2004年02月05日

成功者の告白 5年間の起業ノウハウを3時間で学べる物語このエントリーを含むはてなブックマークこのエントリーをはてなブックマークに追加


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・成功者の告白 5年間の起業ノウハウを3時間で学べる物語
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■カリスママーケターに起きたこと

神田昌典氏はメタなマーケターだと常々思っている。中小企業経営者向けのベストセラー経営書を次々に世の中へ送り込み、有料会員サービスに何千社も囲い込んで、独自のカリスマ王国を打ち立てた。

・Almac.inc KandaMasanori.com
http://www.1almac.com/
神田氏のオフィシャルサイト

ポイントを明解に指摘する文章力のうまさ、中小企業経営者の心の機微を知り尽くしたツボを押さえたアドバイス、自己の成功体験と米国MBAのメソッドを融合し、誰にでも実践できる行動指針への落とし込み。この人はとにかくアタマがいい。マーケティング書籍という市場をメタにマーケティングする天才的嗅覚を備えている。時代の寵児として、これからどこまで走り続けるのだろうと注目していた。

しかし、昨年突然、神田王国に翳りが見えた。彼にとってドル箱であったはずの会員組織「顧客獲得実践会」のサービスを一方的に中止すると発表した。出す本も従来のマーケティング本ではなく精神性の高い本に変った。何があったのか、不思議だった。

この本は一部フィクションと断りつつも、本人を襲った実話の悲劇を綴っている。

私は、神田昌典氏とは面識がないが、元関係者の方が友人の周囲にいたりして、漏れ伝わることを幾つか知っている。神田氏を襲った深刻な悲劇のいくつかは本当のように思う。随分、苦労をされたようで、それを乗り越えての出版。今まで経営者を勇気付けてきたカリスマが、孤独な戦いを強いられていたことを知り、驚く。

■ますます深まる神田昌典氏に期待

私の周りにも神田氏の本の愛読者が多い。元実践会会員のベンチャー経営者も何人かいる。共通しているのは「ウマイ!」という評価だ。分かりやすく、自分にも手が届きそうなノウハウを、「ここだけの話」として開示する。ファンの多くは、ウマイ話がそのまま自社の経営に通用することはないという常識は知っている。神田氏が、経営者の聞きたいことをおいしく加工する技に長けている事実も認識しているはずだ。

だが、「だまされている」とか「リアリティがない」と感じるファンはほとんどいないと思う。売れる本の書き方にせよ、彼が教えるマーケティングメッセージの作り方や届け方は、確立されたものであり、否定できない説得力があるからだ。むしろ、そのメタな部分の能力は本物であるし、それこそ盗みたいと経営者の多くが思う。だから本が売れるのだと見ている。

大物コンサルタント、著名マーケターにありがちな宗教臭さが薄いのも、手に取りやすい理由だと感じる。今回の本にしても、どこまでが神田氏の演出でどこまでが真実なのか、分からないが、演出家としての誠実さはひしひしと伝わってくる。誠実なエンタテイナーでもあるのだ。手品を完璧に演じ、ネタバレはしない。不思議な人である。

と、真面目な神田ファンに怒られそうな書評を書いてしまった。が、私も買った本の数を数えたら随分なファンの一人である。メタマーケターとして、これからどんな展開で読者の経営者、起業家を楽しませてくれるのか、気になってしょうがない。

この本は、成功に向けて努力する人に必ず起こる、会社と家庭のバランスの崩壊や、ありがちな経営上のトラブルについて、神田氏の分身らしき男が、主役の起業家に向けて、「法則」として教える体裁の、経営小説である。読みやすく、ドラマとして面白い。

読んでの感想は一言。「土日は休みましょう」。できていない自分に反省。ゴシップ的関心で買ったのに面白い本で、深く考えさせられました。次の本も買おう。神田ファンならおすすめ。

参考:過去に書いた記事より

・60分間・企業ダントツ化プロジェクト 顧客感情をベースにした戦略構築法
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/000181.html


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Posted by daiya at 2004年02月05日 23:59 | TrackBack このエントリーを含むはてなブックマークこのエントリーをはてなブックマークに追加
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