2005年05月29日

著作権とは何か―文化と創造のゆくえこのエントリーを含むはてなブックマークこのエントリーをはてなブックマークに追加


スポンサード リンク

・著作権とは何か―文化と創造のゆくえ
4087202941.01.MZZZZZZZ.jpg

■文化の発展と著作権

著作物の定義は以下のとおりで、

「思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの(著作権法第二条第一項第一号)」

ある作品が著作物であるとき、著作権が生じる。

著作権者はその利用を禁止してコントロールすることができる権利=著作権を持つことになる。その権利の内容は多様で、複製権、上演権・演奏権、上映権、公衆送信権、口述権、展示権、頒布権、譲渡権、貸与権、翻訳権・翻案件、二次的著作物の利用権などがあるとされている。

そもそもなぜ著作権という法律があるのか。それに対して著者は、


著作権の最大の存在理由(少なくともそのひとつ)は芸術文化活動が活発におこなわれるための土壌を作ることだと筆者は考えています

と述べている。これは著作権法の条文を解釈したもの。原文は以下のとおり。

・著作権法
http://www.cric.or.jp/db/article/a1.html

第一章 総則

第一節 通則
(目的)
第一条 この法律は、著作物並びに実演、レコード、放送及び有線放送に関し著作者の権利及びこれに隣接する権利を定め、これらの文化的所産の公正な利用に留意しつつ、著作者等の権利の保護を図り、もつて文化の発展に寄与することを目的とする。

(昭六一法六四・一部改正)

本来は経済の発展のためではなくて文化の発展のために作られた法律である。もしもコントロールを認めることで文化や芸術の発展が阻害されるようなことがあれば、著作権法を見直すことが必要だというのがこの本の結論。

著作権の基本から、チーズはどこへ消えた、プリティウーマン、脱ゴーマニズム宣言、どこまでも行こう、ライオンキングとジャングル大帝、NapsterとWinnyなど最近の裁判の事例を挙げて、丁寧に今の問題点を指摘している。

実は、この本を読んだ動機があった。

■テレビ録画と著作権

先日、池田信夫氏が主宰する情報通信政策フォーラムのセミナーに参加してきた。「録画ネット」の問題である。大変、テンポラリなテーマで会場、参加者討論にも有名な論者が多数登場して白熱していた。

・情報通信政策フォーラム ウェブサイト: 第2回「ハードディスク録画サービスと著作権」
http://www.icpf.jp/archives/2005-04-22-1939.html

録画ネットは、海外にいるユーザから預かったPCを社内に置き、インターネットに接続することで、持ち主だけが海外から日本のテレビを録画視聴できるようにしたサービス。テレビ局の提訴を受けて、裁判所はサービス停止の仮処分を下した。

インプレスのインターネットウォッチが簡潔に状況をまとめているので長めだが引用させてもらう。

・テレビ番組録画サービス「録画ネット」を巡る法的議論
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/event/2005/05/20/7690.html

録画ネットのサービス内容は、当初の形態ではユーザーがエフエービジョンから録画用のPCを購入し、そのPCをエフエービジョンの用意した事務所(千葉県松戸市)内に設置(ハウジング)するという、売買契約と寄託契約がセットになった形態を取っていた。その上で、ユーザーは自分が購入したPCにインターネット経由でログインして録画予約を行ない、保存された録画データを自分のPCにダウンロードもしくはストリーミングの形で視聴する、というのが基本的な利用形態となっていた。また、各PCはユーザーが自由に利用できるため、いわゆるインターネットストレージとしての利用や、Webサーバー等を動かすことも可能となっている。

 各ユーザーのPCに対しては、エフエービジョン側で用意した共同アンテナからアンテナ線を分岐させることでテレビ信号を分配。またログインの認証はエフエービジョン側で用意したサーバーで一括して行ない、その際にサーバー側では不正ユーザーでないことを確認すると同時に、複数の人間がIDを共用することを防ぐため、同一IDでセッションが張られている場合はそのセッションを切断する形になっていたという。

 この録画ネットのサービスに対して、NHKと在京の民放5局は2004年7月、サービスの停止を求めて東京地裁に仮処分を申請した。

これ、基本的には自分の自宅や実家にテレビ録画PCを置いて、自分が海外から見ている場合問題にはならないらしい。どこにPCを置いているかの違いに過ぎない。そもそもソニーは堂々と、外出先(海外含む)から国内においた自分のPCを通じてテレビを視聴するマシンを販売している。またそのサービスを有料パックとして7月から開始する。

・ソニー、ワイド7V型液晶付属の「ロケーションフリーテレビ」
http://www.watch.impress.co.jp/av/docs/20050201/sony1.htm
「有線LAN環境と無線LAN環境での利用が可能で、外出先からテレビや家電製品の映像をリアルタイムで視聴できる「NetAV」機能も搭載する。新たに無線LAN経由での利用が可能となり、ベースステーションを自宅に待機させたまま、ディスプレイ部を持ち出し、外出先で無線LAN/Ethernet経由でブロードバンド環境に接続すると、ベースステーションのテレビチューナや、ベースステーションと接続したハイブリッドレコーダなど外部機器の映像をインターネット経由で視聴できる。」

・So-net、「ロケーションフリーTV」を外出先で見るパック
http://www.watch.impress.co.jp/av/docs/20050527/scn.htm
「ソニーコミュニケーションネットワーク株式会社(SCN)は、同社が運営するプロバイダSo-netにおいて、ソニーの「ロケーションフリーテレビ」(LF-X5/X1)を使って外出先から自宅のテレビや録画済みコンテンツを視聴できる「ロケーションフリーテレビまるごとおまかせパック」を7月1日より提供する。」


池田信夫氏はブログ上で、(著作物という点ではテレビもWebも一緒なので、Webを中継するISPと同じという解釈らしい)、


「インターネットを通じて録画できる事業者が、録画機器を継続的に管理する場合、録画の主体は事業者であり、すべて違法である」

これはウェブ・ホスティングやデータ・センターなどにもそのまま当てはまる。この主張が認められたら、全国のホスティング・サービスはみんな違法ということになるだろう。」

と裁判所の決定に対して批判的に感想を書いている。

「どこでもいつでもテレビが見たいよ」と思うユーザはP2Pアプリケーションのユーザより、ずっと多いはず。なぜいけないの?と思うケースが増えてくると思われる。こうした議論が、著作権の見直しの切り込み役になっていくかもしれないと思った。


スポンサード リンク

Posted by daiya at 2005年05月29日 23:59 | TrackBack このエントリーを含むはてなブックマークこのエントリーをはてなブックマークに追加
Daiya Hashimoto. Get yours at bighugelabs.com/flickr
Comments

ソフトウェアの権利は著作権法でまもられています。
その著作権法が文化芸術を守るためのものであるとすれば、ソフトウェアは文化 芸術であり、
プログラマーはアーティストなんですね♪

Posted by: nati at 2005年05月30日 12:12
Post a comment









Remember personal info?