2004年03月30日
人はなぜ逃げおくれるのか―災害の心理学
地震や火災に遭遇したとき、人と集団はどのような心理状態でどのように行動するのかを、豊富な実例と実験データをベースに分析した本。
■パニック、反応タイプ、エキスパートエラー
冒頭でどちらが正しいと思うか、という質問がある。
1 地震や火事に巻きこまれると、多くの人々はパニックになる
2 地震や火事に巻きこまれても、多くの人々はパニックにならない
答えは2なのだそうだ。そもそも日本や欧米の研究では、避難の指示や命令があっても、過半数の人間は速やかな避難行動を取らないという。
個人や社会の災害への反応タイプは5種類に分類できると説明される。分かりやすく私の理解で各タイプのこころのつぶやきを右に書いてみた。
1 過剰反応タイプ どうしたらいいんだパニック!
2 諦め もうどうにもならないから諦めよう
3 費用便益反応 避難するのは得なのか損なのか
4 がまん 軽い災害のはずだから我慢してしまおう
5 無関心 私には関係ないだろう
費用便益反応が一般的に多いのではないかと思う。避難行動には相応の費用がかかる。災害の渦中にあっては、避難を指示する側も非難する側も、不完全情報下で、本当に危険なのかどうかの予測がつきにくい。
9.11世界貿易センターのテロの際に、救助に当たった多くの警察官、消防士が、ビルの崩壊によって亡くなった。崩壊直前の上層階の避難者たちと警察の交信記録から、災害対応のエキスパートたちでさえ、限定された情報下では間違った指示を出してしまったことが分かる。災害の経験は災害の種類や規模が変ると過去の経験は役立たないという説もあって、そのときそのときでの自分自身の判断が重要なのだそうだ。
パニックに対する恐れが致命的ミスにつながる例も幾つも例示される。指示する側が、人々に安心感を与えるために、状況の深刻さを軽めに伝え、その結果、手遅れとなる。これはパニック映画的なパニック神話によるもので、実際の災害現場では、幾つもの要因が偶然に重ならない限り、パニックなど起きないのだという。
人食いサメのパニック映画「ジョーズ」ではサメの出現によって大混乱で浜辺を逃げ惑う人々が描かれていたが、よく考えればあれはウソなわけだ。陸に上がるわけがないサメに対して、浜辺を逃げる必要などないわけで、映画はありえないパニックを描いている。
むしろ、人々は災害時に、危険を認識できないか、認識しながら冷静に行動する。現実は映画「エンド・オブ・ザ・ワールド」のように淡々としたものなのだろうと思った。
・エンド・オブ・ザ・ワールド 完全版
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/000165.html
■家族で避難、生存確率が高いのは若い、家族、メディア接触、お金持ち
どのように逃げるべきか。過去の大災害時に助かった人(サバイバー)の事例研究が面白い。一番死亡しやすいのは年齢の高い男性単身者だそうだ。逆に一番助かりやすいのは家族で行動を共にした避難者であるとのこと。若いほど生存確率は高い。家族の絆による信頼感と無償の援助、心理的な安心感が生存確率を二倍にも高めるというデータが出てくる。
マスメディアやパーソナルメディア(近所つきあいなど)への接触の多い人間は早めの避難行動を取る傾向があり、助かりやすいという結果もあるが、悲しい現実として、お金持ちほど助かりやすいという検証データも提示されている。
他にも多数の生存者のプロフィールや行動パターンが明かされているが、結論すると、冷静沈着で、情報にもとづき意思決定をし、生存への意思の強い家族が、避難の理想ということになりそうだ。うーむ、家族のリーダーである家長の責任重大といったところか。
■災害の与える社会的影響
この本は、災害時の人々の心理分析だけでなく、災害後の人々の行動(ボランティア活動)や心理効果(PTSD問題)、歴史学的な社会的影響論についても触れている。
地震や大火災は、都市の歴史の時間軸を強制的に進める効果があるという指摘は興味深い。神戸の震災では一応の復興は成しえたものの経済的な後退感は否めないという。それはもともと神戸という街が経済的には下降期にあったからである。逆に関東大震災に見舞われた東京は、それを機に都市計画を整備し、震災以前よりも首都として成長することができたのだという。古今東西の事例から考えても、長期的に見るならば、成長期の災害は一層の成長に、衰退期の災害は一層の衰退につながるという説。個人の人生においても同様のことは言えるのかもしれないと感じた。
この本は、災害について理論と同時に、マニュアル以上の実践的知識を与えてくれる本で、特に都市に住む人間ならば一度は読んでべき本だと思った。とにかく面白い。
2004年03月29日
インターネットマガジンにソーシャルネットワーキング特集
29日発売のインターネットマガジンにソーシャルネットワーキング特集を書きました。
http://internet.impress.co.jp/

「ソーシャルネットワーキングの可能性」
橋本大也(データセクション株式会社)+神田敏晶(KandaNewsNetwork, Inc.)
KNNの神田さんと二人で一人格での共同執筆というの初めての体験。前半は私がソーシャルネットワーキングの概要と理論を説明、後半は神田氏によるビジネスモデルの検討を書いています。6ページの特集。ソーシャルネットワークについて興味のある方はぜひお読みください。
Orkut、Gree、Mixi、Linkedinなどソーシャルネットワーキングサービスには正直、はまっています。きっかけは2月5日にインターネットマガジン編集長の西田氏と先月号の件で、会談したことでした。まだ日本ブレイク前の段階で、いち早く入会していた西田氏が、この会談のお礼に私を招待してくださったのでした。私はその日のうちに日本人80人を誘いました。物珍しさと秘密クラブ的会員制のおかげか、80人がさらに人脈が広がっていき、当初の目標「友達100人できるかな」は軽々と突破してしまいました。
Orkutでは人脈のハブ=Connectorランキングが公開されているのですが、こんな私でも数日間ではありましたが、世界で20位、日本人として第3位(1位はネオテニー伊藤穣一氏、2位はKNN神田氏)のConnectorになることもできました。
その後、神田氏のセミナーでこんなプレゼンもしました。
・KNN Night vol.09 ソーシャル・ネットワーキング ビジネスセミナー
http://knn.typepad.com/knn/2004/03/knn_night_vol09.html
神田氏をソーシャルネットワークへお誘いした経緯で私もプレゼンすることになったセミナー(終了)
・私のプレゼン(パワーポイント)
Download file
・米国の主要なソーシャル・ネットワーキング・プロバイダ(SNP)
http://knn.typepad.com/knn/2004/03/post_5.html
世界の同種のサービスを網羅した貴重なリスト
なお、紙面の制約もあり雑誌では概説にとどまりがちでしたが、本当に最新の情報に触れたい場合には、次の二つのサイトが参考になります。ソーシャルネットワーキングの現状と未来を考えたい方におすすめ。
・Topix.net Social Software
http://www.topix.net/business/social-software
・SocialNetworkingBlog
http://socialsoftware.weblogsinc.com/
2004年03月28日
参加者募集:日韓大学生 アントレプレナーシンポジウム'04
日韓大学生 アントレプレナーシンポジウム'04
韓国の大学発、精鋭ベンチャー企業のCEOたちと、情報通信や起業をテーマに情報交換したい学生のみなさんにお知らせです。私はこのシンポジウムの情報通信部会で司会進行役を担当させていただくことになりました。
4月13日のテーマ別分科会に参加したい学部生や大学院生の方を募集しています。将来の起業に関心のある方、既に創業されている方、ITベンチャーへの就職を考えている方など、いらっしゃいましたら、無料ですのでぜひご参加ください。
参加申し込みはこちらのページからどうぞ。なお、申し込みメールには「橋本の紹介で」とお書き添えください。優先枠で確実に入っていただけます!。
申し込みサイト
http://www.v-kids.org/kotef/
----詳細
日時:4月13日 11:30~12:30 (予定)
場所:リーガロイヤルホテル東京(早稲田)
講演内容:ITなどの技術ベンチャー企業の実情と未来
対象:日本、韓国の大学生、大学院生向け
主催:韓国産業資源部
主管:早稲田大学ビジネススクール(アジア太平洋研究センター)
事務局:株式会社セルフウイング(早稲田大学支援企業)
<日韓大学生 アントレプレナーシンポジウム'04>
開催日:2004年4月12日(月)〜4月14日(水)
場所:東京(早稲田大学シルマンホール、リーガロイヤルホテル東京、早稲田大学国際会議場)
内容:日韓大学(院)生による技術系の起業に関するテーマ別分科会、シンポジ
ウム
目的:日韓の起業に関心がある大学生同士の技術創業アイディアと情報交流の場を与え、技術革新と国際的な創業マインドを向上させると共に、人的なネットワークを構築するためのサポート
対象:分科会に参加する意志のある日本の大学生・大学院生(事前申し込み必要)
日本学生日程 ・4/12(月)日韓大学生交流会
・4/13(火)シンポジウム、分科会、懇親会
※4/13(火)午前中のシンポジウムのみ参加する学生も募集しております。
(事前申し込み不要)
主催:韓国産業資源部
主管:韓国産業技術財団、早稲田大学大学院アジア太平洋研究センター
協力:
−韓国:韓国:韓国創業大学生連合会、韓国技術ベンチャー財団等
−日本:経済産業省、BLS-GENET(日本大学生ビジネス研究会)、川崎市産業振興財
団、ドリームゲート
学生起業家の会、日本ベンチャー学会、株式会社ネクスト、ASIA和力者団!等
科会テーマ (5分野)
1)情報通信(インターネットコンテンツなど)
2)電機電子(S/W、H/W開発、ゲーム開発など)
3)機械(自動化、部品、新素材など)
4)化学(環境、バイオテクノロジー、食品、繊維など)
5)生活及び知識サービス(広告、出版、デザイン、キャラクターなど)
参加費:無料(交流会・懇親会含む)
参加日程表:
☆4月12日(月)
【交流会会場】早稲田大学シルマンホール
18:30〜21:00 日韓大学生交流会
☆4月13日(火)
【午前会場】リーガロイヤルホテル東京
9:00〜9:50
開会の言葉
−早稲田大学大学院アジア太平洋研究科 センター長 松田修一教授(祝辞)
−駐日韓国大使館 大使
−韓国産業技術財団 事務総長
−経済産業省 未定
9:50〜11:30
日韓産業技術専門家によるプレゼンテーション
−両国の産業技術の全般的動向及び展望
・日本代表 日本ベンチャー学会 田村真理子氏
・韓国側 1名
日韓大学生による産業技術交流に関するプレゼンテーション
−大学(院)生のベンチャー創業の現状及び動向
−両国間協力方案及び課題提示
−両国共通の議題に関して発表し、随時Q&A
11:30〜12:30☆
日本ベンチャーCEO発表
− 日本の成功したベンチャー起業家の具体的な事例紹介
株式会社マクロミル 代表取締役CEO 杉本哲哉氏
【午後会場】早稲田大学国際会議場
ここを募集中!
13:00〜18:00
テーマ別分科会
− 各自希望した分科会に参加し、日韓大学生による活発な意見交換・情報共有を行
います。
【懇親会会場】早稲田大学国際会議場
19:00〜20:30
分科会参加者による懇親会
☆4月14日(水)
午前中 日本企業視察
午後 韓国側帰国
● お問い合わせ・お申し込み先:
事務局:株式会社セルフウイング(早稲田大学内)担当:平井(隆)、橋本
電話:03-5292-0738 FAX:03-5292-2465
E-mail:kotef@v-kids.org http://www.v-kids.org/kotef/
2004年03月27日
未来的なプリンタ複合機 HP PSC 2550 Photosmart
自宅のプリンタを5年ぶりくらいで買い換えた。今年のプリンタのトレンド「複合機」をキーワードに比較検討した結果、ヒューレットパッカードのこの機種に決まった。この機種には、プリンタ、コピー機、スキャナー、ファクス、メモリカードリーダー機能の機能がひとつに統合されている。購入価格4万円。
主な特徴はメーカーサイトを参照。ここでは個人的な評価だけを書くつもり。
■ワイアレスLAN対応
自宅は無線LAN環境がある。プリンタは居間に置きたかった。だがメインPCのある書斎と居間はかなり離れている。ケーブルを引き回すのは小さな子供がいるので難しい。そこで業界初のワイアレスLAN搭載のこのプリンタは魅力的に思えた。
一度有線(LANもしくはUSB)で設定すると、以後は無線接続化される。予想通り、プリンタの無線化は素晴らしいメリットがある。居間で読んでいる雑誌を気軽にコピー、スキャンできるようになり大満足。
■デジカメ画像のPCレス カラー印刷
フラッシュメモリの内容を液晶で確認しながら印刷できるホームDPE機能は便利。書斎ではなく居間にあることで、家族でコミュニケーションしながら写真を選んで印刷できるのが、家庭向け製品として素晴らしいと思う。印刷も、6色インクモード、淵無し印刷、専用光沢紙を使うことで「これがホームプリンタ?」と見間違うほど美麗に出力できる。
■プリンタからインターネットへ直接、画像メール&アップロード
フラッシュメモリーに入ったデジカメ画像や、コピー、スキャンした文書画像を、プリンタ単体で、Webアルバムサービス hp Instant Shareへボタンひとつでアップロードできる。任意の宛先へメールで送ることも可能。操作はカラー液晶を見ながら、選択するだけでよい。ほとんどの機能はPCは不要で、プリンタ単体で使うことができる。
■印刷ストレージ
対応フラッシュメモリ:
メモリースティックPRO、メモリースティック、メモリースティックDuo、スマートメディア、xDピクチャーカード、コンパクトフラッシュ(Type I/II)、SDメモリカード、miniSDメモリカード、MMC
デジタルカメラやPDAで使われるフラッシュメモリは各製品別に読み取りスロットが搭載されている。LAN内のPCから直接、フラッシュメモリ内容を編集できるので、カードリーダーとしても使える。
だが、単なるリーダーというより、もはや印刷ストレージサーバと考えた方がいいかもしれない。コピーやスキャン内容をフラッシュメモリへ直接保存できる。私の場合には128メガのコンパクトフラッシュを挿しっぱなしにしておき、そこへすべてのコピー、スキャンデータを蓄積させている。すぐに紙に印刷する必要はないが、将来印刷しそうな情報はメモリ上に置いておくと資源の無駄遣いもない。また必要なときにデジタルデータとしてPCへ持ち込める。
■敢えて不満など
家庭で多人数が、多用途に使うのに適したプリンタだと思う。誰かPCに詳しい人が1人いて、その上で導入するのであれば、最高の選択肢のひとつといえる。絶賛して終わりたいくらいなのだが、敢えて不満などを最後にまとめる。
プリンタとしての印刷精度やスキャナの解像度(1200*2400dpi)は、この価格帯としては普通レベルのような気はする。印刷の美しさやインクの耐久性では、比較候補としていたキャノンの複合機の方に軍配があがるようだ。
また無線LANや付属ソフトウェアをインストールし、フル機能を使えるように設定するには、ある程度のPCの知識とスキルが必要であると感じる。セットアップには2時間以上かかった。マニュアルの出来は最悪だ。リファレンスマニュアルとネットワーク設定マニュアルの2冊しか付属していない。購入してから何をどうすべきか、簡単にまとめたファーストステップガイド的な本をつけるべき。
ただし、一旦セットアップしてしまえば、PCの知識がない家族でも、気軽に高度な機能を使うことができる。例えば、「デジカメで撮影した画像をWebアルバムにアップロードして友人にURLを伝える」「気になった雑誌のページをスキャンして書斎のPCにファイル保存しておく」という作業を、PCなしで数回のボタン操作で完了できる。
といろいろ書いたが、ホームユースのプリンタとして超おすすめ。
2004年03月26日
井戸端会議満員御礼に感謝
無敵会議シリーズ第4回。セミナー部もなく、PCやネットも使わず、全編が、ただひたすらにインタラクティブ会議という実験的な回でした。
こんなセッションを6人グループに分かれて行いました。

■セッション1 人に好感を持たせる方法。
【リアルソーシャルネットワーキング】
1. 受付で写真をとる。写真に名前を書く。
2. 自分が「愛してやまないもの」を5つポストイットに記述。
3. 写真、名刺、ポストイットを巨大ポストイットに。
4. グループ内でそれを見て、共通点があれば線を引く。正確なマッチでなくても、そこに共通点が見出せそうだったら線をひいてもよい。
#意外な共通点や無理やりなつながりつくりの数々。リアル版Orkutを体験しました。
■セッション2 自分の話に説得力をもたせる方法
【メリット交換】
1. 「私とつきあうとこんなメリットがあります」というテーマで一人一分スピーチを考える。
2. 考えたら一人ずつ発表。
3. 投票。
#私とつきあうと書評が毎日聞けて、神社の由来に詳しくなり、最短距離のラーメン屋へ誘導しますが、いかがですか?
■セッション3 相手の行動を変える方法
【好感川柳】
1. いままで仕事でもプライベートでもいいので「すごくうまくいった」ことを川柳で表現する。
2. みんなで発表。
3. 投票。
#「アダプター 忘れた プレゼン 大拍手」
■セッション4 相手をひきつける話法
・相手が答えたくなる質問をする。
【質問力強化】
1. 「私の人生を変えたあの日の出来事」で一分間スピーチをする。
2. 他の人が質問を考えて書く。
3. 質問をする。スピーカーは答えなくて良い。
4. 全員質問したらスピーカーが「どれか一問だけ答えなくちゃいけないならこの質問」を選ぶ。なぜそれを選んだかの理由も教える。
5. 全員分終わったら「相手が答えたくなる質問の特徴は何か?」を議論してまとめる。
これは勉強になりました。田口さんがそのうちノウハウをまとめてくれるでしょう。
そういうわけで年度末の慌しい中でしたが、井戸端会議も無事終了。次回からは本来のスタイルであるセミナー+インタラクティブ会議スタイルへ戻す予定です。今後もよろしくお願いします。
2004年03月25日
CDROMだけで起動する3つのOS
ハードディスク不要で、CDROMから起動するOSが最近メディアでよく紹介されている。古いPCのネット端末化や、持ち歩くユビキタス環境として、ウィルスフリー、保守フリーという点が注目されているようだ。
■Knoppix
・Knoppix
http://unit.aist.go.jp/it/knoppix/

KnoppixはDebian LinuxをベースにCDROMのみで起動できるように改造が施された
OS。このサイトでダウンロードできるイメージファイルを焼いたCDROMを、PC
に挿入して起動するだけで動作する。自動的にネットワークを認識し(DHCP)、
バンドルされるWebやメール、オフィス文書作成、画像編集ソフトを使って、一
通りの仕事をすることができてしまう。
・KnoppixをUSBから起動
http://kserv.jec.ac.jp/news/release_2004-03-18.html
KnoppixにはUSBメモリ版もある。USBメモリだけでOSが起動する。
「
現在(Mar-2003)512MByteのUSBメモリは市販価格\17,000前後とかなり高価ですが、CD-ROMドライブから起動する KNOPPIXと比較して、以下のメリットがあることが確認されました。
・CD-ROMドライブから起動することと比較して、短い時間で起動することができ
ます(およそ1/3以下)。
・CD-ROMを内蔵しないノート型パーソナルコンピュータから、KNOPPIXを起動し
て使用することが可能になります。
・USBメモリに各種設定、データなどを格納することが可能になります。
」
■Lindows Smile
・Lindows Smile
http://lindows.livedoor.com/about/smile.php

Web、メール、簡単なオフィス作業ができるCD起動のOS。Linuxベース。設定データはUSBメモリに保存する。
■PE Builder
CD起動可能なWindowsを作成できるソフトウェア。
対応OSは以下の通り。
Windows XP Home Edition (must be slip streamed with Service Pack 1)
Windows XP Professional (must be slip streamed with Service Pack 1)
Windows Server 2003, Web Edition
Windows Server 2003, Standard Edition
Windows Server 2003, Enterprise Edition
これらのWindowsのインストールCDから起動に必要な部分を取り出して、空のCDに焼き付ける。このCDをCDROMドライブに入れて再起動するだけで、Windowsのフル機能が使えるようになる。コンピュータの復旧作業時などに役立ちそう。
・PE Buulder
http://www.nu2.nu/pebuilder/

2004年03月24日
基礎情報学―生命から社会へ
ついに西垣情報学という巨大氷山の水面下に隠れた体系が一般に語られた、という感想。
情報の大統一場理論へ出発点におかれた青写真として大傑作。
■情報の定義、観察者問題のその先へ
この本の情報の定義は以下のようなものである。
「それによって生物がパターンをつくりだすパターン」
( a pattern by which a living thing generates patterns )
著者は、情報の本質を生命情報の意味作用と考え、機械情報を主な対象としたシャノン、ウィーバーらの古典情報論は大きな情報学体系の一面的な捉え方に過ぎないとした。そして「意味をつくりだす存在としての生命」から出発し、意味作用を担う情報が、社会的に伝達され記憶されていく基本的なメカニズムを根底から考察した。それが書名となっている「基礎情報学」である。
基礎情報学で最も基本的単位となる生命は、自らの構成要素を自らが内側から産みだし続けるような自律ネットワークを指す「オートポイエティック・システム」であると定義する。このシステムが、情報を解釈することで意味が生まれる。
解釈者/受信者である生命は、脳と心的システムを持ち、刺激や環境変化に応じて意味作用を行い継起的に、自らの構成を変えていく。ヒトのこころであれば、何かを知ることで、思考の内容が変っていく。生命の体験そのものである原-情報は、心的システムに解釈され、言語化シンボル化、記述されることで、「社会情報」となる。歩いていて転んで「痛いっ」と言うとき、転んだことが原-情報であり、痛いのが社会情報である。情報は生物が生きるうえでの価値、意義から生じている。
心的システムの変容過程は、生命情報を受信した生命と「構造的カップリング」という共犯関係にある観察者(受信者と同一人物でもありえる)の視点があって、意味を持つ。原-情報のままでは、意味がない。よって生物が誕生する以前の地球には意味がなかったということになる。
■情報は伝達されない
第2の情報である社会情報こそ、私たちが一般的に「情報」と呼んでいるものである。社会には意味を共有する「コード」が存在している。ほとんどの社会情報は言語を使って表されており、コードは言語システムや背後の制度、権力関係に規定される。
この部分はフーコー哲学の権力と言説の関係に似ている。私たちは自由に思考しているようでいながら、政治、経済、法律、家族などの制度、権力の制約・拘束に縛られている。
基礎情報学と一般通念が大きく違う部分として面白く感じたのが、基礎情報学では人から人へ情報は伝達”されない”としているところである。対話によって情報がAさんからBさんに共有されたとしても、決して同一の意味内容をAさんからBさんの心的システムへ複製ができたわけではないというのだ。過去の知識も考え方も異なる心的システム同士は、完全に意味を共有することはない。が、対話による情報伝達ができているという観察ができるとき、そこには、情報伝達ができたことと同義の「意味伝達の擬制メカニズム」を想定できる、とする。
つまり、人は本質的には分かり合えないが、分かり合えたことと等価の擬制こそコミュニケーションと呼んでいるものであるという意味になるだろうか。ここで、連想したのが随分昔に読んだ、次の本の一説だった。
柄谷行人「探究1」P50-より引用。
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私はここでくりかえしていう。「意味している」ことが、そのような《他者》にとって、成立するとき、まさにそのかぎりにおいてのみ、”文脈”があり、また”言語ゲーム”が成立する。なぜいかにして「意味している」ことが成立するかは、ついにわからない。だが、成立したあとでは、なぜいかにしてかを説明できる。---規則、コード、差異体系、などによって。いいかえれば、哲学であれ、言語学であれ、経済学であれ、それらが出立するのは、この「暗闇の中での跳躍」(クリプキ)または「命がけの跳躍」(マルクス)のあとにすぎない。規則はあとから見出されるのだ。
この跳躍はそのつど盲目的であって、そこにこそ神秘がある。われわれが社会的・実践的とよぶものは、いいかえれば、この無根拠的な危うさにかかわっている。そしてわれわれが《他者》とよぶものは、コミュニケーション・交換における危うさを露出させるような他者でなければならない
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情報や知識を他人と交換しようとして対話を始めるとき、私たちは、相手に分かってもらえるかどうか、事前には知りえない。とりあえず、話してみた結果、分かってもらえたり、そうでなかったりするのだ。文章やことばの分かりやすさ以前に、ことばの命をかけた跳躍というプロセスが存在している、という論である。基礎情報学にもコミュニケーションの偶然性という言葉がでてくるのだが、偶然性は跳躍のドラマなのかもしれないと思う。
■古典的名著になる予感、インターネットシステムに関する私的考察
基礎情報学は「マスメディアー機能的分化社会ー心」という階層構造を持ち、上位が下位を制約、拘束、規定しているとする。この本では、後半ではマスメディアやインターネット、ITによって溢れ始めた機械情報の意味について考察が行われる。個の立場から社会、マスメディアに至るまでを、一貫した理論で語り、遂には大きな情報学の体系の円環を完成させる。
部分的に語られることの多かった著者の情報論の氷山の下に埋もれた基底部分がいかに大きくて精緻なものかに圧倒される。読後、しばらく知的な感動で声もでなかったくらい。素晴らしい本で、10年後、20年後にも、この本は古典的名著で、情報学を学びたい人にとっての、考えるための起点となる教科書であり続けるのだろうなと思った。
だが、ひとつだけ、最終章近くの「インターネットのつくる現実ー像」の、おまけ的部分だけがどうしても納得できなかった。
「
基礎情報学ではインターネット・システムをいかにとらえるのであろうか。当然ながら「インターネット・システム」とは、インターネットのハードウェア/ソフトウェアのことではなく、「インターネットコミュニケーション(インターネット上で交わされるコミュニケーション)」を構成要素とするオートポイエティック・システムである。その連辞的メディアは「テーマ」であり、二値コードは「刺激的/非刺激的」であると考えられる。マスメディア・システムとは異なり、視聴率や販売部数のような明確なプログラム(二値コードの判定基準)は存在しないが、刺激的でも論争的でもないコミュニケーションは周囲から無視され、後続するコミュニケーションが生成されない。(以下略)
」
本当にインターネットでは「刺激的でも論争的でもないコミュニケーションは周囲から無視され」ているだろうか。90年代中盤であればその傾向は強かったかもしれない。だが、最近のインターネットの状況を考えると、私にはそうは思えない。ある程度のネットのリテラシーを持っているユーザは、裏情報的な刺激情報には距離を置くし、コミュニティにおける挑発的な発言には返事をしないはずである。
本当の二値コードは「共感可能/共感不可能」ではないかと私は考える。
著者の言う階層システム構造において、心的システムを規定しているコードは、2ちゃんねる的な言葉を使うならば、「オマエモナー」であり「ワタシモナー」なのではないか。インターネットユーザは、マスメディアが提示する少数の識者の意見を与えられるのではなく、ネット上に広がりを持つ無数の意見群の中から、自らが共感できる情報を選択する/他者が共感する情報を選択発信するのではないか。
インターネットが持つ潜在的脅威でありパワーは、集団ヒステリー、集団妄想のカタストロフではなく、歴史的に通常サイズ(この本にある数字では150人)のコミュニティ規模を超えた巨大な集団による、理性的且つ、ある程度は知的な、しかしテンポラリなシンパシー、臨時的な連帯を作り出してしまうことにあるような気がしている。スマートモブズ、「祭り」現象がそれに当たる。これらの背後にあるのは、刺激による過剰反応や熱狂的な論争ではないだろう、と思う。
・こころの情報学
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/001034.html
・情報検索のスキル―未知の問題をどう解くか
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/000616.html
と絶賛してみましたが、「本当にオマエそう思ったか?」と各所よりツッコミを頂きまして、素直なもうひとつの書評を読みたい方は、次をクリックしてみてください。
■これは学なのか?もうひとつの素直な感想
というわけで、個人的には大変面白かったのですが...。
表向きには絶賛のみだったのですが...。
もうひとつの素直な感想として、「こころの情報学」の読後感と同様に、これは名人によるジグソーパズルなのではないか、と感じました。さまざまなベクトルも粒度も異なる理論を、「この部品はここにうまく納めることができる」と整理して、ついに手持ちのパーツをすべて枠にはめこんで、見えてきた絵に、「基礎情報学」という名前を名づけて見せた。そんな感じもしました。 体系化指向の本ですが、本来はバラバラだった断章である理論の接合なので、これが体系かというと、よく分かりません。
「情報の大統一場理論へ出発点におかれた青写真」という宇宙論的野望のもとに書かれたのだと思います。内容の性質上、検証は難しいし、青写真に対して精緻さを論じても意味がないと思います。そういった意味ではこれは本当に「○○学」なのかというと疑問符もつくのですが、スケールの大きさとパズル解きの名人による技の妙に、ワクワクしながら読んだ一冊でした。学者ではない私にとって、文学も科学も実用書も、本は面白いかどうか、で評価しています。そういった意味では大統一場理論は大変面白い価値のある本です。
2004年03月23日
集中力
「火事場の馬鹿力」という言葉があるが、身体的に危急な状況に置かれた場合にも私たちは通常の能力を超えた働きをする。集中力が高まるからである。
知的作業のパラメータとしても「集中力」は重要な係数であると思う。
興味があること、やる気があることに対しては、私たちは特別な力を発揮できるものだと思うからだ。同じ仕事をするにしても、特に知的作業は、集中力のあるなしによって、アウトプットの質と量は変わってくる。この本は、認知心理のさまざまな実験データを使って、集中力の秘密を解き明かしていく。
■内発的動機と外発的動機
著者によると、集中力の動機づけには、内発的動機と外発的動機の2種類があるという。内発的動機とは、自分自身の中から発する目標達成への動機づけであり、以下の3つに分類できる。
内発的動機
感性動機
環境刺激を求める
好奇動機
感覚的に環境を経験しようとする
操作動機
自己の行為を通じて環境を知ろうとする
内発的動機は、単純な刺激に対する欲求(刺激のなさを嫌う気持ち)や、好奇心、こうしたらどうなるだろう?という探究心等から発する。
これに対して外発的動機とは、達成することにより報酬(金銭や賞など)が与えられる場合に起きる動機づけのことである。
心理学の実験では、内発的動機の方が一般に優勢で、報酬による外発的動機の成果を上回ることが多いと、この本では述べられている。
例えば、被験者集団にパズルを解かせるという実験(E.L.ディシ)で、成果に対して報酬を与える、与えないという実験群と統制群を使って、外発と内発の効果を計った。すると、意外にも、内発的動機に一貫した方(完全無報酬)が、そうでない方(1日目は無報酬、2日目は有報酬、3日目無報酬)を上回る成果をあげた。報酬があるせいで、逆に内発的な動機を失わせてしまう効果があると結論されている。
確かに報酬体系だけで集中力が引き出せるのであれば、すべての組織が能力に応じた報酬体系になっているだろうし、企業ならストックオプション制度を使ってスーパーカンパニーとなることができるはずだ。だが、実際には必ずしもそうならないのは、報酬が集中力やモチベーションを、むしろ、減少させることがあるという事実と関係があるのかもしれない、と思った。
■高次レベルの欲求と集中力の関係
有名なマスローの要求5段階説も集中力と関係すると言う。
第一段階 生理的欲求
第2段階 安全を求める欲求
第3段階 所属と愛の欲求
第4段階 自尊の欲求
第5段階 自己実現の欲求
人間は5つのレベルの欲求を持ち、前の段階の欲求が満たされると、次の高次の欲求を求めるという、よく知られた説。自己実現にはその前のすべての段階の充足を必要する。
ローゼンサールのピグマリオン効果の実証実験の話も興味深い。
「各学校からランダムに二割の児童を選んで、担任教師に「この児童は急激に伸びる可能性がある」という情報を伝えた。そして八ヵ月後、再び知能検査を実施したところ、有望であるという情報を与えられた児童の得点が、図17に示すように明らかに向上していたのである」。人は期待されていると認知すると、それに応えようとする、それが集中力を高める効果があるということ。
このほか、気がのる、気が乗らない、気になる、気が散るの意味や、疲れる、飽きるとはどういうことか、記憶力と集中力などのテーマが、認知心理学アプローチで説明が続く。やる気という曖昧な事象が数字やグラフで解明されていくのが面白い。
「やってみせ、言ってきかせて、させてみて、誉めてやらねば人は動かじ(山本五十六)」「好きこそ物の上手なれ」「三つ子の魂百まで」など、一般に使われている格言、名言が、人間心理の特性をかなり正確に言い当てているのだなとわかる。
2004年03月22日
井戸端会議
■ 第三弾、無敵会議決定・・・
http://www.project-on.com/detail.html
![]()
ようやく無敵会議の詳細が決定しました。今回は年度末ということもあり、なるべく軽い感じでいきたいと思います。
というわけで参加費1000円、事前投稿は自己PRのみ、となっておりますのでお気軽に遊びに来て下さい。ただし会場は30名限定という小さなところなのでお申し込みはお早めに。
なお、今回のテーマは「初対面を印象付ける雑談の科学」にしました。ネットが発達するにつれ、ますます重要になってきたリアルなコミュニケーション。
どうしたらなるべく短時間に初対面の人と仲良くなれるか?そこのところを理論&実践で体験的に会議してみたいと思います。
と、いろいろ書きましたが、楽しく、気軽にやりたいと思いますのでどうぞお越しください。
2004年03月21日
Girafa サムネイルで検索を便利に
・Girafa
http://www.girafa.com/index.acr?c=1

長期間インストールしているツールにGirafaがある。これはかなり便利だと思っているので紹介したい。Girafaをインストールすると、MSIEのサイドバーにこのようなエリアが追加される。検索結果のホームページの縮小画像(サムネイル)一覧が表示されることで、文字だけの結果よりも、遥かに必要なページを見つけやすくなる。、
1 検索エンジンと連動したサムネイル表示機能
Googleなど主要検索エンジンで検索を行うと連動して、検索結果がビジュアル表示される。特に以前訪問したことのあるサイトを探す時には、記憶に残りやすいデザインイメージで探索できるので、非常に便利だ。

2 検索結果を保存するコレクション機能
検索結果から任意でコレクションを作ることができる。ビジュアルでブックマークできるので、サイト名を覚えていなくても直感的にみつけやすい。デザインの優れたサイトを記録しておきたいなどWebデザイナーの目的にも向いている。
3 サムネイル付ブックマークをメール送信する機能
表示したサムネイルを貼り付けたHTMLメールを作成して送信することができる。URLとタイトルだけの紹介メールより、ビジュアルがつくことでクリックされやすくなると思う。
2004年03月20日
蘇るPC-9801伝説 永久保存版
今日の話は単なるPCオタクとして書いてます。そうでない人は読み流してください。
表紙に大きく「日本中のプログラマ、エンジニアは皆、このマシンで育った。皆このマシンに熱中した。今蘇る栄光のマシン PC-9801!」とある。昨年9月に受注を終了し公式に幕を引いたNECのパソコンPC-9801シリーズへのオマージュ本。最高。
20年間で1830万台の出荷。全盛期は軽く50%を超える圧倒的シェアを占めたと言われ、「日本の国民機」と呼ばれたPC-9801。この本は、関係者のインタビューや、当時の雑誌の復刻、大量のデータ集、公式エミュレータとゲームソフトを収録したCDROMなどからなる。ムックにしては少し高めだが、古くからのPCユーザであれば満足度は保証できる。
結局、この本の面白さってなんだろうなと考えてみると
1 幕が引かれて敵も味方もノーサイド宣言後に役者が語る楽屋話
なぜNECが開発したN88-BASICにはマイクロソフトのコピーライトが入っているのか?。それはNECの開発物を、あるかけひきを使って事前チェックした、マイクロソフトが自社のBASICとの類似性に、これは著作権侵害なのではないか?と異議を申し立てたからなのだが、マイクロソフト古川バイスプレジデントのインタビューと、PC9801「生みの親」のNEC小澤氏のインタビューでは、お互いの立場から見た当時の状況や戦略が、たぶん「もう時効」の話として素直に心情が吐露されていて面白い。
2 20年前の謎に、明かされる経緯、業界事情の「答え合わせ」
今日のIT業界はニュースサイトやコミュニティ上で、裏側もかなりの程度丸見えになって進行している。過去の経験から法則性も見えて予測もつく。プレイヤー企業には株式公開企業も多いので経営情報を読むことができる。
だが、当時はかなり様子が違った。業界でどっぷり働いている人間には分かったのかもしれないが、私の世代のような年少アマチュアのファンには、業界の内幕はまるで分からなかった。メディアを通して垣間見える業界事情に、想像を膨らませながら読んでいた。当時、立派に見えた会社や編集部が、実は数名でぎりぎりの予算で運営されていたことや、会社同士のつばぜり合いなど、自分が今働いている業界の神話時代の話が、長年の「答え合わせ」として楽しめた。
3 往時の資料アーカイブ
エミュレータと数十本のゲーム、初代のPC-9801のロードテスト記事PDFが収録されたCDROMをはじめ、紙としても1982年の月刊アスキーのパロディ企画「年刊ア・スキー」の復刻版など当時の資料がそのままに袋とじになっている。こういった資料は、Webでは入手が困難。
最近はもうひとつの国民機とも言えるMSXでも同様に過去を総括する企画本が続いている。こちらも買ったが満足。
・MSX MAGAZINE 永久保存版
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4756142109/daiya0b-22/
・MSX MAGAZINE 永久保存版 2
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4756143741/daiya0b-22/
この業界で働く自分としても、20年後に刊行される「蘇る初期インターネット伝説」みたいな本の一角に当時を語る人間として、登場できるような業界への貢献、活躍をしておきたいなと心から思った。しみじみとワクワクな一冊だった。
関連情報:
・RetroPC.NET
http://www.retropc.net/
RetroPCFoundationは、主として国産非AT互換機を対象に、現在、失われつつあるそれらのハードウェア・ソフトウェアリソースの保存・復刻活動を行う有志団体。
・マイコンBASICマガジン(電波新聞社)
http://basicmagazine.homeip.net/
往年のプログラム人気投稿誌。既に休刊しているがサイトのみ有志で継続。
・All about ベーマガ
http://www.north-wind.ne.jp/~yoshino/index.html
オフィシャルよりも詳しいファンサイト。
2004年03月19日
雑誌PC Japan付録のハッカー用語辞典は秀逸
・PC JAPAN
http://www.sbpnet.jp/pcjapan/

いつもは立ち読みですませている、PCマニア向け雑誌のPC JAPAN。今月号は買ってしまった。特別付録の別冊「ハッカー用語辞典2004」があまりによく出来ていたから。370ページ超で雑誌付録と思えぬほどの力作。最新のPCとネットワークの専門用語辞書である。収録語数2100。取り上げる用語のバランスと新しさ、文章の平易度、解説のボリュームなど、とても上手に編纂されており、仕事でも使えそうだ。
IT業界で働き、パソコンいじりの趣味も長い人は、この辞典に収録されている言葉の9割は知っているという人も珍しくないはずであるが、じゃあ一般人にわかりやすく説明してみろと言われたら、半分もできないのではないか。月に何回かは仕事でお世話になっている関係者から「橋本さん、これってどういう意味?」と辞書引き的にメールをいただく。相手が初心者であるほど説明は難しい。
ITの専門用語は変化が速いため実用の寿命は1年とすると、書店売りの辞書はなかなか買う気がしない。雑誌の付録としてここまで本格的なものがついてくるのは魅力的である。
関連情報:
・マルチメディア・インターネット事典
http://www.kaigisho.ne.jp/literacy/midic/index.html
オンライン上の日本語の辞典というとまず思い出すのがこの驚異的な質の高さの辞書サイト。2003年3月14日現在で23132項目を収録。常に内容がアップデートされていて網羅的。定義に終わらず、時事問題と絡めた解説評価があまりにも詳しく、どのような運営体制で書かれているのかが、謎。作者の方となんとか一度お会いしてみたい。
どのくらいすごいかというと、この事典で、「他にこの種の事典はどんなものがあるのか?」を調べると、
・ネットワーク上のマルチメディア関連辞典・事典
http://www.kaigisho.ne.jp/literacy/midic/data/k24/k24133.htm
これだけでてくる。
・アスキー デジタル用語辞典
http://yougo.ascii24.com/
一般的なIT用語の定義が必要なときにはまずここが参考になる。次のソフトと連携して、ブラウズ中のページ内の単語の意味をすぐにみつけることができる。
・アスキー 右クリック用語辞典 for IE
http://yougo.ascii24.com/gh/tools.html

「IEでWebブラウズをしていてわからない単語が出てきたら、その単語を範囲指定して右クリックし、表われたメニューの中の「アスキー デジタル用語辞典」を選択する。すると、その用語の検索結果が別ウインドウで起動されたIE上に表示される。わからない単語が出てきたときに、わざわざインターネット上の辞書にアクセスしなくても、用語を範囲指定して右クリックするだけで検索できてしまうというわけだ。」
2004年03月18日
ブログのタイトルのネーミングに見る傾向と対策
実は、愛読者という方々から「Passion For The Futureというタイトルはストレート過ぎて気恥ずかしい気がする」という率直なご意見を、メールとオフラインで合計3件ほど頂いています(笑)。でも、いいのです。これは会社の標語ですので熱くて当たり前なのです。
さて、最近はブログが増殖してきた。
ひとつ大きな変化を感じるのはブログのタイトルのつけ方の変化である。ブログが人気が出始めた昨年後半の段階では、多くのブログは英語のタイトルであった。例えば、昨年末、ドリコム社が企画したブログ大賞のノミネートサイトを一覧してみると、実に96サイト中、53サイトが英語のみのタイトルであった。これは全体の55パーセントにあたる。
・Blog Of The Yeah!コンテスト(2003年)
http://yeah.myblog.jp/nominate/
面白いのは受賞サイトとの数の比較である。読者投票の受賞サイトでは(重複受賞はあるが)、33サイト中、日本語派27(81%)サイト、英語派6サイト(19%)と比率が大きく逆転している。
もちろん、読者投票の結果なので内容の良さで評価が行われたはずだが、統計的に考えて、これだけの大差がつくのは、何らかの別の要因を想定したくなる。ブログのタイトルとして日本語は、読者に対するインパクトがやはり強いのではないか?
ブログはRSSメタデータという技術を使って、タイトルや記事見出しが他のサイトに配信されている。このタイトル配信によって外部からのアクセスを集めていることが多い。タイトルや見出しは他の形式のWebサイトよりも、多く露出し読者誘導効果が強いのだ。
日本語タイトル名の強みを考えてみると、
・強い印象を与え記憶に残りやすい
想起されやすく、アクセスや引用されやすい
・日本語フォントは表示面積が大きい
タイトルのリンクが目立ち、クリックされやすい
・日本語サイトであることが明示される
読んでみたくなる
といったメリットが考えられる。
ブログサイトのタイトルには、「○○Blog」「○○のBlog」「○○log」という名前は、初期に登場したものには多かったが、最近はスマートさがかける印象が出てきたと思う。以前はタイトルに日本語を使うと文字化けしやすいという事情もあった。
以前ホームページでも同じネーミングは見られた。95年頃のWebサイトには企業でも個人でも「○○のホームページ」というタイトルが多かったのだが、現在ではスマートではないネーミングの印象を受けてしまうだろう。
私はWebドメインマーケティングというのを仕事で展開している。ドメインの名づけ方のコンサルティングである。そんな仕事があり得るとは自分でも思わなかったが、現に私はそのれっきとしたコンサルタントである。名づけについては仕事であるからプロと自称しよう。次はBlogタイトルマーケティングが仕事になるかもしれない(笑)
・Webドメインマーケティング
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/000863.html
最後にメモから最近のブログのタイトルの傾向として新しいと思うもののリストと、古いと思うもののリストを挙げる。恐らく前者の方がネーミングとしては優秀である。人気を得たいならば日本語でタイトルはつけるべきだと結論したい。
■日本語を駆使した文章系ブログのタイトル
・実践起業!成功への道。blogで人脈は作れるか?
http://www.web-smile.com/jissenkigyou/
・人は感情の生き物だ!
http://www.myprofile.ne.jp/hiroc+blog
・俺と100冊の成功本
http://blog.zikokeihatu.com/
・嗤って……許せるのか?
http://www.myprofile.ne.jp/takayan_1925_3219+blog
・死んでしまったら私のことなんか誰も話さない
http://shimizu.typepad.com/vietmenlover/
・起業して社長になるまでの日記/blog
http://plaza.rakuten.co.jp/gogotea7/
・面白いサイトを見つけたよ。
http://kaseide.net/htdocs/mt/
・レンタルビデオ屋へ行く前に
http://www.e-cms.info/mt/cinema/
・世界が終わるのをここで見て居よう、と思う
http://blog.livedoor.jp/world_end666/
・あれ、これって青春?
http://blog.livedoor.jp/ojisan_univ/
・チップを弾むから勇気を分けてくれないか
http://www.myprofile.ne.jp/room_3104+blog
・明示的に宣言されます
http://www.chimimo.com/mt/
■古臭くてだめな例
(例示して笑って許してもらえそうな関係の友人、知人、先輩で例を挙げる。皆様失礼。許して。つきあいも古いから)。
・yublog
http://nkcp.zive.net/yublog/
名前とBlogを足した典型的な古典ネーミング
・ideaSync.com Blog
http://tank.ideasync.com/mt/
.com+Blog。竹田部長。このネーミングは古いです。
・Tanakayoshikazu.com
An Internet Business Way :: Make Everything Else Possible
http://www.tanakayoshikazu.com/
名前をドメインにする感性も古い。Gree.jp作者。
・Kotaro Yamagishi's bJournal - 山岸広太郎のBlog(ブログ)
http://blog.cnetnetworks.jp/yamagishi/
bJournalという当初のネーミングの狙いのハズレ感漂う編集長。
・NDO::Weblog
http://naoya.dyndns.org/~naoya/mt/
まったく内容の分からないハッカーにありがちなタイトル
・blog.bulknews.net
http://blog.bulknews.net/mt/
ドメインURLそのままという機械読者対象のネーミング
・mojix.org Zopeジャンキー日記
http://mojix.org/
個人サイトでorgを取得するそこはかとない古さ
そういうわけで私のブログも来週からは「未来を語れ情熱日報 燃えよ若人胸を張れ」に変えようかと、ちらっと思ったが、変えるわけはないのだ。私も古いから。
#上に古い例として挙げたブログはすべて内容は充実のおすすめです。
2004年03月17日
色と形の深層心理
精神医学の教授による色と形の心理学の本。
■サークル・合コン・ゴレンジャー論
学生時代に私が作ったのか、誰かのネタだったのか忘れたが(私かもしれない...)合コンゴレンジャーという話題を、同性の飲み会でよくした。とてもオバカな内容なのだけれど今日はその話から。
大学のサークルに集まり、合コンを企画するメンバーには次のような類型がある
とする。
赤 リーダー。最も目立つが全体の盛り上がりに責任を負うため単独行動困難。
青 ナンバー2。色男の素養が必須。異性の集客力を持ち、自由に行動できる
黄 3枚目。お笑い、盛り上げ担当。身を捨て場に貢献する。
緑 特徴のないサブキャラで人数合わせ要員。
桃 異性グループとの連絡役で内通者。気のおけない女友達。
本人の努力によって、学年が上がるにつれてこのポジションは移動することができる。1年生は異性からみると総体的に目立ちにくいので、大抵は緑からキャリアを開始する。
上級生が下級生に最も期待しているのは、
緑→黄→赤
という路線であるが、下級生としては次は青を狙いたいと考えるものが多い。
青は集客力として組織に一定数必要であるが、他のメンバーにとってはその数が増えると自分の異性獲得チャンスが減るという、トレードオフが発生している。また、青単独では合コンを運営する力がないため、青だけでは生きることができず他に依存する。それゆえ、青には最低限のモラルハザード効果が働いている。
赤はリーダーの重圧と不自由さがあるため、目立つ割にメリットが少ない。仲間の信頼感が必要であるため、笑いによって場を盛り上げた実績が評価されて、
黄→赤
として成長するケースが多い。笑いによって上級生の目に留まりやすく、組織に対する貢献度も高く評価されるため、次世代リーダーになりやすい。
赤と桃の関係は微妙で、卒業後にくっついたりする可能性もある。これは、リーダーの孤独と内通者の孤独が互いを引き寄せあうからだと言われている。
本人にとっても周りにとっても、最もよくないのは、
緑→緑→緑
というパターンである。緑は人数合わせ及び青、黄の引き立て役として必要ではあるが、緑は代替可能な役割であり、希少性の価値が少ないから大事にはされない。なお、一度緑以外に変化した場合は緑に戻ることがない緑の可塑性原理がある。
最強は赤と青、次に青と黄をTPOに応じて切り替えられるメンバーである。こうしたメンバーを育てるのが我々の組織の目標なのだ。
という、とてもオバカなお話。
このベースとなる科学戦隊ゴレンジャーという子供向けテレビ番組の色分けは日本人の色の印象と性格の関係をうまく表現していると思う。いや、逆にゴレンジャーによって色の印象が決まってきた可能性さえ考えられる。赤はポジティブなリーダーの色。青はクールなサブリーダーの色。黄は明るい性格の三枚目というイメージを、特に私と同じ世代に、定着させたのはこのシリーズであると思う。
・スーパー戦隊百科
http://www.super-sentai.net/sentai/
ゴレンジャーに始まるシリーズの解説
■色と形の歴史と心理学分析
長いヨタ話はともかく、ここからが書評。
この本には「黄色は太陽の色であり生命の色」という章がある。子どもが絵を描く際に黄色で描くと言う記述がある。この記述については、あれ?っと思った。
子どもの頃から気になっている問題がある。「高く昇った太陽の色を何色で描くか」という問題である。私は子どもの頃、クレヨンで絵を描く際に太陽は必ず赤で描いた。諸外国の子どもは黄色が多いようである。実際、夕日か朝日でない限り、太陽が赤く見えることはない。日本の子どもが赤で描くのは、日章旗が赤だからという文化フィルターが原因なのではなかろうか。
この本では、歴史的に日本と世界で、それぞれの色がどのような意味を与えられてきたかという色の文化史と、心理学的にはどのように分析できるかという心理学的意味づけの主にふたつの視点で、紫、白、黄色、青、緑、赤、ピンク、オレンジ、灰色、黒の色が評論される。
紫は子どもが絵に使うと病的である分析されるが、文化史では高僧が身につける高貴の色でもあること。緑の多い日本には「若草色」「若菜色」「若苗色」「柳葉色」「松葉色」「萌黄色」などバリエーションが多いこと。情熱の色であると同時に、欧米ではキリストの血、死をも意味する赤など。色にまつわる解説がひたすら続く。後半では形が同じようにテーマとなる。どれも読み応えのある濃い内容である。
この本は、薄いが内容は重い本である。文体が文学的で、格調の高さ、著者の志の高さを読みながら感じていたのだが、あとがき、著者プロフィールをみて、納得した。まえがきの段階で著者が手術を受けた直後であることが書かれていたが、あとがきでは失明寸前で口述筆記でこの本を仕上げたことが述べられている。初版1986年。著者プロフィールにある作者没年は翌年の1987年である。覚悟か予感を感じながら、学者として精神医として、最後の仕事に挑む気迫が文体に読み取れる気がした。
この本はカラーコーディネートの本ではないので実用性は低いが、色と形に関して教養を深めて深く考察したい人におすすめの良書。
2004年03月16日
偶然からモノを見つけだす能力―「セレンディピティ」の活かし方
・偶然からモノを見つけだす能力―「セレンディピティ」の活かし方

■セレンディピティ
Gooの英和辞書で検索してみると、
・Serendipity
http://dictionary.goo.ne.jp/search.php?MT=serendipity&kind=ej
ser・en・dip・i・ty
━━ n. 思わぬ発見をする特異な才能.
三省堂提供「EXCEED 英和辞典」
という説明がでてきた。れっきとした英単語として存在するセレンディピティ。この本では「当てにしていないものを偶然にうまく発見する才能」「偶察力」などと紹介される。流行語のイメージがあるが、語源は古く18世紀に遡る言葉で、スリランカの寓話「セレンディップと3人の王子」に由来するとのこと。
ニュートン、アルキメデス、メンデル、ジュール、アインシュタイン.......。歴史上の発見が偶然の産物だったという逸話はよく聞くし、近年では、ノーベル賞受賞の報がある度に受賞者や評論家がセレンディピティを口にする。
・「ノーベル賞への道 白川英樹さん 高山から世界へ」
セレンディピティー 目的外の偶然見逃さず
http://www.jic-gifu.or.jp/np/newspaper/kikaku/nobe/nobe2.htm
■偽のセレンディピティ、本物のセレンディピティ
セレンディピティは能力であると定義されている。能力であるならば意図的に磨くことができるし、この本の後半は、感動や観察、ファイリングや記録、行動範囲の拡大、連想などをテーマに、その能力を育てるアイデアが紹介される。
一読して思ったのは、世の中には本物と偽者のセレンディピティが存在し、厳密に切り出して考えるには、ふたつを区別しておく必要があるのではないかということ。
・社会心理的に生み出される偽のセレンディピティ
大きな成功を収めた場合に、特に日本社会は、偶然や他者との出会いに起因することにして、その成功を説明した方が、社会的に受容されやすい。話題としても物語性があるので、メディアが取り上げ、話が伝播しやすい。
つまり、意図的にせよ、無意識にせよ、成功を物語化するプロセスで、セレンディピティを発見、作成、拡大してしまっている可能性を感じる。これもセレンディピティに含めても広義では問題はないが、育てる能力として見るならば、偽者として排除しておくべき例だと考える。
本物のセレンディピティは、私は次のようなものではないかと考えている。
・性格や行動特性、ツキとアウェアネス情報によるセレンディピティ
偶然の発見が高確率で発生するにはふたつの条件が必要なのではないかと思う。ひとつは経験の豊富さであり、もうひとつは経験から意味を見出す能力である。この2要素の積を常時高い値に保つ能力がセレンディピティなのではないか。(この本も要旨はそのような方向性で語られていた。)
ツキを科学する経営本が最近売れているようだ。これらの本もセレンディピティの能力を高めることと同義のような気がしている。ポジティブシンキングというのは、状況を肯定し気分による機会損失を最小にすることにあるのだとしたら経験の豊富さの技術である。
・斎藤一人のツキを呼ぶ言葉―日本一の大金持ち!
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4492041834/daiya0b-22/
・オレと100冊の成功本
http://blog.zikokeihatu.com/
ツキと成功、経営などのテーマを語らせたら日本一のサイト
社会関係の技術としては、以前に紹介したアウェアネス情報による機会拡大が有効なのではないか。自分の関心や行動を他者の目に触れるようにしておくことで、予期せぬ展開の確立が高まる。
強い関心を持ち続けることで、状況から意味を見出すことが多くなるということも重要な要素だと思う。脳は無意識のうちに情報処理を行っている。脳は、雑踏の中で呼ばれた自分の名前を認識するカクテルパーティ効果のように、関心のあるテーマには認知レベルで敏感に反応することができる。
■パラダイムシフトか通常科学か
この本のコラムには、セレンディピティの反対語も紹介されている。
Japanity セレンディピティの反対語。「誰もがやっていることを追いかけて、必然のところで発見する能力」
海外の学者が日本人研究者を揶揄した言葉らしいが、「パラダイム」を発明したトーマスクーンの科学論でいうなら、Japanityは「通常科学」の技術である。これはこれで重要で、パラダイムシフトを起こすような「イノベーション」ばかりでは科学もビジネスも動かないと考えられる。むしろ、セレンディピティで語られるような成功の土台はJapanityによって築かれているようにも感じる。
人間の機会の増大や人脈拡大に役立つインターネットはセレンディピティ技術だと言えると思う。今話題のOrkutなどのソーシャルネットワーキングは、まさにその先端なのではないだろうか。
ソーシャルネットワーキングについては、PC雑誌の来月号に特集を書いたので,発売されたらお知らせしますので、これまたよろしくお願いします、とセレンディピティを期待した宣伝で本日のコラム終了。
・果報は寝て待て〜セレンディピティのすすめ
http://www.toyama-cmt.ac.jp/~kanagawa/essay/serendipity.html
深い考察。
2004年03月15日
競争戦略論〈1〉
原著は1998年出版だが既に古典扱いの経営戦略書。著者は、最年少でハーバードビジネススクールの正教授の職に就き、40歳でフォーチュン誌の表紙を飾り、天才の名を欲しいままにするマイケル・E・ポーター。20年以上にわたり、企業の競争戦略を専門として、研究してきた成果の論文5本をまとめたのがこの競争戦略論1である。
■競争を支配する5つの要因
ポーターの競争戦略論を読むと、市場における企業間の競争のダイナミックさが良く分かる。絶対的な能力値によって強者、弱者が決まるのではなく、環境への柔軟な適応力こそ、競争の勝者を決めるものなのだということを再認識させられる。
業界内部の競争を支配する要因として、著者は次の5つの力を挙げている。
1 新規参入の脅威
2 顧客の交渉力
3 代替製品・サービスの脅威
4 供給業者の交渉力
5 既存の競合企業どうしのポジション争い
1〜4のパワーゲームの世界の中心で、5のポジション争いが戦われているとする構図がある。
ポーターの考えが、従来の経営論と異なるとすれば「コアコンピタンス」や「オペレーショナルエクセレンス(業務効率)」が勝負の鍵ではないとするところであろうか。ポーターは、「生産性のフロンティア」という理論を提唱している。競争市場において、企業が顧客に提供する価格以外の価値とそれを生むコストは、ぎりぎりまで最適化された状態になっていることが当たり前の前提なのだとする。
企業は同じ行動を繰り返せば、やがて学習し、最適の業務効率を達成する。特に現代では、情報化、IT化、労働市場の流動化によって、経営や生産のスキルやノウハウは急速に伝播する。多くの組織でベストプラクティスが達成され、ノウハウは陳腐化してしまう。Web広告やメールマーケティング、売れるECショップのデザイン、サーチエンジン最適化など、自分にとって身近な部分を見ても、その通りだなと思う。
私は90年代前半の学生時代に日米の経営戦略の比較をテーマとする国際会議に参加したことがある。まだバブルの時代であり、日本企業の優位性を、米国の学生たちは必死に学び取ろうとしていた。そんな会議に象徴されるように、日本の生産管理や業務改善の仕組みは、90年代に米国企業に模倣吸収され、市場において業務効率が最大になっていることが当然の強い経済が米国にできあがったのだと考えられる。
■トレードオフとフィット
企業固有の模倣できない持ち味である「コアコンピタンス」が重要視された時代もあった。今もそれが大切とする学者もいるが、ポーターは、勝敗を決めるのはトレードオフとフィットというふたつの要素だとする。
ある企業がある戦略を取れば、それを模倣する企業が現れる。では、真似できない戦略、維持可能な戦略とはなんだろうか。トレードオフとは、一方を増やしたければ、他方を減らさなければならない選択のことである。
例えばこのブログの戦略ならば、質を落としても毎日ブログを更新するか、質の高い記事を週に1回更新するか、といったトレードオフの選択肢が考えられる。ブログ業界は競争の激しい市場である。すべてのプレイヤーが頑張りと工夫で「生産性のフロンティア」を実現しているとする。手を抜けば、読者獲得競争から置いていかれる、としよう。この場合、私は他と差別化して生き残るために、選択肢のどちらかを選ぶことになる。
質か量に特化することで、どちらか一方を期待する読者セグメントに対してのみサービスを提供する。市場のポジショニングを明確化することになる。トレードオフの選択はリスクを伴うため、他のプレイヤーは容易に模倣する判断ができない。
こうしたトレードオフの戦略をいくつも実行する。すると、戦略同士の一貫性、相乗効果、戦略の組み合わせの最適化という「フィット」の要素が今度は大切となる。活動間のフィットは大幅なコスト削減と強力な差別化につながる。こうして「強固に絡み合った一連の活動」は対抗するのが困難で維持可能な戦略となる。
■教科書として必読か
この本には、他にも情報技術が競争に及ぼす影響や、戦略なき日本企業の分析、衰退産業における終盤戦略などのテーマの論文が収録されている。ポーターがこの本で語ったことはMBAの教科書的な基本理論である。新理論の本を読みこなすための基礎知識として、この戦略論は必読のような気がした。さすがに天才学者だけあって論旨が明快で、分かりやすい。
「イノベーションのジレンマ」や「プロフィットゾーン経営戦略」が好きな人には特におすすめ。
#なお「競争戦略論2」は、別のテーマ、グローバル経済における地域の役割や立地の競争における重要性、国境を越えた競争などがテーマの論文集である。1だけでも完結する。
2004年03月14日
次世代Windowsを先取りDesktopSidebar
次世代のWindowsのコードネームLongHornには、RSSベースのニュースリーダーやデータベース型のファイルシステムなど、先進的機能の搭載が予告されているが、サイドバー機能も魅力的である。
・次期Windows「Longhorn」見参! - 注目はウィンドウの3D対応とサイドバー
http://pcweb.mycom.co.jp/news/2003/05/07/23.html
この機能を先取りする形なのが、Desktop Sidebarである。
・Desktop Sidebar
http://www.desktopsidebar.com/

このソフトはデスクトップの右端に常駐表示され、年月日や時刻、株価、Outlookメールの新着状況、CPU・HDD・メモリーやアプリの利用状況、MSNメッセンジャー、メディアプレイヤー、コマンドライン入力、ショートカットアイコンなどをまとめて表示してくれるアプリケーションである。
最も便利なのは、ブログやニュースサイトのRSSを登録しておくと、電光掲示板状に最新情報を巡回取得して表示するNewsRoom機能である。Newspaperモードを使うと取得済みのページをHTMLベースで一覧表示させることもできる。アイコンやアプリケーションの収納スペースをコンパクトにまとめ、デスクトップが逆にすっきりするというメリットもある。画面横幅を1280ドット以上の解像度で利用するユーザの場合には特に有効。






