2007年07月31日

SNSの研究 あなたはまだ「マイミク」のことが好き?

・SNSの研究 あなたはまだ「マイミク」のことが好き?
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ソーシャルネットワークの研究本。

佐々木 俊尚 (著), 原田 和英 (著), 保田 隆明 (著), 齊藤 和生 (著), 田口 和裕 (著), 平山亜佐子 (著), 「シナトラ千代子」管理人 (著), 松永 英明 (著), 園田 道夫 (著), 寺本 秀雄 (著), SE編集部 (編集) とたくさんのライターが参加して執筆している。

一般論として、執筆者多数で書いたIT本というのは、文章の寄せ集めになりがちで、面白くないものが多いのだが、この本は、違った。寄せ集め本ではあるのだが、それによって、妙なインパクトが出ている。

前半と後半でまるっきり違う本だとも言えそうなのだが。

前半の目次はこんな感じで

「Part 1:SNSはどこへ向かうか
・ソーシャルネットワーキングはネットとリアルの関係を変えていく/佐々木俊尚
・Singing new songs「新しい歌」/寺本秀雄
Part 2:ソーシャルメディアの可能性
・世界のSNSは多彩で充実している/原田和英
・意外とクチコミに向かないSNSで上手くマーケティングする方法/保田隆明
・モバゲータウンのDNA リアルとヴァーチャルを揺れ動くケータイSNSの世界/畑村匡章(株式会社ディー・エヌ・エー)
・Twitter・Vox・Tumblr・コトノハ ミクシィに疲れたアナタにおすすめ ユル~いソーシャルメディアたち/齊藤和生
・Singing new songs「ビヨンド・ザ・タイム」/寺本秀雄」

前半は、ジャーナリスティックに、データに基づいて、真面目なSNS研究の内容が多かった。評論家たちがSNSの世界の見取り図を客観的に描いてくれている。普通に役立つ情報である。

ところが、後半でライター達が暴走する。

「Part 3:素晴らしき「マイミク」の世界
極私的mixiクロニクル 僕と誰かとミクシィで/田口和裕
古屋兎丸さんが二十年前の記憶を漫画に昇華させるためにソーシャルネットワーキングがどんな役割を果たしたのか? またはサブカル部部室としてのmixi
・コミュニティ管理人は指四本で殺れる/平山亜佐子
・ミクシィ疲れの傾向とその対策 SNSはルールのない荒野だった/「シナトラ千代子」管理人
・Singing new songs「アイネ・クライネ・ナハトミクシィ」/寺本秀雄

Part 4:本当は危険なSNS
・コミュニティ乗っ取り事件 SNS=性善性な巨大社会における異文化衝突の顛末/松永英明
・ミクシィの危うさ SNSは個人情報の宝の山だ/園田道夫
・Singing new songs「妖怪スパムメエラ」/寺本秀雄

もうタイトルからして大暴走である。日経BPの編集者だったら止めただろうが、止めないのが翔泳社の良いところ。私が高く評価するのは当然、圧倒的に後半である。サブカルチャーとしてのSNSの良い面も悪い面も、高いところにいる評論家としてではなく、どっぷり中の人になったライター達が、現状を語る。

前半は一般人向け、後半はマニア向けで両方を楽しめるお得な一冊になっているなあと思う。

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2007年07月17日

SecondTimes創刊 と ウェブ仮想社会「セカンドライフ」 ネットビジネスの新大陸

・ウェブ仮想社会「セカンドライフ」 ネットビジネスの新大陸 と SecondTimes創刊
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セカンドライフ導入支援のメルティングドッツ社長の浅枝さんが書いた本。まだ浅枝さんにはセカンドライフ内でしかお会いしたことがないのだが、この本にはセカンドライフの可能性が前向きに書かれていて、勢いのある旬な本だ。

日本人以外のユーザーは自分に似せたアバターを作るが、日本人は動物や二等身キャラなどの変身キャラを作ることが多いと書かれている。そうですね。私なんかこんなバケモノですもん。

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IT業界の人間として、セカンドライフってどうなると思いますか?とよく聞かれる。セカンドライフかどうかは分からないが、近い将来に何らかの3次元仮想空間のコミュニティが、ミクシイと同じくらいの規模のユーザを集めてもおかしくないと考えている。プラットフォームはPCではないかもしれない。携帯やゲーム機上の可能性もありそうだ。

私がそう思う理由は、90年代から具体的にはDiablo、AOE、Unreal、FF11などのネットゲームをずいぶん遊んできたから。敵を倒したりするゲームシナリオよりも、リアルな大人たちの”ゴッコ”コミュニケーションが麻薬的に面白いと当時思っていた。三次元仮想空間のコミュニティは、万人にとっての魅力になりうると今でも思っている。


デジハリ大学の杉山学長はこんなことを書いている。

・THE SECOND TIMES : コラム ≫ キーマンに聞く ≫ 「メタバースが提示する世界」 デジタルハリウッド大学 杉山知之学長
http://www.secondtimes.net/column/person/20070717_person.html
「メタバースが提示する世界」 デジタルハリウッド大学 杉山知之学長

「Second Lifeやその他のメタバースに対して、今、懐疑的な意見を持つ人は多いだろう。でも、それはコンピューターが新たな世界を一般の人々に提示するとき、必ず起こってきたいつもの事だ。中でも技術的な問題はいずれは解決されてしまうことはあまりにも明らかだ。」

私の周囲には、セカンドライフにハマった人と、まったくハマらない人がいて、ハマった人はメタバース内に仲間がいる。対人コミュニケーションが面白いのであって、一人で試しに遊んでみても、面白くならない。局所的でも密に、ある程度の大きな数のユーザーがハマっていくと、ネットワーク効果で爆発ということはあるかもしれない。

昨日、セカンドライフをはじめとする3Dインターネットのニュースサイトをngi groupが立ち上げた。私もライターとして参加することになった。連載名は「橋本大也の3Dインターネット向上委員会」。ネット上の3Dモノをネタに不定期で更新していくつもり。

・THE SECOND TIMES
http://www.secondtimes.net/


・橋本大也の3Dインターネット向上委員会
http://www.secondtimes.net/column/3di/20070717_3di.html


どうかよろしくお願いします。

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2007年06月12日

ネットで人生、変わりましたか?

・ネットで人生、変わりましたか?
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数年前、私は友人・知人にメッセンジャーで「やっぱりさ、岡田有花、乙部綾子、マグラスみづ紀が御三家だよねえ」と言うと、「それは何の御三家ですか?」「誰ですかそれは?」という返事が返ってきたものですが、やはり私の目に狂いはなかった、のだ(謎)。
ITmediaNewsで活躍するライター岡田有花さんの本が出た。2003年から2007年初めまでの主だった記事が収録されている。さらに各記事には当時を振り返るコメントがつけられている。Webで読んだことがある読者にもサービス精神旺盛な内容。

私はリアルタイムにほぼ全部読んでいたのだが面白く読めた。

個人ブログ全盛の時代に、IT関連で大手メディア発の名物ライターで人気者になるというのは、珍しい存在だと思う。出版社在籍の立場を活かした取材ベースのニュース記事と、個人の感性を前面に出したネタ系コラムを、自身のキャラクターのもとで、巧妙にブレンドしているのがうまいなあと感心する。

まえがきで自身でこの本をこう説明している。

「この本は、ITニュースサイト「ITmedia」に掲載した記事をまとめたものですが、ITニュースにありがちな「ネットベンチャー」とか「Web2.0」とかいうカタカナのキーワードや、ヤフーやGoogleといったネット界の大企業は、ほとんど出てきません。その代わり「変」とか「好き」とか「寂しい」とか「幸せ」とか、人間くさくてちょっと格好悪い日本語と、はてなやモンスター・ラボなどといった小さなネット企業が、いくつも出てきます。主人公は、ネットを使う一人ひとりと、そのひとりに対して何かを届けようとする一人ひとり-----インターネットの「中の人」です。」

ニュースとしてのインタビュー記事が、いつのまにか濃い人物ドキュメンタリになっていくのが岡田有花さんの作風。読み物になっているので、複数ページになっていてもついついクリックしてしまう。話題の選び方、評価の姿勢にも独特の価値観があらわれているのもファンが多い理由だろう。言葉の端々から、社会性というか、マイノリティに味方して期待する志が感じられる。ひたむきな人にスポットライトを当てて輝かせるのが上手だ。ライターとして書き方にとても共感できる。

著者の記事をほぼ網羅した、ファンによるリンク集がある。

・IT戦士 岡田有花リンク集
http://www8.plala.or.jp/garden/note/it.html

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2007年05月05日

Web担当者現場のノウハウ 第5号と過去記事のWeb公開開始

創刊以来、連載を担当している隔月刊誌「Web担当者現場のノウハウ」の「橋本大也の“帰ってきた”アクセス向上委員会」のバックナンバーがWebでも公開されることになりました。

・Web担当者現場のノウハウ vol.5―ホームページとマーケティングをWeb2.0でつなぐ
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「【内容】
SEOの入口説明します!
特集は「SEOについて最低限知っておくべきコト 07年版」。サイトを作る時点で検索エンジンの最適化を計画に含めるのは、今や当然。でも最低限しなければいけないことや、正しいやり方は何なのか、はっきりわからないのも事実。今号では、自分でやるSEOの基本から依頼する業者の選び方まで、SEOの入口から基礎を幅広く説明します。

・[特集]SEOについて最低限知っておくべきコト 07年版

・[インタビュー]注目企業のネットビジネス戦略<オーバーチュア>

・1000万円のサイト構築を50万円でする方法

・Webワーカー向け便利サービス[特別版]Google Webmaster Central

・ライバル企業に差を付けるネットビジネス必携プロダクト
<ケータイ対応CMS>

・価格別 CMS製品導入プラン

など」

最新号はSEO特集です。

・Web担当者Forum
http://web-tan.forum.impressrd.jp/

私の連載バックナンバー

・橋本大也の“帰ってきた”アクセス向上委員会 #001 〜Web 2.0
http://web-tan.forum.impressrd.jp/e/2007/04/10/1046
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・橋本大也の“帰ってきた”アクセス向上委員会 #002 〜サイトの信頼性を高めるには?http://web-tan.forum.impressrd.jp/e/2007/04/24/1047

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2007年02月28日

ウェブ3.0型社会 リアルとネット、歩み寄る時代

・ウェブ3.0型社会 リアルとネット、歩み寄る時代
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KNNの神田敏晶氏が、Web2.0の次にくる変化を先読みした本。

神田氏はネットの黎明期から、Webを舞台にメディア(ビデオ配信、メールマガジン、ブログ)を立ち上げたり、コミュニティを運営したり、会社を経営したり、事件を起こしたりしてきた。だから、このままいけば未来はこうなると予想するだけでなく、こうあるべきだ、こういうのが面白いんだ、ということが書いてある。

個人的に、これからはプロとアマの垣根が一層なくなっていくという話が面白かった。人間の消費行動が変わるだけでなく、生き方が変わろうとしているということだから。

「ブロガーがプロにも対抗できるのは、「今言うべきことを今言っている」という、ジャーナリズムの基本定義を満たしていることに加えて、「独自に調べた一次情報」、「これまでになかった新しい見方」という、他人が読む価値のある文章の基本だと思われる二つの要素が含まれていることにあると思う。そして、アマにできてプロにできないことを「継続」するアマが出てきた時点で、プロの付け入るスキはなくなるのかもしれない。」

「今までは機会が与えられなかったアマチュアに比べて、組織に所属しているだけで機会を与えられていただけのプロというのは、徐々に食い扶持が減るかもしれない。真のクリエイティブを目指して実行してきた人には関係ないが、道具を持っているだけとか、コネがあっただけという人は、困るようになるだろう。」

これは学生時代にアマチュアとしてネットの世界に出てきて、今はプロをやっている(つもりの)私自身のこの10年間の意識と重なって強く共感した。所属しているだけのプロたちとの競争では負けたくなかった。アマチュアが活躍しやすい状況になってきているのはいいことだと思う。

プロかアマかと同じように、ウェブかリアルかという視点もある。

「しかし、次のウェブ3.0型社会においては、ウェブだけではなく、リアルな社会との相互の歩み寄りが非常に重要だl。単にデリバリーや効率化だけのネットワーク利用ではなく、ネットワークやウェブで構築された文化や社会を、リアルな社会へとリプレースする必要があるのではないだろうか。」

オンラインコミュニティのオフ会に行くと、ネット上のハンドルネームや人間関係をそのままリアルに持ち込んでいる状況がよくある。このときに普段の会社の名刺を交換して、その現実社会の関係性や階層性を反映させたら興ざめである。仮想世界の人間関係だって本物の関係であるという意味ではリアルなのだから。

ネット上で築いた人気や信用を使ってリアルの世界にステップアップするというのが、1.0的世界だったような気がしている。たとえば、ネットで書いていたライターであれば、雑誌ライターになる、本を書く、テレビに出演する、リアルなビジネスとして成功するというのが、アガリとされていた。つまりバーチャルで一旗あげてリアルに錦を飾るモデルである。

ここでいう3.0型社会というのは、そういう古い価値観を打ち破って、リアルとバーチャルがシームレスにつながって、区別の意味がなくなる状況を指しているのかなと思った。

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2007年01月31日

ウェブ人間論

・ウェブ人間論
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Web進化論の梅田望夫と芥川賞作家の平野啓一郎の対話。インターネットの時代に人間はどう変わるか、どう生きるかを、スタンスが異なる二人が真正面から意見をぶつけている。その違いが緊張感を保ちつつ、二つの視点交差が時代を立体的にとらえている。読みやすくて、同時に読み応えもある同時代論。

対話の内容は多岐に渡る。特に気になった部分だけを取り出してみた。

梅田氏がネットから受ける刺激は、何時間もかかる読書よりも身近だし手軽で、良いものだという趣旨のことを言ったのに対して、平野氏は、

「ネットには何故飽きないかというと、自分で情報を取捨選択しているからなのでしょう。本は面白くない箇所もありますから、途中でイヤになることもあるけれど、実はそここそが、肝だったりする。良くも悪くも、情報をリニアな流れの中で摂取するしかない。ネットはどうしても、面白いところだけをパパッと見ていく感じでしょう。それで確かに、刺激はありますけど、なんとなく血肉になりきれない感じというか。」

と述べている。私の意見は平野氏に近い。(梅田氏も実際には何時間もかけて本を読んでいる人のはずである。平野氏の意見を引き出したくて、そう言ってみただけのような気もする。)

好きなものばかり食べている人と、苦手も克服しながら食べる人の違いだ。栄養バランスの観点では後者のほうが優れていると私は思うのだけれど、梅田氏は新しい考え方をする人だ。人間の「居場所」についての対話で、こうも述べている。「でもある年齢になれば、ある程度逃げていくことだってできるでしょう。そこは自分で選択していけばいいんじゃないかな。僕の場合、時間の制約ということを痛烈に意識しはじめた四、五年前から、付き合いたくない人とは付き合わないということを最優先事項にして生きようと決めました。」と語る。

食わず嫌いは悪いことではなく、自分が好きな能力を好きなだけ徹底的に伸ばす方がいい、という考え方を梅田氏は持っているようである。

この本で一番スリリングだったのは、世の中における自分の居場所との関わり方について

梅田「努力して、自分に適した場所に移るということですよ。ネットの情報がそのきっかけになるということかもしれないでしょう。それはいけませんか?

平野「合わないから移る、というのはいいと思いますけど、変えるべき現状があって変えないというのはどうですか?これは、政治の問題まで含めて。」

というあたり。

流動性が高く能力主義のシリコンバレーを選んだ梅田氏と、日本語の芸術家であるが故に日本にこだわりを持つ平野氏の生き方、哲学の違いを強く感じた。全体的な論調としては新しい生き方2.0を打ち出す梅田氏に対して、平野氏は古くて新しい価値で返していて、決して防戦にまわった印象がない。

この対話を読んでどちらを支持するかを問われたら私は僅差で平野氏に一票を入れたい。技術や経済を中心に考える梅田氏に対して、平野氏は文化や社会まで広い視野で今と行く末を語っているからだ。

しかし、梅田氏は、敢えて異なる視野を持つ平野氏を対話の相手に選んで、話の幅が広がるように仕掛けたのだと思う。そしてこの本も売れている。結局、勝ち組は梅田氏ではあるのだが。

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2007年01月30日

Web担当者現場のノウハウ vol.4―ホームページとマーケティングをWeb2.0でつなぐ

・Web担当者現場のノウハウ vol.4―ホームページとマーケティングをWeb2.0でつなぐ
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「今月の「Web担」の特集は「アクセス向上 99のワザ」。いつの時代もWeb担当者を
悩ませるアクセス数を上げるために、具体的な方法を99例紹介しています。
独占直撃インタビューは「ティム・オライリーが語るWeb2.0とその先にあるもの」
Web2.0という言葉を世に知らしめたオライリーが考えるウェブの未来について、サ
ンフランシスコで行われた「Web 2.0 サミット」で取材しました。」

連載を担当しているこの雑誌(隔月間ムック)の第4号の特集は「アクセス向上99のワザ」。その冒頭に2ページほど、記事を書かせていただきました。

そのタイトルは...。

「続けていれば今年で10歳の大人気ML「アクセス向上委員会」元管理人が語る
アクセス向上の昔と今、そして未来」

「続けていれば」ってなんだ(笑)。

記事では「アクセス向上の10年史」を振り返り、少々強引に各年度を○○の時代と定義しました。各時期のマーケティング担当者の関心テーマの変遷がわかるように書いています。ここでは目次だけを引用、掲載してみます。

【アクセス向上の10年史】

■1996年 ホームページの立ち上げの時代
■1997年 サイト同士の相互紹介の時代
■1998年 検索エンジンへの登録の時代
■1999年 メールマガジンの時代
■2000年 無料サービスの時代
■2001年 サーチエンジン最適化の時代
■2002年 モバイルメディアの時代
■2003年 コンテンツマッチ広告の時代
■2004年 ブログの時代
■2005年 ソーシャルメディアの時代
■2006年 クロスメディアの時代

そして【2007年のアクセス向上キーワード予想】を書いています。

特集本文は私は関わっておりませんが「アクセス向上 99のワザ」には人気ホームページ、人気ブログづくりのノウハウが満載です。広報担当者のチェックリストとしても使える内容です。

みんなの就職活動日記やSimpleAPIで有名な伊藤将雄さん、GIGAZINEの山崎恵人さんという、現役のスーパーWebプロデューサーたちへのインタビューもあります。伊藤さんは私が編集部に紹介して取材を受けたはずなんですけど、掲載記事を読むと、アクセス向上に対して私と逆のことをお話されています。汗出ました(笑)。

このほかティム・オライリーにWeb3.0とは何か?と突っ込むインタビュー記事であるとか、暴かれたやらせブログ「flog」の末路、企業向けSNS構築サービスガイドなど、興味深いテーマが連続しています。これが第4号ですが一番、面白いんじゃないかと思います。

感想を書いているブログを見つけました。

・memokami :: 「Web担当者 現場のノウハウ vol.4」が届いた
http://memoup.seesaa.net/article/31933217.html
「アクセス向上は、橋本大也さん、秋元さんが書いてて読みやすいです。
いとまささん、GIGAZINEさん辺りのインタビューをしているあたりが秀逸かなと。」

ほらね、すばらしい読者の声。

かと思ったら、「私は「企画書を光らせる珠玉のキーワード」連載シリーズを今回執筆させて頂いています。」。なんだ関係者か...。

それで結局、今日はこの雑誌の宣伝ですか?って言われそうですが、宣伝なのです。買ってください。よろしくお願いします。

・雑誌とWeb連載開始:帰ってきたアクセス向上委員会 on Web担当者 現場のノウハウ、Web担当者Forum
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004670.html

・再掲:アクセス向上委員会通信1997-1999ログ
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/001346.html


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2007年01月06日

実録 SEの履歴書

・実録 SEの履歴書
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昨年に続いて今年も新春ポッドキャストの企画を、ブロガーのたつをさんこと山下達雄さんたちと一緒にやりました。

たつをのChangelog たつを氏 
         http://nais.to/~yto/clog/

2006年に一番ついていたこととして、たつをさんは書籍にインタビューが収録されたことを挙げていました。

・新春ポッドキャスト ブロガー対談 「ツイてる!ポッドキャスト2007」
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004850.html

それがこの本です。第一線で活躍するシステムエンジニア9人に成功の秘訣をインタビューした内容で、たつをさんはトップバッターです。早速読んでみました。

「具体的には、まず本を読んだりウェブを見たりというのが多いですね。あと新しい技術やチップスをみつけると何か一つ自分で作ってみます。そしてサイトにプログラムを置いたり、ブログで紹介してみます。僕の中ではブログというのが、簡単にアウトプットできる場所として定着していますね。何か作ったら、とりあえずブログに置いておけばさらに情報がもらえたり、間違っていたら教えてもらったりというフィードバックが来るんです。それがまた、仕事に役立つんですよ。」

これはSEではないですが、私も実感しています。

それから大変に感動したのが、山下さんがパッケージソフトからウェブへと指向を変えたきっかけとして外部との交流があったという部分で、

「僕がよく行っていたのは「無敵会議」というイベントです。「百式」の田口元さんや橋本大也さんが主宰していたイベントで、技術主体のイベントではないのですが、技術者もいたりして刺激になりました。」

と書いてくれていることです。無敵会議というのは私と田口さんが2003年12月から2004年12月まで毎月一回全13回開催したイベントのことですが、

・無敵会議最終回 超忘年会議 報告第3弾
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/002751.html
私のまとめ。

・[企]: 無敵会議『超まとめ』
http://shigepi.seesaa.net/article/1432485.html物凄い参加者の方のまとめ。
まとめ方として無敵

そのようなきっかけをつくるイベントを主宰できたことは改めてとても嬉しいことでした。

山下さんに続いて登場するのは、オープンソースDBの「PostgreSQL」の開発・普及に尽力し、日本ユーザー会理事長を長年務めた石井達夫氏、ニフティの「ココログ」を企画し、現在「はてな」のCTO(最高技術責任者)として活躍する伊藤直也氏、Debian JPプロジェクトを立ち上げ、現在グーグルに在籍する鵜飼文敏氏など、まさに第一線のプログラマやエンジニアの方々。

彼らが成功したのは、高いスキルを持っていることは当然ですが、どうやってそれを身につけたのか、どのような努力をしているのか、きっかけはなんだったのか、など具体例がたくさん見つかります。

エンジニアのキャリアを選ぼうとしている人にとてもおすすめの一冊です。

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2006年12月13日

口コミ2.0 ~正直マーケティングのすすめ

・口コミ2.0 ~正直マーケティングのすすめ
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時代に乗ってノリノリの3人が書いたネットマーケティング論。ネット上でいかにして口コミを発生させるか、ビジネスにどう活かすか、基本的な考え方をまとめた入門書。AIDMAからAISCEASへ、Web2.0とは、正直さが重要など最近のWebマーケティングの話題が一通り解説されている。

口コミを始めたくなるツボとして4つ挙げられていた。

1 エッジ すごい、うまい、ひどいなど、突き抜けた感
2 オープン 素顔をさらけだす
3 ストーリー わかりやすいストーリー
4 クロスメディア 口コミの炎にマスメディアが油を注ぐ

ソーシャルブックマークで流行るモノってそんなものだなと眺めて納得。

ところでこの本、本文の合間に収録されている3人のざっくばらんな座談会がよかった。それぞれ気になった発言を抜き出してみた。

「藤代:人間はニュースも見るけど、みんなが見ているものを見たいという欲求がある。仲間が見てるものも見たい。」

「保田:マーケティングする側からみれば、カリスマ・ブロガーやカリスマ・アフィリエイターに商品を紹介してもらうよりも、そういう一行コメントをたくさん集めて吸い上げてくる方が、もしかしたら価値があるかもしれないね。」

「上原:でもさ、リードオンリーの人たちも、リードを始める手前でのワンクリックは存在しているわけでしょ」

これまでのネットマーケティングは、企業 → インフルエンサー → 一般ユーザー という流れが大切だと言われてきたが、インフルエンサーが不要なやり方ってありうるなあと最近感じていたのだ。

上原さんが運営しているNewsingやはてなブックマークを見ていてそう思う。

・newsing(ニューシング) - ソーシャルニュースサイト
http://newsing.jp/

ソーシャルニュースやソーシャルブックマークのライトユーザーの多くは、情報発信しているという意識がないと思う。誰に影響されたわけでもなく、普通にニュースサイトを見て自分のためにブックマークしたり、○×をつけたりしているのだろう。藤代さんがいうように、みんなが見ているものを見たいという意識も働いているはずだ。インフルエンサーの、ではなく、自分と同じようなみんなの意見を知りたいのだ。

「みんなの意見を集約するサービス」と「カリスマブロガー」は、ユーザーのアテンションを取り合うライバルという面があるなと思う。一生懸命に考えてブログのエントリを書いても、ソーシャルサイトのランキングの方が面白かったりするわけである最近は。

意見を吸い上げる側としても、カリスマの意見だけでなく、みんなの意見も参考にしたいだろう。カリスマも頑張りすぎるとマスメディアと見分けがつかなくなってしまう。ブログよりも、みんなの一行コメントやクリックなどの行動ログが、みんなにとって重要な情報源になってきている。

ブログの次はログ、かもしれない。

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2006年12月06日

Web2.0のビジネスルール

・Web2.0のビジネスルール
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ネットエイジの後藤さん、サイボウズの小川さん共著によるWeb2.0の入門書。


さて、そのWeb2.0の本質が何かということについては、さまざまな論議が生まれ
ています。それまでのWeb、つまりWeb1.0では、情報の受信とそれを支える検索
という受動的な側面ばかりが進化してきました。それに対して、Web2.0では、情報
の発信と共有という側面の進化が見えてきています。

 Webをメディアとして捉えてみるとその特徴がよくわかるのですが、テレビを観
たことがないとか新聞を読んだことがないという人はほとんどいないでしょう。少な
くとも現在の日本では、ほぼ百パーセントの普及率と言ってよいはずです。しかし、
それだけ普及していながら、テレビに出演したり新聞に掲載されたり、あるいは情報
を提供したことがあるという人は、ほんの一握りでしょう。つまり、情報の受信と発
信の双方向性を持つメディアは、ほぼ皆無だったのです。

 ところがWebの場合は、Webを使ったことがある人という普及率はまだまだテ
レビや新聞には及ばないとはいえ、Web上に情報発信をしたことがあるという人の
数は、既に数百万人に達しています。たとえば、ブログを書いている人とミクシィなどのSNSに参加している人数の延べ数で言えば、一千万人を軽く超えています。

テレビに出演したことのある人の数とブログやSNSで書き込んだことのある人の数を対比させているのがわかりやすいなと思った。

1. 事業創造編
2. ブランディング編
3. 開発モデル編
4. オペレーション編

という章立てで、ユーザー参加型で双方向型のWeb2.0サービスの概念説明と、自ら取り組んでいるサービスの事例も織り込みながら、ビジネスとしてのWeb2.0を語った新書。

で、その後藤さんが役員をつとめるネットエイジのソーシャルブックマークSaafで面白いクリスマスキャンペーンが始まりました。私も関係者なので半分宣伝ですが。

欲しいモノのページをブックマークして「オネダリ」というタグをつけておくと、クリスマスに抽選でその商品がもらえるかもしれないという企画です。

・世界初のクリスマス・プレゼント★ブックマークで即応募?! by Saaf
http://saaf.jp/campaign/bookmark_de_christmas/
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とはいっても、家だとか車は予算の関係上?もらえません。欲しいものがそのままもらえるとは限らないのがこのキャンペーンの2.0的なところです。応募内容からSaafガールがテキトーに2万円相当の関連商品を選びます。

宇宙旅行をブックマーク ⇒ スペースシャトルの模型?!
温泉旅行をブックマーク ⇒ 温泉の元1年分?!
缶コーヒーをブックマーク ⇒ 缶コーヒー1年分?!
ダイヤモンドをブックマーク ⇒ タイヤ+アーモンド?!

といった具合です。

既に開始しているキャンペーンですが、ユーザの皆さんがオネダリされたモノの一覧がこちらで見れます。これ自体、結構面白いリストです。

・Saaf タグ検索 | オネダリ に関するブックマーク
http://bm.saaf.jp/tag/search?q=%E3%82%AA%E3%83%8D%E3%83%80%E3%83%AA

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2006年09月25日

できる100ワザ SEO & SEM 集客も売上もアップするヤフー!・グーグル対策

・できる100ワザ SEO & SEM 集客も売上もアップするヤフー!・グーグル対策
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影響力のある言葉の探し方、アクセス解析のキモ、PageRankの上げ方、低予算でできるキーワード広告など、Webサイトの集客と売り上げを増やす方法が100。このシリーズは本来は入門書だが、ノウハウが集約され、実行手順が具体的に書かれていて、中級者以上でも参考になる内容。

Excelで「キーワード帳」を作って、自分のサイト用のキーワードリストをメンテナンスする。実際に検索してみて、競合サイトや他の分野の人気サイトからキーワードを”盗む”のが基本だが、この本には、著者らの長い経験から作成された、強いキーワード案が表にして紹介されている。

例えば「口コミ」を探しているユーザには、口コミ、おすすめ、比較、人気、評判、評価、批評、話題、選び方...。悩み解決を探しているユーザには、簡単、作り方、やり方、育て方、トラブル、対策、相談、診断、修理...。こうしたキーワードを自分のサイトのキーワードと組み合わせることで、検索エンジンで発見されやすく、クリックされやすくなる。

ひとりで考えているだけでは限界もあるので、キーワードを探すツールもいくつか紹介されていた。便利だなと思ったのが、KEIを算出するキーワードアドバイスツールプラス。KEIとは、月間の検索数の二乗÷検索結果数で計算されるキーワード有効性指標で、大きければ大きいほど競合数が少ない良いキーワードになるそうだ。

「書評」というキーワードでKEIを調べてみた例。こんなキーワードを盛り込めば、これくらいの効果が予想されるということ。

・無料登録ドットコム - キーワードアドバイスツールプラス
http://www.keywordadvisetoolplus.com/
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ここではGoogleとYAHOO!の検索結果数で計算されている。ちなみにGoogle:YAHOO!:MSNからのアクセス数は、5:3:1が普通であるそうだ。私のブログがSEOをあまり考えていないせいか、Googleが7割近い。YAHOO!対策もしなければと思った。

このほか、無料アクセス解析の定番Google Analyticsの使い方、Googleアドワーズ広告の使い方など、入門から応用までの全体像が示されている。これからSEO、SEMに取り組みたい個人、企業の担当者に入門書としておすすめ。

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2006年09月10日

ブログスフィア アメリカ企業を変えた100人のブロガーたち

・ブログスフィア アメリカ企業を変えた100人のブロガーたち
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マイクロソフトの企業イメージをブログで変えた男ロバート・スコーブルらによる、企業ブログ論。

マイクロソフトは、オフィシャルな形で、

・Channel 9
http://channel9.msdn.com/

を運営している。

このサイトでは、マイクソフトのエンジニアが、自発的に情報を発信している。映像ブログに顔を見せて読者に話しかける。ユーザとの間に活発な意見交換が行われている。かつて独占的な「悪の帝国」と揶揄されて、ことあるごとに、ネットユーザから袋叩きにされていた頃のマイクロソフトとはかなり印象が違ってきている。

こうしたイメージチェンジを実現したのが、この本の著者であり、1日に50回もブログを更新する情熱家スコーブルをはじめとする、技術系社員のブロガーであった。

チャンネル9という名前の由来はユナイテッド航空の機内放送にあるそうだ。空きチャンネルの9を使って、フライトの最中にパイロットの声を流している。「パイロットの様子を知れば知るほど、一蓮托生なんだとわかった。マイクロソフトに対する人々の怖れを解消する手段について、これ以上のメタファーは思いつかないね」と技術エバンジェリストのレン・プライアーは考えた。

原題は「裸の対話」。企業と顧客が飾らない言葉で、率直に意見を交換すること。その対話によって、マス広告には不可能だった、理想的なパブリックリレーションズを実現できるという。100人以上の企業のブロガーの実例を取り上げて、ここ数年の欧米のブログ事情を総括する。

企業ブログの「成功の5つのヒント」

・語れ、売り込むな
・頻繁に投稿し、面白いものを書け
・興味のあることについて書け
・ブログは費用の節約になるが時間がかかる
・人の話に耳を傾けよ

著者は、情熱的で、正統的(=誠実に)語りかけることが大切だと繰り返し説く。これは人と人との対話の基本ルールなのでもある。従来のマス広告と異なるのは、どれだけ多くの人数に読まれるか、ではなく、誰に読まれるか、こそ重要な点。


ニッチに影響を与えるのに、大勢の信奉者を得る必要はない。例えば、あなたが政治についてのブログを持っていたとする。読者はわずか3人だ。そして彼らが、たまたま米国、中国、ロシアの政府高官で、あなたのブログから影響を受けていたとする。これ以上、読者を得る必要がどこにあるだろう?

ブロードキャスト型から会話型へ。情熱的に話しかける企業ブロガーと、情熱的に答える上顧客の対話のログにこそ、企業や商品の魅力が効果的に映し出される。そのためには、企業としてではなく、企業に所属する個人が「顔」を持つ必要があるようだ。

欧米の企業ブログを知る、たいへん面白い本である。

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2006年09月03日

シリコンバレー精神 -グーグルを生むビジネス風土

・シリコンバレー精神 -グーグルを生むビジネス風土
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ベストセラー「Web進化論」のシリコンバレーの投資家 梅田 望夫氏1996年から2001年までに書いたコラムをまとめた書籍の文庫化。当然、時事テーマについての記述内容は古いわけだが、シリコンバレー文化とは何かという本質を語る部分は今も変わっていないのではないかと思う。

日本のベンチャーには「借金型」「爺殺し型」「若きスーパースター型」「シリコンバレー型」の4つがあるが、シリコンバレー型は少ないと著者は2000年ごろのコラムで嘆いた。才能のある起業家がベンチャーキャピタルやエンジェルの投資を受けて、借金することなしに、上場して大成功したり、失敗して解散できるタイプのベンチャーのことである。
シリコンバレーのそうした起業家たちには特有の精神文化がある。


限られた情報と限られた能力で、限られた時間内に拙いながらも何かを判断しつづけ、 その判断に基づいてリスクをとって行動する。行動することで新しい情報が生まれる。 行動する者同士でそれらの情報が連鎖し、未来が創造される。行動する者がいなければ生まれなかったはずの未来である。未来志向の行動の連鎖が引き起こす核となる精神。それが「シリコンバレー精神」である。

梅田氏のシリコンバレー精神で素敵だなと思うことに「価値を生み出すのは会社ではなくて個人」という考え方がある。梅田氏がシリコンバレーになじみ始めた頃のコラムから引用してみる。


シリコンバレーに慣れて、いわゆるインサイダー達の集まりに出席するようになって、驚いたのは、胸に付けるバッジに大きな字でファーストネームだけが書かれ、ほとんど見えないくらい小さな字でしか姓と会社名が書かれていないことだった。<中略>相手は「お前は何をやっているのか」「お前のアイデアはなんだ」「お前の価値は何だ」「お前は今まで何をしてきて、これから何をするのか」、先を急ぐように、私という「個人」を引っ張り出そうとする

組織の名刺に頼らない生き方をする人には、覚悟と知恵があるから、強い。その強さの集積がシリコンバレー急成長の原動力なのだと思った。この本で著者は、自身が会社を辞めて米国で独立起業した頃の心境の変化を何度も語っている。

「ああそうか、ここで生きていくためには、私「個人」の「個人としてのストーリー」が必要なのか。」

何度かお会いしたことがある(一度はシリコンバレーで!)梅田さんは私より10歳年上で創業10年目。私は創業6年目である。ちょうど私の今の年齢で、梅田さんは起業している計算だ。それをこの本で知って、よーし、私もやってやるぞと決意を新たにできた。

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2006年08月01日

テレビCM崩壊 マス広告の終焉と動き始めたマーケティング2.0

・テレビCM崩壊 マス広告の終焉と動き始めたマーケティング2.0
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あの「広告の近未来」の織田 浩一氏が、米国の著名マーケティングコンサルタントの本の翻訳版をを監修。マスメディアの時代の終焉とネットコミュニティの時代の到来を、広告ビジネスという視点で予言する。

・Ad Innovator
http://adinnovator.typepad.com/

この本の第二部で紹介された北米のトップブランド調査(Brancchannel 2004調べ)によると、消費者が選ぶトップブランドは以下のような顔ぶれになっている。

1位 Apple
2位 Google
3位 Target
4位 Starbucks
5位 Pixar
6位 Amazon.com
7位 Donald Trump
8位 Martha Stewart
9位 EBay
10位 Oprah Winfrey

「10年前には存在しなかったようなブランドが地位を占めている。そしてこれらのブランドのどれもが、テレビCMなどしていないのである。広告信仰のコカコーラは、リストにもあがっていない。」

ブランドの生まれ方が変わったのだ。

現在はマスメディアがブランドを作るのではなく、消費者やコミュニティが選ぶものがブランドになるケースが増えてきている。消費者は市場において、情報通であり、主導権を握り、企業に先行するようになった。そして、つながっている。賢い消費者の口コミネットワークは、マス広告を凌駕する。上記のトップブランドはそうしたマーケティングによって生まれた企業である、という。

そして、マス広告の主要チャネルであるテレビCMの没落が幾つもの数字を持って告げられる。大人の夜間テレビ視聴者のうち、次の日にブランドを想起できた人の割合は、1965年には34%であったが、2000年には9%になった。国民的人気番組「MASH」とその後継番組の視聴率は1983年の77%から、21年間で実質31%も落ちている、など。

日本でも紅白歌合戦などの国民的人気番組の視聴率低落は顕著だ。皆が同じ番組を見るということが少なくなった。だからマス広告から口コミも広がりにくい。CM効果の低落が制作費の削減、コンテンツの質の低下につながる「TVネットワークの悪循環」にはまっていると著者は指摘している。DVR(HDDレコーダー)などのテクノロジーが十分に普及する近い将来、テレビCMは壊滅的な打撃を受けるだろうという。

そして広告が向かうべき未来の方向として、「ROI(投資対効果)からROEへ」という戦略転換の提言がある。「広告のように見えず、広告のように感じられず、広告のように匂わないものを制作してみてはどうか」という。

ROEとは、

・関連性(Relevance)
・実用性(Utility)
・娯楽性(Entertainment)

の3要素で、このうち少なくとも2つを満たすような広告が、結局はROIを満たすものになるという内容である。具体的な手法として10の新しい広告アプローチが語られている。インターネット、ゲーム、オンデマンド視聴、体験型マーケティング、長編コンテンツ、コミュニティ・マーケティング、消費者作成コンテンツ、検索、Mで始まるマーケティングツール(音楽、モバイル)、ブランデッド・エンターテイメント。

この10の方法論の部分が、インターネット・マーケティングの創造的なアイデアと成功事例が満載で参考になる。テレビCMの崩壊に興味がなくても、ネット広告の近未来を考えたい人にとてもおすすめ。Web展開の企画のタネ、プレゼンのネタが次々に見つかる。

・監修者 織田浩一氏のサイトで第一章が丸ごとダウンロードできる!
http://www.digitalmediastrategies.com/lifeafter30/TVCM.pdf

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2006年07月30日

雑誌とWeb連載開始:帰ってきたアクセス向上委員会 on Web担当者 現場のノウハウ、Web担当者Forum

・Web担当者 現場のノウハウ
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Web 2.0とその先にある「新しいWebビジネス」を、Webマーケティング・運用の各テーマと共に、業界随一の筆者陣が解説するWebワーカー必携の1冊。
特集は「明日の会議に間に合うWeb 2.0虎の巻」。実体が見えにくい「Web 2.0」をどう理解して自社に生かすかを、有名人アンケートやWeb 2.0ケーススタディとともに解説します。

【内容】
・明日の会議に間に合うWeb2.0虎の巻
・注目企業のネットビジネス戦略<サーチテリア>
・ライバル企業に差を付けるネットビジネス必携プロダクト
〜海外ではもう常識のキーワード広告自動入札ツール〜
・ウェブ担当者に聞いた企業ウェブサイトの実態
・やってみましたプロのSEO
など
発売日: 2006.07.28予定
販売価格: 1,279円 (税込)

インプレスから発売される新雑誌(定期刊行のムック)上で、「帰ってきたアクセス向上委員会」という連載を持つことになりました。人気サイトを作るための秘訣を、毎回考えてみたいと思います。第一回のテーマは「Web2.0」。Web2.0時代にトラフィックを集めるためのアイデアをいくつかコラムに書いてみました。

この雑誌はクロスメディア展開する「Web担当者Forum」の一部です。これはユーザ参加型のコミュニティメディアで、Webに関わる仕事人の知恵を交換する場所です。ユーザの投稿記事も募集しています。

・Web担当者Forum
http://web-tan.forum.impressrd.jp/

「Web担当者Forum」はどんなメディア?

ビジネスの1チャンネルとしてのウェブサイトの企画・構築・運営・技術・マーケティングに関する情報が集まったサイトです。コンテンツとしては、日々更新される国内・海外のニュース、有名筆者による連載記事、コラム、解説記事や、編集部によるデータライブラリーなどがあります。

Web担当者Forumは単なる「Webzine(ウェブ版の雑誌)」ではありません。もちろん編集部から日々ニュースや解説の記事を出しますが、サイトにはだれでも記事を投稿したり、記事に対してコメントを投稿したりできます。サイトのユーザーであるあなたの疑問やコメント、オピニオンや解説がサイトを育てます。

また、「Web担当者Forum」は、ウェブサイト+雑誌+書籍+セミナーなどを組み合わせたクロスメディアとして展開します。すでに2006年7月28日に雑誌「Web担当者 現場のノウハウ」を新創刊し、セミナーも5月・6月と開催しています。

先日、開店させた関連サイト。アクセス向上グッズを持っているとサイトにご利益がある、かも。

・アクセス向上委員会ショップ
http://clubt.jp/product/7.html
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2006年04月26日

革命メディア ブログの正体

・革命メディア ブログの正体
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伊藤穣一、テクノラティCEOのデビッド・L・シフリー、そしてデジタルガレージグループが書いたブログの現状分析と未来予想。米国と日本の状況の比較や、ブログのビジネスの可能性をわかりやすく説明しているので、ブログを使ってなにかできないか探っているビジネスマンにとって、特に有益な内容になっている。

・テクノラティ 日本語版
http://www.technorati.jp/

・テクノラティ 米国版
http://www.technorati.com/

2005年10月時点の調べで、世界では1秒間に1つ、1日で7万件の新規ブログが開設され、1秒間に12.7のブログエントリが書かれているそうである。世界のインターネット人口が10億にとすると、2.5%がブログを書く。この膨大な量のうち、2006年1月時点で2500万件以上のブログをテクノラティは検索可能にしているそうだ。

数が多いだけでなく、影響力も大きくなった。


ブログがビジネスにつながっている現状としては、まずクチコミのビジネスがある。価格コムもそうだし、楽天ブログなどもそうだ。楽天のブログを見て楽天の商品を買うという人が、楽天の売り上げの約2割を占め、そのアフィリエイトのみの売り上げは月間30億円にもなるという。

メディアとしての人気もマスメディアに迫るケースもでている。


ブログサイト「ボインボイン」「インスタプンデット」「エイトリオス」といったものは、インターネットにおいては、マスメディアと同じくらいユーザーに注目されている。なかでも「ボインボイン」などは「MTV」よりもリンク数が多く影響力が大きい。

米国では特に政治ブログが、実際の選挙や日常の政治の監視に大きな影響力を持っている様子が紹介されている。災害やテロの際の速報メディアとしても、マスメディアを補完する重要な役割をになっている。ブロガーは米国全土に無数にいるため、事件や事故の発生現場に、誰かがすぐに駆けつけて報告できる。いくら巨大メディアであっても、全米のいたるところに24時間記者を張り付けてはおけないからかなわないのである。

日本でも、ブログの経済的価値、政治的価値、社会的価値の大きさが、次第に認識され始めていると思う。その価値あるブログの検索をビジネスにした最初の会社、テクノラティ社のトップたちの考えが、各章交代で読めるのが面白かった。

ところで、この本で、私のブログも日本のヒットブログとして取り上げていただいている。発売中の今週のアエラでも私とブログが紹介されている。読者がまた増えそうだ。マスメディアがブログをネタに取り上げることで、ブログが育つことになる。対立ではなく、そういう補完関係で新旧のメディアが共に面白くなっていったら理想的だなあと思った。

・アエラ
http://opendoors.asahi.com/data/detail/7350.shtml
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アルファブロガーって何だ
ビジネスのヒント満載

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2006年03月29日

開発者のための実装系Webソースコードマガジン CodeZine(コードジン)傑作選 Vol.1CodeZine BOOKS

・開発者のための実装系Webソースコードマガジン CodeZine(コードジン)傑作選 Vol.1CodeZine BOOKS
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まだインターネットがなかった頃、趣味独学でプログラミングを勉強するのは、今よりもずっと大変だった気がする。まず周りにパソコン(マイコン)ユーザがいない。聞く手段もない。書籍も少ない。だから、問題に突き当たり、一度止まってしまうと、一人悶々と悩んでいた記憶がある。

学習としては一人で悩んだ時間も価値があったとは思う。しかし、ひとつの問題解決のために1ヶ月や2ヶ月は、コーディングが止まってしまっていた。Webでサービスを公開し、ユーザの意見を取り込みながら作りこんでいくような、リアルタイム実装には向いていないやり方だと思う。

実装で大切なのは一人で悩まないことな気がする。

CodeZine BOOKSは、言語や目的ごとに整理された、コミュニティ参加型のプログラミング情報サイト。ほとんどの言語とツールについて、解説記事とサンプルコードが大量に投稿されている。参加者数は12000人を超えている。

・プログラミング・開発者・ソースコード CodeZine
http://codezine.jp/

このサイトでの人気記事40本をムック化した第1弾がこの本である。

概要:

1 Java編(JakartaPOIでExcel形式の帳票を出力する
外部のRSSフィードを自サイトで公開する
iTextを利用してJavaからPDF形式の帳票を出力する ほか)
2 Windows編(.NETによるプラグイン機能を持つテキストエディタの作成
DataGridにComboBoxを表示可能な列を作る
.NETとAIでスパムボットに対抗する ほか)
3 Web&Tools編(ADOdbでサクサクDBアクセス
モジュールを使わないシンプルなアクセスカウンタ
コマンドの出力をtop風に表示させるtopless ほか

Codezineのサイトには、印刷機能ボタンがあって、記事ごとに使われた回数が閲覧数と並んで表示されている。ネット時代とはいえ、紙に印刷して落ち着いて読むと頭に入りやすいものだ。この紙の電子化ならぬ電子情報のパルプ化はかなり意味があるように思えた。興味がない記事も紙だと飛ばさずについつい読んでしまう。知識を広げるのにも役立った。

この号ではJavaと.Netの話題が中心だった。PerlやPHPの特集も出ないかな。

関連:

コード解説記事は手元において整理しておきたいとも思った。

JavaScriptのサンプルコードをたくさん集めて収録し、検索できるフリーソフトをみつけた。JavaScript Collectorには、Webプログラミングでよく使われるJavaScriptコード例が、キーワード別に200個登録されており、検索も可能だ。ずばりのコードが見つかれば、コピーアンドペーストですぐ使える。Codezineもこんなアプリケーションになったらさらに便利だと思う。

・JavaScript Collector
http://www.greencow.se/jsc_index.shtml
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2006年03月26日

俺流amazonの作り方―Amazon Webサービス最新活用テクニック

・俺流amazonの作り方―Amazon Webサービス最新活用テクニック
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Amazon Webサービス(AWS、ECS)を使って、自前のサイトを作りたい人向けの開発ガイド。開発言語はPerl。商品の検索、類似商品の表示、商品カテゴリの表示、リスト情報の利用、ショッピングカーとの操作など、Webサービス経由でAmazonのあらゆる機能や情報を取得して、自分のサイト上に組み込む手法が示されている。最新の技術情報やコーディングノウハウがたくさんみつかって役立つ。

Amazonの情報は膨大で、商品画像、価格情報、ユーザレビューなど使える情報が豊富にある。短いコードを追加するだけで、自分のテストサイトが、情報でにぎわう。コードを試しながらワクワクしてしまう。さあ、何ができるだろうか?。

実はそのアイデアが結構難しい。

Amazonの機能をWebサービス経由でフルに使って自分のサイトに実装できても、アイデアがなければ、単にAmazonのコピーサイト、劣化サイトを作り出すに過ぎない。Amazonというサイトは長年のユーザフィードバックで、既にかなりよく作りこまれている。その完成度を超えることは真正面からでは難しい。

著者は、Amazonにはない魅力を持つサイトを作成するために、次のような戦略を提案している。

・Amazonとほかのサイト情報を組み合わせる
・特定の利用者にターゲットを絞る(セレクトショップ
・情報を加工して表示する(ランキング推移のグラフ表示など)

米国のWebサービスの開発者向けのブログがこうした創意工夫をワールドレベルで見られて楽しい。

・Amazon Web Services Blog
http://aws.typepad.com/aws/

このブログには「Cool Sites」カテゴリがあって、AWSを使ってユーザが開発したサイトが紹介されている。まさにAmazon Webサービスのショウルーム。

・Amazon Web Services Blog: Cool Sites
http://aws.typepad.com/aws/cool_sites/index.html

3つほど面白いと感じたサイトをピックアップしてみた。

・Track Amazon price changes With RSS Feeds
http://www.rsstalker.com/
rss_talker.png

指定した商品の価格の推移をRSSとして配信してくれる。値段が安くなったら買おう思っている商品があったらチャンスを見逃さない。

・AMZ Dashboards
http://www.amzlists.com/amazondashboards/main.cfm
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Amazonにおける人気商品ランキングや、ユーザ評価の星の分布、肯定的評価と否定的評価の数などを時系列でグラフ化する。

・S M A R K E T S :: Salesrank Markets
http://www.smarkets.net/
smarkets.png

SmarketsはAmazonで販売されている商品を仮想的な株式とみなし、売り上げランキングを株価とみなす。ユーザは売れそうな商品の株を売り買いする。新製品がどれくらい売れるかを予想するゲームなので、マーケティングを仕事にする人間にはいいトレーニングになりそうだ。

関連:

・Amazon アソシエイト・プログラム ブログ
http://aws.typepad.com/assoc_jp/

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2006年03月07日

ジョエル・オン・ソフトウェア

・ジョエル・オン・ソフトウェア―ソフトウェア開発者、設計者、マネージャ、それに幸か不幸か何らかの形で彼らと働く羽目になった人々が関心を抱くであろう、ソフトウェア、並びに往々にしてソフトウェアに関連する諸所の問題について
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マイクロソフトのExcelなど何百万人が使うアプリケーションの設計と開発に取り組んできた著者が、自分のブログで公開しているソフトウェア開発論。理想的な開発マネジメントがいかにあるべきか、自身の経験から得た奥義を語る素晴らしい内容。

・Joel on Software 日本語版
http://japanese.joelonsoftware.com/

目次:

01 Bits and Bytes:プログラミングのプラクティス(言語の選択、基本に帰れ ほか)
02 開発者のマネジメント(採用面接ゲリラガイド、報奨金有害論 ほか)
03 Being Joel:それほどランダムでもないトピックに関するランダムな考察(リック・チャップマンによる愚かさの探求(あるいは「アホでマヌケな米国ハイテク企業」、この国では犬はどんな仕事をしているの? ほか)
04 .NETについての少し行き過ぎた論評(Microsoft、羽目をはずす、私たちの.NET戦略について ほか)
05 付録 「ジョエルに聞け」選集

マネージャーの視点から、エンジニアの心理特性や陥りがちな罠と回避法、チームの生産性を最大化する方法などが何百もあり、具体的な実例ベースで紹介されるので、読みどころの連続である。

近年、話題のエクストリームプログラミングやアジャイル開発法などとも親和性が高い(一部否定している部分もあるが方向性は似ているようだ)内容になっている。マネジメントと開発チームでこの本の読書会とディスカッションを行えれば、相当の進歩が期待できそうだ。問題はどうしようもない組織ではそうした会合さえ実現しないということもありそうだが...。

この本にはたくさんの知恵がある。ソフトウェア開発の現場で長年採用されてきた「ウォーターフォールモデル」の構造欠陥が多面的に指摘される。見積もりの立て方、エンジニアの採用面接の仕方、バグの発見と修正法、インタフェースの設計とテスト法、マイクロソフト開発部隊の優れた面、創造性を発揮する職場の作り方、そしてジョエルテスト。

・Joel on Software - ジョエル・テスト
http://japanese.joelonsoftware.com/Articles/TheJoelTest.html

ジョエル・テスト



  1. ソース管理システムを使っているか?
  2. 1オペレーションでビルドを行えるか?
  3. 毎日ビルドを行うか?
  4. 障害票データベースを持っているか?
  5. 新しいコードを書くまえにバグを修正するか?
  6. 更新可能なスケジュール表を持っているか?
  7. 仕様書を持っているか?
  8. プログラマは静かな労働環境にあるか?
  9. 買える範囲で一番良い開発ツールを使っているか?
  10. テスト担当者はいるか?
  11. プログラマを採用するときにコードを書かせるか?
  12. 「廊下での使い勝手テスト」を行っているか?

これが著者の「いいプログラムへの12ステップ」である。このリストの項目に共感するプログラマにはとてもおすすめ。

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2006年03月05日

Web2.0 BOOK

・Web2.0 BOOK
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いい本が出ました。


第二世代インターネットの波に乗り遅れるな!

ロングテール、マッシュアップ、マルチプラットフォーム、ユーザー参加のアーキテクチャなど、Web2.0のポイントを、豊富な図解でやさしく解説。Web2.0的なやりかたとはどのようなものかを、米国、日本の豊富なビジネス事例や、企業インタビュー等も盛り込み、読み解いていく。Syndicateカンファレンスレポートなど、米国&日本Web2.0企業の最新情報も満載!

冒頭の「刊行によせて」には次のような書評を書かせていただきましたので、このブログでも、そのまま紹介します。

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「Web2.0」の時代がきたというのはWebエンジニアの素直な感慨なのだと思う。

ここ数年でインターネットテクノロジーには大きな変化があった。XMLメタデータやWebサービス技術の浸透、端末やサーバの高機能化、そしてWeb系技術の標準化が進んだ。以前はむずかしかったWeb同士の連携だとか、デスクトップアプリのようなWebアプリ開発が容易になった。

それはエンジニアが作りたいものを作りやすくなったということであり、マネージャーが発想を形にすることが容易になったということでもある。Web2.0の時代はアイデアが勝負のクリエイティブ・エンジニアリングの時代だと私は考えている。

著者の後藤氏は、シリコンバレーでの活躍後、国内で数々のネットベンチャーを孵化させてきた技術者であり、経営者である。この本にはWeb2.0がビジネスとテクノロジーの両方に与えるインパクトが、事例も豊富に示されている。これからのインターネットビジネスを考えるための絶好のネタ帳だ。

(データセクション株式会社 代表取締役 橋本大也)

-----------------

Web2.0のキーワードが全部入り、です。

Web2.0って何?と、Webを探していっても、情報が錯綜していて、余計わからないものですが、この本を最初から最後まで読めば、間違いなくキーワードは網羅的におさえられるでしょう。関連URLも多数紹介されるので、Web2.0の実物を確認していけば理解がさらに進められます。

エンジニア、ビジネスマネージャー、プロデューサー、アナリストなど、どの立場で読んでも参考になる本です。

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2006年03月01日

メタデータ技術とセマンティックウェブ

・メタデータ技術とセマンティックウェブ
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いまネット技術でキーワードの「Web2.0」とも関係が深いメタデータとセマンティックウェブについて書かれた研究書。主に理系の学部生向けレベルの入門の難易度。RSSやWebサービスのAPIをいじるのは楽しいが、より深いレベルで技術を理解したい人も増えたはずの今、タイムリーな刊行(2006年1月出版)。

目次:

序章 メタデータのもたらすものとは

第T部 メタデータ
 第1章 メタデータアーキテクチャ
 第2章 標準化の流れ
 第3章 メタデータ基本技術とその背景

第U部 セマンティックウェブ
 第4章 セマンティックウェブの意義
 第5章 メタデータ記述言語RDF
 第6章 オントロジ記述言語OWL

第V部 メタデータ応用
 第7章 デジタル時代のメタデータ流通
 第8章 NIメタデータ流通システム NI日本ノード構築にむけて
 第9章 電子政府
 第10章 学術情報流通とメタデータ
 第11章 新聞社のメタデータ技術への対応  NewsMLを中心に
 第12章 サーバ型放送とメタデータ
 第13章 デジタルシネマのメタデータ流通


各章では主要技術の概略や応用事例が簡潔にまとめられている。各技術の詳細を知りたい場合は別の専門書が必要だが、コード例や概念図などが挙げられて、”感じ”はつかめる。

いくつか参考になる考え方を知った。

ひとつは、メタデータに共通の要求条件とは何か。

メタデータに共通の要求条件:

1 更新性 常に最新の状態を示すこと
2 常時性 いつでも即手に入ること
3 同報性 多数の人が同時に手に入ること
4 一覧性 一度に見られること
5 ターゲット適合性 役に立つときに役に立つ人が使えること
6 コンテンツ密着性 いつでも取り出せること

このリストは、そのメタデータ技術がイケてるか、イケてないか判断する材料として使えそうである。また、メタデータの用途種別として、制作、存在、検索、権利・許諾、流通・配信、利用・評価という6種類があるという表も参考になった。メタデータの設計に使える知識である。

そして流通の前後では事前に静的に付与されるデータと、事後に動的に付与されるデータという分け方もあった。私は機械が付与するものと人間が付与するものという分け方をしていたが、こちらの方が意味がある分類だと納得。

この本には、実にさまざまなメタデータが登場するが、今のところWebで成功しているのはRSSのように記述が簡単で構文解析が容易なライトウェイト系と言えると思う。より本格的ではあるはずのMPEG7やOWLのフルバージョンなどヘビーウェイト系は流行の兆しがない。

項目が多くて階層が深い設計のヘビー系は、表現力は豊かな分、作成コストも学習コストも高い。あまりに厳格な記法では、ネット上のラフ(いい加減)な実装系が処理できない。ライトでラフでは信頼性が疑わしいと長い間考えられてきたが、最近はネット上の市場原理、自然淘汰で信頼性の問題も解決できそうな希望も見えてきた。

少数の専門家が中央集権的に付与するメタデータの時代から、多数の一般ユーザが分散的に付与するメタデータの時代になったように思える。流通ボリュームの観点からすれば、現在は勝手にユーザがメタデータをつける「勝手メタ」の時代である。本書のような「正しいメタデータ」本と並んで、「勝手メタ」の扱い方の研究本もそろそろ必要なのではないだろうか。

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2006年02月13日

ブログ道

・ブログ道
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「メール道」の著者で、人間として尊敬する師匠、久米信行さんが、今度はブログの本を出版された。その名も「ブログ道」。ブログの道に生きる者にとっての作法と心得が説かれている。

・メール道
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/001854.html
メール道と久米社長については過去に紹介している。

この本の出版記念パーティで私は久米さんの対談相手にご指名いただいた。

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パーティの報告:

・テレビブログとブログテレビ:好きな番組+好きな仲間+好きな時空で:IT Pro
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/Watcher/20060207/228755/

・橋本大也さんとの対談でテレビブログを知…
http://plaza.rakuten.co.jp/enginekimyo/diary/200601300000/

・[4k]shikeの日記 - パーティご来場有難うございました
http://d.hatena.ne.jp/shike/20060204


業界のキーパーソンが多数集まる賑やかな会合だったので、壇上では本の詳細に立ち入りお話をするには至らなかったのですが、この場を借りて、この本で感銘を受けた箇所を少し長く引用させていただく。


やがてブログを続けるうちに、書くこと自体が面白くなり、仲間の目を気にしなくても続くようになります。そしてある日、ブログを一緒に始めた仲間の何人かを見ると、いつしかそれぞれの山を目指して黙々と進んでいるかもしれません。目指す山が違えば、すなわちブログのテーマや表現方法が違えば、もはや競争相手ではなく、「道を歩む同志」だと感じられることでしょう。かつてほど共に過ごす時間はなくとも、共感と尊敬は逆に深まっているかもしれません。

また、道の途中で見知らぬ人たちと意気投合することもあるでしょう。見晴らしの良い場所に出て眺めれば、別の山でこちらを見つめる人と目が合い、心が通うかもしれません。また道が重なって出会うときもあるでしょう。そして、一緒に何かを創造することもあるでしょう。

やがて、群れるより、一人で歩む方が快くなるでしょう。時には一人で登り続ける辛さも痛感するでしょうが、そんな時は互いの歩みをブログで確かめ合うことができるはずです。今もどこかで縁者が共に歩んでいることにおおいに勇気づけられるのです。わが道を恐れず歩む人たちが、ブログの絆で結ばれながら、いつしか新しい世界を、曼荼羅を描いていくことになるでしょう。

ブログ縁者のあるべき関係を、見事にいい表わしている名文だと思った。それと同時に、私が深く共感するのは、久米さんの縁者の考え方は、ベンチャー経営者同志の精神的つながりに似ていると思っているからだ。ブログも企業経営も、お互いに良いときもあれば悪いときもある。市場では競合の関係もあるし、戦略上敵対しないといけないこともある。だが、精神的な絆で結ばれた同志は、浮世のことはどうあれ、求道者として深い部分ではつながっている。手段がアナログでもデジタルでも変わらない人間同士の絆のことを説明しているのだと思う。

この本のタイトルは、ブログ術ではなくブログ道である。円熟したオンラインコミュニケーションの作法と心得がまとめられている。

「コメント・トラックバックは「群れず・悩まず・争わず」」

「ブログを独立自創×共創共栄のメディアにする」

「縁を育むお礼と賞賛のコメント・トラックバック」

ときどき、ネットの世界では、「メールには署名を入れないといけない」「他人のブログに無断リンクはいけない」「引用していないのにトラックバックするのは失礼」などなど、形式的マナー論が盛り上がっているときがある。久米さんが教えてくれるのは、形式じゃなくて思いやりのこころこそ大切だという当たり前の事実。

道の本だが、術の話もある。たとえば、ブログの記事にも署名を入れるといいというアドバイスは、はじめて聞いた。作法的にも、SEO的にも、確かにその通り、効果的かもしれない。久米さんは自らのブログで署名を実践している。

・3/3「ブログ道」出版記念パーティがわり…
http://plaza.rakuten.co.jp/enginekimyo/diary/200602090000/
署名のある記事の例


ブログを道と考え日々研鑽したい人たちのための教典。

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2006年02月05日

RSSマーケティング・ガイド 動き始めたWeb2.0

・RSSマーケティング・ガイド 動き始めたWeb2.0
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メーラー、ブラウザにつぐ第3のツールとしてRSSリーダーが注目されている。マイクロソフトの次世代ブラウザ、OSでの採用も予定されており、今年から来年にかけて、いっきにユーザ数を増やすことは間違いない注目の技術である。

「RSSはビジネスとどういう関係があるのか?」。このテーマを、複数の専門家が各章を分担して一冊の本として最新の結論をまとめた。これまでRSSは技術論で語られることが多かったが、ビジネスマンが知りたいのは、それが利益や顧客にどのような影響を持つかということだろう。

著者の一人でRSSの広告ビジネスにいち早く取りんだ田中弦氏(RSS広告社社長)は、不動産ビジネスにたとえて新しい広告モデルの特徴をわかりやすく語っている。RSS広告とは以下の図のように、ブログやニュースサイトのRSSに、関連する広告を差し込むビジネスである。


・RSS広告(RSS広告社のサイトから図引用)
http://www.rssad.jp/
rssadnet.jpg

従来のネット広告は主にサイトのトップページへの読者誘導が目的であった。これに対して、RSSは個別記事への誘導を可能にする。「RSS広告はページ単位から記事単位へと土地を細切れにし、それぞれの価値を上げようとするものである」。だから「どこまでコンテンツを小さく区切って地上げすることができるか」というチャレンジだと書いている。

実際にRSS広告はどのように使われているのか。「「待ち」と「トレンド連動」」「集中と分散の両方に対応」というメリットや、周辺市場の未整備による現時点でのデメリットも率直に語られている。

たとえばRSS広告社の事例では、地震が起きると、ブログで地震についての記事が大量に書かれて、地震保険の広告の配信数が多くなった。トレンドというのは多様でこれがくる!とヤマの予想が難しいものだが、あらかじめ話題になりそうなRSS広告をいくつも仕込んでおくことによって、「ユーザの興味が最も喚起されたタイミングで的確にリーチできる」。検索連動型と違ってユーザが知らないキーワードにも対応できるので、新製品や突発的な事件、事故への広告効果が高いようだ。

目次は以下のような構成で、RSSとビジネスの接点を網羅的に語る。

chapter1:ネットビジネスに何が起こっているのか
 1-1 「検索」「発信」「受信」の情報革命
 1-2 ユーザーの情報消費が変わろうとしている

chapter2:RSSマーケティングの誕生
 2-1 RSSのマーケティング利用が始まった
 2-2 ますます増加するユーザーとの接点
 2-3 マーケティングツールとしての3つの特徴
 2-4 RSSマーケティングの実際
 2-5 企業マーケティングはRSSでどう変わるのか

chapter3:RSS広告の特徴とその可能性
 3-1 ネット広告はどう発展してきたのか
 3-2 RSS広告市場の夜明け
 3-3 RSS広告のメリット・デメリット

chapter4:RSSがウェブ検索に革命を起こす
 4-1 RSSは検索を変えるのか
 4-2 RSS検索エンジンが輝くとき

chapter5:口コミはRSSから起こる
 5-1 インターネットの口コミ効果
 5-2 口コミを促進させる次世代ウェブサービス

chapter6:ウェブサイトはRSSで変わる、変える
 6-1 RSSの活用で企業サイトが変わる
 6-2 RSSのアクセス解析

chapter7:RSSがメールを超えるとき
 7-1 メールが抱えている問題点
 7-2 RSSのアクセス解析

chapter8:モバイルRSSマーケティング
 8-1 モバイルインターネット市場の現状
 8-2 モバイルインターネットにおけるRSS
 8-3 RSS普及にあたっての課題
 8-4 携帯電話のメディアとしての特徴
 8-5 モバイルインターネットにおけるRSSの実際
 8-6 モバイルインターネットはRSSでどう変わるのか

chapter9:What is RSS, What is Web 2.0
 9-1 Web 2.0とはいったい何なのか
 9-2 RSSがWeb 2.0で果たす役割
 9-3 Web 2.0はもう始まっている
 9-4 Web 2.0で何が変わるのか

付録:主なRSSサービス
索引

まだビジネス事例が僅かな分野であるため、先行者による執筆のこの本で初めて明かされる知見が多い。理屈や予想だけではなく、数字をベースにした現時点での状況要約が大変参考になる。

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2006年01月24日

ポッドキャスティング入門

・ポッドキャスティング入門
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米国では2004年末に3000を超えるポッドキャスト・チャンネルが登録され、2005年6月には8000を超え、2010年にはポッドキャストのリスナーが5000万人を超えるという予測があるそうだ。携帯型オーディオ・プレイヤーの普及により、”移動中メディア”の主役になる可能性があると著者は期待している。

この本はポッドキャスト放送の制作者のためのガイド本である。

ただマイクで一発録音するだけでも制作が可能なのがポッドキャストの面白さでもあるが、やはり人気放送局にしたいなら、AMやFMラジオのような演出を施したくなる。たとえば、オープニングの音楽がだんだん小さくなってトークが始まり、音楽はそのまま続いてBGMになる、ような構成はどうやったら作れるのだろうか?一発録音ではなく、個別に録音したパートと音楽を後からつなげるにはどうしたらいいのだろうか?

この本ではフリーソフトのAudacityを使って、ミキシングなどの編集を行う手順が図解されている。マイクなどの機材選定や録音方法についてのアドバイスもある。

・Podcast編集に使えるフリーのオーディオエディタ・レコーダー Audacity
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/003714.html

Audacityは以前、このブログでも紹介した。

他にも気になったツールとしてCastBlasterがある。ポッドキャストの開祖Adam Curry氏が開発した専用編集ソフトである。

・CastBlaster
http://castblaster.com/

ポッドキャストで困るのが音楽の著作権の問題だ。

著作権料を払わない限り一般の放送で流れているようなヒット曲は使えない。そこでPodsafe=ポッドキャストで自由に使ってよいという特別なライセンスの曲を集約しているPodsafe Music Networkがこの本では紹介されていた。

・Podsafe Music Network
http://music.podshow.com/

このほか、ポッドキャストの歴史や、現在放送中の日本のポッドキャストの紹介、キャスターの紹介がある。アマチュアもプロも一緒に試行錯誤していることがよくわかる。いままさに立ち上がろうとしているポッドキャストの世界は熱い。

ところで、2月7日に梅田望夫氏の出版記念イベントでポッドキャスト放送をやる予定です。私はイベントの司会です。がんばります。ポッドキャスト公開したらぜひ聴いてください。

・My Life Between Silicon Valley and Japan
http://d.hatena.ne.jp/umedamochio/20060112

「ウェブ進化論」(ちくま新書)発売日の2月7日(火)夜に、下記の通り、東京で出版記念イベントを開催します。筑摩書房主催「梅田望夫がブロガーと語る「ウェブ進化論」」です。

招待ブロガーとして、「情報考学 Passion For The Future」の橋本大也さんに司会役をお願いし、議論のパートナーに「R30::マーケティング社会時評」のR30さん、「FPN: Future Planning Network」代表の徳力基彦さんらをお招きします。1時間のラジオ番組みたいな感じで録音して、翌8日(水)までにポッドキャスティングで公開します。

Posted by daiya at 02:02 | Comments (0) | TrackBack

2006年01月17日

ブログ・オン・ビジネス 企業のためのブログ・マーケティング

・ブログ・オン・ビジネス 企業のためのブログ・マーケティング
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ブログの総本山シックスアパート社によるブログのビジネス活用のすすめ。ブログの運用システムの世界標準を策定した会社であるため、企業活用の豊富な事例が収録されている。そして、ブログ運用の”常識”が濃縮されている。

「ブログはコミュニケーションの道具」であると関社長がまず宣言する。不特定多数の人たちとコメントやトラックバックを通じて情報交換ができる。企業はこのコミュニケーションを通じて、ちゃんと対応することで、お客さんにシンパシーを抱いてもらい、まずはブログの、そして会社のファンになってもらうことを目標とせよと説いている。その先に業績の向上が見えるのだ。

個別のコンサルティング事例公開も面白い。結婚式のプランニング企業、プランドゥシー社の例。クレームがあったら、そのやりとりをブログ上で公開して進めることで、”おもてなし”の心が、読むものに伝わり、好意的なクチコミにつながるという。コミュニケーションの基本は誠実さ、なのだ。

ラジオ放送局J-Waveの例では担当者の自主性に任せて、番組ごとにブログを勝手に公開できるようにしたところ、20以上のブログが立ち上がって、Webの活性化と番組宣伝につながった。出版社の柴田書店では、自社ブログで書籍を紹介することで、新刊以外の本がロングテイルで売れて、Webの売り上げを10倍にした。リクルートではフリーペーパーと連動したクロスメディア展開が花開いた。

巻末には100社の事例カタログがスクリーンショットと概要説明つきで載っている。これから自社でブログを始めたい担当者は、上司説得の材料を見つけることができそうだ。

ところで、この本を読んで私はブログの怖さも感じた。

ブログは企業にとって、その価値が白日の下に晒される試金石である。

必要とされる誠実さ、尊敬される経営哲学、人気を呼ぶ社員のパーソナリティ、コミュニケーション能力、無論、組織の持つ社会常識や教養までがブログを通じて露出してしまう。つまりブログを活用できるのは裸になっても魅力的な素性の良い会社に限られるのではないか、ということ。

たとえば社長がブログを勝手に書いて公開する。それで問題が起きない必要がある。担当者が自由裁量でサービスを語っても営業と開発の揉め事が起きない整合組織である必要がある。サポートがクレーム対応のやりとりを公開してもボロがでない商品・サービスを売っている必要がある。

ブログができない会社って、いまどきダメな会社かもしれませんよ。


・このブログがすごい! 2006
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004106.html

・図解 ブログ・マーケティング
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004097.html

・できる 100ワザ ブログ アフィリエイトも楽しめるアクセスアップの実践テクニック
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004087.html

・アルファブロガー 11人の人気ブロガーが語る成功するウェブログの秘訣とインターネットのこれから
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/003916.html

・Blog Hacks ―プロが教えるテクニック&ツール100選
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/002121.html

・ウェブログ超入門!
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/001771.html

・アルファブロガーを「もっと」探せ-2005 - Alphabloggers.com
http://alphabloggers.com/
alphablogger2.gif

私のブログに限らず、いいと思うブログを投票してあげてください。ブログの活性化につながる企画だと思います。また選ばれるように私もブログを強化していこうと思っています。

Posted by daiya at 23:59 | Comments (0) | TrackBack

2005年12月28日

このブログがすごい! 2006

・このブログがすごい! 2006
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書評の前に。

ところで、先日の忘年会議の報告続きがこちらにあります。大賞に選ばれたはてなブックマークの運営会社はてなの伊藤直也さんにトロフィー代わりの一升瓶を贈呈してきました。ついでに取調べ、ではなくてロングインタビューを敢行。

・無敵会議 - 「はてなブックマーク」優勝記念を渡してきた
http://www.muteki-kaigi.com/2005/12/post_2.html
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この記事自体、はやくもはてなブックマークされまくりです。
はてなブックマーク - 無敵会議 - 「はてなブックマーク」優勝記念を渡してきた
http://b.hatena.ne.jp/entry/http://www.muteki-kaigi.com/2005/12/post_2.html

このインタビューとライティングはすべて百式管理人によるものです。私だけしか写真に登場しないため、誤解されている方がいらっしゃるようなのですが、私は実は座っていただけなんですねえ(笑)。いろいろとはてなの裏側がのぞける内容になりました。


さて、この本「このブログがすごい! 2006」の話ですが、忘年会議と同様に、編集部が独断と偏見で面白いと思ったブログを何百も紹介しています。私のブログもビジネス部門の必読ブログに入賞し、前代未聞のほめ殺し紹介をいただきました。「連邦のモビルスーツは化け物か?」という賞賛は一生忘れないでしょう。多分。

読者投票やアクセスランキング、著名人の形式審査では、絶対に出てこないような濃いブログが多数発掘されています。知る人ぞ知るブログを知りたい人には気楽に読めるし、いい本です。

■極私的このブログがすごい!2006

さて、先日の忘年会議で真性引き篭りを今年のマイベスト?ブログだと発表したところ、共感と当惑のご意見をいろいろ頂きました。調子乗って、私の愛読ブログベスト3を紹介します。

日常的にどんなブログを読んでいますか?と聞かれるのですが、知りたいことを検索して読むことがほとんどなので、特定のブログをRSSリーダーで追いかけることはしていません。でも、この3つはついついブックマークを呼び出して読んでしまうのです。

・真性引き篭り
http://sinseihikikomori.bblog.jp/
極めていまどきのネット的感性。殻にこもっているのに超クリエイティブ。ポジショニングは違うが、切込隊長と芸風が似ている気がする。とりあえず昼休みに読む。

・唯ゲーム論
http://d.hatena.ne.jp/walkinglint/
創造的傍観者、プロ・コメンテーター、思考代行者。いい具合に適当に私が気になる記事をピックアップしてくれて、あるべきツッコミを書いてくれて、おしつけがましくない”視点”を提供してくれる。コメント機能付人間RSSリーダー。

・更新日記 日曜プログラマのひとりごと
http://homepage1.nifty.com/kazuf/renewal.html
情報技術、研究、開発の話題を適度な文章量で評論している。私と関心がそっくりなため、そうそう、それは私も考えたと思ったり、先にヤラレたと思ったり。記事内容に関するリンクも多数あるため、情報源としても貴重。


さて、「そういうのが好みだったらこのブログもいいのではないですか?」という、皆さんの推薦があったらぜひ教えてください。

Posted by daiya at 23:59 | Comments (0) | TrackBack

2005年12月24日

図解 ブログ・マーケティング

・図解 ブログ・マーケティング
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先日、私が企画した「デジタルコンテンツ2006」で、主な話題のひとつがブログマーケティングだった。企業はネットコミュニティとどうつきあうか、関心のある参加者が多かった。

・“Web 2.0”の導入、従来メディアは「恐る恐る」
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/event/2005/12/20/10287.html

このイベントではどちらかというとコミュニティ側から見たブログの企業利用の理想が語られた。企業は「外国人に道を尋ねられた状態」でお客さまから親切にいろいろ教えてもらえるような関係を作るべきだという発言は、会場でも表現の面白さに笑いが起きると同時に、その意味に共感した人も多かったようだ。

どうしたら企業は、そんな理想的な関係のインタフェースとしてのブログをつくることができるのだろうか。ネットマーケティングの専門家、カレンの四家さんが、簡潔にまとめたのがこの本である。

・shikeの日記
http://d.hatena.ne.jp/shike/

・カレン広報室 ベスト・メッセージングBlog
http://www.current.co.jp/blog/

トラックバックの数を表示することで「行列を見せる」機能だとか、担当者の雑談から顧客とのコミュニケーションへひきこむ「商談の場をつくる」がある、という風に、ブログが企業の営業活動において、どのような役割を果たしえるのか、ネットに詳しくないビジネスマンにもわかりやすく説明されている。

企業ブログには大きく次の3類型があると定義される。

・メッセージング型
 販売促進を目的にしてお客様に情報発信を行い商品理解から共感形成を目指す。

・コミュニティ型
 消費者の声を主役にしたコミュニティを形成し自社や商品のファン層拡大、顧客間交流、集客促進、販売促進へつなげていく。

・ブランデッド・エンターテイメント型
 映画・テレビ番組・演劇などエンタテイメントコンテンツを利用してブランド訴求を行う。

それぞれ多数の成功事例が紹介されている。著者自身がてがけたケースも多いので、試みの意図や、現場の雰囲気もわかってくる。

有名人やオピニオンリーダーに企業の宣伝ブログを書いてもらうという手法だとか、開発や販売の担当者が顔出しで書く手法など、いろいろ紹介されているけれど、インパクトの点では社長ブログが最強だろう。

久々にGoogleで「社長ブログ」を検索したところ、上位にはこんな顔ぶれが表示された。
・渋谷ではたらく社長のblog
http://shibuya.ameblo.jp/
サイバーエージェント

・livedoor 社長日記 - livedoor Blog(ブログ)
http://blog.livedoor.jp/takapon_ceo/
ライブドア

・高橋がなりブログ 虎の声 - SOD
http://blog.livedoor.jp/sod/
ソフトオンデマンド

・【クマガイコム】GMOインターネット社長熊谷正寿のブログです
http://www.kumagai.com/
GMO

・エキサイト社長、山村幸広のインターネットブログ
http://blog.excite.co.jp/yamamura
エキサイト

やはり勢いのあるベンチャー企業ばかりだ。多くはインターネットビジネスの企業である。社交的な個性派で、いかにもワンマンそうな社長が多いのが特徴だろうか。上場企業の代表でありながら、歯切れの良い意見をどんどん書いているのが見所。リスクもあるが、日々の発言で「顔が見える」というのはネット上でのコミュニケーションでは強力だ。会社案内で社長が正装して椅子にふんぞり返ったような写真で「顔が見える」のとはわけが違う。

企業のインタフェースとしてのブログ、2006年はどんな展開があるだろうか。巻末の、シアトル在住のコンサルタントアドイノベーター織田浩一氏とのチャット対談公開もライブ感があって興味深い内容だった。

・Ad Innovator
http://adinnovator.typepad.com/ad_innovator/


・できる 100ワザ ブログ アフィリエイトも楽しめるアクセスアップの実践テクニック
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004087.html

・アルファブロガー 11人の人気ブロガーが語る成功するウェブログの秘訣とインターネットのこれから
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/003916.html

・ウェブログ超入門!
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/001771.html

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2005年10月19日

アルファブロガー 11人の人気ブロガーが語る成功するウェブログの秘訣とインターネットのこれから

・アルファブロガー 11人の人気ブロガーが語る成功するウェブログの秘訣とインターネットのこれから
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人生何がどう転ぶかわかったものではありません。

このたび、アルファブロガーとして本になりました。

これは11人のアルファブロガーのインタビュー本です。

私の章の内容は、ブロガーとしての日常、長く続ける秘訣、皆さん気にするどの程度本は売れるのか問題、情報整理術、今後のインターネットの行方論などです。それはともかく、他の10人のインタビュー内容は、本音・実態ベースで情報量も多く、同じブロガーとして大変興味深いものでした。

さて、インタビュアーが印象に残った発言を、各対談の見出しに使っています。各人各様なのですが...。

■Part 01 「人気ブログ」の運営スタイル

01 炭火のようにじわりじわりと燃え続けていきたい
   ――ネタフル コグレマサト 氏
02 ある程度のメンタルタフネスは必要です
   ――百式 田口元 氏
03 ブログはもっとホットで無防備なメディアです
   ――極東ブログ finalvent 氏

■Part 02 「プロフェッショナル」のブログ活用術

04 ブログとマーケティングの状況は確実に変化が起きている
   ――Ad Innovator 織田浩一 氏
05 「メディア批評」は議論から実行フェーズに入っている
   ――R30::マーケティング社会時評 R30 氏
06 ブログには「個人を売る媒体」としての強みがある
   ――isologue 磯崎哲也 氏
07 自分が面白いと思うことを書きたいときに書きたいだけ
   ――ON Off and Beyond 渡辺千賀 氏

■Part 03 テクノロジストとインターネットの未来

08 モテたくて
   ――NDO::Weblog 伊藤直也 氏
09 「キーボードで悪口を打たない」のは鉄則です
   ――Passion For The Future 橋本大也 氏
10 インターネットと正座で向き合っていけるか?
   ――切込隊長BLOG 山本一郎 氏
11 2050年にネットが世界をどう変えるかこの目で見たい
   ――英語で読むITトレンド 梅田望夫 氏

私の「「キーボードで悪口を打たない」のは鉄則です」は、随分と真面目に見える部分を切り取っていただいたなあと思うわけです。が、同じように考えている人が多いことに気がついた次第です。

引用してみると、


僕は、面白くないことは取上げなければ良い、というスタンスです。たまに相手が有名人とか偉い先生で、僕が何を言おうとどうってことなければいろいろと書いちゃう場合もあるんですけど、基本的にはネガティブなことは書かないようにしています。続ける秘訣は、それが大きいなぁという実感があります。ネガティブなことを書きはじめると、自分に返ってくることが多くていけません。自分自身ネガティブな考えになったり、それによって反論されたり、人間関係が壊れるとか、思わぬ展開があって、何か悪いことを書くと、世の中つながっているので、いろいろな形でこっちに返ってくるんですよ。それがイヤになる理由になる気がしています。

<中略>

むしろホジティブなことを書いたり、書評もなるべく良いものを取上げて褒めていると、著者から連絡があることもあるし、いろいろなことが始まるので、本も売れるということもあるので(笑)、ネガティブなことを言わずにいろんなものを褒めるというのは、長く続けるのであれば秘訣かなと思います。
」Passion For The Future 橋本大也 氏

という趣旨だったのですが、同様の意見が以下のようにあります。

「プレッシャーというよりも、書く内容はきをつけます。政治の話は書かないとか、基本的に悪いことは書かないようにしていますし、悪いニュースでも最終的には良い方向になるように書いています」ネタフル コグレマサト氏

「否定的なことは極力書かない。好き嫌いというのは表裏一体で「Xが好き」という裏側には「Yが嫌い」というのがあるわけですが、「Yが嫌い」を書く代わりに「Xが好き」というのを書くように気をつけています。」ON Off and Beyond 渡辺千賀 氏(その他の点でも、渡辺さんのブログへの表現スタンスは私とそっくりで驚きました)

私の意見は別の部分に記述がありますが、百式 田口元 氏とも同意見なので、11人中4人が、ネガティブな書き方を避けるのが長続きのコツと考えているようです。

どんなに孤高を演じていようと、個人ブログという、やってもやらなくても良い表現活動に自ら参加すると人というのは、根がコミュニケーション大好きな人間であるはずだと思います。コミュニケーションは人間関係ですから、偶発的な正当な批評行為、正当な権利の主張行為は強気に臨めても、日常的に悪意や争いごと、ストレスを自ら呼び込むようだと、ブログは長続きしないものだと思うのです。

もちろん、切込隊長BLOG 山本一郎 氏のように「ブログでもいろんな裁判とかが起きてくるでしょう。なるべく自分がその第一号になろうと思っていろいろ書いてたんですが、残念ながらそういうことにはならずに寂しい思いをしてたんですけど(笑)」というつわものもいますが...。

あ、ちなみに、この書評では拡大しましたが、この本は、このようなモラル論の本ではまったくありません。

出版社によると、この本の内容は、


「アルファブロガー」を知っていますか?アルファブロガーは、スゴいウェブログを書いているスゴいブロガーです。ほかのウェブログからいつも参照されているようなブログ、ネットでの世論形成に大きな影響力を持っているようなウェブログ、そういうごく少数のパワーブロガーだけが「アルファブロガー」と呼ばれるのです。
2005年2月、草の根の投票企画「日本のアルファブロガーを探せ!」の結果が発表されました。ここで「日本のアルファブロガー」として名前の上がったトップ20のうち、主にITビジネスや時評といった分野で活躍する「ベストイレブン」の方々に、どのようにブログを運営しているのか、その秘訣を教えてもらいました。
アクセスアップに心がけていること、ネタの探し方や情報の整理のコツ、ブログを本業に役立たせるいろいろな考え方などなど。そしてこれからのインターネットはどこに向かうのか、ブログの魅力と可能性(そして限界)はどこにあるのか?
11人11様のさまざまな意見が飛び交う本書のなかには、必ずやあなたの今後のインターネットライフ/ウェブログ活動に役立つヒトコトが、あるはずです。

であるとのこと。

一般投票ベースで選んでいただき、その結果、本になったということがとても光栄で嬉しいです。実は密かに9月で2周年を迎え、3年目に突入しているこのブログですが、これからもできるかぎり読者に支持してもらえるようなブログを目指したいと思っています。よろしくお願いいたします。

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2005年10月05日

秀和システム 逆引き大全シリーズ

ハック気分を味わえる技術書として、オライリーのHack本が有名だけれども、秀和システムの逆引き大全シリーズも結構いけてるのではないか?。自分の本棚を見て、Web系言語のシリーズが全部揃っているのにいまさら気がついた。書評。

・PHP5逆引き大全 500の極意
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・Perl/CGI逆引き大全600の極意
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・最新Java逆引き大全 550の極意
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これからも技術書は紙である意味があると思う。ネット時代だからといってデジタル化して、コードを書いている端末で読めればよしとする考え方もあるが、端末を離れて静かに紙で読むことで解ける問題はとても多いと思うから。

逆引き大全シリーズはCDROMに本で扱われるすべてのサンプルコードが収録されており、紙とデジタルの長所が融合できている。読んだコードを打ち直す手間が省ける。

たとえばPHPの場合、

・メールを送信する
・カレンダーを表示する
・サイトマップを作成する

というようなアプリケーションのシンプルな部品を作る応用項目や、

・配列をキーでソートする
・配列のキーと値を逆転する
・文字列の出現回数を調べる

のような典型的なコードテンプレート作成の項目や、

・正規表現による置換を行う
・while文の使い方
・変数のスコープ

といったお決まりの基本事項の確認まで一冊にまとまっている。

ある程度、言語をマスターしてしまうと教科書に戻るのは面倒に感じるが、やりたいことの逆引き本は、その後もかなり長くつきあえる。まったくプログラミングをしたことのない人には薦められないが、他の言語をマスターしている場合(PerlがわかっていてPHPを学びたいなど)は、逆引きからの方が学習も速いかもしれない。

この逆引き大全シリーズは調べてみると72冊も出版されている。

・秀和システム 逆引き大全シリーズの検索結果_画面
http://www.shuwasystem.co.jp/cgi-bin/search.cgi?f001=&f005=0&f004=25&Submit=%8C%9F%8D%F5&f003=


冒頭に挙げた最初の3冊は私が愛用して満足しているものだけれども、今調べてみて、あれ、こんなのあったか面白そう、という毛色の違うものを最後にいくつか紹介(CDROMはすべてについているわけではない)。


・XML逆引き大全300の極意
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・TCP/UDPポート番号逆引き大全380の極意
4798006866.09._PE0_SCMZZZZZZZ_.jpg

・Windows DOS/コマンドプロンプト逆引き大全 350の極意
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2005年09月11日

編集者・執筆者のための秀丸エディタ超活用術

・編集者・執筆者のための秀丸エディタ超活用術
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ユーザ数200万人とも言われるテキストエディタ 秀丸エディタの解説書。

テキストエディタのユーザ層には主にライター・編集者系のユーザと、プログラマのユーザの2種類がいると思う。この本は前者の使い方に特化しているのが特徴である。

秀丸エディタは長年、私も愛用しているが、設定を見直したことがほとんどなかった。理由は、設定項目が多すぎること、変更するとどうなるのかメニューの項目名からはわかりにくかったからだ。

バリバリと物書きモードで使いこなしている人の設定を知りたいと思っていた。この本がまさにそうしたパワーユーザ向けの一冊。

設定パネルのこの項目はこうしろ風に、デフォルトの設定と著者の推奨設定が順に説明される。ファンクションキーの推奨設定も勉強になる。

○用字用語の統一
○数字表記の統一
○固有名詞の正字の使用
○行頭の不要スペース削除
○すべての行頭に全角スペース
○半角記号を全角に
○ページ数表記の統一
○西暦表記を漢数字に
○漢字をひらがなに開く表記の統一
○送りがなの統一

など話題が盛りだくさんである。

タグ付き正規表現の使い方は特に参考になった。

たとえば、

「あり方」「有り方」「在り方」→「ありかた」

という表記の統一を行いたい場合は、

検索文字列 [あ有在]り方
置換文字列 ありかた

という正規表現処理で置き換えることができる。

ここまでは常識だが、日本語の文章には活用形や熟語がある。そこでタグ付き正規表現をさらに高度に使うテクニックが紹介される。

たとえば、

「直す」「直る」の活用すべて → 「なおす」「なおる」

を行いたい場合、

\f[^硬実正素垂率廉]\f直\f[さしすせそらりるれろっ]\f

というような検索式を使った工夫が示される。活用形に対応しただけでなく、硬直する、素直そうという表現を除外している。

さて理屈では正規表現を使うと便利になることは分かったが、毎回、こうした正規表現を書くこと自体が面倒である。

そこでこの書籍には著者の長年のノウハウを結集した表記統一マクロ集やファンクションキー設定集が付録CDROMに収められている。これを使いこなせれば、編集業務の効率化に相当威力を発揮しそうである。

長文派のブロガーにもおすすめ。

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2005年08月04日

教科書には載らないニッポンのインターネットの歴史教科書

・教科書には載らないニッポンのインターネットの歴史教科書
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凄まじい編集力。誰かが書いておくべき本だったと心から思う。95年ごろからインターネットを使っている人であれば一家に一冊置いておくべき。懐かしくて泣きそうになる。

これは、日本のインターネットの草創期から現在までの歴史を、個人サイトやコミュニティ、アングラ文化などの、正史では語られない視点から徹底的に解説する本。その徹底ぶりが素晴らしい。何千何万の細かな事件を丁寧に日付ベースで年表化し、時代別に流れを長文の解説記事で紹介する。

具体的には、年表部は著者がまとめたWebページ

・教科書には載らないニッポンのインターネットの歴史 Encyclopedia of Japanese Internet Culture
http://web.archive.org/web/20030801113739/http://blogdex.tripod.co.jp/encyclopedia/

のような内容である。上記のWebページは215キロバイトもあるが、書籍化に当たって数十倍も加筆しており、個人の著作であるとはちょっと信じがたいレベルだ。

ブログの源流である日本の日記サイトの変遷や、2ちゃんねるのような匿名掲示板成立までの小史、パソコン通信からインターネットへの移行、アングラサイトの興亡など、当時、ネットにハマっていた人なら、涙ぐみそうな細部の記録で満載である。

私にとって最初のネットコミュニティ体験は大学内のNetNewsだったと記憶している。端末の使い方について質問を投稿したら、「投稿する前にきちんと調べてから質問せよ」「投稿先をよく考えろ」と上級者の返事が飛んできて、ネットは怖いと感じたのが第一印象だった。そもそもわからないから投稿したのに。当時はインターネットはリテラシーのない人間はまったく歓迎されない雰囲気があったと思う。

メール末尾につける署名が3行を超えるとインターネット帯域の無駄であるとして上級者からやたら怒られる。メールの題名は日本語を使うな、英語で書け(文字化け回避と外国人配慮のため)。有名なホームページの作者に知り合いになりたくてメールを送ったら「お前など知らない。無差別に送っているだろう。迷惑メールを送るな」。ホームページの作成方法について質問すると「RFC****を読め」と一行の返答。すべて実話で、私のネット体験の最初は怒られてばかりだった。

私のような技術の入門者(特にUNIX方面)は当時「タコ」と呼ばれていた。そっけない対応をされるのが悔しくて、端末室にこもってサーバ技術を必死に覚えていた。ちゃんと相手をしてもらえるまでに1年くらいかかった気がする。

当時、上級者たちはこういう考え方をしていたようだ。

・Linux Japan Vol.5 我々は十分か?
http://www.nurs.or.jp/~ogochan/linux/5.html

netnewsやMLを見ていると、「○○のタコですが」と言う言葉を最初に言って、それこそ「タコ!」と罵倒したくなるような質問をする人がいる。どうもこの人は「Linuxはタコを大切にする」ということを誤解しているようである。また、タコを自称することにより、多少のこと(多少にはもちろん「多」も含まれている)も許容される言い訳(なぜかexcuseと英語で言われることが多いのはなぜだろう)になると思っているらしいし、それで非難をかわせるとさえ思っているようである。

おかげで、随分勉強になった。一種の修行制度みたいなものだったのか。今のネットコミュニティは2ちゃんねるでさえ、比較したら親切だと思う。時代の移り変わりを感じる。そうした時期のことがこの本にはいっぱい書かれている。懐かしい。

素晴らしい本であるが、メールマガジン、メーリングリスト方面については調べにくかったのか、若干、手薄も感じた。協力者を増やして、今後もネット上で増補改訂を続けて欲しいなあと切に思う貴重なデータベースである。

こうしてみるとコミュニティの歴史は無数のサイドストーリーが錯綜している。視点によって年表の楽しみ方も無数にあるのだろうなと思う。後半では今につながるブログの流行までが語られている。

そして、このブログもP315の年表に


2003年 09/04 ウェブログ「情報考学Passion For The Future」開設。

とちゃんと掲載されているのを見て驚いた。著者はこのサイトを訪問して開始年月日まで調べてくれたのかと思うと、作業の丁寧さに頭が下がる。インターネット草創期を経験しているユーザであれば、買って損はないというか、買わないと損な一冊。

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2005年06月13日

ASTERIA 実践ガイド −マウスで楽々プログラミング

・ASTERIA 実践ガイド −マウスで楽々プログラミング
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ASTERIAは企業内の異種システムを上流で統合するEAI (Enterprise Application Integration) ツールの一種。会計システム、販売システム、生産管理システム、購買システム、社内イントラなどを連携させるプログラムを開発する。

・ASTERIA(アステリア)【データ連携・システム統合プラットフォーム】
http://www.infoteria.com/jp/product/asteria/index.jsp

ASTERIAの最大の特徴はこうしたEAIアプリケーションをアイコンを並べて線でつなぐビジュアルプログラミングによって短期間に開発できること。パワーポイントでシステム図を描く要領で、コンポーネントアイコンを並べてシステムの構成を作り、処理手順通りに線でつなげ、パラメータを設定するだけで、プログラミングが完了する。

あらかじめ、多様なシステムと連結するためのインタフェースや、出力フォーマット(RDB、XML、CSV、EXCELやPDFなどもある)が大量に準備されている。ASTERIAでは、設計すること=開発することであり、設計者はコーディングの高度な知識を必要としない。純粋にビジネスロジック部分の開発に集中できる。

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最も便利なコンポーネントは「マッパー関数コンポーネント」と呼ばれるデータ変換機能。このコンポーネントでは左側の入力の項目に、任意の変換操作を行った後、右側の出力の任意のフィールドに差し込むことができる。こう書くと分かりにくいが、要はインプットとアウトプットの間のデータ処理をすべて記述できるわけだから、ほとんどのデータ処理プログラミングはこのマッパー上で作ることができる。

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条件分岐や制御構造、サブフローや並行処理、例外処理もビジュアルで表現できる。システム構成と処理フローが図として残るから、膨大な仕様書は不要である。この図そのものがシステムの仕様になるのだから。

この本には試用版CDが付属していたので早速試してみた。ASTERIAはサーバとデザイナークライアントに分かれており、サーバはWebベースで管理することができる。クライアントはWindowsデスクトップアプリケーション。多少はルールを覚える必要があるが、CSVファイルに記述された顧客マスターデータから、特定の属性のお客さまリストを抽出して、メールを送るプログラム程度は30分もあれば完成してしまう。

大規模なEAI用途というよりは、むしろ、個人の定型業務の自動化に向いているようにも思った。単純な順次実行のバッチ処理ではなく、ある程度複雑な条件判断が必要なエージェントプログラムを、アイコンを線でつないでいくだけで手元で作ることができるのは、便利だ。

最終章にASTERIAの設計思想が開発者によって書かれているが、

「95点ルールと70点ルール」
「変わらないものから変わるものへ」

というお話がある。

世の中には、財務会計や生産管理のように間違いが許されない95点を求められるシステムと、うまくいかなかったら失敗から学んで次のフェイズで片付ければいい70点システムがあるという。一般にシステムの精密度は50点を70点にするのは簡単だが、80点を90点に、さらには100点に近づけていくには膨大なコストがかかる。すべてを銀行の基幹業務システム並みの完成度にすることは効率が悪い。

特にナレッジワーカーが日常使う情報系システムは、非定型的で変化要因が多い。95点のツールを完成させても、時代遅れのシステムでは成果が出せない。70点のシステムをすぐさま状況に応じて設計できることは大きなメリットになる。ASTERIAの活躍の場は、変化の速い、70点でも動くシステムが求められている場なのだと結論されている。

まったくその通りで、私の日常の情報処理も、まさにそうした70点ツールがいっぱい欲しい。今は暇を見つけてはPerlやPHPなどのスクリプト言語で、自分専用の自動化ツールを開発したりしている。だが、やりたいことに追いついていないし、情報のターゲットがしばしば変化してしまうので、やり直しが多い。

たとえば、一般の検索エンジンや、ECサイトのデータベース、ソーシャルネットワーク、ソーシャルブックマークなどのWebアプリケーションから情報を取得したいのだけれど、先方の仕様は良く変わる。一度ツールを作成しても数ヶ月で動かなくなってしまったりしている。作り直しはコードの読み直しになる。ただでさえその場しのぎのスパゲッティコードなので、再度、全貌を理解するのにも時間が掛かる。そのうち、メンテナンスをあきらめてしまう。引継ぎなど不可能だ。

ASTERIAのように図面設計すること=開発することになるツールであれば、修正も容易だ。ビジュアルプログラミングは、作ってみようかの心理ハードルも低い。まさに個人のナレッジワーカーにとって強力な味方になりそうだ。

ただし、ASTERIAの最大の欠点は価格だろう。販売代理店の情報を見ると300万円近くするようだ。現在はEAIツールとして、ある程度大規模な異種システムの上流統合の市場を対象としているらしいが、本当の需要は個人のナレッジワークにこそあると思った。

また、完成したアプリケーションをPerlなどのスクリプト言語にエクスポート(そしてインポート)する機能もあると、今までの開発スタイルと連続できてさらに便利になるだろう。これができればノンプログラマがプログラマと協働することが可能になる。

と、いろいろ感想を書いてみたけれど、ビジュアルプログラミングで情報業務系を簡単開発できるツールは、今まさに企業のナレッジワークの現場に特に求められていると思う。
・今日のイベントはどうでしたか?とアンケートメールを参加者に送り、サーバで結果を集計してEXCELファイルとしてイントラにアップロードし、担当者が開く

くらいのアプリが、必要なときにすぐ作れるASTERIAは便利である。こうした芸当を5人、10人がこなせるような会社であれば、導入の検討余地がありそう。

関連:

・ズバリ自動化 Waha! Transformer Personal
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/003267.html

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2005年06月08日

インターネット広告革命―クロスメディアが「広告」を変える。

・インターネット広告革命―クロスメディアが「広告」を変える。
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この本の主題であるインターネット広告革命の内容とは、

1 広告表現革命
ブロードバンドに対応した音声や映像によるリッチメディア広告や、ユーザとインタラクションするインタラクティブ広告など、広告表現の多様化。

2 ターゲッティング革命
ユーザの閲覧履歴分析やテキストマイニングの技術を使ってユーザの関心を割り出したり、配信時間帯を制御することで、視聴者層を絞り込む。

3 メディアプランニング革命
メディアミックス(異なる媒体の加算効果)からクロスメディア(媒体効果の乗算)によるメディアプランニングへ。

という3つのインターネット広告の変化から構成される。

ポスト・クリックだけでなくポスト・インプレッションも重視したブランド形成型の広告戦略が必要だという分析がある。

従来のWebマーケティングでは、投下した広告予算の効果を計測する指標はクリックレート(クリック数÷露出数)であった。つまり露出(インプレッション)しただけではダメで、即時にクリックされなければその広告の効果は評価されなかった。

しかし、最近のユーザの動向をWeb視聴率会社の調査データやアクセスログのデータから分析していくと、広告が即時にクリックされなくても、露出後一ヶ月以内に広告主のサイトへユーザが訪問する率が高いことが発見されたという。つまり、インターネット広告にもテレビCMのようなブランド認知の効果があり、露出効果も含めての広告戦略が必要になってきた。

具体的には米国ダブルクリック社のデータによると、2003年第2四半期から、

1 クリックスルー率
広告をクリックしてから広告主指定ページを訪問した比率

2 ビュースルー率
広告を見ているが、その場ではクリックせず、30日以内に広告主サイトを訪問した比率

の2つの指標で、後者が前者を上回る状況になったそうである。

即時にクリックされなければならない広告は、私流にわかりやすく言えば「ポン引き」みたいなものだと思う。その場でクリックさせる工夫はいろいろある。たとえば古い手法なら、バナー広告を押しボタン風にするとか「クリック」という文字を入れるだとか、破線で囲ってみるなど。こうした小手先の工夫のトレンドはめまぐるしく変化するが、それほど難しいことではない。

しかしネットユーザもリテラシーが高まってきてポン引きを見抜くようになったし、クリックしたからといって買うわけでもない。ポン引き広告の限界がきたのだと思っている。これは私自身も感じていて、たとえばよく知らないWebショップの商品広告バナーを見て商品がほしくなった場合、まず行くのはその知らないショップではなくて、アマゾンや楽天などの既に知っている「有名サイト」である。

以前、書評した「けなす技術」の中で切込隊長氏が、マス広告が消費者に選択肢を与え、選択肢からの決定にはネットが大きな影響力を持つ、ネットだけではマーケティング効果は期待薄だと書いていた。この本のメディアミックス(異なる媒体の加算効果)からクロスメディア(媒体効果の乗算)へというメッセージはそれに近いメッセージである。

テレビのようなマスメディアと、インターネットメディアを組み合わせて、ブランドを作ったうえでポン引きもやるのが賢いということなのだと思う。

・けなす技術
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/003238.html

テレビとインターネットを融合させた広告キャンペーンが効果的と結論されている。

ネット上でのブランド認知という点では、ユーザに強い印象を与えるリッチメディアやインタラクティブ広告が、効果が高いとされていた。BMWのショートムービー広告キャンペーンの成功などが語られている。

最新の広告事情がわかって面白い本だったが、著者は博報堂資本の大手ネット広告代理店の副社長であり、要旨はもっと幅広く広告を出しましょう、特にネット広告の比率を上げましょうという結論だから、ある程度割り引いて考えないといけない部分もあるなと感じた。

特に映像や大きなサイズのFlashを多用したリッチメディア広告については、その商品に強い関心のある人には効果が確かに高いのかもしれない。たとえば今ならスターウォーズの予告編ムービーが3分間も見られるビデオ広告があったとしたら、私も見たい。クリックもするし商品も買うかもしれない。しかし、通常はそこまで強い関心を持つユーザにターゲッティングしマッチングを成功させるのは至難の技なのではないか。スターウォーズのようなロイヤリティが確立されたブランド商品は数が少ないのだから。

むしろ、インターネット広告の未来は、リッチメディア広告のように”ユーザを捕まえる”ものではなくて、アドセンス、アドワーズのように広告であることをなるべく感じさせず、そのページの情報価値を高める(関連度の高い広告情報表示)ことで、”ユーザが捕まえる”ものであるような気がしている。

サイトを見て何かを買うというプロセスの間に、何らかの広告があったことをユーザが意識することがない、というのが究極的なインターネット広告ではないだろうか。

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2005年06月07日

図解P2Pビジネス

・図解P2Pビジネス
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この本の一節によると、現在のインターネットのトラフィックの4割から6割がファイル交換ソフトによるものだそうだ。その内訳は動画が38%、音楽20%、画像17%。インターネットは実は動画をP2Pで交換する用途に一番使われているのだ。これにはちょっと驚く。

■P2Pという概念の整理

かつてナップスター全盛の頃、IT業界ではそこかしこで新型P2Pのアプリケーションについてブレストが行われていた。参加者はP2Pを音楽ファイル交換以外で使う方法を考えるわけだが、

・P2Pで2ちゃんねる形式の掲示板
・P2Pで楽天
・P2PのWeb検索エンジン
・P2Pで分散スーパーコンピュータ
・P2Pで電子メールのやりとりができるアプリケーション

などなど、アイデアは次々にでてきた。

だが、99.9%のアイデアは、それってP2Pでなくても良いのでは?とか、それはP2Pと違うのでは?などの理由で却下されていき、最後は皆で「そもそもP2Pってなんだっけ?」というオチにはまり込み、こんがらがったままタイムアウトするのが常だった。

パソコン同士をLANで相互に接続するのもP2Pだし、インスタントメッセージを送りあうのもP2Pだし、音楽ファイルを共有するのもP2Pである。SkypeのようなP2PでIP電話を実現するケースもあるし、宇宙からくる電波を分散コンピューティングで解析するのもP2Pだった。P2Pという言葉にはいくつもの異なる意味が混在している。

P2Pという言葉の意味をこの本はうまく次の3つに整理している。

1 Peer to Peer(PCとPCをつなぐP2P)
2 Person to Person(人と人をつなぐP2P)
3 People to People(利用者の利用者によるP2P)

この定義では、クライアント/サーバ型のシステム上で実現されていても(たとえば電子メール)、2や3であればP2Pである。実現技術の仕組みに限らず、もっと広くP2Pをとらえようとしている。そして、P2Pファイル共有アプリの著作権侵害の問題や、セキュリティの問題についても考察されている。P2Pの全体像を知らない人にも伝わるように、包括的に書かれていて、参考になる。

■P2Pアプリの最新事情をわかりやすく

後半は具体的に最近流行しているP2Pアプリケーションを紹介している。動画配信のKontiki、巨大ファイル配信のBitTorrent、P2P電話のSkype、写真交換のHello、音楽コミュニティのMercora、コラボレーションツールのGrooveなど。P2Pアプリケーションについてはヘビーユーザ向けのIT雑誌以外では真面目に内容が説明されることが少ないので、こうしたビジネス書で丁寧に説明してもらえるのは、ネットのマニア層ではないビジネスマンにとっては特に助かるだろう。

(幸か不幸か私はマニアだったため...)多くのアプリについては実際に使ったことがあったが、ひとつ知らないアプリの名前が出ていた。調べてみたら大変興味深いものであることがわかった。P2Pで地震情報を共有するアプリケーション。

・P2P地震情報 - 地震情報を自動でチェック
http://www11.plala.or.jp/taknet/p2pquake/
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当サイトでは、次の3つを「P2P」によって実現しよう、という試みを行っています。

気象庁の地震情報を自動でチェック(P2Pで伝達することで気象庁Webサーバーへの負担を減らす)
ユーザーによる「揺れた」という情報の発信・共有(より早く地震発生を知る)
地震に関する情報の共有
 いわゆる「地震情報チェッカー」です。普段はタスクトレイに隠れているので、常駐させておいても邪魔になりません。また、P2Pだからといって「怪しい」「違法」といった心配はなく、むしろP2Pによる様々な利点を感じていただけると思います。

この仕組みを使うと気象庁の発表よりも早く実際の地震発生を知ることができるという。気象庁の公式大本営発表と草の根の地域報告を融合させた点がP2Pらしくて面白い。

■P2Pグループウェアの可能性?

もっと真面目に考えてみると、Grooveのような実名グループ内ファイル共有は、現在のクライアント/サーバ型から置き換えられる可能性があると感じている(3ヶ月使ってみての感想)。アリエル・プロジェクトAのような、各自の手元の最新情報を全員が同期するスケジューラーやグループウェアもP2P移行がありえるのではないだろうか。

・Groove Virtual Office
http://www.groove.net/home/index.cfm
マイクロソフトに買収されたP2Pグループウェア。共有フォルダがユーザ間で同期する。ファイルをアップロード、ダウンロードという概念がなく、放っておけばグループ全員のフォルダの内容が同じものになる。

・複数プロジェクトを一元管理できるプロジェクト管理ソフト「アリエル・プロジェクトA」- Ariel Networks
http://www.ariel-networks.com/product/project_a/index.html


ファイルや情報をサーバに登録する手間、ファイルを指定して送りあう手間がなくなるのはとても便利だ。マイクロソフトはGrooveを買収している。Windowsの”マイ フォルダ”の隣に”アワ フォルダ”などというフォルダが登場する日も近いのだろうか。

・P2Pビジネスブログ
http://www.ariel-networks.com/news/
著者の徳力さんは、P2Pコラボレーションソフト開発のアリエルネットワークスのメンバーで、P2Pビジネスの充実したブログを運営している。必見。

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2005年05月24日

ググる―検索エンジンGoogleを使ってネット上の情報を検索すること

・ググる―検索エンジンGoogleを使ってネット上の情報を検索すること
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検索キーワードの工夫、あの手この手を並べたテクニック集。検索を使う際のリファレンスとして有益。

この手の工夫は私も随分、試してきたし、蓄積しているノウハウも多い。が、この本にはいくつもなるほど新鮮と思わせるキーワード選びの仕方が掲載されている。

たとえば


1 ゲーム逆転裁判3の攻略情報を調べるとき

「逆転裁判3 チャート」

あたりは同時に出てきそうなキーワードを想像するという基本セオリーだと思うのだが、

2 ハマチの別名を調べるとき

をハマチ 別名

これは斬新である。

3 激安商品を探す

では、

(商品名) 送料 処分

がいいという。実際、このやり方で価格比較サイトよりも格安のサイトが見つかることがある。実は価格比較サイトに登録されている業者は、価格比較サイトに契約料を支払っていたりするので、その分が価格に上乗せされている。本当の底値のショップは価格比較サイトに掲載されていないことが多い。これは私も業界の人から聞いたばかり。

4 ソニーの株価推移を予測するための株関連の情報だけを調べる

では、

ソニー 6758

だそうだ。見事にノイズがはじかれている。

こうした検索キーワードの選び方が70例続く。

もちろん、検索の工夫が効くのはGoogleだけではない。

ヤフーもヤフるという本が出ている。こちらは検索だけではないヤフーらしく、ヤフーのサービス全体を使いこなすノウハウが書かれている。

・ヤフる―遊ぶ、稼ぐ、出会うなど、あらゆる欲望をYahoo!で満たすこと
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こういう検索語選びノウハウを交換するコミュニティがあったらいいなあ。

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2005年04月12日

TJムック「成功者30人に聞いた"儲けの法則" アフィリエイトで驚くほど稼げるネット通販」

・TJムック「成功者30人に聞いた"儲けの法則" アフィリエイトで驚くほど稼げるネット通販」
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書店ではアフィリエイト本はひとつのジャンルになってきた。5冊目の書評。

実際に月に10万、20万とアフィリエイトで稼いでいるカリスマ主婦や会社員が仮名、実名で登場して、売り上げ推移やノウハウを紹介してくれる。以前読んだ本と重なるノウハウが多いが、この本で知ったことを2つ。

1 アフィリエイトで儲かる商材とは 消費者金融、化粧品、健康食品

この本では、いろいろなアフィリエイト商材が写真入りでカタログ的に掲載されている。成果報酬の金額が最も高い商材はダントツで消費者金融のキャッシング申し込み。一般にイメージが良くない商材の割に、個人のWebサイトによくリンクが張られているのをみかけるなあと思っていたが、最高で一件成約で2万円もらえるものも見つかる。まあ、そう簡単には申し込みはないのだろうが、これを売る戦略を考えてみると面白いかもしれない(お金に困った人を集めるということか?)。

化粧品も比較的報酬が高い商材だそうだ。化粧品はリピーター率が高く、繰り返しの購入を期待できるという。「トライアルセット」では1000円の商品をひとつ売ると1000円報酬があるコンバージョン率100%前後が当たり前で、商品価格を超える報酬が設定されている例もあるとのこと。健康ブームのサプリや健康食品も消耗品なのでリピーターを期待できてよろしいということだ。

2 タイミングで勝負する流行商材専門サイトというノウハウ

制作やメンテナンスに手間をかければよいというわけでは必ずしもないようだ。最低限のメンテナンスしか行わずに、短期決戦の流行モノ専門ショップで儲けている人も結構いる。例えばこの本での紹介事例では、

・ハルウララのグッズ販売 限定グッズ通販 …
http://plaza.rakuten.co.jp/haruurara1

このサイトはこの本によると月15万円以上の収入があったらしい。基本はただ商材イメージを並べただけである。ハルウララが話題になった瞬間に、専門サイトを立ち上げたのが成功の秘訣という。普通は新規のサイトには人が集まりにくい。そこで、前もって告知掲示板的に使えるサイトを育てておくというノウハウが明かされている。コミュニティ的なメインサイトに日頃からトラフィックを集めておき、新しく立ち上げた流行専門サイトへ、アクセスを誘導するというやり方だ。

■ミクリヤくん2号のその後

さて、以前、同様のアフィリエイト本を書評した際に、

・ネット副業の達人アフィリエイトでこんなに稼げる!
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/003141.html

私の会社のエンジニアのミクリヤくん2号が、趣味でアフィリエイトサイトを立ち上げたという紹介をした。あれから一ヶ月、状況はどう変わっただろうか。前回の段階では「さっぱりですよー」で売り上げゼロ円だった。

今はというと...。

・J.muruco --ジャニーズ応援サイト--
http://muruco.jspeed.jp/jmuruco/top.do
db65fbae764faca1940da7cc54749b62.jpg

おお、サイトのデザインも機能も進化している。すごいぞ、ミクリヤくん2号!

洗練されたサイトに改造されている。SEOにもこだわっているようで一時期は「ジャニーズ オークション」の検索結果で1位に表示されましたと喜んでいた。報酬も数千円レベルで得ることができているらしい。この本の紹介事例の成功者のグラフと見比べても一ヶ月でそのレベルへ到達するというのは、筋がいいのかもしれない、彼。本業で磨いたJavaプログラミングが見事に活かされている。エンジニアの遊びとしては理想的な展開だと思う。

もっと儲かったら奢ってね。以上。

がんばれミクリヤ君2号の報告はまた彼から情報を聞き出し次第、ご紹介していきたい。

関連書評:

・全部無料で儲けるネット副業
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/003073.html

・フリーターから一発大逆転 アフィリエイトで月収100万円も夢ぢゃない!
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/003090.html

・主婦もかせげるパソコンで月収30万
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/001411.html

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2005年03月09日

ネット副業の達人アフィリエイトでこんなに稼げる!

・ネット副業の達人アフィリエイトでこんなに稼げる!
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■「できるアフィリエイト」的なお手軽入門書

仕事上の研究のためアフィリエイトの本をまとめ買いした一冊。

こんなこともあった。

・ITmediaニュース:Yahoo!がアフィリエイトに進出 バリューコマース子会社化へ
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0502/28/news057.html
ヤフーは約110億円でバリューコマースを子会社化し、同社を通じてアフィリエイト事業に進出する。

これは月々数万円の副収入を得たい人向けのお気軽アフィリエイト入門。

楽天、A8、バリューコマース、リンクシェアなどのアフィリエイトASPのリンク作成画面、レポート画面などを、画面キャプチャを使って、手取り、足取り説明してくれる。これから始めたい人には理解する時間の短縮になる。

楽天アフィリエイトについては特に詳しい。楽天のブログサービスを使って無料でアフィリエイトサイトを作る方法が丁寧に解説されている。テンプレートを使って商品を選ぶだけなので、とてもやさしい。

私も試しに楽天広場でアフィリエイトサイトを作ってみた。

・情熱未来商会 - デジタルとITの・・・
http://plaza.rakuten.co.jp/glink/

簡単だ。楽天の場合、日記を更新すると新着情報から他のユーザがのぞきにくるので集客が容易だ。作成時間30分程度。結局、数百円儲かった。もっと気合を入れて商材を増やしていけばさらに売れることもあるのかもしれない。(放置しますけど)。

■がんばれミクリヤ君2号(兄がいるらしいので)

私が社長をつとめるデータセクション社のミクリヤ君は技術を使って自動化したアフィリエイトサイトを最近趣味で立ち上げた。デジハリのプログラミングコースから入社して本格的にJavaプログラミングを始めたのだけれど、妙に飲み込みが早く、アマゾンやビッダーズのWebサービスを使いこなしている。

それがこのサイト。

・J.muruco --ジャニーズ応援サイト--
http://muruco.jspeed.jp/jmuruco/top.do
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使っているWebサービスやRSSは以下。

・ビッダーズ Webサービス
http://blog.dena.ne.jp/bws/

・アマゾン Webサービス
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/subst/associates/join/webservices.html/

・未来検索livedoor
http://sf.livedoor.com/

彼女とその友人がジャニーズファンだったことがテーマ選びの理由だったらしい。オークションが白熱すると100万円近いプレミアがつく商材もあるそうだ。マニア心恐るべし。まだ立ち上げたばかりなので売り上げはほとんどゼロだそうだが、こうした自動化されたアフィリエイトサイトは、テーマ次第では自動販売機として機能するかもしれない。

がんばれミクリヤ君2号!

関連:

・ネット初心者でもお小遣いゲット可能! アフィリエイト広告
http://internet.watch.impress.co.jp/static/link/2005/01/21/index.htm
リソースがまとまっている。


そういえば芸能人アフィリエイトといえばこんなものまで登場している。バーチャルマネージャとしてタレントを売り込んで成功報酬を得るビジネス。

・結婚披露宴余興、パーティーでの芸能人ステージをプロデュース
http://www.anet-web.com/

ホームページやメールマガジン等インターネットメディアを通じて、タレントの営業活動をしていただける方を募集します。内容に応じて報酬をお支払い致します。
気になる報酬額は・・・
タレント出演依頼のお見積りで300円
さらにそのお客様が出演依頼契約をすると5,000円
川上たけし催眠セミナー等参加申込で2,000円
報酬は、現金もしくは、スペシャルイベントへの参加(エスパー伊東と芸人仲間の飲み会への参加や催眠術セミナー招待等)からお選びいただけます。[

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2005年03月03日

フリーターから一発大逆転 アフィリエイトで月収100万円も夢ぢゃない!

・フリーターから一発大逆転 アフィリエイトで月収100万円も夢ぢゃない!
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面白い。他のアフィリエイト本とは違う。

この本はお小遣い稼ぎとしてのアフィリエイトだけでなく、ビジネスとしてのアフィリエイトに興味のある人も十分満足する内容である。パチプロ生活をしていた著者が数年間でアフィリエイトビジネスの頂点に立つまでの驚きの事実が書かれている。

・有限会社アドケーション ADCATION.co.,ltd.
http://adcation.co.jp/
著者の経営する会社。

・運営サイト一覧.
http://adcation.co.jp/site/index.html

アフィリエイトサイトを複数立ち上げてアフィリエイト報酬は年間約1億円。この本執筆時の社長の報酬は月300万円という。年商1億円というとたいしたことがないように聞こえてしまうが、この会社は売り上げはアフィリエイトの報酬で純粋に利益だけである。ほとんど一人でノーリスクでこれを達成した理由は知りたい。

■通り道にせよ、広告主を選べ、がポイントか?

この人の特徴はサイト構築に手間をかけないこと。カリスマ主婦のアフィリエイトのように商品の使い勝手を詳しくレビューしたり、コミュニティを主宰して丁寧に面倒をみたり、はしないのだ。

代わりに通販サイトのリンク集を作ったり、アフィリエイトASPの提供する商品写真や説明文章をカタログ的に並べるだけである。著者曰く、コンテンツがないので広告を並べてみた、のが始まりだそうだ。アフィリエイトサイト自体には毎日見たくなるようなコンテンツはなくてよいと割り切っている。他のアフィリエイトのノウハウ本とはだいぶ方法論が違う。

広告を並べるだけなのだから、一見、根気さえあれば誰にでもできそうなサイトだし、ありふれているように思うのだが、著者だけが儲かったのは何かが違うはずである。ふたつほど気になるポイントがあった。

まず検索エンジンとECサイト(広告主)との通り道にアフィリエイトサイトを作るという考え方。検索エンジンに最適化されたページを無数に作り、商品名や連想キーワードの検索結果にページが登場しやすくする。ひとつ作ったら名前やデザインを変えて「似て非なるサイト」を複数立ち上げる。(著者のやり方はWebに広告をばらまく行為なわけで、やりすぎるとWebスパムに近いのかもしれない)。

そして広告主を選べ、というアドバイスである。せっかくアフィリエイトサイトから広告主のECサイトへユーザが移動しても、購入されなければ報酬が発生しない。買いたくなるような店を掲載前によく選べということ。

著者のおすすめは以下の5項目を満たすECサイト。

1 ホームページの内容に商品やサービスがマッチしている
2 商品の特徴やセールスポイントが明確に示されていて、内容が分かりやすい。
3 どこに何があるのかはっきりしていて、注文の方法も明確に示されている
4 コストパフォーマンスに優れた商品や、オリジナリティにあふれた商品、サービス、キャンペーンなどを提供している
5 注文・申し込みフォームなどの入力が簡潔で、入力エラー時などでも、初めから全入力過程をやり直す必要がないような、ユーザーに優しいシステムを提供している。

つまり、この著者は、検索エンジン経由の一見さんに優良ECサイト発見の入り口を作ることだけに集中と選択を行ったわけだ。普通のアフィリエイトが力を入れる商品説明やクロージング部分は、あっさりECサイト側に任せてしまう。この戦略が成功の秘訣のようだ。まだまだアイデア次第でビジネスチャンスが落ちているということか。

フリーターでパソコン初心者だった著者が数年間で年商1億円のアフィリエイトになるまでの道のりが、リアルで、起業ドキュメンタリとしても楽しめた。

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2005年02月28日

Web検索エンジンGoogleの謎 アフィリエイト編

・Web検索エンジンGoogleの謎 アフィリエイト編
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■Google Adsenseについて書かれた珍しい本。

GoogleはAdWordsとAdSenseという二つの広告サービスを提供している。AdWordsはGoogleで検索した際に、キーワードに関連した広告が、検索結果画面に表示される仕組み。これに対して、AdsenseはWebページの内容にマッチした広告を表示するサービス。

・Google の広告ソリューション
http://www.google.co.jp/ads/


例えば、

「来年は卒業だから、そろそろ就職のことを考えないといけないな。新卒をたくさん採用してくれるIT企業はどこだろう?」

という文章が書かれたWebページがあるとすると、Googleのロボットはこのページから「就職」「新卒」「採用」などのキーワードを抽出し、就職関係のテキストや画像広告を、そのページ内に表示する。

そして訪問者が広告をクリックするとWebページのオーナーに報酬が入る。

Adsenseは小さな広告主と小さなサイトのマッチングに向いている。従来の広告は、1日に何百万ページビューもある大型サイトの広告枠を大きな金額で大手代理店が押さえ、そこに大金を支払える企業が広告を出稿するのが主流だった。

だから、1日数千〜数万PV程度の小さなサイトは広告で利益を得るのは難しかった。広告主にしても予算が数万円や数十万円ではその枠を買いにくい。ニッチな商品を大手のポータル総合サイトに表示してもクリック率が低い。

AdSenseの登場で無数にある小さな専門サイトや個人サイトに効果的に広告を出せるようになった。ご存知のように私のブログでも導入している。儲かるわけでもないが、利益を本やソフトの購入にあてることができるので、コンテンツの充実には寄与している。

AdSenseについてGoogleのサイトに一応説明はあるのだが、本来が米国法人のサービスであることもあり、分からないことが結構ある。この本はAdSenseについての入門と活用をわかりやすくまとめている。

・Google AdSense
https://www.google.com/adsense/?hl=ja

■検索向けAdSense

第4章まではGoogleについての概論解説が多い。PageRankアルゴリズムや検索エンジン上位に表示される方法など。検索ユーザとしての一般的な解説であれば姉妹本のこちらの方が詳しい。

・Web検索エンジン Googleの謎
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アフィリエイト編も入門者向けの本とはいえ、いくつか発見があった。再確認もできた。
発見はAdSenseには2種類あるということ。一般的によく知られているコンテンツ向けAdSenseと並んで、検索向けAdSenseがあるのだ。

・検索向け AdSense
https://www.google.com/adsense/ws-overview

こちらはWebサイトに、ネット検索、サイト内検索の機能を提供し、その検索結果画面にAdSense広告が表示される仕組みだ。機能的にはGoogleが一般向けに提供している「フリー検索」とほぼ同じである。このサイトに適用してみたのが以下のフォーム。私のブログ内の検索をGoogleが代行してくれる。一応、このブログにも検索はあるが、これも便利かもしれない。

Google
 
Webwww.ringolab.com

私は現在、複数のサーバを運営しているが、ドメインは3つまで追加できるので、これらを横断した検索を提供できるのもこのサービスの魅力だ。

検索結果画面はデザインやロゴなどを変更することもできる。対象は自分のサイトだけではなくドメインやURLで任意のサイト、ディレクトリ単位に絞り込める。アイデア次第ではこのサービスを使えば、コンテンツを制作しなくても、ネット検索を提供するだけで広告収益を上げるという裏技もありえる。

■プレミアムサービス

この記事を書くためにGoogleの広告ソリューションの説明を読んでいたら、プレミアムサービスの存在に気がついた。

・Google AdSense プレミアム サービス
http://services.google.com/ads_inquiry/ct?hl=ja

「AdSense プレミアム サービスをご利用いただくためには、お客様のサイトでの 1 か月の検索件数が 500 万件を超えるか、1 か月のページ ビューが 1,000 万件を超えることが条件となります。 」

とのことだが条件を満たしていれば、

Google のセールス担当者とアカウント マネージャによるサポート
柔軟な広告フォーマット
高度なフィルタ機能
最適化のサポート
収益性を高めるその他のオプション
強化された技術サポート

といった付加サービスが得られるらしい。これは大手サイトの囲い込み施策だと思われるが、Googleの抜け目のなさを感じるオプションだ。

この本は、

・これからGoogle広告を始めたい人
・見よう見まねでやっているけれども全容をおさらいしたい人

に良い本だった。

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2005年02月23日

全部無料で儲けるネット副業

・全部無料で儲けるネット副業
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ミもフタもないようなタイトルの本だが、ネットでお小遣い稼ぎの実情、光と影が見えるのは面白かった。

日本のアフィリエイト市場は順調に規模を拡大している。

三井物産の一部門だったリンクシェアが単体で黒字化し、独立子会社として事業を開始しているのも市場が拡大していることを示す話題だ。

最近、同社のこんなニュースをみつけた。

・ITmediaニュース:アフィリエイト市場を広げるアクティブ個人
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0502/17/news102.html

どのようなプロフィールの人が参加しているのか、気になるところだが、リンクシェアはちゃんと代表的ユーザの紹介を行っている。

・ITmediaニュース:アフィリエイトで月30万円稼ぐ41歳主婦
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0502/17/news105.html
月30万円を稼ぐ主婦が実名顔写真で記事に登場。


平凡な主婦だった。ネットと出会い、はまった。5万円稼げればいいと始めたアフィリエイト。いつのまにか、30万円になっていた。

 「夫が財布のひもを握っているので、自由に使えるお金が欲しくて」――リンクシェア・ジャパンの記者会見にゲストとして登場した千葉県に住むkaboさん(41)は、アフィリエイトで月30万円を稼ぐ“カリスマアフィリエイター”だ。1日3000人を集める人気アフィリエイトサイト「ぷっち・も〜る」を運営。主婦として、小学生の子ども2人と夫、義父の4人を支えながら、早朝や昼間の空き時間をサイト運営にあてる。

・【楽しい雑貨生活】ぷっち・も〜る かわいい雑貨・キッチン雑貨のお店
http://petit-mall.jp/index.html

1日たった3000人で30万円を稼ぐ効率のよさが注目点だと思う。3000人*30日で月9万人。ページビューは推測だがその2倍程度と仮定して20万PV/月間程度で30万円を稼いでいることになる。1PVあたり0.666円の計算になるが、このレートは異様に高いと思われる。私の知る限りの個人、企業の導入データで比較すると、多くのアフィリエイトがその数分の1から10分の1以下だろう。

しかし、景気の良い主催企業発表とは裏腹に同時にこんなデータもある。

・「アフィリエイトでお小遣い稼ぎ」調査結果レポート(2005年1月実施)
http://data.media-net.co.jp/free/html/data/goiken/fg0501.html
アフィリエイトの主婦・OLにアンケート。月1万円以上稼ぐは1%未満

実態はこちらのアンケート結果が正しそうだ。

”お小遣い稼ぎ”の手段としてネットが認知されたものの、コンテンツ作成能力を持つ人は少ないから、儲かるのはごく一部の人たちという当然の図式。

■ホームページとメルマガの次はネットでお小遣い稼ぎ?

この本は、

・懸賞、アンケート、モニター
・質問と回答のポイントコミュニティ
・オークション
・アフィリエイト
・メルマガ配信
・オンラインショップ
・オンライントレード

の7つのネット副業について広く浅く紹介する本。面白いのは各副業で儲かったという個人が多くは写真つきで実績と成功ノウハウを語ること。多様なお小遣い稼ぎの実態がわかる。人の顔が見えるのが覗き趣味的面白さ。

たとえばメールマガジンの章では、「高校生で43万円の収入 ネットで生活の道へ」というタイトルで事例が紹介されている。

・これ気に!ネットで幸せ収入生活〜ネット収入で目標月収100万円のお金持ち♪
http://korekini.com/


ドジな21歳の女の子ちぃやんがネット収入月100万以上を目指す!現在の総収入金額『1,511,536円』

金持ち幸せサイトは、ちぃやんがインターネットを活用して収入を稼いでいく方法や様子を、体験談を主にわかりやすくお話していきます。まだ稼ぎは少ないですが、自由な時間があり、未知の勉強に、人付き合い。素敵な人脈も増えてきて、毎日が充実して楽しいです(*^-^*)♪会社を1ヶ月で辞めたのは、将来、周りの方を喜びと幸せでいっぱいにして、自分自身も幸せなお金持ちになるためです!

タイトル説明でこれまでの総収入額を表示しているのがユニークだ。こうした情報開示は「こどもっぽい」気もする一方で、サイトのテーマ上、この数字を確認しに日参するユーザもいるだろう。仕掛けなのかもしれない。

肝心のメールマガジンはというと

・幸せなお金持ち・ネット月収100万円道メールマガジンサンプルページ
http://korekini.com/merumaga2.html


インターネットビジネス、起業をしようと真剣に考えている方や、インターネットを使って副収入を得ることに少しでも興味がある方は、このマガジンを読んで見てくださいね。どうやったら月100万円稼げるのか、ちぃやんの試行錯誤しながら乗り越えていく月収100万円への道を1から公開中です(^◇^*)。

お小遣い稼ぎのための挑戦自体をネタにメールマガジンを発行している模様。かなり努力をされているが、それほど儲かっているわけでもないらしい。

こうしてみるとネットでお小遣い稼ぎをする方より、お小遣い稼ぎをする人向けのビジネスをする方が現時点では有望そうだ。アフィリエイトやオークションではサービスプロバイダが乱立気味。この本にはまだない8つ目の方法を考えてみるのがビジネス側としてはよさそうだ。

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2005年02月02日

Linux magazine THE DVD 2005

・Linux magazine THE DVD 2005
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最近、会社のメインマシンであるデスクトップPCから、WindowsXPを完全に削除した。そしてLinux(FedoraCore3)デスクトップに入れ替えた。LinuxデスクトップのKDEだとかGnomeだとかの世界へ突入である。私は男だからWindowsとのマルチブートだとか未練がましいことはしない。エミュレータでWinアプリを動かすこともしない。完全移行である。

技術者でない私が、果たしてこれで仕事になるのか?

私の場合、ほとんどの作業はノートPCで行うので、会社のメインマシンは、メールとWebが使えればほとんど間に合う。WebブラウザにはFirefox、メールソフトにはThunderbirdというWindowsでも人気の定番ソフトが使えるために、意外にもここまでのところ、何の支障も起きていない。簡単な文書作業ならば、OpenOfficeがあるので、ワープロや表計算やプレゼン文書は閲覧、作成が可能だ。

もちろん、ビジネス世界の標準フォーマットのMS Officeとの互換性はまだまだなので、これだけでは私の仕事は完結できない。まだまだ一人だけ完全Linuxではビジネスは難しい。やはりWindowsのノートPCとの併用になる(え、それじゃ男でも完全移行じゃないだろって?し、しかしですよ...)。これからしばらくこのスタイルを続けてみようと思う。

Linuxデスクトップならではのメリットも幾つか発見しつつある。もう少しまとまったら、ここで紹介する予定。Linuxの世界にはWindowsにない優れたソフトも結構あるのだ。

さて、今回、OSであるFedoraCore3を入手するため、このDVD2枚付のLinuxMagazineのムック本を買ってきた。

このムックはなかなかすごい。OSの収録だけではないのだ。むしろそれは付録。

雑誌LinuxMagazineの月刊化前のNo.1〜3と創刊号(1999年10月)〜2004年12月号までの
66冊分の全記事をPDFとしてDVDに収録している。一記事35円という計算らしい。インターネット上の断片的な情報ではなく、まとまった解説やチュートリアル記事が読めるので、大変助かる。

年月順、連載別、特集別でのインデックスも作られていて、記事を見つけやすい。Namazuで検索できるように設定しておくと、いつでも必要なLinux情報が取り出せて大変、さらに便利である。

雑誌がバックナンバーのPDF公開を行う例がIT系では増えてきている。1月28日にはインプレス グループが、老舗雑誌インターネットマガジンのリニューアルに伴い こんな太っ腹な3年以上前は無償公開というサービスを立ち上げた。

・INTERNET magazine (インターネットマガジン) 03月号
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完全リニューアルで装丁も価格も内容も意外な大変身。この英断どうなる?


「INTERNET magazine」、バックナンバーをPDF化
〜日本のインターネットの歴史資産として一般公開〜
http://www.impressholdings.com/release/2005/001/

・『iNTERNET magazine デジタル アーカイブス』のご案内
http://internet.impress.co.jp/rim/backnumber.php

ここでは創刊号(1994年9月発売)〜2002年2月号までのバックナンバーを、無料で検索して読むことができる。直近3年間は定期購読者限定サービスとなる。

昔、私が書いたり、取材された記事も何本か収録されているようだ。懐かしい気持ちになった。

こうしたバックナンバーのPDF公開の流れは他分野の雑誌にも広がって欲しい。読んでみたい雑誌がいっぱいある。

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2004年12月17日

ココログオフィシャルガイド〈2005〉

・ココログオフィシャルガイド〈2005〉
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会社のパートナーの個人サイトが掲載されたという理由で、オフィスに置かれていたこの本。パラパラ眺めてみた。ココログの使い方が書かれた入門書だと思っていたら、大違いで、思いのほか引き込まれ、持ち帰って読んでしまった。

この本は、

・ココログの有名人ブログの本人登場の紹介
・有名サイト、名物サイトの紹介
・ユーザアンケートの結果公表
・ココログの使い方

などから構成される。ツールとしての使い方をメインにせず、それを使うユーザがいかにいきいきと情報発信をしているかを伝えようとしているようだ。ブログの楽しさ、特徴を人気ブロッガーに語らせる。

冒頭の木村剛氏のインタビュー記事にあった言葉が印象的。


ある日、トラックバックの魅力にきがつきました。匿発言をして去っていくのとは違って、自分のブログから意見を発するわけですから、その人の生の意見が伝わってきます。リアルワールドのコミュニケーションに近く、そこにはマナーもあるのです。

ブログはネット上の情報発信を「ネガティブバトルからコミュニケーションへ」と変えるツールなのではないかと木村氏は考えている。当初「連載がまたひとつ増えるのか」程度にしか考えていなかったというが、ITに詳しくなさそうなのに、本質を素早く見抜いたのはさすがだと思った。

■面白いブログを発見

ココログの名物サイトが100字前後で要約され、ベスト20サイトにはサンプル記事が転載されている。雑誌によくあるサイト紹介に近いのだが、選別や要約が丁寧で、各サイトをみてみようという気になる。

面白いサイトをいくつか発見。ブックマークに登録。

・Tokyo Fuku-blog
http://tokyo.txt-nifty.com/fukublog/
世界各地のびっくり事件や意外な事実

・*astroblog
http://astro.air-nifty.com/blog/ニュースで楽しむ宇宙、生命の不思議

・フクダカヨ絵日記
http://enikki.cocolog-nifty.com/enikki/
味のあるイラストでブログ

・早稲田受験BLOG
http://juken.moe-nifty.com/
偏差値30からの早大受験、最初で最後の四浪受験。今、進行中、がんばれ、あと2ヶ月。

・携帯アプリまわり
http://boodfd.txt-nifty.com/bootfd/
携帯iアプリの使用レポートなど。この話題は確かに少ないので貴重。

・横浜BaySide通信
http://baytime.cocolog-nifty.com/bayside/
この横浜情報は会社の同僚がやっているのですが2年ぶりくらいに訪問。げ、いつのまにか充実サイトに変貌している。

ブログはいろいろ知っている方だと思っていましたが、発見できていないサイトがいっぱいあるようで、この本のリストは参考になりました。ユーザの層が広がっているのだと実感。

■ココログ大アンケート結果

ココログ利用者へのアンケート結果がグラフで公開されています。

男性55%、年齢は20代、30代で76%、ブログ開始前にホームページを持っていた人72%、更新頻度は毎日が43%、トラックバックはほとんどしないが58%、コメントはたまにするが51%。

笑えたのがアンケートにもとづくユーザのファッション想像イラスト。男性は第1位がTシャツやジーンズなどのカジュアル系で宇多田ヒカルが好きで週刊アスキーを読んでいる。女性はシャツやジーンズなどのカジュアル系で、アンアンを読み、B'Zを聴く。

独身・恋人なし比率は男性44%、女性32%とちょっと男性の数値が多い気がする。逆に既婚・子供あり比率は、男性24%、女性25%。恋人ができたり、結婚したり、子供ができるとブログ率が低くなっていく。私の場合は子供が生まれた直後に開始したのだが...。

ニフティのココログだけの調査とはいえ、ブログユーザの動向を知る上で興味深い結果が他にも多く見つかる。

最後におまけのようについていた「ココログをはじめよう」については知っているので読まなかった(笑)。でも、十分、情報量のある面白い本だった。

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2004年09月16日

「ネットの未来」探検ガイド―時間と言葉の壁を超える

「ネットの未来」探検ガイド―時間と言葉の壁を超える
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著者の歌田明弘氏は「ユリイカ」編集長。「インターネットは未来を変えるか?―現代社会を読み解く」「インターネットは未来を変えるか?―科学技術を読み解く」「本の未来はどうなるか―新しい記憶技術の時代へ」など「○○の未来」がこの人の最近の執筆テーマのようだ。

この本は2004年1月出版なので、その時期での最先端を解説したサイト。

・知っていると役立つツールやサイトを紹介すること
・先端技術やサービスに驚くこと

がこの本のねらいだと書かれている。長い解説がついた百式みたいな本である。

具体的には、

・InternetArchive
http://www.webarchive.org/
過去のWebサイトを網羅的に保存したデータベース。URLを打ち込めば、過去の日付のサイトが閲覧できる。インターネットのタイムマシン。

・Alexa
http://www.alexa.com/
類似したサイトを検索したり、ページの人気度を調べたりが可能な検索エンジン。

・SETI@HOME
http://setiathome.ssl.berkeley.edu/
P2P分散コンピューティングであなたのマシンで宇宙からくる信号を解析し、宇宙人のメッセージをみつけようプロジェクト。

・GoogleLabs
http://labs.google.com/
Googleの実験上。ネットの最先端を垣間見ることのできる場所。

のような、ネットの技術の可能性を感じさせる先端的サイトが、呆れるほどたくさん紹介される。専門家の平易な解説で見所がわかる、インターネット観光ツアーの趣き。

百式やスラッシュドットなどを熟読しているネットウォッチャーにとっては、知っているサイトも多いはずだが、情報の抜けをチェックするという意味でも楽しめる本である。サイトの背景説明や位置づけが説明されるのも勉強になる。

こういう先端を紹介する本は難しいなあと読みながら思った。この本で紹介されたいくつかの実験的サイトは、既にネット上から姿を消していたり、ブログのようにすっかりメジャーになって新規性が感じられなくなったものもあるからだ。この本の賞味期限はあと1年くらいだろうか。出版から9ヶ月経過した今は食べ頃。日本の状況がいい感じに追いついていて、この本に書かれていることがわかりやすくなったと思う。

歌田氏が感じている可能性を知りたくて読んだが、それはこの本の目次に端的に整理されているようだ。要約すると、

・グーグルをはじめとする「検索技術」
・ウェブログやニュースサイト、「メディアの可能性」
・ネットアーカイブなど「時間を超える技術」
・機械翻訳、「言葉を超える技術」
・P2P、「人と人の間を超える技術」

ふむふむ、やはり、ここらへんが可能性なのだなあ。

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2004年09月09日

Blog Hacks ―プロが教えるテクニック&ツール100選

Blog Hacks ―プロが教えるテクニック&ツール100選
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■ブログの改造方法を100本収録

オライリーのGoogleHacks、SpideringHacksに並ぶ、ハック本の逸品が登場。日本のブログ系ハッカー集団が、100個のブログ改造法を伝授する。国内ブログのプログラミングをリードしてきたBulkfeedsの宮川氏NDO Weblog(元@Niftyココログ担当)の伊藤氏の二人が中心になって集めた執筆陣はとにかく豪華で濃い。

この本はブログの初心者や、文章を書くだけの一般ユーザにはお勧めできないが、ブログのシステム自体に自ら手を加えてみたい技術系ユーザなら買わないでどうする的な内容。ブログにあんな機能を実装できないかな?と考えている人は、アイデアとヒント、コーディング参考例が満載。

私が注目したHacksは、以下の3つ。

・HACK#31 HTMLからパターンマッチでRSSを生成する
    動的に生成されたWebサイトのHTMLをパターンマッチでRSSに変換してみます

・HACK#69 BlogのエントリからAmazonアフィリエイトサイドバーを生成
    過去にBlogで紹介したアフィリエイト商品をまんべんなくサイドバーで「再」紹介するための方法を紹介します

・HACK#72 GoogleAPIでBlogサービスのシェアをグラフ化
    GoogleAPIによる検索結果件数をグラフ化することで、Blogサービスのシェアを計測します。

■著者宮川氏のおすすめ。

著者の一人宮川氏に聞いたところ、個人的お勧めは以下のHacksだとのこと。

Hack#50 OPMLをパースしてRSSをアグリゲート
    RSSの購読リストとしてOPMLを利用して、新着記事をHTMLメールで配信するRSSアグリゲータを作成します。

Hack#87 MSNメッセンジャーの会話ログをBlogにポスト
    インスタントメッセンジャーの会話ログは、インタビューやブレインストーミングのログとして最適です。MSNメッセンジャーのログをmetaWeblog APIでBlogにポストしてみます。
    
Hack#92 AMIPとWSHで今聞いている曲をBlogエントリに掲載
    mp3プレイヤーで「いまきいている曲」を、Blogエントリの末尾に”Now Listening”として載せてみます。

Hack#97 ベイジアンアルゴリズムによるRSS自動フィルタ
    SPAMフィルタなどで注目されているベイズ理論を使用して、RSSフィードの記事が面白いかつまらないか、自動で確率計算してみます。

■出版記念イベント Blog Hackers Conference 2004開催

で、私もこのブログで自作Hackをひとつここで紹介しようと思ったのですが..。

・Blog Hacks 発売記念イベント Blog Hackers Conference 2004 開催!: Blog Hacks - プロが教えるテクニック & ツール100選
http://hacks.bloghackers.net/archives/2004/09/blog_hacks_blog.html

こんなイベントがあるとのこと。私もご縁あってお手伝いしていますが、著者の二人に「私もゲスト参加させてよー」と頼んでます。うまく調整がつけば、当日、私もここで101個目のHacksをご紹介しようと思っています。会場でお会いしましょう。


以下、主催者発表のデータ:

開催概要

タイトル
   Blog Hackers Conference 2004
日時
   2004/09/15 (Wed) 19:30
会場
   デジハリ東京御茶ノ水本校 (住所・地図)
費用
   無料

協賛
   デジハリ
事前登録
   こちらのフォーム (shibuya.pm.org 内)よりお申し込み下さい。

プログラム
   現在調整中。随時発表します。
備考
   事前登録のない場合、入場をおことわりする可能性があります。会場定員に達し次第申し込みを締め切ります。
   
著者、寄稿者をはじめとする Blog Hacker によるプレゼンテーションを予定しています。開催まで間がありませんが、ぜひご参加ください。なお、書籍 Blog Hacks をお持ちでない方も参加可能です(会場で販売も予定しております)。

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2004年09月02日

行列のできるメルマガ作成入門

行列のできるメルマガ作成入門
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メールがテーマの会議主宰にあたって予習的に読んだ本。初心者向けだが、分かりやすくて、面白かった。

・高橋浩子ホームページ
http://www.t-cube55.com/cgi-bin/whatsnew/top.cgi

著者のサイト 読み物が満載

メールマガジンは大別して2種類あると思う。

A 個人が発行するもの(趣味)

B 企業が発行するもの(営利)

この本はAの趣味で個人を主な対象としている。もちろん、読者が増えてきて広告や商品販売を開始してBへと移行するメールマガジンのことも、成功例として取り上げられている。

今回のRE:会議ではメールがテーマであるにも関わらず、Aのメールマガジンがあまり話題にならなかった。先端ユーザの関心はブログやソーシャルネットワーキングに向いていて、相対的にメールマガジンは存在感が薄れてきているのかもしれないと感じた。

日本初の最大の配信スタンド「まぐまぐ」はAのタイプが29000誌集まる牙城であるが、開始以来の総配信部数の推移が公開されている。

『まぐまぐ!』まぐまぐデータ>まぐまぐ一般マガジン
http://www.mag2.com/magdata/magmag.htm
magmagusergraph01.JPG

総発行部数でみると2001年4月くらいと同じレベルにある。発行者数と読者数を見ても、同時期から横ばいに近い状況である。どうやらブームはこのくらいの時期で終わってしまったらしい。ADSLなどブロードバンド常時接続の普及によって、メールマガジンよりも、リッチな表現ができるWebに人気が移ったように思われる。

これに対してBの企業発行のメールマガジンは統計データはないが、今も増えているような気がしている。企業サイト構築のプレゼンでは同時にメールマガジンの企画も、というケースが多い。

■個人発行のメールマガジン成功の秘訣 ナレアイマーケティング

私も昔、Aタイプで、3万部のメールマガジン読者を集めたことがあるのだが、5年近く前のことなのでノウハウの移り変わりを意識して読んでみた。

この本では、最初に5人の成功者として1万部以上のメールマガジンを作った個人が登場する。

紹介されたメールマガジン:

・“あの”出す本見事に超ベストセラー!! 幸せとお金の専門家 本田健さん
http://www.aiueoffice.com/

・・「売れるしくみはこうつくれ」の通販業界の風雲児 岡崎太郎さん
http://www.it1616.com/

・創刊前から1万人の読者を集めた中小企業の正義の味方 吉本俊宏さん
http://www.akibare.net/

・ネットショップのメルマガを指導させたら日本一の 込山民子さん
http://www.win-and-win.net/

・1日2回配信の日刊メルマガ「日経でブレーンストーミング」のターレス今井さん
http://www.carriageway.jp/

読者の増加傾向としては、登録時にまぐまぐの新着紹介でドカンと増え、その後は地道に、大きなメディアの紹介を軸にして、階段状に増えていくパターンが多いようだ。これは昔とあまり変わらない。

メールマガジン同士での無料の相互広告が推奨されている。私の経験では、コンテンツ選びが大切だった。テーマがまったく異なるものでは意味がないケースが多かったが、読者層がマッチしていれば1000人以上を一度のバーター広告で得ることができた。協力は強力だ。

で、私はもうメールマガジンを当面発行するつもりもないので、長いこと語らなかった、読者増加の極意をひとつ告白する。個人発行のメールマガジンが一気に読者を伸ばすなら、濃い内容とともに「馴れ合い」である。人気メールマガジンをよく読むと発行者同士がつながって、よく紹介しあっているのを見ると思う。あれが読者数を確実に伸ばす最大の秘訣だ。

だが既に部数が先行したメールマガジンは馴れ合い関係になりにくい。まぐまぐ新着をチェックしてこれは伸びそうだというものを探し、開始数週間以内に感想メールを送る。そして部数の比率が違っても広告交換を行うことで、馴れ合いネットワークを先導していくことができる。無論、最初は戦略的な馴れ合いであっても、相手と気が合えば次第に本当の友人になることもできる。

馴れ合いは共同マーケティングなのだ。うまくいけば、やがて馴れ合いメール連合全体に共通の雰囲気が生まれる。この雰囲気に対してファンがつき始める。発行者同士もその雰囲気を共有して効果的な読者共有の広告戦略が立てられるようになる。

これが今も効果的なノウハウであることは、直接は書かれていないが、この本からも十分読み取れる。


また、企業のメールマガジンにはHTML形式も増えてきている。この本では最後に少しだけ触れられていたが、詳しいサイトがある。

・HTMLメールマーケティングガイド
http://www.html-mail.jp/

■メールマガジン発行支援ツール

幾つかツールも紹介されている。例えばメールマガジンのアドレスを把握して配信したいユーザ向けの配信ソフト「コンビーズメール」など。

・メール配信システムASP(2300円より) CombzMail
http://www.combzmail.jp/index.php?afid=iq4dyf1t

私も幾つか知っているのでここで紹介してみる。

【エディタ】

・製品紹介 - メールマガジン編集ワープロ aquanotes Coordinator
http://www.h2o-space.com/software/coordinator/detail.php

・メールマガジンや文書作りに最適な無料ライティングソフトTeraPad
http://korekini.com/soft-terapad.html

・ベッキー2 プラグイン お勧めメールソフト mailer
http://www.interq.or.jp/world/naoto/benricho/merumaga/plugin.html

【メールでアンケート】

・クリックアンケート
http://clickenquete.com/what.htm

【掲載URLの短縮】
・QRL.jp : URL圧縮、QRコード生成サービス
http://www.qrl.jp/


【文字絵】

・文字絵署名   
http://iwa.eheart.jp/mo/

・@@メールサインデザインコレクション@@
http://www.komasa.net/sign/
コピーして使える実用署名

【リサーチ】

・電子メールマーケティング2003
ユーザーに好かれる企業メルマガの条件とは ダイジェスト版
http://www.fri.fujitsu.com/cyber/mail2003/mail2003.pdf
とてもよくまとまった企業メールマガジンのノウハウ 富士通総研

・メールマーケティング実態調査2003
http://www.mailstyle.com/feature/2003report.html

・HTMLメールマーケティングガイド:ヤコブ・ニールセン氏、メールマーケティングのエッセンスを語る
http://www.html-mail.jp/News-01/000221.html
ユーザビリティの権威が語るメールマーケティング論

・顔文字やアスキーアート、5割が「メールマガジンには必要」
http://japan.internet.com/research/20020614/1.html

・ショッピング HTML メルマガ、52%が購読
http://japan.internet.com/research/20040123/1.html

・これがメールマガジンの効果測定
http://www.aimnow.com/STRG/STRG0311_1.HTM 
・平均の開封率 : 38.8%(前年比 3.2%増)
 ・到達率 : 88.5%(前年比 2.4%増)
 ・平均のクリック率 : 8.3%(前年比 10.7%増)

■いまどき読まれるメールマガジン

私は、というと、実はほとんど読めていない。百式、今日の雑学+、デジクリなど友人、知人が発行するメールマガジンは目を通しておかないとまずいので、過去ログをまとめ読みするか検索して読んでいる。他はほとんど読む時間がとれないので、ときどき開いてみる程度。

唯一毎日読んでいるのが有料のインプレスのウォッチシリーズ3誌。これサイトでほとんど全文読めることは知っているのだが、トップページから個別記事をクリックするのが面倒であるため、メールの価値があると感じて購読を続けている。記事全文がスクロールで読めるのが便利。仕事柄、業界動向を常に把握しておく必要があるので、有料もやむなし。

・impress Watch Headline
http://www.watch.impress.co.jp/

こんな状況の中、最近、読むリストに追加しているメールマガジンが幾つかある。アラート系である。

終わってしまったが良かったのがこれ。NHKのオリンピックメダル速報。

asahi.com : ネット最前線 : NHKの五輪メール、「民業圧迫」の懸念も 新聞協会
http://www.asahi.com/tech/asahinews/TKY200408310265.html

日本人選手がメダルを取る度にメールがリアルタイムに携帯に飛んでくる。野球は3イニングごとに結果を知らせてくれた。期間中はとても楽しめた。

もうひとつはライブドア未来検索のアラートメール

・未来検索livedoor アラート
http://sf.livedoor.com/alert/

ブログを検索して、登録したキーワードに合致する新着があればメールで教えてくれる。自分の名前や近所の地名などを登録している。情報の発見にとても便利。

・読みたい内容や作者の本がメールでいち早くわかるアラートサービス - める?くる!ブックナビ
http://www.gimix-web.com/bknavi/

登録キーワードが合致する新刊書籍が出るとメールで教えてくれる。


RE:会議でアルトビジョンの椎葉さんがタイミングの重要性を言われていたが、こうしたアラートメールはタイミングメールである。メールの最後にキーワードに関連する賞品の広告などが入っていたら、結構買う人は多いのではないだろうかと、思った。

関連:

読んでいないといいつつ、旬なメールマガジンは捜索中。幾つかこれは!というものをご紹介。もし私が今もメールマガジンを続けていたら、こういう方々とナレアイたい。

・日刊「小島章裕の企画“生”ノート
http://www.witem.co.jp/mailmagazine.htm

・ウォートン発 マーケティングコラム
http://www.mag2.com/m/0000102770.htm

・オシャる技術
http://www.zeel.jp/og/
オシャる技術は待ち構えて読んでいます。待っている唯一のメール。ミズノンノ最高!

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2004年08月13日

はてなの本

近日はてなの本が出版されます。この本、まだ予約が始まったばかりなのですが、ひょんなことから、出版者のご好意で一足早く頂いてしまいました。

はてなの本
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著者の一人の田口 和裕さんにこの本のポイントを聞いたところ、「マニュアル部分でなく近藤さん3万字インタビューが最大の売りです」とのこと。マニュアルに終わらない仕上がりに自信があるとのことでした。

早速、読んでみました。確かにその自信の通り、これはヒットでした。

Aサイド、Bサイドで両面表紙というユニークな装丁です。

Aサイドはマニュアルです。はてなのサービスは、どれもよくできている割に、使い方が説明不足気味だなあと常々思っていましたが、これは完璧なマニュアルとして使えます。ここまでまとまった資料はWebにありません。

Bサイドはネット進化論のような、はてな近藤社長への3万字インタビューや、はてなコミュニティの運営アドバイスが詰まっています。すでにヘビーユーザでも、このサイドが一見の価値ありです。はてなというのは、コミュニティが開発したWebサービスなのだということがよく分かります。

というわけで、少しでもはてなに関心がある人や、コミュニティサービスの未来を考えてみたい人には、私も自信をもってお奨めできる内容でした。

さて。

はてなの人力検索サービスは有名だと思うのですが、実際に質問者として使ってみた方って、意外に少ないのではないでしょうか。高度な検索アルゴリズムによる検索サービスの差別化競争がニュースになる昨今ですが、コミュニティの知恵を使った検索というのも、もうひとつの有力な考え方だと思っていました。

hatena_blue01.gif

そこで、早速、2000ポイント分を購入し、5つの質問を行ってみました。

質問1 究極のダウンロード〜世界最大のファイルを教えてください
http://www.hatena.ne.jp/1092177139

Webで一般公開されているファイルのうち、世界最大サイズのファイルは何でしょうか?。URLで教えていただきたいのです。またよろしければどうやって、それを見つけたかを教えてください。


質問2 巨大CSVデータファイルのURLを探しています
http://www.hatena.ne.jp/1092214369

カンマ区切りやTAB区切りのデータ。つまりCSVデータファイルを探しています。・一般公開されていてダウンロード可能なURLが示せるもの・数メガバイト以上の大きなもの・巨大であればあるほどよく、最大サイズの回答者には高いポイントを差し上げます。たとえば、郵便番号と住所のCSVデータベースダウンロード・読み仮名データの促音・拗音を小書きで表記しないものhttp://www.post.japanpost.jp/zipcode/dl/oogaki.htmlこんなかんじのものです。よろしくお願いいたします。


質問3 はてな 世界一厚い本 最もページ数の多い本はなんでしょうか。
http://www.hatena.ne.jp/1092322434

その本が紹介されているオンライン書店や情報のあるページのURLを教えてください。最大ページ数の本をご紹介いただいた方には高いポイントを差し上げたいと思います。よろしくお願いいたします。


質問4 書籍にしたら10万部は売れそうな個人ホームページを教えてください。
http://www.hatena.ne.jp/1092367699

まだ書籍化されていないが、書籍にする価値のありそうな、知る人ぞ知るサイトのURLをぜひお願いします。これは純粋に個人的に読みたいからというのが動機ですので、売り込みでのご回答はお役に立てません。


質問5 お願い:私のサイトにキャッチコピーをつけてください
http://www.hatena.ne.jp/1092369066

私の個人サイト・Passion For The Futurehttp://www.ringolab.com/note/daiya/は近くリニューアルを予定しています。毎日関心のあることを書き綴っていたら、テーマが拡散してしまいました。雑多なコンテンツが一杯あるので、人に紹介する際に説明が困っています。一応、「情報」がテーマなのではありますが、それにひきずられずに、このサイトの内容を簡潔に表せるようなキャッチコピーや短文を発想していただけないでしょうか。ユーザをひきつける言葉ならなおさら良いです。なお、実際に採用させていただいた方には高いポイントをプレゼントさせていただきたいと思っています。よろしくお願いいたします。


はてな人力検索について一応説明すると、質問と回答の公開掲示板です。質問者は質問を行う際にまず60ポイントを使って質問を投稿します。回答が集まったらひとつずつ開封できますが、ひとつ開くごとに10ポイントが必要です。10問の回答を見たら、基本ポイント60ポイント+10ポイント*10で160ポイントが消費されます。

回答に満足したら、質問者は受付を締め切ります。その段階で、使ったポイント(超えても良い)を回答者に割り振ります。参考になった回答者に多くポイントをあげることができます。

実際に質問者として参加して分かったこと。

1 質問者は王様気分に浸れる

これ、質問者はスポンサー気分になれますね。ただし、充実した回答を多く集めるには、きちんと質問と場の設計を考えないとだめなようです。

私はとても感激したのですが、ユーザにはマナーが良い方が多いようです。「質問の趣旨をうまく読み取れずに投稿してしまいました」と言われて、私のアカウントにポイントを送信してくださった回答者が二日で2人もいました。あまり王様気分では悪いような気がしてきます(笑)。この会員の質の高さがサービスの充実につながっているようです。


2 回答の広さと深さを質問設計でコントロールする技術が大切

・回答要求内容の明確さを限定する
・答えやすくする

3 露出機会を独自に用意する

5回やってみて共通するのは、投稿直後に一斉に投稿が集まるが、しばらくするとぷっつりと止んでしまうことです。投稿がはてなのジャンル別トップページに掲載されている間が投稿が多いのですが、その期間が過ぎると回答者がいなくなります。自分のホームページやコミュニティでも回答を求めると効果が高いようです。

1番目の投稿については、タイトルを工夫し、このブログからリンクした結果、はてな総合ランキング第2位になることができました。


というわけで本日のブログのメインコンテンツは上記の回答内容です。長年、聞いてみたかったけれど、誰に聞いたら良いかわからなかったことをまとめて聞いてみました。とても面白い回答を頂きました。2000ポイントを使い切るまでは、受付を継続していますので、よろしければご回答もお願いいたします。

参考情報:

発想を集めるという点では、Mixiの無敵会議コミュニティ内の「予想会議」が面白いことになっています。100以上の会議アイデアが集まりました。ごらんになっていない方はぜひ。

・ソーシャル・ネットワーキングサイト [mixi(ミクシィ)] 予想会議
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=62909

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2004年07月13日

メール道

会員組織(どうやって入ったのか忘れた)デジコンサロンの定例会に久々に出席。久米繊維工業の久米社長の「メール道」講演を聴いた。尊敬する久米さんには、会社設立時に相談に行って以来の4年ぶりの再会。

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ネット上でいろいろな顔を持つ有名人の久米社長、本業は120人の社員を抱える大手Tシャツプロダクションの経営者で、業界では神様的存在。国内のTシャツの大きなキャンペーンを中心に、Tシャツトレンドを、この会社が発信している。分かりやすいところでは日本テレビの24時間テレビの黄色いTシャツなどを作っている。

・Tシャツであそぶたのしむメーカー直営店 T-GALAXY.com
http://www.t-galaxy.com/

8年間毎日、縁のある人に同報メールマガジンを発行してきた久米さんはメールのプロである。私も読者だった。

サポートのメールが企業の印象を決めてしまうことに危機感を感じた久米さんは、当初社員教育として、メールの使い方を毎日メールマガジンで社内に発信していた。それが社外の目にとまり、出版社のサイトでメールマガジン化、雑誌連載化され、ついに先日、単行本として出版された。Amazonでハリーポッターに次ぐベストセラーとなった。

・メール道
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・久米さんのメールマガジン スマートIT COMZINE by NTTコムウェア
http://www.nttcom.co.jp/comzine/archive/smart/mail/no-26.html

ここからメール道の基本を引用させていただくと、

■「情報伝達力」の公式
-----------------------------------------------------------------
これから「メール道」を修めていく上で、
メールマガジン、あるいは、メーリングリストなどを通じて、

「ご自身の伝えたいメッセージ」を
「より多くの人」に「より深く伝えたい」場面が増えていくことでしょう。

そんな時に、重要なのは「情報伝達力」です。


「情報伝達力」=(情報自体の価値×
発信者の魅力×お付き合いの長さ)
         ÷(わがままな心×情報を隠したい気持ち)


これは、私のメール経験の中から導き出した「情報伝達力」の公式?です。


 即ち「情報伝達力」は、
 
     情報自体の価値があるほど 大きくなる
     発信者に魅力があるほど  大きくなる
     お付き合いが長いほど   大きくなる
     
     わがままな心があるほど  小さくなる
     情報を隠すほど      小さくなる


 .....のではないかと思うのです。

この本を読んで考えさせられたのは、メールのリテラシーとは、メールソフトの使い方や文章術ではないのだということ。メールを交わして気持ちのいい人になることが、何より大切なのだと分かる。大量のメールを受信し、効率的にさばく技術は本質ではないのだ。だからメール術ではなくてメール道なのだろう。

久米さん曰く「1日10通のメールで世界が分かったらどんなに幸せでしょう」と講演で話されていた。まったく同感。最近、メールが多すぎる。メール道はメールが多いことを前提に、心に響くメールとは何か、を追究している。

マニュアルなのだけれど、マニュアルに終わらない本。久米さんの最新のメール道はここでも読める。

・メール道 >ネチケット+電子メール術+eメール作法
http://maildo.way-nifty.com/dojo/

ところで、2次会の居酒屋。持っていった「メール道」にサインをお願いしたら、「筆ペンを忘れましたから、買ってくるので少々お待ちください」「いえ、私の気持ちが収まりませんので」と、一同止める間もなく、猛ダッシュでコンビニへ走られた。

120人の部下を抱える会社の社長にそこまでしていただいて恐縮というかなんというか言葉もない。私はこれからずっとこの久米さんのサインのことを憶えていると思う。メール道の基本はつまりそういうことなのだなと思った。

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2004年06月24日

ウェブログ超入門!

・ウェブログ超入門!
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このブログを読んでくださる方の中にも、同じようにブログを始めてみようかなと思っている方もいるはず。これはブログの入門本。出版社から献本を頂いたので読んでみた。

ブログの入門書なのだが、すでにブログを始めているユーザにとっても再確認や発見がたくさんある。最近、IT雑誌にブログ特集が多いが、雑誌記事のメインはホスティングサービスの比較や、技術解説。この本は視点が違っていて、サービス選びや技術の話はほとんどない。ブログを使って情報発信を行っているとぶつかる疑問に、自らどっぷりとブログ文化にはまった著者が、分かりやすい回答をしている。

ウェブログは始めるのはやさしいが、続けるのが難しい。継続するためにはどうしたらよいのか、著者自身が悩んだ末の最終結論なのだろうなと感じる意見が多い。どれも共感できる。

・ウェブログのネーミングは、どんなものが効果的か?
・読んでもらいやすい書き方にはコツがある?
・「無断引用禁止」と書かれたサイトから引用をするのは法律違反?
・どのくらいの文字量までなら引用してもいい? 写真やイラストは引用できる?
・新聞社サイトのニュースの見出しを引用すると訴えられる?

など、始めてみると考えざるを得ない話題ばかり。

すでにブログを始めている中級以上の人にも、後半の

「ウェブログの歴史から見えてくるもの」
「ウェブログの未来についてとことん語ろう」

という章はブログコミュニティの発達の歴史、大きな事件、問題意識などが総括されていて、頭の中が整理される。この1年でコミュニティで議論されてきた事柄は、私もなんとなく知っているのだが、議論する場所が分散していて、完全に理解するのが面倒だった。この本、一冊でそのすべての概要把握ができた。欄外に紹介されるURLも、厳選されていて濃い。

それで著者の松永さんの意見はどれも納得がいくものなのだが、2点ほど、私と意見が異なる部分があった。

反論1:
「ウェブログをはじめたもののなかなか書くネタがみつからない」というテーマに対して
松永さんの答え「書くことがなければ休めばいい」「無理をして書かない」
私の答え「休まず無理して書かないといけません。運動と一緒です。」

反論2:

「読んでもらいやすい書き方にはコツがある?」に対して

松永さんの答え:「長々と書いた文章は読んでもらえない」
私の答え:「長々と書かないと満足できないじゃないか、そもそもアナタが長文派ブログの筆頭ではないのか、ゴラア

と、まあこういう見解の相違(冗談ですよ...)はあるのですが、次々にブログの企画を成功させてきた著者の体験ベースのノウハウは、他の、どのブログ本よりも活き活きとしている。ブログをこれから始めようとしている人には、イチオシでおすすめの本。

・『ウェブログ超入門!』内容紹介
http://kotonoha.main.jp/weblog/000827_super-introduction.html

・はじめてのウェブログ [weblog for beginners]
http://kotonoha.main.jp/weblog/

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2004年06月16日

ヒューメイン・インタフェース―人に優しいシステムへの新たな指針

・ヒューメイン・インタフェース―人に優しいシステムへの新たな指針
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何年か前に読んだ本なのだけれど。

日本を代表するユーザインタフェースの研究者、増井俊之先生と、百式田口さん、出版社のT部長の4人の飲み会が実現。私にとって、増井先生は憧れの天才で、いつかゆっくりお話させていただきたいなあと思っていたので、夢のような数時間でした。Wiki、LensBar近傍検索を中心にした情報システムで完全武装した増井先生のノートパソコンとPDAを、じーっと覗き込みながら、延々とユーザインタフェースについて語り合いました、というか、教えて頂きました。

・百式田口さんのレポート、ビデオつき
http://bag.100shiki.com/archives/000025.html
増井先生は、携帯電話の予測入力システムPOBOXの開発者でもあり、私もソニーの携帯ユーザなので毎日、その研究成果を使わせてもらっています。技術者の方には、アスキーのUNIX MAGAZINEの名物連載「インタフェースの街角」の著者として知られていると思います。その他、数多くの研究と開発物が、先生のサイトで公開されていて、たっぷり1日楽しめます。

・増井俊之先生のサイト
http://pitecan.com/

・Unix Magazine 関連資料(PDFで過去記事全文が読めます)
http://pitecan.com/UnixMagazine/

会話の中で、私はずっと自分の中で、その価値評価が決められずに、書評できずにいた一冊「ヒューメイン・インタフェース」について、ずばり、どう思われますか?と聞いてみた。「あれはいい本だ」と評価されていた。

この本は、アップルのMacintoshインターフェースの実質上の生みの親であるジェフ・ラスキンが書いたユーザインタフェース論の本。人間中心、ユーザ中心(ヒューメイン)のインタフェースとは何か、著者の知見が展開される。

・Jef Raskin - Welcome to JefRaskin.com
http://humane.sourceforge.net/home/

専門的な言葉も多く使われるので、読みやすくはないのだが、目から鱗が落ちるような知識が大量にある。習慣形成、自動化、注意の所在はひとつ、モードの排除などがラスキンのインタフェース論のキーワードだと思う。

ラスキンは、


理想的なヒューメイン・インタフェースとは、ユーザの作業におけるインタフェース要素を良性の習慣に変えるものなのです。製品を複雑かつ使いづらいものにしている問題の多くは、習慣形成における有用な属性と有害な属性を配慮していないマン・マシン・インタフェース・デザインによって引き起こされているのです。

この習慣形成というのは、たとえば隣り合う一連の続き作業の自動化であり、うまく働けば自然な流れで複雑な操作が可能になるが、


繰り返して行うことになる一連の動作は、最終的には自動化されます。また一連の動作は、統合された単独の動作になります。

ということは、弊害もあり、


(実行してよろしいですか?などのダイアログについて)
固定された回答を要求するすべての確認手順はすぐ使い物にならなくなってしまう

ということだったりする。私たちが誤操作一般や、大切なファイルを上書きや削除で失う前後の作業を考えてみると上記の自動化の弊害によるケースが多いものだと思う。諸刃の剣である。

また、人間の注意の所在はひとつしかなく、同時に複数の注意を払うことができないことを実験から証明し、気をそらすことなく作業に没頭させることが大切だという。


私たちのユーザの作業自身を注意の所在とし続けることなのです

そして、モードである。


あるジェスチャの解釈が一定である場合、そのインタフェースは特定のモードにあるといえる


モード(modes)とは、インタフェースにおける間違い、混乱、不必要な制限、複雑さの温床となる重要なものです。モードによってさまざまな問題が引き起こされるということは世の中で広く認識されているにもかかわらず、完全にモードのないシステムを作るという戦略がほとんど採用されていないのです。

モードとともにカスタマイズにも否定的で、


カスタマイズ機能の学習と操作に費やされる時間は、実際の作業のうちでもっとも無駄な作業と言えるのです。

この本では、こうした前提から始まって、多数の実験や試作物による評価データ、認知心理学の知見を引用して、ラスキンの理想とするユーザインタフェースが語られる。目から鱗の指摘も多いのだが、一方で、すべてこうあるべきだという「べき」論も多く、読者によって、評価は分かれるようだ。常に正しいかどうかは分からないのだが、とにかく面白い本である。

モードの排除、モードレスという方向は、ラスキンの理想であるようだが、増井先生にも共通する要素があると思っていた。

増井先生の論文は大抵読んでいるつもりなのだが、一番感動したのが、「なめらかなユーザインタフェース」という概念を提唱したシャープ在籍時代の、この論文だった。少し長く定義を引用させていただくと、

・なめらかなユーザインタフェース
http://pitecan.com/papers/ProSym96/ProSym96.pdf


2.1 なめらかなインタフェースの定義

「なめらかなインタフェース」とは、直接操作/動的検索/視覚化のような各種のインタラクション技術を統合したものである。我々は以下のような性質をもつインタラクショ
ン手法を「なめらかなインタフェース」と定義する。

連続性 

ユーザの操作に対しシステムがリアルタイムに連続的に反応する。ユーザが小さな操作を行なったときはシステムの状態も大きく変化しない。アイコンをクリックすると突然ウィンドウが出現したり、メニュー操作により突然項目が出現したり消えたりするようなインタフェースは非連続的であるためなめらかではない。また処理の実行を指令するキーやボタンを持つインタフェースは、その前後の状態が連続的でないためなめらかではない。

可逆性

ユーザが逆の操作を行なったときシステムが前の状態に戻る。ウィンドウやアイコンなどのドラッグ操作は可逆的であることが多いが、ウィンドウを開く操作と閉じる操作が異なるインタフェースは非可逆的であるためなめらかではない。

直接性

ファイルを指定する場合やヘルプ機能を使う場合、キーボードから文字列を入力するのが一般的であるが、このような指定は間接的でありなめらかではない。

直感性

多数の機能のあるアプリケーションでは、何を意味するのか簡単には判別できないアイコンが多用されていることがあるが、このようなものは直感的でないためなめらかではない。

増井先生のその後の研究のほとんどは、まさにこのなめらか指向である。LenzBarやインクリメンタル検索、スナッピングなどがその例である。モードから別のモードへの変化を連続的にすることも、「なめらか」なのかもしれない。

私は専門家ではないけれど、インタフェースにひとつ持論があって、「熟練による上達」が可能なインタフェースが最良なのではないかと考えている。たとえば楽器である。人間の学習と熟練のキャパシティは無限大に近いと思う。芸術家のピアノやヴァイオリンを扱う指先の動きのように、練習すれば練習するほど、上手に複雑な動きが可能になる。これに対して、現在のマウス、キーボード操作の多くは、練習したところで「ダブルクリックができるようになりました」「キータイプが速くなりました」どまりである。熟練による上達の幅が狭く、効用の限界が小さすぎると思う。現在のPCのインタフェースの多くは、熟達の余地が少なく、熟達しても効用が小さいということ。

なめらかなインタフェースは熟練による上達の可能性を感じる。今日、増井先生が、自作のなめらかなインタフェースを扱う指先を見て確信した。何万件ものデータから、すばやく必要なデータを連続的ズームイン/アウトで探すツールなのだが、増井先生はノートPCのマウスパッド上で、それを数秒で行う。ギタリストでいうならまさに「スローハンド」状態。この種のツールは私も使ったことがあるけれど、結構最初は操作が難しいものである。

なめらかインタフェースの連続性や直接性は、熟練による上達の幅を広げていると思う。そして、大量の情報から”最適”な情報を”なるべく早く”探すという目的が、効用の上限を拡げているような気がする。熟練することで、初心者の数千倍、数万倍の効用(特に生産性)が期待できるような、インタフェースと用途のセットがあったら、もっとコンピューティングは面白くなる気がする。

熟達の幅が大きく、効用が無限の用途を持つ、なめらかインタフェースというと、奇才ニコラ・テスラらと並んで「3大トンデモ科学者」と呼ばれるテルミン博士が発明した電子楽器テルミンがそれに近い事例かなあと思うのだが、増井先生に今度お会いしたら、「テルミンどう思われますか?」と聞いてみようかなと思っている。

「なめらかすぎると何もないのと同じ」なのかもしれないのだが。

・『テルミン』〜THEREMIN,AN ELECTRONIC ODYSSEY〜
http://theremin.asmik-ace.co.jp/


関連情報:

・ダメなユーザインタフェイス講座
http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/8192/

・使いやすさ研究所 ホームページ
http://usability.novas.co.jp/

・Jakob Nielsen博士のAlertbox
http://www.usability.gr.jp/alertbox/

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2004年06月14日

Spidering hacks―ウェブ情報ラクラク取得テクニック101選

Spidering hacks―ウェブ情報ラクラク取得テクニック101選
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■スパイダリングのハック本

これはGoogleHack以来の技術本で大ヒット!。素晴らしい。

クロウラーとかスパイダーと呼ばれるWeb巡回自動ロボットの作り方が実際のコードとともに101個も紹介されている。

スパイダーは、Webのリンクをたどりながら、HTMLを取得、解析して、データを取得していく。特定のキーワードがニュース見出しに登場していたら、本文を取得して一覧を作る、だとか、検索エンジンの検索結果数の変化をグラフにするとか、携帯にニュース更新状況をメールするなど、便利なパーソナルエージェントを作ることができるわけだ。

目次から、わかりやすい応用例をいくつか紹介すると、

・Yahoo! JAPANの新着情報を追跡する
・米Yahoo!とGoogleを組み合わせた拡散検索
・Yahoo!テレビを使って番組の検索を行う
・Yahoo!ブックスから、自分の好みにあった新刊書籍情報を取得する
・Yahoo!ショッピングから売上ランキングの高い商品の情報を調べる
・気になるニュースをケータイに送信する

などなど、どれも楽しそうでしょう?海外の翻訳本でありながら、日本語対応もきちんと考慮されているので安心。

この本で紹介される多くのスクリプトはPerlで記述されている。WWW::Mechanize(及び日本語化されたMechanizeJHack)モジュールは、スパイダー開発の心強い味方だ。URLからHTMLを読み込み、タイトルと本文、リンクに分割したり、特定のキーワード文字列の入ったURLやリンクアンカーをクリックして移動する、フォームに文字列を埋めて送信するといった、一連のWebサーフィンの動作を、簡単な記述で、開発できる。

Mechanizeの応用例 Asamasid
http://nais.to/hiki/hiki.cgi?asamasid

認証が必要なアマゾンアフィリエイトの確認画面へログインし、結果データを取得してメールするプログラム。(あれ?、いつのまにかWindowsに対応している!)

■ThumbWeb ビジュアルリンク集の自動生成プログラム

私も早速ひとつ作ってみたので公開する。WindowsXP、ActivePerlの環境で動作する。

・ThumbWeb ビジュアルリンク集の自動生成プログラム
URLのリストを与えると、スクリーンショット一覧のアルバムを自動生成するプログラム。
ソース一式はここからダウンロードできます

なおサムネイル作成には、

url2bmp
http://www.pixel-technology.com/freeware/url2bmp/english/
url2bmp01.gif

を利用している。こちらも別途ダウンロードが必要。

インストール等詳細は、ZIPファイル内のREADME.TXTを参照のこと。

これを使うとたとえば、こんなリストから、こんなサムネイル一覧をつくることができる。YAHOO!のカテゴリ一覧などから、URLを持ってくればビジュアルなリンク集を作成できる。初期設定では、10ページおきにページ切り替えが行われる。(サンプルは5ページに設定)

・URLのリスト
Download filehttp://www.ringolab.com/note/daiya/archives/sampleurls.txt

・生成されたページのサンプル
サンプルはMHT形式なので、MS Internet Explorerオンリーです。Download file

■富豪的ネタ探しでブログネタを発見する

私の使い方としてはブログのネタ探しに利用している。

具体的には海外のITニュースサイトやコミュニティを別のスパイダーで巡回させ、記事本文に登場する、外部へのリンクのURLを一覧取得する。話題になったURLリストがこうして得られる。ここまでは夜間にマシンにやらせておくのがポイント。

・某海外ITニュースサイトから抽出したURL一覧(4000件、130キロバイト)
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/urls.txt

これを、ThumbWebに与えると、1ページあたり10サイト、400ページのレポートが生成される。あとはひたすら、ビジュアルでチェックしていく。いい絵を探すのだ。面白いネタ探しなら、厳密に漏れがないかチェックするよりも、多くのサイトをザッピングした方が効率が良い。なにしろ何千サイトも候補はあるのだから、富豪的に太っ腹に考える。見落としてもいい、たくましく育って欲しい。

・関連:富豪的プログラミング
http://pitecan.com/articles/Bit/Fugo/fugo.html

■余談 パーソナルエージェントの自作ブーム到来か

実はこのURLリストからスクリーンショットのアルバムを自動生成するツールは、昨年末の忘年会議で使い「近日公開します」と約束していたもの。あれから半年が過ぎ、私の予感では、3人くらいが律儀にも覚えていて、「橋本のやつはいつ公開するつもりなんだゴラア」と思われているような気がしているので、これを機に、必要部分を切り出し、アップデートし、公開することにしました。

私はこれにさらにキーワードフィルタリング機能のついた上位バージョンを調査の実務に使っています。こうしたプログラム群を使うと、経験では1日に8000ページ程度の海外のWebから、探しているテーマの情報サービスや、記事を、ほぼ完璧に洗い出すことができます。

他にも集めた英語のページを夜間にまとめて翻訳させ、ローカルで日本語全文検索をかけられるようにしておくのも、なかなか便利です。個人的には、次は音声化や、モバイルへのアラート機能を作りこんでいこうと計画中です。

スパイダリング技術は、常時接続ブロードバンドの時代に、個人の調べる技術を大幅に拡張する強力なテクノロジーだと思います。面倒なのは対象とするサイトの技術仕様が変化すると、スパイダーのロジックもアップデートしなければならないことです。それが頭の痛いところなのですが、RSSなどXMLメタデータの標準化によって、状況はかなり改善されてきました。

今が旬なテーマでしょう。パーソナルエージェントを自作したい人に、この本はマストバイです。

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2004年04月29日

主婦もかせげるパソコンで月収30万

主婦もかせげるパソコンで月収30万―ホームページの新ビジネス・アフィリエイト体験記
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パートで働く程度の収入になれば嬉しい!と思って始めたアフィリエイトプログラムですが、今では旦那さんのお給料を超えるほどの収入になる月もあります

こんな書き出しで始まるこの本は、イーコマースの代理店制度、アフィリエイトプログラムを活用して、月収30万円以上を稼いでしまう主婦の体験記である。1時間くらいで読むことができる軽めの本。

・アフィリエイトエッセンス
http://www.affiliate-essence.net/
著者の藍玉さんのアフィリエイト解説サイト。このサイトにもノウハウが語られている。

・悩みドットジェイピー
http://www.nayami.jp/index.html
運営しているアフィリエイトサイト

・女性のためのPC選び デルライフ
http://www.affiliate-essence.net/pc/index.html

著者は普通の主婦らしい。家事や子育ての合間を縫って、いかにしてホームページ更新の時間をやりくりしているか、家庭とサイドビジネスの両立の悩みの独白部分などが特に面白い。パソコン初心者の著者が、数年間でどのようにネットに詳しくなり、技術を覚え、稼げるようになったかの成長物語。

実は私の周囲にも、アフィリエイトで月収数十万円達成者は何人かいるのだが、どの人もこの著者と共通の匂いがするように思う。したたかでうかつな女性であるということだ。
著者は、「素人のうかつさ」と「商売人のしたたかさ」の両方を兼ね備えた人だと感じる。うかつなだけでは儲からないが、商売気だけでは警戒されてしまう。アマチュアっぽさ、普通っぽさでユーザの心の警戒心を解いた上で、したたかに設計したサイトへ誘い込む。共感と信頼が商品購入へとつながっていく。著者のサイトの秘密はそんなところにありそうだ。

本業の構えで年配の男性が同じことをやると、往々にしてうまくいかない。生活や人生をかけて本気になると、肝心のうかつさがなくなる。うかつさは偽装してもばれやすいものだ。天然でなければ売らんかなの商魂が見え見栄になる。初心者で主婦というポジションはそれが自然体にできる。だから、アフィリエイトのトッププレイヤーには主婦が多いということなのではないか。

この本を読むと誰でも月収30万円のビジネスが片手間にできるようになるのだろうか?もちろん、そうはいかないだろう。悩みドットジェイピーのような充実したコンテンツを作る技術とデザインセンスは必要である。またノウハウはすぐに古くなるので、仲間のネットワークを作り、情報を交換し、新しいノウハウを生み出す側に立つことも重要だとこの本を読んでわかる。したたかさの部分は必須であると思う。普通に勉強は必要なのだ。

この本で一番、参考になったのはそのしたたかさの部分の勉強を、どうやって楽しいプロセスに変えていくかの工夫の話である。家族の理解を得て生活に取り込むこと、仲間をオンラインで作りコミュニケーションすること、メディアに登場してモチベーションを高めることなど。個人の人気ページ作者と同じで、結局は、好きこそものの上手なれであり、楽しんだ人が勝つ世界のような気がする。

雑誌インターネットマガジンの最新号もアフィリエイト情報が満載。トッププレイヤーの主婦たちが顔出しでコメントしている。

・インターネットマガジン
「プチ・ビジネス」でお小遣い稼ぎ!
http://internet.impress.co.jp/im/
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2004年04月15日

コンピュータはどれほど賢いのか―知の可能性を広げるコンピュータ数学への招待

・コンピュータはどれほど賢いのか―知の可能性を広げるコンピュータ数学への招待
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根本的に書名と内容が一致していないという、問題はあるのだが、日曜プログラマとしては楽しめた部分も多くあり、書評。

まず書名の「コンピュータはどれほど賢いのか」というテーマについてはほとんど書かれていないので期待してはいけない。「知の可能性を広げるコンピュータ数学」の「知」や「コンピュータ数学」はあるといえばあるのだが、その言葉の持つ深さには至っていない。この書名は変えるべきで「できるかな?JavaScript 数学アルゴリズム編」あたりが適当。

この本は、主にJavaScriptを使って、たくさんの数学理論を実装する。アルゴリズムは図表を使って丁寧に解説されるのでわかりやすい。知りたかった理論の幾つかが明確になった。

例えば円周率πを計算するプログラムを作る。円周率の求め方はそもそもご存知だろうか?私は知らなかった。文系人間なら9割以上知らないのではないか。幾つか発見されている計算方法が紹介された後、JavaScriptで、そのうちのひとつ「ライプニッツの公式」を実装している。

ライプニッツの公式では、

π/4 = 1/1 - 1/3 + 1/5 - 1/7 + 1/9 .....

という計算方法で、計算を続ければ続けるほど値がπに正確に近づいていく。

この式は、


1 分子は1に固定されている
2 分母が2ずつ増えていく
3 足し算/引き算が交互に入れ替わる

であり、それをプログラムで書けば円周率計算プログラムができるというわけである。

この本を読みながら、最近、頭を使ったプログラミングをいかにやっていなかったことに気がつかされる。現代のプログラミングは、予め用意された関数やクラスを呼び出すやり方ばかりを学ぶことが中心である。開発環境の使い方のマスターといってもいいかもしれない。誰かが作ったものをゼロから作る=車輪の発明をしないということが、コンポーネント指向、オブジェクト指向、オープンソースという時代の潮流であるから、それを回避するのが賢いという風潮もあるような気がしている。

だけれども、車輪の発明も仕事でなければ考える楽しさがある。概念レベルのアルゴリズムをプログラムに翻訳するには、どうしたらいいか、自分で工夫を試す楽しさにこそ、プログラミング本来の面白さがあったはず。この本はそこを突いてくる。

8QUEEN問題や騎士巡回問題、素数の発見、カオス、フラクタルの計算など、実用性はともかく、アルゴリズム自体に面白さのあるサンプルが次々にでてくる。JavaScript自体の文法解説はほとんどないので、JavaScriptを既にある程度書ける人におすすめ。


ところで、最近、Lightweight languageという言葉がプログラマのコミュニティでは少し流行っている。Perl、PHP、Python、RubyなどWeb開発でもおなじみのスクリプト言語の総称。JavaScriptもこの範疇に入るだろう。複雑な文法を持つC言語やJava言語と違って、これらの言語は比較的とっつきやすい仕様で、初心者にもやさしい言語である。

Lightweight language magazine―ライトな言語でプログラミングを楽しもう!
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こんな本も出ていて楽しめた。

私は今、あるプログラミングコンテストの企画書を書いている。アルゴリズムを考える楽しさが参加者に共有されるようなルールを考える日々である。このコンテスト、実現できれば、夏頃には、表舞台にだせると思うので、ちょっとご期待ください。プログラミングの苦手な人でもアルゴリズムを考えることができれば参加できるようにしたい。

(えー。加藤さん、すいません。草稿の金曜提出、間に合ってません。え、言い訳をここに書くなよって?。)

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2004年03月03日

Webサイトマッピングプロフェッショナルガイド-サイト設計の考え方、作り方

Webサイトマッピングプロフェッショナルガイド-サイト設計の考え方、作り方
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Webのサイトマップを作成したい人向けの大きな本。全編カラー。

今日はこの本の前に、YAHOOの話題から。

■YAHOO!に登録されたけれど

先週末に「Subject: 貴サイト登録のお知らせ 」というタイトルで「こんにちは、Yahoo! JAPANサーファーチームです。突然のメールで失礼いたします。」というメールが検索エンジンのYAHOO!社から送られてきた。

この3ヶ月の私のサイトの検索エンジンからのアクセスをグラフ化すると以下のような比率である。YAHOO!は4割を超えている。

searchenginelog0403.JPG

これで更にYAHOO!経由のアクセスが増えると見込んでいたのだが、意外にも公開後、トラフィックが増えない。不思議なくらい増えない。

登録されたカテゴリと説明文を見に行って少し納得する。

・トップ > 自然科学と技術 > 情報技術
http://dir.yahoo.co.jp/Science/Information_Technology/
橋本大也によるウェブログ。情報技術、書評、日々の雑感を記述。

この場所は、階層としては比較的上位なのだが、なぜか登録数が少ない。ユーザにたどられることも少ないようだ。分類としては納得だし、見つけていただいたYAHOO!社の方々には感謝なのだが、このカテゴリからのアクセスは1日、2,3件である。どうしたものか。いやどうもしないが。

■サイトマップと分類

YAHOO!のように大量のリンクを、階層構造に分類し、分かりやすく表示するというのは難しいことだ。まず分類名の作り方も、ユーザの利用意図を反映したものでなければならない。いくら「ページ」だからといって、図書館で使う分類法で分類してもうまく収まらないものや、違和感のあるものが大量に出てきてしまう。また、Webのページと書籍では、量的な点でもかなりのテーマの偏りがあるだろう。

よく知られた分類法というと以下のようなものがある。

・日本十進分類法
http://www.trc.co.jp/trc-japa/search/ndc.htm図書館で採用例の多い日本十進分類法。

・日本標準産業分類(平成14年3月改訂)
http://www.stat.go.jp/index/seido/sangyo/index.htm

・日本標準職業分類(平成9年12月改訂)
http://www.stat.go.jp/index/seido/9-2.htm

・日本標準商品分類(平成2年6月改訂)
http://www.stat.go.jp/index/seido/9-3.htm

だが、どれも一般ユーザの利用するWeb検索の分類向きではない。以前、研究で、実際にこれらのカテゴリにWebを大量に分類してみたが、階層が深すぎたり、テーマの落ち着き具合が悪かったりして分類する側が難しい上に、利用段階でも、目的のサイトをどこに探せば良いのか検討がつかなくなった。

一見恣意的に見えるが、YAHOO!のように、ユーザのニーズも反映した、Webの総合分類を作るのは非常に難しいのだ。

yahoocategory0403.JPG

■分類をどうビジュアライズするかの見本の本

この本のテーマは、サイトマップの作成である。

YAHOO!の例より少しは易しい、ひとつのサイト内のマップ作成が主なテーマである。世界中のWebサイトから、何百もの可視化事例をカラーで満載している。見ているだけでも、デザイン発想が刺激されて楽しめる。

多数の例を分析した結果、次の4パターンにサイトマップは分類できるという。

リスト型    横方向または縦方向に階層構造を整理したリスト
展開型     階層構造を開くとその下の情報が表示されるタイプ
円形      円形に配置したもの
メタファー型  比ゆ的な関係を使って情報を表現する図

4つの類型に、

1 フォントサイズ
2 フォントまたは背景の色
3 位置
4 インデント
5 ライン
6 記号またはアイコンの

以上6つの要素を変化させることで大半のバリエーションが生まれるとまとめている。実例から抽出したこの型にスクリーンキャプチャのイメージと解説文が整理されている。

リスト型と展開型はある程度、HTMLによる可視化ではアイデアが出尽くした感がある。以前の記事でもWeb可視化(Webviz)の例として触れたが、現在はネットワーク図ライクな円形型が先端流行のようだ。

・関連過去記事:私の近傍サイトマップ
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/000423.html

先日、百式に教わったアクセスログの可視化ソフトVisitorVilleはメタファー例の極みであると思う。感動した。

リアルタイムに、Webサイトへのアクセスを街と人のメタファーでアニメーションとして表現する。ビジターがページからページへクリック移動すると、VisitorVilleの画面では、建物と建物の間を人が移動していく。ビジターのドメインが学術機関なら学生風に、ビジネスマン風にとキャラクターの風貌が変ったりするそうだ。

VisitorVille
villefront-screen2.jpg

なお、この本に出てくるような事例は、このサイトが詳しい。大量のWebのリンクの可視化例が整理されて公開されている。サイト本体はなくなってしまうこともあるので、この種のアーカイブは貴重である。

・Mapping Cyber Space
http://www.mappingcyberspace.com/gallery/index.html

こういった可視化技術によってどうWebが便利になっていくのかは、今考えると楽しいテーマだと思う。私も結論はまだない。

日経BP社の連載企画でも、先日、関連テーマを提案し、ディスカッションを行ったので、興味のある方はこちらもどうぞ。

・知識流通3月ログ:可視化とマインドマップ、音楽的と絵画的理解
http://sentan.nikkeibp.co.jp/mt/2004/02/

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2004年02月14日

デジタルID革命

・デジタルID革命
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今後、数年というスパンでRFID、無線ICタグのビジネスがくるのではないかと、私も考えているので、総合している最新本を読む。

慶応大学国領教授と、日経デジタルコア編著によるデジタルID技術の現状報告と展望の解説本。デジタルIDとは、RFIDやICカードなどの無線ICタグ技術を指している。総務省の発表では、無線ICタグの市場は2010年には31兆円規模の市場に成長するという。

生産者、製造年月日、原材料、流通経路などの情報を記録した、小さなICタグを商品につけて流通させる。そして、読み取り装置を使って、商品情報を流通、販売、消費者がそれぞれ便利に使う。生産者も商品の流通や使用状況を把握し、市場分析に役立てる。現在、バーコードが果たしているようなトレーサビリティ技術の革新。(自動認識技術ではまだバーコード技術が90%の出荷総額のシェアを持っているらしい)。

一口にトレーサビリティといっても、消費者の視点でのトレース(遡及)と、生産者や流通の視点でのトラック(追跡)の2種類があるとこの本は定義する。トレースは、手元の商品の出自を知りたいと思ったときに、確認できること。トラックは、流通経路のどこを今流れているかを確認すること。

消費者は生産者が分かることで安心感を得たり、CDや書籍の詳細情報を入手できたりする。ビジネス側としては、流通を合理化したり、マーケティングに活かせたり、患者や医療器具などにつけることで医療現場でのミスを無くす、など、この技術の有望性は数え切れないほどある。

しかし、追跡できるということは、人の着ている服の値段や最近買った書籍のタイトル、どの駅を毎日乗り降りしているか、冷蔵庫の中身は何か、まで第3者に分かってしまう可能性があるわけで、プライバシーに対する懸念も大きい。

また、業界的には、誰がICタグとリーダーの費用負担をすべきなのか、は議論がまとまりにくい。上流に受益者がいるのに、なぜエンドユーザや小売店が費用負担をすべきなのか異論もでる。バーコードの場合には、セブンイレブンなどがバイイングパワーを使った交渉圧力で、すべての商品への印刷を働きかけて実現した、という歴史も、紹介される。

一番面白かったのは、第3章「トレーサビリティのビジネスモデル」の章。食品、医療、航空貨物・手荷物、アパレル、流通、書店、街づくり、の各業界の現状が、詳しく語られる。

読み終わっての感想は、あれ、結構障害が多いなということ。10年、20年というスパンで考えると普及は確実に思うけれど、これからすぐに無線タグ化が進むには問題山積みな状況であると思った。

流通合理化では技術的にバーコードのままでいいじゃないか?な部分が多く、技術の内容も小売現場で実用化するには、足りない部分も多いようだ。そういえば先日こんなニュースもあった。

RFIDによるレジ一括精算、実用化のネックはポテトチップス
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2004/01/30/1938.html

面白い試みでは、この本でも紹介されていたが、六本木ヒルズのR-Click実験には注目している。六本木ヒルズ内で、白いキーホルダーをRFIDの張られたディスプレイにかざしてクリックすると、周辺情報が携帯にメールされる。商品と情報ではなく、場所と情報(とヒト)にRFIDをヒモ付ける、こういうやり方の方が当面は、分かりやすく受け入れられやすい気がする。

この本は著者が多いためか、ひとつの結論にまとまらない。結局、今ICタグビジネスは儲かるのかどうか、はよく分からなくなってしまった。私的にはそれが知りたいのであるが...。最新事情と問題点を知るにはとても良い本だと思った。

・六本木ヒルズ Rクリック
http://r-click.jp/

・日経デジタルコア テーマ「トレーサビリティー」
http://www.nikkei.co.jp/digitalcore/report/theme_traceability.html
このサイトを読むだけでもこの本の概要は理解できる。とても充実。大満足。

・書籍の「無線ICタグ」化に疑問あり
仲俣 暁生 「本とコンピュータ」編集室
http://it.nikkei.co.jp/it/njh/njh.cfm?i=20030718s2000s2
書籍ICタグのプライバシー問題についての異議。

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2003年12月03日

・Google Hacks―プロが使うテクニック&ツール100選

・Google Hacks―プロが使うテクニック&ツール100選
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私の会社は技術の会社なので、オフィスの本棚には、数えたことがないが、100〜200冊くらいの技術書が並んでいる。自宅にも押入れに大量に技術の本がある。普通の本と違って、リファレンス的に使うため、通読するような書籍は少ない。これは数少ない最初から最後まで読んでしまった本であり、間違いなく、私の、2003年度、技術書ベスト1である。2位を大きく引き離している。

■ググる人々56.1%

「ググる」という言葉が一部で流行するほど、Googleで検索することは、ネット利用者にとって一般的なことになった。検索エンジンにおける利用シェアは、調査会社のOneStatによると、以下のような率になっている。インターネット上の検索は過半数がGoogle経由で行われており、2位のYAHOO!をダブルスコアで引き離している。

・Google No. 1 search site in the world according to OneStat.com
http://www.onestat.com/html/aboutus_pressbox25.html
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EXCELでグラフ化してみると一目瞭然。

Googleが人気があるのは、PageRankと呼ばれる計算方法で決定される、検索結果が、ユーザの理想に近いことにある。PageRankは、以下のふたつの主なルールで計算する。

1 外部のページからのリンクの数が多いページは重要なページとみなす
2 重要なページからリンクされているページも重要度が加算される

このアルゴリズムの強み、弱み、発展性が「PageRankアルゴリズムの内部」などの章に詳しい。Googleや検索エンジンの進化の方向性が垣間見えたりもする。

ちなみにGoogleツールバーをインストールすれば、一般ユーザも表示中のPageRankを確認することができる。PageRankは10段階で高いほど良い。私のこのサイトは開始3ヶ月目、この記事執筆時点ではPageRank4で上昇傾向にある。このランクが高いほど検索順位で早く出てくるわけだ。

で、このPageRankをどうやったら上げられるか、たくさんの人を検索エンジンから呼び込むにはどうしたらよいかの解説の章がまず参考になる。

・「1日に1万5千人の訪問者を得るための26のステップ」

1年で1日1万5千ページビューを自然に達成する方法を主に技術視点から述べている。本当にそれ正しいのかって?。うーん、こういう本(アクセスを増やすホームページ革命術:現在絶版)を過去に書いた私が言うのだから信じてください。このやり方は正しい。まっとうなコンテンツを作る気があるのならば、そのとおりになるはずと納得した。

■Googleの応用事例が盛りだくさん

無数のGoogleの応用例が解説されている。Googleは一般ユーザにGoogleデータベースのプログラミングインタフェース(API)を公開しているため、主にその実装の話が多い。基本部分のソースコードサンプルが、かなり紹介されているのでプログラマにはたまらない。

たとえばほんの一部を紹介すると以下のような感じだ。

・TouchGraph Google Browser
http://www.touchgraph.com/TGGoogleBrowser.html
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Googleの検索結果をネットワーク地図として表示するアプリケーション。

・GoogleSmackdown
http://www.onfocus.com/googlesmack/down.asp
キーワードをふたつ入れると検索結果数を並べて比較できる。例えばtokyo (5,960,000件)とosaka (1,780,000件)、tomorrow (6,680,000件)とyesterday (6,310,000件)、love (52,000,000件)とmoney (43,100,000件)なんてことが分かる。(愛が勝ってよかった。)。

・Googleシェア
http://ed.suppose.co.uk/googleshare.php
Googleを使ってマインドシェア(○○度)を調べる。例えば、ringo starとPaul McCartonyの、それぞれのThe beatles度を調べることができる。今試したらringoが34.21%、McCartonyが41.18%である。

・Googleミラー
http://www.alltooflat.com/geeky/elgoog/
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Googleの検索結果を左右ひっくり返す...。一見の価値あり。

■実践編 メール・de・Google

この本を入手する前にGoogleAPIが米国で発表された頃、私もいたずらでアプリケーションをひとつ作っている。今確認したらまだ動作しているのでご紹介したい。

名づけて、「メール・de・Google」。メールのサブジェクト(題名)部分に検索したいキーワードを入れた本文は空のメールを、サービス用のメールアドレスへ送ると、検索結果がメールで返信される、というもの。

この本でも、メール経由でのGoogle検索システムの例が紹介されているが、コードは示されていなかった。昔、こういうサービスのメール連携部分を開発した経験があるので、数時間で開発は完了した。

使い方は簡単である。

以下のメールアドレスへサブジェクトにキーワードを書いて送るだけ。(osanpo.netはプライベートな開発サーバ)

gapi@osanpo.net

まだGoogleAPIが日本語対応していない時期に独自の日本語対応処理をしていたので、日本語がたまに文字化けする模様。そこは商品じゃないので見逃していただきたい。英単語がおすすめ。時間がとれらた年末にでも修正予定。

■エンジニアの遊びのプラットフォームとしてのGoogleHack

私は、ふだんは営業とコンサルの仕事ばかりなので、エンジニアとしては落ちこぼれなのだが、こうやって新しい技術で遊ぶことで、新しい技術やサービスの発明につながることってあるのではないか、と思う。

私がとても尊敬する遊ぶエンジニアのサイトにhirax.netのできるかな?がある。技術を使ってひたすら遊んだ結果を公開している。文章力の高さもあるのだけれど抜群に面白い。

・できるかな?
http://www.hirax.net/#dekirukana-day

例えば、画像解析の基礎知識を使って、企業サイトとアダルトサイトの色分布を分析して、やはりアダルトはピンクっぽいのか?とか、肌の色の違いを実データで検証してみせたり、

・9人の女神はピンク映画の夢を見るか?- WEBの画像の色分布を調べよう
http://www.hirax.net/dekirukana4/mosaic3/index.html

あるいは、Web上の文体からノリノリの意味を調べたり、

・WEBページの文体を調べてみよう- 「ノリノリ文体」の秘密!? -
http://www.hirax.net/dekirukana4/style/index.html

はたまた、音声の波形から関西弁を分析してみたり、

・みんなで一緒に「なんでやねん。」- 関西弁の音声学 第一回 -
http://www.hirax.net/dekirukana3/kansai/index.html

なんてことをして遊ばれている。コードやプログラムを開示されることも多く、読者も使って遊ぶことができるようになっている。このサイトの記事を読んでいると、意外な発見や実用に結びつきそうなテーマが多くて、遊びに終わらない可能性を感じる。

だが、普通はテーマや遊び方を見つけるのが難しいものだ。Googleとこの本はエンジニアが遊ぶには格好のプラットフォームである。技術の会社はエンジニア全員にクリスマスプレゼントとして贈ってみてはどうだろうか。来年すごい効果があったりして。

■Webマーケティング担当者や経営者にもおすすめ

この本はエンジニアだけが読んでいては勿体無い。確かに半分はGoogleAPIを使ったプログラミングの話題であるが、Googleを使ってアクセス数を増やしたいWebマーケターや、新ビジネスを発想したい経営者にもお薦めできる。

日付や特定サイト以下だけを検索する方法などTipsや、「株を調査する:Googleクエリーを巧妙に使って従来の株価情報サービス以上の情報を収集」などという一般向けの章も随分、あるからだ。

今、実は私のところにもGoogle関連の書籍共同執筆のお話をいただいている。とても楽しそうなプロジェクトなので乗ることにした。来年の書店をお楽しみに!。

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2003年09月28日

ソフトウェアの未来

・ソフトウェアの未来
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米国ソフトウェア業界のエキスパートたち31人による未来予想集。専門家たちがそれぞれに今後の技術動向を予測した2000年刊行の書籍。3年が経過して、今改めて読み返してみると、大枠として外れたんじゃないか?と思う予想もあれば、ズバリ的中の慧眼もある。散文的で翻訳もこなれていない感はあるものの、いまだに予言の本としては、読む価値があると感じた。

そもそもこんな目次だから内容が気になるでしょう?

・目次
eビジネス・ソフトウェア
次は群知能だ
効果的なデータ処理のために
ゼロ・レイテンシに対するアプローチ―処理効率が不十分な場合
XMLなんて大したことない?
オープンソース―パンドラの箱が開く
インターフェイスがすべて
プロキシ・サーバ―インターネットが次に育つ場所
標準、スウォーム、相乗効果
ユビキタス・コンピューティング〔ほか〕

31人のうちの1人Bruce "Tog" Tognazzini氏は、Apple Human Interface Groupの創設者でインタフェースの著名研究者。彼が自分のサイトAskTogでも紹介しているUrbanPixelは今でも、興味深いと思った。

urbanpixelSmall.jpg

・AskTog: Urbanpixel?Visible Navigation for the Web
http://www.asktog.com/columns/040Urbanpixel.html

・UrbanPixel.com
http://www.urbanpixel.com/

INFINITELY-TILED BROWSERというブラウズインタフェースでWebショップをナビゲートする。タテ、ヨコ、タタミ一畳分くらいの広さのWebページがあるとして、その上をブラウザーの枠がすべっていく感じ。拡大縮小もできる。ユーザは自分のアバターをドラッグすることで、広い店舗内を移動する。他のお客さんや販売員のアバターも可視化され、情報交換を行うことができる。

ページという単位でのブラウズではなく、広大な面積の情報マップの上を、他のユーザと共に体験しながら移動し、ショッピングを楽しめる、らしい。今のブラウザって横スクロール機能が事実上死んでいるし、ブラウザ表示のサイズの枠に収まりすぎていて、制約が多いなあと思っていた。マウスだって本当はもっと複雑でスムーズな動きができるのに直線的な動きになってしまっていると思う。これは実装が軽くて使いやすければ、Webブラウズの拡張系として期待できそうな気がする。

(単なる仮想デスクトップなのではないか?という突っ込み入りそうですが、ちょっと違うみたいですよ)。

評価:★★☆☆☆


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