明日は誰のものか イノベーションの最終解

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・明日は誰のものか イノベーションの最終解
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『イノベーションのジレンマ』『イノベーションへの解』に続く破壊的イノベーション論の集大成。「ハイテクのマーケティングを理論的にやりましょう」という内容で、情報通信業界では教科書の如く引用されるようになった。ケース満載。

マーケットリーダー企業は、要求の厳しい顧客の声に耳を傾けて、自社の製品・サービスを進化させる。その「生き残りのイノベーション」企業は、より利益率の高い金持ちマーケットに積極的に進出していく。一方で、新興企業は彼らが狙わないローエンドで新たなマーケットの創出を狙う。その武器が破壊的なイノベーションである。

・イノベーションのジレンマ―技術革新が巨大企業を滅ぼすとき
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/002943.html
詳しくは前作の書評を参照。

破壊的なイノベーションは、

・非消費に挑み全く新しいマーケットの確立を目指す
・ローエンドにおける攻撃(非金持ちマーケット)

という特徴を持つ。

本作でも、破壊的イノベーションに関わるたくさんの企業ケースが丁寧に解説されている。そこから抽出された、以下のような教訓が掲げられている。

1 破壊はあるプロセスであって、結果ではない

2 破壊は相対的な現象だ。ある企業にとっては破壊的なことが、他の企業にとっては生き残りに役立つということもあるだろう。

3 今までとは違っているテクノロジー、あるいは過激なテクノロジーが、そのまま破壊的だということはない

4 破壊のイノベーションがハイテクのマーケットに限定されているわけではない。破壊はどんな製品やサービスのマーケットでも起こりえるし、国家経済間の競争を説明するのにも役立つはずだ。

破壊的イノベーションが市場を席巻するまでには

1 変化のシグナル

2 競争のための戦い

3 戦略的な判断

という3つのプロセスがある。

大企業のマネージャーにとっては、ベンチャー企業の話題の新製品をまめにチェックし、自社の品質基準で比較したときに見くびらないこと、それが異なる評価軸で新しい顧客を開拓しているかもしれないと疑ってみること、が大切な心構えになる。ベンチャー企業にとっては、大企業同士がハイエンド向けの開発中心の生き残りフェイズに入った市場を発見したら、ローエンド対象に、まったく違う需要を満たす低価格帯製品の開発にアイデアを絞っていけということになる。

時代は動いている。常に眼を光らせて、破壊的イノベーションで勝利する側にまわれ、そのためには、この本を読んで理論を勉強せよ、という本である。一冊目から順に読んだほうがわかりやすいのだが、これは集大成本なので、巻末の資料も読めば、この本一冊でも著者の理論の全体像を理解できるようにまとめられている。

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このページは、daiyaが2005年11月27日 23:59に書いたブログ記事です。

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