表示されて、アクセスすることができなくなった。街の写真の現像サービス用の端末にカードを試しに挿入した際、データが破壊されたらしい。旅行中に撮影した枚数は500枚。まだ一枚も見ていない。

ちょっと冷や汗だったが、プロのカメラマンの人からそういうことはときどき起きると聞いていたのと、復旧の可能性があることは知っていたので、早速ネットで調査。

私のデジタルカメラのUSB接続経由ではカード(XD ピクチャーカード1G)を認識しないため、カードリーダーを別途用意することになった。過去の経験から安物は大容量メディアをうまく認識できなかったり、アクセスが遅いという問題が起きる。

いろいろ評判を聞いたりして13メディア対応のアイオーデータのカードリーダーを購入した。

・I-O DATA USB 2.0/1.1接続 13メディア対応 マルチカードリーダーライター [USB2-W12RW]
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「miniSDカード」や「メモリースティック Duo」などのミニメディアもダイレクトに挿入できる、合計13種類のメモリーカードに対応したUSB 2.0接続のメモリーカードリーダーライター。従来品に比べて転送速度がよりアップしており、デジカメやケータイで撮りためた高画質な写真データもストレスなく快適にパソコンへ転送することができる。また、「メモリースティック Duo」にパソコンの動画や音楽データを転送し、PSPで楽しむときにも大変便利。

特徴はほとんどのアダプター類なしに流通しているほとんどのメディアに対応していること、アクセスが高速なこと、同時に4つのカードを認識し、個別のストレージとして利用できること。

早速、メディアを挿入してみると「このメディアはフォーマットされていません」というメッセージが出た。フォーマットしますか?と聞かれるが、もちろんNO。これでどうやら通電していることは確認できた。ソフト的に壊れているらしい。少し希望が出てきた。
まずはメディアがどの程度深刻にダメージを負っているのかを知る必要がある。こうしたケースでは多くの場合、データ自体は残っているが、ファイルの場所を特定するためのセクションが破損した可能性が高い。

・PC INSPECTOR File Recovery
http://www.pcinspector.de/file_recovery/jp/welcome.htm
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フリーソフトのPC INSPECTOR File Recoveryを使う。このソフトはFAT 12/16/32 及びNTFSのファイルシステムを走査して、破損したディスクを徹底調査する。場合によっては、このソフト自体でファイルを復元することもできる。

早速、実行すると、500個程度のファイルの存在が報告された。写真の枚数と数が合っている。JPEGファイルを救出するように支持してみると、2時間程度でJPEGデータらしいファイルが復元されてきた。しかし、各ファイルレベルでデータの整合性がおかしいようで、画像として表示することができない。

ここでさらにフリーソフトを組み合わせることもできたがタイムイズマネーということもあって、雑誌でレビューを読んでいた「完全フォト復元」の体験版をダウンロード。画像が復旧できることが判明したので、製品版を購入した。

・完全フォト復元 2006
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2000件のファイルが救出された。妙に多い。1500個のファイルはデジタルカメラが内部の縮小画像処理などに使っているデータのようだ。プレビューで見ていくと次々に復元対象がみつかっていく。30分程度の処理時間の後、見事に500枚すべての写真データを取り戻すことができた。

万歳、万歳、大万歳。

世の中には1ギガのデータ復旧に数十万円もかかる有償復旧サービスがある。そんなに高い金額では現実には諦めるしかないだろう。だが、実際には復元の現場も類似したソフトを使用しているはずだ。ちょっと試してみる価値のあるソフトである。デジカメ以外、写真以外のデータ救出にも使える。

・日本人の魂の原郷 沖縄久高島
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昔、アマミヤ(女神)とシラミキヨ(男神)が東方の海の彼方(ニラーハラー)から久高島にきた。ところが久高島は東の波は西に越え、西の波は東に越え、海水の中にたゆたい、まだ島の形はなかった。そこでアマミヤが持参のシマグシナーと称する棒を立て、神に頼んで天から土、石、草、木を降ろしてもらった。それで久高島ができた。

沖縄本島南部地域の知念半島から東方約6キロに浮かぶ小さな島、久高島に伝わる開闢の神話だ。久高島は長い間、独自の宗教と文化を守ってきたため、とても古い時代の神話や祭祀が現代にまで伝わっている。

久高島では男は海人、女は神人となって生きた。


久高島では、シマで生まれ育ち、一定年齢(丑年の30歳から寅年の41歳)になった主婦は全員神女になることになっており、70歳までつとめなければならない。この神職者の就任式が12年ごとの午年、旧暦11月の15日の満月の日から18日までの4日間にわたっておこなわれるイザイホーなのである。

イザイホーは500年以上前に始まったと言われる男子禁制の祭りであった。現在は後継者不足のためおこなわれていない。この本には著者が撮影した貴重な1978年のイザイホーの写真が掲載されている。聖地久高島の中の聖地、クボー御嶽に神女が終結し、儀式を執り行う様子は荘厳さに圧倒される。

実は、私、昨日、その沖縄最高の聖地、久高島と、本島のもうひとつの聖地、斎場御獄にいってきた。

遅い夏休みをとって沖縄に行き、久高島、そして本島の斎場御獄を訪問した。高い波でやたらと揺れる高速フェリー(1日6回運行)で渡って、3時間半ほど島に滞在。なお、久高島の中でも最高の聖域クボー御獄は、いまも男子禁制なため、妻にカメラを渡して撮影してきてもらいました。島から戻って急いでバスで3駅の斎場御獄へ。斎場御獄からは遠くに久高島がのぞめる絶景が見えました。

スライドショームービーを公開します。デジカメの写真をMicrosoft Photo Story 3でムービーに変換しているため、WMV形式です。クリックで映像をダウンロードできます。

久高島、斎場御獄の訪問は神話マニアとして長年の夢だったので感無量の体験でした。

・スライドショー
http://glink.jp/files/kudaka_sefa.wmv
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・Passion For The Future: Windows正規版チェックでタダでもらえるMicrosoft Photo Story 3
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/003183.html

・日本人はなぜ無宗教なのか
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/001937.html

・仏教が好き!
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/001708.html

・「精霊の王」、「古事記の原風景」
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/000981.html

・脳はいかにして“神”を見るか―宗教体験のブレイン・サイエンス
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/000134.html

・禅的生活
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/002275.html

・日本の古代語を探る―詩学への道
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/003206.html

・古代日本人・心の宇宙
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/001432.html

・日本人の禁忌―忌み言葉、鬼門、縁起かつぎ…人は何を恐れたのか
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/000809.html

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