2004年02月28日

愉快議満員御礼に感謝

愉快議へのご参加ありがとうございました。報告を書きたいのですが、仕事の山が片付いておらず、3月1日サービスインのサービスもあったりであたふたしています。

報告はこのブログのこのエントリを書き直す形で後日書きたいと思います。

田口さんが先に下記のページで報告しています。

・愉快議の簡単な報告
http://www.project-on.com/

Posted by daiya at 23:59 | Comments (0) | TrackBack

2004年02月27日

書きあぐねている人のための小説入門

・書きあぐねている人のための小説入門
4794212542.09.MZZZZZZZ.jpg

私は万年、小説家志望。いつ書くのだオマエは?ええ、そのうちそのうち、といいながら、日々は過ぎ、青年老い易く学成り難しといいますな、いいませんか、意味分かりませんか、そうですか、南無。

書きあぐねてるとはそういう自問自答状況のことに違いない。この本を手に取った動機である。

95年に「この人の閾」で芥川賞を、その後の作品で数々の文学賞に輝く小説家、保坂和志による小説作法の書。さすがに気鋭の小説家が書いただけあって、文句なしの一級品だと感じた一冊。作法論にも関わらず、感動した部分も少なくない。

冒頭の小説の本質を語る部分からまず引き込まれる。少し長めに引用してみる。

「小説とは何か?」を考えるとき、私は小学校時代の二人の同級生のことを思い出す。一人は四年のときのMさんで、社会科の授業で先生が「”昔”というのは、いつのことでしょう」という問題を出し、生徒全員に小さな紙に答えを書かせていたときのことだ。

集まった先生がパラパラ見ながら、読んでいく。「10年前、佐藤、100年前、山本さん。10年前、保坂、50年前、鈴木。また50年前、大久保.....」こんな感じで続いていったのだが、Mさんの答えだけは違っていた。

「お母さんのお母さんのお母さんが生まれる前」

二人目にこんな例が続く。

二人目は小学校六年の同級生だったW君で、卒業文集にまつわる思い出だ。全員がそろいもそろって「桜が満開のなかをお母さんに手を引かれて歩いてきた六年前が、昨日のように思い出されます」「四月からは希望に胸をふくらませて、中学校に進みます」なんてことを書いているなかで、W君だけはこう書いた

「四年のとき ながしの すのこで ころんで つめを はがして いたかった」

小説の原型、小説の書き出しとして使えるのはこの二人の文章だけだと著者は自論の語りをはじめる。もうこの引用だけで、先が気になってくる。個の手触り、社会科されていないもの、身体性、小説の生まれる瞬間。著者の経験と感性に裏付けられた、小説に対する哲学が展開されていく。既にあるものは書くな。同時代の小説の表現論として、小説家志望の人間なら読んでおくべき貴重な情報だと感じた。

会社員時代にいかにしてデビュー作を書くに至ったか、一作目をどう書くべきか、など、成し遂げた人間でなければ語れないノウハウ、風景を書くことは特別な意味を持つと言うアドバイスや、ストーリーとは?テクニックとはという各論が続く。どれも、実際にこれから書くものへの、真摯な姿勢の書き方がいい。無論、著者の作品は独特なので、小説論としては偏りも感じられるが、素人の投稿作品にありがちなパターンの批判などはすこぶる具体的で参考になる。

丁寧にかけばかくほど伝わるとは限らず、抜けや雑な文章の方が、伝わることがあるという意見は、なるほどなと思う。ビジネス本執筆の仕事とは、ある意味、対極にあるわけだ。ビジネスや技術の記事ばかり書いている私は、どんどん、小説家から遠ざかっているのだなと感じた。

前半の本質論から後半の各論まで、思想系の小説論並みの内容の濃さを持っている。実践者が理論を語れるとは限らないものだが、この著者は例外のようだ。自分の仕事をメタな視点で冷静に観察し、持ち前の筆力でそれをまとめあげることに成功している。名著。

Posted by daiya at 23:59 | Comments (1) | TrackBack

2004年02月26日

あたまのよくなる算数ゲーム「algo」

あたまのよくなる算数ゲーム「algo」
B0001DCG3A.09.MZZZZZZZ.jpg

書店で見て気になってしょうがないので、ついに買ってみた。これは面白いので自信を持ってのおすすめカードゲーム。1人から4人で幾つかのルールで楽しめるが、二人用がメインの模様。

■数学オリンピック委員会共同開発

アルゴは相手のカードの数字を当てるゲームである。アマゾンの評を引用すると以下のような内容。


広中平祐京都大学名誉教授を会長とする「算数オリンピック委員会」、大道芸人としても活躍する数学者ピーター・フランクル氏、そして東京大学数学科の算数研究会が共同で発明・開発した数学力をつけるための推理カードゲーム。

基本的な遊び方は、0〜11までの数字カード(12枚)の白・黒2組(全24枚)を使い、ルールに従って相手の持っているカードの数字をあて、1ラウンドごとに付属のチップをやりとりする対戦ゲームだが、トランプゲーム「ソリティア」のようにひとりで遊ぶ方法も用意されている。一度に対戦できる人数は、2〜4人だが、個々で戦うほか、2対2のチームに分かれて協力しながら推理する「ペアプレー」ができるのも面白い。

さすが数学者が設計しただけあってゲームの要素を究極までシェイプアップしているなあと感動。

パッケージを開けた際に0から11までの白と黒のカードとコインだけだったので、拍子抜けし、ここまで楽しめるとは思わなかったのだが、奥が深い。ゲームなので、偶然要素はあるものの、ある程度繰り返すと、記憶力と計算力で勝敗が明確に分かれる。

algoset.jpg

■簡単なルールと対人ゲームの奥深さ

自分と相手に4枚のカードを配り伏せておく。カードは小さい順に左から右へ並べる。同じ数字は黒は白より小さいと考える。プレイヤーは中央に置いた残りカードの山から1枚引く。

そして、相手の伏せたカードの数字を言い当てる(アタック)。最初はすべて伏せてあるから、自分の持ちカードにない数字と、相手の伏せカードの並び順から推測して、適当な数字を言う。

数字があっていれば相手はカードを表に返す。当たりの場合はさらにアタックを繰り返すことができる。アタックが失敗したら、引いたカードを数字の見える表の状態で手持ちカードの間に並べる。相手からはこれで伏せた手持ちカードの推測ができるようになる。

これを繰り返して先に相手の4枚のカードを言い当てて、ひっくり返したプレイヤーが勝ち。1ゲーム15分程度もあれば楽しめる。

やっていて思ったのは、このゲームはつまり、次の3つの要素が勝敗の決め手らしいということ。

1 確率計算
基本的には、確率計算を瞬時にできるかどうかのゲームだと思う。自分にとって判明しているカードの数字から、伏せられているカードの数字の確率を計算する。

2 記憶力
自分と相手のアタック済みの数字を記憶しておき、無駄のないアタックができるかどうかの能力。

3 心理的かけひき
慣れたプレイヤー同士になると、アタック成功率が低い場合に敢えて相手の読みを惑わすブラフを使ったり、相手のカードの確認具合から推測するようになる。

■買わなくてもWeb上で楽しめる

このゲームは買わなくてもWeb上で遊ぶことができる。

・アルゴ公式ホームページ
http://members.jcom.home.ne.jp/algo-j/

ここにルールとFlashのオンライン版がある。この中のデジタルアルゴがメインゲームだ。十分に面白かったりするし、練習にも良い。

しかし、このゲーム、コンピュータなら理論的に最強にできるはずである。このオンライン版は、手加減されている気がする。人間同士のプレイの方が飛躍的に面白い。
どこまでコンピュータに近い能力を持てるかという競争になる。

というわけで、ウチのオフィスにいらっしゃる方で、用事が済んだ後にやりたい方は橋本まで事前にお伝えください。

Posted by daiya at 23:59 | Comments (1) | TrackBack

2004年02月25日

PDF使いこなしテクニック

会社のIR資料、学会論文、商品カタログ、電子書籍、最近は契約書までPDF化が進んでいる。PDFの資料は通常のWebページと比較して、内容が濃いことが多いと感じている。きれいに印刷しやすいし、修正しにくい形で配布する用途でも適している。そして何より広く使われているので、ビジネスにも使える、電子文書のデファクトスタンダードと言えるだろう。

しかし、問題は表示に時間がかかったり、PDFを作るのがコストがかかったりすることだ。k今日はPDFの活用ノウハウやソフトを並べてみた。

1 PDF文書のURLクリック後、でPDFを表示する

・PDF をブラウザで表示させない
http://blog.bulknews.net/mt/archives/000712.html

PDFはブラウザで表示させると動作が重いし画面も狭い上、不安定になる。このメモを読んだとき、思わず膝を叩いてしまった。あまりに簡単な設定変更で、WebからPDF表示へのフローがスムーズになった。なぜ今まで気がつかなかったのだろう。(さすが宮川さんの技術力?)

2 AcrobatReader起動の高速化

・「Adobe Reader」の起動を高速化できる「Adobe Reader SpeedUp」が公開
http://www.forest.impress.co.jp/article/2004/01/13/adobereaderspeedup.html

Acrobat起動時に不要なプラグインソフトの読み込みをなくして高速化する。精確なベンチマークをしていないが、私の環境では体感的に速くなったのでおすすめ。

3 PDFをフリーソフトで作成する

文書をPDF化するフリーソフト。CutePDFという名前のプリンタとしてPCにインストールされる特殊な形態のソフトウェア。WordやExcelやブラウザから、印刷先として、CutePDFを指定して印刷すると、PDFファイルとして出力される。つまり、印刷機能のあるアプリケーションからならば、すべて文書をPDF化できる。

・CutePDF
http://www.acrosoftware.com/Products/CutePDF/Printer.asp

これを使って昨日のBlogの記事をPDF化してみた。

Download file

4 最適化する

たまに巨大なPDFがあるが、メール添付で送ろうとする際に困ったりする。このソフトでサイズを小さくできることがある。

・PDFの最適化ツール「PDF Cleaner」v0.97
http://www.forest.impress.co.jp/article/2003/02/26/okiniiri.html
PDFファイルの構造を最適化してサイズを小さくできるソフト

5 PDFを探す

PDFといえばカタログである。PDFで公開されている商品カタログだけを検索するサービス。

・PDF専門カタログサーチエンジン
http://www.pdf-seek.com/

デスクトップに大量に存在するPDFドキュメントは、検索が難しい。キーワードがどのPDFに含まれるかは検索できても、ページ単位では検索がヒットしないからだ。その問題を解決したソフトでなるほどなと思う。

・複数のPDFから目当てのページを自由自在に探せる!!!
PDF検索ユーティリティソフト「PDFNavi 4.0」
http://www.junglejapan.com/release/020710.html


さて、

PDFを作成するCutePDFは素晴らしく便利なのだが、海外のソフトで細かい設定が難しい。ソースネクストが来月1980円で、PDF作成ソフトを発売するらしい。また使い勝手をレポートしたいと思います。

・いきなりPDF
http://www.sourcenext.com/products/pdf/
ikinaripdf.jpg

他にもPDF関連のTipsや面白いソフトがあったら教えてください。

Posted by daiya at 23:59 | Comments (4) | TrackBack

2004年02月24日

ヒトはなぜ、夢を見るのか

・ヒトはなぜ、夢を見るのか
4166601202.09.MZZZZZZZ.jpg

実は私は夜の睡眠では、年に2回くらいしか夢を見ない。周りの人間に聞くと夢はもっと頻繁に見ているという。ほとんど毎日見るという人までいる。見る回数が少ないせいか、カラーか白黒かと問われても即答できない。「なぜ私は夢を見ないのか?」と疑問に思いながら「ヒトはなぜ夢を見るのか」という本を読む。ヒトじゃないのかオレ?

この本では、なぜラスコーの洞窟の壁画の男性は勃起して描かれているのか?という意外な問いと答えを含む「睡眠と夢の人類史」から始まる。地球の自転、公転リズムとの関係や魚類レベルからの進化の過程で、眠りもまた進化してきた歴史が語られる。

睡眠時間は個体差が大きいらしいが、「マドリッドのパロミノという女性はある日あくびをして以来、30年間眠らないでいる」という信じられない一節があった。ネットで詳細を調べたところ次のページが見つかった。普通は、数日間で幻覚を見て、衰弱してしまうものらしい。医者の立会いの下、6日間眠らずにギネスブックに載った人がいると他の本で読んでいたのだが、それどころではない人が実在するのかと驚く。

・【The Sleep】なぜ、人は眠るのか?
http://www.johos.com/joho/report/0032.html

そして、中盤で当初の私の疑問への答えが見つかった。人は皆、一晩に4回のレム睡眠時に夢をみているが、言語化できないので、夢の内容は作業記憶上で失われてしまい、起きたときに思い出せないのだという。睡眠は不要な情報を忘れることが目的と言う面もあるから、夢の内容をすべて記憶していたら、睡眠の目的が果たせないと言うことでもあるのだろうと思った。だから、大抵の場合、思い出すのは第4回目のレム睡眠時の明け方の夢であるらしい。

「はじめに」に面白い数字があがっている。「われわれは一日に八時間ほど眠り、その間九十分ほど夢を見る。七十五年生きるとすると、二十五年眠り、五年間夢を見ることになる」。5年間を良い夢で過ごすか悪夢で過ごすかは人生にとっても、随分大きな違いになりそうだ。

この本を手に取ったときに、明晰夢のことが出ているのではないかと期待した。後半でかなり触れられていて満足。私は、以前、このテレビ番組で明晰夢のことを知った。

・確実に見たい夢を見る方法を調査せよ!2
http://www.ntv.co.jp/FERC/research/20020217/f1247_2.html
訓練法などもある。


1935年、文化人類学者のキルトン・スチュアート博士は、マレー半島に住む先住民族『セマイ族』の調査を行なったところ、彼らは独自の方法を使って、夢をコントロールしている事が明らかになった。
そして、アメリカのサンタバーバラ睡眠障害センター元所長、チャールズ・マックフィー氏によると、彼らが見ているのは『めいせきむ明晰夢』と呼ばれる夢であるという。

『明晰夢』とは、夢の中で「自分は今、夢をみているのだ」と自覚しながら見る夢のことである。マックフィー氏によると、明晰夢を見ている人は、夢の中でそれが夢である事を自覚しており、その夢の続きをどんな風にするかを自分の意志で決めることが出来るという。

見たい夢を見る人々がいて、映像で紹介される驚きの内容だった。彼らは毎朝夢を家族に報告し、アドバイスを受ける習慣があり、それが夢を自由に操作できる能力につながっているらしいという内容だった。

この本によると明晰夢を見ている間は夢であることを本人が自覚しているという。明晰夢を見る人は、夢の中で正確に時間を数えて、眼球運動で合図することもできるという。覚醒レベルが異常に高い睡眠で、実験室でも訓練によって誰でも見ることができることが証明されているそうだ。

一生で五年間見る夢を自由に操作できたなら、究極のバーチャルリアリティと言えそうだ。やってみたいが、訓練の前提が夢を書き留めたり報告することにあるので、私の場合、のっけから難しいのだが...。

この本は、医学博士、理学博士で睡眠の研究者による一般向けの解説書。脳科学、生理学、進化論、文化史、人類学と幅広い観点からの考察もあって面白く読めた。

・過去記事 朝10時までに仕事は片づける―モーニング・マネジメントのすすめ
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/000651.html
睡眠に関する情報あり。

Posted by daiya at 23:59 | Comments (5)

2004年02月23日

出版考、ふたつの知、情報の適者生存、金儲け

ある小さなコミュニティで(議論の刺激剤的な言葉と言う意味合いもあったのですが)、「すべての出版はビジネスであり、金儲けだと考えています」と発言したことで、いろいろやりとりがあり...。

以下の文章を書いたのでブログに多少修正してメモとして残しておこうと思います。文脈から切り離してしまうと意味があるかどうか分かりませんが。

---

出版。書かれた書物の段階では、ある人から見て高尚な本も低俗な本も、ともに「流通する商品」であると考えます。売れること、読まれること、多くに評価されることが本の価値ということになるのだと私は思っています。

無論、そうでない価値もあるとは知っていますが、現状の出版産業や言説空間の枠組みでは、商品を超えてマスに対して持続的に(=稼ぎながら)、主張をしたいとなると、それは私の定義では一般的な「出版」活動を超えてしまっています。ビジネスとしての出版と表現者がどう関わっていくべきか、自分のテーマとして考えてみました。


私は、科学者ギルド、専門家ギルドの小さな知と、マスの大きな知は異なるものだと考えています。つまり、マスに間違って伝わるということはないのだと思うのです。

マスに対して情報を伝達する場合、情報の送り手から見ると、曲解されたり、ディティールが失われたりして、本意が理解してもらえないと感じられることが多いと思います。私もライターの仕事をしていて、そのように感じます。が、それはそういうものとも思います。

マスは無知でも推論能力に欠けるわけでもないと思います。中には科学者や専門家も含まれているでしょう。ただ多様なのだ、と思うのです。マスに選択され、多様な受け止められ方をすることで、大きな知が形成される。多様性は全体の存続に必要な性質と思います。

大抵は、マスの選択は、ミーム論的に、適者生存の法則が働いて、面白いもの、分かりやすいもの、売れるものが優先されると思います。大きな知は、科学者や専門家ギルドの論理では、間違っていると指摘したくなりますが、マスの選択は歴史そのものであって、「間違う」ことはないというのが本当だと考えます。つまり、大きな知は現象なのだと考えています。

大きな知は、小さな知からみて、一見、「間違って」いても、それはより普遍的なものを守ろうとする動きの結果なのであって批判の対象ではないと考えます。守ろうとしているものは以下のような価値だと思います。

・必要なこと、求めていたこと、快いこと、生活に便利なこと
  →面白い
・一部の人に詳細までわかることよりも多くの人に大枠が理解されること。
  →わかりやすい
・経済が動くこと。儲かること。その知に関わるものが生活の糧を得ること。
  →売れる

例えば、例をとるなら、売れる言説には以下のようなものもあるとおもいます。

【ゲーム脳】
ゲームをするとキレやすい子どもが育つ

という言説の背後には、「人や自然とかかわる経験をこどもにさせたい」という大きな知があるのでしょうし、

【インターネットは便所の落書きだ】

は、「インターネットの情報には信頼できないものもあるから広く情報を見て総合的に判断した方が良い」という知があると思うのです。

間違ってマスに伝えたことをギルド内で批判することはたやすいと思います。でも、自らがそれを糾す際に、マスに選択される形、つまり、面白く、分かりやすく、売れる表現方法の上で語ることができるかというと、できる人は少ないと感じています。古典的には知と修辞学は同居していたはずが、専門家による知の細分化によって、修辞学は知の使い手と分離しがちになっているというのが原因のひとつなのではないでしょうか。

メッセージはコンテクスト内で意味を持つのだとすれば、流通に関わるものが知にコンテクストを与えないといけないとも思います。送り手側が「なんでつまらない本ばかり売れるんだ」と嘆く出版不況があるとしたら、送り手と流通が、良い本をベストセラーランキングへ入れる努力に失敗していることが原因と考えます。

記号表象レベルで、シニフィエ・シニフィアンが分離できないのと同じように、メッセージ内容と表現方法は分離できないものと思います。

そして、小さな知のレベルでいくら「正しく」とも、その正しさの依拠するものは、それがギルド内でのテンポラリな合意であるということだけだと思います。ギルドの外では、その正しさは、必ずしも選択理由にならないと考えます。科学者ギルドの知も長い時間が経過すると、科学的に誤っていたことが分かってしまったりして、正しいかどうかは分からないものと思います。

私が、「出版はビジネスであり、金儲けである」という表現を使って言いたかったことは、知の流通手段がビジネスであることは、ふたつの知をつなぐあり方として必然であるということでした。

Posted by daiya at 23:59 | Comments (0) | TrackBack

2004年02月22日

OvalLinkというコミュニティ、パネルに参加して

ovallinktitle2004.jpg

土曜日にOvalLinkのパネルディスカッション『コミュニティとメディアの可能性 』にパネリストとして参加しました。OvalLinkは日経BP社が2002年12月に閉鎖した有料会員制Webサイト「ブロードバンドビジネス・ラボ」のメンバーが、止めてしまうのはもったいないと考えて、有志運営に切り替えたビジネスコミュニティ、だそうです。

「だ、そうです」、と書いたのは私も、今回のイベントに誘われるまで、その存在を知らなかったからです。熱狂の懇親会まで参加してみての直感的感想は、「最先端のシーラカンスを発見してしまったエウレカ!」です。この表現は、古くて新しくて、とてつもなく貴重なものという意味です。

このコミュニティは、このイベント内でさえ、ハンドル名で呼び合う文化なので、誰が所属しているか明かしてはいけないと思ったので、書けませんが、とにかく顔ぶれ豪華で先端的な人たちの集団でした。リアルでは要職にある方、著名な方も多く参加されていて、名刺交換や紹介を受けるたびに、驚きの連続でした。

大学教授、大手企業や組織の要職者、大手メディアの責任者といった中心の人も、ベンチャー経営者、アクティビスト、芸術家、私のような個人の表現者といった周縁の人も、「先端という周縁」に集まって、フラットに刺激しあうコミュニティになっていました。

オフのイベントが祝祭として機能していました。リアル世界の仮面を外して、ハメを外して真剣に議論したり、騒いだり。運営者の方々には違うぞと言われてしまうかもしれないのですが、直感的にはパソコン通信の古き良き時代を思い出しました。

インターネットの前の世代にパソコン通信がオンラインコミュニティの主役であった頃にも、こうした「中心と周縁が先端で結婚する」コミュニティってあったと思います。ですが、近頃のコミュニティは、オンラインという場の先端性が希薄化したせいで、中心と周縁が分離して、リアルな世界の群れ具合やヒエラルキーを反映したものが多くなってきたと感じます。

OvalLinkはそういった意味で、シーラカンスだと思った次第です。でも、このシーラカンス、懐古趣味の集団というわけでは決してないようです。コミュニティの新しい価値を作り出そうと、運営者はさまざまな取り組みと発想に取り組まれていることが、イベント参加で分かりました。

当日のパネルディスカッションでは、司会の水島助教授より、以下のような説明がありました。対談相手は、日本のサイバー文化のエッジを牽引してきた界面的メディアのInterCommunications編集長の大和田氏、テレビ局の地上波責任者の古川氏でした。共にメディアの顔から一段降りて個人の立場で、お話をしてくださいました。

------------------------------------------------------------------------------
テーマ2 コミュニティーと組織、マネジメント、マーケティング(15分)

     オンライン文化に公私ともに長く関わっていると、「コミュニティ」という言葉で、すぐ“オンライン・コミュニティ”をイメージしがちですが、言うまでもなくこの言葉は人間の共同性(態/体)そのものを表すものとして、かなり多義的に用いられています。
     ここでは、経済システム・社会システムとしての「コミュニティ」の位置について、考えてみることにしましょう。「コミュニティ」とは、どこまで“自生的”であり、どこまで操作的、すなわち“利用可能”なものなのか――マーケティング的な活用を意図して「コミュニティ」を仕込むことは、果たしてどの程度可能なことなのででしょうか。

     翻って考えれば、20世紀の「メディア」は、かなりのレベルで操作可能なものとして、設計されてきました。この観点から「コミュニティ」と「メディア」が交差する点を見つけ出すこともできるのではないでしょうか?

Keyword:ナレッジと知識、データベース、共生(共創)、アソシエーション
規範、秩序、操作、バイラル、・・・・

口火を切っていただく方:橋本さん

     ある意味で、「アクセス向上委員会」から「データセクション」・・・「セマ
ンティックWeb」に至る橋本さんの“歩み”はまさしくこのフィールドの可能性を追求されてきたものと読み替えることができるのではないか・・と思います。ちょっと「自分史的」に“見えてきたもの”を語っていただけないでしょうか?

     (約8分:この部分は、ある程度話される「ネタ」などをご準備ください)

古川さんには、広告をとることによって成立している「放送」というビジネスモデルとの対比、大和田さんには、社会インフラとしての通信事業と「情報流通」の関係を踏まえて、「コミュニケーション」と「ビジネス」の関係について、絡んでいただければと思っています。

------------------------------------------------------------------------------

この台本に対して、キーワードだけ準備してお話させていただきました。自分史という切り口を重視しました。超要約。

・背伸びのマイメディア

個人のホームページは「背伸びのマイメディア」であると思います。その背伸びによって社会と接点とインタラクションを持つことで、自分も成長しながら、ある段階からは、ビジネスとも関わっていけるという実体験をお話させていただきました。

・先端という周縁

オンライン言説空間において、マスメディア(中心)に対してのマイメディア(周縁)の関係は、優劣があるわけではなく、並列するものであると思います。周縁の役割は、中心に異議を唱えたり、中心の論理をずらしていくことにありそうです。中心と周縁の相互依存によって新しい価値が生じて、そこがビジネスになったりするなあと自分の経験や思いをお話させていただきました。

・ソーシャルネットワーキングメディア

最近話題のOrkutなどソーシャルネットワーク上にメディアを作ることで、個人の表現がもっとビジネスに近づく可能性があると思っています。


あ、これじゃあ要約すぎてなんだか分かりませんか。。。

というわけで、OvalLink、私は年会費を払って入会することにしました。まだ会員ではないので自信をもってオススメすることができなくて残念ですが、最先端の知的コミュニティを探してインターネットをさまよっている方、近頃たいしたメーリングリストや掲示板が見つからないんだよね、という方、このコミュニティが答えになるような気がしています。

ご一緒に入会しませんか?

Posted by daiya at 23:59 | Comments (2) | TrackBack

2004年02月21日

心はどのように遺伝するか―双生児が語る新しい遺伝観

・心はどのように遺伝するか―双生児が語る新しい遺伝観
4062573067.09.MZZZZZZZ.jpg

面白い。見方によっては、古典優生学的と批判されかねない、きわどいテーマを扱っていると思う。

■こころの遺伝を証明することの危うさ

私は学校で、姿形や体質、病気は遺伝することがあると習った。しかし、知能や性格が遺伝するとは教わらなかった。社交的で明るいだとか、語学の習得が早いとか、プレッシャーに弱い、異性の好みやつきあい方に偏りがある、などの「こころ」の性質は、後天的な学習と育ちの環境が決めるものであって、遺伝子が決めるわけではない、ということになっている。

なぜ、”そういうことになっている”のか?。ひとつの理由はそれが倫理的に「Politically Correct」な言説だからだろう。「こころ」が遺伝するとすれば、優秀な家系の子どもは優秀で、犯罪者の家系は犯罪者を生むという論理につながる。実際、そういうこともあれば、そうでないこともあるわけで、「それは遺伝である」という言説は差別にもつながりかねない。社会的に受け入れられにくい。

もうひとつの理由は、遺伝と、後天的学習及び環境の要因を切り離して分析することが不可能だと考えられるからだ。親が優秀で裕福な家庭は、そうでない家庭よりも、比較的恵まれた環境をこどもに与えることができると考えられる。逆の環境の仮定もありえる。だが、実際に成長した子どものこころを、遺伝的な部分と学習・環境要因と切り分けて分析することは難しい。測れないものは証明できない。

つまり、この本のテーマはきわどい。「こころは遺伝する」ことを科学的に証明した上で、且つ、社会的に受け入れられる説明をしなければならない。そんなことができるだろうか?。この本はその難しい挑戦に、慶応大学の助教授が果敢に挑んでいるスリリングな内容である。

■双子の研究からわかること

科学的証明のてがかりは、「別々に育てられた一卵性双生児」である。

そもそも双子がこの世に生まれないとする。計算によると通常の遺伝プロセスを人類の絶滅まで繰り返しても、同じ遺伝子を持つヒトは生まれてこないらしい。人類絶滅までの延べ人口は大きく見積もっても20桁程度の数字。これに対して、遺伝子の組み合わせパターンは2400桁レベルと考えられるからだと言う。

それゆえ、一卵性双生児は遺伝的に奇跡とも言える貴重な研究材料なのだと著者は考えた。その事例を多数集めて、双子の各々のたどった一生や、性格、能力を調べていく。IQ、学業成績、宗教性、創造性、外向性、職業興味、神経質などの項目の類似性を数値化する。

稀にだが、事情があって何十年も生き別れになって異なる環境で育った一卵性双生児がいる。異環境の一卵性双生児の事例を多数集める。これは同環境で育った双子と区別して集計する。

同時に遺伝的には少し離れた関係にある二卵性双生児でも、同環境・異環境に分けてサンプルを集め、類似度を数値化する。こうして、一卵性(同環境、異環境)、二卵性(同環境、異なる環境)の4つの類似度が集計される。

4つの類似度の相関度を算出する。一卵性は遺伝子を100%共有しており、二卵性は50%の共有度であるから、この違いも加味して、有意な相関項目がみつかれば、こころの性質のうちで遺伝するものがみつかる、というわけだ。

IQや明るい性格その他、幾つもの要素に強い相関が発見される。

まったく異なる環境で、お互いの存在さえ知らなかったのに、学校の成績や職業、乗っている車種、好きなお酒の銘柄、離婚歴、果ては妻と子どもの名前(好きだから名づけた)まで一緒だった双子の例が紹介される。

こうして、こころの遺伝の証明の第一歩が始まる。この部分は数値やグラフでデータが多数示され、最も読み応えのある部分である。

■こころの遺伝は決定的なのか?

上記の方法で、遺伝と学習・環境要因を切り離して分析するとしても、完全な遺伝の証明にならないと著者は考える。遺伝は遺伝子が確率的に複製されるだけであって、その表現形が複製されるわけではない。抱えた遺伝子が必ず発現するとも限らない。例えば「美人の顔」は、顔の個々のパーツの性質(目がパッチリ、鼻が高いなど)できまるわけではなく、組み合わせ全体で決まるわけだし、癌の遺伝子を持っていても癌になるとは限らない。

環境や学習に対しても、著者は鋭い分析を続ける。得意なことが好きになって、自分も他人も、もっとその能力を伸ばそうとする。環境も学習も、与えられたものという面は極一部で、本人が選択したり変革していくものととらえる。

「遺伝」の意味が一般にいかに誤解されているか、著者は専門的な概念を、分かりやすい例を挙げながら解説し、遺伝=決定論の偏見イメージを突き崩し、科学的な理解とは何かを語る。

こうした事柄を論じたうえで、この本は最後に「こころの遺伝」の存在と、その意味を結論するクライマックスへ向かう。最終章にいたって、私としてはこの本は、前述の「Politically Correct」の問題を、なるほどね、という落としどころへ持っていくことでクリアしているように思える。

この本、じっくり読まないと著者は、一見、遺伝決定論者のように見える。いや、著者は中立に書いているのかもしれないが、この人自身の肩書きが、俗世間的にはエリートなわけで、一般読者としてはどうしても、そう読みがちになる。読後感としては、中立の人っぽく感じたけれど、まだ分からないでいる。

分からないから、面白くて一気に読めたのかもしれない。新書でとっかかりやすい。データ量も豊富で、トリビア的にも、かなり、おすすめの一冊。

Posted by daiya at 23:59 | Comments (0) | TrackBack

2004年02月20日

Beepで三三七拍子

今日は閑話休題的な日記。

斜め向かいに座っているSさん。プログラミング中にバイナリデータをコンソールに表示させてしまい、ビーーーーーというBeep音がオフィスに鳴り響く。Beep音を聞くときは、ハードウェアトラブルとか、ロクなことがないので緊張する。

このBeep音は、PCの内蔵ブザーが出すものなので、サウンドカードがないPCでも鳴らすことができる。マシンの起動時にピという音を鳴らすのもこれ。昔のPCはBeep音が唯一の音源だった頃もあった。でも、最近はアプリケーションでこれを使うケースはほとんどなくない。Beep音、Windowsの通常操作で意図的に鳴らそうと思っても、やり方は難しい。

そこでプログラムを開発している人が結構いる。Beep soundのプログラマ、なぜか日本人が多く、海外には少ない。日本はBeep先進国なのかもしれない。

で、早速、幾つか紹介。

・三三七拍子をbeepで出力する
http://www.net24.ne.jp/~omoti/note/c/sansan.html

実行ファイルをダウンロードして起動するととりあえず三三七拍子が聞ける。スピーカーがなくても、ボリュームゼロでも聞こえる。音は小さいので、静かにして聴く必要あり。

Beep鍵盤
beepkenban.JPG

このソフトを使うと、Wave形式の音楽ファイルをBeep用ブザーで演奏させることができる。Beep音のブザーは単一音源なので、鳴らす回数、発生時間、周波数、音量を調整する程度のことしか本来できない。それで音楽を聴こうという試み。鍵盤演奏ができる。

BeepMidi
beepmidi01.JPG

MidiファイルをドラッグアンドドロップするとMidiをBeepで演奏してくれる。これはなかなか気に入った。好きな曲が聴けるのがいい。Midiファイルは付属していないので以下のサイトから入手した。

・童謡・唱歌の世界(参考紹介ですがすごくいいサイト
http://www5b.biglobe.ne.jp/~pst/douyou-syouka/童謡、唱歌のMidiファイルがフリーでダウンロードできる。

・Beep3
http://www.vector.co.jp/soft/win95/art/se240802.html
beep3.gif

なんとBeep音で3重和音を演奏させる。ブザーはひとつしかないわけで、3つの音の波形をソフトウェアで合成して鳴らす、のだろう。すごい音がする。CPUに非常な負荷がかかるらしく時々落ちる。


Beep音は同じ音源ファイルを演奏させても、マシンごとにかなり音の響き方が違うことが分かった。マイナーな趣味っぽいですが、Beep音周りの情報お持ちの方ください。

Posted by daiya at 23:59 | Comments (1) | TrackBack

2004年02月19日

こころの情報学

こころの情報学
4480058044.09.MZZZZZZZ.jpg

■情報論のパズルを完成させる本

情報学、動物行動学、人工知能、現象学、言語学、社会学のキーワード(例えば、アフォーダンス、フレーム問題、オートポイエーシス、など)を総合し、情報という視点から人のこころを説明する本。情報科学のキーワードが無数に登場し、著者は本来、別次元である、それらのキーワードをパズルのように見事に組み合わせて、人のこころの意味を考えていく。情報科学好きにはたまらないワクワク本。

私が読み取れたこの本の概要。

著者は、情報を「それによって生物がパターンをつくりだすパターン」と定義している。すなわち、心(あるいは心的システム)を持つ生物がいなければ、情報は存在しないという<生命情報>の立場に立つ。つまりヒトや動物がいないと情報も存在しない。

これに対するのは記号の意味が捨象された<機械情報>の世界であり、記号の伝達と効率のみの世界。コンピュータ同士の情報のやりとりや、意味が固定化された社会の情報を指す。(思うに、セマンティックWebが扱うのは機械情報である。)

この生命情報を処理するのが、心的システム(あるいはこころ)であるとする。認知活動により意識にのぼる情報のパターンが、言語の意味作用や、他の情報との出会いにより、ダイナミックに変化する遷移のプロセスが「こころ」の正体という定義である。

こころはオートポイエーシスの性質を持つとも言う。オートポイエーシス(自己創出性)は、このメディアアート「顔ポイエーシス」を見るとわかりやすいと私は思ったので紹介。(この本で紹介されているわけではないです)

・『顔ポイエーシス facepoiesis』と遺伝的絵画(Genetic Paintings) について
http://www.renga.com/facepoiesis/tabula/index.htm
kaotblascrn_tn.JPG

人が描いた顔の絵を交配し、別の顔を生成していくプログラム。元の顔のパーツや配置の要素情報が遺伝子として引き継がれて、無数の顔が増殖する。これらの顔の中には、描き手が将来描くかもしれない顔までもが含まれているかもしれない。

つまり、外部環境の情報(人が描いた絵、前の世代の顔)を取り込んで、何らかの選択パターン(遺伝メカニズム)を使って、自律的に新たな意味(顔)を生み出し続ける性質がオートポイエーシスと説明できると思う。

こうして定義された、「こころ」と、言語、社会、環境、技術、インターネットなどとの関係が説得力ある統合として語られていく。広い研究領域の成果が次々に紹介されては、このキーワードはここに組み込める、といった風に、パズルが完成されていくプロセスは知的好奇心を刺激されまくり。

電車を乗り過ごして最後まで読んだ。一般向けに書かれた本だが、一通りのキーワードは事前に理解しておく方がわかりやすいとは、思った。私は今、知識不足で不明で残った部分を勉強中。

この著者の西垣通教授の著書は、情報を考える上でいつも啓発される。理系のはずなのに文系の領域にも詳しく、現代思想まで踏み込んで現代を論じるすごい人。思想だからか、この本は5年前の本だけれど、まるで色褪せていない。

・東京大学 西垣研究室
http://www.digital-narcis.org/nishigaki/

西垣先生とは、4年前にパネリスト参加したイベントで司会をしていただいていたことに、裏表紙の写真を見て気がつき愕然とする。このイベントの第一部は先生の独演会「ネット社会の新しいパラダイム」。当時、まだ著書を読んでいなかった私は、自分の出番の準備をしながら、ポカーンと聞いていたけれど、今この議事録を読んでやっと内容がわかった。

ああ、もっとお話しとけばよかった。今度何かでお会いできる時のために他の著書も読んでおこうと。

・デジタル社会の光と影
−これからのネット社会の新しいパラダイムを探る−
@情報通信総合研究所
http://www.icr.co.jp/newsletter/report/2000/crisis/1-0.html

Posted by daiya at 23:59 | Comments (5) | TrackBack

2004年02月18日

話し方の技術が面白いほど身につく本

話し方の技術が面白いほど身につく本
4806117374.09.MZZZZZZZ.jpg

■話し方の技術

人前で話す仕事が多くなってきたので勉強のために読んだ本。セミナーやパネルディスカッションといったイベントだけでなく、名刺交換の直後、他人のプレゼンの準備時間や、休憩時間の前後の、2,3分の隙間時間で、自分を印象づけられる話ができると、いいなと思いながらページをめくる。

・サンドイッチ法
挨拶ではじめる→名乗る→内容を話す→再び名乗る→挨拶で終わるといった具合で、形式を作ることで、突然求められたスピーチにも対応できるというノウハウ。

・ライフル型アイコンタクト
たくさんのオーディエンスの前で話すときに目のやり場に困るという問題の解決法。オーディエンス1人につき3秒ずつアイコンタクト。話の区切りで目線を変える。電車内でのトレーニング法など。

・カラスの声トレーニング
ある種の発声法。口を閉じ、鼻で息を吸う。

など、大量のノウハウがイラスト入りで解説されていく。フムフムいいながら1時間で読み終わる。自分の話し方のスキルはまだまだだなと思った。

自己分析して、ひとつだけ自信を持ってできているのは、腹式呼吸法。子どもの頃、喘息で治療のために医師から勧められ、身についたこの習慣、病気が治った今でも役立っている。おかげで運動音痴でスモーカーなのに肺活量だけは5000を超えている。長く通る発生だけはできている気がする。今となっては喘息万歳。

・肺活量とは肺の換気能力を示す数値
http://health.www.infoseek.co.jp/library/0800/w0801019.html

肺活量の平均値の求め方:
男性={27.63−(0.112×年齢)}×身長
女性={21.78−(0.101×年齢)}×身長

私の場合、平均値は4285だから平均を超えることができた。

「健康な成人では男性は3000〜4000ml、女性は2000〜3000mlくらいになります」

最近、仕事術でベストセラー連発の斉藤孝氏も呼吸法の本を出版している。腹式呼吸は健康にも良いらしいのでおすすめ。

■音声によるお手本と魅力的な声質

この本にはCDがついていて著者の話し方セミナーが丸ごと収録されている。本だけでは分からないニュアンスがここで補完される。話し方の本にCDをつけるのは大正解だなと思った。聞いてみると、話の内容はともかく、確かに聞き取りやすい。間の取り方が特に勉強になった。

話し方に理想形はなくて「らしさ」って重要だなと思う。経営者らしさ、研究者らしさ、営業マンらしさ、やり手コンサルタントらしさ、個人ブランドの人なら○○さんらしさ。聞き手が求めている像を守りつつも意外性を打ち出していく。個人的に惹きつけられるのは、言葉を慎重に選びながら落ち着いて話す人。それでいながら、話の内容が大胆で本質を突いていると、すごいなこの人と思う。

声質というのは生来のもので練習で変えるわけにはいかないのかもしれないが、最近、テレビで興味深い番組を観た。世界的にも数えるほどしか存在しない奇跡の声を持つ岡本知高のライブ&トーク。

・ソプラニスタ
B0000QX0JC.09.MZZZZZZZ.jpg

・岡本知高オフィシャルサイト
http://www.p-and-d.co.jp/okamoto/
男性でありながら、女性ソプラノの音域を持つ世界でも稀有な存在の男性ソプラノ“ソプラニスタ”

まずはこんな声が出せるのかと驚愕。さらに声質を科学者が分析したところ、波形も特殊で、美空ひばり、ビートルズなどと同じ1/fゆらぎが計測されるとのこと。声を聞くことでα波による癒し効果があるそうだ。声の世界は奥が深い。

■自分の話す姿を撮影して眺めてみる

前回の超本格会議はビデオで録画していた。DVDへコピーをしながら、自分のしゃべり方を見直してみた。悪い癖をいくつも発見。自分の話す姿をビデオでみるのははじめてだったけれど、非常に勉強になった。無意識に出ている言葉や動作、意識して行っていることの効果、が客観的に分析できる。

私は話の中に「要するに」「つまり」「結局」がとにかく多い。10分のうちに10回以上使っている部分が何箇所もあった。ほとんどは、なくても意味が通じる。これは今後、意識して直した方がよさそうと思った。歩き回ったり、身体を傾けると見栄えがよくないことも知る。
この本のチェックリストを見ながら、今まで聴いた講演を思い出す。話す内容のプロは多いけれど、話し方のプロって案外少ないのではないだろうか。面白い話をもっと面白く伝えるための技術として、話し方の技術、重要に思った。

次のイベントに向けて練習、練習と。

Posted by daiya at 23:59 | Comments (7) | TrackBack

2004年02月17日

本を読む本、ぼくが読んだ面白い本......

本を読む本
4061592998.09.MZZZZZZZ.jpg

1940年に初版がでて以来、読書術の古典として世界的にベストセラーになった本。内容は書物をどう理解し、知識を自分のものとして獲得していくかの方法論を体系的に述べている。

読書には4つのレベルがあるという。

1 初級読書(Elementary Reading)
  「その本は何を述べているか」を理解する読書

2 点検読書(Inspectional Reading)
  系統立てて拾い読みする読書

3 分析読書(Analytical Reading)
  系統立てて質問をする積極的読書。著者との対話型の読書。

4 シントピカル読書(Syntopical Reading)
  ひとつの主題について何冊もの本を比較読書し、客観理解をすすめる。
  書かれていない主題をも発見する究極の読書。

このレベルを上げていくことで深い理解に到達し、知識を活用できるようになるのだという。作者と対話し、そこに書かれていないテーマを発見せよ、行間を読むのではなく行間を書け、というメッセージになるほどと感銘。

古典的な本であるのに、意外にも速読、とばし読み勧める内容になっている。そして、どんな本も数行に要約してみよ、とし、アダムスミス「諸国民の富」、アリストテレス「倫理学」、ヘロドトス「歴史」などの古典の要約例があげられる。

最初に点検読書で全体のアウトラインを把握し、著者の言いたい事をつかみ、読むべき価値のある部分をじっくりと考えながら読む方が、最初からだらだら読むよりも、速いし理解も深まるということを言いたいようだ。

この本を読んでいて思い出したのが次の本である。(今日の記事はむしろこちらが紹介したい本)。まさに同じような読書論を展開している人がいる。

・ぼくが読んだ面白い本・ダメな本 そしてぼくの大量読書術・驚異の速読術
4167330156.09.MZZZZZZZ.jpg

立花隆による読書術と大量の書評集。素晴らしい。

立花隆の大量読書は有名だが、この本ではまず、その読書術が語られる。蔵書のために地上3階、地下2階のビルを建ててしまう作家であるから、本と読書に関するこだわりは熱い。当然のように速読をポリシーとしている。点検読書と同じ意味の速読を実践しているのだなとわかる。


この世界は、書物の存在量から見たとき、いかなる巨大美術館、巨大美術展よりも、作品が信じられないほど多量にあり、はじめから逐語読みをしていたら、一生かかっても絶対に読みきれないどころか、数百年かかっても読みきれないほどの量がある。しかもその中にクズが山のように入りまじっているのだから「全部はじめからじっくり読み」方式は絶対にしてはならない無謀な方式なのである。そんなことをしていたら、出会うべき本に出会えないうちに一生を終わってしまうこと必定である。

「音楽的読み」と「絵画的読み」という著者の言葉はうまい表現だと思った。順序通りに分析読書する方法であり、後者は数十分で一冊を読むような点検読書の方法のこと。著者曰く、基本は絵画的読みで把握し、読む価値がある部分を音楽的読みで読むべきだとのこと。

この本の大半を占める中盤は、著者が5年間に読んだ中から選んだ数百冊の書評。週刊文春の連載をまとめたもの。的確な引用と明確な評価。良い本はほめ、悪い本はけなす。ひとつのテーマに対して大量の類書を読む著者は、「本を読む本」でいうシントピック読書の実践者であると思った。

紹介されるのは、ジャンルを問わずあらゆる本だが、著者の好みで科学書や歴史書、ニューサイエンス(オカルトともいう)、奇書の類が目立つ。自分が読んだ本の批評が書かれているのも面白いし、気になっていた本の評価も参考になる。これを先に読んでおけば、買わなくても良い本を買わずにすむから、この本は書評部だけでも価値があると思った。

そして終章の「『捨てる技術』を一刀両断する」が凄まじい。何でも捨てることが大切という内容のベストセラー本を、完膚なきまでに叩きのめす。作者が気の毒になるほど徹底的である。

・「考え方が根本的に間違っている」
・「(この本こそ)「捨てる技術」を使うならまっ先に捨ててしかるべき」
・「私はこの本をまったく評価しない」
・「ほとんどカスみたいな本である」

といった罵倒が実に40ページも続く。この激しい批判書評の過程で、著者は自らの情報についての哲学や価値観を展開していく部分は、この本のクライマックスである。

「捨てる技術」は私は読んでいない。自論展開のために戦略的にこの本を選んで悪く言ったのか、本当に激昂するほどこの本が嫌いなのか、判断が難しいのだが、ここまで叩かれる本自体も読んでみたくなった。

お断りしておくと私は立花隆のファン。何の分野であっても、豊富な知識を根拠として挙げて、説得力のある評価をする人である。「知の巨人」と呼ばれる一方で、トンデモ系だという批判もあって、たくさん出版物まで出ている。

立花隆先生、かなりヘンですよ―「教養のない東大生」からの挑戦状

立花隆の無知蒙昧を衝く―遺伝子問題から宇宙論まで

立花隆「嘘八百」の研究―ジャーナリズム界の田中角栄、その最終真実。

立花批判の多くは、彼の語る立ち位置を誤解したもののような気がしてならない。彼は「元」ジャーナリストの作家であって、今は単なるジャーナリストでも科学者でもない。呆れるほど博覧強記なのと、強い物言いのせいで、誤解されてしまっていると思う。専門家ではないが故に、多くの分野に通じ、最先端の知の面白さの世界をナビゲートすることが、この人のやりたい仕事なのだと思う。読者層も本好きばかりだろうから、多少の間違いにミスリードされるとしたら、される方が悪いんじゃないか、とファンとしては思う次第。

Posted by daiya at 23:59 | Comments (0) | TrackBack

2004年02月16日

「3秒集中」記憶術―本番に強くなる、ストレスが消える、創造力がつく

「3秒集中」記憶術―本番に強くなる、ストレスが消える、創造力がつく
now_printing.gif

著者の友寄英哲氏は、1987年に円周率4万桁暗記を達成しギネスブックに掲載された記憶術の実践者。世界一の記録達成者がどのようなノウハウを持っているのかを知りたくて、熟読。次々に繰り出される記憶訓練術の数々。面白い。そういうことだったのかと連発。

著者が円周率暗記は、語呂合わせで達成したということは良く知られている。「富士山麓にオーム鳴く」式に文章を作ってひたすら根性で記憶して行くのだろうな、だけど、それは自分には無理だと読む前は思っていた。そんな根性は私にはないから。ところが、著者の話を聞いていると、ひょっとすると私にもできたりしてと思えてくる。

■語呂合わせとイメージングによる暗記

円周率の暗記は数字を仮名に変換した語呂合わせ作成する。10桁ごとに区切って文章化する。つまり4千の文章を記憶する。ひとつひとつの文章は3秒で記憶、想起できる大きさにおさえる。

ポイントは二つあるようだ。

1 イメージ化する

五感に訴求するイメージに変換する。しかも不快で奇抜なものほど、記憶に定着して良いらしい。500桁までの本番で使ったイメージも後半で明かされている。

2 独自の数字→仮名変換ルールを活用する

二桁の数字に言葉を割り当てたキーワード辞書を作成して、変換パターンを拡張する。この本には著者が使ったキーワードも公開されている。

そして、あとはひたすら暗記の日々になるのだが、記憶力強化と習慣化のための無数の工夫が語られる。通勤時間を使った練習法や、リラックスのための体操法、あがり克服のための運動、テープを使った睡眠学習(肯定している)、自作の暗記ツールの開発など。どれも、普通の人間が取り組めそうで、他の事柄の暗記にも使えそうなノウハウが続く。例えば、毎日の通勤途中の本屋で立ち読みした内容を書き出すことを続ける。次の電柱までに10桁憶える、など。

著者は54歳で記録を達成したそうだ。暗誦するだけで17時間かかる。しかもテレビカメラの前での実施。記憶力と同時に集中力も重要な要素だったそうだ。感動したのは、円周率の最後の一桁を話す自分をイメージして6年間の練習に取り組んだという部分。用意した決めセリフのカッコよさにしびれた。イメージトレーニングのお手本だと思った。

脳科学の大先生や学習心理学者も、理論を知っているだけで、本人が実際に記憶ができるわけではない。実践者が話す内容は貴重だと思う。語呂合わせは言語に依存するので、この著者が、日本人であるという事実は、幸運なことだとも思った。

この本はまだまだ読み取れていない秘密が隠されていそうだ。円周率以外にも広く使える。もう一回読もう。

■デスクトップの暗記術?

私は記憶力が良くないので、幾つかイメージ化、語呂合わせで記憶していることがある。
1 コピー、カット、ペースト

キーボードのショートカットを私は長い間覚えられなかった。あるとき先輩から、こう憶えれば簡単だよと教えられた。これは毎日のように使っている語呂合わせ。

CTRL+C コピー  「コピーのC」
CTRL+X カット  「Xはハサミだからカット」
CTRL+V ペースト 「Vは下向きの矢印でココ!に差し込むという意味」

これを憶えて以来、毎日のように、ハサミ、ココ!とぶつぶつ言いながらカット&ペーストできるようになった。

2 Alexa、WebArchiveの関係

「過去のWebを閲覧できるInternetArchiveサービスは、関連検索のAlexa社が記録したアーカイブを提供している。」という関係を記憶しておくノウハウ。(私は情報活用セミナーで毎回話すことなのですが、Alexaの名前が以前はなかなか出てこなかったので考案)

イメージ化:

アーカイブ=大量に古いものが保存されて腐るので「あれ?臭(くさい)?」

この本が推奨している、バカバカしく五感に訴求するイメージ、になったので、二度と忘れない、気がする。

・InternetArchive
http://web.archive.org/
・Alexa
http://www.alexa.com/

3 Googleのシソーラス検索

Googleでは、英語キーワードに限り、検索語の先頭に「~」(チルダもしくはニョロ)をつけると関連語を同時に検索する。例えば「~culture」で検索すると「Art」「Music」なども含めた検索結果がでる。

海外のサイト探しに便利な機能だけれど、どうもニョロを忘れてしまうので、「ニョロニョロつながる言葉がぐるぐる(Google)回る」イメージ化したところ、忘れなくなった。

#みなさんも何か語呂合わせで暗記していることがあれば教えてください。

Posted by daiya at 23:59 | Comments (1) | TrackBack

2004年02月15日

愉快議!〜 仕事も恋も「つかみ」の技術で完全武装 面白き事も無き世を面白く 〜

今月の無敵会議開催の詳細が決まりました。今回は土曜日に開催してみます。

yukaigi_title.jpg

愉快議!〜 仕事も恋も「つかみ」の技術で完全武装 面白き事も無き世を面白く 〜
あなたの究極の「面白い」を教えてください

世界一面白いと思うジョーク、儲かって笑いの止まらないビジネス、目を惹かれたキャッチコピー、1日見ていて飽きないWebサイト、間抜けな写真や映像作品、心を揺さぶられた小説。カタチはなんでも結構です。

ニヤリ、爆笑、ナルホド、スゴイぜ、イケてる、これツカエルぞ。面白さの種類や意味はあなたが考えてください。そして、極上のひとつだけ、理由付きで教えていただきたい。当日は、参加者が100人いれば、面白さ100倍です。きっと愉快な会議になるでしょう。

でも、笑うだけの会議だと思わないでください。

企画なら発想の面白さ。営業なら雑談の愉快さ。経営者ならユニークなビジネスモデル。投資家ならイケてる企業の発見。モテたいなら軽妙洒脱なトーク。すべてポイントは面白さにあります。

この会議で交換する面白さのエッセンスはそれぞれの「現場」の実践力アップに使えるはずです。

そしてお約束。

会議ですから全員参加です。インタラクティブな会議時間では、5-6人のグループを作って、ビジネスや生活で面白い刺激の発想を共同開発します。当意即妙の技に自信のある人もない人も、オモシロ度のレベルアップができる共創の場を提供できるように、主宰の二人は企画を練りこんでいます。ご期待ください。

愉快議、それは「人の心をつかむものは何か」を探る会議です。

■ 参加の方法

これは会議です。全員参加です。参加するには、あなたのとっておきの「面白い!」を教えてください。

出会った人には必ず話してしまう「おもしろ」小話、モニターの前でくすりと笑ってしまう「おもしろ」サイト、思わずつっこんでしまった「おもしろ」商品、小膝を叩かずにはいられない「おもしろ」アイデア・・・。

かたちはなんでも構いません。

あなたの、ワハハ!、ニヤリ!、ナルホド!、スゲエ!、イケてる!、を文章で表現してください。

推薦文には関連ホームページのURLを含めてくださって結構です。

参加者の皆さんには当日投稿結果を印刷して配布させていただきます。

また、投稿だけの参加も可能です。投稿していただいた方全員に、後日「愉快会議、これであなたもつかみの名人(要約版)」を配布いたします。

■ 実施要綱

日時 2004年02月28日(Sat) 19:40-22:00(19:30受付開始)
場所 デジタルハリウッド渋谷校
〒150-0042 東京都渋谷区道玄坂2-25-12 道玄坂カブトビル4F
(地図)
費用 3,000円(税込、当日現金払)
定員 50名(先着順)
持ち物 筆記用具、携帯電話
主催 橋本大也(Passion for the Future)
百式管理人(百式)
協賛 デジタルハリウッド株式会社

■ プログラム

 第一部 フリートーク (60分)

・橋本 vs 百式管理人、GoogleAdwordsで本気対決の報告会
・話題になるとはどういうことか?話題性の法則を探る
・笑えるサイト、ジョークなアプリ、独断偏見なんでもありの「おもしろ」ベスト10
・厳選したマーケティング手法、発想術、企画ノウハウのご紹介
・「面白い!」に規則性はあるのか?おもしろさを科学する

 第ニ部 愉快議 (30分)

グループに分かれてあるテーマについて議論していただきます。テーマは当日発表します。
当日は携帯電話を使ったリアルタイムアンケートを実施します。
 第三部 結果発表 (30分)

会議内容の発表
・橋本、田口が参加者投稿から選ぶ独断と偏見の『究極の究極の「面白い!」』

 第四部 名刺交換と交流会

名刺とそれ以外のあらゆるものを交換。

■ 投稿・お申込みはこちらから

会議への参加お申込み、ここからからどうぞ。

yukaigimenu_200402.gif

Posted by daiya at 23:59 | Comments (0) | TrackBack

2004年02月14日

デジタルID革命

・デジタルID革命
4532311179.09.MZZZZZZZ.jpg

今後、数年というスパンでRFID、無線ICタグのビジネスがくるのではないかと、私も考えているので、総合している最新本を読む。

慶応大学国領教授と、日経デジタルコア編著によるデジタルID技術の現状報告と展望の解説本。デジタルIDとは、RFIDやICカードなどの無線ICタグ技術を指している。総務省の発表では、無線ICタグの市場は2010年には31兆円規模の市場に成長するという。

生産者、製造年月日、原材料、流通経路などの情報を記録した、小さなICタグを商品につけて流通させる。そして、読み取り装置を使って、商品情報を流通、販売、消費者がそれぞれ便利に使う。生産者も商品の流通や使用状況を把握し、市場分析に役立てる。現在、バーコードが果たしているようなトレーサビリティ技術の革新。(自動認識技術ではまだバーコード技術が90%の出荷総額のシェアを持っているらしい)。

一口にトレーサビリティといっても、消費者の視点でのトレース(遡及)と、生産者や流通の視点でのトラック(追跡)の2種類があるとこの本は定義する。トレースは、手元の商品の出自を知りたいと思ったときに、確認できること。トラックは、流通経路のどこを今流れているかを確認すること。

消費者は生産者が分かることで安心感を得たり、CDや書籍の詳細情報を入手できたりする。ビジネス側としては、流通を合理化したり、マーケティングに活かせたり、患者や医療器具などにつけることで医療現場でのミスを無くす、など、この技術の有望性は数え切れないほどある。

しかし、追跡できるということは、人の着ている服の値段や最近買った書籍のタイトル、どの駅を毎日乗り降りしているか、冷蔵庫の中身は何か、まで第3者に分かってしまう可能性があるわけで、プライバシーに対する懸念も大きい。

また、業界的には、誰がICタグとリーダーの費用負担をすべきなのか、は議論がまとまりにくい。上流に受益者がいるのに、なぜエンドユーザや小売店が費用負担をすべきなのか異論もでる。バーコードの場合には、セブンイレブンなどがバイイングパワーを使った交渉圧力で、すべての商品への印刷を働きかけて実現した、という歴史も、紹介される。

一番面白かったのは、第3章「トレーサビリティのビジネスモデル」の章。食品、医療、航空貨物・手荷物、アパレル、流通、書店、街づくり、の各業界の現状が、詳しく語られる。

読み終わっての感想は、あれ、結構障害が多いなということ。10年、20年というスパンで考えると普及は確実に思うけれど、これからすぐに無線タグ化が進むには問題山積みな状況であると思った。

流通合理化では技術的にバーコードのままでいいじゃないか?な部分が多く、技術の内容も小売現場で実用化するには、足りない部分も多いようだ。そういえば先日こんなニュースもあった。

RFIDによるレジ一括精算、実用化のネックはポテトチップス
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2004/01/30/1938.html

面白い試みでは、この本でも紹介されていたが、六本木ヒルズのR-Click実験には注目している。六本木ヒルズ内で、白いキーホルダーをRFIDの張られたディスプレイにかざしてクリックすると、周辺情報が携帯にメールされる。商品と情報ではなく、場所と情報(とヒト)にRFIDをヒモ付ける、こういうやり方の方が当面は、分かりやすく受け入れられやすい気がする。

この本は著者が多いためか、ひとつの結論にまとまらない。結局、今ICタグビジネスは儲かるのかどうか、はよく分からなくなってしまった。私的にはそれが知りたいのであるが...。最新事情と問題点を知るにはとても良い本だと思った。

・六本木ヒルズ Rクリック
http://r-click.jp/

・日経デジタルコア テーマ「トレーサビリティー」
http://www.nikkei.co.jp/digitalcore/report/theme_traceability.html
このサイトを読むだけでもこの本の概要は理解できる。とても充実。大満足。

・書籍の「無線ICタグ」化に疑問あり
仲俣 暁生 「本とコンピュータ」編集室
http://it.nikkei.co.jp/it/njh/njh.cfm?i=20030718s2000s2
書籍ICタグのプライバシー問題についての異議。

Posted by daiya at 23:59 | Comments (0) | TrackBack

2004年02月13日

IT時代の「仕事術」を考える

「仕事術」系の書籍をまとめ読みして、要点を抽出し、考えたこと。
もう何冊か書評を続けてからと思いましたが、このネタ続けると疲れるので一旦総括。

■ふたつの効率が人間の情報処理能力を決めているという考え

人の情報処理能力=脳力というのは、身長や体重の分布と同じ正規分布を描くものではないと思っている。正規分布の世界。例えば体重50キロの人もいれば100キロの人もいる。身長1.5メートルの人もいれば2メートル超の人もいる。しかし、大半は平均値付近に集合していて、10トンの人も、5メートルの人もいない。

しかし、歴史を振り返ると、個人の知的成果は、正規分布を大きくはずれた人が目立つとも感じる。一人の人間が、驚異的な量の仕事をこなし、その巨人の肩の上で、次の時代が起こされていく。能力は平均の世界でも、成果はべき乗則の世界であり、ごく少数の巨人の影響力が大きいと感じる。

人間には生物構造的には、誰もが、ほとんど同じ1500グラムの脳を使うが、成果の大きな違いを生み出しているのが、「効率」の違いだと考えた。内燃機関のアナロジーを使うと、内的効率と外的効率のふたつがあるのではないかと仮定してみる。

■内的効率と外的効率:内燃機関のアナロジーから

(1)内的効率 アタマの中の効率

脳の思考に必要な物質的燃料は少量だから、この際無視するとして、勢いよく燃焼を続けるには、いくつか他の燃料が必要であると思う。

1 蓄積し分類網化された知識群(データ、情報、知識、知恵、量→質の変化性
質)
2 記憶術、発想術、構成術、再生産術など思考のノウハウ
3 自己効力感(やる気)、習慣化、儀式化された身体性のノウハウ

など。

1については、現在までの知識の蓄積の状況なので、「仕事術」のアプローチは2や3の工夫ということになるのではないかと思う。

発想術、情報活用術、創造学の多くは、2のテーマについて扱っている。アイデアの出し方、まとめ方、表現の仕方など。

・発想の刺激を作り出す(考え方やツールを使って)
・メモする(ポストイット、3色ボールペンなど)
・要約する
・ブックマークする
・記憶する
・文書化(一枚企画書など)
・プレゼンの仕方

収集した情報や考えたことを何らかの(中間)アウトプットとして表出せよというのが、この手の本の大意であると思った。アウトプットを残すことで、自分や他人が、それに刺激を受けたり、再利用することで生産性が高まるという考え方だ。私は自論でこれらを「情報サブアセンブリ」の技術と定義してみた。(過去記事参照)

これに対して、時間管理や生産管理系のマネージャー本、心得本は、3についての本である。時間をうまく使え、早起きせよ、ポジティブ思考でいけ、など。こちらでは、重要なのは、モチベーションであり、その向かう先は「ベストプラクティス行動の習慣化」ということかなと考えた。

例えば目新しいブレインストーミングの方法を使って、特定の仕事の特定の行動だけを強化するより、日々の行動のやる気を起こさせ、習慣としてルーチンワークに取り込む改善の方が、個人やチームの生産性に大きく寄与する。生産性向上の取り組みを一時的な実験、三日坊主に終わらせない着床の技術こそ重要だと思う。

そして内的効率を高めただけでは不足であり、次に外的効率が重要であると考えました。

(2)外的効率 他者から見た効率

勢いよくエンジンを燃やし、車軸を回転させることができても、組織の歯車、社会の歯車とつながりを持ち、軸の向き合いや歯の数がマッチしていなければ、アウトプットがでない。

社会的評価軸で評価されるもの、自己または他者の知識と相乗するものを生み出さないと、仕事をしたことにならない、ということであり、再利用することのできる粒度の揃ったアウトプットでなければ、知識の再生産の螺旋プロセス(SCEI、野中)を上手に向上させることにつながらない、ということであろう。

自分的には頑張ったし、膨大なアウトプットも出したのだけれど、要件を満たしていなかった、だとか、報告や連絡などコミュニケーション上の問題により、成果が過小評価されてしまったという失敗は、外的効率の失敗だと思う。

■アウトプットとモチベーション、ITによる支援の位置づけ

内外ふたつの効率をベン図で書くと、中央で重なる領域に、「アウトプット」という要素が浮かぶ。内的効率の上ではアウトプットは、情報のサブアセンブリなのであり、外的効率の上では、社会的評価の対象となる、移転応用可能な形式知である、と考えた。

・アウトプット、サブアセンブリ、非マルコフ、Blogの流行の秘密
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/000529.html

ふたつの種類のアウトプットを生産するための、燃料もしくは円滑油として、情動があり、ビジネス一般世界でいうところの「モチベーション」なのだと思う。仕事もプロジェクトも、知だけでなく「血」の通った人間が通過点のひとつとして参加する交差点みたいなもの。そこには、さまざまな思いが交錯する。その情動の物語を、いかにドラマティックに演出できるか、が仕事術の語るテーマなのではないか、と思った。

読んだ本の多くはアナログ系の話が多かったが、ITは、このアウトプットとモチベーションの原理を働かせる新しいタイプの刺激と道具をたくさん備えていると考える。

それは検索性の高さであったり、膨大な情報量のストレージであったり、情報蓄積から相関や法則を簡単に発見するアルゴリズムのこと。あるいは、情報モニタリングを精神的、肉体的な負荷ゼロで実現する情報システム(アラート型監視システムやエージェントソフトウェア)であったり、時空を超えて他者とコラボレーションを行うコミュニケーション機能であったりする、と考える。

ネットワークやコミュニティを駆使した新しいタイプの仕事術は、まだツール紹介にとどまりがちで、体系化されていないと思う。10年経過してもまだ役立つようなデジタルのノウハウのある仕事術本を探しているけれどみつかっていない。

何か良い本があったら教えてください。

#ここから宣伝。

私の会社が企業研修として展開している情報活用術セミナーは上記の考え方のもとに構成しています。全体を通して言いたいのは、完璧でなくとも中間部品のアウトプットを量産する習慣の有効性と、情報探索プロセスを情動の物語ととらえ、それを促進する支援ツールとしてのソフトウェアを使うといいのではないか?ということ。お問い合わせは橋本までぜひ。

Posted by daiya at 23:59 | Comments (1) | TrackBack

2004年02月12日

速読・速解の技術―やっぱり使える「ポスト・イット」!!

・速読・速解の技術―やっぱり使える「ポスト・イット」!!
480471636X.09.MZZZZZZZ2.jpg

■忙しい人のためのアウトプット指向情報術

今私のテーマは、仕事術。特に殺人的に多忙な生活を送りながら、効率的に大量の仕事をこなしている人のノウハウや仕事観を知るために、10冊ばかりそれっぽい本を買い込んで、読んだ本の一冊。テレビで活躍する経済キャスター西村晃氏の仕事術の本。この人は、この5年余りで60冊以上を出版している。

相当忙しいらしい。年間300回以上の講演(ほぼ毎日か)、10本以上の雑誌連載、月10冊の単行本と30冊の雑誌を読み、新聞は3紙を毎日読みながら、トレンドを分析してコメントする。年間で200日はホテル宿泊だそうだ。

この人の仕事術は徹底的にキーワード指向である。大量の情報の中から、キーワードを素早く発見し、ポストイットに書き込みを行う。キーワード探しのノウハウは非常に参考になる。本の最初の100ページに集中することが多いとか、カッコとアルファベットを見逃すな、「しかし」「だが」「けれども」などの接続詞前後を見よ、など。そういわれてみれば、そのとおりだ。

そして、ポストイットに、見つけたキーワードや、思いついたことを書き出して、文章作成時にそれらを並べて記事化せよ、というのが著者の仕事術である。この人も、情報収集においては、とにかく不要を捨てる部分を意識している。面白くない本は最後まで読むな、とか、とりあえず気になる書籍は買っておけ、積んでおけ、ページは破け、など。

3色ボールペンをこの人も使っている。ただ、以前紹介した本のやりかたと違って、ポジティブなことを赤、ネガティブを青、普通を黒で書くというもの。緑は使われない。実は、私も3色ボールペンは本に影響されて、すっかり信者になってしまった。百円ショップで4色ボールペンをみつけたのでまとめ買いし、すべてのボールペンを4色化しようとしているくらいだ。これは今後もずっと続けそうな習慣。

この本、タイトルの「速読」に期待するとハズレの本である。スキルとしての速読術向上の話はほとんどでてこない。だが、この人のやり方は一理ある。この本が述べているのは、速読ではないのだが、読む、まとめる、書くという3段階のプロセス全体を高速化するノウハウなのだと感じた。

この本は書いた人も忙しかったのだろうと感じられるくらい、早く読める本。電車の片道60分で読めてしまった。

■大量の情報を活用するための3要素?

ここからは私が読んで考えたこと。10冊の仕事術の本を読んで、メタレベルでの共通点を洗い出そうとしている。中間報告。

大量のメディア(書籍や雑誌)に触れて、必要な情報を取捨選択するというタスクには3つの要素があるような気がする。

本であれば、内容を読んで、気になる部分に注釈する(栞、印、折り曲げ含む)。そして、アウトプットを作る際には、それらの注釈の位置や種類(ナビゲーション)を発見して、役立てる。

1 情報ソース
   本のテキストそのもの

2 アノテーション(注釈)
   栞、印、折り曲げ、書き込み、ポストイット

3 ナビゲーション
   栞、印、折り曲げ、ポストイットの位置、書き込みの色など。重要度や分類を示すものもある。

3色ボールペンもポストイットも、そしてその他の情報術の多くも、これらの要素の工夫であると言えるのではないか、と仮説を立てている。他にも幾つか、仕事術本を読みながら、理論を考えているので、またこのブログでまとめてみたいと思う次第。


Posted by daiya at 23:59 | Comments (1) | TrackBack

2004年02月11日

大人のための文章法

大人のための文章法
4047041513.09.MZZZZZZZ.jpg

今、一番欲しいスキルは、考えていることをもっと短い時間で文章化する能力である。願わくば、誰にでも分かりやすく書く能力である。

超本格会議で私は、自分の書く速度を計測した実験の成果をお話した。商業媒体への完成原稿の作成能力は、私の場合は1時間に1200字から1400字程度。原稿用紙で1時間に3,4枚といったレベル。1日ではその10倍強くらいだろうか。もちろん中身にもよるし、テーマと勢いがあればその数倍で書ける時もある。平均すればの話。

会議に参加していたプロのライターの方々から休み時間に「私は1日4万字(原稿用紙100枚)くらい書ける」と教えてもらった。なるほど、文章の作成速度にはだいぶ個人差があるらしい。

■なんでこの人は年間50冊も出版できるのか?

著者は精神科医で、受験と学習術のカリスマライターとして出版界に登場し、年間50冊のペースで本を出す人である。ハズレも少なくないらしいのだが、数十万部のベストセラーを何冊も書いており、熱烈なファンも多い。「書く」を生業にするという点では、著者は大成功者だ。

アマゾンのユーザレビューに失望の書き込みが散見されるのであるが、この本にはタイトルから期待する、目のの覚めるような文章術や技法はこれといって紹介されていない。プロットをしっかり考えてから、とにかくいっぱい書け、書かねばならない状況になれば書ける、みたいなノリである。

だが、この本は役に立たない、面白くないか?というと、そうでもない。書店で立ち読みしていた段階で既に、ノウハウに目新しさがないことは気がついていた。それでも買って読んだ私にとって、参考になったポイントを書いてみる。

まず、作者の文体である。書く文章そのものに量産できる秘密があるのではないか、と思っていた。著者は1日原稿用紙1000枚を著述するという。驚異的だ。私がこの本の文体や流れを見て、その秘密と理解したのは次の要素である。

・自明に思えることもすべて説明する
 (「もともと私の話は説明が長いようだ」)
・説明に論拠を多く明示する(特に体験、事例の多さが目立つ)
・論理展開に跳躍がない
・主語、述語や言葉の省略が少ない
・幾つかのパターン化されたロジックの多用

自分の文章は文豪のような名文ではないと本人も述べている。

著者の文章は、少々、冗長に思えるのだけれど、ベストセラー作家であることを考えれば、冗長と感じる私の感性の方が市場ニーズ的には間違っていて、著者の方が恐らく正しいのだ。名文ではないが、商業レベルでマスマーケット向けに書く文体としては、このあたりが適切だという按配が著者の文章から分かる。

■著者の自己分析と戦略開示の終盤が面白い

一般的な心構え論の多い中盤まではともかく、終章の「終章 書ける人間が生き残る時代」は個人的には強烈に面白かった。なにしろ見出しに「量産することと市場の評価」「和田秀樹は生き残れるか?」という題が並ぶ。クライマックスなので中身は引用したりしないが、つまり、この著者は自分のやり方のメリット、デメリット、批判のすべてを、完全に認識している人だということが最後に分かる。著者の悩みと、なぜ今の方針を取るのかの解説は人間的で面白い。著者は精神科医ということもあり自己分析にも長けている。

味のある文体で売る作家になりたいのであれば、この本は役に立たないと思う。伝わる文章、売れる文章で、商業媒体に物を書く人や、指示を明文化して周囲に伝える必要のあるマネージャーには、入門書として役に立つ本だと思う。

Posted by daiya at 23:59 | Comments (0)

2004年02月10日

「精霊の王」、「古事記の原風景」

建国記念日的な2つの書評。

「聖は性なり、然るに生なり」というページがある。いや、先ほど確認したらサイトが消えていたので、あったというべきか。Webアーカイブのサービス上にコピーが残っていたので、変則的だが、そちらへリンクしてみる。

・「聖は性なり、然るに生なり 祭りと性神探訪」
http://web.archive.org/web/20030619144422/www.os.rim.or.jp/~charan/seitan-index.htm

民俗学研究のサイトで、作者の方は、日本全国の性神について実地で調べていた。日本の神社や祠の御神体が、このように男性や女性の性器をかたどったものであるケースはまったく珍しくない。ほとんどの性神は、記紀(古事記、日本書紀)に現れる著名な神社の神々よりも、遥かに古い起源を持つ土着の神々である。だが、その実態はほとんど分かっていない。

以前、私がインドネシアのバリ島へ旅行したときに撮影した写真がある。名前を忘れてしまったが、洞窟の遺跡で最奥に祭られているのはこんな御神体であった。南方系の民族も日本に流れてきたらしいので、何かつながりのある神かもしれない、と思った。

bali_0002_small.JPGbali_0003_small.JPG

■精霊の王

宗教学者で思想家、中沢新一の近著「精霊の王」は、石の性神「シャグジ」をてがかりに、記紀以前の古層の神々を掘り起こし、日本人の精神史に新たな視点を持ち込む本である。

・精霊の王
4062118505.09.MZZZZZZZ.jpg

東京にも石神井(しゃくじい)という地名がある。これは諏訪大社の祭神「ミシャグチ」に由来すると言われる。諏訪大社は表向きは記紀の世の神々である、建御名方命・八坂刀売命の二人を祭っているが、それ以前の古いミシャグチ信仰も残っている。この二重性は、全国でよく見られる。

・参考:漫画「石神伝説」
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4160900232/daiya0b-22/
大和、熊野、常陸…霊石の力を解き放ち、各地で惨劇を巻き起こす白鳥の狙いは現代版・国生み神話だった。

記紀の神々が祭神と表書きに書かれているのに、御神体は性神の形であったり、敷地内に別の祠があるような例だ。この本で語られるのは、まず、この二重性である。これは権力者の持ち込んだ天皇系の神々が、土着の古い神々を奥へ追いやった歴史の構造である。

だが、この古い神々、追いやられはしたものの、民間信仰では、その後も長く祭られてきた。石器時代からの数万年間、信仰の拠り所となっていた、その豊穣な力は、決して失われたわけではないと、いう。

著者は、この二重性が日本人の精神形成に与えた影響を、今作でもトポロジー論で、見事に説明して見せた。表の神に対して、宿神(シャグジ)を「後戸」の神と定義する。シャグジは、神話学の言葉で、永遠に循環する神の世の時間感覚を表す「ドリームタイム」の世界から、表の神に生命力を照射する力の源である、とし、この構造の生成とはたらきを、説明するのが、この本の大意である。

中沢新一は、丁寧に古い資料を紐解き、その新たな思想を、鮮やかに裏付けていく。カイエソバージュでも同種のテーマが論じられたが、トポロジー論を前面に打ち出すスタイルのせいで、とかく形而上学的になりがちだった。だが、この本では、著者は膨大な量のフィールドワークと古文書研究により、論拠を多数用意して、丁寧に語り、今までに、ないほどの説得力ある立論に成功している。

著者も幼少の頃よりの関心を遂にまとめることができたという集大成感が、行間ににじみ出ている。この人の研究人生の中での記念碑的大傑作と呼んで良さそうだ。民俗学、人類学、構造主義に関心のある人ならば、夢中になること請け合いの一冊。

・関連:同じ著者のカイエソバージュ「神の発明」の過去に書いた書評
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/000314.html
今日の書評だけでは舌足らずかもしれません。気になった方はこちらもどうぞ。

・私の好きな漫画たち
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/000741.html
上位3位は記紀をテーマにしています。漫画で興味を持ちたい方はこちらの書評もどうぞ。


■古事記の世界の写真集

・古事記の原風景―神々が宿る悠久の大地
4054023223.09.MZZZZZZZ.jpg


素晴らしい!。

古事記の物語の要約とともに、日本の幻想的な風景や美術が並べられたカラー写真集。イザナギが禊をした稲佐の浜、天岩戸を演じる高千穂神楽、舞台となった天安河原、出雲大社、熊野の深い森。すべてのページに荘厳で、静謐な原風景が広がる。枕元に「精霊の王」と並べて交互に読んでいたら、私自身がドリームタイムに吸い込まれそうだった。

こういった写真集で思い出したのは、2000年に休刊になってしまった写真誌「月刊太陽」のこと。

月刊太陽は、写真のクオリティも文章も超一流だった。日本の雑誌史に残る、指折りの名誌だったのではないかと私は考えている。日本の写真に関しては「ナショナルジオグラフィック」も太陽には及ばないだろう。気になるテーマのバックナンバーが書店があると、入手している。

・平凡社 月刊太陽
http://www.heibonsha.co.jp/catalogue/exec/query.cgi?series=taiyo

(写真集は書評が難しいことに書きながら気がつく)

Posted by daiya at 23:59 | Comments (0)

2004年02月09日

記憶力を高める50の方法

・記憶力を高める50の方法
4584159696.09.MZZZZZZZ.jpg

医学博士で脳科学者の権威が書いた一般向けの記憶術のノウハウ本。理論から実践までを平易な言葉で、まとめている。

■恥をかく、汗をかく、字をかく、で記憶する

著者は、「3かく」が記憶に役立つと述べている。「恥をかく」「汗をかく」「字をかく」だそうだ。自分にそのようにして記憶された知識があるかどうか振り返ってみる。あるあるあるある

昨年の赤恥な思い出。ネットエイジの西川さんを中心に、あるテーマで新規ビジネスのアイデアだし。私は「そうすると粗利の高いビジネスになりますね」と発言した。一同、「ソリ???」。一瞬の沈黙の後、「ああ、そういういい間違えってあるよね」と笑い。そう、私は「アラリ」を「ソリ」と覚えてしまっていた。(言い訳になるが「アラリ」という読み方は知っていたのだけれど)、本を読む際に心の中でなぜか「ソリ」と繰り返している間に間違って記憶してしまった。

もうひとつ、ついでに青恥の披露。私は神奈川県藤沢市に住んでいる。東海道線で渋谷・表参道まで毎日往復3時間近くかけて通勤している。都内と藤沢の往復の中で、学生時代から数えると何十回となく終電を寝過ごして帰れなくなることがあった。学生の頃の最長記録は、平塚だった。電車で数駅なのでたいしたことないだろうと、深夜12時から私は徒歩で藤沢まで歩いた。ところが実はこれ大変で、なんと15キロもあることを身をもって知った。真夏だったので汗をかきまくりながら深夜3時に帰宅した。

社会人になってからは長距離の寝過ごしも少なくなったが、1ヶ月くらい前に、最長記録を更新した。今度はほとんど観光地の「大磯」までいってしまったのだ。歩いて帰れないことはさすがに分かったので、タクシーで6000円かけて帰宅。交通費清算できないので、痛い出費。

・粗利はアラリであること
・平塚ー藤沢は15キロで歩くとどれくらい大変かということ
・深夜タクシーで帰ると大磯ー藤沢間は6000円であること

この3つの情報を私は忘れることがないと思う。

恥と汗の記憶効果はすばらしい。でも、意図的にやりたいとは思えない。

#パソコンを使って文章を作ってばかりなので「字をかく」の経験は該当なし。

■記憶の理論のオンパレード

著者は記憶の研究について基礎から一般向けに整理してくれる。

陳述的記憶と手続き記憶に大きく大別され、それぞれが、さらに細かな記憶の種類に分類できる。脳科学や認知心理学の本にも同じような記述がある一般論であるが、平易な分かりやすいことばで総括していて読みやすい。記憶に残りやすい。

陳述的記憶
  エピソード記憶 物語化された記憶
  意味記憶 記号と意味

手続き的記憶
  条件反射 パブロフの犬のように刺激に反応する記憶
  熟練技能 自転車の乗り方や楽器演奏の技術
  認知技能 スポーツやゲームなど半分無意識にある記憶

2日経過すると、70%を忘れてしまうという有名なエビングハウスの忘却曲線の話。身体の部位と脳の特定の部位は、対応関係を持っていて、右手親指はここ、眼はここという具合に地図に描くことができるというペンフィールドのマップの話。

脳科学の専門書を読まなくても、記憶の向上に必要な脳の概要理解と、ノウハウが50の章から学べるように構成されている。

■語呂あわせやアイドルポスター?裏技から生活習慣までカバー

奇想天外でバカげていて性的な意味を持つ語呂あわせがいいとか、アイドルのポスターのバストなど、気になる部分にメモを貼り付けて眺めると忘れないとか、そういった裏技的な実践ノウハウも多数紹介される。

医者の知識を活かして、栄養や睡眠との関係を論じ、記憶力を高める食事や睡眠の方法まで、アドバイスがある。一夜漬けの可否など、読んでいると学生時代を思い出してしまう。大人になってから、記憶力を試されることが少なくなったが、知的生産性のベース部分で、どれだけの量を記憶し、保持し、想起できるかの能力は、仕事の差に少なくない影響を与えているに違いないと感じた。

この本、一言で形容すると、「テレビの生活ノウハウ番組「あるある大辞典」の記憶力増強特集を5本くらい一遍に見たような読後感の得られる本」、という感じだ。(分かってもらえるだろうか?。)

■脳科学はどう実用されるのか?気になったテレビ番組と映画

記憶といえば、正月にCSのディスカバリチャンネルで興味深い番組を観た。

・サヴァン症候群と脳の不思議
http://japan.discovery.com/series/serintro.php?id=318

サヴァン症候群という珍しい障害がある。世界でも150人程度しかいないらしいが、彼らは知的障害を持っていると同時に驚異的な記憶力や計算力を持っている。何千年分の年表を暗記し、日付を言えば即座に曜日を答えることができたり(計算しないと無理)、ネットの経路探索のように、道路網や鉄道網の地図を暗記しており、自在に最短経路をはじき出すことができる。見たままを写真のように精確に絵に描く患者もいる。

サヴァン症候群の患者は、脳の一部が損傷している代わりに、別の部位が異常に発達してしまった人たちであるらしい。稀にだが、一般人でも事故などを機に、通常の判断能力と同時にカレンダー計算能力などを持ってしまう人がいるという。

この番組では、実際の患者のドキュメンタリ部分も驚きだったが、後半で研究者の博士が、健常者の左脳に一定時間電極を取り付け、電気刺激を与えて不活性化することで、右脳を活性化させる実験もさらに驚いた。なんと、人為的な刺激を与えるだけで、計算能力が高まったり、絵が上手になったりするのだ。

脳科学は今までは脳の中身を分析するばかりだったが、未来の脳科学は驚異的な記憶力を作り出したり、天才を人為的に生み出す学問に変化していくのではないか?と予感した。

遺伝子操作による天才量産よりも、明るい考え方かもしれない。

遺伝子選別による未来社会の恐怖をドラマティックに描いた映画「ガタカ」という名作があるけれど

・ガタカ
B00006S27K.09.MZZZZZZZ.jpg

こういう世界になったらたまらない。それに、やっぱり、子孫だけでなくて、私たち自身がその科学の便利さを体験してみたいですからね。

Posted by daiya at 23:59 | Comments (0) | TrackBack

2004年02月08日

「わかる」とはどういうことか―認識の脳科学

・「わかる」とはどういうことか―認識の脳科学
4480059393.09.MZZZZZZZ.jpg

■わかる?

個人でも企業でも、コミュニケーションにおいて「わかる」ということが、すべての基本にある価値ではないかと思う。「わからない」ものは面白くないし、使うことができない。

学校教育は、学年を追うごとに学問の内容が高度で複雑になっていく。前の学年で「わかる」ことを部品にして、難しいことを構成していく。このやり方にも一理ある。やさしいことを組み合わせて難しいことを語っていく。

しかし、この「わかる」ことの積み木方式では、常にわからないことがある。小学生は中学生の内容がわからない。高校生は大学生の内容がわからない。そして大学生は社会人の内容がわからない。社会人は今度は専門家の内容がわからない。

中学生の頃、理科の教師が言った言葉がずっと記憶に残っている。「君たちは大人になったら答えのない問題とぶつかるようになる。そういう問題を解けることが大切だよ」。正解のある練習問題と試験の毎日に、私もはやく大人になって、そういう問題と取り組みたいものだと思っていた。

大人になったら、本当に答えのない問題ばかりだった。学校教育的には、「わからない」ことだらけだが、「わかる」には他のパターンが、たくさんあるのだと漠然と知ったが、どういうパターンなのか、幾つあるのか、モヤモヤしていた。

この本は、脳を専門とする医学博士が、わかることの意味を解説する本である。私のモヤモヤに答えを与え、わかった気がした本。

■わかるの種類と、大きな理解

まず理解の前提となる認知や記憶のメカニズムも詳しく語られる。実はこの部分が最もデータも多くて、参考になる部分と感じた。そして、この知識の上に、わかることの説明が構築されていく。

この本は、「わかる」には幾つかの種類があるとして次のように分類している。

・全体像が「わかる」
・整理すると「わかる」
・筋が通ると「わかる」
・空間関係が「わかる」
・仕組みが「わかる」
・規則に合えば「わかる」

著者は脳が専門なので、上記の分類は恣意的ではなく、脳の機能にもとづいた分類に近いようだ。

例えば、大脳に障害が起きた人の中には、線で書いた立方体が平面的にしか見えず、描くことができないケースのあることなど、脳の機能不全によって特定の理解が困難になる例が挙げられている。このリストは、情報システムの設計や、データの可視化、わかりやすい文書の作成など、今の自分の仕事に使えそうだと思った。

著者が本当に伝えたかったのは最終章の「より深く大きくわかるために」だろうと思う。「わかる」にも水準があるというテーマで、著者の自論が展開される。大局を理解したり、深く物事を知ったり、悟ったりという話。

・大きな意味と小さな意味
・浅い理解と深い理解
・重ね合わせ的理解と発見的理解

この本はノウハウ本ではないので、わかりやすくするにはどうしたらよいかという話はあまりでてこない。タイトルどおり、わかるの意味が知りたい人に、専門家が一般向けに書いた入門書。

■文章の簡単化の技術「よめるどっとこむ」

このサーバの同居人のshimaさんは、わかるの重要性に注目して、オンラインの文書をわかりやすくする技術を大学研究している。(春からの海外留学おめでとうございます。)
Webのニュースに、ルビを振る。マウスを単語の上に乗せると、コミュニティ形式で編纂する辞書プロジェクト「WikiPedia」の定義データを引っ張ってきて、ポップアップ表示する。

よめるどっとこむ(2週間限定公開)
http://www.yomeru.com/
yomerudotcom01.JPG

・本格会議のために作成してもらったプレゼン資料
Download file

・過去関連記事:テキスト簡単化と図表化のテクノロジー
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/000692.html

現在2週間の実験公開中で、読者が読んでわかりやすいと感じるかどうかの感性評価を収集している。大人はもちろん、就学年齢のお子さんのいる方は、アンケートにご協力してあげてください。

■外来語言い換えのその後

私も以前、そういえば、こんな記事とソフトを書いた。国立国語研究所の外来語言い換えデータを使って、任意のテキストを、わかりやすく変換するプログラムの話。

・外来語言い換えプログラムとVBScriptのススメ
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/000595.html

それで、この記事を書いた直後に、


・外来語をルビ振ってみる
〜分かりにくい外来語を分かりやすくするための表現の工夫〜
http://kudokugoya.net/gairaigo/index.jsp

「外来語言い換えプログラムとVBScriptのススメ」に刺激を受けて、「外来語に
ルビ振りする」ものを作ってみました。↑のURLがそれです。

というメールを読者の方から頂いていた。ご紹介するのが大変遅れてすみません。

自分の記事が誰かに伝わって、さらに高度なプログラムを作ってくださる方がいるなんて、感動。

Posted by daiya at 23:59 | Comments (0) | TrackBack

2004年02月07日

インフォアーツ論―ネットワーク的知性とはなにか?

・インフォアーツ論―ネットワーク的知性とはなにか?
4896916956.09.MZZZZZZZ.jpg

■鋭い洞察と未来への提案

素晴らしい洞察。こんな本を1年間見つけられなかったのが悔しい。

著者は國學院大學教授の社会学者。社会学の老舗サイトのソキウスを1995年から主宰している。この本は、インターネットのユーザ像を社会学、心理学の観点から分析し、現代人のネットに対する偏った関わり方の問題提起をする。そして、「インフォアーツ」(ネットワーカー的情報資質、または情報学芸力)という資質を育てる教育を提案する本。

・ソキウス
http://www.socius.jp/

最初は、若い世代のインターネットユーザの無軌道ぶりを、ついていけない世代の権威が、ぼやき、説教する本なのではないかと疑った。実際、内容はオヤジの説教スタイルなのではあるが、説得力ある、感動的な説教を聴いた気がした。

社会学、心理学の専門知識を使って丁寧にネットユーザのネットへの関わり方を分析する。ユーザの心理や、実世界とオンラインの関係、陥りがちな偏向。著者は成熟した大人の視点でネット社会を俯瞰し、何が問題なのか、どうあるべきかと語る。いわゆる「べき論」本である。

■個人サイト論、ブログ論としても秀逸?

「個人サイトの社会的意義」という項で語られる、個人サイト論が面白い。人はなぜ個人サイトを立ち上げ、何を求めて日々運営を続けているのか?、

著者は個人サイトの本質を「自己言及の快感」と看破する。個人がWebで何かを語ろうとするなら、オーディエンスに対して、自分がなぜそのテーマを語る資格があるのかを説明しなければならない、という意識が働く。情報の送り手になることは自己をさらすことであり、パブリックな自己を役割として演じることが求められる。そして、人は「望ましい自己」の実現と維持に取り組み始める、というのが著者の見方である。

そして、ネット市民(ネチズン)を段階別に「社会的学習スタイル」「鏡像自己スタイル」「一般他者スタイル」「反省的自己スタイル」に分類し、ネット上の人格がこどもから大人へと成熟して行くものと論じる。(類型はデビス、バラン、マスコミュニケーションの4類型による。)

フリーでオープンなネットコミュニティ。著者は原始的民主主義の姿をそこにみて、その光と影を指摘する。「沈黙のらせん」「メディアホークス」「共有地の悲劇」「即興演奏されるニュース」「議題設定機能」「第3者効果」など、非常に興味深いキーワードや社会学の理論を使って、ネチズンの行動を読み解いて行く。

オンラインではなぜ意見が極端に偏るのか、流言が伝播しやすいのか、無意味なフレーム論争が起きやすいのか、理論的に説明してみせる。このあたりは、ネットコミュニティの主宰者や、ネットワーク的組織のリーダーならニヤリとする事例ばかりだし、まとめとして一読の価値があると思う。

■革新的な保守派の本

インターネット上のコミュニケーションでは、リアルの日常では起こらないようなトラブルがしばしば発生する。二つの世界は場の性質が異なっている。リアルな場は、参加者の社会的立場が似通っていたり、参加者の役割定義が明確な場である。

書き込んで逃げる=「書き得効果」は実世界ではありえない。ネットでは立場も役割も曖昧だし、演じている自己が実世界では発言しないような内容を発信する。リアルでは常識も立場もある先輩が、ネットではうかつな発言や行動をとってしまうこともある。

ネット上の人格の成長、社会性の獲得。ネットワーク社会人として必要な資質(インフォアーツ)があるはずだ、という著者の主張の中身は、単にネットのマナーや情報リテラシーが必要だと唱える人たちとは、異なる視点の問題提起である。

中盤以降は、著者によるネット社会の理想像が語られる。それを実現するには情報教育が重要という観点から、本のタイトルになっている「インフォアーツ」を育てる教育論となる。ネットに依存せず、バランスの良い情報収集や意思決定、コミュニケーションができる人間を育てるにはどうしたら良いか、という提案。

論が進むにつれ、説教臭さが増すことと、「インフォアーツ」の定義が概念レベルにとどまりがちで、私には分かりにくかった、という若干の不満はあるが、それは私が未熟だからかもしれない。理解不能な部分はあるものの、結局は夢中になって短時間で全体を通読した。

この著者は、進歩的考えを持っているけれど、本質は決して革新の人ではないと思う。むしろ、ネットの自由奔放さを伝統的価値に照らして批判する保守の人だと思う。しかし、聡明で成熟した保守の人であり、専門家として一流の分析をしていると感じる。読んでいて、反射的に、反発を感じるところも少なくなかったが、深い洞察力の持つ説得力にうならされた。書き込みだらけの一冊になってしまった。

インターネットを5年以上は使って情報発信やコミュニティに参加してきた人に特におすすめ。

参考URL:ソキウスより

・インターネット市民スタイル【知的作法編】
http://www.socius.jp/on/01.html

Posted by daiya at 23:59 | Comments (0) | TrackBack

2004年02月06日

オーバルリンクセミナー2004

ovallinktitle2004.jpg
2月21日 「次世代」がテーマのセミナーイベントがあります。主宰は、日経BP社の企画に始まり、独立発展しているオーバルリンクという、ホットな各界エキスパートのコミュニティ。

私は『コミュニティとメディアの可能性 』の部でパネリストとしてお話させていただきます。

この部の他のパネリストは、

・大和田龍夫(NTTコミュニケーション科学基礎研究所 社会情報研究部 進化システム研究グループ InterCommunications編集長)
・古川柳子(テレビ朝日編成制作局編成部デジタル編成担当部長)
・前田邦宏(ユニークアイディ代表取締役 関心空間の提供会社)

モデレータ:水島久光(東海大学文学部広報メディア学科助教授)

という顔ぶれ。広い分野でご活躍されている方々と、未来のコミュニティやメディアについて、意見交換させていただく予定です。ご興味のある方はぜひご参加をご検討ください。

「オーバルリンクセミナー2004」

■2004年 2月21日(土)

開場:12:30 開演:13:00 終演予定:17:00

会場:音楽の友ホール(地下鉄東西線 神楽坂駅下車 徒歩1分)
http://www.ongakunotomo.co.jp/hall/

参加費:一般 = 8,000円
 *参加の方全員に『 OVAL LINK MAG@GENE 01 樂校 』1冊を贈呈します。
  問い合わせ: OVAL LINK事務局

●趣旨

ネットワーク社会における最先端のコラボレーションを実践するビジネスコミュニティ「OVAL LINK」が主催する、ブロードバンドコンテンツ・コミュニティ・音楽と脳の関係…ジャンルを超えた新しい『智』の世界を体感できる次世代型セミナー。

●参加お申し込みは http://www.ovallink.jp/ まで

●セミナーの構成

『何故、OVAL LINK か?』

特異なビジネスコミュニティOVAL LINKの誕生をケーススタディとして、ネットコミュニティの今後を考える。

『音楽と脳のお話』
国内随一のフルート奏者であり、音楽療法・器楽演奏による脳の活性化に取り組んでいる木津芳夫氏(OVAL LINK会員)による演奏と、脳研究の最先端の成果をもとにしたパネルディスカッション。

『コミュニティとメディアの可能性 』
最先端からゲストをお招きし、ネットワーク社会に新たに生まれつつあるコミュニティとメディアの可能性について、その未来を摸索する。

ゲスト(敬称略):
・橋本大也(データセクション株式会社 代表取締役CEO)
・大和田龍夫(NTTコミュニケーション科学基礎研究所 社会情報研究部
       進化システム研究グループ)
・古川柳子(テレビ朝日編成制作局編成部デジタル編成担当部長)
モデレータ:水島久光(東海大学文学部広報メディア学科助教授 OVAL LINK会員)
OVAL LINKメンバー:前田邦宏(ユニークアイディ代表取締役 OVAL LINK理事)他

●オーバルリンクについて

 2002年12月、その革新的な試みが高く評価されながらも残念ながら休止に至ったネットコンテンツ『日経ブロードバンドビジネス・ラボ』に併設されていた読者メーリングリストのメンバーが自主的に設立した任意団体。参加者は大学教授・IT関係企業・メディア業界などそれぞれの分野の最先端に立つキスパートが中心。

「自立・分散・互恵」モットーとして、ネットワーク社会・コミュニティ・コンテンツを中心に「最先端の智」の交流・集積を目指すビジネスコミュニティを展開中。

※ご参考
・日経BP BizTech「あるビジネスコミュニティの誕生」
http://bizns.nikkeibp.co.jp/cgi-bin/search/bun.cgi?NP_BNO=%39%35%38%34%38&NP_BHTML=%62%75%6e%2d%73%61%6d%70%6c%65&NP_KKEY=%a5%d3%a5%b8%a5%cd%a5%b9%a5%b3%a5%df%a5%e5%a5%cb%a5%c6%a5%a3

・BizTechスペシャルWindows2000ソリューション
「いくつかのコミュニティの終わりと始まり」
http://premium.nikkeibp.co.jp/win2000/column/mizushima/030305/index.shtml

Posted by daiya at 23:59 | Comments (2) | TrackBack

2004年02月05日

成功者の告白 5年間の起業ノウハウを3時間で学べる物語

・成功者の告白 5年間の起業ノウハウを3時間で学べる物語
4062120569.09.MZZZZZZZ.jpg

■カリスママーケターに起きたこと

神田昌典氏はメタなマーケターだと常々思っている。中小企業経営者向けのベストセラー経営書を次々に世の中へ送り込み、有料会員サービスに何千社も囲い込んで、独自のカリスマ王国を打ち立てた。

・Almac.inc KandaMasanori.com
http://www.1almac.com/
神田氏のオフィシャルサイト

ポイントを明解に指摘する文章力のうまさ、中小企業経営者の心の機微を知り尽くしたツボを押さえたアドバイス、自己の成功体験と米国MBAのメソッドを融合し、誰にでも実践できる行動指針への落とし込み。この人はとにかくアタマがいい。マーケティング書籍という市場をメタにマーケティングする天才的嗅覚を備えている。時代の寵児として、これからどこまで走り続けるのだろうと注目していた。

しかし、昨年突然、神田王国に翳りが見えた。彼にとってドル箱であったはずの会員組織「顧客獲得実践会」のサービスを一方的に中止すると発表した。出す本も従来のマーケティング本ではなく精神性の高い本に変った。何があったのか、不思議だった。

この本は一部フィクションと断りつつも、本人を襲った実話の悲劇を綴っている。

私は、神田昌典氏とは面識がないが、元関係者の方が友人の周囲にいたりして、漏れ伝わることを幾つか知っている。神田氏を襲った深刻な悲劇のいくつかは本当のように思う。随分、苦労をされたようで、それを乗り越えての出版。今まで経営者を勇気付けてきたカリスマが、孤独な戦いを強いられていたことを知り、驚く。

■ますます深まる神田昌典氏に期待

私の周りにも神田氏の本の愛読者が多い。元実践会会員のベンチャー経営者も何人かいる。共通しているのは「ウマイ!」という評価だ。分かりやすく、自分にも手が届きそうなノウハウを、「ここだけの話」として開示する。ファンの多くは、ウマイ話がそのまま自社の経営に通用することはないという常識は知っている。神田氏が、経営者の聞きたいことをおいしく加工する技に長けている事実も認識しているはずだ。

だが、「だまされている」とか「リアリティがない」と感じるファンはほとんどいないと思う。売れる本の書き方にせよ、彼が教えるマーケティングメッセージの作り方や届け方は、確立されたものであり、否定できない説得力があるからだ。むしろ、そのメタな部分の能力は本物であるし、それこそ盗みたいと経営者の多くが思う。だから本が売れるのだと見ている。

大物コンサルタント、著名マーケターにありがちな宗教臭さが薄いのも、手に取りやすい理由だと感じる。今回の本にしても、どこまでが神田氏の演出でどこまでが真実なのか、分からないが、演出家としての誠実さはひしひしと伝わってくる。誠実なエンタテイナーでもあるのだ。手品を完璧に演じ、ネタバレはしない。不思議な人である。

と、真面目な神田ファンに怒られそうな書評を書いてしまった。が、私も買った本の数を数えたら随分なファンの一人である。メタマーケターとして、これからどんな展開で読者の経営者、起業家を楽しませてくれるのか、気になってしょうがない。

この本は、成功に向けて努力する人に必ず起こる、会社と家庭のバランスの崩壊や、ありがちな経営上のトラブルについて、神田氏の分身らしき男が、主役の起業家に向けて、「法則」として教える体裁の、経営小説である。読みやすく、ドラマとして面白い。

読んでの感想は一言。「土日は休みましょう」。できていない自分に反省。ゴシップ的関心で買ったのに面白い本で、深く考えさせられました。次の本も買おう。神田ファンならおすすめ。

参考:過去に書いた記事より

・60分間・企業ダントツ化プロジェクト 顧客感情をベースにした戦略構築法
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/000181.html

Posted by daiya at 23:59 | Comments (0) | TrackBack

2004年02月04日

ミシェル・フーコー

・ミシェル・フーコー 講談社現代新書
4061489895.09.MZZZZZZZ.jpg

政治専攻の学生時代にフーコーは夢中で読んだ。今もフーコーの考えたことの1%も理解できているとは思わないが、定期的に読みたくなる。この本は異能の哲学者ミシェル・フーコーの解説書。原典や位置づけを知っている読者向けに書かれた再入門書の趣き。

ITとの接点を無理やりこじつけようとしながら、読んだ。考えたこと。もし学校の試験でフーコー」について興味のあるところを中心にまとめなさい」と言われたら答案に書く内容を書いてみる。

■エピステメ

エピステメをどう訳すかは人によって異なるが、個人的にしっくりくるのが「視座」という訳。もしくは思考の台座。(この本では特に訳されていない)。

昔の「中国の百科事典」にはこんな動物の分類があったそうだ。

動物の分類:
 a.皇帝に属するもの
 b.芳香を放つもの
 c.飼いならされたもの
 d.乳呑み豚
 e.人魚
 f.お話に出てくるもの
 g.放し飼いの犬
 h.この分類自体に含まれるもの
 ...(以下略)

今の私たちからすると、これは分類とは思えないが当時の編集者や読者は、この分類で世界を見ていた。重複や矛盾、hなどはメタレベルの混乱さえ含んでいる。西欧においても17世紀頃までの自然を対象とした記述は、物事の類似や、印象、神話や昔話と結び付けられて語られた。観察、記録、寓話の混沌とした記述。それが自然を語るタブロー(表)だった。

1657年のヨンストンスの「四足獣の博物誌」は違うやり方をした。足が4本あるとか、夜行性だとか、30センチくらいだとか、草食だとか、動物の世界固有の要素に着目して、分類を行った。

18世紀、リンネが「記録すべきものは、数、形、比率、位置である」とし、動物の器官を構造と捉えた。眼に見えるものばかりだが、色彩、匂い、触覚などその他のものは排除される。伝説にどのように扱われるかは関係がない。4つの要素だけで世界を文節化する灰色の分類。博物学の始まり。

そして18世紀末になると、動物の諸器官の構造が織り成す機能、眼に見えない本質が記述の中心となる。表(タブロー)は系列(セリー)に置き換えられて、博物学が生物学へ進化した。

フーコーの言うエピステメは、それぞれの時代に生きる人々が、思考の外(フーコーの言葉では<外>の思考)にあるものとの関係性で、人間の思考が規定されているということだと思う。私たちは「中国の百科事典」の分類を笑うが、今の私たちの分類が数百年後、笑われないとも限らない。

フーコーは<外>の問題を言語や狂気、政治権力、セックスといった多面的な視点から分析して行く。一見、無関係そうに見える周辺的なそれらのテーマから、人間主体の本質、大きな哲学問題へと深く深く、切り込んでいくスリリングな語り。私がフーコーが好きな理由である。

<外>は、人間にとって見えず、思考不能で、永遠に到達できないものであるが、<外>と<内>が相互に影響しあう歴史の中で、エピステメという思考の台座を作り出す。この本ではその変化を「分解とずれの累積による一種のカタストロフィーを通して、トポロジカルな形態の変化、切断、異動」と説明している。

ITに絡めると、セマンティックWebの世界で重要視されている分野に「オントロジー」がある。オントロジーは、私は勝手に「概念のデータベース」と超訳して人に説明しているが、分類体系の記述をする情報技術である。

オントロジーの記述をXMLで行う技術はいくつもあり、標準化が進んできている。

・OWL
http://www.w3.org/TR/2003/CR-owl-features-20030818/
概念関係の記述方式
・TopicMap
http://www.topicmaps.org/
これも同じく。
・CYC
http://www.cyc.com/cyc/opencyc/overview
老舗オントロジー研究企業。6000概念のオントロジーがダウンロードできる。データセクション創業後、最初にやったのがこの無料公開のUpperClassの可視化でした。ちょっと懐かしい。

オントロジーはWeblogのRSSなどXMLメタデータの親玉みたいな存在であると思う。この出来次第で、セマンティックWebのその先の世界が変ってくると考える。セマンティックWebまでは、機械が読めるメタデータを作ろうというレベルなので、必ずしも普遍概念の体系を持つ必要はない。だから、技術分野の趨勢としては便宜的、簡易的、実用的な概念体系の記述方式が優先されている。

だが、それでは本質的な問題を先送りしているように見えなくもない。

オントロジー記述言語に交換(変換)機能を持たせて、ある分類とある分類を合体させたり、翻訳したりするとしても、それらを規定している普遍概念の存在や、それを規定する<外>がいつか露呈する。エピステメの問題を考える哲学者が、セマンティックWebやオントロジーの標準策定に、そろそろ必要となってきている気がした。

■パノプティコン

フーコーというと私は一番に連想するのがパノプティコンである。18世紀のジェレミー・ベンサムによって考案された「理想的な監獄建築」である。実際にはこれそのものは建設されていないと思う。

ドーナツ状の建物とドーナツの輪の中心に塔を配置する。ドーナツ状の建物は独房が分割配置されていて外周、内周どちらにも窓がある。塔にも監獄を監視するための窓がある。光がこの構造物の外側から入ると、逆光によって独房内の囚人のシルエットを中央塔の監視者は見ることができる。しかし、囚人は監視者を見ることができないようになっている。

囚人は個別化され互いに連絡できない。常に監視者から見られているのではないかと意識する。フーコーはパノプティコンのモデルを使って、権力がいかに効率よく影響力を発揮しているか、を語る。囚人たちは、見られているかもしれないという意識から、自分の精神の内面へ逃げ込む。権力との関係から、個人の内面=主体が発生する。

パノプティコンをインターネット(コミュニティ)と見ることは簡単であるし、現代の思想家も試している。監視社会とはいっても「ビッグブラザー」のように明示的に本当に監視する権力、余さず記録するモニタリング機構は必要ない。そんなコストは必要ないのだ。

見られているかもしれないという意識、内面にある監視の眼による自己監視の作用だけで、権力はフルに機能する。

この本の訳では、フーコーのいう「機械仕掛け」のポイントを3点にまとめている。

1 権力の行使が非常に経済的であること
2 権力が没個人化されていること
3 権力が自動的に作用すること

国家に限らず権力のネットワーク監視は進んでいる。インターネットは自由の象徴という時代も終わりつつあると、最近のニュースを見て感じる。むしろ、権力にとってインターネットは、パノプティコンとして機能するのではないかと思うくらいだ。

ただパノプティコンの考え方は、幾つかのアイデアを加えれば、ネットワーク上でのモラルを維持する仕組み、コミュニティの浄化機能として、活用することもできるのかもしれない。そんなことを考えた。


この本は、入門書ではなく、再入門書として要所がまとめられており、数時間くらいでフーコー思想の俯瞰をするのに良い本だなあと感じた。なお、今日のまとめ、要約は私の知っていることの要約であって、この本をそのまま要約していない。この本にはもっとまともにフーコーの体系を総合している。間違ったことを書いていても私の責任である。

Posted by daiya at 23:59 | Comments (0) | TrackBack

2004年02月03日

ザ・ビジョン 進むべき道は見えているか

・ザ・ビジョン 進むべき道は見えているか
4478732701.09.MZZZZZZZ.jpg

ちょっとベタだけれども良い本でした。今日はかなり純粋に書評。

■私のビジョン???

前の日曜日。妻が販売員を家に呼んだ。販売員は妻より幾つか年上の知的で上品な主婦。それなりの値段のする子供向け英語教材のプレゼンテーション。実物を見せながら物腰柔らかに、彼女の家での実体験を話してくれる。とても自然な会話のやりとりの中で進められるデモ。この人は売り込まずに売るプロだなと密かに関心する。教材も、確かに面白い内容なのだが...。

私の息子はまだ生後半年なので、まだ必要ないのではないか、と妻に素直に意見をする。すると「父親として子育てのビジョンって何?、どういう子供に育てたい?」と聞かれる。「ビジョン」か。そういえば...。

その2週間くらい前、営業の帰りに、大学のカフェに寄って、長話。尊敬する大先輩に経営と人生相談に乗ってもらう。そこでも「キャリアやビジョンをそろそろ考えた方がいいぞ」とアドバイスされたことを思い出す。その通りだなと感じたばかりだった。

仕事を始めてからの自分を振り返ると、興味の赴くままに、やりたいことをやってきた。ライター、Webプロデュース、ディレクター、コンサルタント、リサーチャ、会社経営。たまに失敗はあっても、達成感はあったし、今の仕事も楽しい。

でも、漠然とこれまでのやり方のまずさも分かってきた。やりたいことをやる、では、手を広げすぎて、将来のビジョンへ収束していかないのだ。目の前のことに夢中になる自分の性格は、木を見て森を見ず、なことになる失敗も多い。

自分にビジョンがないわけではない。明文化して一晩でも語れるビジョンはあるつもりだった。でも、二人に指摘されると、私のビジョン、まだ何か足りないのではないかと思った。

そこへ、この本。

■ビジョンを作りたい人向けの本

会社の経営ビジョンといえば、「ビジョナリーカンパニー」が有名だ。昔読んで感動した。

・ビジョナリー・カンパニー ― 時代を超える生存の原則
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4822740315/daiya0b-22/

「時代を超え際立った存在であり続ける企業18社を選び出し、設立以来現在に至る歴史全体を徹底的に調査、ライバル企業と比較検討し、永続の源泉を「基本理念」にあると解き明かす。」

100年以上繁栄を続けるような成功企業を、徹底的に歴史分析して、帰納的に、企業のあるべきビジョンを浮き彫りにしていく。経営を科学した名著であるが、「ビジョナリーカンパニー」は飽くまで過去の分析中心であって、ビジョンとは何か、どうビジョンを作り、共有し、実現して行くべきかの実践部分は、私には具体イメージが湧かなかった。

「ザ・ビジョン」は経営や家庭におけるビジョンがテーマの小説である。概要はアマゾンの書評を借りると以下のような概要。


離婚した専業主婦のエリーは保険会社の経理の仕事につく。その会社では毎朝、ジムという人物からeメールが入っていて…。真のビジョンに不可欠な要素と、それを組織に根づかせるためにすべきことを説くビジネス・ストーリー。

著者ケン・ブランチャードは、ベストセラー「一分間マネージャー」を含む30冊を出版し、世界で合計1300万部を記録。読みやすい文章と明解な論理で、ビジョンの要素、役割、立て方、共有し実現する方法論が、エリーとジムの会話を通じて明らかにされていく。

軽くて読みやすく、考えをまとめるきっかけになった。この本を読んだからといって、即ビジョナリー、名経営者になれるわけではないのだけれど、ビジョン作成時に必要な知識のまとめとして価値があるなと思った。なぜ自分のビジョンがうまく機能しないのかも分かった。

会社やプロジェクトのビジョン、ミッションステートメントを作ろうとしている人に特におすすめ。これで額縁に収まって終わりの美辞麗句のビジョンは書かずに済む、と思う。

・KenBlanchard.com
http://kenblanchard.com/
著者のオフィシャルサイト

Posted by daiya at 23:59 | Comments (1)

2004年02月02日

腕時計コンピューティング10連発

■腕時計PC、ふたたび、みたび?

マイクロソフトが腕時計型の情報端末をリリースしたらしい。MSNのサービスと連動しており、ウォールストリート・ジャーナルやMSNBCのニュース、ESPNのスポーツ情報をFMラジオの隙間の帯域を使って受信するとのこと。おまけに、MSNメッセンジャーからのメッセージ受信やアウトルックのスケジュールとの連動もできるらしい。これは日本語版でたら買ってしまいそう。

・MSN Direct
msndbucket_watch.jpg

・MS、腕時計型の情報端末を発売
http://www.hotwired.co.jp/news/news/business/story/20040109103.html

腕時計型PCは以前より注目している。セイコーエプソンのクロノビットの発売時には調子に乗ってこんな広告対談記事にまで出てしまった。

・Chrono-bit
chronobit01.JPG

・Chrono-bit 最後の「奥の手的な端末」
ウェアラブルコンピュータへの第一歩-クロノビットの可能性
スペシャル対談 橋本大也 × 船田戦闘機
http://www.hotwired.co.jp/ad/chronobit2/

一番、使い込んだのはセイコーインスツルメンツのRuputerだった。専用OSだったが、PCとの連携がよくできており、フリーソフトも多数あって、1年くらいは使っていた。当時の解説コラム。これは本当に良かった。

・Ruputer
ruputer01.JPG

・モバイルからウェアラブルの時代へ(私の活用ノウハウ。2000年ごろの古い記事)
http://www.econavi.org/weblogue/webtra/hashimoto/36.html

・TIMEX DATALINK
timexdl_face_up.jpg

TIMEXは米国の閣僚や特殊部隊が使って話題になった腕時計である。PCとの連携がケーブルではなく、ディスプレイに表示される線上のパターンを、時計に読み取らせるという通信形式で斬新だった。

そろそろまた一本欲しくなってきた。腕時計はウェアラブルコンピューティングの装着場所として適切だと思う。デザイン性の高いものがないのがここまでの問題のような気がする。

今日は通信機能やコンピュータなどが搭載された腕時計PCのファッションショー。一言ずつ特徴のコメント。写真をクリックするとメーカーや販売サイトへ飛ぶ。

■世界の腕時計PC、通信機能搭載PCのファッションショー

・LAKS
lakswatch01.JPG

MP3プレイヤーとメモリーの搭載された腕時計。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

・Fossil Wrist Net Round
fossilwatch02.JPG

・Palm搭載腕時計「WRIST PDA」をFossilが発表
http://www.itmedia.co.jp/news/0211/19/nebt_22.html

PalmOS搭載の腕時計型PC。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

・リストカメラ WQV-1
wqv1_a.gif

カシオ。カメラつきの腕時計。その後、カメラ付携帯が普及して影が薄くなってしまった。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

・腕時計型MP3プレーヤー「リストオーディオプレーヤー WMP-1V」
wmp1v_a.gif

カシオ。MP3プレイヤー搭載の腕時計。このタイプは時計から伸びるイヤホンのコードが邪魔だなあと思う。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

・世界初GPS機能を内蔵したアウトドアウオッチ プロトレック
“サテライトナビ(SATELLITE NAVI)”
PRT-1GPJ
satellite_navi.gif

GPSの装着場所として腕というのは正しそう。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

・PowerDisk
powerdiskwatch_1l.jpg

USBメモリ搭載の腕時計。メモリ以外に特に機能はない。持ち運びのできるUSBメモリはよく使う。時計と一緒ならばなくさないのがポイントだと思う。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

・WatchPad
watchpadI2.jpg

IBM。Linux搭載の腕時計。プログラマなら開発しまくりで遊べるプラットフォーム。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

・腕時計型トランシーバー
watchtr01.JPG

通信距離は障害物のない見通しのよい場所では2.8〜3.2km程度。郊外で1〜2km、高速道路で500〜600m、市街地で100m〜400m程度とのこと。90グラムと軽い。2本で11,500円ととにかく安い。イベント用に買ってもいいかもしれないと思った。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

・米ウェリファイ・ワイヤレス、子供向け腕時計型GPS端末を市場投入
cosmicpurpleblue_big.jpg

子供にこの腕時計をもたせるとWebで居場所を追跡することができる。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

と、10連発のはずが10個以上あったけどまあいいか。みなさん、腕時計型PCってどう思います?

Posted by daiya at 23:59 | Comments (4) | TrackBack

2004年02月01日

犬は「びよ」と鳴いていた―日本語は擬音語・擬態語が面白い

犬は「びよ」と鳴いていた―日本語は擬音語・擬態語が面白い
4334031560.09.MZZZZZZZ.jpg

イヌが「わんわん」、ネコが「ニャーニャー」鳴く、擬音語。「バリバリの営業マン」「電子レンジでチンしておいて」という具合で使う擬態語。この本によると、英語では350種類しかないのに、日本語には1200以上あるとか、5倍も多いなどの調査結果が紹介されている。著者の調べによると、約半数は900年以上も永続する古い言葉であり、単なる流行語というわけではないらしい。

■この分野の日本の第一人者の書

この本の著者は、日本語における擬音語、擬態語の第一人者。辞書も出版している。

・暮らしのことば擬音・擬態語辞典
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4062653303/
擬音・擬態語2000語を集大成した、最大・最高・最新の擬音・擬態語辞典

時代によって、擬音語、擬態語の表現は変る例もあるそうで、江戸時代のイヌの鳴き声は「びよびよ」だったという例が、タイトルにもなっている。古い文献をたどりながら、多数の実例を挙げて、擬音語、擬態語がどう発生し、変化し、消滅して行くかの考察が重ねられる。現代の用法や流行ももちろん、解説されており、チン、ピンポン、ブーなど現代では電子音の擬態語が多いことなど、なるほど、と感心する。

・著者山口仲美氏のサイト
http://www.toshima.ne.jp/~yosh8091/index.html

著者のサイトには多数の論文が公開されており、特に以下の文章は、この本のリードとしてぴったりだ。

・擬音語・擬態語の変化(前編)
http://www.toshima.ne.jp/~yosh8091/ronbun2.html
・擬音語・擬態語の変化(後編)
http://www.toshima.ne.jp/~yosh8091/ronbun3.html

上記のコラムを読んでさらに知りたいと思う人にこの本、絶対におすすめである。雑誌から集めた擬音語、擬態語のパターン分析などは特に興味深く、これから流行る言葉を作ろうとするマーケターにも参考になる情報が多く書かれている。

■私の身の回りの擬音語、擬態語

擬態語で不思議に思っていたのが「ギャフン」である。「ギャフンと言わせてやる」という表現は普通に使うが、実際に負けて「ギャフン」と言う人などいないわけで、どういうことなんだろうと思っていた。私だけではなかったようだ。

・ギャフンの由来をおしえて!
http://homepage2.nifty.com/osiete/s450.htm

なるほど調べてみるものですね。

日常生活の中にも新しい擬態語、擬音語は頻出する。

・マターリ(2ちゃんねる?)

・するっとお見通しだ(ドラマ TRICK

・ざわわざわわ(森山良子楽曲:「さとうきび畑」)

・そうそう(夏川りみ楽曲:涙そうそう)

・感動して眼の幅涙ダー(友人の言、分かる気がするが...)

IT業界の職場でも独特の擬態語をよく使う。ざっと身の回りで使う例を思い出してみるだけでも、

「3Dでグリグリ動くやつを作ってくださいよ」(デザイナー)
「ゴリゴリ、プログラムのコードをゼロから書くのが好きで」(プログラマ)
「来週の原稿ですが、ここでサクっと書いちゃってもらえませんか?」(編集者)

など、日常的な言葉である。業界が違う人に前後の言葉を省略してしまうと、きっと伝わらないだろうが、逆に同じ業界内部では、この方が意味が活き活きと伝わるから不思議である。

■Webマーケティングと擬態語、擬音語

(Web)マーケティングの世界でもこの種の表現は、有効なはずだ。検証してみる。検索エンジンは、言葉の検索結果画面に広告枠を販売している。キーワードが広告枠なわけだ。

・Googleで「ピカピカ」で検索すると、


スーパークリーニングSet
しつこい汚れもこれ一本でOK
TV通販で人気の家庭用クリーナー
www.shopjapan.co.jp

というキーワード広告が見つかった。

「キラキラ」「ガンガン」だと、なぜか、


ドラゴンクエストV予約
古本市場で予約受付中!親子三代に
わたる感動の名作がPS2で復活
www.ubook.co.jp


という広告がでた。

カサカサ」など大人気で、


温泉で人気かかとクリーム
かかとのカサカサをツルツルに
かかと専用の角質柔軟クリーム
www.concierge-beauty.com/

パラフィンパック
自宅で簡単に手足のうるおいパック
一度使うと手放せませんよー
www.kyoto-wel.com/shop/S81131/

ゲルアンドゲルクリーム
乾燥する季節のお肌には保湿一番
プレゼント有・全国送料・消費税無料
sankoinc.com/

と3つも広告が表示される。

Webマーケターも、擬音語、擬態語を意識している証拠だ。焼肉屋の「ジュージュー」のように、擬音語、擬態語には、シズル感の演出効果があると思う。トラフィックを呼び込むキーワードとして、意外にまだ活用例の少ない盲点だったりするかもしれない。

キーワード広告こそひとつも出ていないけれど、「ビンビン」などすごく男らしい(笑)検索結果が出てくる。この種の商品には「ビンビン」は売れるキーワード広告枠かもしれない。

Googleのキーワード広告販売サイトでは、各キーワードの金銭的価値が調べられる。キーワードの人気に応じて入札が行われるので、広告的価値の高いキーワード、つまり、儲かるキーワードほど、高い数字になるはずだ。やってみるとこうなった。(費用/日に注目)

giongitai01.JPG

なるほど。擬音語、擬態語にも、商業価値の高低の差はだいぶ、あるみたいだ。もうひとつの広告代理店Overtureのツールでも、一般ユーザがどのくらい頻繁に各キーワードで検索を行うかがわかる。結果は次のようになった。

・Overtureキーワードツール
http://inventory.overture.com/d/searchinventory/suggestion/?mkt=jp

53518 ガンガン
1353 キラキラ
693 ピカピカ
591 ビンビン
63 カサカサ

総合的に見ると、ビンビンはユーザにあまり検索されない言葉らしい。その代わり、広告枠は安く買うことができる。ある種の商品を売るのであれば、もしかすると少数だが商品購入率の高い特定の層をサイトへ呼び込める有効なキーワードだったりするかもしれない。

でも、まだ有効性は良く分からない。Webにおける擬態語、擬音語の研究はこれからの分野だろう。

もう一度この本を違う視点で読み直して、擬態語、擬音語で一儲け、たくらんでみよう、かな?。

関連URL:

・英語表現事典 微妙なニュアンスを英語で言うと?
http://home.alc.co.jp/db/owa/s_kaydic?ctg_in=4

Posted by daiya at 23:59 | Comments (3) | TrackBack