2007年07月13日

Eugene Atget (Masters of Photography Series)

・Eugene Atget (Masters of Photography Series)
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Eugene Atget(ウジェーヌ・アジェ 1857−1927)の代表的作品を集めた写真集。洋書。このAperture masters of photographyシリーズは写真史を学ぶ人向けに作られているので、安価でありながら、装丁もプリントの質もよくて好きである。

アジェのパリの写真はストレートなものが多い。街角の建築を広角レンズを使って、遠近感たっぷりにとらえている。画面の中央にすっと入っていくような奥行きのある画面が好きらしい。ページをめくっているとアジェらしい構図に次第に目が慣れて、こう撮るしかないだろうという、迷いのない構図に見えてくる。

解説を読んだところ、アジェは芸術としてというより、主に博物館におさめる記録として、パリの街の写真を撮影していたことがわかった。当時、写真は、画家たちが絵を描くための素材としての需要もあったらしい。経済的に恵まれていなかったアジェにとって、写真は生計を立てるための手段でもあった。

「アジェする」。カメラの本や雑誌などにときどき登場する言葉だ。アラーキーも使っている。記録写真でありながら、名前が動詞活用されてしまうくらいの、強い独創性が感じられるのが、アジェなのだ。

アジェは街の中の人を撮った写真にも名作が多い。たとえばこの「オルガン弾きとストリートシンガー」。当時の撮影は大判カメラで長時間露光が必要だったはずで、すべて演出の、やらせ写真だと思われるが、記録であると同時に写真であるアジェらしさが出ている。


#ウィキペディアより画像を引用。

アジェらしさってなんだろうかと考えてみるに、街の写真については、

・建築を真正面から全体像でとらえる
・奥行き、遠近感をだすような構図をねらう
・雲、壁に落ちる木々の影など、明暗要素を多く取り入れる
・池など水がある場合は、写りこみのシンメトリーを活用する
・広角レンズで周辺がケラれた写真が結構多い

などであろうか。

どれも凝った構図ではないので、素人でも”アジェ風”に撮るのは簡単なのだが、本物はやはり質感も風格も凄いものだなと、大きなプリントを眺めながら味わえる一冊である。

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2007年04月01日

2006年度 年間オススメ書籍ランキング ノンフィクション部門

新年度です。今年はエイプリルフール企画はお休みします。
その代り、本来は年初にやりたかったランキングです。

2006年にこのブログで紹介したノンフィクションの中から、これは本当によかったと思う本をランキングで10冊+1冊並べてみました。私が2006年中に読んだというのが基準なので、昔に発表された作品も一部含まれています。

参考:
・2006年度 年間オススメ書籍ランキング フィクション編
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004849.html

まず超1位です。

・情報考学―WEB時代の羅針盤213冊
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あ、いや、よろしくお願いいたします。

さて、本番です。

■1位 フェルマーの最終定理―ピュタゴラスに始まり、ワイルズが証明するまで
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004192.html

・フェルマーの最終定理―ピュタゴラスに始まり、ワイルズが証明するまで
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・フェルマーの最終定理 文庫版
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クライマックスではこみあげてくるものがあって目頭が熱くなった。知的好奇心を満足させる科学読み物でありながら、心をゆさぶる感動のドラマとして成立している。アマゾンの50以上の読者レビューのほとんどが最高点5つ星をつけての絶賛となっている。私は6つ星をあげたいくらいだ。はやくも文庫化されている。しかしこれはこの分野で10年に1冊の名著だと思う。ハードカバーで読む価値があると思う。

■2位 「みんなの意見」は案外正しい
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004473.html

・「みんなの意見」は案外正しい
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私がこの本を読んで思ったのは「集団の知恵」方式は、参加型であり、より多くの人が決定プロセスに関与することができて「楽しい」ということ。その楽しさに決定と行動を結びつけるヒントが隠されているのではないかと思った。

■3位 戦争における「人殺し」の心理学
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004370.html

・戦争における「人殺し」の心理学
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アマゾンのレビューにも絶賛コメントが多いが、この本は戦争における人殺しの実例から、人間存在の本質へと深く切り込む洞察に満ちた素晴らしい本だと思う。「殺人本」に素晴らしいという形容詞を使うのは少しためらわれるのだが。

■4位 ヴォイニッチ写本の謎
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004123.html

・ヴォイニッチ写本の謎
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中世に書かれたとされるヴォイニッチ写本は、考古学上のミステリとして有名である。まったく解読できない文字群と地球上に存在しない植物の図説、妊娠していると思しき妖精たちが不思議な配管を流れる液体に浸かって踊っている挿画。写本が作られた時代には、知られていなかったはずの、銀河の形状を描いた図までも収録されている。

■5位 ヤバい経済学 ─悪ガキ教授が世の裏側を探検する
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004611.html

・ヤバい経済学 ─悪ガキ教授が世の裏側を探検する
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経済学は、抽象化度の強い学問のように思えるが、スティーブン・D・レヴィットは人々の日常を具体的に説明するために、その優れた頭脳を使っている。もう一人の著者でジャーナリストのスティーブン・J・ダフナーは、その分析内容を一般読者向けに分かりやすく書き直している。経済社会学あるいは経済社会学の傑作。

■6位 人類が知っていることすべての短い歴史
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004707.html

・人類が知っていることすべての短い歴史
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面白い教科書がないと考えたベストセラー作家ビル・ブライソンは3年間をかけて、多数の科学者に取材し、世界の成り立ちすべてを、わかりやすく説明してみせた。677ページもあるので持ち歩いて電車で読むには重い。寝床で寝転がりながら、少しずつ、大切に読み進めた。読む価値のある科学史の名著。

■7位 国家の罠 外務省のラスプーチンと呼ばれて
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004269.html

・国家の罠 外務省のラスプーチンと呼ばれて
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著者は佐藤優 元外務省主席分析官。「鈴木宗男事件」で背任と偽計業務妨害容疑で東京拘置所に512日間拘留され、第一審判決は懲役2年6ヶ月、執行猶予4年。事件当時「巨悪のムネオ」の右腕としてマスメディアに大々的に取り上げられた人物。政敵田中真紀子がいう「伏魔殿」の「ラスプーチン」である。

■8位 詩のこころを読む
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004585.html

・詩のこころを読む
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普段、ビジネス文書や研究論文ばかりを相手にしていると、アタマにでなく、ココロに響くことばの使い方があることを忘れてしまいがちである。ときどき言語感覚をリフレッシュするのに詩はいいなと思う。

■9位 ビッグバン宇宙論 (上)(下)
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004613.html

・ビッグバン宇宙論 (上)
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あとがきでも訳者が、この本を評して、「エース投手」による「直球ど真ん中」で「王道」の切り口の本と書いている。難解な事柄が絶妙に要約され、わかりやすく頭に入ってきて整理される感覚は相変わらず。宇宙論の入門として傑作であると思う。

■10位 第1感 「最初の2秒」の「なんとなく」が正しい
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004336.html

・第1感 「最初の2秒」の「なんとなく」が正しい
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最初の2秒の状況判断=第一感はかなり正しいということの科学。全米連続50週のベストセラー、世界34カ国で翻訳された話題の本。

■11位 書きたがる脳 言語と創造性の科学
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004283.html

・書きたがる脳 言語と創造性の科学
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ハイパーグラフィア(書かずにいられない病)とライターズ・ブロック(書きたくても書けない病)について、自ら両方の症状を経験した医師でもある著者が、脳科学と精神医学の視点で言語と創造性の科学に迫る。最初から最後まで共感するところの多い一冊だった。

■12位 日本奥地紀行
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004156.html

・日本奥地紀行
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今から128年前。明治11年6月から9月の3ヶ月間東京から北海道までを、一人の英国人女性がお供の”伊藤”を連れて旅をした記録である。著者が妹に送った44通の手紙をもとにして書かれている。世界中を旅行し紀行本を何冊も著した彼女は、人類学者のように細やかで冷静な観察眼と小説家並みの文章能力を持っている。この本は、当時の日本の貴重なスナップショットになっている。

■13位 SAS特殊任務―対革命戦ウィング副指揮官の戦闘記録
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004518.html

・SAS特殊任務―対革命戦ウィング副指揮官の戦闘記録
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過酷な訓練、戦闘の恐怖、戦慄の殺人、残酷な拷問、非情な現場判断、突入の緊張感、九死に一生の瞬間、チームの連帯感、統率者の孤独、別れ、戦士のつかの間の休息。生々しいシーンの描写が卓越した文章力をもって語られる。ぐいぐい引き込まれると同時に眼をそむけたくなる行もある。映像以上にリアリティを感じさせる本だ。

■14位 フロー体験 喜びの現象学
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004389.html

・フロー体験 喜びの現象学
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「一言で言うならフロー体験とは、自己目的的体験に夢中になることだ。ただそれが楽しいと感じるから没頭する瞬間である。そうしたフロー体験が生じる最適経験について、著者らの研究グループは長年、さまざまな研究を行った。」。「楽しみの社会学」とあわせて読むと理解が深まる。

■15位 ブログスフィア アメリカ企業を変えた100人のブロガーたち
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004727.html

・ブログスフィア アメリカ企業を変えた100人のブロガーたち
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原題は「裸の対話」。企業と顧客が飾らない言葉で、率直に意見を交換すること。その対話によって、マス広告には不可能だった、理想的なパブリックリレーションズを実現できるという。100人以上の企業のブロガーの実例を取り上げて、ここ数年の欧米のブログ事情を総括する。

■16位 文明崩壊 滅亡と存続の命運を分けるもの (上)(下)
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004210.html

・文明崩壊 滅亡と存続の命運を分けるもの (上)
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歴史から消滅した社会を比較研究することで、文明の崩壊の法則を論じた大作。
過去の文明崩壊に共通する、5つの要因として環境破壊、気候変動、近隣の敵対集団、友好的な取引相手、環境問題への社会の適応があると結論している。

■17位 プロファイリング・ビジネス 米国「諜報産業」の最強戦略
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004636.html

・プロファイリング・ビジネス~米国「諜報産業」の最強戦略
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9.11同時多発テロ以降の米国で、急成長している民間の「諜報」産業の実態に肉薄したレポート。主役はこんな企業たちである。企業ごとにひとつの章で語られており、新しいがグレーゾーンのニーズに目を付けた経営者のベンチャー物語としても面白く読める。

■18位 音楽する脳
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004148.html

・音楽する脳
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著者は認知学者でミュージシャンというこのテーマにうってつけの人物。音楽と脳の共進化仮説を提唱し、音楽の本質とは何かを、生物学的、文化的、社会学的に分析していく。音楽が単なる娯楽ではなく、人類とその社会にとって、いかに重要な役割を果たしているかを、膨大な情報量で語る。

私たちの音楽の感動体験の中身とは何なのか、演奏する喜びはどこからくるのか、

■19位 量子が変える情報の宇宙
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004357.html

・量子が変える情報の宇宙
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情報の定義、定量化の議論の歴史の解説がこの本の最も面白いメインパートとなっている。「量子が変える情報の宇宙」という邦題の通り、量子力学の成果が情報論の世界に大きな影響を与えている。長く君臨した情報の最小単位ビットさえも新たな概念に置き換えられるかもしれないのだ。

■20位 眼の誕生――カンブリア紀大進化の謎を解く
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004466.html

・眼の誕生――カンブリア紀大進化の謎を解く
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生物進化史上、5億4300万年前のカンブリア紀は一大イベントであった。それまではゆっくりと進化していた生物が、この時期に、爆発的に多様になった。カンブリア紀の大進化と呼ばれる大きな謎に対して、「眼の誕生」がその原因であったという仮説が展開されている。

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2006年08月07日

テレビ・ブログ・検索サービスを横断したトレンド分析のブログ開始

NECさんの研究プロジェクトに参加してブログを書くことになりました。ペースは未定ですが、クロスメディア分析を通して、ネットとテレビの融合を考えてみたいと思います。
・プレスリリース | NECビッグローブ
http://www.biglobe.co.jp/press/2006/0710.html
テレビ・ブログ・検索サービスを横断したトレンド分析
「BIGLOBE旬感ランキング」を開始〜第一弾としてサッカーワールドカップについての分析結果を公開〜

成果は随時(毎月、ブログは毎週レベル)発表していくのですが、第一弾W杯分析です。

〜各メディアはこう見た!データで振り返るW杯〜
>>TV×検索×ブログから見えたものは!?
もっと詳しい情報や裏話を知りたい人はこちら
>>橋本大也登場☆ユーザ行動モデルを語る!!
http://search.biglobe.ne.jp/ranking/

・BIGLOBEサーチAttayo -緊急特集 TV×検索×ブログ W杯★日本代表をキる!
http://search.biglobe.ne.jp/ranking/mtc/special01.html

この研究について下記サイトでブログを書いていく予定です。

・ユーザ行動モデル AIDMAからAISASの時代へ? 分析でござーる
http://mining.at.webry.info/200607/article_10.html

報道記事:

・ブログの評判、NO.1は大黒選手――ビッグローブがTV・ネットを横断的に分析 インターネット-最新ニュース:IT-PLUS
http://it.nikkei.co.jp/internet/news/index.aspx?n=MMITba000010072006

・BIGLOBE、検索・ブログ・テレビを横断したトレンド分析サービス
http://bb.watch.impress.co.jp/cda/news/14603.html

・ITmedia News:テレビ・ブログ・検索を横断したトレンド分析
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0607/10/news071.html


---

本研究プロジェクトに参加しているデータセクション株式会社の橋本です。

このプロジェクトでは、テレビ放映情報、ネット上のニュース情報、検索エンジンの入力キーワード、ブログのエントリ情報の4つのデータソースを分析の対象にしています。これはマスメディアとネットメディアを、高度なデータマイニング技術を駆使して、複合的に分析する野心的な試みです。

このブログでは分析チームの公式見解とは別に、研究メンバーの一人として、現状の成果への私見を、随時書かせていただくことになりました。

私たちが扱っている4つのメディアは主体的←→受動的という軸で整理できそうです。

つまり、

・テレビを観る
  ↓
・ニュースを読む
  ↓
・検索する
  ↓
・ブログを書く

この順で、よりアクティブで主体的な活動になっていくと言えるでしょう。

これらのメディアのユーザ行動の相関関係を分析していくことが、研究テーマのひとつになると考えています。テレビを観たり、ニュースを読んで気になった事柄について、検索したりブログを書く利用者たちの行動を目に見えるようにすることです。

マーケティング業界では、近年、インターネットの普及に伴い企業と消費者の関係が急速に変容していると言われます。

たとえば、

・宣伝会議−書籍:ホリスティック・コミュニケーション
http://www.sendenkaigi.com/hanbai/book/holistic.html

という大手広告代理店による書籍の中では、「AIDMAからAISASへ」という消費者行動のパラダイム革新が起きていると述べられています。

・AIDMAモデル
認知(Attention)→興味(Interest)→欲求(Desire)→記憶(Memory)→行動(Acction)

従来のAIDMAモデルは受動的な消費者のモデルと言えます。主にマス広告に接触して関心を強めて消費に至るモデルでした。

これに対して、新しいAISASモデルでは、検索と意見共有のフェイズが加わります。

・AISASモデル
認知(Attention)→興味(Interest)→検索(Search)→行動(Action)→意見共有(Share)

マスメディアに受身で接するのではなく、自ら情報を検索し発信する消費者が増えているという仮説です。

今回の分析テーマは国民的テーマだったワールドカップを選びました。この分析において、テレビ放映の量とその他のユーザ行動量が必ずしも直接に相関しているわけではないことがわかります。つまりマスメディアが扱えば扱うほど、ネットのクチコミや検索が増えるというわけではないのです。

これから、このプロジェクトでは、テーマを変えて、メディアの複合関係を長期的に分析していきます。個人的には、ネット上のクチコミ爆発が起きる仕組みに、技術で迫っていきたいと思います。

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2006年03月28日

2005年度 年間オススメ書籍ランキング ベスト20冊

今年はこの企画、ずいぶん遅くなってしまいました。

昨年末に下記のランキングを公開しましたが、

・参考:2005年度 書籍売り上げランキング ベスト20
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004116.html

このあとに続けてオススメリストの公開をする予定でいたのですが、なかなか決めることができないでいました。自分の中での順位をつけるというのは難しいものです。

2005年1月1日〜2005年12月31日までの期間にこのブログで書評した本(約200冊)の中から、オススメ書籍ベスト20冊を紹介します。昨年と同様ヘビー級とライト級という2系統のベスト10です。

この分類に厳密な定義はないのですが、ハードカバー中心で深く考えたい本と、新書・文庫中心で軽めのテーマの本という意味です。

順位とタイトルをクリックすると書評に飛びます。表紙イメージをクリックすると直接アマゾンに飛びます。

■ヘビー級のベスト10

【1位】 暗号解読―ロゼッタストーンから量子暗号まで
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004028.html

・暗号解読―ロゼッタストーンから量子暗号まで
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暗号学の歴史は各時代の最高の知性たちの頭脳戦の歴史

【2位】 神々の沈黙―意識の誕生と文明の興亡
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/003679.html

・神々の沈黙―意識の誕生と文明の興亡
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3000年前まで人類は現代人のような意識を持たず、右脳に囁かれる神々の声に従っていた、という途方もない仮説。

【3位】ガリレオの指―現代科学を動かす10大理論
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/002797.html

・ガリレオの指―現代科学を動かす10大理論
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古代から現代までサイエンスの世界に革新をもたらしてきた10の理論を、1章各30ページ程度で解説する

【4位】プリンストン高等研究所物語
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/003621.html

・プリンストン高等研究所物語
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真のプラトン的天国:知識の限界をめぐる科学小説

【5位】成長の限界 人類の選択
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/003701.html

・成長の限界 人類の選択
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持続可能な社会とは「将来の世代が、そのニーズを満たすための能力を損なうことなく、現世代のニーズを満たす」社会である

【6位】喪失と獲得―進化心理学から見た心と体
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/002945.html

・喪失と獲得―進化心理学から見た心と体
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人類はなぜいまのような性質を持っているのかについて、進化論の視点から、多様な考察を行った24編のエッセイ集

【7位】古事記講義、口語訳古事記 完全版
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/003755.html

・古事記講義
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記紀の面白さはエロチックでプリミティブでミステリアスな物語であること

【9位】万物理論
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/002774.html

・万物理論
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すべての自然法則を包み込む単一の理論、“万物理論”が完成されようとしていた。

【8位】明日は誰のものか イノベーションの最終解
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004017.html

・明日は誰のものか イノベーションの最終解
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優良企業はその優良さ故に失敗するという理論の集大成。

【10位】脳のなかの幽霊
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/003130.html

・脳のなかの幽霊
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脳の中の幽霊は私たちの認識に大きな影響を与えている

■ライト級のベスト10

【1位】 決断力
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/003627.html

・決断力
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将棋という固有のゲームについての感覚的な記述が多いのに、科学的な情報論の知見として読むこともできる極めて面白い本。

【2位】 日本のお金持ち研究
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/003412.html

・日本のお金持ち研究
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本のお金持ちの実態を徹底調査

【3位】会社は誰のものか
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/003567.html

・会社は誰のものか
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タイムリーなテーマだった。

【4位】「超」整理法―情報検索と発想の新システム
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/003283.html

・「超」整理法―情報検索と発想の新システム
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時間軸とコンピュータ活用で分類しなくても検索できる超整理法

【5位】伝わる・揺さぶる!文章を書く
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/002952.html

・伝わる・揺さぶる!文章を書く
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「自分の書くもので人に歓びを与えられるかどうか」

【6位】頭がよくなる本
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/003692.html

・頭がよくなる本
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脳の使い方を変えることで、潜在能力を最大限に発揮する学習法

【7位】 すごい会議−短期間で会社が劇的に変わる!
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/003427.html

・すごい会議−短期間で会社が劇的に変わる!
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会議したけれど何も起きないのは最悪、すごいことが起きるのが最高。その最高な状態のための秘訣リスト

【8位】アースダイバー
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/003694.html

・アースダイバー
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東京の無意識を探るスピリチュアルな旅

【9位】逆風野郎 ダイソン成功物語
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/003886.html

・逆風野郎 ダイソン成功物語
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サイクロン(遠心分離)掃除機で、革命的な大成功をおさめたイギリスの天才デザイナー ジェームズ・ダイソンの自伝

【10位】ハーバードからの贈り物
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/003080.html

・ハーバードからの贈り物
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ハーバード大学ビジネススクールでは最終講義で教授が、これから世界に羽ばたく卒業生に向けて特別な贈る言葉を話す伝統がある。

番外編:

・Encyclopedia Prehistorica Dinosaurs:Dinosaurs
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/003915.html

・Encyclopedia Prehistorica Dinosaurs: Dinosaurs
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担当クラスの有志一同から、素敵なプレゼントをもらいました。

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2005年08月17日

はてなにブックマークされる技術

■はてなで最もブックマークされているブログは?

最近、メディアで話題のサービス「はてな」には、オンラインブックマークの「はてなブックマーク」がある。登録情報は他のユーザと共有できるのが魅力。本日時点で571,425 エントリー、1,030,077 ブックマークが登録されている。

・はてなブックマーク - ソーシャルブックマーク
http://b.hatena.ne.jp/

この登録データを計量分析した友人がいる。彼はブックマークを多く登録しているのは誰か、いち早く話題のサイトをブックマークしているのは誰かを、ランキングとして発表している。

・Hatena Bookmarker Ranking
http://labs.ceek.jp/hbr/

この研究のおまけで、ブックマークする人ではなく、されているサイトはどこなのかも、解析された。1位はITMedia、2位はCNet、3位はHotwiredと人気のニュースサイトが続く。ところが、5位の日経BPの次の6位に妙なドメインRingolab.comが登場する。

・はてブでのホスト名の偏り - Ceekz Logs
http://private.ceek.jp/archives/001443.html

もしかして?

別途、ブログサイトだけのランキングも公表された。


ということで、はてなブックマーカーが認める(?)ブロガーの御三家は以下の通り。

・情報考学 Passion For The Future (橋本氏)
・naoyaのはてなダイアリー (伊藤氏)
・My Life Between Silicon Valley and Japan (梅田氏)

がーん。

というわけで、はてなで最もブックマークされているのは、なんと、このブログなのだそうだ。はてなユーザの皆さん、ありがとう。

■ブックマークされる技術

ブックマークされる理由を考察。1位なのだから語ってもいいかなと思った。

1 長文を書く

私のブログは他と比較するとかなり長文である。時間のないときにはすぐには読めない人が多そうだ。多くのユーザは後で読むために取っておこうという動機が一番大きな原因なのではないかと考える。

2 分かりやすい見出しと再利用しやすい内容を書く

このブログは日記ではなく、自分用の情報データベースになるように書いている。個別の記事が切り離され、印刷されて流通しても、意味が通じるようにしておきたい。書評であれば書名をタイトルに、イベントであればイベント名でエントリを形成している。ソフト評の場合にはソフト名と特徴を見出しにしている。この形が、私以外のユーザにとっても保存して再利用しやすいのではないかと考えている。

3 毎日更新すること

毎日更新すると記事がどんどん流れていってしまう。このサイトは検索性が悪いので(スミマセン)、読者は記事をどこかにブックマークしておかないことには、必要なときに読めなくなる気がするのではなかろうか。

■はてなブックマーク機能を搭載しました

このブログの読者とはてなユーザは近いことが分かったので、思い切ってこのブログのメインページ及び個別記事に、ワンクリックではてな機能を呼び出すボタンをつけてみた。記事をブックマークしたユーザ一覧を見たり、自分のはてなブックマークに一発登録ができる。

hatenab01.jpg
hatenab02.jpg


意味がわからない方は、はてなのヘルプページをご覧ください。

・はてなブックマーク - ソーシャルブックマーク
http://b.hatena.ne.jp/help


また私のブログにも同じボタンを取り付けたい人の研究用に、私の例を公開しておきます。MovableTypeの例です。画像の位置など適宜書き換えてご利用ください。

はてなボタン取り付け用のHTMLサンプル(MovableType用)

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2005年04月03日

「人生はなぜ辛いのか ネゲントロピーとミームの戦い」

昨日はエイプリルフールにおつきあいいただきありがとうございました。

3月31日から4月4日まで米国シリコンバレーに出張中。YAHOO!本社などを訪問する予定。現地からレポートできたら書きますが、基本はストック原稿で、妻による代理更新モードです。今日も先日に続いて、2003年にあるニュースサイト(今は消滅)に寄稿した過去原稿の再掲載になります。

さあ昼休みだ。また私は午後の仕事の準備に追われて、コーヒーでハンバーガー流し込むランチを取っている。その合間に、このコラムを執思いつくまま、書いている。ああ、もっと楽に仕事ができないものか。

人生楽ありゃ苦もあるさ。銭形平次のエンディングテーマが流れなくとも、人生や仕事は楽しいという反面辛さを感じる場面が常にあることを私たちは体験から知っている。なぜに人生は辛いのだろうか。それは自然の法則である、エントロピーの法則に逆らう努力をしているからだ。

私たちの世界はご存知のようにエントロピーの法則に支配されている。努力をしなければ、何事も秩序は崩壊し無秩序に向かっていく。放っておけば部屋は散らかるし、食べ物は腐る。何も考えがなければ、仕事のプロジェクトも失敗する。

私たちの身体機能も同じである。私たちは呼吸をし、物を食べて新陳代謝を行うことで、細胞の再生産、再組織化を行っている。細胞や遺伝子の壊れやすい情報を維持する努力をしているわけだ。秩序という情報は、このエントロピーの法則に逆らって努力をしなければ、得られない。逆らうから摩擦が起きて痛い、だから、辛いのだ。

エントロピーへ逆らう努力をする局所的な場所では、私たちはこの自然の法則に逆らうことができる。生きている間は身体を維持できるし、頑張る人たちの「プロジェクトX」は成功することもある。こういった局所系はネゲントロピーの系と呼ばれる。

しかし、全体としてみれば、人間も他の動物も、DNA情報の複製エラーがが蓄積して、秩序の情報を失っていく結果、必ず年老いて死んでしまう。宇宙もやがては熱的な死というカタストロフを迎えると言われている。この情報との戦いに私たちは負けることが、宿命づけられていることになる。

人類の進化と文明の歴史は、この宿命に逆らうネゲントロピーの軌跡そのものだ。世代から世代へ、身体の構造を、社会の構造を、知識の構造を、組織化するノウハウを流通させてきた。

「利己的な遺伝子」の中でリチャードドーキンスが定義した「ミーム」というキーワードは印象的だ。ミームとは、DNA情報の伝達因子としてのGene(遺伝子)の概念を、情報論に応用し、情報を伝えていくための伝達因子に名づけられた名前だ。ミームは情報を運び、ミーム同士が弱肉強食の自然淘汰を行い、次世代に生き残る強いミームを残していく。

・利己的な遺伝子
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4314005564/daiya0b-22/

アイデア、データ、情報、知識、知恵。呼び方は異なっても、私たちは、こういったすべての情報を運ぶミームのキャリアである。ミームを使うことで人間は、与えられた生命時間を過ぎても情報遺産を残すことができるし、物理的制約を超えて他社と意識的、無意識的に、情報の組織化と構造化を達成できる。そこには、新たな価値が生まれ、ネゲントロピーの系を拡大していくことができる。

ミームのせめぎあう場所は、ミームプールと呼ばれる。インターネットは人類史上最大のミームプールと言えるだろう。知識流通の仕組みの構築は、このプールの活性化の温度を上昇させる仕組みとなっていくテーマであり、ITはその速度を加速させるコア技術だ。

知識流通のためのミームプールを、どう管理し、どう泳いでいくのかを今考える。それは、辛い人生を楽にすることでもあり、プロジェクトを成功させるということ、にもつながっている。情報管理(Information Management)はLifeManagementであり、Project Managementでもあり、人類共通のGlobal Issuesとして顕在化してきている時代なのだ。


短い昼休みが終わろうとしている。片手にハンバーガーを持ちながら、ずいぶん大仰な結論のコラムになってしまったな、と今気がついた。が、修正している時間はない。このまま編集部に私のミームを飛ばしてしまおう。

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2005年03月31日

デジタルとネットワークで会議は踊る?

今日はどうも書く気が起きないので過去(2003年)にあるニュースサイトに寄稿した記事の再掲載。そのサイトは既に消えているので、それなりに意義があるかなと。

■会議を支援するノウハウやツール、環境

共創の場として真っ先に連想するのが会議である。ブレインストーミング、問題解決、意思決定、報告や雰囲気づくり、会議の目的はさまざまであるが、日常的に、組織のコミュニケーションプロセスで重要なイベントである。普通のビジネスマンなら年間何百回もの会議を経験しているだろう。

その重要性の割に、工夫のある会議というのは少ないと感じる。そこに参加する人数に比例して、生産性が高まることは稀である。大人数になれば、各自が持っている潜在的な情報や知恵の総和が増えるはずなのに、大抵は逆に、会議がだらだら長引いたり、形式的になって自由な意見がでなかったりする。

工夫と言うのはノウハウやツールのこと。例えば他人の意見を否定しないでアイデアを出し合うというのは、簡単だけれど効果のあるノウハウだ。発言に時間制限を設けて、時間が近づくとチーンと鳴るチャイムは、以外に役立つツールである。長引く会議が煮詰まったときには、チョコレートやキャンディなど甘いものを配ると言うのも、一般的な工夫のひとつだろう。

環境も大きい。会議室の机の形状やレイアウト。壁の色やインテリア。会社によっては廊下や階段の踊り場に小さなテーブルを置いて、立ちながら手短な会議ができるようにしているケースもある。これはかなり有効だと言う。煙草部屋は人を選ぶが、独特のマッタリ感が、きちんとした会議室ではでないアイデアを生んだりする。

■ITによる会議支援の現状と可能性

じゃあ、ITは会議をどう支援しているだろうか?どんな支援がこれから可能だろうか?そしてその有効性は?

ここ数年、会議に議事録担当以外の人間も、ノートPCを持ち込むケースが増えていると思う。私の主観では、この持込はあまりうまく機能していないと思う。自然と目線は話者を向かずに液晶画面をみつめてしまうから、アイコンタクトによる活性化が失われる。PCに向かう人間も、積極的に発言する側というよりは、淡々と記録する側に回ってしまう。いや、会議に向かっているならまだマシで、無関係なメールチェックやネットサーフィンに時間を費やしてしまう人も少なくないはずだ。

なぜ会議生産性にPCがうまく機能しないのかと言えば、会議を支援する、良いアプリケーションがないからだろう。会議室予約のWebアプリやビデオ会議システム以外、これといったツールがないように思える。

まだ一般的とは言えないが、この分野を支援するITツールはいくつか登場している。


・音声、映像と連動するメモ Quindi
http://www.quindi.com/

会議の音声や映像を記録しながら、電子メモをとる。電子メモはデータベース化され、そのメモがとられた時間の音声や映像を見ることができる。

・ホワイトボードのデジタル化 mimio
http://www.kokuyomimio.com/

ホワイトボードに書いた内容を取り込み、プロジェクターで投影したPC画面をその場で操作。

・論内容のリアルタイム可視化 コラジェクター
http://www.ciec.or.jp/event/2002/papers/pdf/E0120.pdf
http://www.keiomcc.com/colla0305/

会議の内容を訓練された担当者が聞きながら、プロジェクター上で、パワーポイントの概念図にまとめていく。コラジェクターはこの知識流通のイベントで以前、試しているが、私はかなり感動した。だらだら話していても、自然と概念図が話を収束方向へ向けてくれる感じが良かった。

さて、これから会議はITでどう変わるのだろうか?ツールは会議の何をどう支援すべきなのだろうか?

Posted by daiya at 16:58 | Comments (0) | TrackBack

2005年01月21日

Sufaryで自分マイニング ブログでよく使う単語を発見する

検索プログラムのSufaryはときどきデスクトップで使っている。先日、作者のたつを氏がこんな実験をしていた。

・[を] 自分マイニング! - Blogでよく使うフレーズは?
http://nais.to/~yto/clog/2005-01-18-3.html

自分のブログの記事から特徴的な言葉遣いを抽出するテキストマイニングの実験。

・SUFARY
http://nais.to/~yto/tools/sufary/
Unix用だが、Windowsでもコンパイルできる。

Safaryは検索するだけでなく、文書の索引データをn-gramで高速に作成できる。

n-gramとは言語処理の手法の一つで、nの部分には数字が入る。文章を1文字ずつずらしながらn文字分のパターンを抽出する。

たとえば、「こんにちは」を3-gramで処理すると、

「こんに」
「んにち」
「にちは」

というパターンを切り出せる。(厳密には日本語文字は1文字2バイトなのでこの例は6-gram)。

この機能を使って、私のブログの過去ログ520日分すべてを対象に、パターン分析を行った。

・日本語(2バイト)文字のみを対象とする。
・言語処理におけるゴミ(記号や修正不能な文字化け等)を除外する
・明らかにひとつの単語である場合は重複を削除。
 実例:
 「132 ュニケーション」 「132 ミュニケーショ」 「132 コミュニケーシ」
 の場合、回数が同一で「コミュニケーション」であると特定できるので、先頭語を含む「132 コミュニケーシ」を採用し他を捨てる。

こうした処理の結果、以下のようなことばの登場回数ランキングが発見された。

■3文字のランキング

1位 955 がある
2位 950 います
3位 876 ではな
4位 874 サイト
5位 859 されて
6位 839 ていた
7位 812 った。
8位 806 ない。
9位 781 ネット
10位 770 ように

3文字ではまだ実際にどのような文章の一部だったのか特定が難しい。とりあえず、カタカナとしてサイトとネットは多く使ったようだ。

■4文字のランキング

1位 877 っている
2位 856 である。
3位 825 れている
4位 711 います。
5位 702 されてい
6位 612 ではない
7位 575 ることが
8位 503 すること
9位 482 いうこと
10位 463 るという

トップは「〜と、なっている」「持っている」「分かっている」のような使い方の一部だった。2位は文末の「である」。

■5文字のランキング

1位 462 されている
2位 430 ということ
3位 410 ことができ
4位 404 している。
5位 377 れている。
6位 331 ています。
7位 301 のではない
8位 287 ることがで
9位 286 ネットワー
10位 279 もしれない

「されている」、「ということができる」、「している」、「かもしれない」。5文字と次の6文字くらいが語尾の結び方の特徴が顕著に現れている。

■6文字のランキング

1位 287 ることができ
2位 278 かもしれない
3位 273 ことができる
4位 251 ンターネット
5位 251 インターネッ
6位 230 と思います。
7位 226 のではないか
8位 215 されている。
9位 208 ネットワーク
10位 204 コミュニティ

「〜することができる」、「〜かもしれない」、「〜と思います」、「〜のではないか
」、「〜されている」、インターネット、ネットワーク、コミュニティ。よく使うフレーズの数々。

■7文字のランキング

1位 250 インターネット
2位 184 ることができる
3位 152 かもしれない。
4位 144 ことができる。
5位 135 アプリケーショ
6位 133 マーケティング
7位 132 コミュニケーシ
8位 130 インタフェース
9位 125 のではないかと
10位 113 することができ

「インターネット・アプリケーション・マーケティング」が私のカタカナ3種の神器だと判明。そういうタイトルの本でも書いてみようか...。それが売れたら2冊目は「ネットワーク・コミュニティ・インタフェース」で決まり。

なお2文字の漢字単語を調べたところ、以下のような状況になった。

■2文字の漢字単語

1位 867 会議
2位 728 検索
3位 649 世界
4位 616 著者
5位 556 時間
6位 555 技術
7位 544 自分
8位 513 研究
9位 485 科学
10位 460 紹介

「会議」は昨年の無敵会議の影響。「著者」は書評内でよく使うため。


典型的な私の文章というのは、


インターネット検索の技術は、コミュニティのマーケティングに利用することができるアプリケーションなのかもしれない、と著者は世界会議で自分の研究を紹介している。」

こんなかんじであることがわかる。そのまま過去に書いていそうな気もする。

この調査、最初は自分の文章の癖が分かって面白かったのだが、だんだんと「自分らしさ」に自家中毒を起こしそうな気分になってきた。もっと語彙や文体に広がりを持ちたい今日この頃である。

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2005年01月05日

日本のアルファブロガーを探せ2004に投票

年末年始気分でいつもと違う風味の記事を続けます。

2003年度の無敵会議ベストサイト「FuturePlanningNetwork」がこんな企画を実行している。「未来を創造するのに役立つブログ」、「ビジネスパーソンに影響を与えているブログ」を読者投票で決めようというオンラインイベント。

日本のアルファブロガーを探せ2004
http://www.future-planning.net/x/modules/news/article.php?storyid=311
fpnalpha01.gif

回答フォームから


(1)「会社のオフィスでは『3つだけ』しかブログを読んではいけない」と言われたら、どれを読みますか
 ・ブログ名1と(簡単な理由)  
 ・ブログ名2と(簡単な理由)
 ・ブログ名3と(簡単な理由)

(2)上記の3つのブログを除いて、2004年にあなたが最も影響されたブロガーの記事を教えてください。
 ・URL
 ・簡単な理由

という質問に答えると投票に参加できる。ブログを持っている場合にはトラックバックでも有効。

無敵会議が終わった後、一昨年の優勝サイトのFPNが、こうした企画をやっていただけるのは、遺志を継いでいただけた気がして(死んでないけど)とても感激。

■アルファブロガー?主観と客観

アルファブロガーという言葉は誰が言い出したのか調べてみると、米国NewsWeekらしい。ネットにトレンドを生み出す先端ブロガーのこと。私も参加しているNECのヌーベルブログの目指すコンセプトはアルファブログそのものだったことに気がつく。

・MSNBC - The Alpha Bloggers
http://www.msnbc.msn.com/id/6693381/site/newsweek/

・ネット世論・ネットのトレンドを生み出すアルファブロガー [絵文録ことのは]04-12/23
http://kotonoha.main.jp/2004/12/23alpha-blogger.html

・Ad Innovator: アルファブロガーの台頭
http://adinnovator.typepad.com/ad_innovator/2004/12/post_2.html

FPN - ニュースコミュニティ- アルファブロガー企画にあたって。
http://www.future-planning.net/x/modules/news/article.php?storyid=317


影響力のネットワークを分析するという意味では、社会ネットワーク論やシステム論の方面では古くから研究が行われている。次の2冊の本など人間関係の本質を知るのに参考になった。

・書評:人脈作りの科学―「人と人との関係」に隠された力を探る
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/002338.html

・書評:つながりの科学―パーコレーション
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/000406.html

・JSAI2004 Human Network
http://www.carc.aist.go.jp/HUMANNET/
人工知能学会の論文・プロジェクトの共著、共同関係を分析して影響力ある研究者を特定した試み。

また、ブログについては引用関係を抽出しやすいため、Blogdexのようなランキング自動作成サイトが、毎日、客観的なデータを発表している。

・blogdex - the weblog diffusion index
http://blogdex.net/
ブログの引用状況から最も影響力のあるブログを毎日計算して発表する老舗ランキングサイト。

・blogmap - トップページ
http://1470.net/bm/
Blogdexの日本語版のようなもの。

・feed meter - ブログ RSS フィードの人気度と更新頻度を計測するメーター
http://feedmeter.net/
RSSのダウンロード数、引用関係から人気ブログランキングを発表する。


だが、今回のアルファブロガー企画は、主観で選ぶのが基本であるようだ。人間の関係において主観というのは非常に大きな影響要素だと思う。機械的計算では選び出せないブログが発見されると面白い。20日まで投票を受け付けているが、その後の発表が楽しみ。

■私の投票サイト

さて、私も投票してみる。毎日読むのは海外のブログが多いので、日本のサイトは良く知らないのだが、3つならば書ける。

(1)「会社のオフィスでは『3つだけ』しかブログを読んではいけない」と言われたら、どれを読みますか
 ・ブログ名1と(簡単な理由)

・優雅なブログが最高の復讐である
http://d.hatena.ne.jp/walkinglint/

長文引用と大量の短評。私の代わりにブログを読んでまとめてくれる超高性能ブログリーダーエージェントソフト(?)として活用させていただいているから。ここ一箇所読めば10や20のブログを読んだのと同じ。

 ・ブログ名2と(簡単な理由)

松岡正剛の千夜千冊
http://www.isis.ne.jp/mnn/senya/senya.html

1000冊を超えても続く編集の神様松岡正剛氏による書評ブログ。あまりの読書量と背景知識にめまいがする。憧れ。だが、濃すぎるが故に毎日は読まない(読めない)。

 ・ブログ名3と(簡単な理由)

www.textfile.org - テキストとプログラミングの寡黙な情報集
http://www.hyuki.com/tf/

寡黙の裏にある抜群の技術センスと洞察力。相当たくさんの候補から選んで慎重にコメントしているはずだと推測。考えるきっかけ、深く調べる起点を与えてくれる。


 (2)上記の3つのブログを除いて、2004年にあなたが最も影響されたブロガーの記事を教えてください。

 ・URL
 ・簡単な理由

・いやな法則
http://namazu.org/~satoru/misc/nasty-laws.html

他のどこにも書いていない真実だから。年下なのだけれど著者の高林氏の瞬間洞察力は(たまに)非常な尊敬に値すると思うから。何日か昨年は行動を共にして本物と確認できたから。

Posted by daiya at 22:09 | Comments (0) | TrackBack

2004年10月04日

Webサイトの人気度を十番対決

#本日のエントリはブラウザのJavaScriptがオンになっていないとグラフが表示されません。ご注意。

AlexaにはAlexa Traffic History Graphという機能がある。これは複数のドメイン名を指定すると、アクセス数に応じた人気順位の推移をグラフ化してくれるもの。Alexaが提供するコードをWebに貼り付ければ、常に最新のグラフを自分のサイトに表示することができる。

・Alexa Traffic History Graph
http://www.alexa.com/site/site_stats/signup?mode=graph

Enter one or more URLs (up to five)の欄にURLかドメイン名を入れ、期間とグラフサイズを選ぶだけの簡単操作。

Alexaは数百万人のユーザがいると考えられるAlexaツールバーのユーザのアクセス履歴から人気度情報を算出している。このため、サンプリングが完全な、ネットレイティングスの有償視聴率データのように、厳密な統計とは言えない。だが、だいたいの目安を知るには十分なデータだと考えられる。

1枚のグラフに比較できるのは最高で5つのサイト。以下に10個のテーマで主要サイトを選んで比較してみた。なお、以下のグラフ画像はAlexaのリンクを使っているので常に最新のグラフがアップデートされる。。コメント内容は2004年9月下旬のものである。半年、1年後に見直せば違ったグラフが表示されていて、コメントとずれているかもしれない。

■新球団問題対決

まず気になるこの2社の対決。

楽天 VS ライブドア

こんなニュースもあったが、
asahi.com : ニュース特集 - 球団合併問題
http://www.asahi.com/special/baseballteam/TKY200409270316.html
実際、球団参入騒ぎで人気を伸ばし、楽天を追撃している。
その他の球団や大リーグを合わせたのが以下のグラフ。

・楽天
・ライブドア
・ジャイアンツ
・タイガース
・MLB(米国大リーグ総合)

■検索エンジン対決

国内の検索エンジンで対決してみた。

・YAHOO!
・Google
・Goo
・MSN
・Excite
・Infoseek

YAHOO!は強い。

■ソーシャルネットワーキング対決

最近、流行のSNS。GreeとMixiが伯仲。だが、まだまだ海外の大手には差をつけられている。

・Gree
・Mixi
・キヌガサ
・Orkut
・Friendster

■オンライン書店対決

YAHOO!ブックス、楽天ブックスはそれぞれのサイトのサブドメインなため計測ができないので以下を対象とした。アマゾン強い。

・アマゾン
・BK1
・ブックサービス
・イーエスブックス
・紀伊国屋

■ブログサービス対決

こちらもライブドアブログ、ウェブリブログなどはサブドメイン扱いなので計測不可。以下を対象とした。

・ココログ
・はてな
・ジュゲム
・ヤプログ
・シーサー

■大学対決

大学を対象としてみた。大学院、大学を設立したデジタルハリウッドも試しに比較したところ、規模が違うはずなのに健闘している。

・東京大学
・京都大学
・早稲田大学
・慶応大学
・デジタルハリウッド

■新聞対決

勢力均衡。

・朝日新聞社
・読売新聞社
・毎日新聞社
・日本経済新聞社
・USAトゥデイ(米国最大の全国紙)

■自動車対決

トヨタが強い。

・トヨタ
・ニッサン
・ホンダ
・ミツビシ
・BMW JAPAN

■テレビ局対決

NHKはやはり民業を圧迫している、のか?

・日本テレビ
・TBS
・フジテレビ
・テレビ朝日
・NHK

■国際大手IT対決

マイクロソフトがトップ。アップルとヒューレットパッカードは同じくらいというのが少し意外である。

・マイクロソフト
・アップル
・ヒューレットパッカード
・オラクル
・サン

このグラフ機能、何か別のテーマで作ったらトラックバックしていただけると大変うれしいです。

Posted by daiya at 23:59 | Comments (0) | TrackBack

2004年09月24日

バナー広告、業界標準、Flash作成

ホットワイアードに先月、こんな記事があった。

・1万5000種類のバナー広告を集めたサイトが登場
http://hotwired.goo.ne.jp/news/news/culture/story/20040827206.html

記事中、このバナーレポートというサイトが紹介されている。

・Banner Report
http://www.bannerreport.com/html/gallery.php

このサイトは傑作で、実際に使われたバナー広告が1万5千件も登録されている。検索も可能で468*060サイズなどでappleやmicrosoft、ipodやwindowsで検索すると、どういったバナーが各企業、製品に採用されていたかがよくわかる。

見所は正方形に近い形の大型のFlashバナー広告で、マウスでインタラクティブに反応する作品は楽しい。絵的なデザインだけではなく、触れる仕掛けの工夫がFlash広告の可能性のようだ。サイト自体をバナーの中に閉じ込めてしまうこともできるだろう。PCの性能やブロードバンド化によってFlash広告とGIFアニメ広告は区別がつきにくくなってきた。インタラクティブな楽しさという点では、Flash広告はまだまだ可能性がありそうだ。

ただ、こうした広告のリッチメディア化は、ユーザにとって煩い広告にもなりうる。インターネット広告の業界団体IABのサイトでは、リッチメディア広告の表現について、業界ガイドラインが発表されている。

・IAB Standards and Guidelines - Rich Media Guidelines
http://www.iab.net/standards/richmedia/
bnrichmedia_specs.jpg

これによると、業界標準サイズのリッチメディア広告はFlashを使わない場合は15キロバイト(728*90、300*250、160*600の場合)か20キロバイト(180*150の場合)、Flashなら20キロバイトか30キロバイト程度で、アニメーション時間は15秒程度にしましょうと推奨されている。

こうしたFlash作成は、以前、紹介したFlash Makerで簡単にできる。

Passion For The Future: Flashを手軽に生成するFlashMaker
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/000828.html

このソフトはバージョン2になってさらに強化されたようだ。

バナー広告ではないが、サイト丸ごとをFlashで生成するアプリケーションもある。試用版を体験中だがよくできている。デザインセンスがゼロでも美しい見栄えのFlashサイトの出来上がり。

・ID for WebLiFE
http://www.digitalstage.net/jp/product/id/index.html

できてくるサイトのサンプルギャラリーはこちら。

・ID Real Gallery
http://www.digitalstage.net/jp/product/id/gallery/index.html

id for weblife購入はこちら(アマゾン)
B00026WKZ0.09.MZZZZZZZ.jpg

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2004年07月28日

リストから関係性ネットワークがマーケティング資産の時代へ

あるコミュニティへ今日は長文の投稿したので、それを少し編集して今日のブログ記事として使わせていただきます。eマーケティング、「関係性」やデータマイニング(テキストマイニング)というキーワードでこれからどんな新しいことができるだろうかという問題意識をつづったものです。

■リストから関係性ネットワークがマーケティング資産の時代へ

ソーシャルネットワーキングやブログのトラックバックネットワークのように、人間の関係性をネットワーク上に可視化する仕組みが普及の兆しを見せている。こうしたサービスによって、少なくともネットコミュニティの先端ユーザの関係性はだいぶ見通しがよくなってきた部分がある。大手企業もこうしたサービスを開始する事例さえ見られるようになった。

見込みどおりにこうしたサービスが普及すれば、企業が、顧客(潜在顧客含む)同士の関係性を把握することができるようになる。そして、その影響力の伝播の構造を分析し、ピンポイントにメッセージを伝達することで、効率良く、顧客行動の活性化を促すことができるのではないか?と期待がもたれている。

従来のeマーケティングはほとんどがリスト型ブロードキャストモデルであった。ユーザのIDを集める。具体的にはメールアドレスを収集する。このリストに付加情報を加えることで、いくつかの新しいeマーケティングの名称ができあがった。

・メールを送信してよい等の許諾つきのリスト=パーミッションマーケティング
・嗜好や顧客属性つきのリスト=オプトインマーケティング
・データベースとフィルターでリスト管理する=イーメールマーケティング

だが、どのマーケティングも実は、リストに対して企業から一方向のメッセージを送信するという点では一緒であった。付加情報から、顧客を幾つかのクラスタに分けて異なるメッセージを送信する工夫は、一定の成果を挙げたが、多くの企業が、同様の手法を取る中で陳腐化しつつある。誕生日のお祝いメールや、購入一週間後のお伺いメール程度では、顧客の感動体験はなくなりつつある。むしろ、そうしたメッセージが多すぎて煩く感じるユーザも少なくないはずだ。

■物語性の抽出と演出はマイニングだけでは難しい

ユーザによって入力された情報やショッピングサイトの購買利用履歴データを膨大に集めてデータマイニング、テキストマイニングすれば、宝物が見つかるという幻想も期待通りの成果は上がっていない。こうした情報は、断片的で一時的なものの集合に過ぎないからだ。そして分析にも希少な職人技が必要だからだ。

会社にいるときと家にいるときには違う属性を持つだろうし、生活ドラマの起承転結のどこにいるかによって、その時々で変わってしまう項目も多い。購買シーンにおける感動カスタマエクスペリエンスを演出するには、物語性が大切だなどと言われるが、物語性の抽出と演出には、属人的な才能が必要なのが現実だ。マイニングの成功例の中心には、万能の自動ツールではなく、優れた感性のデータの読み手がいる。そうした人材は数が少ないし、研修で量産育成できるタイプでもない。

マイニングのツールは安く使いやすいものも現れた。だが、それをどう使うか、はまた別の問題であることもはっきりしてきた。使い方こそ真の知識資産であるが、現在はまだ属人的な暗黙知にとどまっている。たんにこれが形式知化すればいいかというと、そうもいかないだろう。すべての企業が”秘密のやり方”と”万能マイニングツール”を持てば競争力はなくなる。

同時に、大きな顧客情報漏洩事件やスパムが社会問題化する中で、大きな個人情報リストを持つリスクやサポートコストも意識されるようになった。eマーケティングは何十億円もの訴訟リスクに見合うだけの価値をどうして証明できるだろうかと、不安を感じるマーケター、疑問を持つ経営者もいる。

■ブログ、ソーシャルネットワーキングの拓く新関係性マーケティング

そういう時期に、ブログやソーシャルネットワーキングが登場した。人間の関係性やコミュニティ活動のダイナミクスを、デジタルで補足する仕組みである。リストではなく、関係性のネットワークを活用した企業のマーケティング活動の可能性が見えてきた。

リストではなく、関係性を把握できれば、企業はネットワーク上のインフルエンサーに対して、特別なメッセージを少しだけ送るだけでよいことになる。潜在顧客のすべての詳細な個人情報も不要かもしれない。

従来のリスト型では、顧客同士の関係性は見通しが悪かったので、メッセージ送信後に顧客間インタラクション、即ちクチコミが起きるかどうかは、神に祈るしかなかった。だが、いつもクチコミを引き起こす中心人物にアクセスすることができるのなら、高確率でクチコミを発生させられる可能性もある。

インフルエンサとコミュニティと企業の関係性が再度注目される。企業はインフルエンサに対して、メッセージだけでなく、販促物としてのカタログデータ(アマゾンWebサービスなど)や、アフィリエイト等のインセンティブを提供することで、向き合うことができる。

■インフルエンサの発見、関係構築、サポート

インフルエンサとコミュニティは、情報の送り手と受け手としての関係や、友人・知人、先輩と後輩などの個別の関係を良好に維持したいと考えている。MLMにハマった先輩のようなメッセージばかりでは受け手もウンザリするから、インフルエンサは、そうではない魅力を提供したいと考えている。その材料を欲している。

こうした新しい関係性ネットワークの状況を前にeマーケティングが新しいやり方を発明できるのではないかと考える。

ネットは情報感度の高いユーザのクチコミ発生を誘発できるのではないかと従来から期待されてきたが、いよいよそのチャンスが本格到来しているのかもしれない。現在数十万人規模のソーシャルネットワーク、ブログコミュニティは規模を順調に拡大している。インスタントメッセンジャーやチャット、メールやビデオ、ケータイといったメディア複合化の傾向も出てきた。

マーケティングのコミュニティで、最近よく話題になる「関係性」だとか「マイニング」の技術は、こうした新しい領域でこそ活きてくる知識なのではないだろうか。

たとえば、

・関係性ネットワークからインフルエンサーを見つけるやり方
・インフルエンサーと企業との関係性、対話構築のやり方
・インフルエンサーとコミュニティとの良好な関係性をサポートするやり方

といったやり方を、ネットワークやコンピュータを使ってどう形作っていくか、それが今年や来年くらいのeマーケティングの醍醐味なのではないだろうか。


過去の関連エントリ:

・現代消費のニュートレンド―消費を活性化する18のキーワード
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/001859.html

・〈快楽消費〉する社会―消費者が求めているものはなにか
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/001682.html

・ビジネスチャンス発見の技術
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/001151.html

・情報イノベーター―共創社会のリーダーたち
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/000927.html

・広告の天才たちが気づいている51の法則
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/000686.html

■月刊ITセレクトで次世代eマーケティング特集記事

実はこれとほぼ同様のテーマで、メディアセレクト社の雑誌「ITセレクト2.0」から、先日取材を受けました。9月号の同誌でその内容が記事になる、はずです。取材に応えた後は編集部任せになっているので詳細は私も把握していないのですが、ご興味のある方は、書店でご覧ください。毎月29日発売です。つまり、明日(今日)ですね!。

・MediaSelect online:月刊 IT セレクト 最新号目次
http://www.mediaselect.co.jp/its/content.html
0409its.gif

変貌するeマーケティング
囲い込みから「顧客創造」へ
優良新規顧客を掘り起こせ!

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2004年06月09日

アクセス解析カンファレンスに参加

6月9日はログの日ということになったらしい。午後、高輪方面で、アクセス解析カンファレンスに参加。Webのアクセスログ解析ツールの展示会。ブースを回る。予想以上に活況。出展者、参加者、主催者に、知り合いだらけで、「どーもどーも」の連続。

DSC01789.JPG

・出展企業・ソリューションのご紹介
http://www.69day.jp/solution/index.html
出展企業の顔ぶれ

コンサルティングのクライアントからログ解析ツールについてよく質問される。アクセス解析ツールは、本命感のあるツールが不在の状況が長く続いていると思う。企業のWebマネジメント担当者は、どれを選んだら良いのか、悩むケースが多い。

アクセス解析ツールは大きく3つに分類できる。

・ログ解析型

Webサーバのアクセスログを読み込ませて、多角的に解析する。SQLデータベースを利用して、ギガバイトクラスの大量のログを解析することができる製品もある。分析項目が多く、最も汎用性が高いが、ログすべてを対象とするため、解析時間が長かったり、分析できる項目が多いが故に、担当者はどう分析すればいいのかが分かりにくいというデメリットもある。小〜大規模サイトすべてに対応する。

・タグ貼り付け型

JavaScriptのタグを解析対象ページに張り付け、アクセスが発生するたびに、解析サーバへ訪問者の情報を集積する。特定のページを対象とするので、予めビジターの訪問経路に仮説があって、それを検証したい場合に便利である。ビジターの画面解像度、OSなど、このタイプでないと取得しにくい情報が集められるメリットもある。解析サーバの負荷が高いので、一般的には小、中規模サイト向け。

・パケットキャプチャリング型

ネットワークを流れる情報をパケットレベルで解析する。他の方式では解析しにくい動的生成ページや、分散したWebサーバも、自在にリアルタイム解析できるのがメリット。理論的には、最も詳細なデータが取れるはずだが、導入コストや運用コストが最も高く、大規模サイト向けと言える。

今回のカンファレンスには3タイプすべてが出展されていた。ページ別のアクセス数のグラフが出せるというレベルではもう勝負にならない。

最近のWebマーケティングの動向を考えて、3つポイントを挙げると、

1 経路パターンの抽出
  ユーザの多く通る道筋を抽出する機能。

2 視覚的に分かりやすいレポート出力
  大量のデータを多角的に分析した結果を、目で見て分かりやすく出力する機能。

3 ROI(SEO、コンバージョンレートなど)分析機能
  アクセス数と売り上げの比率、広告のクリック率、検索エンジンからの誘導効果などを測る機能。大きな意味での費用対効果の計測。

といったところが担当者の知りたいことになると思う。

こうした観点で気になったのは次のふたつ。

Clicktracks Professional
http://www.clicktracks.jp/
clicktracks01.gif

画面上のリンクの上にクリック率を表示する。

・Sitegram Pro
http://www.sitegram.com/
sitegram02.JPG

サイトのアクセスパターンをサイト構成図をベースに、一枚の図として提供する(半自動)。

が、よくできているなと思った。

アクセス解析については、無償のツールに優れたツールも多い。ベーシックな分析はこれらのツールで満足できるレベルにある。

・Webalizer
http://www.webalizer.com/
webalizer01.gif

・AWTStats
http://awstats.sourceforge.net/
awstats01.JPG

それと小規模サイトであれば

・無料 簡単 ホームページ分析 - infoseek アクセス解析
http://analyze.www.infoseek.co.jp/
infoseekaccess0403_06.JPG

これは私も有料版をこのブログの解析で使用中。上記データは過去3ヶ月のページビューの推移グラフ(オリジナルはFlash)

アクセス解析ツールは費用対効果の判断が難しい投資になる。ビジネスにおけるサイトの役割、サーバの運営体制によって、求められる要求が異なっている。まず無償、廉価なツールを使ってみて、それでできないことはなにか、本当に求めているのはどの機能かを、判断してから、商品を選ぶのがベストの導入スタンスと考える。

統計の専門家が作ったツールというのが少ないのが気になる。個人的には、トラフィックの因果関係、相関分析ができるツールが欲しい。


余談。

会場最寄の泉岳寺駅前にある蕎麦屋に入ったら、妙にうまかったので調べたら、アド街にも登場する明治41年創業の老舗だったらしい。おすすめ。

yabusobasengakuji01.JPG

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2004年04月27日

ロゴデザインの研究に役立つサイト

新会社、新サービスを開始するときに考えるべきリストのひとつ入っているのがロゴである。ロゴでビジネスの勝負が決まるわけもないが、ユーザのサービスに対する印象に少なくない影響を与えている。ビジネス色が強いのか、娯楽色が強いのか、高級ブランドなのか、親しみやすい廉価なブランドなのか。ロゴデザイン次第では、ユーザに自社サービスの説明が大幅に省ける。

データセクション社のロゴデザインは、こんなかんじである。ロゴはひとつではなく4つあるという少し変わったコンセプト。まだ未確認なのだが、このデザインは、業界のデザイン年鑑の本にも掲載されているらしい。デザインしたのはヒキダス社。

Datasection_LOGO.jpg

4人で創業したので、4つの色と形を持つ。組織を構成するメンバーが、それぞれのカラーと形を追求していく新しい時代の会社であるということを伝えようとしている。名刺も各色、4種類作っている。客先をチームで訪問しての名刺交換の際に、各メンバーが色違いを差し出すと「あれ?色が違うのですか?」と聞かれて、会話が弾むというメリットもある。

最近はWebを探せば、2,3万円でロゴを作成してくれる廉価なサービスがある。あまり費用を使わずにロゴの作成が可能になったわけだが、難しいのは発注側が、どんなデザインで制作して欲しいか、イメージを伝えること。うまく伝達できないと、廉価とはいえ、やり直しで予算がかかってしまうし、担当者もストレスを感じる。

やはり、既存のロゴを指して、こんな感じでお願いしますと伝えるのが一番良いような気がしている。ロゴの一覧というのが欲しくなるわけだが、いいサイトがふたつ見つかった。

・Goodlogo.com
http://www.goodlogo.com/

世界中のロゴが300以上登録されている。面白いのは、そのロゴが好きか嫌いかの10段階評価をユーザが投稿できること。その評価ランキングが公開されているので、今どんなロゴが一般に好まれているのかが分かる。

今日現在のロゴの評価ランキングトップ10はこんな感じであった。

Current Top 10

1. Stussy (7.3)
2. Apple (6.2)
3. World Wildlife F... (6.2)
4. Sun Microsystems (6.2)
5. Major League Bas... (6.1)
6. Coca-Cola (6.1)
7. 20th Century Fox (6.1)
8. Disney Entertain... (6.1)
9. Playboy (6.1)
10. Puma (6.1)

・ロゴの杜
http://logomori.hp.infoseek.co.jp/

こちらは日本企業のロゴが、イラストレータなどのグラフィックツールで読み込めるEPS形式やAI形式で多数公開されている。

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2004年04月04日

駅ナンバリング考

東京の営団地下鉄が、4月1日より東京メトロに生まれ変わった。といっても、車両デザインや駅のデザインに大きな変わりはないので地味な変化である。毎日、東京メトロを使う人間として、唯一、眼に見える、分かりやすい変化は「駅ナンバリング」である。

都内12路線274駅で駅名表示がすべてこのようなマークで置き換えられている。
ekinum2004-s04a.gif

東京メトロの解説によると、

・〜わかりやすい東京の地下鉄をめざして〜
路線名、駅名に記号・番号を併記した「駅ナンバリング」を始めます。
http://www.tokyometro.go.jp/news/2004-s04.html

(1) 路線記号を下記のアルファベット1文字で表示します。
  都営地下鉄 浅草線A、三田線I、新宿線S、大江戸線E
  営団地下鉄 銀座線G、丸ノ内線M・m、日比谷線H、東西線T、千代田線C、有楽町線Y、半蔵門線Z、南北線N
  ※ 丸ノ内線のmは「方南町駅〜中野新橋駅」間です。

(2) 駅番号は、2桁の数字で表示します。
  原則として西または南から順に01、02、03、・・・と付番します。
  ※ 路線カラーのリングを使用する場合、アルファベットと番号は縦に並べ、これによらない場合には、アルファベットと番号をハイフンで結びます。


これはこれで便利な面もある。外国人にとっては日本語の駅名は覚えにくいから、銀座線新橋駅=「G08」の方が分かりやすそうだ。また、G02(表参道)からG08(新橋)までは北(または東)方向へ向かって、6つの駅があるという距離と方角も把握できる。(新橋には某R社の「G8ビル」があるが最寄は新橋でこれは出来すぎ(笑))

ただし、この設計思想にすこし疑問もある。

新橋は銀座線のG08であると同時に浅草線のA10なのだ。大手町にいたっては、5つの線が交わるのでI09、C11、M15、T09、Z08である。同じ駅に複数の記号があるのは間違いを招きそうな気がする。

そして駅の新設、廃止にはどう対応するのか?。駅が新たにできた場合、最もナンバリングが大きな数字の駅から先へ延長した場合には+1すれば問題がないわけだが、始発駅の前にできた場合、

G-01

になったり、既存の駅の中間にできた場合、
 
G05.5

とかになるのだろうか。一度定着した番号をずらすのは大きな混乱を招くだろう。ここらへんはいったいどうするつもりなのか気になる。

とはいっても、海外で同種のナンバリングが多いようで、わかりやすさと記号の整合性という点で、これ以上に良いやり方というのはないのかもしれないのだが。

■駅ナンバリングに新サービス発想の余地を探す

さて、ベンチャー起業家としてはこのナンバリングをどうにかビジネスにつなげられないかをつい考えてしまう。

携帯電話での駅指定が簡単になるのは確実である。アルファベット+数字二桁で指定するので3文字で駅名の入力が可能になる。路線+駅ナンバーのボタン選択にすれば簡単に入力ができるだろう。駅についての情報サービスが作れそうだ。

出口の記号と連携した利用も面白そうだ。G08A2で銀座線の新橋駅A2出口であるというように出口名までをも記号で表現、指定できる。この記号ベースで駅の出口を使った待ち合わせ掲示板サイトも考えられそう。(逆に出口名と駅名が混乱しそうでもあるが...)

他には乗り換え案内サービスに、駅の出口から出口までの所要時間という項目を追加すると便利だろう。G08A2からG02B3までは徒歩+地下鉄で何分というような情報を教えてくれる補完サービス。駅名と出口名が続けて入力しやすくなったので使われやすくなったと言えるかも知れない。

他には...どんなものが考えられるだろうか。発想のネタとしては楽しそうだ。毎日乗るたびに考えてみよう。

関連情報:

東京メトロは組織変更と同時に公開ブログライクなサービスを開始した。

・Let's Enjoy Tokyo
http://www.enjoytokyo.jp/OD001Top.html

誰でも特派員になって携帯から写真+コメントを送信することができるある種のブログサービス。同サイト内で公開されるスポット・イベント情報・特集ページに、投稿を「ひもづけ」することもできる。

・帝都東京・隠された地下網の秘密
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4896916808/daiya0b-22/

「ふと地図から浮んだ疑惑が疑惑を呼び、達した結論は「戦前に既に東京には地下網が完備していた」というものだった…。可能な限りの資料と徹底した地図の読み込みを駆使し、国民に伏せられてきた東京の地下網の真実に迫る試み。」。東京のレイアウトはさまざまな陰謀がうずまいてできたという噂は良く聞きますが、その地下鉄版の話。Amazonのユーザ書評に少し内容の情報アリ。(すみません、これ私は読んでいません、がオモシロそう。読んだ人感想を教えて)

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2004年03月18日

ブログのタイトルのネーミングに見る傾向と対策

実は、愛読者という方々から「Passion For The Futureというタイトルはストレート過ぎて気恥ずかしい気がする」という率直なご意見を、メールとオフラインで合計3件ほど頂いています(笑)。でも、いいのです。これは会社の標語ですので熱くて当たり前なのです。

さて、最近はブログが増殖してきた。

ひとつ大きな変化を感じるのはブログのタイトルのつけ方の変化である。ブログが人気が出始めた昨年後半の段階では、多くのブログは英語のタイトルであった。例えば、昨年末、ドリコム社が企画したブログ大賞のノミネートサイトを一覧してみると、実に96サイト中、53サイトが英語のみのタイトルであった。これは全体の55パーセントにあたる。

・Blog Of The Yeah!コンテスト(2003年)
http://yeah.myblog.jp/nominate/

面白いのは受賞サイトとの数の比較である。読者投票の受賞サイトでは(重複受賞はあるが)、33サイト中、日本語派27(81%)サイト、英語派6サイト(19%)と比率が大きく逆転している。

もちろん、読者投票の結果なので内容の良さで評価が行われたはずだが、統計的に考えて、これだけの大差がつくのは、何らかの別の要因を想定したくなる。ブログのタイトルとして日本語は、読者に対するインパクトがやはり強いのではないか?

ブログはRSSメタデータという技術を使って、タイトルや記事見出しが他のサイトに配信されている。このタイトル配信によって外部からのアクセスを集めていることが多い。タイトルや見出しは他の形式のWebサイトよりも、多く露出し読者誘導効果が強いのだ。

日本語タイトル名の強みを考えてみると、

・強い印象を与え記憶に残りやすい
想起されやすく、アクセスや引用されやすい
・日本語フォントは表示面積が大きい
タイトルのリンクが目立ち、クリックされやすい
・日本語サイトであることが明示される
読んでみたくなる

といったメリットが考えられる。

ブログサイトのタイトルには、「○○Blog」「○○のBlog」「○○log」という名前は、初期に登場したものには多かったが、最近はスマートさがかける印象が出てきたと思う。以前はタイトルに日本語を使うと文字化けしやすいという事情もあった。

以前ホームページでも同じネーミングは見られた。95年頃のWebサイトには企業でも個人でも「○○のホームページ」というタイトルが多かったのだが、現在ではスマートではないネーミングの印象を受けてしまうだろう。

私はWebドメインマーケティングというのを仕事で展開している。ドメインの名づけ方のコンサルティングである。そんな仕事があり得るとは自分でも思わなかったが、現に私はそのれっきとしたコンサルタントである。名づけについては仕事であるからプロと自称しよう。次はBlogタイトルマーケティングが仕事になるかもしれない(笑)

・Webドメインマーケティング
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/000863.html

最後にメモから最近のブログのタイトルの傾向として新しいと思うもののリストと、古いと思うもののリストを挙げる。恐らく前者の方がネーミングとしては優秀である。人気を得たいならば日本語でタイトルはつけるべきだと結論したい。

■日本語を駆使した文章系ブログのタイトル

・実践起業!成功への道。blogで人脈は作れるか?
http://www.web-smile.com/jissenkigyou/

・人は感情の生き物だ!
http://www.myprofile.ne.jp/hiroc+blog

・俺と100冊の成功本
http://blog.zikokeihatu.com/

・嗤って……許せるのか?
http://www.myprofile.ne.jp/takayan_1925_3219+blog

・死んでしまったら私のことなんか誰も話さない
http://shimizu.typepad.com/vietmenlover/

・起業して社長になるまでの日記/blog
http://plaza.rakuten.co.jp/gogotea7/

・面白いサイトを見つけたよ。
http://kaseide.net/htdocs/mt/

・レンタルビデオ屋へ行く前に
http://www.e-cms.info/mt/cinema/

・世界が終わるのをここで見て居よう、と思う
http://blog.livedoor.jp/world_end666/

・あれ、これって青春?
http://blog.livedoor.jp/ojisan_univ/

・チップを弾むから勇気を分けてくれないか
http://www.myprofile.ne.jp/room_3104+blog

・明示的に宣言されます
http://www.chimimo.com/mt/

■古臭くてだめな例
(例示して笑って許してもらえそうな関係の友人、知人、先輩で例を挙げる。皆様失礼。許して。つきあいも古いから)。

・yublog
http://nkcp.zive.net/yublog/
名前とBlogを足した典型的な古典ネーミング

・ideaSync.com Blog
http://tank.ideasync.com/mt/
.com+Blog。竹田部長。このネーミングは古いです。

・Tanakayoshikazu.com
An Internet Business Way :: Make Everything Else Possible
http://www.tanakayoshikazu.com/
名前をドメインにする感性も古い。Gree.jp作者。

・Kotaro Yamagishi's bJournal - 山岸広太郎のBlog(ブログ)
http://blog.cnetnetworks.jp/yamagishi/
bJournalという当初のネーミングの狙いのハズレ感漂う編集長。

・NDO::Weblog
http://naoya.dyndns.org/~naoya/mt/
まったく内容の分からないハッカーにありがちなタイトル

・blog.bulknews.net
http://blog.bulknews.net/mt/
ドメインURLそのままという機械読者対象のネーミング

・mojix.org Zopeジャンキー日記
http://mojix.org/
個人サイトでorgを取得するそこはかとない古さ

そういうわけで私のブログも来週からは「未来を語れ情熱日報 燃えよ若人胸を張れ」に変えようかと、ちらっと思ったが、変えるわけはないのだ。私も古いから。

#上に古い例として挙げたブログはすべて内容は充実のおすすめです。

Posted by daiya at 01:50 | Comments (12) | TrackBack

2004年03月01日

ヌーベルブログ

今日からNECのサイト上で新しいブログ「ヌーベルブログ」を始めることになりました。

・ヌーベルブログ
nouvelleblog01.gif

百式の田口さんと私の二人が、このサイトで、常駐ナビゲーターをさせていただきます。ITにまつわる数字を切り口に、分析や発想のコメントを更新していきます。ネットやデジタルについて、数字という視点で分かることをコラムに書きます。

さて、それだけじゃあ、二人でブログ始めただけなんでしょ?ということになってしまいますが、違います。このサイトの本当のテーマは「イノベーション(革新)」であり、イノベーターなのです。

開始段階の今週は、私と田口さんが交代でブログを書いているだけですが、来週以降、本当の企画が始まります。毎月、私と田口さんが「この人はイノベイティブ!」と思う豪華ゲストが次々に加わっていきます。新しいこと、革新的なことに取り組んでいらっしゃる方々と共同で記事を投げ合うブログになる計画です。

バナーを見ていただくと分かりますが、「物差し(メジャー)」がデザインコンセプトになっています。ITメジャーリーグというネーミングの案もあったくらい、このサイトの隠れたテーマを語っています。

登場するイノベーターのゲストが、どんな数字を取り上げるか、どんな意味としてその数字を解説するか、ぜひご期待ください。計量化、数量化が科学の始まり、革新の始まりだったと言いますが、つまり、新しい数字の読み方は革新の始まりだと言えると思うのです。このサイトで取り上げられる数字から、現在の、そして未来のITを占う事実を、読者の方々に発見していただけるような、革新発想の情報源をつくっていけたらな、と思います。

「会議や企画に使える数字はまずヌーベルブログを見ればいい」と言っていただけるようなサイトになるように、ナビゲーターとしてがんばっていきます。このサイトともども、ヌーベルブログをよろしくお願いいたします。

#とりあえず、私は最初のゲストに「インターネットの数字ならこの人にかなうひとはいない」という方にお声をかけさせていただきました。さて、誰でしょうか?。来週を乞うご期待です。

関連URL:

・数量化革命
nblogbook01.JPG

ヨーロッパ帝国主義が成功をおさめたのはなぜか?理由の一つは、中世・ルネサンス期に、人びとの世界の捉え方や思考様式が、宗教的なものから普遍的・効率的なものへと変化していたことだと著書は言う。暦法、機械時計、地図、記数法、絵画の遠近法、楽譜、複式簿記……広範な分野で並行して起こった、数量化・視覚化という革命が跡づけてゆく西欧精神史。

名著。

Posted by daiya at 23:59 | Comments (3) | TrackBack

2004年01月18日

ボツネタ公開:Webドメインマーケティング

風邪でダウン。体調は回復するも山積みの仕事を消化中で更新停滞しています。手持ちのボツ原稿で埋めちゃおう。。。(編集部のTさん、いいですよね、これ宣伝になるから...)

・Webドメインマーケティング
http://webdomainmarketing.jp/
この連載用に書いたWebドメインについてのコラムでしたがテンポがよくないということでお蔵入りした原稿です。

なおWebドメインマーケティングについては、

三歩先をいくビジネス誌「宝島」
takarajima0402.JPG

の巻末の方の特集で私も写真入で登場中。企業ウェブマスターの皆様ぜひご覧くださいませ。


ここ数日でも、Webドメイン関連はこんなニュースもあってホット。

・JPRS、IDN未対応ブラウザから日本語JPドメイン名が利用できるサービス
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2004/01/19/1783.html
・PIR、“日本語.org”などIDNの一斉抹消は中止へ
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2004/01/19/1785.html

■汎用.jpドメイン、日本語ドメインの魅力

あなたが勝ちのある企業や組織のWebマーケターだったとして、自社のドメイン名
を選ぶことになったとする。考えた名前の候補に対して、あなたは次の4つの質
問に自信を持ってYESと答えることができるだろうか?

・DNS管理の安定性は大丈夫ですか?
・もしも訴えられたら対応できますか?
・取りたい名前を取ることができますか?
・印象に残る、間違わないドメインですか?

ドメイン名候補を考えるという作業は会議のひとつもすればたくさん思いつくだ
ろう。ドメイン名を登録するという作業は、多数の代行業者がサポートをしてく
れるから手間もかからない。

だが、このドメイン名選びひとつで、不要なリスクを背負い込んでしまったり、
お客を遠ざけてしまったりする可能性がある。4つの質問に対してすべてYESのド
メイン名を選ぶのが、企業のマーケティング担当者として賢い選択なのだ。

■質問1 DNS管理の安定性は大丈夫ですか?

.jp、.com、.net、.tvなど、日本語のサイトには、さまざまな種類のドメイン名
が使われている。専門的な言葉を使うと、ドメイン名の最後の部分=トップレベ
ルドメイン名は国際管理されているgTLDと国別で管理されているccTLDの2種類に
分けることができる。

ドメイン名の種類がいくつくらいあるかご存知だろうか?

・gTLD(Generic Top Level Domainの略)
.com、.net、.org... 10個

・ccTLD(の略)
.jp(日本)、.kr(韓国)、.ch(中国)... 約250個

ドメイン名はこの2種類の合計で約260種類も存在している。日本語サイトで多い
のは、.jpや.comであるが、以下のようなドメイン名を使ったサイトもちらほら
みかけることがあるだろう。

.tv ツバル
.to トンガ
.cc ココス島
.cx クリスマス諸島

.tvや.toはキーワードと組み合わせると意味の通った魅力的な名前になることが
あるため、企業のドメインでも採用例があるようだ。これらの小さな国や地域の
ドメイン名の多くは、比較的、資本力の小さな管理組織、場合によっては海外の
ベンチャー企業によって運営されている。

あまり知られていないことだが、トップレベルドメインの安定したDNS管理には
莫大な費用がかかる。小さな管理団体のケースでは運用上のトラブルが起きてア
クセス不能になる事故も実際に起きている。

2000年には、クリスマス諸島の.cxドメインがドメイン管理にかかる費用を納め
るのが遅れて、一時的にアクセス不能になるという事件があった。.cxドメイン
を利用していた主なお客である海外企業がこの影響を被ってしまった。企業サイ
トのダウンタイムはそのまま営業機会の損失につながってしまう。重要なドメイ
ン名に使うには、本当にそのドメインが信頼できる品質の運用体制を持っている
かどうか、調べておく必要がある。

汎用.jp及び日本語jpドメインの運用はその開始以来、大きなトラブルもなく、
品質は国際レベルでもトップクラスと高く評価されている。

■質問2 もしも訴えられたら対応できますか?

多くの企業がドメイン名を持つようになり、紛争も多く発生する。ドメイン名に
まつわる訴訟がニュースで話題になるようになった。

・米人気プロレス団体のドメイン「WWF.com」に商用使用差し止めの決定
http://internet.watch.impress.co.jp/www/article/2001/0813/wwf.htm・横行する「ドメイン乗っ取り」、登録会社の責任は?
http://www.hotwired.co.jp/news/news/Business/story/20030625102.html
・「goo.co.jp」ドメイン名使用権でNTT-Xが勝訴〜東京地裁が判決
http://internet.watch.impress.co.jp/www/article/2002/0426/goo.htm
・日本初のドメイン裁判,原告のジャックスが全面勝訴
http://itpro.nikkeibp.co.jp/free/NC/NEWS/20001206/1/

.comドメインの裁判は米国で行われる。当然のことながら訴訟対応は英語を使っ
て現地で行うことになる。米国事情に詳しい弁護士を雇って、英語で現地との打
ち合わせをすれば、旅費や通信費、翻訳費もかさむ。この点、.jpドメインには、
企業名や商標名の権利を保護するための仕組みが用意されている。

1 サンライズピリオド:異議申し立て期間による権利保護の仕組み

他者が勝手に自社の権利の名称をドメイン登録したことを発見した場合に、30日
以内に異議申し立てを行えば、その登録を解除することができる。

2 DPRS(ドメイン名紛争処理方針):悪用されたら取り返す仕組み

jpドメイン名に関して紛争が発生したときに正当な権利者を守り、訴訟を含む紛
争解決を円滑に行う手順を決めた方針。

・ドメイン名紛争処理方針(DRP)
http://www.nic.ad.jp/ja/drp/index.html

■質問3 取りたい名前を取ることができますか?

.comドメインには既に2千万件を超えるドメイン名が登録されている。.comはイ
ンターネットの草創期から運用されているため、世界中のユーザが先を争って登
録を行った結果、名前の空間が埋め尽くされてしまい、今からでは、取りたい名
前を登録することは困難な状況である。

ドメインブローカーによるドメインの値段の吊り上げの結果、一般名詞の取引価
格が1千万ドルクラスの名前まで現れてしまった。例えば、ITニュースサイトの
Hotwired記事によれば、『business.com』、『drugs.com』、『wallstreet.com』
はそれぞれ750万ドル、82万5000ドル、100万ドルで販売されたという。ドットコ
ムIPOバブル全盛期ならばともかく、これだけの投資を単にドメイン名から回収す
ることは現状ではほとんど不可能であろう。

・参考記事:ドメイン名で大儲けの夢を追い続ける再販業者たち
http://www.hotwired.co.jp/news/news/business/story/20030514106.html

そもそも.comドメインは古くからあること、登録時の制約が緩いことという理由
だけで安易に選ばれがちであった。

日本の企業のWebマーケターは冷静にこの事実に気がつき始めている。

jpドメインの中でも、co.jpという属性ドメインには、1組織1ドメインの原則と
いう登録時のルールがある。最初に企業名で登録するとブランド名やサービス名
でco.jpを登録できないという制約があったが、汎用jpや日本語jpドメインは自
由に取得することができる。

■質問4 印象に残る、間違わないドメインですか?

日本語jpドメインには印象に残る、間違わないというメリットがある。

例えば「小学校」のドメイン名として、メディアに登場させるときに、次のふた
つはどちらが分かりやすいと感じるだろうか?

1 「shogakko.com」
2 「小学校.jp」

ほとんどのユーザが2のほうが目にしたときに分かりやすい、印象に残ると答え
るはずだ。1はローマ字としてはSyogakko.comともShougakkou.comなど数パター
ンで書けるから間違えて入力するユーザも多くなる。

もうひとつ例を出してみよう。

1 meti.go.jp
2 経済産業省.jp

これもまた2のほうが万人に分かりやすく間違えられないはずだ。

国際化ドメイン名として日本語.comというドメイン登録も可能ではあるが、漢字
は日本以外でも国際的に使われている文字だ。「現代.com」というドメインを取
得して、隣国の財閥からクレームが起きたり、「美食.com」と書いたら同名のブ
ランドから注意が来たり、実は他国ではこの漢字が妙な隠語であったという事態
も考えられる。前述したように日本語jpであれば日本企業の持つブランド名が保
護されやすく、訴訟リスクは小さくなる。

現段階では日本語ドメイン名の採用例は決して多くはない。ブラウザーが日本語
jpドメインの直接入力に対応しておらず、追加プラグインソフトのインストール
を必要とするからである。この状況も、一部のブラウザーが標準対応したという
ニュースもあったりで、変化の兆しが見えてきた。

・日本語ドメイン名プラグイン(JPRS提供)
http://jprs.jp/i-Nav/・RFC準拠方式で日本語JPドメイン名のWebアクセスが可能に
http://internet.watch.impress.co.jp/www/article/2003/0710/jprs.htm

漢字やカナ文字とローマ字を比較すると、前者の方が日本人には圧倒的に認知さ
れやすく記憶に残りやすい。将来的には、雑誌広告や交通広告の表示は日本語
.jpが主流という状況も十分に考えられそうだ。

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2003年11月20日

「信頼性と説得力のあるWebサイト」の科学

■Webの信頼性を説明するPI理論

今日もWebの話題。米国スタンフォード大学の説得技術研究所(Stanford Persuasive Technology Lab)という、奇妙な名前のグループが、信頼性のあるWebサイトとは何か、説得力のあるコンテンツとは何か、を研究している。延べ6500人以上の被験者を動員した数年間の研究成果として、PIという理論を彼らは構築した。

・Prominence-Interpretation Theory:
Explaining How People Assess Credibility Online
突出と解釈理論:
ユーザはどうやってオンラインで信頼性を評価するのか
http://credibility.stanford.edu/pdf/PITheory.pdf

この研究では、ユーザはWebページを読んで、それが重要で信頼できる、と考えるまでに次の2つのプロセスを踏むと仮定している。

1 ユーザは目立つものを見つける(際立っているという評価度)
2 ユーザはそれを解釈する(解釈による評価度)

そして得られた二つの度合いを掛け算した結果、信頼性の大きさが決まるというのが、このPI(Prominence-Interpretation)理論である。以下、要約していく。

credibility01.JPG

突出度 × 解釈 = 信頼性

目立っている、際立っている、突出しているというユーザの判断には次の5つの要素が大きく影響する。その後の解釈には、その次の3つの要素が関係する。

突出度の主な要素
    1 ユーザの熱意と能力(Involvement)
    2 Webサイトのトピック(Topic)
    3 ユーザの目的とする作業(Task)
    4 ユーザの背景知識や経験(Experience)
    5 ユーザ個別の事情(Individual differences)

解釈の主な要素
    1 ユーザの推量、思い込み(Assumptions)
    2 ユーザのスキルと知識(Skill/Knowledge)
    3 ユーザの置かれた状況(Context)

これらはユーザごとに異なる個人的な評価である。

例えば、熱意と能力あるユーザは同じサイトを見ても、より多くの情報を見つけていく。ユーザにとって、それが今探しているトピックであるかどうか、目的とする作業に必要かどうか、背景知識があるかどうか、も、サイトの突出度の印象を左右する。

解釈の方では、例えばページに聖書の引用があるとき、信者はそれを信頼性のあるものと考えるが、逆に否定的に捉える人もいる。または切れたリンクがあった場合、ある種のユーザはこのサイトはきちんとメンテナンスされていない信頼できないサイトという烙印を押す。

■Web信頼性ガイドライン

そして成果として彼らは「スタンフォード Web信頼性ガイドライン」を作成して公開している。一読すると、呆れるほど当たり前に思えるが、理論的に考えて、これで必要を網羅していると思えば、実は作るのが大変な、貴重なリストなのである。すべての項目についてその根拠となる論文がリンクされている。このページ自体がリストの第1位である正しさの根拠を示せを体現している。

・Stanford Guidelines for Web Credibility
http://credibility.stanford.edu/guidelines/index.html

1 サイトの情報の正確さを分かりやすく立証せよ
2 サイトの裏側に実世界の組織の存在を示せ
3 組織と提供するコンテンツやサービスの専門性を強調せよ
4 誠実で信頼できる人間が裏側にいることを示せ
5 あなたにコンタクトできるようにせよ
6 プロライクなデザインにせよ
7 使いやすく便利なサイトにせよ
8 サイトをよく更新せよ
9 宣伝要素には節度を持て
10 あらゆる意味で小さなエラーも起きないようにせよ

さて、このPI理論という前提から、彼らは膨大な量の、ユニークな研究を多数展開している。そのひとつがWebの信頼性の数値化である。

■信頼性の認知向上チェックリスト

・Stanford-Makovsky Web Credibility Study 2002
Investigating what makes Web sites credible today
http://captology.stanford.edu/pdf/Stanford-MakovskyWebCredStudy2002-prelim.pdf

彼らは1999年度の信頼性研究の結果、重要とみなされた要素について55の質問を設定した。この質問に対して7段階の度数で答えるようにフォームを作ってオンラインでユーザに答えさせた。具体的には、「このサイトではコンテンツと広告が区別できる」「このサイトには有名企業の名前がリストにでてくる」「このサイトは滅多に更新されない」といった質問だ。

企業の協力で1500人以上から収集したデータを解析し、Webの信頼性に対して、どの要素がどの程度、影響力を持っているかを数値化したのだ。素晴らしい。ここまでいけば企業で使えるツールと言える。

・信頼性の認知向上リスト
独自にリストを訳してみた。原文にはさらに信頼性や専門性、スポンサーシップ(広告や協賛)要素がどの程度の重みを持っているか詳細に数値化されている。

0が中央値。プラス数値は信頼性に対して、ポジティブ要素、マイナス数値はネガティブな要素。

2.0以前に利用して有益だと分かっていた
運営組織は広くレスペクトされている
1.8顧客の質問に迅速に答えてくれる
1.7実世界の物理的住所を表示している
以前の訪問から更新されている
1.6電話番号を表示している
1.5プロフェッショナルなデザイン
電子メールアドレスを表示している
内容がよく分かるように構成されている
情報ソースに基づいた包括的な情報を提供している
1.3記事ごとに著者の表示がある
引用や参考文献を表示している
あなたが信頼するサイトからリンクされている
1.2個人情報保護ポリシーが明示されている
デザインがサイトのテーマにふさわしい
取引時に電子メールによる本人確認が実施されている
検索機能がある
外部のサイトやリソースへリンクしている
1.1ニュースメディアで推薦されている
1.0友人に推薦された
競合サイトへリンクしている
印刷しやすいページデザインである
複数の言語で提供されている
0.8ラジオやビルボードや他のメディアで広告が出ている
ユーザの意見やレビューが掲載されている
0.7その記事自体にレイティングやレビューがつけられている
著名な企業の名前が顧客リストに含まれている
非営利団体によるものである
0.6代表者とライブチャットができる
サーチエンジン検索結果の最初のページに表示される
あなたの好みに応じたコンテンツが選ばれている
0.5サーチエンジンのディレクトリのトップに表示される
0.4以前訪問したことを覚えている
0.3受賞した賞を表示している
URLのドメインが「.org」で終わる
0.2読んでいる記事にマッチした広告が表示されている
eコマースサイトとしてデザインされている
0.1あなたとは異なる意見がある
0.0
-0.1登録やログインが必要
-0.3商業目的のサイトである
-0.4第3者にホスティングされている(AOLやGeocitiesなど)
-0.5情報ソースの根拠のない情報を提供している
-0.6各ページに一つ以上の広告がある
-0.9有料サービスである
-1.0ダウンロードに時間がかかる
-1.1会社の名前とドメイン名がマッチしていない
財政的困難や法律上の問題を抱える企業である
-1.3タイプミスがある
サイトがアクセスできないときがある
-1.4ナビゲーションが悪い
信頼できないサイトへリンクしている
機能しないリンクがある
-1.6自動的にポップアップ広告が表示される
-1.7ほとんど新しいコンテンツが追加されない
-1.9広告とコンテンツを区別できない

■企業のWeb戦略策定にどう活かすか

例えば、あなたがWebショップやニュースサイトを運営しているとしよう。まだそのWebサイトも、あなたも知名度が低い。顧客の信頼もない。はじめたばかり。どうしたら、最小の作業で、信頼性を上げられるだろうか。

リストの最高点は、以前利用して良さがわかっていること、運営者が広くレスペクトされていることだ。だが、新しいサイトではまだこれはできない。で、あるならば、住所や電話番号、メールアドレスを表示し、来たメールにすぐ返信することだ。サーチエンジンで何番目に表示されるかはあまり大きな問題ではないから、SEO対策は後回し。このリストの上位から、今できることを優先して実行していけばよい。

同時に、評価を落としている要素を下位から消していけばよいわけだ。この数値を見れば、リンク切れやタイプミスは些細な問題ではないことが分かる。速くて安定した独自サーバに切り替えることも重要と分かる。

あとは実行するのに必要なコスト(時間や費用や手間)と相談して、数字の絶対値の大きさ順でやっていけばよいことになる。主観の世界が客観性になった。何が重要で何がそうでないか、科学的に分かることで、Web戦略の次の一歩が明確に分かる。実務にも使える、面白い研究である。

なお、この研究の話はこれだけでは概要説明しかできていないので後日まだ続く(多分、信頼性0.5くらい?)。

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2003年11月19日

Webデザイン:ナビゲーションと目の動き

夜の会合で話が盛り上がり、終了後、キノトロープの生田社長とD4DRの藤元社長(元フロントラインドットジェイピー)と3人で銀座で飲む。(生田社長、ご馳走様でした)。お二人とは、以前より面識はあったのだけれど、腰を落ち着けてお話しするのははじめて。時間がもったいないと思うくらい濃い話が続く。めったにない機会なので私もしゃべりすぎるくらいしゃべった。あっというまの数時間。Web制作とeビジネスの世界で著名なお二人とノリノリの情報交換会ができて、とてもとても楽しかった。勉強になった。

生田さんから、キノトロープではWeb制作のクオリティを高めるためにWebユーザビリティテストを導入しているという話を聞く。Webサイト納品の前に、Webに詳しくない、サンプルユーザにWebを使わせてみて、何パーセントくらいが、目的のコンテンツをみつけたり、欲しい商品を買ったりすることができるかを試す。ユーザの操作している姿や画面をビデオに記録して分析したりもするようだ。

このテストによって、Webクリエイタのユーザビリティへの思い込みが排除され、ナビゲーションがきちんとしたWebが完成する。プロの作り手からみると、ユーザの動きには、「なんでそんな簡単な操作がわからないの?」と驚くこともあるそうだ。キノトロープといえばWeb制作の老舗一流どころとして有名なわけであるが、逆にプロであることが、普通の人の感覚を見えなくしてしまうことがあるらしく、特に気をつけているという。

3人とも「ネットはもう普通の人たちのものだから、普通の感性を私たちも見極めないといけないですね」という結論でお開きとなった。

この話を聞いたときに思い浮かんだのが98年の米国の研究「Banner Blindness」だ。これは今でも有効な話だと思う。

・Banner Blindness: Web Searchers Often Miss "Obvious" Links
(バナー盲目効果:Web探索者はしばしば「分かりやすい」リンクを見逃す)
http://www.internettg.org/newsletter/dec98/banner_blindness.html

Web制作者は、商品をオススメのページへのリンクや、「購入する」だとか「会員登録する」、「こちらをクリック」といった「重要な」リンクに、大きく派手な色の目立つ視覚表現を割り当てがちだ。階層的に奥にある「ホットトピック」ページのショートカットを積極的に、トップページに表示したりもする。Webデザイン上、常識に近いこの手法だが、必ずしも効果があるとは限らない、というのがこの論文である。

この研究では、まず、重要なリンクをバナー広告のような表現で、ナビゲーションメニューの上に配置した場合の効果をユーザテストで計測した。(実験対象は毎日Webを使うようなユーザ中心)。

その結果、

・派手なイメージは広告と誤解されてしまう
・ユーザは通常のナビゲーションリンクを探すことが多い
・ナビゲーションリンクのグループ(メニュー)と離して強調リンクを置くとユーザは機能を認知できない

などといった原因で、この形式での重要なリンクの表現は効果がないと結論された。

次の実験では、18個のリンクからなる、カテゴリ選択メニューのあるトップページから、ユーザにaという本を探すように指示した。ここでは、「aという本はCのカテゴリにあります」という文字の、大小のテキストや画像のリンク(広告風とそうでないもの)を表示した場合の効果を計測した。

こちらも、どの表現をしても、ユーザは通常のメニューで目的の情報をたどって探す方が多く、ホットトピックへのショートカットは見逃されてしまうという傾向が見られた。

この研究は2つの実験から得られた制作者へのアドバイスとして、誘導したい重要なリンクを他のリンクから目立つように離しておいたり、派手な色使いをすると、逆にユーザからは見えなくなってしまう、と注意している。

改善案として、通常のメニューの中で、強調したいリンクを2重に表示したり、重要なリンクの背景色だけを変えるなどの表現手法の方が有効である、と実例を見せながら述べている。目的を持ってWebを見るヘビーユーザは、オススメショートカットなど無視してしまうという傾向は、この実験から5年以上経過した現在も通用するだろう。それよりはメニュー機能の枠の中で強調した方が、機能を認知させやすいのだ。

ユーザテストが制作者の思い込みのとおりに行かなかったケースといえる。

時代は進んで、海外では、視線の動きに注目したWebユーザビリティの研究やツールがいくつかある。メガネ上のセンサーをつけたユーザに、Webをテストしてもらい、目の焦点の動きから、注意がどう動くか、結果としてどのリンクをクリックしたかを詳細に分析できる。

・EyeTracking.com
http://www.eyetracking.com/
eyetracking01.gif

米国大手ITニュースサイトCNETのナビゲーション分析。その結果と改善の説明がサイトに掲載されている。

・EyeTools
http://eyetracking.stanford.edu/
eyetools01.gif

広告の注目率の分析。

このようなツールがあれば、論より証拠である。実際に何パーセントのユーザがWebのパーツのどこにどの程度の注目をおいて、リンクをクリックして行くかが一目瞭然になる。

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2003年11月15日

Webデザイン:使いやすいメニューの作り方と魔法の数

今日はデジタルハリウッドのWebプロデュース本科で、何度目かの、ネットリサーチや情報処理についての3時間の講義をさせてもらった。Webのビジネスに関わるプロデューサ候補生に情報の収集と整理、分析と文書化の各フェイズにおける理論、ノウハウとツールを紹介していくものだ。(私はこのレクチャーをパッケージ化しているので企業研修向けに使いたい方がいたらお問い合わせください、と少しスケベ心を出してみる)。

今日のBlogはそのテーマでWebと情報について続けて、考えてみたい。また米国マイクロソフトリサーチの面白い論文を発見したからだ。

・Web Page Design: Implications of Memory, Structure and Scent for Information Retrieval
(Webデザイン:情報検索のための記憶と構造と匂いのむすびつき)
http://research.microsoft.com/users/marycz/chi981.htm

Webサイトのナビゲーションメニューについての研究である。HTMLの本質であるハイパーリンクは階層構造でWebページ間の移動をナビゲーションする。ナビゲーションのビジュアルな表現が、ここでいう「メニュー」である。限られたサイズのWebページの平面の上で、メニューはそう大きな面積を占有してしまうわけにはいかない。また、サイト内にあるすべてのページへのリンクをトップページに表示してしまったら、ユーザは情報の迷路に迷ってしまう。

この論文は、「たくさんのページを抱えるサイトを運営する管理者はどうメニューを作ったら良いのか?」という質問に対する一つの回答を与える。

この実験では512ページのWebページを、効果的にナビゲーションするための実験を行った。

メニューの選択肢の数とサイトの構造を表現するのに次のような式を使っている。

2*2

上の表現はトップページに2つの要素のメニューがあって2階層目にさらに、2つのメニューがあるという意味だ。実験ではさらに数の大きな、以下の3つの構造を使った。

8x8x8 トップページに8つの選択肢、2階層、3階層目も8つの選択肢、
32x16 トップページに32の選択肢、2階層目に16の選択肢
16x32 トップページに16の選択肢、2階層目に36の選択肢

この3つの構造を持つWebを実際にユーザに使わせて、探している情報を見つけるまでの時間を計測し、ユーザには実験後に使いやすいものはどれだったかを投票させた。各メニューには自分のいる位置を、いわゆるパン屑ナビゲーションとして表示した(例 「ニュース:スポーツ:サッカー」)。

投票の結果は以下のとおりとなった。

8x8x8

32x16

16x32

最も良い

6

11

2

2番目によい

2

3

14

最悪

11

5

3

また、どんな点が評価されているかはこの表で分かる。

8x8x8

32x16

16x32

好ましい階層構造

3.0 (1.5)

3.4 (1.4)

3.1 (1.1)

有効だと思う

3.2 (1.5)

3.4 (1.3)

3.4 (0.8)

見つけやすい

3.2 (1.5)

3.5 (1.3)

3.1 (1.0)

使いやすい

3.4 (1.6)

3.5 (1.2)

3.1 (1.1)

なじみ深い

3.4 (1.5)

3.5 (1.1)

3.3 (1.1)

この研究者たちは認知と反応速度に関する詳細な分析と合わせて、メニューにおける深さと広さのトレードオフ(depth/breadth tradeoffs)という法則を発見した。メニューの選択肢の数と、階層構造の深さは、比率が崩れるとユーザを迷わせてしまう、バランスが大切だ、という法則である。具体的には、ページ数が十分に多いときには、8*8*8のメニューは作ってはいけない。32*16や16*32のメニューを作れということだ

視覚探索の能力と記憶範囲の能力の二つが関係がある要素である。視覚探索とはメニューから目が必要な情報を瞬時に見つける能力、記憶範囲の能力とは今自分は何を探していて階層上のどの位置にいるのかを覚えておく能力である。

8*8*8のメニューを作ろうとするとトップページのカテゴリ名は、どうしても一般的な名称を使わざるを得ない。スポーツのディレクトリであれば「球技」「武道」「陸上」などにあたる。これよりはいきなり「サッカー」「野球」「100メートル走」という細かいカテゴリ名を表示した方が効果があるのだ。人間の視覚探索能力は32や16くらいのメニューなら必要な情報を瞬時に判別できる。

あまりに一般的な名称から目的情報を探そうとすると、クリックしているうちに目的を忘れてしまうことがある。8*8*8の構造は、今自分がどこにいるのかも迷いやすくなる。ヒトが情報の範囲を記憶しておく能力を超えてしまうわけである。

実験の結果、8*8*8では視覚探索と範囲記憶の能力の相乗効果が出ないことが判明し、残りのふたつではうまく機能することが数値として判明した。

以前、このBlogでも触れたジョージミラーの記憶のマジックナンバー7±2についてはこの研究者たちも考察している。8*8*8という構造を設定したのは8がマジックナンバーであるからだったろう。しかし、今回のケースではメニューの数を単純に8にしたからといって選びやすくなるわけではないことが分かった。(この論文もミラー説を否定しているわけではない)。

むろん、メニューの使いやすさはこれらの要素で決まるわけではない。この研究者たちは情報の匂い(Scents of Information)という言葉を使っているが、メニューを見てその奥に何がありそうかの匂いをメニューのカテゴリ名が漂わせることも大切だ。メニューの配置や修飾の仕方といったレイアウトデザインの重要性にも触れている。(詳しくは原文参照)

ちなみにYAHOO!のトップページのカテゴリ表示数は、この記事の執筆時点では約70。最終的に何ページをデータベース化しているか知らないが、分母を考えるとこのくらいが適当なのかもしれない。他のサイトも調べてみると面白いことが分かるかもしれない。後日、ここで日本のWebのメニュー調査をやってみようかなと思う。

参考情報:
・情報検索のカギは「匂い」(Scents of Informationについて)
http://www.hotwired.co.jp/news/news/technology/story/20010611302.html
情報の匂いに関する最新の動向ニュース

・ウェブ認知ウォークスルーによるウェブサイトユーザビリティの評価
http://staff.aist.go.jp/kitajima.muneo/Japanese/PAPERS(J)/CWWJ.pdf
Webのナビゲーションリンクとカテゴリ名の意味などを深く考察した論文。

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2003年11月13日

Webはどのくらい更新されているのか?

「ホームページってどれくらいの頻度で更新したらいいんでしょう?みなさんどの程度の頻度で更新されていますか?」。96年頃、Webコンサルティングの仕事を始めた私は、企業Webサイトやオンラインショップ制作の相談の最終段階で、担当者から、こんな質問をよく受けた。答えは「更新の必要のあるときに」「競合サイトのペースを考慮して」「できるだけ頻繁に」。

この答え方は間違ってはいなかったと思うが、一般的にWebページがどのくらいの頻度で更新されているものなのか、最近まで、私は知らなかった。世の中には何十億ものWebページがあって、それぞれが異なるペースで必要に応じて更新されていく。その世界レベルでの平均値は?何か法則はあるのか?答えられる人はいるのか?

米国マイクロソフトリサーチが、この難問に答えを出す興味深い調査報告を出しているので今日はその話。意外な発見続出である。

・A Large-Scale Study of the Evolution of Web Pages(全文)
http://research.microsoft.com/aboutmsr/labs/siliconvalley/pubs/p97-fetterly/p97-fetterly.html

研究グループは、150,836,209(1億5千万)ページのHTMLの更新状況を調べるために更新監視のロボットを作り、11週間の間に、週一回間隔で更新をチェックした。またランダムに選んだ0.1%のURLについてはテキスト全文を保存して詳細に分析を行った。彼らは、更新頻度だけでなく、更新された場合のページのテキストの変わり具合、変化の大きさにも着眼している。

・大半のWebページは更新されたとしても変化の大きさは小さなものである

更新されるページがまるで別物になるわけではなく、小さな記述の変更や追加が多い。

・Web全体の4分の1が毎日更新、.comドメインは6割が毎週更新する

全体の4分の1のページは毎日更新されている。.comドメインの6割が毎週更新される。ドメインとページサイズと更新頻度には、ある種の相関があることも判明する。

・Webページのサイズの平均値は4〜32キロバイトであった

この数値はWeb制作にも参考になるデータである。教育機関(.edu)のドメインでは、少し小さくて、2〜16キロバイトが平均となった。

・ダウンロード不能な状態になる確率が判明した

最初の週では存在していたのに、11週間の間にサーバがなくなったり、リンクが切れたりしてダウンロードできなくなるページの確率は12%。次にページを見に行ったときに確実に存在しているという意味での信頼性としては.org>.de>.edu>.jp>全体平均>.com>.netの順。.jpドメインの方が.comドメインよりもなくなる可能性が低く信頼性が高いが.de(ドイツ)には両者とも負けていることも分かった。ドイツ人管理者はやはりまじめなのだろうか?。

・文書サイズから更新頻度と変化の大きさをかなりの精度で予測できることが分かった

大きなサイズのページほど更新頻度が高く、大きく内容が変化する。本来は小さなサイズのページはそこに含まれる総単語数が少ないので、内容に少しでも変更が加えられると相対的に変化の大きさは、大きくなるはずだが、それにも関わらず、大きなサイズのページの方が大きく変化している。

・更新頻度を予測するには、前回の更新間隔が有効な判断材料となる

これは当たり前だが、前回に3日間隔で更新されたページは次回も3日後に更新される可能性が高いということ。Googleの巡回ロボットもこの予測アルゴリズムでWebを巡回している。毎日更新されるニュースサイトには頻繁に訪れ、固定的な企業の案内ページは一カ月おきに訪問するなど。

さて、この実験はまだ先があり、こうしてダウンロードしたWebのテキストのパターンの類似性を研究したのがこちら。

・On the Evolution of Clusters of Near-Duplicate Web Pages(全文)
http://research.microsoft.com/research/sv/PageTurner/laweb.pdf

こちらでもスゴイことが分かる。ソックリなページというのがたくさんあるのだ。

URLホスト名数マシン数説明代表となるURL
92137462863ポルノサイトhttp://fr.gncix.cc/page1.html
315788335199 (+ 2)著名なダウンロードサイトhttp://games.fastnet.it/news.html
2018691515ヘルスフードストアhttp://www.usrma.com/vitamins/jodahl/jodahl.htm
11853042車のディレクトリhttp://www.100topauto.com/SiteMap
1004281197714ポルノhttp://hot.fuckjpg.com/
926294390631422 (+ 1306)「Untitled document」というタイトルhttp://gc.dk/
出典:上記のURLの論文のTable1から上位6位を引用、訳。

トップのポルノサイトはほぼ同じコンテンツを92万のURL、6286台のホスト名でアクセス可能にしている(実際には3台のサーバマシンで稼動している)ことが分かる。2位はダウンロードサイトで、付加分散のために同一のコンテンツを複数サーバにおいている例だから別としても、大半は宣伝目的で検索エンジンにひっかかりやすくするための工夫だ。

しかもこれは特殊な例ではない。なんと実にWeb全体の28%が他のサイトのこうした複製だというのだ。ここまでWebスパムは進んでいるのか、としみじみ分かる。

この二つの論文は、Webの現状を大規模な量から見るという、いつもとは違った側面を教えてくれる。成果は、Webを巡回するロボットの効率化などに使われているらしい。

Webの更新の研究は、業界ごとの企業サイトの更新頻度だとか、ページのサービス内容(企業案内、社長の挨拶、サポートページ、商品カタログ、著作権表示など)ごとに調べるとさらに面白いことが分かりそうだ。最も、そんな数字が公開されてしまうと、業界平均を下回るサイトのウェブマスターは涙モノであるが...。

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2003年11月09日

検索ニーズ指数

検索エンジンのインフォシークは毎月検索キーワードランキングを発表している。

・インフォシーク検索キーワードランキング
http://www.infoseek.co.jp/Keyword?pg=ranking.html

特定のキーワード検索回数÷全検索回数の計算を行い、よく検索されるキーワードの順位を発表するものでマーケティングデータとしていつも興味深い。表を眺めているうち、これらのキーワードを実際に検索してみると、だいぶ検索結果数にはキーワードごとに差があることに気がついた。

つまり、世の中には、

A 検索されることが多いが存在するページが少ないキーワード
B 検索されることは少ないが存在するページが多いキーワード

の2種類があるわけだ。そこで、検索回数ポイント÷検索結果数×100として検索ニーズ指数をExcelで算出し、指数順で並べてみたのがこの表だ。

検索順位と指数による順位変動キーワードポイント検索結果数検索ニーズ指数
2位↑2ちゃんねる408861,3006.668841762
5位↑攻略3562235,0001.515744681
4位↑壁紙3806623,0000.610914928
1位↓無料66763,030,0000.220330033
10位↑携帯電話23481,170,0000.200683761
6位↓大阪26881,570,0000.001712102
9位↑ゲーム23862,030,0000.117536946
3位↓写真38403,440,0000.111627907
8位↓東京24172,610,0000.092605364
7位↓掲示板24944,850,0000.05142268

2ちゃんねる、壁紙、攻略については指数が大きかった。よく検索される需要がある割に、その情報を提供しているページが少ない例だ。ベースとしたトップ10のうち5つが順位を上げて、5つが順位を下げた。指数の変動する幅はグラフでご覧いただけるようにかなり大きい。ランキングデータを100位や1000位まで入手して計算すれば、指数ランキングのトップ10はまったく違ったものになる可能性がある。

infoseekrank01.JPG

何もこの指数をこのままSEO分析に使えるとか、未参入市場の大きさを測れる、とまでいうつもりはないが、少し考えてみると、

・2ちゃんねるの情報は求める人が多い割に、アングラ的イメージがあるので提供者が少ない
・壁紙のダウンロード先を探す人は多いが、壁紙画像の制作能力も必要であるし著作権などの問題もあるため提供者は限られている
・ゲーム攻略情報はおそらく著作権などの問題もあって、個人ベースのWebが多く、提供事業者が少ない

ということは、ある程度、言えるのではあるまいか。つまり、検索回数と提供数の乖離のある(=検索ニーズ指数の大きな)キーワードには、何らかの事情や物語が背後にあって、需要と供給バランスが崩れている可能性があるということだ。その事情や物語を考えることで、ビジネスチャンスをみつけることはできるかもしれない。

また、この単純な指数の考え方はWebサイト内キーワード検索の履歴からも算出すると、お客の求めているデータと提供しているデータ数の差であるとか、用語の統一の必要性などを発見できたりもするだろう。

もう少し他のデータと連携させて、統計計算を行うとチャンス発見のてがかり指数としてブラッシュアップできるかもしれない。みなさんの改善アイデアをよろしくお願いします。

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2003年11月06日

アウェアネスWeb

日経BP先端技術情報センターでの連載で以下のコラムを書いた。

・アウェアネス支援ツールとしてのインスタントメッセンジャー
http://sentan.nikkeibp.co.jp/mt/20031104-01.htm

もう少し展開してみたい。

ある大規模な博覧会の情報システム企画のブレインストーミングに参加した際に、私は「イベントで混んでいるのが嫌だ。パビリオンも昼食のレストランも、行列に並びたくないから、ITを使ったナビゲーションを使って待ち時間を減らすようなシステム構築はどうですか?」と提案したら、経験のあるコンサルタントから、「橋本さん、それが展示側からすると、ちょっと違うかもしれないのです」と意外な意見が返ってきた。

出店するパビリオンやレストランの経営側は、むしろ、行列を作ってもらいたいのだという。行列が行列を呼んで、ビジネス的には繁盛するというわけだ。ECサイト楽天のコンサルタントも、言っていた。「人気は人気(ひとけ)につながる。人気のWebショップを作りたければ、他の客がたくさんいることが分かるように人の気配の演出が効果的だ」。

ここでいうアウェアネスというのは、存在感や臨場感、誰かと場や空間を共有しているという意識のこと。フェイスツーフェイスのコミュニケーションでは、私たちは当たり前すぎて、アウェアネス情報をあまり意識しないが、この当たり前ができないと「場の空気を読めないヤツ」になってしまう。

Webもアウェアネス情報を伝えることで、もっと楽しくなる、はずだ。例えば、

・Visualizing the Crowds at a Web Site
http://xenia.media.mit.edu/~nelson/research/crowdvis/index.html
vizcrowd01.gif

MITの研究成果として公開されているJavaアプレット。サーバ(lcs.www.media.mit.edu)への、ある二日間のアクセスログから、各Webページへのユーザの訪問状況を視覚化している。ホームページアイコンの周りに集まってくる点がユーザで、どのページに今アクセスが集中しているかを確認できる。

リアルタイムにアクセス状況が分かると、作者は、「お、今、私のBlogに人が集まっているから新しい記事を追加してみようかな?」と思ったりもする。もっと明示的にアウェアネスを感じるものとしては、こんなのも面白そうだ。

・Web拍手
http://www.webclap.com/

このサービスはWebにこんなボタンを取り付けると、(これは実際、機能します)

ビジターが作者に拍手を送れる。作者は拍手結果の解析画面で拍手の数や、拍手の音を聞けたりするのだ。逆にブーイングがあっても面白いかもしれない。コンテンツを見ている人の顔やリアクションを見ながら、ビジターとコミュニケーションできる。(最もWebClapも完全リアルタイム、というわけではないのだが)。

逆の方向性として、私と同じringolab.comサーバでBlogを公開している、研究者のshimaさんはBlogにWebカメラの映像を貼り付けるという試みをされている。

・Shima's
http://www.ringolab.com/note/shima/
・WebCam埋め込み(技術的なやり方も手順が書かれていて参考になる)
http://www.ringolab.com/note/shima/archives/000347.html

このやり方だと、作者が今PCの前に座っているとか、忙しそうだとか、来客中だとか、分かるので、ビジターもコメントを書く際の参考になるだろう。

コミュニケーション活性化の呼び水として有効なアウェアネスだが、過剰に演出するといわゆる「さくら」になる。何百年も前からやられている古典的マーケティング手法だ。出会い系Webでは女の子のさくらのアルバイトが結構あるらしい。

・Googleで「出会い系 アルバイト」検索結果でいくつもみつかる。
http://www.google.co.jp/search?hl=ja&ie=UTF-8&oe=UTF-8&q=%E5%87%BA%E4%BC%9A%E3%81%84%E7%B3%BB%E3%80%80%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%83%90%E3%82%A4%E3%83%88&lr=

企業のWebショップの掲示板やオークションへの書き込みのアルバイトというのもあるらしいし、そのアウェアネスが本物か、どうか見極める目も、ユーザには求められる時代、ということか。

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2003年11月01日

企業Webサイトの偏差値と金額換算ランキング

大人になっても偏差値が分かりやすいという発想なのか、Webサイトの偏差値ランキングが発表された。調べたのは日興アイアール社。

・日興アイアール
http://www.nikkoir.co.jp/

本当にこれが日本の企業のWebのランキングとして正しいのか、評価基準については外野からあれこれ批評するのは簡単だが、正解などない話だろう。基準を明示して実際に調べたこの調査は何らかの意義があると思う。ソースを見に行けば各サイトの「分かりやすさ」「使いやすさ」「情報の多さ」の指標もある。業界ごとのベスト3も発表されている。

総合ランキング結果は以下のとおり。発表そのままを引用掲載しても面白みがないので独自GoogleのPageRank、Alexaのランキングを調べて表にしてみた。(独自調査部分は10月31日時点のデータ)。またURLも追加した。各サイトを実際に表示してみると、Web制作、マーケティングの参考になりそうである。やはりPageRankは5以上で高いサイトばかりだ。Alexaの結果からは自動車や家電など一般消費者向けの商品、サービスを扱うメーカーはトラフィックが多くなるように見える。

注1:GoogleのPageRankはリンク数等からWeb全体に対する重要性を表す指標。高いほど重要。
注2:Alexaのランキングはトラフィック量をおおざっぱに表す指標。小さいほど高い順位。

順位 企業名 総合点 分かりやすさ 使いやすさ 情報の多さ PageRank Alexaランク
1 日本電信電話(株) 82 76 79 91 6 4185
2 オムロン(株) 80 69 85 87 4 19593
3 日本ゼオン(株) 76 76 79 74 5 246481
3 松下電器産業(株) 76 69 85 76 7 1892
3 ホンダ 76 76 79 74 7 1667
3 伊藤忠商事(株) 76 69 85 76 6 38491
7 三井造船(株) 75 69 79 78 5 108207
7 (株)リコー 75 69 74 82 7 7609
7 (株)日本航空システム 75 76 74 76 6 63241
7 東京ガス(株) 75 61 85 80 7 30859
       (出典:日興アイアール調べ(PageRank、Alexaの値は橋本))。

この調査結果で注目すべきは、「「分かりやすさ」「使いやすさ」「情報の多さ」株式時価総額の大きさに比例して平均ポイントが高くなっている」という分析である。確かに1位のNTT持ち株会社のPDFのIR情報は見やすい。WebだけでなくPDFコンテンツのデザインにも気を使っている。おまけに「PDFファイルがダウンロードできない方には Annual Report 2003 をご郵送いたします」ということでITに詳しくない層にも親切。

・NTTアニュアルレポート
http://www.ntt.co.jp/ir/report3.html

この調査主体の日興アイアールはIR支援企業なので、この結論には、若干データの科学性にバイアスはあるかもしれないが。

日本ブランド戦略という会社は「Webサイト価値ランキング」を発表している。こちらはWebサイトの価値をなんと金額に換算している。1位はトヨタ自動車で、そのWebサイト価値は972億円と算出されている。リストを見ると、日興アイアールのランキングにも出ている企業が多い。

・Webサイト価値ランキング
http://japanbrand.jp/WE/50024/2.html
・調査手法の説明
http://japanbrand.jp/category.html?id=20001

Webを企業がどう活用していくか、議論はいろいろあるが、本業と直結しない試みや、にわかECビジネス、にわかユーザビリティを唱えても結果はでにくい。このふたつのランキングに出てくる企業は、Webによって実際に利益や時価総額を増やしたり、ブランドなどの無形資産価値を高めている企業ということになる。その戦略は研究の余地がありそうだ。

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2003年10月31日

ニュースで読むスパム最新実態

先日の記事に寄せられたコメントの中で読者のお一人がスパムに悩まされているので、投稿の際eメール欄(任意)に嘘のアドレスを書きましたと申告があった。確かにスパムは多い。

スパム対策として、私はInternetSecurityというソフトを使っている。これを使うと、スパムを受信時に自動判定しメールのサブジェクトに「スパム警告:」という文字列を付加してくれる。かなりの精度でスパム防止をしてくれるのだが、間違えて通常のメールにもスパム警告をつけることがある。この前は、このご認識のせいで「Re: スパム警告:A社の報告の件」という題名で返信を送信してしまった。社内だったからよかったようなものの、取引先だったら「俺ってスパム?」と怒られてしまうところだ、ふう。

・ノートン インターネットセキュリティ
http://www.symantec.com/region/jp/products/nis/
まだ決定的な防止技術がないスパムだが、今日は、最近目にしたニュースにコメントしてみた。スパムの最新実態が浮き彫りになる?。

■スパムメールは世界ではどのくらい増殖しているの?

・惑メールが地球上の全メールの50%を超えた〜米Brightmail調査結果
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2003/08/21/202.html
・50% of Internet E-Mail is Now Spam According to Anti-Spam Leader Brightmail
http://www.brightmail.com/pressreleases/082003_50-percent-spam.html

スパム防止技術会社のレポート。ネット上のメールの半分はスパムという調査結果。

■スパム業者の悪知恵手法にはどのようなものがあるの?

・加ActiveState、迷惑メール業者が用いる手法を無料公開
http://internet.watch.impress.co.jp/www/article/2003/0723/active.htm
http://www.activestate.com/Products/PureMessage/Field_Guide_to_Spam/tricks.plex
手法のパターンを調査した米ActiveState社のレポートについての記事。「迷惑メール業者の手法の中には、例えばHTMLメールの中に背景色と同色でニュースサイトから選んだ言葉を埋め込むことで、迷惑メールをニュースサイトのメールに偽装するテクニックなどが紹介されている」。ActiveStateのページには何十種類もの工夫が具体的に公開されている。

・Brightmail Reveals Annual Top 10 Spam Messages for 2002
http://www.brightmail.com/pressreleases/121202_top_spam.html
2億通のメールを調査し、スパムメールのトップ10ランキングを公開している。ちなみにトップ3の内容は、

1位「Protect Your Computer Against Viruses for $9.95」アンチウィルスソフトの宣伝2位「Verification Department」クレジットカード詐欺のスパム
3位「Refinancing? Get a FREE quote on any mortgage loan program」不動産ローン

・ウェブログがスパムの新たな標的に
http://www.hotwired.co.jp/news/news/culture/story/20031027202.html
なんとWeblogにまでスパムが流行。実は私のこのBlogにも既に一度、海外からコメントスパムがあったので削除している。

■大手企業はどう対応に取り組んでいるの?

・「おとりアドレス」を使ったYahoo!のスパム対策機能
http://www.zdnet.co.jp/news/0310/21/xert_yahoo.html
・米Yahoo!が「囮メールアドレス」を使った迷惑メール対策サービス
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2003/10/22/830.html

先日は、米国YAHOO!も取り組みを始めた。ユーザに使い捨てのメールアドレスを発行し、スパムがくるようになったら捨てて新たに取り直せるようなサービス。根本的解決ではないと思うけれど。spamgourmetも同じようなソリューションを単独で提供している。

・Outlook 2003のスパム対策はどうなっているのか
http://www.zdnet.co.jp/news/0310/27/cead_coursey.html
新しいOfficeシリーズのOutlook2003のスパム認識機能はすごいらしい。いつもは辛口のAnchorDeskライターが「私はOutlook 2003をすっかり気に入ってしまい、ほかのスパム対策ツールをアンインストールしてしまったほどだ。」と述べている。期待しよう。

■スパムはどこからくるの?

・スパムメールの経路を地図として視覚化
http://www.cluelessmailers.org/spamdemic/index.html
こうしてやってくるらしい。絵で分かる。

・スパムメールに返事を出したら――体験レポート
http://www.hotwired.co.jp/news/news/business/story/20030221104.html
返事を出すとやはりスパムは増えるらしい。

■なにかよい対策ありますか?

最近、技術系の仲間の間で評判がよいのは、

・Popfile
http://popfile.sourceforge.net/manual/jp/manual.html
Windowsでも使えるメールフィルタリングソフト。

・BkASPil for Becky!2 総合案内
http://b2antispam.s33.xrea.com/
Becky!用の強力スパム対策プラグイン。これも便利という人が多い。

なにかみなさんもスパム対策ですごく良いソフトがあったら教えてください。

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2003年10月23日

好き、嫌い、好き、嫌い、好き?

有名なサービスなので、Am I Not Or Hotって皆様ご存知かと思う。男女が自薦で写真データをWeb上に登録する。その他の一般ユーザがサイトを訪問すると「私ってイケてる?イケてない?」という質問と異性の写真、そして10段階評価の選択バーが現れるので、好みの度数をクリックする。すると他のユーザの採点の平均値と次の異性の選択セッションが始まる。

・HotOrNot
http://www.hotornot.com/

異性の顔以外ではこんなものもある。

・Gnod
http://www.gnod.net/
・gnoosic
http://www.gnoosic.com/
・gnooks
http://www.gnooks.com/
・gnovies
http://www.gnovies.com/

Gnodは、ユーザにオススメをリコメンドするサービスだ。最初にランダムに提示される音楽や本、映画、Webサイトを好きか嫌いかを尋ねてくるので、好き、嫌い、どちらでもない(No opinion)をクリックで選択すると次の作品が提示される。これにまた好き嫌いを答える、この繰り返しだ。少しずつユーザの好みに応じて最適なリコメンドが行われる仕組み。音楽のRelatedBandを選ぶと類似したバンドの地図が表示されたりもする。

gnodsc1.JPG

日本語ではこんなサービスがある。

・Cinemasape
http://cinema.intercritique.com/
「あなたが入力した評価と過去に他の人によって入力された評価の類似性に基づいて、あなたの趣味にあっていると予想される映画を推薦します」

・コメント文を利用する映画ナビゲーション
http://www.r.dl.itc.u-tokyo.ac.jp/~nakagawa/academic-res/abebe01.pdf
上記サービスの論文。

少し異なるが、

・自分史作成iMap.gr.jp
http://www.imap.gr.jp/
「このサイトには、1975年以降の音楽、流行、映画、テレビなどさまざまなジャンルのできごとが、17万件登録されています。そのなかから、あなたが経験したことや、記憶に残っているものごとを選択して、メディアを通して見たあなたの自分史をつくってください。」
・1,000個の回答から世相が見える? 社会調査サイト「iMap.gr.jp」
http://www.watch.impress.co.jp/internet/www/article/2000/1011/imap.htm

こちらでは、スクロールしていく17万件のキーワードから知っているものをひたすらクリックすることで自分とその世代の傾向や性格分析が行われる仕組み。私は200件ほど入力したが、性格診断はこんな結果だった。そんなにネットに依存しているとは思わないのだが。ここでは世代別や居住地ごとの認知度ランキングなどの情報を見ることもできる。自分がどれくらいTypicalなのか逆にズレているのか、分かる。

imapgrjpsc1.JPG

こういったサービスの多くは、面白いがビートルズが好きというユーザにローリングストーンズを薦めたり、ダイハードが好きなユーザにダイハード2を薦めてくれたりする。そりゃあそうだ。精度は高いと言えそうだ。だが、役に立つかというと、感動するほどではない。音楽も映画も好きな分野は詳しいので万人の傾向からでは、面白い発見が少ないのだ。そもそも興味を登録する過程に楽しさが少ないので、情報を入力しにくい。(CinemaScapeは得点だけでなく映画マニアの濃い書き込み文章が多いので面白いですけどね)。

例外的に一番、楽しかったのは冒頭のHotOrNotだ。

異性の顔を好みで判断するのは大抵の男性なら(女性のことは分からないから)一瞬の情報分析だろう。これはコンピュータにやらせるのは難しいことだ。背後の情報量は相当多い。しかも、美人が続くと選んでいて楽しめるから次々に選んでしまい、データベース全体の美人精度があがっていく。人間にしかできない高度な判断情報を、欲求というインセンティブで大量に入力を促し、データベースの精度を高めている

アダルトサイトでやったら抜群の効果なのではないか。

・RateMePersonal Adult personals
http://adult.ratemepersonals.com/adult-personals.htm

と思ったらあった...。

ナレッジマネジメントやグループウェアを導入したが誰もデータをアップしないので使えないシステムのままだと悩む企業は多い。リストラ時代に、「なんで俺の仕事の成果や知識を共有しなきゃいけないんだよ」という社員もいるだろう。ナレッジシステム導入に当たっては、AIDMAの少し下のレイヤー、目先の欲求や欲望の満足もシステムに組み込むことを考えた方がよいはずだ。情報の共有インセンティブをシステムへ織り込むという点では、HotOrNotは、単なるおふざけと笑えないかもしれない。結構、本質を突いているのではないか?。

あなたの会社の情報システムは、欲望と官能に満ちた世界になっていますか?

(謝辞:コラム執筆中、夜中にimap.gr.jpのURLが思い出せずオンラインでヘルプしていたただいたklabの半澤さん、真にありがとうございました。)。

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2003年10月22日

なぜYAHOO!は最強のブランドなのか

・なぜYAHOO!は最強のブランドなのか
4901234315.09.MZZZZZZZ.jpg

この本、評価は読む人によって大きく分かれると思う。内容にタイトルの「なぜYAHOO!は最強のブランドなのか」の理由を期待してはいけない。そんなことは、ほとんど言及されていない。YAHOO!の創業から2001年末くらいまでの状況を、年表的に述べていく、ただそれだけの本。インターネット草創期からネットビジネスに飛び込んだ世代には、この神話時代の内輪話は「ああ、あのときの買収劇はそういう意図だったのね」などと分かって、たまらなく面白いが、現状と未来を知りたい人には、古事記や旧約聖書を読まされている退屈な本に感じるだろう。私は楽しめた。

1994年。創業者の落ちこぼれ大学院生のヤンとファイロが教授が休暇をとったのをよいことに、研究そっちのけで、Webのリンク集「デビットとジェリーのWWWガイド」作成に没頭した。使った大学のサーバの名前は「小錦」と「曙」。1994年4月の登録数100サイト、毎週1000ヒットのこのサイトが、2億人を超えるユーザと数十兆円の価値を持つビジネスになるまでの長くて短い歴史書。それは同時に、わくわくする若い創造性あふれるベンチャーが、つまらないけど価値のある大企業へと成長していく物語でもあったのだな、感じた。

評価:★☆☆☆☆

で、まさに今の日本のYAHOO!ってどうなんだろうということで、ちょうどいいタイミングのデータがある。

YAHOO!JAPANは昨日、最新の中間決算報告を発表した。ちょっと読むにはふたつめのプレゼン資料が分かりやすい。

・2003年度第2四半期および上半期の事業概況(2003年10月21日発表)
http://docs.yahoo.co.jp/info/investor/jp/bizres/gaikyo/20031021/20031021-gaikyo-jp.pdf
・2003年度第2四半期および中間決算説明会のプレゼンテーション資料(2003年10月21日発表)
http://docs.yahoo.co.jp/info/investor/jp/bizres/present/20031021/031021-2q-present-jp-all.pdf

このIR資料からQ&A形式で今のYAHOO!が分かるようにまとめると、

Q:YAHOO!JAPANはどれくらいアクセスされているの?

A:
当四半期において、当社の1 日のページビューは、初めて5 億9,000 万ページビューを突破しました。当グループの9 月の月間ページビューは、165 億2,096 万ページビューに達し、(中略))ユニークユーザー数は、約5,700万ブラウザと前四半期末と比較して約160 万ブラウザ増加(2.9%増)しました。

Q:儲かってますか?
A:
上半期の売上高は331 億円(前年同期比70.9%増)、営業利益は176 億円(前年同期比86.4%増)

Q:いろいろやってますが売上げと利益、ページビューの比率は?
A:
どうもIR資料のPDFだけでは分かりにくかったのでこんなかんじの構成グラフを作成してみた。

sales.png
profit.png
pageview.png


事業部
主なサービス(YAHOO!○○)
オークション
オークション、宅配、ペイメント等
YAHOO!BB
Yahoo! BB、メール、ジオシティーズ等
リスティング
求人情報、自動車、不動産、学習情報、ウェディング、ヘルスケア、懸賞、地図情報、路線情報、グルメ、地域情報、電話帳、ビジネスエクスプレス」等
ショッピング
ショッピング、ブックス、コンピュータ、トラベル、イーエスブックス」等
メディア
ニュース、ファイナンス、スポーツ、ビューティー、天気情報、ムービー、ミュージック、エンターテインメント、テレビ、占い、ゲーム、 コミック、メンバーディレクトリ、掲示板、チャット、メッセンジャー、アバター、パーソナルズ、グリーティング、 e グループ、デリバー等
ビジネスソ
リューション
ポータルソリューション、ネットロードショー、リサーチ、ドメイン、ウェブホスティング等
全社共通・本社
トップページ、きっず、My Yahoo!、カレンダー、ノートパッド、アドレスブック、フォト、ブリーフケース、投票、アラート、コンパニオン、ニュースレター、モバイル、ボランティア、ブックマーク、 BB トップページ、ヘルプセンター、ウォレット等

Q:広告はどれくらい売れるものですか?
A:
当四半期の広告関連売上は48億円(前四半期比10.5%増、前年同期比58.4%増)と7四半期連続で増加、過去最高の売上高となった


とまあ、だいたい上記のようなものである。IR情報は株主を惑わしてはいけないので、現状説明にとどまる。公開資料をもとに作り直した私の3つの円グラフは観察すると、

・オークションはトラフィックや売上げより利益が多いからおいしそうだな
・ニュースコンテンツ(メディア)はトラフィックは多いけど儲からないのだな
・不動産とかグルメとかリスティングは人気はあるけどそれほど儲かってないのだな
・ショッピングはまだまだ。楽天とかアマゾンとかあるしなあ

といったことが分かる。ちなみに、米国ではYAHOO!オークションは人気も利益も日本ほどなかったりする(紹介した本には経緯が書いてある。有料化したとたん90%のユーザを失い、eBay買収失敗という誤算のせいだ)し、YAHOO!BBもない。

というわけで本日は某所で打倒YAHOO!研究会。予習をそのままエントリした次第。

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2003年10月21日

記憶のマジックナンバー7±2とドメイン名の考え方

「マジックナンバー7±2」という言葉をどこかで聞いた経験がないだろうか。何かを記憶するときに5個から9個の要素ならば記憶にとどめやすいという意味である。情報をデザインする際にはメニューの項目数を、その範囲に収めよう、などと企画書や会議で、引用されたりする。

この説の原典は、心理学者George Millerが1956年にThe Psychological Reviewに発表した、この論文にある。

・The Magical Number Seven, Plus or Minus Two:
Some Limits on Our Capacity for Processing Information(原文)
http://www.well.com/user/smalin/miller.html

「魔法の数7±2:我々の情報処理能力の幾つかの限界」。この研究では、ランダムな数字の並びを被験者に記憶させ、後に正確に反復できるかを見ることで、どの程度の情報量を人は一度に記憶できるのかを繰り返し試験した。その結果、このマジックナンバーが判明するわけだが、実はもう少し話は先がある。

被験者は、10桁の数字を覚えるときに必ずしも10個の要素を覚えるわけではなかったのだ。記憶できる要素の最低単位は情報学の世界では「チャンク」と呼ばれる。マジックナンバーは正確には数字の数ではなくてチャンクの数について述べている。

例えば、ランダムな文字列「8478502165」という数列は記憶しにくいが、これがもしパターンを持つ「8886677777」だったら記憶しやすいだろう。語呂合わせという手もある。5の平方根「2.2360679」は、「富士山麓にオウム鳴く」と記憶した方が容易だ。

なぜかといえば、

「8478502165」なら、10個の数なのでチャンク数は10
「8886677777」なら888 66 7777と3つの数として記憶できるからチャンク数は3
「2.2360679」なら「富士山麓、オウム、鳴く」でチャンク数は3

ということになるからだ。パターンのグルーピングや言葉のイメージ化によって、長い情報の部分を記号化する刺激を与えることで、チャンク数を減らしていけば、人間はもっとたくさんの要素数からなる情報を記憶できる。この実験でも、0と1からなる18桁の2進数「101000100111001110」を桁数の少ない10進数に変換することで、4か5チャンク程度まで圧縮して記憶できることが検証されている。また、以前読んだ本では、円周率の暗記の世界チャンピオンも語呂合わせで記憶していると書かれていたが、これもチャンク数を減らす努力だろう。

・参考:周期表の覚え方
http://www.d2.dion.ne.jp/~hmurata/goro.html

さて、この古典理論を持ち出して何を展開したいかというと、私は今、以下のサイトでWebドメインのマーケティングについて連載を持っている。ここでネタとして考えていることをこのBlogでも議論してみたいのだ。

・Webドメインマーケティング
http://webdomainmarketing.jp/
index_img_04.jpg

Webドメイン名は、短くて覚えやすいほどよいと言われるが、必ずしも短い=覚えやすいではないのではないかということだ。ドメインとして理想的なのは3チャンクのドメインであろう。例えばこのサイトのドメインは、

www.ringolab.com
-1- -2- -3-

だったら、3チャンクだ。www.社名や一般名詞(一語)+.com(jp)クラスの長さが基本単位と考えている。

最近社名変更した「メルコ」ブランドで有名なメーカーバッファローのドメインは、melco.co.jpが他に取られていたため、

www.melco inc.co.jp
-1- -2- -3- -4- -5-

となり、5チャンクとなっている。incがチャンク数に+1している。若干覚えにくい。

文字数が長さとは比例しないなとおもったのは、この記事で取材した、お台場の温泉の二つのURLの例がある。

大江戸温泉物語
http://www.ooedoonsen.jp/ (PCサイト)
http://oom.jp/ (携帯サイト)

というふたつを見たとき、PCサイトのURLは3チャンクといえるから覚えやすいが、携帯サイトは携帯では入力しやすいが意味が分かりにくくチャンクをまとめにくい。「oom」だけで3チャンクを使うので記憶しにくいと感じた。(これが大江戸温泉物語の頭文字だと分かったら記憶しやすくなったが、当初分からなかったのだ)。

プロトコル名のhttp://やディレクトリ階層も加えるとなるとさらにチャンク数は増えるわけだが、問題は文字数ではなく、チャンクの数が問題であることがわかる。標準が3チャンクであり、多くの人はその数字を期待する。

そこで

告知したいドメイン(URL)のチャンク数のマジックナンバーは3+1程度

と言えるのではないか、と私は結論している。これを超えると急に記憶が難しくなってくる。このルールはWebマーケティングのプロセスで適用できるはずだ。

例えば私のBlogのURLは不合格だ。広告に出すとして、

「www.ringolab.com」ならよいが「www.ringolab.com/note/daiya/」はアウト。

大手企業のWebのプロモーションキャンペーンではユーザにURLを認知させ記憶にとどめさせることに巨額の予算が投じられている。その割に、ドメイン名はいいかげんで非科学的な思いつきで設定されてしまうことが多い。「覚えやすさ」をもっと科学してもよいはずだ。

一度機会があればこのURLの認知については、実験で検証してみたいとおもっている。みなさんの意見もうかがいたい。

最後に余談だが、世界一長い(ハイフンなし)ドメインは、58文字のこれである。

・58文字の世界一長いドメイン
http://llanfairpwllgwyngyllgogerychwyrndrobwllllantysiliogogogoch.com/

これはウェールズ語で英語にすると「The church of St. Mary in the hollow of white hazel trees near the rapid whirlpool by St. Tysilio's of the red cave」という意味らしい。チャンク数にすると13程度になるだろうか。一見、覚えるのは無理と感じるが、9の上限値を超えているものの、これでも記号化してチャンク数を減らせば、普通の人でもがんばって、覚えられないこともない、ということになるだろうか。

覚えてみると面白いかもしれない。

「世界一長いドメインってこれだぜ」と言いながら58文字を鮮やかにタイプして見せたら、横で口をあんぐりとさせる友人の顔が目に浮かびそうでは?

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2003年09月17日

日本経済新聞のトリビア

先日、コンセプトドライブのリリースを日経産業新聞に掲載していただいた関係で、広告部から営業の方が来社され、日経の広告についてお話を伺う機会がありました。読み応えのある「日本経済新聞メディアデータ2003年度版」と、「日経広告料金表2002年4月」を頂きました。

で、分かった日本経済新聞のデータトリビアをまとめてみました。どれくらいご存知でしたか?。(出典は上記2つの小冊子)。

日経トリビア:

・部数は朝刊304万5168部。夕刊165万2376部。国際版47166部

・北海道など日経の夕刊が発行されていない地域が19県もある。

・日経だけを読んでいる世帯。49.6%

・東京本社版に一番安く広告掲載するには「案内広告」で2行22000円である。
「ワルカッタ、タロウ、スグカエレ」みたいなやつ

・一部上場企業勤務者が3割近く、役員クラスが8%以上。

・購読者の平均世帯年収は1072.6万円で日経を読んでいない人より300万円以上上回っている。

・購読者の平均世帯貯蓄総額は1361.5万円と日経を読んでいない人より500万円以上多い。

8割弱が持ち家で、完全週休2日、世帯人数3〜5人

・日経読者のインターネット普及率は62.1%で他のどの全国紙の値よりも高い。

・パソコンが得意な方だ、33.8%

・読者の一ヶ月の小遣い平均38006円10万円以上が9.3%

・閲読時間は平日平均27.2分、土日は30分台と少し長い。

41.0%15年以上継続購読している。

・貯蓄・投資残高3000万円以上の86.7%が日経を読んでいる。

・日常会話ぐらいは英語で話せる、31.3%

・糖分の取りすぎに注意している、74.7%、塩分の取りすぎに注意している、60.8%

・広告の注目率。B&W(モノクロ)37.1%、一色48.95%、カラー56.78%

Posted by daiya at 00:44 | Comments (0) | TrackBack