2004年10月30日
実用的なプレゼンテーションタイマー Pt
・Pt
http://my.reset.jp/~triton/Pt.htm

まさに欲しかったソフトを発見。極めてシンプルながら完全に要件を満たしており、使いやすい。時間を指定して開始しておくと、時間表示とプログレスバーで、経過時間と配分が一目瞭然になるタイムマネジメントソフト。パワーポイントのプレゼンテーション、スピーチ、音声の録音、会議の打ち合わせなどに大変便利。

設定でビジュアルをカスタマイズできる。そのカスタマイズ内容が利用者ニーズをよく考えて作られているのに驚く。

・ウィンドウの透明化
ウィンドウの透明度を設定できるので、プロジェクター上で聴衆に気づかれない程度の微妙な薄さを選べば、自分だけが時間管理をすることができる。
・スモールプログレスバー表示
進行時間の配分表示を細い線だけで表示する。これも聴衆に気づかれにくい。逆に発表者の多いイベントで使う共有端末なら、敢えて大きくすることで時間制限を意識させることができる。
・停止と再開ボタン
現実のプレゼンではアクシデントや休憩でプレゼン時間が寸断されることがあるが、再開で対応できる。
このほか、終了時に音声ファイルを鳴らす、パワーポイントスライドをタイマーと同期して開始する、常に前面に表示するなどの実用的オプションが選択できる。
2004年10月29日
無敵会議第10回 検索会議 満員御礼に感謝 報告第3弾
さて、第3部はヤフー、リスティング事業部の宮崎氏によるYahooSearchTechnology概要説明から始まりました。YSTとは何か、どのような仕組みで検索結果の表示順位が決まるのか、が話の中心でした。
Yahoo!は2004年5月31日まではGoogleのエンジンを使っていましたが、この日を境に独自開発したYSTに乗り換えました。当時の経緯はCNETで私がスクープ記事を対談形式で書いていますのでご参考まで。
・対談:日本における検索の未来 - データセクション 橋本大也 vs ヤフー 志立正嗣 - CNET Japan
http://japan.cnet.com/column/search/story/0,2000050605,20068928-2,00.htm
さて、なぜ宮崎氏に検索アルゴリズムをお話いただいたのかというと、今回の会議の発想テーマが、新しい検索アルゴリズムだったからです。問題は以下の通りでした。
「
理想の検索アルゴリズムを探せ!
アンカーテキストの活用やリンク分析により、検索エンジンの精度は飛躍的に高まりました。しかし、しかし、しかし!!!まだまだ情報を見つけるのが難しい状態です。
より便利な検索結果を出すためにどんな情報が使えるでしょうか。
その情報を使った理想の検索アルゴリズムを考えてみてください。
新アルゴリズムの概要:
いままで誰も目をつけなかった
( )の情報を活用することにより、
( )が可能に!
名づけて( )アルゴリズム。
以下にその検索アルゴリズムを具体的に図解してください:
」
さて、注目の受賞結果は?
「検索」をテーマに全員で会議する「無敵会議」第10弾〜検索をより便利に、これまで不可能だった検索を可能に〜
http://bb.watch.impress.co.jp/cda/news/7238.html
がうまくまとまっていたので、引用させていただきます。
「
参加者には問題用紙が配布され、それぞれが15分間で個人ごとのアイディアを回答。その後に6人程度のグループを作成し、20分間で議論した内容をグループごとに提出するといった流れで会議は進行した。個人アイディア、グループアイディアはそれぞれ2つが運営者側から賞として選出され、その内容紹介と合わせて賞品が贈られた。
グループ賞には、関氏が紹介した「やってはいけない検索方法」を活用し、検索方法の採点や適切な検索方法の紹介によってユーザーの検索技術を教育する「関裕二養成アルゴリズム」、検索結果を見た時の汗や声、心拍数といった情報を利用して、多くの人を興奮させた情報のランク付けを行なう「テンション検索アルゴリズム」の2つが入賞。参加者の投票によって、「テンション検索アルゴリズム」が1位に選ばれた。
個人賞では、日々のひとりごとを収集して悩み解決の糸口を探る「ひとりカウンセリングアルゴリズム」、検索した文章のパターンと既存の文章との類似性をファイル形式ではなく「解読型」「批判型」「推薦型」といった文書の形式で分類するアルゴリズムの2つが紹介。ヤフーの宮崎氏は「自ら検索しようとは思っていないひとりごとを、勝手に検索してしまうのは面白い。文書形式の分類はすぐにでも使いたいくらいのアイディア」との賛辞を贈った。
」
優秀者にはヤフーからお食事券などの豪華プレゼントが渡されました。そして最後にはなんと全員に豪華なヤフーグッズ満載の袋が渡され拍手喝さいになりました。中身は
・たつをの ChangeLog / 2004-10-27
http://nais.to/~yto/clog/2004-10-27.html#2004-10-27-6
に写真で紹介されています。すごすぎです。なお、このブログには検索会議の報告系ブログ一覧があってさらに詳細が楽しめます。
さて、ちょっと真面目に捕捉。
検索会議ではヤフーのアルゴリズムのみでしたが、私が知っている有名な検索アルゴリズムをいくつかここでリストにしてみますと以下のような感じです。今回は技術者会議ではなかったのでアイデアベースでユニークなアルゴリズム発想が主体ですが、技術者ばかりで本当の数学的アルゴリズムを発想してみる会もやってみたいですね。
■TF/IDF
全文検索エンジンのほぼすべてに使われている基本アルゴリズム。文書を特徴づけている言葉はどれか、その言葉の重みはどれくらいかを求める数式。検索対象とする文書全部におけるキーワードの発生頻度(ある単語数÷全単語数)と、個別文書における発生頻度の比率を計算することで、文書を特徴づけているキーワードとその重要度を求めることができる。極めてよく使われる一般語は低い値になり、特定のテーマのときに登場する専門語は高い値になる傾向がある。
■PageRank
Googleのアルゴリズムとして有名になった。今は他のエンジンも部分的にはこの考え方を採用している。リンクを人気の指標と考えPageRankという数値で人気ぶりを算出する。まず外部からリンクの数が多ければ高いPageRankを与える。リンクの質も重視し人気ページからリンクされたページのPageRankも高めになる。例えば、YAHOO!はたくさんのページからリンクされているからPageRankが高くなる。PageRankの高いYAHOO!からリンクされたページのPageRankも高く計算される。
・Google の秘密 - PageRank 徹底解説
http://www.kusastro.kyoto-u.ac.jp/~baba/wais/pagerank.html
■Subject-Specific Popularity
Teomaなどが採用している。PageRankの改良。検索キーワードのテーマを重視してPageRankの計算に重みを加算する。例えば検索キーワードが音楽関連であれば、音楽関連をテーマにしたサイト群を抽出し、そのサイト同士のリンク構造からPageRankを算出する。無関係なテーマのサイトからのリンクは重視しないということでもある。例えば2チャンネルからのひやかしリンクがいかに増えても重要とはみなされないのでノイズが低くなるといえそう。
■HITS(Hyperlink-Induced Topic Search)
YSTはこの系統に分類できる。PageRankの改良。PageRankではリンク構造しか見ていないため、人気サイトの出自を問わない。つまり、リンクの人気があれば価値が高いということになってしまう。リンクだけですべてを判断していいのかという問題がある。そこでHITSではオーソリティとハブという二つの考え方を導入する。オーソリティはたくさんのサイトからリンクされた信頼できるコンテンツである。ハブはたくさんのひとをナビゲートしているリンク集である。二つを異なるタイプとして計算することでより精度の高い結果が得られるという考え方。
。
TREC10 - HITS Algorithm
http://csgrad.cs.vt.edu/~lixu1/work/CS5604/hits.htm
■Block-level Link Analysis
MSNのアルゴリズムはこれに分類できる。ここまでのPageRank、Subject-Specific Popularity、HITSではページ単位で重要度を計算していた。この手法ではページの中の意味のあるブロック(パラグラフなど)を分割し、ブロック内のリンク同士の関係をPageRank的に計算する。リンクの前後の文章を分析してリンクの重要度を計算するので、ひとつのページに複数の記事がある場合にも、ノイズの少ないPageRank的計算が可能になる。
・Block-level Link Analysis
http://research.microsoft.com/research/pubs/view.aspx?tr_id=754
■Vision-based Page Segmentation Algorithm
MSが研究している。視覚的な情報を重視したアルゴリズム。人間ならページのどこがナビゲーションで、どこが広告で、どこが著作権表示のフッターかはすぐに理解できる。それらの中のリンクは普通はあまり大切ではない。この手法ではコンピュータがHTMLを解析することで、ブロックの視覚的意味を推察し、リンクの重み計算に利用する。
VIPS: a Vision-based Page Segmentation Algorithm
http://research.microsoft.com/research/pubs/view.aspx?tr_id=690
2004年10月28日
無敵会議第10回 検索会議 満員御礼に感謝 報告第2弾
第2部は初代検索の鉄人の関さんによる超絶技巧セッション。関さんは最近ヤフーに転職し、YAHOO!ディレクトリにサイトを新規登録していく「サーファー」として働かれています。登録内容は、サーファーの個人裁量による判断が大きいらしく、約40人いる、この精鋭サーファーによって、日本のインターネットの地図が日夜作られているといっても過言ではありません。ネットの仕事の花形ですね。
YAHOO!ディレクトリには現在、18万のカテゴリがあり、40万のサイトが登録されているそうです。これは滅多に公開しない情報らしいので貴重なのですが、登録サイト数を調べる秘密を教えてもらいました。
YAHOO!の登録サイトには以下のような説明がついていますね。
「
Passion For The Future - 橋本大也によるウェブログ。情報技術、書評、日々の雑感を記述。
」
これらの説明文はすべてが「。」で終わるのです。そう、だから「。」で検索すればだいたいの登録サイト数が誰でも確認できるのです。驚きました?。(ちなみにモーニング娘は正式には「モーニング娘。」だって知ってました?どうでもいいですね。)
さて、関さんの検索の極意のひとつは、
「しっかり検索結果のページをイメージすること」
でした。抽象的なキーワードを入力するだけではダメで、探しているページにありそうなキーワードを一緒に検索することで検索精度を高められるということです。例として求人広告を探す際に、「求人」などで検索すると無関係な情報がいっぱい混ざってしまいます。
そこで鉄人なら "当社規定により優遇" で検索するのです。うわ、本当にその手の情報ばかりでてきました。確かに求人ページにはこのフレーズが大抵は書いてあります。検索結果のページをイメージするっていうのはこういうことなんですね。
他にも「都内の専門学校の一覧」が欲しい場合の検索が題材に出されました。「都内 専門学校 一覧」ではほとんど該当の情報がマッチしません。そこでまた欲しいページにはどんな言葉があるかをイメージするわけです。
鉄人が選んだのは「専門学校 世田谷区 大田区 千代田区 町」でした。一覧リストにありそうな言葉を加えているのです。最後の「町」は区名に対して少し地味でマイナーな言葉ですが、探しているページには出てきそうな言葉です。この地味な言葉を入れることで絞込みが可能になるそうです。実際やってみたらズバリみつかりました。
他にも「大統領の身長の一覧」を調べたいときの鉄人の正解として「身長 ワシントン ケネディ クリントン ルーズベルト カーター"」。これはなるべく広い時代の大統領の名前を入れることで一覧を出そうということです。ここでも最後に地味な言葉が使われているそうですが...。関さんはユーモアが素敵です(笑)。
続いて、この会だけの限定公開で、YAHOO!の検索回数をリアルタイムに閲覧できるスタッフ用ツールが公開されました。言葉を入れるとその言葉がこの1年間でどれだけ検索されてきたかの履歴がグラフ化されるツールです。関さんからこれで何を調べてみましょうか?と聞かれたので「ブログ」「アテネ」と二つほど調査をお願いしました。
「ブログ」は今年、どんどん盛り上がっていくのが分かる右肩上がりのグラフが見えました。ところがなぜか2004年4月20日に、前後の日の数十倍はありそうな飛び出て多い頂点が描かれていました。テレビかなにかの効果ではないかとの事ですが、何があったのでしょうか(今も調べています)。これに対して「アテネ」は予想通り、オリンピックが始まる直前から増え始め、開催中がピークで、その後一気に落ち込みました。上下の差が大きなグラフでした。熱しやすくさめやすいブーム語の特徴でしょう。
この他にも多数の鉄人の技と検索の考え方が示されました。それにしても関さんのプレゼンの分かりやすさと内容の豊富さ、楽しさに脱帽でした。YAHOO!ブランドを背負っての講演ということで、主催者としては初心者向けの無難な内容に終わるかも?と思っていました。ツッコミを用意していたくらいなのですが、初心者にもマニアにも勉強になる濃いお話しをいただきました。ありがとうございました。
なお、このセッションではキーワード検索の話に特化しましたが、YAHOO!では実にさまざまな情報を探すことができます。最近は「ヤフる」という造語も考えている人がいるようです(ヤフー公式ではないですが)。こんな本がありました。
・ヤフる―遊ぶ、稼ぐ、出会うなど、あらゆる欲望をYahoo!で満たすこと

ヤフーの多彩なサービスの初心者向けガイド。
今回の会議の内容は、以下のニュースサイトでも報道されました。
・「検索」をテーマに全員で会議する「無敵会議」第10弾〜検索をより便利に、これまで不可能だった検索を可能に〜
http://bb.watch.impress.co.jp/cda/news/7238.html
・ITmedia ライフスタイル:理想の検索とは何か?――無敵会議、「検索」をテーマに開催
http://www.itmedia.co.jp/lifestyle/articles/0410/28/news002.html
2004年10月27日
無敵会議第10回 検索会議 満員御礼に感謝 報告第1弾

夜景が美しい六本木ヒルズ26FのYahoo!Japanセミナールームで、第10回目の検索会議を開催しました。無敵会議史上、最速の満員御礼で、検索、ヤフーへの関心の高さを感じていましたが、予想通り楽しい会になりました。参加者の皆さん、スポンサーになっていただいたヤフーの皆さん、本当にありがとうございました。
さて、第一部では、投稿ピックアップの後、私と百式管理人が5つずつ紹介してみました。私の5つはプレゼンファイルを公開します。
・橋本 先端検索技術 ベスト5 PDF版
Download file
上記二つはURL表示のレイアウトが崩れていたのでテキストで以下にテキストで続けます。
注目の検索技術5
検索会議@YAHOO!JAPAN
2004年10月27日
Passion For The Future
橋本大也
メジャーな検索はYAHOO!JAPANと検索の鉄人がいるので、もはや私に語れることはない。
ちょっと未来を感じて
市場性が気になる技術で
使って便利か楽しいもの
5つを選びました
1 地震情報の検索
EQLIST
http://www5b.biglobe.ne.jp/~t-kamada/CBuilder/eqlist.htm
1885年以降のマグニチュード4以上の地震3万件を検索できるフリーソフト
地域と期間でリスト表示と地図表示
考察1 天変地異情報も個人で分析
13年間の気象庁データから天気を検索できる「ビジュアルお天気メモリ」があれば夏休みの絵日記も後書きOK
http://www.vector.co.jp/magazine/softnews/030322/n0303224.html
TRMM台風データベースで衛星データから過去の台風の規模と経路を一覧できる
http://www.eorc.jaxa.jp/TRMM/typhoon/index_j.htm
2 デスクトップ検索の未来系
AdunautoFocusPersonal
http://aduna.biz/products/autofocus/personal/index.html
デスクトップファイル、メール、Web履歴に含まれる単語でファイルを群れとして表示する。
考察2 仮想机上検索は机上の空論ではなくなった
YAHOO!は整理不要のメール検索ソフトBloomba(Statalab)を買収したと10月21日発表、衝撃。聞いてみよう。
GDS、Lookout(M$が買収)、Copernic(CNET Editorレビューで高評価)など、デスクトップの検索が技術トレンドに。
3 音楽の波形で検索
11月下旬に発売。アナログ音源の波形データを元にCDDBから楽曲情報を取得する“MusicID”を搭載したCarryOn Music。3500円くらい。
グレースノート(CDDB)の音楽認識技術MusicIDを採用した最初の国内プロダクト。
http://www.gracenote.com/gn_products/music_id.html
考察3 ノリで検索、ノリ検
Shazam社の楽曲認識技術を使って、ボーダフォンで「携帯楽曲認識」がスタート。携帯にBGMを聞かせると楽曲情報&購入
http://www.shazam.com/uk/do/home
音楽の雰囲気で手持ちのMP3を自動カテゴリ分類。“ロマンチックな曲”、“アップテンポな曲”で検索が可能になるデスクトップ音楽検索ソフトMoodLogic
http://www.moodlogic.com/
4 顔で検索
顔で検索する技術例:Verilookは1秒間に27000人の顔を認識することができる。開発者向けのソフトがダウンロード可能。http://www.neurotechnologija.com/vl_sdk.html
Wired News - スーパーボウルで観客全員の顔がスキャンされていたhttp://hotwired.goo.ne.jp/news/news/culture/story/20011228201.html
考察4 顔面検索の危険と可能性
写真の顔から人物を特定する検索技術大会FaceRecognitionVendorTest(顔面認識業者試験!)がある(5へえ)
http://www.frvt.org/
デジタルドアマンArgusはドア上部に取り付けられたカメラで入室者を自動検出してしまう監視技術。
http://www.computer.org/intelligent/ex2001/pdf/x2014.pdf
クリックで検索
iPodとmp3とmusicは同じページで同時に使われる言葉(共起性)
検索語と一緒によく使われる言葉のリストが100個表示されるAeiwi
http://www.aeiwi.com/
クリックで選ぶとその言葉と一緒によく使われるリストがまた100個芋づる式で入力要らず
何がキーワードか強調するアプリ。PopupPrism
考察5 検索というより探索
超便利な本棚.org。本の表紙でビジュアル検索する。自分の本棚をWebで簡単公開。
http://pitecan.com/Bookshelf/
閲覧中のページの重要語を強調表示するPopoutPrism
http://www2.parc.com/csl/projects/popoutprism/default.html
結論
あらゆるものが自動認識され
あらゆるものが記録に保存され
あらゆるものが関連付けられ
あらゆるものが検索されてしまう
世界60億人総検索時代に突入
本日の結論:
「悪いことはしないようにしよう」
百式管理人の5つなどの情報は
・たつをのChangelog 検索会議
http://nais.to/~yto/clog/2004-10-27.html#2004-10-27-6
などのブログで紹介されています。
2004年10月26日
無償で使える次世代開発環境 Visual Studio 2005 Express
・Visual Studio 2005 Express 日本語ベータ版
http://www.microsoft.com/japan/msdn/vstudio/2005/express/

マイクロソフトは2005年に統合開発環境の新バージョン投入を予定しているが、現在、Webでは基本機能のみのExpress版を無償配布している。基本機能だけといっても、.NET Frameworkをフルに使えるわけで、知識と気合があれば何でも開発できる。
提供されているのは以下のソフトウェア。
Visual Basic 2005 Express
Visual C# 2005 Express
Visual C++2005 Express
Visual J# 2005 Express
Visual Web Dev 2005 Express
SQL Server 2005 Express
最も変化があったのはVisualBasicではないかと思う。@ITの以下の記事が詳細を説明している。
@IT:Insider's Eye -- Visual Basic 2005はVBユーザーを救えるか?
http://www.atmarkit.co.jp/fdotnet/insiderseye/20040904vb2005/vb2005_01.html
VisualStudio2005についてはほとんど書籍がない。オンラインドキュメント(英語が多いが)が主な参考文書になるが、2005の要点を解説したムックが一冊あるようだ。
・Visual Studio 2005完全解説
http://www.ascii.co.jp/books/detail/4-7561/4-7561-4524-8.html
Visual Basic 2005 Expressを試してみた。開発言語のリファレンスには、いつもこの逆引きシリーズを参考にしている。実現したいことで目次が構成されていて、サンプルコードが紙とCDROMに入っているので、即戦力になる。
・Visual Basic .NET逆引き大全 500の極意―WindowsXP/2000/NT対応

VisualBasicは相変わらず、ちょっとしたWindowsツール開発には最強。こんなものを作ってみた。
・無敵ブラウザー1.0
Download file
いつもの巡回先を登録したというか、それしか見られないタブブラウザー。使い方は起動するだけ。矢印キー「→」で次々に見ていける。仕事始めのネットチェックに使えるかもしれない。
私はこの簡易ブラウザー開発で1行もコードを書いていない。適当にコンポーネントをフォームに貼り付けただけである。それで、なんとなくできてしまうのがVisual Basicの面白さ。
なお、動作には.NET Frameworkが必要です。下記の二つのプログラムがPCにインストールされている必要があります。
というわけでまだ使いこなしていないが、今後の遊び開発には当面これでやってみよう。
2004年10月25日
人生を変える黄金のスピーチ〈下〉実践編―自信と勇気、魅力を引き出す「話し方」の極意
・人生を変える黄金のスピーチ〈下〉実践編―自信と勇気、魅力を引き出す「話し方」の極意

5月に上巻を書評してから、下巻について書くのを忘れていたので思い出したように書評を書いてみる。デール・カーネギーによるスピーチ術。上巻はスピーチ前の準備と心構えを説いていたが、下巻ではより実践的な内容となっている。登場するのは上巻同様、歴史上の英雄や著名な経営者が多い。
とにかく分かりやすくしゃべることが大切だというのがこの本の要旨である。それには終わり方が重要で、最後にしゃべったことを要約する。私はこれこれこういうことについてお話いたしましたと簡潔に総括することで、聴衆の印象がよくなるというもの。上下巻2冊で語る極意は意外にもシンプルなオチだった。
何を話しているか、とらえどころがないスピーチは、相当の味を持った人物でないとうまくいかないのは事実。聞く側としても、ひとつかふたつのまとまった情報を得られれば、短いスピーチには満足するものだ。一生懸命準備する際には、ネタリストに追加するのではなく、絞り込む部分にこそ重点をおけということになる。
何を話すかについて、人は人について一番興味があるものだから、できる限り人について話なさい、というのは良いアドバイスだなと思った。スピーチでは、人物評は確かに気になる。
ところで、偉い人のスピーチというと先月、かなり笑えたのがライブドア・楽天球界進出を喜ぶ宮城県知事のこんな会見議事録。うっかり差別用語を喋ってしまったのだが、その後の記者のツッコミに対する受け答えを見る限り、本当に知らなかった可能性が高い。広報課長まで調子を合わせて「いや、知りませんでした。」と話したのは日本型タテ社会の悲しい性なのだろうか。それとも広報課長もまた知らなかったのだろうか。差別用語について知識がない広報課長は役目が勤まらないと思うのだが...。
日本の政治家のスピーチは、まず失言しないことが第一のノウハウなのかなと思った。日本の政治家の名演説というのを一度聞いてみたいものだが、最近の法相のしどろもどろな受け答えを見ても、望むべくもないレベルにあるようだ。こういう本、少しは読むべきだなあ(笑)。
・宮城県知事記者会見(平成16年9月21日)
http://www.pref.miyagi.jp/kohou/kaiken/h16/k160921.htm
「
◆Q
先ほどの「バカだ、チョンだ」というのは明らかに差別用語である。取り消しと言ったが、その言葉を使った趣旨と、取り消すに当たってやはり何らかの釈明も要るのではないかと思う。
■浅野知事
ごめんなさい。間違いました。ちょっと、があっという流れの中でつい言ってしまいました。さっき言ったようにおわびして訂正をします。
◆Q
趣旨はどのような趣旨だったのか。
■浅野知事
ちゃんと問題を正しく理解していく、正しい理解がないという意味で使いました。批判されていますよね、無能だとかいうようなことで。それを差別用語と言われる形で言ってしまったということについては、おわびして訂正します。
趣旨は、いろんな言い方でされています。統治者能力がないとか無能だとかというようなこと、そういう趣旨のことを言いたかった。
◆Q
あくまで特定の人種を指定したような発言ではないということか。
■浅野知事
そういうのは人種とは言いません。
◆Q
民族ですか。
■浅野知事
民族……。
◆Q
「チョン」という朝鮮人に対する差別意識があってそういう発言をしたのではないということか。
■浅野知事
あら、私は前者の方をあれだ(適切を欠く表現)と思ったけれども、認識は全然ありませんでした。それはいろいろ言われているかもしれないけれども、それは学術的にというか、言語学的に正しいあれなんですか。分からない。認識すらなかった。
◆Q
「バカだ、チョンだ」というのは朝鮮人に対する差別用語であるのだが、いかがか。
■浅野知事
そうなの。いや、それは認識すらなかった。そういうのは皆さん知っていた。広報課長。
■広報課長
いや、知りませんでした。
■浅野知事
それはそうだとすれば無知も恥じます。
---
◆Q
先ほどの「バカだのチョンだの」という発言を聞いていて、個人的にあまりにも知事が無知なのにショックを受けた。もしこれが全国知事会等の場であれば、他県の知事から「何だこいつは」という目で見られたのは間違いないだろう、特に西日本など在住の方が多いところの知事はそう思うだろうと思ったが、知らないということで、問題意識をどのように持っているのか、在日外国人の地方選挙の参政権の問題等どのように考えているのか伺いたい。差別という問題と絡めて参政権の問題というのはあると思うが、そこでどう考えるかということを伺いたい。
■浅野知事
事実の問題として、私が無知であったと、これは非常に恥ずかしいことだ。これはそれで情報開示を今いたしましたから、これは仕方がないことです。47県知事で私だけがこれ知らないとしたらすごく恥ずかしいことですが、それは分かりません。
後でちょっとメモが入ったということもあって、差別用語であるということは確認をいたしました。「チョン」というのはお話しのとおり改めておわびをして訂正させていただきたいと思います。
この表現は明治以前から使われていたんですね。それが、その後、語呂合わせ、「チョン」ということをかけ合わせて、使われ方としては朝鮮人を差別する用語として使われてきたという歴史があるということを今確認いたしました。でありますから、そういう民族差別ということでは使うべきではないという表現だということを改めて確認をし、したがって、先ほどの表現は改めておわびをし、訂正させていただきます。
」
関連:
The History Channel - Great Speeches
http://www.historychannel.com/speeches/archive1.html
世界を動かしたスピーチがダウンロードできる
2004年10月24日
マインド・ワイド・オープン―自らの脳を覗く
名著「創発―蟻・脳・都市・ソフトウェアの自己組織化ネットワーク」の著者の最新刊。これまた面白い一冊。
・Passion For The Future: 創発―蟻・脳・都市・ソフトウェアの自己組織化ネットワーク
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/001285.html
脳科学の最前線のテクノロジーを自ら体験しながら、脳はどこまで科学的に仕組みが解明されていて、技術的にどう制御できるようになるかの可能性を探る。
■脳に埋め込まれた読心能力
著者は、Reading the mind in the eyesというテストを受ける。見知らぬ人物が様々な感情を表した時の写真の、目の部分だけを見て、その人物がどのような感情を持っているかを推測させ、4つの選択肢から選ばせるテスト。これはWeb上でも試すことができる。
・Mind in the Eyes
http://growe.homeip.net/BaronCohen/Faces/EyesTest.aspx
このテストは不思議である。やってみると試験中は難しく感じるが、深く考えず、直感で答えていくと意外に高確率で当たってしまう。逆に、よく考えたからといって正答率が劇的に高まることもないようだ。選択肢となる感情表現のマスターリストには412種類もあるらしい。微妙な違いまでをヒトは瞬時に読み取ることができる。
顔の表情、特に目の表情の読み取り能力は社会的動物であるヒトにとって、生存率に関わる重要な能力であるため、進化の過程で脳に専用回路がビルトインされているのだという。だから、意識がソフトウェア的にゆっくり考えるよりも超高速に、無意識がハードウェア的に判断することができるのだという。
著者はこの能力を「虫の知らせ」と呼んでいる。自閉症患者の中には、マッチ箱から床に落ちたマッチの数を瞬時に言い当てられる人がいるらしい。彼らは数えることなく、数字が頭に浮かぶのだそうだ。これなども理由は不明だが、脳内にハード的に数えるモジュールが生成されてしまった例なのだろう。第六感や女の直感もまた、同じような原理のようだ。
この「虫の知らせ」がはたらくときは、扁桃体が強く活性化している。扁桃体を損傷すると他人の感情が分からなくなる症例もあるという。「虫」の正体は扁桃体だというところまでは解明されている。こうしたモジュールを、自在に操ったり、新しく作り出すことができるようになれば、人間の能力は無限に拡大できるような気がしてくる。
■神経フィードバックで集中力強化
著者は、米国アテンションビルダーズ社の神経フィードバック装置による集中力強化トレーニングを体験する。これは下の写真のようにヘッドセット型をしている、脳波計測装置。集中力が高まるときに発生するシータ波のみを検出し、画面に波形を映したり、シータ波が多く出ていれば画面上の自転車が早く走る仕組みのゲームなどを行うことができる。
被験者は自らのシータ波の具合をリアルタイムに見ながら、意識を集中させることで、シータ波を最大にしようと練習することができる。この製品は、主に注意力に欠陥のある子供たちや、能率を高めたいと考えるビジネスマンなどに利用されているという。意識を研ぎ澄ますだけでなく、沈静化することもできる。練習すれば、いつでも、望むとおりの精神状態に入ることができるようになるという。心裡カウンセラーやコーチも真っ青である。
・Attention.com
http://www.attention.com/

こうした機器で測れるのは脳のおおざっぱなレベルの活動状態に過ぎない。科学的根拠の曖昧さや、宗教やスピリチュアルなセミナーなどに好んで使われてきたことから、神経フィードバックは長い間、似非科学として扱われてきたらしい。実際、科学とは縁遠い人たちが関わっていることも多いらしい。
だが技術の進歩もあって、もしかすると使えるレベルまできているのではないかと、著者の体験と考察を読んで、可能性を感じた。勉強も仕事も「その気」になれば、短時間に成果を上げられることは多い。問題はなかなか「その気」にならないことだ。ヘッドセットをはめてゲームを遊べば、「その気」をいつでも呼び出せるようになれば、人生はきっと違ったものになる。
■暗号解読からパターン認識へ
著者は続けて、攻撃・逃走本能や、ホルモン、ドラッグ、MRIによる脳のイメージ分析などの先端研究の状況を体験しながら報告する。脳は電気化学的な反応にかなりの部分が還元できることが再確認される。
かつて心理学者フロイトは無意識の存在を指摘した。それは正しかったが、無意識は隠れた性的抑圧によって支配されていて、その隠れた意味を解読すれば心を解明できる、という理論は、あまりに単純すぎたと著者は批判する。脳はもっとたくさんの、ひとつひとつは明確な理由のある要素が、複雑に絡み合っているパターンなのだという。
そして各要素を紐解く技術が次々に現れてきた。それらは、ある刺激に対して自動化された反応を返す単純なモジュールであるから、秘密は少ない。これからは隠れた意味の暗号解読ではなく、明らかなパターンを認識することが、脳科学の主流となっていくだろうと予言する。
愛情さえも自動化回路が形成されているらしい。脳のパターンを正確に認識できるなら、コントロールする可能性も見えてくる。こんな一節がある。
「
ところがある女性感謝の治療中、医師チームは誤って、脳幹内にある「悲しい気分の時の身体状態」を取らせる場所を刺激してしまった。電気刺激を与え始めて数秒もしないうちに、彼女は椅子でぐったりと崩れ落ちて不機嫌そうな表情を見せ、目に涙を浮かべながら「人生にはうんざりなの、もう充分よ...全部無意味なんだわ」とドストエフスキーの「地下室の手記」からでも引用したような文句をつぶやき続けた。だが意思が慌てて電気刺激を切るとその抑うつ感は一瞬にして消え去り、彼女は笑みさえ浮かべながら、なぜ自分が突然そんな状態に陥ったのかと不思議がって見せた」
」
■ある日突然天才になる可能性
私も子供のころより何十回か、脳波の検査は受けたことがある。頭に数十本の電極を糊でぺたぺた取り付けてプリンタへ波形を出力したり、CTスキャンやMRIのような最新の装置で、電気的、磁気的に脳の活性化状態をイメージ化する検査だ。自分の頭の中を可視化するのは面白い体験なのだが、医者からは「何を考えているかまでは分かりませんから安心してくださいね」などと言われる。検査は長時間に渡り、大抵飽きてしまうので、物思いにふけってみたり、エッチな想像をしてみたり、必死に計算してみたりといろいろ試すが、医者にはやはり何も分からないらしい。さすがに息を止めたり歯をくいしばるのは波形に出るらしく、ばれてしまうが、心の中までは読まれないのだ。
素人として知りたいのは精神活動の中身である。だから、いまひとつ、使えないじゃないかこれ、と思っていたのだが、この本で紹介される一歩先の脳科学の技術は、まさに心の中身を見たり、操作することができるものだった。
私たちの生きている間に、ある日突然大天才になったり、不幸のどん底から瞬時に幸福の絶頂になったり、1日に数万の英単語を覚えたりすることが、技術によって可能になるのだろうか。もしかするとできるかもしれないというのが、この本の伝えたいところのようだ。
著者は完全な還元主義者でもなく、技術楽観論者でもない。技術の未熟さ、倫理的な危うさも指摘しながら、冷静に脳科学の今を見極めようとしている。脳科学の知識に最新パッチを当てたい人に、このオススメの一冊。
2004年10月23日
スナップ・ジャッジメント瞬間読心術
「パワープレイ」などの小手先心理操作術で名をはせた著者が、今度は瞬間読心術を新書で出している。心理学の論文や統計データをもとに、ジェスチャーや口癖、体型や服装から、相手の心理を読んだり、類型に分類するための診断リスト集。
・丸顔の人→迷信的
・まぶたが厚ぼったい→嫉妬深い
・耳が小さい→臆病で粘り強さに欠ける
・あごの先がほっそりしている→創造力豊かなアイデアマン
・「でも」が口ぐせ→超保守的
実用性はあるのかどうかはさっぱり分からない。当たることもあれば外れることも多そうなものばかり。ただ、読心術というのは相手の腹を読みきっているという自信が、交渉でイニシアチブを取るきっかけになるという面もありそうだ。交渉はスキルが同じなら、強気なほうが大抵は勝つわけだから、相手と状況を把握したと思い込めるのが大切なのだとも思う。
この本は文章を書く人にとって参考になるかもしれない。コラムや小説などの中で、人間を描写したいときに、動作や容貌描写で性格描写を行いたいことがある。だが、普段余程の人間観察家でない限り、何を書けば性格描写につながるか分かりにくいものだ。
例えば、次のように描写した場合、
A 彼は細く白い指で資料の数字を指差した。
B 彼は太く骨っぽい指で資料の数字を指差した
これだとだいぶ意味が違ってくるだろうし、
A うつむきがちに手を後ろに組んで彼は部屋に入ってきた
B 早足で手を大きく振りながら彼は部屋に入ってきた
やっぱりこれも印象が違うと思う。
性格と動作が一致するかどうかは分からないが、タイプAの方が繊細で、Bの方が自信家の印象を与えるだろう。文章を書く場合、どこに着眼して書くかが重要である。実際には、細く白い指でうつむきながら歩く自信家もいるのだろう。だが、そう書いたら性格描写としては伝わりにくい。スナップジャッジメントに登場する診断項目と性格分類にはこうした事例が多数含まれている。
個人的には後半の逆ジャッジメントの方が面白かった。こういう性格の人はこういう態度、容貌をしているというリスト。前半と逆である。
関連:
テレビの有名人の動きを分析した下記のサイトも面白かった。久米博のジェスチャーはそういう意味があったのか。
・人の動き研究室 人とお店のアクション分析
http://homepage2.nifty.com/ugoki/page/top.htm
2004年10月22日
ファイル索引ページの自動生成ツール Filistry
調査や開発の納品は印刷して郵送と同時に、CDROMや、メール添付で電子版を送ってくださいとよく言われる。余裕を持って仕事をすべきなのだが、納品ギリギリまで、送信するファイル一式が揃わない場合、ファイル一覧の目次作成が時間がなくて、大変である。あらかじめ作っておくのがベストであるが、最終変更で内容が変わることもある。目次はやはり自動生成がベストだと思っている。Filistryはそんなときに便利。
・Filistry
http://homepage3.nifty.com/balkan500/filistry.htm
ディレクトリを指定すると、それ以下に含まれるファイルの索引をHTMLで出力する。CSVやXML出力も対応している。
以下のような機能が特に使いやすい。
・拡張子で絞込み、必要なファイルのみの索引作成
複雑なディレクトリ構造の中にあるすべてのJPEG画像やPDF文書だけの索引を作成するなど、検索対象やサブフォルダの絞込み指定が充実している。拡張子に対応したアイコンイメージも埋め込まれる。
・MD5値の出力
MD5値はファイルに固有の値で、これを確認すれば、ファイルが改ざんされていないかどうかを確認することができる。
・バージョンの出力
開発物納品の際にExeファイルのバージョンを出力できる。
納品以外にも、大量雑多なファイルをダウンロードしたディレクトリの整理にも使えそうだし、きちんと分類されたフォルダ階層から、公開Webページを作成するツールとしても便利だ。MP3の一覧ページにも使えるだろう。
2004年10月21日
劇的瞬間の気もち
とても面白いです。企画力の勝利。オススメです。
どんなに一流の作家でも劇的瞬間の真実は、体験しなければ書くことができない。体験した人の声を50人分集めて本にした。米国「Esquire」誌の連載がベースになっているので、ひとつひとつが丁寧に編集されている。ひとつの体験談が長くて数ページのコラムになっていて読みやすい。翻訳もよくて臨場感がある。
サメに食われる、ハリケーンに吸い上げられる、ナイアガラの滝から落ちる、乱交パーティーに参加する、ノーベル賞を受賞する、アカデミー賞を受賞してスピーチする、多重人格になる、女になる、ものすごく背か高いこと、落雷に直撃される、スカイダイビングに失敗する、エボラ出血熱に感染する、月面を歩く。
こんなことを体験した有名、無名の人たちが率直にそのときのことを語っている。例えばサメに襲われた人は「頭蓋骨がきしみを立てるのを、自分の耳で聞いた」し、背が2メートル25センチもあると「誰も気づかない汚れが目にとまる」そうで冷蔵庫の上が誇りだらけでない家はないことを知っていたりする。宝くじに当たるのは「自分の死亡記事を見たような感じ」だそうだ。雪崩で生き埋めになった人がまずしたのは口の中の雪をかきだしたこと。たまたま埋まるとき両手で顔を覆っていたのが幸いだったという。
いやあ、どれも体験者でなければ分からないことばかり。貴重な内容だと思う。体験リストを見て分かるように執筆者には世界的な有名人も多く含まれている。読みどころ満載である。定価は1000円だが、幾ら払っても、聞くのが難しいだろう話ばかり。
類書にベストセラーの「死ぬかと思った」がある。こちらのテーマは日常生活の中での緊急事態であって面白いのであるが、劇的度は今日の本のほうが遥かに上である。併せて読むのも楽しいかもしれない。
じゃあ、私自身の劇的瞬間ってなんだろうと考えてみた。
・一次志望の大学に合格したとき(イヤッホーーーーーーー)
・病気で倒れ光のトンネルの幻覚を見たとき(遠くで私を呼ぶ声がする)
・生まれたばかりの息子と初めて分娩室で会ったとき(目が合って、こ、こんにちは。)
うーん、いろいろあったようでいて大したことがないなあ。上記は個人的には大したことなのだが、人に語るには面白みに欠けるし、ありふれている。
あ
そういえば
・幽霊をみたとき
というのがあった。この本にならってコラムにしてみた。
---
霊を感じる
深夜のオフィスで体験した、あのこと
橋本大也 (日本、会社経営)
夜勤の電話番アルバイトも3年続いて夜の孤独は慣れっこだった。孤独といっても夜勤は大学生二人の勤務体制。仕事が減る午前1時ごろから3時間ずつ、交代で階下の部屋で仮眠をとる仕組みだ。この二人しかいない深夜のオフィスビルは、電気代節約のため、照明は夜勤チームの働く片隅だけ点けている。光と闇のコントラストで、フロアの大半は一層真っ暗に見える。ときどき機材の音がカチカチ鳴っているのが聞こえる他は、静まり返っている。
この職場にきてから、階下の仮眠室で金縛りにあうという話は年中聞いていたし、実際、何回かは、私も体験していた。金縛りが始まると身体は動かせない。瞼を閉じたいがそれも思うように行かない。汗をじっとりとかきながら、身体が動くようになるのを待つしかない。真っ暗な部屋でドアのガラスの向こうに人影が見えたような気がした。はじめての金縛りはゾっとする体験だ。地下室から何かが駆け上がってきた音を聞いた同僚もいたと後で聞くことになる。昭和前半に建築された古いビルだから、何かあるのじゃないかと勘ぐってしまう。
だが、金縛りは科学的に解明された現象だと私たちアルバイトは知っていた。夜勤の疲れで浅い仮眠をしていれば、よくあるのは当たり前だろうし、半分夢うつつなのだから、何かが見えた気がするのも仕方がないだろう。何回も経験してしまうと怖さはなくなってくる。いつのまにか、「また金縛りにあったよ」と交代する同僚に笑って話せるくらいのネタになっている。
だが、その夜、”それ”は階下の仮眠室でなく、仕事場に二人とも残っている時間帯に起きたのだった。湿度が高くてじっとりした夏の夜。私たちはいつものとおり、電話も途絶える午前1時ごろには報告書の記入も終わって、仮眠する時間だった。しかし、その夜は不思議に眠くなかったので、二人とも仕事場で読書をしていた。
「フフ...」
気のせいかなと思った。人の静かに笑うような声が聞こえた気がした。同僚に目をやると本を真面目に読んでいる。聞こえてきたのはオフィスのずっと奥の暗がりだ。そちらのほうに目をやったけれども、何も見えない。やっぱり、私の気のせいだっただろうか。私も目線を読んでいるページに戻そうとしたそのとき、
「フフフフ...」
もっとしっかりと若い女性が笑う声が聞こえた。同時に衣擦れのような音が聞こえた気がした。椅子から誰かが立ち上がったような気配があった。
えっ、と私は思わず声を出してしまった。同僚と目が合った。笑おうとしているが怯えている目だ。「今、聞こえたよね」。「ええ、聞こえました」。聞いてみると、同僚も最初の声に気がついてはいたのだ。二人で暗がりに目をやるが何も見えない。男同士だったがくっつきながら、その辺りを見回りする。異常はない。自然と話は仮眠室の金縛りの話になる。硬直中、人の姿を見ていたのは私だけでなかったのだという。寝ているとき布団の上から何かに乗っかられたという人もいるのだそうだ。初めて私たちは怖くなった。古いビルで隙間風がある。深夜のビルは反響が良く、100メートルくらい遠くの通りから酔っ払いの話し声が聞こえることもある。私たちはしばらく物音を立てないようにして、あの笑い声が聞こえないかを確かめてみた。
もう音はしなかった。だが、遠くの音とさきほどの笑い声は明らかに違うものだということが分かった。当たり前だが遠くの音は遠くから聞こえる。いくら反響がよくても先ほどの近くの声とはまったく違っていた。静けさの中で私たちは、やはり先ほどの声はそこの暗がりから聞こえたとしか考えられないという結論になった。声だけでなく気配を私たちは感じてもいた。もうその日は怖かったので二人とも寝ずに朝を迎えた。
数日が過ぎて、次の夜勤日の夜。シフトの関係で同じ同僚と一緒になった。同僚は前日も夜勤をしていた。夜も更けるとこの前は怖かったねという話になった。すると「実はね、橋本さん、昨日はこんなことがあったんですよ」と彼は熱心に話し始めた。
夜勤メンバーにはラグビー選手みたいな体格でなかなか心強い男がいる。彼は当時は夜勤メンバーの人間関係の中心で、仕事上のトラブルにも動じず冷静に対応するので皆に信頼されていた。同僚はその男A君と昨夜は一緒に働いたという。そしてその夜も同じような女の笑い声を聞いたのだそうだ。
ところが展開は意外な方向へ進んだ。A君もまた金縛り体験者だったが、彼は質実剛健な印象に反して、霊を信じる人だったのだ。お母さんが霊能者なので聞いてみるということになった。夜中にその母上に電話するとこう告げたという。「あなた方がいる部屋には鉄の扉があるでしょう。階段があって仮眠室があって、ビルには地下室があるの」。その通りである。母上はさらに詳細に来たこともないこのオフィスの様子を言い当てたそうだ。「地下室で昔、悪いことがあったのね。地下室から何かが上がってくるのを感じるわ。」
恐ろしくなったそうだ。二人は結局、丑三つ時に霊能者の母上に来社していただいたそうだ。どんなことがあっても夜間に部外者を入れるなという不文律は破られた。母上はビルの入り口や、問題の部屋のドアの前に塩を盛って祈祷してくださったという。そうして、二人は少しは落ち着くことができて、朝の勤務交代まで無事に過ごせたそうだ。
さて、これで霊の問題は一件落着だったのだが、A君と同僚は翌朝、社長に大目玉を食ったらしい。そりゃそうだ。ビルのそこかしこに塩が盛ってある。不気味であるし仕事場に大量の塩などないので、誰かを入れただろうということになる。あれほど夜はシャッターを無断で開けてはいかんと言ってあっただろう、と社長は激怒して怒鳴り散らしたという。
そこで仕方なく事情を説明したら社長は困り顔でさらに説教されたという。社長の言い分ももっともで、職場に幽霊話がでて、人が辞めたら困るのだ。昼間は女性のスタッフも多い。変なうわさで経営に支障が出たら、幽霊なんかよりもっと大問題だ。しばらく暇をやろうか?という社長に、いえいえ、滅相もございません、仕事疲れでございます、と神妙に謝ってきたらしい。
A君の母上の祈祷の力なのか、それ以来、女性の笑い声は聞こえなくなった。金縛りはときどきあったけれど、もう誰も霊が出るとは言わなかった。祈祷で解決したと思いたかったのもあるし、何より私たち夜勤は、幽霊が出ても給料が出て欲しいタチだった。社長は変わり者だったが夜勤には優しかった。幽霊話を続けることで困らせて、解雇されるなんて真っ平だったのだ。幸いにしてその後私たちが職場を卒業するまでそうしたことが起きることはなかった。
後にも先にも幽霊を体験したのはこれ一回きりだ。あれから、10年以上が経ったのだけれど、今でもあの女性の声と”気配”のことは覚えている。それは体験してみないと分からないことだ。私は合理主義者だけれども、幽霊を見たという人の話をそれ以来は否定しないようになった。いないと思うけれど、見えちゃうことはあるのだ。いくら科学的に否定したところで、体験者にとっては真実だということが分かってしまったから。もう二度と体験したくないけれど、あの夜のことは、私の人生の劇的瞬間として、ずっと死ぬまで覚えているのだろうな。
2004年10月20日
テレビの嘘を見破る
■幻の魚は、なぜ旅の最終日に釣れてしまうのか
著者はテレビマンユニオン副会長で、武蔵野美術大映像学科教授の今野勉氏。大型の釣り番組では、大抵は”幻の魚”は最終日に釣れる。無論、釣果は運もあるから初日に釣れているケースもあるのだそうだ。しかし、あっさり釣れては、1時間、2時間の番組の長さを持たせることができない。そこで苦労の末釣り上げたプロセスが作られていく。
秘境探検では、往路は目的地に着くことが最優先であるから、車を止めて移動の風景を撮影する時間がない。そこで復路の様子を往路のシーンとして利用したりするケース。
インタビューシーン。現場にはカメラ1台なのでインタビュアーが頷くシーンは後から別に撮影することは常識に近いそうだ。同じインタビューを2度撮影して切り貼りすることもあるという。
秘境の自然の厳しさを伝えるために上から岩を落としたり、スタッフが病気にかかったりする。病気は嘘ではないが、治ってからの撮影だったりする。村の行事を撮影用に演じてもらったりする。典型パターンを描くために、村中から寄せ集めて、偽の家族を作ったりする。こうなると、だんだん怪しくなっていく。
前半で多数の事例が挙げられた。最初は他愛もない演出から、だんだんときわどいヤラセまでを、現場の事情や製作意図を交えて、解説されていく。そして著者は制作サイドの人間としてこう思うが、皆さんはどう思うだろうかと問いかける。
テレビ関係者なら当たり前なのだろうけれど知らなかった裏側が満載で、面白い。
■視聴者は何にだまされたくないのか?
国によってやらせが許される限度が違うという話も興味深かった。英国BBCでは証言者が話下手な場合、似た俳優が分かりやすく話すシーンで代用することも多いそうだ。「事実の意味さえ正しく伝われば、それがどう記録されたかは問わない(作り手の自由である)」という考え方に立脚している。
プロセスの記録か、典型の記録か、という問題の立て方もでてきた。取材地で村中から適当な人物を集めてきて、偽の家族の偽の生活を、本当の生活として撮影する。専門家が見てもそれが正しく村の典型を描ききっているなら、問題ないという考え方。
テレビ番組は有限のリソースで制作せざるを得ない。1年中現地に滞在して典型的なことが自然に発生するまで待つわけにはいかない。細部はともかく事実を世に問うことが先決のテーマもあるだろう。面白さもなければ視聴者に見てもらえない。どうしても作ってしまう部分は出てくる。嘘なしには事実が伝えられないという矛盾が、制作の現場にはどうしても発生してしまうようだ。
結局、視聴者は何にだまされたくないのか。雨が3ヶ月なかったことにして雨乞いの儀式を村人に演じてもらう演出は、許されるのか。視聴者にはOKという人もいれば、ダメな人もいるだろう。著者は制作サイドの人間として擁護と批判を繰り返した後、どこまで許されるかが問題ではないと思うと述べている。伝えたいことがあれば、あらゆる最善の方法をとるのが作り手の原点であり、これからもそうしていくだろうと書かれている。視聴者に許してもらえるから、その方法を取るようでは、気概に欠けているという。
読後の感想として思うのは問題解決の手段としてインターネットがあるということ。報道は批判と議論に晒され続けることが正しいあり方なのだと考える。議論の場と材料が提供されてさえいれば、大枠としては問題ないのではないか。
番組制作の裏側を番組サイトに書いておけばよいと思う。「ここの部分はやらせです」と番組テロップに流せば映像演出が台無しだが、サイトならば、知りたい人には伝わる。議論したい人は議論ができる。
視聴者が本当に怒っているのはやらせによる事実のねじまげ自体よりも、その程度の演出で一般大衆を騙せると思う傲慢さなのではないか、と私は考える。
・ユニバーサル、「川口浩探検隊」シリーズをDVD化
http://www.watch.impress.co.jp/av/docs/20041018/umusic.htm
やらせ系の元祖。子供時代に大好きでした。このDVDは欲しい。
・藤岡弘、探検シリーズ
http://www.tv-asahi.co.jp/tanken/
川口浩の精神を受け継いだシリーズでこちらも必見。
・水曜スペシャル・探検隊シリーズ−非公式・ファンサイト
http://tankentai10.hp.infoseek.co.jp/
2004年10月19日
記憶する技術―覚えたいことを忘れない
記憶力を高めるためのノウハウ本。さまざまな研究をつまみぐい、エッセンスを読みやすくまとめていて、幾つか、気づきがあった。
「必要のないものは、ムリに覚えない」という章があって、アインシュタインは自宅の電話番号も、専門であるはずの光の速さも暗記していなかったという逸話が取り上げられている。必要としなければ天才でも覚えられないというのにほっとする。逆に言えば覚えようとしなくても覚えられることもある。動機づけが大切ということ。
面白かったのはかつてのエチオピアの国を上げての学習強化エピソード。90%の国民が文字が読めなかったので政府は、8歳以上の子供のいる家庭で文字が読めない家族がいる家には赤いステッカー、全員でできれば黒いステッカーを貼る運動を推進した。赤いステッカーが恥ずかしいので国民は必死に勉強し、識字率向上に成功したという。そういえば、私も講演など人前で話す直前に暗記力が良くなっている気がする。恥ずかしい思いをしたくないからで、やらないと恥を書く状況を作り出すのは手なのかもしれない。
瑣末な周辺情報やディテールを敢えて覚えることで、記憶が定着するというノウハウも心当たりがある。大学受験時に予備校で名物講師がいたのだが、この先生は試験には出ない世界史裏話をよく話してくれた。トルコのオスマン帝国では、王座を継ぐには兄弟を殺してからという法律があったこと、くらいまでは試験に出るのかもしれないが、具体的に絹の布で両方から従者が首を絞めて殺したんだよ、みたいな部分は出るわけがない。だが、実際にはこの生々しいシーンが記憶に残って、オスマン帝国のその他の事項が試験では思い出せた。
著者は記憶術の専門家でない分、この本では、自説に固まらず、幅広く理論や経験則を提示してくれるので、これは私向きかも?というアイデアが見つかる本だった。記憶力は頭の基礎体力みたいなものなのだと思う。調べれば分かるで用が済むことが多いが、覚えていればもっとクリエイティブなことができるチャンスがある。会議で統計の数字や前期の売り上げを「後で調べておきます」で決定が次回回しになってしまうことなど、惜しいなあと思う。
以前、毎回感動しながら見ていたドラマ、(アート引越しセンターがモデルの大阪人情ベンチャー成り上がり物語、藤原紀香)があるのだけれど、
・あなたの人生お運びします
http://www.tbs.co.jp/ohakobi/contents.html
このドラマでは顧客名簿を盗まれたとき、記憶力の強い社員が顧客名簿を丸暗記しており危機が回避された。実話だったかどうかは知らないが、こういう人物が社内に一人いたら、会社では戦力になる気がする。
インドでは、九九の計算を、9*9ではなく22*20まで暗記させるそうだ。日本では詰め込み教育への批判で、暗記は軽視されているようだが、基礎体力不足に陥らないと良いのだが。
関連情報:
・Passion For The Future: なぜ、「あれ」が思い出せなくなるのか―記憶と脳の7つの謎
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/000470.html
この本はとてもよかった。名著。
・Passion For The Future: 記憶力を高める50の方法
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/000974.html
今日の本に似ている。
・Passion For The Future: 「3秒集中」記憶術―本番に強くなる、ストレスが消える、創造力がつく
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/001014.html
円周率暗記、元世界チャンピオンの本。
・Passion For The Future: あたまのよくなる算数ゲーム「algo」
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/001072.html
記憶力を鍛えるゲーム。
2004年10月18日
無敵会議第10回 検索会議
![]() | + | ![]() | = | 検索会議 |
YAHOO!の第15回インターネット利用者アンケートによると、「あなたは普段、どのような情報源からウェブサイトをお知りになっていますか?」という質問に対して81%が「インターネットの検索サービス」と答えています。検索はまさにインターネットの入り口であり、検索サイトがポータルサイトと呼ばれる理由になっています。
インターネットの利用目的のトップは情報収集です。膨大なネット情報から、必要な情報を素早く確実に見つける検索の達人こそ、インターネットの達人なのです。そこで、無敵のビジネスマン、生活者を目指す私たちは、今回の会議に検索を選びました。
いつもどおり世界の先端検索サービスを主宰の二人が紹介します。続いて、検索コンテストの優勝者で初代”検索の鉄人”が登場して、検索技術について鉄人の技を教えてくれます。そして、今回の会議のスポンサーは日本最大の検索サービス”YAHOO!JAPAN”です。YAHOO!の皆さんに、検索技術の最新動向や、検索エンジンの裏側についてお話いただきます。
無敵会議ですから全員参加です。
最強の達人と最大の検索エンジン企業のお話を受けて、参加者は個人とグループで、無敵の検索を発想します。検索の未来はこの会議から生まれるかもしれません。出題者はYAHOO!JAPANです。ちょっと事前に調べておくと良いことがあったりして。
それでは会場の六本木ヒルズのYAHOO!オフィスでお会いしましょう!
第一部 世界の検索技術・サービスレビュー
主宰の二人が注目した、世界の検索技術レビュー。
第二部 『検索の鉄人』の超絶技巧
初代「検索の鉄人」関氏が登場。日本で一番検索を使いこなしている人はどんな検索ノウハウを持っているのでしょうか。検索にはこだわりを持つ、主宰の二人も絡みながら、え、こんなこともできちゃうんだ、というTipsを見つけます。
第三部
YAHOO!JAPANより、あるテーマが出題されます。検索の未来を皆で考えるセッションです。優秀個人や団体には何かよいことがありそう。
■ 開催概要
名称: 無敵会議 『検索会議』
日時: 2004年10月27日(水) 19:00開場 19:30〜22:00
場所: 六本木ヒルズ Yahoo! JAPAN様 会議室
2004年10月17日
夜這いの民俗学・性愛編
■おおらかだった日本の性
見込み通りの大当たり。赤松啓介は面白い。
柿の木問答。
「あんたとこに柿の木あるの」「ハイ、あります」「よう実がなりますか」「ハイ、ようなります」「わたしが上がって、ちぎってもよろしいか」「ハイ、どうぞちぎってください」「そんならちぎらしてもらいます」
これは後家や近所の主婦が、13か15歳くらいの童貞の子供に性の手ほどきをする際の儀式であったらしい。新婚初夜にも使ったそうだ。はじめてする男女が心を通わせるために、こうした儀式的対話を演出道具のひとつとして使っていたという。
夜這いは男が女の家に侵入して交わって帰ること。相手はころころ変わってよい。お前、昨日、うちのかあちゃんと寝ただろう、とか、うちの妹のとこにもきてやってくれよ、と友人や隣人と普通に会話している男たちがいる。女もあっけらかんとしていて、童貞のこどもをみつけては、そろそろ教えてあげようかと企んだりする。村中の男女が近親含めて交わっている。こうした乱交状態が広く日本の農村社会に続いていたと赤松は言う。
「昔の日本の性はもっとおおらかなものだったらしいよ」とよく聞くわけだが、そのおおらかさを具体的に説明できる人はほとんどいない。柳田国男が始祖となった日本の民俗学には妖怪や神々の性の話はあっても、一般民衆の性生活の話はほとんど出てこない。柳田は民俗学を正当な学問とするために、風俗史において大きなウェイトを占めて然るべき性風俗を闇に葬ってきた。赤松啓介は柳田をペテン師と呼んで厳しく批判している。
性風俗の実態を村の人々に教えてもらうには、学者風の調査では不可能である。村の生活に溶け込んで一緒に酒を飲んで腹を割って話せるようにならなければ、村人は本当の話をしてくれない。素朴な性格の赤松啓介にはそれができた。
解説の上野千鶴子は、赤松の話のリアルさを認めながらも、記述の信憑性に疑問も持っているようだ。確かにこの本は、広範なフィールドワークというより、赤松個人の体験集であるという面も強い。
■相対化
例えば娘かつぎの話。
「
(清水寺の参詣に)娘たちは必ず数人で組んで登ってくるが、二、三人の若い衆が現れていっしょに上がろうと誘うと、これも殆ど同じようにイヤッとか、なんとかいって逃げ惑う。二、三人は坂の上へ上がるし、二、三人は坂下へ逃げ、逃げ送れた一人がとっつかまって上半身を二人、下半身を一人がかかえてテラスへ運ぶ。「カンニンや」とか「やめて」とかあばれるが、マタへ手を入れられ、お乳をにぎられるとおとなしくなる。輪姦が終わると山の山門まで仲よく送ってやり、逃げた友達を探してやったりした。
」
これ、今であれば立派に強姦罪が適用される輪姦事件だろう。だが、当時は女の子がべそをかいて終わり程度の日常の一コマだったらしい。帰りには男女仲良く帰った雰囲気がうかがえる。無論、根底には貞操は奪われるがそれ以上ひどいことはされないという了解もあったのだろう。もちろん、こうした農村社会も、完全な無秩序、フリーセックスだったわけではなく、むしろ、村単位の掟の上で成立する自由であったようだ。
私たちの世代の受けた性教育も今振り返るとずいぶんおかしいものだったと思う。「性を大切に」などと教える。その意味は一定の年齢になるまで性交は待ちなさい。その年齢になってからも、この人はと思える人が現れるまで慎みなさいとする。貞操は守るものであって、楽しむためにはないのである。
だが、本当に性を大切に考えるのであれば、存分に使って楽しむ方法こそ教えるべきなのかもしれない。村の後家や主婦たちによる童貞のてほどきレッスンは、現代の風俗嬢も真っ青の充実振りであったようだ。技術も心得も濃密に伝える。少年たちは、異性をどう喜ばすかを早い時期に知る。そして、ひたすら試す。ステディな交際や結婚とは無縁の、無数の性関係を取り結ぶ。100人斬、1000人斬(女性なら抜き)の達成者があると村で祝ったりもする。無論、代償として誰の種か分からぬ子供が生まれたりする。だが、寄り合いでオヤジが息子を膝に乗せて「こいつは俺に似てねえようなあ」と笑いのネタにする程度の問題だったというから、また驚く。
今と昔を比較して、どちらが良い、悪いというのではなく、今ある男女関係や価値観も一時的なものに過ぎないものとして、相対化できるのが、こうした民俗学の価値だなあと思う。
赤松はおおらかさの減少を資本主義の搾取と結びつけて論じている。きつい労働と少ない娯楽の農村社会では、性は癒しであり娯楽でありコミュニケーションであったが、権力者があらゆる性交渉に税金をかけるために公娼制度を作ったり、西洋近代化を進めるために一夫一婦制度を確立した結果、現在の性道徳ができあがったのだという。
男と女の私秘関係にも権力関係は影響している。さらに哲学していくと、ミシェルフーコーの性と権力の研究あたりにつながりそうだが、赤松啓介の本はそこまで考えずにただ楽しみながら読んだほうが正解かもしれない。とにかく生々しさが面白いので。
赤松啓介的世界観の漫画。昔ながらの風俗が残った隠れ里に迷い込んだ少年の冒険。なかなか面白い。
2004年10月16日
仮想ファイルシステム上で安全にIEを実行するSandboxie
・Sandboxie
http://www.sandboxie.com/

InternetExplolerを仮想ファイルシステム環境下で実行するセキュリティ保護ソフトウェア。IEは通常は自動的にアクセスしたURLの履歴、IDやパスワード、Cookiesなどのデータをシステムファイルに記録してしまう。また設定によっては、Windowsにウィルスやスパイウェアが自動的にインストールされてしまう。
Sandboxieは仮想ファイルシステム上でIEを実行させることでこの危険を防ぐ。何らかのシステムの改変が行われても、該当するSandboxieのプロセスを削除してしまえば、すべてその変更はなかったものとされる。プロセス継続中はもちろん、Web履歴などのデータは維持されるので問題なくIEを利用できる仕組み。
詳細は明らかにされていないが、ドライバとして組み込まれ、OSの下層レベルで実行されているようだ。開発者はドキュメントの中で、従来の履歴消去やスパイウェア除去ツールは、変更が行われた後に原因ファイルを削除するので対応としては不十分だと主張している。Sandboxieを使えば、変更が起きても一時的なもので、いつでも元に戻せる。
信頼性の怪しいページやプラグインを使わなければ良いわけだが、その怪しさがインターネットの魅力のひとつでもある。また個人や海外の作者のプラグインは信頼性が判断しにくい。ちょっと怪しいなと思ったときにはSandboxie上でIEを動かせば安心して使える。
もちろん、前提としてSandboxieが信頼できればの話であるが...。
2004年10月15日
デスクトップを検索するGoogle Desktop Search
これからはインターナル検索だという記事を書いたばかりですが、早速Googleがデスクトップ検索ツールをリリースしてきました。実験的試みの割に極めてよくできています。即戦力ツールとしてデスクトップに常駐しそうです。Googleプレスリリースでは日本語未対応となっていますが、実際には日本語検索可能です。(一部報道で日本語検索不可能、不安定などの記述がありますが、私の環境では正常に使えました。インデックスが完了するまでしばらく時間がかかるので待てばできるようになるようです。)
・Google Desktop Search Download
http://desktop.google.com/
インストールすると自動的にハードディスク上の検索可能ファイルをインデックス化していきます。Webサーバを内蔵しており、ブラウザーで検索インタフェースを利用します。URLは「http://127.0.0.1:4664/&s=500917495」のようなアドレスです。
画面イメージ:
現在の検索対象は、Outlook、OutlookExpressのメール、AOLのIMログ、MS Word、Excel、PowerPoint、テキスト、Web履歴キャッシュ、HTTPS上のWebページ履歴キャッシュで、最初から幅広い形式をサポートしています。
私が便利に感じたポイントは3つです。
1 ブラウザーキャッシュ検索
どこかで見たけれどどこだっただろう?というページありますよね。私はいくつかこれを実現する仕組みを構築して試していました。例えばフリーソフトの組み合わせでは、こんな方法があります。
・プロクシーサーバDelegateと検索エンジンFreyaの組み合わせでWebキャッシュ検索
http://www.delegate.org/freyasx/doc/memo5-ja.html#cache-indexer
・プロクシサーバsquidのキャッシュを検索エンジンnamazuで検索
http://mylab.ike.tottori-u.ac.jp/~mijosxi/1999/12_sqnmz.html
ですが、ファイル形式が限られてしまったり、文字化けが解消できないなどの問題がありました。GoogleDeskTopSearchの登場で、こうした自作検索の必要はほとんどなくなったと言えるのではないでしょうか。
2 シンプルなインタフェース
設定はほとんど不要で、Googleを使う感覚で利用できます。自動的にWindowsの背後でインデックスが作成されていくので、ユーザは何もすることがありません。
3 デスクトップとWeb検索の統合
統合オプションにチェックを入れておくと、通常のGoogle検索の結果ページに、インターナル検索へのリンクが表示されます。Webと同時に、ハードディスクも調べられるのが楽でいいですね。
不満なポイントは、Outlook以外のメールソフトのデータは検索ができないこと。PDFの検索ができないこと。
総合的には、まだ有償製品の検索ツール、サーチクロスに軍配はあがりますが、機能が追いつくのは時間の問題だと感じます。








