2008年04月05日

連合赤軍「あさま山荘事件」の真実―元県警幹部が明かす

・連合赤軍「あさま山荘事件」の真実―元県警幹部が明かす
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群馬県下の山岳アジトにおいて陰惨な大量リンチ殺人を犯した連合赤軍の幹部ら五名が、昭和四十七年二月十九日、ここ南軽井沢「あさま山荘」に押し入り、管理人の妻を人質に、包囲の警察部隊に銃撃をもって抵抗するという、わが国犯罪史上まれにみる凶悪な事件を引き起こした。警察は、人質の安全救出を最高目標に、厳寒の中あらゆる困難を克服しつつ、総力を傾注した決死的な活動により、二月十八日、二百十九時間目に人質を無事救出し、犯人全員を逮捕した。」(「治安の礎」碑文より)。

事件発生時に私は2歳だったので、この世紀の大事件の記憶はない。事件を題材にした映画や小説を通して大人になってから全貌を知った。あさま山荘のドキュメンタリは何冊もある。警察庁特別幕僚の佐々 淳行氏が書いた本などが有名だが、この本は当時の県警本部第二課長が現場側の視点で綴っている。上層部の思惑や権力争いの代わりに、現場の淡々としたリアリティがあって凄味を感じる。

著者は事件を日誌的に記録している。<情勢の分析><警備方針><部隊配置><装備資材><重点実施事項><警備体制>などの項目で、簡潔に事態推移を記録する。人質をとっての籠城戦略の手ごわさが印象的だ。10日後に犯人全員逮捕と人質救出を成功させるものの死者3人、負傷者27人の犠牲を出した。

犯人一味の数は(警察は最後まで把握できなかったのだが)たったの5人。包囲する警察は1000人以上であった。「隊員の二十代の若者らに対して、『明日は死ぬかもしれないが、その危険な任務に就いてくれ』と命じて、それが計画どおりに遂行されること、それは考えてみれば実に大変なことだと思う」(警備本部長)。決死の覚悟の突入現場でどんなやりとりがなされていたのか、案外浪花節であったりするのだが、現代でも本当にそのような場面では、こんな風なのかもしれないな。

なぜ突然この本を読んだかというと、ベルリン国際映画祭では最優秀アジア映画賞と国際芸術映画評論連盟賞のダブル受賞の映画の予習のため。現在公開中。

実録・連合赤軍 あさま山荘への道程(みち)
http://movie.goo.ne.jp/contents/movies/MOVCSTD11914/index.html
若松孝二監督。

・あさま山荘事件
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%82%E3%81%95%E3%81%BE%E5%B1%B1%E8%8D%98%E4%BA%8B%E4%BB%B6とても充実した記事。

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2008年04月02日

カラー版 カメラは知的な遊びなのだ

・カラー版 カメラは知的な遊びなのだ
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1 常にカメラとともにあるべし
2 バッテリーは常に切らさないように注意すべし
3 最初の1枚に、真実がこもっている

などと始まるチョートク流カメラ指南十二か条から始まって、カメラの購入アドバイスや正しい工業デザイン論まで、カメラを巡る薀蓄エッセイ集。ところどころに、撮影したカメラが気になる、雰囲気のあるカラー写真が満載。

カメラマン、カメラコレクターとしての芸暦が長い著者だが、まだまだ現役であって話は銀塩懐古趣味には終わらない。「容量の少ないメモリーカードを使うべし」「RAWモード使うべからず」などデジカメ時代ならではのアドバイスがいろいろとあるが、極めつけは「デジカメは1年で2万円分」だろう。(コンパクトカメラの話)

「デジタルカメラは、型遅れでも全然問題ありません。だって、デジカメは3年も使わないんだから。使っても1年半か2年で、それで次のに買い替えちゃう。今のデジカメってそうなんですよ。たかだか1,2年のために、7万円も出すのは嫌じゃないですか。ただし、3年使うならば、7万円ぐらいでもいいかな。つまり1年2万円分だとしたら、3年経ったら6万円ということでしょ。そういう減価償却の考え方をすれば、高いお金出してちょっと自慢しながら、3年楽しむというのもありだと思いますね。」

この「7万円」の、というのはGR Digitalあたりを指しているようだ。私のデジカメ遍歴でもだいたいコンパクトカメラは4万円前後の機種で、2年で(壊れて)買い替えている気がする。この1年で2万円というの数字はかなり適切なのかもしれない。

田中長徳氏は趣味道楽のカメラの人だから、スタイルが無粋なのは許せないらしい。ケータイのカメラについてはこんな風にこきおろす。

「なぜケータイが、カメラのメディアとしてダメか。最近のケータイって性能はいいんです。500万画素くらいあってね。ところが、あの格好がよくないんです。あれを、腕を突き出して撮っていると、「ケータイを持って写真を撮っている人」って意外には全然見えない。「ケータイを持って写真を撮っている人だけど、実はすごい有名なジャーナリスト」だなんて誰も見てくれない。今の世の中で、ケータイを持っている人の姿っていうのは「ケータイを持っている人」以上の存在にはなれない。」

この指摘はかなり正しいと思う。撮る姿がさまになるカメラ付き携帯というのをメーカーは開発すべきであると思った。

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2008年03月26日

写真家の引き出し

・写真家の引き出し
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写真家 小川義文氏の写真とエッセイ。
http://www.crossroad.tv/
著者のオフィシャルサイト

私は車には乗らないしモノとしての車にもまるで興味もないのだが、この自動車写真本にはすっかり魅了されてしまった。ジャガー クーペ、ランドローバー ディスカバリー、ボルボが、自然や都市を背景に、ありえないほど美しく撮影されている。

「19世紀の人々にとって、写真術は移ろいやすい自然を永遠に固定するという長年の夢を実現してくれる手法だった。現代のデジタルによる写真術は、本物よりもっと本物らしい、まるで虚構のイメージにさえ思えるほどクォリティの高い画像をつくり出すことが可能になった。」

クルマというのは街にありふれていて、普通に写してもオモシロい写真にはならないものだが、この本に収録された作品は露出も構図も計算されつくしていて、一枚一枚がまるで美術館の絵画のようだ。

これらはすべてデジタルカメラによるもので、デジタルフォトの真髄を著者は「写真を絵画化すること」と語っている。それは撮影後のデジタル加工も含む。

「私の写真は非現実になろうとしているかもしれない。写真の目的が、写実からより絵画に接近しているのだから。写真に写し撮られたものは実在であることを意味するが、芸術におけるリアル(真実)とは、現実をそのまま再現することではないはずだ。それは、作家の主観と創意とを通じて選択された事実である。」

クルマに特化した作品が何十枚も続くが、飽きることなく楽しめる。作品をテーマに写真術を語る数ページのエッセイが間に16本挟まれている。写真と文章の配分が絶妙で、写真展にいって作品の横で作者の話を聞いているみたいな体験ができる本である。

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2008年03月24日

植田正治 小さい伝記

・植田正治 小さい伝記
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雑誌「カメラ毎日」に1974年から1985年までの間に13回発表された、植田の作品群(写真とエッセイ)が収録されている。先日紹介した「植田正治の世界」は関係者による360度評価のような本であったが、こちらでは本人の肉声がきける。

伝記というシリーズタイトルについては本人がこう語っている。「その「伝記」という言葉を使うのはちょっと気になったんですよ。なんか思い上がったような感じでちょっと気になったけども、切羽詰ってそういう題つけてね。それから言い訳になりますけど、伝記というのは私自身のたどった道、これからたどるであろう道であるし、それから撮ってる被写体、対象のそのときの記録ということは、撮られた人物なら人物のひとつの伝記の1ページになるであろうという気持ちなんですよ。」

断続的だがシリーズが8年間続いたことで、実際、植田正治のある時期の伝記的内容となった。植田が約50年前に撮影したが未現像のフィルムを新作として発表した回もある。カビに浸食されたネガから1930年代の日本の情景が現れる。驚くべきことに「植田流」はその頃から変わっていないことがわかる。

植田正治の作品の最大の魅力は構図の面白さなわけだが、一般に写真術で言われる構図のタブーをしばしば犯しているのが興味深い。メインの被写体をど真ん中に配置してしまう日の丸構図とか(ローライフレックスの正方形写真では一層それが目立つ)、人間の背景に電信柱がある串刺し構図などを堂々とやっている。それが印象を悪くするどころか、効果として活きているのが凄い。

日常をどう写せば非日常になるかを徹底的に考えつくした写真家なのだ。そしてそれは田舎暮らしから育まれた才能でもあったらしい。「それはとにかく外国行ったら、もの珍しい、右向いても左向いてもシャッター押しますね。それは写真になると思うわ。山陰におるとなかなか写真になる対象に恵まれん。」と話している。

植田は自分の作品について「非常に空間がとぼけてる写真かもしらんなァ」と述べている。これ以上ないほど的確な説明だと思った。植田作品はメインの被写体へのピントは常に完璧に合わせている。背景は砂丘や曇りの白い空であることが多いから、当然のことながら被写体だけが中央にぐぐっと浮き上がり、広がる余白との絶妙のバランスが「とぼけた空間」の一因になっているようだ。

カメラ雑誌などの月例コンテストで植田流を模倣した作品をよく見るが、本家の持つ、そのとぼけ具合がない。まじめに計算して作ってしまうととぼけたことにならないようだ。「五十年間つづいた道楽が我が写真家としての取り柄ならん。」と語り生涯「アマチュア」として生きた植田だったからこそ、究めることができた遊びのセンスだったのかもしれない。

・植田正治の世界
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/005283.html

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2008年03月12日

植田正治の世界

・植田正治の世界
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植田正治の砂丘写真シリーズは演出表現があまりにもユニークであった。一度見ると忘れられない。なにもない真っ白な砂丘の上に、計算された構図に並べられた人間たちは、みな普段着でなにげない表情をしている。植田正治の写真は完全に作為の写真だ。日本の写真文化はリアリズムの価値が中心的であったから、アート志向の植田正治は鳥取という地域性と相まって周縁で異彩を放つ存在でありつづけた。2000年に他界したあとその作品は海外でも展示されて、今また高い評価をされている。

・植田正治美術館
http://www.japro.com/ueda/

・植田正治事務所
http://www.shojiueda.com/jp/index.html

この本は本人の言葉や家族の証言、そして同時代の写真家や評論家たちの回想によって、植田正治の表現世界を立体的にうかびあがらせる。代表作の紹介や植田が生きた環境の取材記事などコロナブックスらしいビジュアルなドキュメント。

植田正治の作品には同じ女性や子供がよくでてくる。ここに出てくるモデルは植田の家族や近縁の人たちだったのである。子供を実にいきいきとした姿で写す写真家だが、実態は別にこだわっていなかったらしい。

「親父はごく一般的な親父ですね。子どもにあまり興味がない。ほったらかしもいいところで、ほんとうに毎日のように写真を撮りにでかけては、夜帰ってきました。」と息子は証言する。本人の言葉もそれを裏付ける。「僕は子供の世界を撮ろう。子供の世界を表現してやろうというのはない。僕はあれは物体として使っていますから」。

土門拳は「絶対非演出の絶対スナップ」と言ったが、植田正治は絶対演出写真の人なのである。植田と交流のあった荒木経惟は「私も子どもの写真は得意にしてたんだけど、自分のネオリアリズム風のどろどろした現場っぽい写真と違って、植田さんのは、あっちの国のみたいにさ、スッキリしているわけだよ。時代とか場所とか環境なんて、ぜんぜん意識していない。もっとピュアに、子どもの気持ちとか子どもに対する気持ちとかが写ってる。」と評している。

植田正治の砂丘写真はリアリズムの対極で、もはや絵画といってもよいほど緻密に計算された表現である。しかし、そこに写ったモデルの表情は余計なものが一切ない背景だからこそ、すごく生々しく質感がある、リアルに感じる。よく教科書で「写真は引き算」というが、まさに典型的な引き算のお手本を貫き通してアートにしたのが植田正治なのである。

・写真批評
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/005242.html

・土門拳の写真撮影入門―入魂のシャッター二十二条
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004954.html

・東京人生SINCE1962
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/005034.html

・遠野物語 森山大道
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/005029.html

・木村伊兵衛の眼―スナップショットはこう撮れ!
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004923.html

・Henri Cartier-Bresson (Masters of Photography Series)
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004931.html

・The Photography Bookとエリオット・アーウィット
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004958.html

・岡本太郎 神秘
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004986.html

・マイケル・ケンナ写真集 レトロスペクティヴ2
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/005007.html

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2008年03月02日

ギネス世界記録 2008

・ギネス世界記録 2008
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年間65000件が申請され厳正な審査のもとに1500件が認可される世界記録の殿堂ギネスブック。オフィシャルサイトをのぞくと「『ギネス世界記録』の歴史」が次のように語られている。

「1951年、当時ギネス醸造所の代表取締役だったサー・ヒュー・ビーバーが狩りに出かけたとき、仲間と議論をしました。それは、「ヨーロッパでもっともはやく飛ぶ猟鳥は、ヨーロッパムナグロとライチョウのどちらだろうか?」というものでした。そこで彼は、こういった疑問に答える本を出せば、人気が出るのでは、と思いついたのです。サー・ヒュー・ビーバーは、ロンドンで情報調査会社を経営していたノリスとロスという双子のマクワーター兄弟に、世界一の記録を集めるよう依頼しました。そうして、『ザ・ギネス・ブック・オブ・レコーズ』(現在の『ギネス世界記録』)として出版されたのです。1955年8月27日に発行された初版は、その年のクリスマス前には、イギリスでベストセラーとなりました。」

やがて、その記録集は37の言語に翻訳され、100か国で通算1億冊以上売れている本になったのだそうだ。自動車の利用を促進するためにタイヤメーカーのミシュランはレストランガイドを発行したそうだが、ビールメーカーのギネスとしては、いろいろな世界一を話題にしながら一杯やって盛り上がってくれということなのだろうか。

私はギネスブックを5年おきくらいに買っている気がする。いつのまにかカラー写真が大量に使われた図鑑のような本になっている。子供のころのギネスブックはこんなにビジュアルではなかった気がするが、世界記録の凄まじさが一目瞭然に分かって楽しい。

そして馬鹿話のタネにはぴったりである。洗濯機を投げた最長記録、茶わんをお腹に吸いつけて乗物を引っ張った最重量記録、ひたいでスイカを割った最多記録、最も多くの本を逆にタイプする記録など、なんでそんなことにチャレンジしたのかと問い詰めたくなるような項目でいっぱいなのである。100メートル走とかマラソンの記録のような真面目なスポーツ記録は巻末におまけのように収録されているだけである。

世界記録は目指してとるものだけではなくて、先日引退したキューバのカストロは暗殺未遂の最多記録638回を誇る、とか、もっとも多くの従業員を抱える事業体はインド国営鉄道で2000年時点で165万人の正社員がいたなどの事実も含まれる。

そして圧巻は「世界最大の○○の写真」だ。○○には虫とか動物(ヒトも)などが入るのだが、世界最大のカタツムリ(実物大)とか、ムカデ(実物大)とかナナフシ(実物大)とかは、SFチックであり、もう勘弁してくれという感じである。でも怖いもの見たさでついついページをめくってしまうのである。

ビジュアルで話題性のある記録中心に編集されているせいか、昔のギネスブックよりも、娯楽性が高い内容になっている。偉人よりも奇人変人が目立つということでもあるのだが。ブロガー向きでもあると思う。この本はやはりネタの宝庫であるから。

・ギネスワールドレコーズ オフィシャルサイト
http://www.guinnessworldrecords.com/ja/default.aspx

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2008年01月29日

写真批評

・写真批評
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土門拳が1950年から1963年(昭和25年から38年)にかけて、カメラ雑誌の月例審査員として書いた数百本の講評をまとめた本。毎月、編集部に送られてくる大量の写真から、掲載する写真を選び、順位をつけ、個々に批評を書いた。

土門拳は当時既に有名なプロの写真家であるから、アマチュアの投稿写真に対しては、何を書いても、高所から物を言う構図になる。審査員が楽をしようと思えば、その構図に逃げ込んで、好き勝手に抽象論を展開していればよかったはずだ。だが土門拳はそうはしなかった。一歩も引かずに、同じ表現者同士という立場で、投稿者に全力でぶつかっていった。

総論中心の「写真作法」と違って、この姉妹編「写真批評」の土門は徹底的に各論アプローチで批評を行う。投稿されてきた個々の写真や投稿者に対して、具体的な意見を言うのだ。常に「私だったらこう撮る」という明解な自論を確立した上で、いったん投稿者の目線まで降りていって、真摯な意見をぶつけている。内容は褒めることは稀で、表現手法を否定する厳しいものが多い。つまり、”降りていって殴る”批評だ。

土門拳は相手よりも自分に厳しい求道者である。それが読み手にもひしひし伝わってくるから、同じ基準で投稿作品を叩かれても、納得できるのだと思う。まえふりや総括に触れた個所からは、作品の審査過程の意気込みも、投稿者以上に感じられる。入選と落選を、本当に泣きながら選んでいるようなのだ。

そんな殴る側の厳しい覚悟と後進に対する熱い情熱によって、その言論行為は、破壊的な暴力ではなく、迫力のある批評になっている。これぞ本物の批評だと思う。専門家として何かを批評する仕事のお手本として、背筋を伸ばして読む本だ。

技術自慢の上位入賞の常連に対しては「大しておもしろくないものを、技術だけでものにするという、腕だけで見せているといえなくもない」とし、こんな風にを書いている。

「構図法というものは、モチーフの内容の必然性に沿って逆に出てくるものであって、構図法にあるモチーフを、ワクをきめて、はめ込んでしまうというのでは逆である。そういうことをすると、技術で、でっち上げた写真になってしまう。ベテランであればあるほど、そういうことになる危険をはらんでいる。そんなことにたよらないで、生まれて初めて写真を撮る、生まれて初めてカメラを握ったというような、赤ん坊のような、フレッシュな、初発的な謙虚な気持で撮らねばならない。」

心・技・体の三位一体を追究する人である。理想は果てしなく高い。

・土門拳の写真撮影入門―入魂のシャッター二十二条
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004954.html

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2007年12月26日

ブログ・オブ・ウォー 僕たちのイラク・アフガニスタン戦争

・ブログ・オブ・ウォー 僕たちのイラク・アフガニスタン戦争
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日本のマスメディアにはほとんど登場しない、米軍兵士の生の声が読める同時代の秀作。

「全米「ブログ・アウォード」ベスト・ミリタリー・ブログ賞を3年連続で受賞した人気ブログ「Blackfive」。そのBlackfiveに寄せられた多数のブログから63のエピソードを厳選して収録!戦地の生活、仲間の死、現地民間人との交流……兵士たちは実際に自分が目にしたことや体験したことを、あるいは祖国に待つ家族や恋人たちへの思いを、自らの言葉で語っている。

米国のブログにはミルブログ(ミリタリー・ブログ)というジャンルがある。この本はそうしたミルブログのポータル的人気サイトBlackfiveに寄せられた戦争体験記である。

・Blackfive
http://www.blackfive.net/

Blackfiveには写真やYouTube動画と一緒に兵士や家族からの投稿が今も寄せられている。今なら「戦場のメリークリスマス」の報告があがっている。(広告もいっぱい掲載されているのはアメリカらしい気がする。)

数年前に映画「ブラックホークダウン」を見たときと同じ衝撃を受けた。1993年10月3日の米軍によるソマリア侵攻の失敗を描いた戦争映画だが、現代の本物の戦争(白兵戦)が描かれていた。いくら近代兵器と豊富な物資で武装していても、決死のゲリラ戦に出てくる敵兵とやりあうのは命がけだった。生々しいブログレポートから、イラク・アフガニスタンでも、前線の兵士たちは死と隣り合わせの日々を送っていることがわかる。

多くの兵士ブロガーたちは愛国心に燃えている。国のため、家族のためという大義のために戦っている。そう思わないと過酷な軍隊生活を生きていけないからであろうが、軍隊生活や戦闘行為をあからさまに美化している兵士も結構多いのである。このレポート集はアメリカの愛国主義のヤバさの見本市でもある。

ところで、兵士たちがこんなに戦争の日常をブログに書いてしまって大丈夫なの?秘密漏えいとかはないの?と思ったら、ちゃんと後書きに、最近の軍の情報統制の実施が書かれていた。現在の米軍ではここまで自由な発言は許されていないそうだ。この本は兵士たちが本音を語ることができた最後の時期の、貴重な記録なのである。

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2007年12月12日

X51.ORG THE ODYSSEY

・X51.ORG THE ODYSSEY
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オカルト情報サイトとして有名なX51.orgの主宰者が、UFOやUMAの謎を解明すべく、世界中の目撃現場を探査した数年がかりのドキュメンタリ。「エリア51」「ロズウェルUFO墜落事件」南米ナチス残党のUFO基地「エスタンジア」ヒマラヤの地価帝国「シャンバラ」雪男「イエティ」の真実を探した記録。

・X51.ORG
http://www.x51.org/

X51.orgは昔から読んでいたが、どういう人が運営しているのだろうとずっと気になっていた。この本を読んでも著者のプロフィールはよくわからないのだが、この道の追究にかけては、半端な趣味ではなくて筋金入りだということがよくわかった。

「しかし結局、いくらネットで情報を集めてみたところで、これら世界の謎の真相に近づきようもなかった。そこにはさらなるカオスが生まれ、本当らしい情報も嘘臭い情報も、肯定意見も、ひてい意見もあふれていた。事がはじまるのもモニターの中ならば、終わるのもモニターの中だ。検索エンジンや海外のニュースサイトを見つめながら、何かを知ったような気持ちになる自分に対する、いらだちだけが募っていったのである。それらを信じることも、否定するのもたやすいが、それは結局、私が子供の頃にしてきたように、テレビや雑誌に身を任せるのと、何も変わらなかったのだ。だから私はマウスを置いて、リュックを背負うことを選んだ。」

写真入の現地レポートは、実際には現場ではどんなノリでUFOやUMAのネタが扱われているのかがよくわかる。だが、この著者の旅行で超常現象の真相が明らかになるというわけではない。著者は超常現象に対して中立的で、断片的な情報を強引に存在の証拠としたりはしないので、むしろ錯綜する収集情報によって謎は深まったりする。結論が出ないというのが、半ばウケを狙った「怪獣記」とは違って、よりリアルな超常現象調査レポートとして読めて、面白かった。

・怪獣記
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/005148.html

・超常現象をなぜ信じるのか―思い込みを生む「体験」のあやうさ
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/005089.html

・フィールド 響き合う生命・意識・宇宙
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/002668.html

・科学を捨て、神秘へと向かう理性
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/002634.html

・人類はなぜUFOと遭遇するのか
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/002440.html

・脳はいかにして“神”を見るか―宗教体験のブレイン・サイエンス
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/000134.html

・霊はあるか―科学の視点から
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/002003.html

・科学は臨死体験をどこまで説明できるか
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004528.html

最近はUFO映像がネットにたくさんアップされている。フェイクと判明したものもあるが、迫力があったのは以下の4つ。

・米国で近年目撃が増えているUFO Drones

・ハイチに現れたUFO

・UFOが街の上空を飛行

・スターデストロイヤーが飛行!

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2007年12月11日

Snap!とVivitar ULTRA WIDE&SLIM

この本で紹介されているVivitar ULTRA WIDE&SLIMは私も数ヶ月前に購入していた。何本か撮影して、独特の写りに満足。

・Snap! オシャレなフィルムカメラをゆったり楽しむ本
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ハーフカメラやトイカメラなどの特集ムック本。

・Vivitar ULTRA WIDE&SLIM
http://store.yahoo.co.jp/pgear/vivitar.html
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Holga、Lomo LC-Aに続くヒットになるかもしれないと評判のトイカメラを試してみた。周辺光量落ちのトンネル効果が特徴。ボディもレンズもプラスチック製でみるからにチープなつくり。巻き上げ部分の強度が弱そうなことと、縦で写すと指やストラップが写り込みやすいことなど、すぐにわかる欠点がある。しかし、味がある写真がでてきてかなり満足。

さっそく撮影してみた。

・曇りの日のショッピングセンター駐車場
VivitarultrawideAgfaVista082
自宅スキャナーでフィルムスキャン

・晴天 名古屋出張先の近くの公園
VivitarultrawideAgfaVista077
自宅スキャナーでフィルムスキャン

・晴天の日陰
Vivitar ultra wide and slim Agfa Vista
DPEで現像時にフィルムスキャン

Vivitar ULTRA WIDE&SLIM
http://www.flickr.com/groups/57074580@N00/pool/

Flickrに専用のコミュニティがある。

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2007年10月31日

怪獣記

・怪獣記
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これは文句なしにおもしろい。

誰も知らないようなマイナー未確認動物(UMA)を追いかけるのがライフワークの作家 高野秀行による未知動物探索紀行。目撃者の個人情報が掲載された研究書を発見したことがきっかけで、トルコ東部のワン湖に現れるという、巨大な水棲獣ジャナワールを探しに探検隊は調査旅行へ出発する。

現地では「ジャナワールを探しに来た」と言うたびに、笑われ馬鹿にされる一行。それでもめげずに、研究書を書いた怪しい教授や、怪獣を見たと証言する50人もの人々を探し出して真相に迫る。いるわけもなさそうなマイナー怪獣を、大の大人が大真面目に探し回るドタバタが愉快。行く先々で起きるハプニングと意外な発見。探検は後半で予想外にシリアスな急展開を見せたりして、世界はまだまだ探検を待っているのだなあと引き込まれる。

川口浩や藤岡弘、の探検隊シリーズのファンは必読。

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2007年10月22日

William Eggleston's GuideとWilliam Eggleston in the Real World

・William Eggleston's Guide
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最近集めているニューカラー系写真集。

ウィリアム・エグルストンは、写真芸術の大半が白黒だった1960年代後半から1970年代にかけて、カラー写真による新しい表現を追求した「ニューカラー」派の代表的なフォトグラファー。米国テネシー州、メンフィス生まれで、アメリカの原風景を写す。

「William Eggleston's Guide」は、エグルストンが1976年にニューヨーク近代美術館(MOMA)で、史上初のカラー写真の個展を開催した際の歴史的な作品集である。洋書。映画「アメリカン・グラフィティ」のような、当時のアメリカの空気が思いっきり写っているのが印象的だ。

エグルストンは特別な被写体や、意味ありげな構図を選ばない。ふつうの、どこにでもありそうなクルマや通行人や、店の看板や建築のファサード、ホテルの部屋の中などを、ありきたりな構図で写す。目新しさではなく、ありきたりさに心を動かされる。私は70年代のアメリカに住んだことなどないわけだが、そこに映る日常のリアリティにどっぷり浸かれてしまうのが不思議だ。懐かしい気がする。

エグルストンの作品の魅力は、被写体でも構図でもなくて、色合い、光、質感なのだとおもう。だから、ちょっと輪郭を見ただけでは満足できず、質感を味わうためにじっくり鑑賞することになる。全部見るのにずいぶん時間がかかる濃厚な作品集だった。

エグルストンの過去の写真集は国内では売り切れか、高額のプレミアがついたものが多くて入手が難しいものが多い。別の作品を2冊、米国Amazonで注文したのだが、数か月しても商品が見つからずキャンセルになったこともある。オークションでは数万円台に高騰しているものもある。

そこで最近のエグルストンの制作活動のドキュメンタリDVDを発見したので見てみた。未公開の写真作品も収録されているのでお買い得である。(というか、こういうDVDが出て話題になったから写真集が高騰しているのか?。)

・William Eggleston in the Real World
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このDVDはリージョン1 (アメリカ合衆国およびカナダ)なので再生環境に注意。

日々の撮影風景を淡々と記録している内容でエグルストン本人が中判カメラ片手に、南部や中西部の町をうろうろしながら被写体を探している。なにか見つけるとおもむろにパシャっと撮影する。三脚を使わず手持ちが多い。一枚一枚に思い入れを込める風ではなくてあっけなくシャッターを押しているのが印象的だった。撮影場所の映像と作品を見比べることができるのも貴重な体験である。

・Official website of William Eggleston and the Eggleston Artistic Trust
http://www.egglestontrust.com/

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2007年09月13日

猫谷 改訂版

・猫谷 改訂版
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花輪和一の作品はほぼ全部持っている。江戸時代や平安時代を舞台に、魑魅魍魎のでてくる変態漫画が特に素晴らしい。人間の業の深さ、執念や嫉妬といった負の感情を濃縮して、ここぞというところで、ぶわあっと吹き出させる。そのえげつなさに辟易しつつも、慣れると中毒になる。特に油の乗っていた80年代から90年代初頭の作品がこの本に収録されている。久々に読んで花輪作品の不気味な感覚を思い出した。ほんとうに最悪だけど最高である。

花輪和一は銃刀法違反で逮捕された体験が漫画や映画になって大ヒットしたことは有名だが、ホンモノはどういう人だろうとウィキペディアを読んでみると「ちなみに『ちびまる子ちゃん』の登場人物「花輪和彦」は、花輪和一からとられたという。」なんて書かれていて、いっそう得体が知れない。第5回手塚治虫文化賞を辞退していたりして表舞台へでる気はないらしい。ガロ出身のサブカル漫画家の一人。

・花輪和一
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%8A%B1%E8%BC%AA%E5%92%8C%E4%B8%80

花輪和一のおすすめは以下の3冊。


・朱雀門
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・御伽草子
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・新今昔物語 鵺
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2007年09月02日

Portraits of America (National Geographic Insight)

・Portraits of America (National Geographic Insight)
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ナショナル・ジオグラフィックで活躍する現役の写真家 William Albert Allardの作品集。165枚の写真が年代順で並ぶ。

Allardの写すアメリカは日本人になじみ深い東海岸や西海岸だけではない。むしろ、多くの写真はアメリカのど真ん中や片田舎をロケ地としている。アーミッシュやフッタライトなど宗教コミューンに暮らす人々の純朴そうな眼差しや、老いたが尊厳は失わないカウボーイの毅然とした姿、など、ニューヨークやサンフランシスコでは出会わない人々や風景ばかりである。無骨でナイーブなアメリカの全部入り濃縮バージョンというイメージ。

Portraits ofという通り、アメリカの多様な側面が集められている。特に閉鎖的で保守的な社会の人々の、日常生活や素直な感情表現が切り取られているのが興味深い。日本人の我々ではなかなか立ち会えないであろう瞬間ばかりがある。撮影対象の社会に長期間潜り込み、何千枚も撮影することで知られるAllardの真骨頂。

・ナショナルジオグラフィック NATIONAL GEOGRAPHIC.JP
http://nng.nikkeibp.co.jp/nng/mail/ptm/060407.html
ウィリアム・アルバート・アラードのロングインタビュー

ナショナル・ジオグラフィックのサイトにインタビューが掲載されていた。撮影技法がかなり語られている。 「アラードは人物の撮影には、大がかりな機材は使わない。28mmと35mmのごく一般的な広角レンズと、50mmと90mmのレンズを使い、たいていはレンジファインダー式のライカM6で撮影する。」。これってライカなのか!。

撮影のコツ。


■人物の写真を撮るなら、まずその人と親しくなることだ。木陰に隠れて望遠レンズで撮っていては、信頼関係は築けない。物理的に近づくことで力強い写真が撮れるというロバート・キャパの持論は、心理学的にも裏づけられている。あなたが信頼できる人物だということを、言葉やしぐさ、話しかたなどを通じて相手に伝えよう。

■ 構図の定石を知っておくことは大切だが、型にはまった規則に常に従うことはない。「画面を中央で2分割する構図はよくない」というのは単なる一般論で、自分の写真に役立つと思えば何でも試してみればいい。構図は直感的に決めるものだ。私の場合、現在では色や形、光と影の関係からおよその構図がつかめるようになった。

■ 写真を撮るのは、解きかたが無限にあるジグソーパズルを組み立てる作業に似ている。超広角レンズを使いこなすのが難しいのは、パズルのピースの数が多くなるからだ。画面にあらゆる要素をうまく取り込んだつもりかもしれないが、本当にそうだろうか?要素の間につながりがあるか、主題と周囲の要素の関連づけができているか、構図のバランスはとれているか、常に厳しい目でチェックしよう。

■ カメラを構え、さまざまなアングルを試してみよう。よく撮れた写真と真の傑作との差は、わずか数センチであることも多い。ひざをかがめてみたり、右や左に重心をずらしてみよう。視界を15センチ動かしただけでも、大きな変化があるはずだ。

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2007年09月01日

化けものつづら―荒井良の妖怪張り子

・化けものつづら―荒井良の妖怪張り子
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息をのむほど妖艶でリアルな妖怪の造形写真集。京極夏彦の小説の表紙に使われているので、見たことがある人は多いはず。大きな写真で、さまざまな角度から見ることができる。その完成度の高さにきっと驚かされる。細部を見れば見るほど、生々しいのである。

表紙に使われた例:


・狂骨の夢 (講談社文庫): 本: 京極 夏彦
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・姑獲鳥の夏 (講談社文庫): 本: 京極 夏彦
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・魍魎の匣―文庫版 (講談社文庫): 本: 京極 夏彦
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・化けものつづらの展覧会の写真記録
http://ebikani.org/youkai/hariko/hariko.htm

この本にでてくる妖怪は、木型に紙を重ねてはり最後に型を抜く、張り子で作られている。張りぼてであるが故に、たいへん脆いものであるらしいが、紙の持つ独特の質感が、女の艶めかしい柔肌、妖怪のぬめるような皮膚、ごつごつした角や牙などを完璧に再現している。再現していると言っても本物の妖怪は見たことがないわけだが、圧倒的な臨場感を感じてしまう。

少し高めの値段設定だが、印刷やデザインもよくできた写真集だ。京極 夏彦、諸星大二郎、水木しげるあたりのファンなら感涙もので、永久保存版的な一冊。夜な夜な眺めてうっとりできる。

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2007年08月25日

Lego Crazy Action Contraptions: A Lego Inventions Book

・Lego Crazy Action Contraptions: A Lego Inventions Book (Klutz S.)
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Legoの特殊パーツとセットになった子ども向けのテクニック本。紹介作品には、この本の60個の付属ブロックだけで作れるものもあるが、「赤いバケツ」などの標準的なブロックセットを持っているとさらに楽しめる。

付属パーツは歯車やレバー、車軸など、動かす仕組みを作るための部品が多い。組み立ての説明図と完成品のカラー写真と遊び方が紹介されている。リング綴じになっていてパーツを入れる袋も一体になっているので、外出時に持ち歩けいて、子どもに遊ばせることができる。

Legoは大人もはまる。私がはまっている。最近、子どもと遊んでいるうちに、LEGOの完成品をデジカメで記録すると楽しいことに気がついた。赤いバケツの部品で作った最近の2作。つくっているうちに子どもが邪魔するので「えーい、うるさい」と言ってしまったりする本末転倒状態。

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DSCF6276.jpg DSCF6543.jpg
DSCF6685.jpg lego

・The Brick Testament
http://www.thebricktestament.com/


私の場合、まだ写真だが、レゴを使って映像作品をつくるというのは、1ジャンルとして確立されているようである。

・Brickfilms.com
http://www.brickfilms.com/

・IFILM - LEGO Films Collection
http://www.ifilm.com/ifilmcollection/0/22?htv=12

・YouTube Legoの検索結果
http://jp.youtube.com/results?search_query=lego

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2007年08月22日

スナップ写真のルールとマナー

・スナップ写真のルールとマナー
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スナップ写真を撮影するときの疑問に対して、日本写真家協会の著作権委員と協会顧問弁護士が実例を挙げながら、答えて指導する本。こんなとき写真を撮っていいのだろうか、撮影した写真を公開していいのだろうか?、という疑問にマナーとルールそして法律の観点から、明解に答えてくれる。

たとえば、

「歩行者天国で大道芸をしている人を撮りました。まわりには、たくさんの人が写っています。アップではないのですが、みんなの顔ははっきりと分かります。肖像権があるといわれたらと思うと、発表することに躊躇してしまいます。また、大道芸をしている人にも断っていないので、心配なのですが。」

という疑問に対して、自由に出入りできる路上で、多くの人に無料で見せている大道芸は、撮影は自由。多くの場合、写ってしまった見物客も肖像権は主張できない、という風に答えがある。

プロ写真家による撮影術の本はたくさん出版されいて、ずいぶん読んだことがある。多くの本は、芸術や報道のためには隠し撮りも辞さずな強気のスタンスだったりする。プロは命懸けだからその覚悟でいいのかもしれないが、アマチュアは無用にトラブルを招いては危険であるし、そこまでする価値もない。安全な趣味の写真の楽しみ方のガイドとして、この本はとても参考になった。

私が最近気になるのは、自分の子供の写真である。まだ4歳だから本人が肖像権を主張するわけもないのだが、安全上、無暗にネットで公開するのもよくないよなあと考えている。

そこで、編み出したのが正面から撮らない撮影術。背後や真横、逆光をうまく利用して、ネット公開OKな写真をつくっている。


こんなかんじ。↓

Little walker on brick bridge
Spring Day Fujisawa
Enoshima Konica C35 EFP
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2007年08月19日

The Family of Man

・The Family of Man
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米国のアマゾンから取り寄せた。期待通り素晴らしい作品だった。

1955年、ニューヨーク近代美術館(MoMA)で企画された写真展「The Family of Man」は何年にも渡って世界各地で開催されて絶賛され、伝説になった。世界中の有名、無名の写真家たちが切り取った、世界中の人々の人生の一瞬503枚が、この本におさめられている。

「The Family of Man」は若い男女が、芝生や公園で抱き合い、キスして、見つめ合う写真群から始まる。次のパートでは恋人同士が結ばれ、子供を産み、育てていく。男も女も家族のために精一杯働く。子供は無邪気に遊び、学校で学び、やがて一人前の大人になっていく。

幸せなことだけではない。貧困や戦争で死んでいく人たちがいる。苦しい生活の救いを宗教に求める人たちがいる。選挙で社会を変えようと投票する人たちがいる。これは、写真展のプロデューサーEdward Steichenが言う「人々の自身への、家族への、コミュニティへの、我々が生きる世界への、日々の関係」を集めた写真集なのである。

ジェイムズ・ジョイスなど有名な文学作品から引用された詩や名言が、写真の主題が変わる節目ごとに効果的に引用されている。なお、以下の名前のリストのように、20世紀を代表することになる写真家たちが多数参加している。

Elliott Erwitt, W. Eugene Smith, Lee Friedlander, Garry Winogrand, Roy De Carava, Louis Faurer, Ernst Haas, Robert Doisneau, Robert Capa, Cornell Capa, Henri Cartier Bresson, Frank Horvat, Paul Himmel, Rober Frank, Wayne Miller, Eve Arnold, Irving Penn, David Seymor, Burt Glinn, Ruth Orkin, Dorothea Lange, Ansel Adams, Alfred Eisenstaedt, Pierre Verger, Jacob Tuggener, Andreas Feininger, Harry Callahan, Gordon Parks, Ben Shahn, Homer Page, Margaret Bourke-White and Dmitri Kessel amongst many others.

展示から50年後の現在も、根本のメッセージが熱く伝わってくる普遍性の名作。

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2007年07月30日

視界良好―先天性全盲の私が生活している世界

・視界良好―先天性全盲の私が生活している世界
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先天性全盲である著者が、聴覚、触覚、嗅覚をフル稼働させて、どのように世界を認識しているかを書いた本。この表現が適切かどうかわからないのだが、”目から鱗が落ちる”記述の連続である。そして面白い。

生まれてから世界を一度も見たことがない著者にとって、見えないということは何かが欠落しているということではない。視覚ナシで全方位の世界認識を確立しているわけであり、その視界は常に良好なのである。

著者の日常生活の記述は、視覚アリの人にとっては、非日常であり、驚きと気づきの連続である。たとえば「目が見える人が絵を描くとき、目で捉えられないものは描かないという話は私にとって大きな衝撃でした」という一文から、世界認識の大きな違いが見えてくる。

この本は、日々の生活や幼少時代を振り返った短いエッセイで構成されている。それぞれのエッセイには、読者を引き込むトピックが仕込まれているので、ぐいぐい引き込まれる。

「私は嗅覚で空模様がわかります」
「私は毎晩夢を見ます」
「最近料理をよく作るようになりました」
「卓球にも盲人用があります」
「怒り顔ができない」
「アザラシがイメージできない」
「自動販売機のスリル」

「え、それってどういうこと?」、「そういえば見えない人はそれどうやるのだろう?」という疑問に対して、明快な答えを書いている。視覚アリの人向けにデザインされた社会に、視覚ナシの著者が生きるのは苦労が多そうだが、その他の研ぎ澄まされた感覚を使って、上手にこなしていく。ときには自動販売機のランダム押しのようなことを楽しんでさえいる。

この本が素晴らしいなと思うのは著者が、実に楽しそうに持ちネタをしゃべっていることである。目が見えるから見えないことがあり、目が見えないから見えることがある。だから、ピアノを上手に弾くとか、英語がペラペラであるとか、円周率何万桁暗唱できるってどういう体験なのかを、それを得意な人がしゃべるのと同じように、著者は、視覚なしで世界を認識できるとはどういうことなのかを、能力の一つとして、しゃべっているのである。障がい者が健常者に向けて書いた本ではなく、達人が凡人に向けて書いた本なのだ。
だから、広く一般の読者が楽しめる面白い本になっている。

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2007年07月28日

気づいたら、カメラ馬鹿。

・気づいたら、カメラ馬鹿。
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著者は、2004年のイラク邦人人質事件で、日本中から「自己責任」を問われた3人のうちの一人 郡山 総一郎氏。決してふらふらしていたわけではなく、命がけで取材していたジャーナリストだったことがわかる。

「2004年4月の「拘束事件」では、僕がフリーだったがゆえにいろいろと叩かれることになった気がしてならない。もし僕が大手新聞社のスタッフ・フォトグラファーだったなら、あんな状態にはならなかったであろう。」

乳製品を運ぶトラック運転手だった著者は、ある朝、テレビでパレスチナで投石を行う少年たちの映像にひきつけられ、仕事を辞めて、フォトジャーナリストになる。カメラは触ったこともなかったくらいの素人だった。そんな著者が世界を飛び回るプロのフォト・ジャーナリストになるまでの冒険を描く。もちろん写真も多数。

読みどころは、カメラ馬鹿の部分だ。なにも知らずに中古のニコンF2(現代なのに古すぎる!)に始まり、デジカメになってキヤノンに乗り換え、一方でライカに手を出す。道楽カメラではなく、徹底的に実用カメラ遍歴の話である点が面白い。少ない予算をやりくりして、現場で使える本体やレンズの組み合わせを探っている。

プロカメラマンの仕事の過酷さと醍醐味。等身大のフリーランスの生きざまがかっこいいなと思った。ただし、これはジャーナリズム論の本ではない。人質事件のことは、こちらの別の本に書いているようである。

・人質―イラク人質事件の嘘と実
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あくまでこれはカメラ馬鹿の本なのであった。

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2007年07月21日

謎解き フェルメール

・謎解き フェルメール
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オランダの風俗画家ヨハネス・フェルメール(Johannes Vermeer, 1632-1675)についてのガイドブック。新潮社とんぼの本。作品と出身地の町デルフトの写真が美しい。

私は美術史について初心者でこれから詳しくなりたいと思っているのだけれども、この本は知識がなくても、作品の全部鑑賞と背景知識の勉強ができて、素晴らしいと思った。全部鑑賞というのは、フェルメールの作品は現在三十数作しか残っておらず、この本に全作品がカラーで収録されているからである。

フェルメールの代表作は、人物がいる部屋に、向かって左にある窓から光が差し込んでいる構図ばかりだ。これはどうやらフェルメールが絵を描いた家の配置と関係があるらしい。

・牛乳を注ぐ女  (ウィキペディア、パブリックドメインより)
http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/a/a8/Vermeer_-_The_Milkmaid.jpg/180px-Vermeer_-_The_Milkmaid.jpg

タイトルに「謎解き」と入っているのは、

・フェルメールは謎の画家とされているが実態はどうだったのか
・フェルメールが絵を描く際にカメラ・オブスキュラを使ったかどうか
・戦前戦後の美術テロリズムにフェルメール作品が何度も狙われてきた経緯

などを謎解き風に解説しているから。

・フェルメール 「牛乳を注ぐ女」とオランダ風俗画展
http://milkmaid.jp/

国立新美術館で9月からフェルメール作品が展示される。よい予習になる本。

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2007年07月09日

東京人生SINCE1962

・東京人生SINCE1962
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アラーキーは凄いのである、と、えらく感動してしまった写真集。

藤原新也や森山大道の写真集は、ハードボイルドな男の生きざまである。かっこよくて時代性や社会性を背負った劇画モノという感じである。ゴルゴ13みたいである。飾らない風でいてちゃんと飾っている作品だ。それに対して荒木経惟の人生の集大成みたいなこの作品は、男のめめしいセンチメンタリズムの歴史である。もちろん、かっこよさを求めた写真が数としては多いのだけれど、目立つのは、アラーキーが泣きながら撮ったような写真である。

1962年から最近までの200枚くらいの写真が、年代別に収録されている。写真芸術家としての各時代のベストショットの合間に、アラーキーが身内を撮影した作品が挟まれている。

たとえば駆け出し時代の、新婚の妻との幸福な写真は、あまりにふつうなスナップショットだ。どんな夫婦にもある、ありふれた蜜月を素直に写していて、観ている方が面映ゆくなってしまう。作品になろうがなるまいが、写真家は人生を写すのが生きがいなのであった。

この「東京人生」を読むきっかけになったのは、別の本「写真とことば―写真家二十五人、かく語りき」だった。25人の写真家が紹介されているが、ここに荒木経惟が身内の死を撮影したことについての思いを綴ったエッセイが収録されていた。心を打つ、凄い名文である。私はそれを読んで、荒木経惟に強い関心を持った。

・写真とことば―写真家二十五人、かく語りき
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「写真家は、見事な写真作品だけでなく、自らの芸術を言葉でも表現している。土門拳、森山大道、荒木経惟、星野道夫他、代表的な二十五名の写真家達の言葉を収録しつつ、それぞれの芸術を解説する。」


「東京人生」にはそれらの身内の死の写真が含まれる。アラーキーは父親の死に際して遺体を撮影した。苦しそうな死に顔を撮れなくて腕の刺青を写した。母親の死の時には、それが少し残念だったので、今度はちゃんと顔を写した。そして先立たれた妻の死は、癌を知らされた日から、死の直前まで、カメラでたくさん記録して作品にした。

荒木の写真は年代を追うごとに、作為性が薄くなって、真正面から人の笑顔や幸福を写すようになっていく。いわば人生そのものを写すようになる。東京人生というタイトルは、東京で生きてきた著者の人生そのものという意味だ。

「死を感じてるから、ことさら生に向かえという。だからものすごくいい写真は照れとかなんとかが抜けちゃってる。だって最初は、たとえば「冷蔵庫、幸福」とか、バカなことやってるじゃない。それがストレートに、家族がいいんだ、その時の声が聞こえればいいんだ、笑顔がいいんだって、平気で撮れるしね。すごいもんですよ。だからどんどんピュアというかストレートになっていくんだね。」

10年ごとの年代で区切られた作品群を、順番に見ていくうちに、悲しくなって嬉しくなって、自分の人生の一部を重ね合わせてしまって、いつのまにかアラーキーという異人が身近に感じられてくる。それでいいのだ、そうでなくっちゃという気で写真を眺めるようになる。そういう体験は他の写真集で味わったことがなかった。名作だと思う。アラーキーはヌードじゃない方もすごい。

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2007年07月05日

遠野物語 森山大道

・遠野物語 森山大道
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写真家 森山大道の1976年の作品の文庫版。

・森山大道オフィシャルサイト
http://www.moriyamadaido.com/top.html

モノクロで極端にローキーで、こってりと真っ黒で、粒子が粗い写真が並ぶ。眼をほそめて世界をぼんやり眺めているときの見え方だ。白くぼおっと浮き上がる景色は、柳田国男の遠野物語ではなくて、一昔前にどこかで見た日本のふるさとのイメージである。

「僕のように実際に帰るという意味での「ふるさと」などどこにもなく、ただただ恋を恋するがごとく、いい年をして甘ったれて、イメージの「ふるさと」を追い求めている者にとっては、「ふるさと」って、きっと幼時からの無数の記憶のなかから、さまざまな断片をつなぎあわせてふくらませた、あるユートピアというか、「原景」なんじゃないかって自分では思うわけです。そんな僕の「ふるさと」像の具現というか仮構の場所として、僕にはやはり遠野へのこだわりが抜きさしならずあったと言うほかないわけです。」

「だから僕がいまの遠野にカメラを持ってでかければ、たとえ架空のイメージにどんなに憧れていたところで、オシラサマや、ザシキワラシや、カッパたちに会うことはできませんが、そのかわりにアグネス・ラムや桜田淳子のポスターや、萩本欽一のペーパードールにあえるわけですよね。つまりそのことのほうが言うまでもなく大事なことだろうと僕は思うんです。」

ひたすら自らの故郷の原景を追い求めて、クリシェ(典型的なイメージ)を撮ろうとしても、実際に写るのは、クリシェの影としての現実の遠野だったということなのだろう。解説によるとこの作品を撮影中、写真家は長い内省を深めている時期だったらしく、どの写真も心象風景である。夢にでてきた世界をそのまま印画紙に焼き付けてしまったような、印象の強さがある。

・カラー写真を白黒写真に簡単キレイに変換するGekkoDI
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004969.html

・モノクローム写真の魅力
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004940.html

・木村伊兵衛の眼―スナップショットはこう撮れ!
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004923.html

・Henri Cartier-Bresson (Masters of Photography Series)
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004931.html

・The Photography Bookとエリオット・アーウィット
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004958.html

・岡本太郎 神秘
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004986.html

・マイケル・ケンナ写真集 レトロスペクティヴ2
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/005007.html

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2007年07月01日

デジカメのえほん

・デジカメのえほん
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初心者向けのデジカメ撮影ガイド。すごくよくできていて驚いた。

難しい技術の説明はなし。こうするとこう撮れるよ、こんなときはこう撮るといい式の、美しい作例写真と絵本のようなシンプルな説明文だけで、写真上達のコツを教える内容。それでも撮影技術の基本は網羅されているので、めくっていくだけで、カメラやレンズの仕組みが理解できるように思った。少し技術を詳しく知りたい人向けには詳細な文章説明のある「おさらい」コーナーが用意されている。

これまでに読んだどの撮影術の本よりもわかりやすいと思った。アマゾン他で読者に絶賛されているのもうなずける。この絵本に学ぶことはふたつあって、ひとつめは、もちろん、よい写真の撮り方なのだが、ふたつめは、視覚的に教えるやり方である。

このハートアートシリーズは他にも数冊出ているが、どれもビジュアルで一目瞭然に教えることに優れている。わかりやすいプレゼンテーションとはなにかの研究材料にも使える。

・絵のえほん
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・色のえほん
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デジカメのえほンには、マクロモードの面白さも紹介されていた。私はコンパクトデジカメのマクロモードでご飯を撮るのが以前から好きだった。数センチまで被写体に寄ることができるから、料理の質感をとらえて、おいしそうに見える。

・2006年のフード写真集

Food Photo


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2007年06月16日

大人の科学マガジン vol.3 ピンホールカメラ

・大人の科学マガジン vol.3
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ピンホールカメラに興味があるなら絶対に買いのバックナンバーである。

雑誌の付録として立派なピンホールカメラがついてくる。ピンホール部を取り換えることで広角化したり、付属のプラスチックレンズを使うこともできる高機能な逸品。三脚穴があるのもうれしい。

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週末の朝に晴れていると、ピンホールをやりたくなって、家族と一緒に風景や花のきれいな場所へでかける。今日はどんなフィルムで撮ろうかと、買い置きしてある各種フィルムのパッケージを見ながら、わくわくする。針穴写真、なんでこんなに楽しいのだろうか。カメラはいろいろ持っているが、やはりピンホールが一番好きだ。

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ピンホール写真は露光時間が長いのでシャッターを開いて待つ間に数を数える。5秒とか10秒とか、ときには1分とかを勘で決める。数え終わってシャッターを閉じるまで、じっと被写体を祈るようにみつめる。原理的には光の力で撮るのだけれど、気持ちとしては念力で画像を写しているような錯覚をする。それが楽しい。

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ISO400のフィルムを使えば露出ミスはほとんどない。屋外の撮影では、普通は数秒から数十秒の露出幅になるが、適当であってもラボがどうにかしてくれる。「露出過多」のメモがついてくることがあるけれども、だいたい写る。

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午前中に一本撮ってしまって現像に出して、夕方にカフェでプリントを眺めていると、最高に幸せな日曜日になる。さらにFlickrのピンホール写真関連のコミュニティに投稿して、海外からコメントをもらえたりすると、また来週もやらなきゃという気になってしまったりする。

なにやってるんだろうか私は。

でも、興味を持った人はぜひ試してみてください。


・光の神話 心の扉を開くピンホール・アートフォト
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004964.html

・WORLD of PINHOLE
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004933.html

・ピンホールカメラ
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004930.html

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2007年06月03日

36フォトグラファーズ―木村伊兵衛写真賞の30年

・36フォトグラファーズ―木村伊兵衛写真賞の30年
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「日本の写真界をリードしてきた「木村伊兵衛写真賞」の30年の軌跡。最新受賞者を含む、受賞作家36名の作品集。第1~30回の受賞者の略歴と、第30回の受賞者・候補者・選考委員一覧も収録」。

大型本。カラー。

この三十年間に、第一線で活躍した日本のフォトグラファーの作品が一冊にまとめられている。新しい年度順で並んでいるが、年を追うごとに、一目でわかりやすい作品が選ばれるようになってきたのだな、ポップアート化しているなあと感じる。

第6回受賞の「花嫁のアメリカ」は地味なポートレートという絵柄だが、深みがあった。そこに写る人間の表情や肌の皺に、長い物語を感じる。

・花嫁のアメリカ
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「「戦争花嫁」のその後を追い続けた感動のフォト・ドキュメント!!太平洋戦争、朝鮮戦争、ベトナム戦争―敗戦と戦争のもとで契りを結び、母国を離れた「戦争花嫁」と呼ばれた女性たち。言葉の壁、人種の偏見、花嫁たちは異境での人生をどう歩んだのか。反響を呼んだ1978年の『花嫁のアメリカ』から20年、花嫁たちが描いた「歳月の風景」は、人種、家族、愛と喜び、別離や死―人間の生の本質を語りかける。 」


巻末には、篠山紀信、土田ヒロミ、都築響一、藤原新也の豪華な対談も収録されている。この中で、写真家の形式とスタイルについてのディスカッションがあって、

「土田 写真というのは、方法論的には機械を使うわけですよ。8×10、4×5、6×6、いろんなものが多くあって、カメラを選択することで文体を変えられるんですよ。これが写真の表現のすごいところだと僕は思っているんですね。絵画だったり、言葉の人というのは、そんなに変えられないですよ。

 藤原 例えばHIROMIXさんというとコンパクト。蜷川さんはフィルムの選びすら全部決まっちゃっている。アグファの何って、若くして文体を決めている。川内倫子さんは上から覗くローライで、四角で撮る。佐内正史さんは6×7のアサヒペンで自分で焼くとか、ハードを変えない。それが文体につながる。」

というやりとりがあった。プロの世界もとっくにデジタルカメラの時代なのに、なかなかデジカメ写真家がこうした賞を受賞しないのは、明らかな文体感のあるカメラが少ないということなのかもしれない。

第32回(2006年度) の木村伊兵衛賞はこの二人だった。どちらも大変わかりやすいから、写真集もよく売れそう。

・第32回木村伊兵衛写真賞受賞者発表
http://opendoors.asahi.com/camera/kimuraihei_32nd/index.shtml


・梅 佳代 うめめ
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どこにでもある日常の中に、不思議な、微妙なシャッターチャンスを次々にとらえていく天才。目の付けどころが常人と違う。街角スナップが多いという点では木村伊兵衛と共通するが、うめかよは、粋というより笑を追求しているような気がする。

・本城 直季 small planet
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大判カメラのアオリを使った箱庭風写真。すべてが作りもののミニチュアのように見える。

・【写真展リアルタイムレポート】本城直季「small planet」、「クリテリオム67」
http://dc.watch.impress.co.jp/cda/exib/2006/04/21/3674.html

・都市のウソっぽさを表現したい
http://www.tokyo-source.com/japanese/archives/2005/09/012.html#5

・木村伊兵衛の眼―スナップショットはこう撮れ!
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004923.html

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2007年05月27日

ハーフサイズカメラ遊楽

・ハーフサイズカメラ遊楽
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ハーフカメラとは、80年代に流行したカメラの種類名だ。通常の35mmフィルムの1コマを横に分割して規定枚数の2倍を撮影可能にするのが特徴である。36枚撮りフィルムで72枚も撮れてしまうからフィルム代を節約できる。経済的ということで一時は大人気であったらしい。代表機種にオリンパス・ペン、キヤノン・デミ、リコー・オートハーフなどがある。

この本にはハーフカメラの魅力が、カタログ的な機種紹介と実写例多数、思い入れたっぷりのコラムで語られている。ハーフのファンにはたまらない保存版的内容。ハーフカメラでありながら一眼レフの、オリンパス・ペンFなんていう変わり種もある。交換レンズも数十本あって、ハーフ黄金期の憧れであったらしい。中古市場で今も2万円以上する。

10年以上前に新品市場からは姿を消したハーフカメラだが、21世紀に入ってからのToyカメラブームで、中古市場で人気が復活している。私もそのブームで知った。

先日、オークションでコンパクトフィルムカメラ6台セットというのを落札した。その中にオリンパス・ペンEE3がまぎれていた。ジャンクらしいのだが、この本を読んで、早速、フィルムを入れて試写してみた。36枚撮りで72枚撮れるので、なかなかフィルムが終わらない。バチバチ撮る。

・オリンパスペンEE3
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残念ながらこの個体はレンズにカビがあるため、全体が白っぽく写ってしまう。

・写真1 神社

だが、物は考えようで、「これはソフトフォーカス・フィルター付きなのだ」と前向きに考え、こんな風に撮ってみた。


写真2 光の道

幻想的になった。結構よいかも。

EE3は数十年前に絶滅したセレン式露出計を搭載している。暗い場所ではシャッター半押しで露出を測る。暗すぎるとファインダーに「赤ベロ」が降りて、シャッターが切れない。

写真3 光の木

この写真は日没で何度も赤ベロがでてなかなか切れないギリギリ露出の一枚だった。被写体の明るいところを探して、粘る赤ベロと格闘するのが、実は楽しかったりする。ハーフは遊びのカメラなのだからそれでいいのじゃないか。

この機種は絞り優先のマニュアル撮影も可能である。この場合は赤ベロ警報は出ないから、シャッターを強制的に切れるが、露出は自己責任になる。敢えて暗い写真を作りたい時には使える。

こんな風に。

・写真4 暗い渋谷の川


ハーフカメラはフィルムを横に分割するから、縦に長い2コマができる。普通に構えて撮影すると縦位置基本になる。逆に縦に構えて撮ると普通のカメラのように横位置になる。縦位置は作為性がでるから、写真に面白さがでやすい気がする。それが人気の秘密だったのかもしれないと一本取りきって思った。

・写真5 雨の日

お、雨の日だとカビによるソフトフォーカスがばれない。

コダック ウルトラマックス ISO400

日曜日のお気楽カメラとしてハーフカメラはおすすめ。次はキヤノン・デミがほしい。

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2007年04月28日

光の神話 心の扉を開くピンホール・アートフォト

・光の神話 心の扉を開くピンホール・アートフォト
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スピリチュアル系の本を冷やかな疑いの眼差しで見ている私であるが、この写真集にはうっかり癒されてしまった。ピンホールカメラで写真を撮すという行為をセラピー療法として売り出した女性カメラマンによるアートフォト。撮影技法の解説やセラピーのガイドもある。

ピンホールカメラにはレンズがないから、本来はピントという概念がない。普通の写真と比べたら、シャープに撮れたものでもかなりピンボケの部類に入る。光の反射や現像処理の手違いで意外な光の効果が出たりもする。撮りたいようには撮れないのである。だから、偶然の効果で得られたピンボケ写像が自分の心の反映みたいに思えることがある。

「しかし、「撮りたい」という「思い」で写真を撮ること自体が主体的な行為なのです。その上、アングルを見ることができないということは、結果が予測できないため、一枚撮るのに通常のカメラに比べてはるかに勇気がいります。それによって予想できないことに対して自分を信じて思い切って行動する「チャレンジ」を楽しみながら学べます。」

著者は、プロのカメラマンからピンホールフォトのセラピストへ転身した人なので、ポラロイドだがいい写真ばかりだ。くっきりとは写さず、わざとぶらしたりして、抽象的な絵を撮っている。ポラロイドフィルムならではの色合いと粒子の粗さもいいなと思った。

心象風景みたいなピンホール写真で独特なものを私も撮れないかなと思って方法を考えた。使ったのは例のソニプラ入手のピンホールカメラ

まず絵を抽象化するためにフィルムはモノクロでいくことにした。本来は真黒なモノクロが好きなのだが、独創性を狙って逆に真っ白なピンホール写真ってどうだろうかと考えた。敢えて露光過多にしてみよう。そこで、フィルム売り場へ行ってとんでもない高感度のフィルムを探したところ、あった。ISO 3200のモノクロフィルムがあるのだ。

・ILFORD 3200 DELTA
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そして屋外、晴天で露光時間10秒から20秒で撮影してきた。30秒にしたコマもある。このピンホールのスペックが不明だが、適正露出は1秒以下だろう。100分の1以下かもしれない。普通に考えたら真っ白になる。だが現像ラボは粘ってくれるかもしれないと期待。どうなるんだ、いったい。

普通の街のDPEに出したところ、モノクロはラボ送りになるので3日位待ってとのこと。ところが、数時間後に電話がかかってきた。「これは感度がいくつですか?」。「3200です」と答えたら「ちょっとお渡しまでにお時間かかります」との答え。一週間後に受け取りに行ったら、やはり妙なことになっていた。「コマずれがある上に全部真っ白で何か写っているように現像するのが大変でした」とのこと。

フィルムを普通に切れないのでネガは変な返却容器に入っていた。いやあ、困らせて悪いことをしたと一瞬反省、でも相手はプロだから気にしないでもいいか。受付の人も興味がありそうな眼をしていたので「理科の実験みたいなものです」と答えておいた。

できてきたのはこんな感じ。超高感度のざらつきとかろうじて結んだ像。カメラの歴史の始まりのダゲレオタイプ写真みたいである。独特なのは間違いないが、何が映っているのか、よくわからない。心象風景っぽい、かな(笑)。









さて次はどんな実験をしようか。

・WORLD of PINHOLE
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004933.html

・ピンホールカメラ
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004930.html

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2007年04月22日

The Photography Bookとエリオット・アーウィット

・The Photography Book
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古今東西500人の有名写真家の写真を、1枚ずつ500枚集めた写真集。一作に写真家を代表させるというのは難しいと思うのだが、ピンとくる一枚と出会えたら深追いしていくきっかけになる。写真芸術の世界の見通しを作るのによさそうな大判サイズの本。洋書。

それぞれの作品には英語で数行の解説がつけられている。作品を見て解説を読むと1枚当たり、2,3分かかるので、写真集とはいえ読み通すのにはかなりの時間がかかる。毎晩、寝る前に少しずつ味わいながら見ていった。好きな作品に付箋を貼ったら20枚にもなった。

・気になった写真家リスト
Allard William Albert
Burri Rene
Carroll Lewis
Dijkstra Rineke
Erwitt Elliot
Evans Frederick H
Ghirri Luigi
Goldblatt David
Goldin Nan
Gowin Emmet
Groover Jan
Gursky Andreas
Hockney David
Hofer Candida
Knight Nick
Krims Les
Levy & Sons
Lichfield Patrick
McCurry Steve
Parkinson Norman

500人の写真家の個人的なベストを一人挙げるとしたら、エリオット・アーウィットである。ウィットとユーモアに富んだ決定的瞬間を撮り続けている。作品は白黒ばかりだが、強烈な個性があって、アーウィットの作品であることが一目瞭然といっていい。私が利き酒ならぬ利き写真で、かなりの確率で作家を言い当てられる数少ない写真家だ。

私がアーウィットの作品を初めて見たのは、学生時代に聴いたフェアグラウンド・アトラクションというバンドの、アルバム 「The First Kiss of Million kisses」のジャケットだった。バックミラーの中で男女がキスしている印象的な一枚。音楽と同じくらいこの写真が気に入って衝動買いした。それがアーウィットの作品の一部を切り取ったものだと知ったのは数年前のこと。

・Personal Best
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代表作。

エリオット・アーウィットの作品はポートレートでも風景でもない。彼の被写体は物語であり、まさに「情景」という言葉がふさわしい。見るものの感情を動かすドラマチックな場面の連続なのである。

アーウィットの撮影技法について詳しくないが、おそらく一部または多くが作為の演出で作った写真なのではないかと思われる。偶然にスナップしたにしては道具立てや構図が整いすぎている。しかし、その作為は高度に洗練されており、映画のワンシーン以上に背景を物語ってくる。長々と見惚れてしまう。

なお、5月6日まで銀座のシャネル ネクサスホールでエリオット・アーウィットの代表作の無料展覧会が開催されている。ここでは無料でパンフレットと呼ぶにはもったいないくらいの立派な、多数の写真入り冊子が配布されている。この冊子なら1000円でも払うのだが、タダで配るシャネルはえらいえらい、よくやった。

・エリオット・アーウィット写真展
http://www.chanel-ginza.com/nexushall/elliott/

また恵比寿の写真美術館でも5月まで、世界最強の写真家集団マグナム・フォトスの東京写真展が開かれている。エリオット・アーウィットもマグナムの一員であり、こちらでも傑作が展示されていた。どちらもおすすめである。

・”TOKYO” マグナムが撮った東京
http://www.syabi.com/details/magnam.html

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2007年04月18日

土門拳の写真撮影入門―入魂のシャッター二十二条

・土門拳の写真撮影入門―入魂のシャッター二十二条
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近代写真のパイオニア 土門拳はリアリズムを徹底的に追求する写真家だ。「絶対非演出の絶対スナップ」を信条に、戦前戦後の貧困にあえぐ市井の人々や、原爆の後遺症に苦しむ広島の人々にファインダーを向けた。写真集「筑豊のこどもたち」「ヒロシマ」がその代表作だ。

「少しでも演出的な作為的なものが加わるならば、その写真がどんなに構成的に、説明的にまとまりを示していようとも、長い時間の、くりかえしでの鑑賞に堪えないものとして、つまり底の浅い、飽きる写真になってしまうのである」

「モチーフを発見した時は、もうシャッターを切っておった、というのでなくては、スナップの醍醐味はない」

「ボケていようがブレていようが、いい写真はいい写真なのである。そんな末梢的な説明描写にスナップの境地はないのである。スナップはスリのようなものだ」

土門は禁欲的な求道者であり、自らの肉体をカメラと一体化させるための訓練に熱心であった。愛用する135ミリレンズの距離感をつかむため、すべてを7フィート(人物の全身が入る距離)で撮影して、百発百中になるフレーミング技術をまず身につけた。

そしてピント合わせは夜の窓からみえるライオン歯磨きの看板を使って修行する。

「ぼくはそのために、ライオン歯磨のラの字を目標にして、カメラ保持、ファインダーのぞき、シャッター切りという一連の操作を一組にしたトレーニングを横位置五百回、縦位置五百回、合計千回ずつを毎日晩御飯の食休みにやった。本当に撮影しているときの気分を出して、毎日千回シャッターを切った。それも二ヶ月ほどで完全にものにできた」

絶対スナップで世に出た土門拳だったが、脂の乗った時期に、二度の脳梗塞の発作で半身不随、車椅子生活を余儀なくされる。スナップ写真家にとって大切なフットワークを失った。しかし不屈の精神力と肉体修行で復活し、今度は大型カメラと弟子を引き連れた「大名行列」の撮影スタイルで、全国の寺社と仏像を撮影し、代表作のシリーズ「古寺巡礼」を撮り続けた。

・古寺巡礼
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古寺巡礼の写真は画面のすべてにピントを合わせるために、極限まで絞った写真である。絞るということはレンズから光が入る穴を小さくするということである。寺社はもともと暗いから、絞り込んだら普通はちゃんと写らない。

弟子が「暗くて撮影になりません」というと「写る、写ると思って写せば写るのだ」と怒鳴り返す土門。「念力で写すのだ」とまでいう。じゃあ、どう撮りますかと聞かれて、F64からF45というとんでもない高い絞り値でやれと命令する。(一般的に普通のカメラの撮影は1.4から16くらいのはず、しかも当時は高感度フィルムはない)。逆らうとゲンコと怒号が飛んでくる。弟子たちは寒い撮影現場で長時間、ガタガタ震えながら、写るかもわからぬ写真を気合いで撮った、撮らされた。

30分という長時間露光で仏像を撮影し、光不足を補うために何十回もあらゆる角度からフラッシュを焚いた。こうすることで、仏像の質感がはっきりと作品に浮かび上がった。非現実的な光線状態の中で、仏像に魂が宿っているようにさえ見える。土門が撮影技法をどこまで考えていたのかはわからないのだが、結果的には歴史的傑作となった。

リアリズムの土門と、軽妙洒脱の木村伊兵衛は、近代写真の双璧であるが、性格も作風も対極にあった。旦那衆の道楽的な粋を極める木村伊兵衛に対して、貧しい少年時代を送った土門は強烈なライバル意識を持っていたようだ。二人の名前を冠した二つの写真賞が戦後の日本のカメラマンを育てたが、今も両賞の受賞作品はその二つの作風を反映しているようにみえる。

「マチエール」(質感、存在感)を写すために徹底的に絞り込む、肉眼をカメラと一体化する訓練を行う、演出と作為を完全に排除する。それが土門の撮影技法であった。タイトルは撮影技法の本であるが、カメラの操作方法の記述はほとんどない。そのかわり写真芸術とは何かの本質に迫る本である。迫力のある精神論と人生論が読み応えのある名著である。

・木村伊兵衛の眼―スナップショットはこう撮れ!
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004923.html

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2007年04月16日

「私家版魚類図譜」「私家版鳥類図譜」

大ファンの諸星大二郎の漫画。

・私家版鳥類図譜
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・私家版魚類図譜
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諸星大二郎の作品は、大きくオドロオドロしい系と、シュールな喜劇系がある。前者は「暗黒神話」、「マッドメン」、「妖怪ハンター」シリーズなど日本と海外の神話をモチーフにした作品群であり、後者は「しおりとしみこの」などの創作物語の作品群である。
私は前者が圧倒的に好きだ。

・妖怪ハンター最新作
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諸星大二郎の作品に携帯が出てくるのが古いファンとしては衝撃だった。

「魚類」と「鳥類」はともにどちらかといえば後者寄りなのだが、両者が混在した短編集でもあり、魚類が若干前者に近いように感じた。日本神話には海寄りの話が多いから自然とそうしたイメージになるのかもしれない。鳥類の方が哲学的思索的な印象がある。

2冊を通じてのベストは「鮫人」。中国の宋の将軍がひとり謎の漁村に漂着して出会う不思議譚。絵のタッチや物語の雰囲気が諸星大二郎の真骨頂であるドロドロ神話系のイメージに染まっている。

6作収録の鳥類編は、各作のバリエーションが楽しい。諸星大二郎の作品の幅の広さがこの短編集で味わえる。ホラー、ファンタジー、ミステリー、ギャグ、なんだそりゃ、など、次はどう出てくるのか意表を突かれる。

諸星大二郎が、あとがきに文章を書いている(漫画の天才だが文章はなぜか下手)。いつも興味しんしんでこの人の文章を読むのだが、今回もまた拍子ぬけさせられる。「鳥類図譜」と「魚類図譜」が書棚に二冊並べて置いたら気持ちいいなと思ったから、鳥類に続けて魚類を描いただけ、だそうである。作品から深い哲学を感じるのだが、作家は結構、思いつきで描いているようだ。天然の才能はすごいな。

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2007年03月17日

木村伊兵衛の眼―スナップショットはこう撮れ!

・木村伊兵衛の眼―スナップショットはこう撮れ!
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木村伊兵衛(1901〜1974)。20世紀の日本の写真史上、土門拳らと並んで最も有名な写真家の一人である。当時、1台で家が一軒建つといわれたほど高価なライカカメラを片手に、日本と世界の街角でスナップ写真の手法で時代を切り取った。

この本は、木村伊兵衛の代表作品と関係者によるエッセイで構成されている。

「下町育ちで古き良き江戸っ子の粋人ぶりを伝えるエピソードに事欠かない木村のストリートスナップは、「居合術」とも称された。出会い頭にすうっとカメラを構えてパチリ、深追いなしのワンショットである。この人が歩くと、まるで呼び寄せるかのように絶妙のシャッターチャンスが訪れたという伝説もあるほどだ。」

掲載されている代表作は見事である。ページをめくるたびに感嘆する。

有名な街頭スナップだけでなく、女性のポートレートも素晴らしい。

どうやったらこんな表情を撮れるのか?。女優や芸者や祭りの踊り子たちが白黒写真の中から闇の中の真珠のように浮き上がる。艶やかで光を放つ眼が凄い。敢えてぼかされたピント具合が女性の魅力をありえないほど引き出している。

写真家アラーキーのように被写体の女性にこまめに声をかけて雰囲気をつくる人ではなかったようだ。撮影現場にふらっと現れて「なんにもしなくていいです。そこに自然にしてくれればいいです」とだけ伝えて、私どうしたらいいのかしらと戸惑いがちな女性をパチリパチリと撮影したものだという。実はそれが女性の可愛らしさを引き出す極意の術だったのかもしれない。

「相手方から受ける感情を写して行くという内面的なつかみ方と雰囲気をつかんで行って、その中から対象を描き出すという、まわりから入っていく方法」と木村伊兵衛は自身の写真について語っている。

被写体になった人や関係者の証言によると、木村伊兵衛の撮影はあっけないほど短時間に終わってしまうものだったらしい。いつのまにかパチッと撮っているので、撮影されたのを気がつかない人もいたほどである。作為に染まらない自然を写すことを狙ったらしい

この本の面白さのひとつに木村伊兵衛の36枚撮りフィルムのコンタクト(ネガ一覧)が何枚も全部掲載されていること。最終的に作品として木村が選んだ、ひとつかふたつに○がつけられている。その前後に撮影したボツ写真が一緒に見られるのが勉強になる。本当に撮り直しをしない人であったようで、一期一会の居合い斬りに賭ける写真家だったことがわかる。

誰にでもできて奥が深いスナップショットの可能性について知りたい人におすすめである。

・Yahoo!インターネット検定公式テキスト デジカメエキスパート認定試験 合格虎の巻
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004918.html

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2007年03月07日

地球のすばらしい樹木たち―巨樹・奇樹・神木

・地球のすばらしい樹木たち―巨樹・奇樹・神木
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仕事から帰って深夜にひとりでぼおっと見ている本。

英国の貴族で歴史学者トマス パケナム伯爵は1998年に、英国中を旅して巨樹・奇樹・神木を見てまわり、精選したベスト60本の樹木の写真集「Meetings with Remarkable Trees」を出版して絶賛された。これは、その著者が2002年についに世界のベスト60本を選んだ「Remarkable Trees of the World」の日本語版である。大判サイズで重たい、いかにも巨木の本らしい装丁だ。

収録されているのは、どの樹木も味わいぶかい名木である。一本一本が独自のオーラを放っており、特別な樹であることが一目瞭然である。静かに見入っていると風に揺れる木々ざわめきや、朝靄のさわやかさ、太陽のにおいがページの向こうから伝わってくる。

100メートル以上、樹齢何千年、将軍という名の、レッドウッドの巨木に圧倒され、異界に迷い込んだかのような幻想的なバオバブの林に目を奪われる。日本の木も3本ある。日本の老樹は神木である。

写真集だが解説の読み物部分が充実している。それぞれの樹木に伝わる伝説や撮影時のエピソードが見開きの半分を占める。本のサイズが十分に大きいので、片面に解説、片面に写真のレイアウトは正解だと思う。見開き全部を写真に使ってしまうと、中央の綴じ部分が見にくくなってしまうから。最初に写真を心ゆくまで味わい、記事を読んでから、また写真を味わう。じっくりと読みながら長時間、鑑賞できる構成が秀逸。

ここに選ばれたものは老木が多いのだが、半分枯れた樹よりも、力強く生きている樹が魅力があるように思う。樹木が輝くには単体ではだめで、周囲の環境も大切な要素だと知った。中くらいのサイズの樹木に取り囲まれる中で、際立って大きく美しい樹木こそ神々しくみえるものだ。

日本の樹木も神々しさでは上位にあると感じる。屋久島はいつか訪れてみたいと思った。
異彩を放つのは何本も収録されているアフリカのバオバブの樹。著者はバオバブの樹木で別に写真集を出版しているが、この本においても、大きなバオバブの素晴らしさは特筆すべきものがあった。それが立ち並ぶ様は幻想的、人類の原風景といえるものかもしれない。

世界中の選りすぐりの樹木をいつでも大判の写真で鑑賞できる。飽きずに長く楽しめる素晴らしい写真集である。

・WELCOME TO THE TULLYNALLY CASTLE AND GARDENS HOMEPAGE
http://www.tullynallycastle.com/
伯爵である著者の城。

本当に素晴らしい写真集読み物。

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2007年02月22日

ビジネスモデル学会2007年 春季大会で「Web2.0時代のビジネスモデル」講演

・ビジネスモデル学会 - ビジネスモデル学会2007年 春季大会 プログラム
http://www.biz-model.org/modules/tinyd0/index.php?id=14
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ビジネスモデル学会で講演及びパネルディスカッションに参加させていただくことになりました。有料セミナーではありますが、ご関心のある方の参加をお待ちしております。どうかよろしくお願いいたします。

下記にプレスリリースを引用します。

■「Web2.0時代のビジネスモデル」をテーマにビジネスモデル学会
春季大会開催 〜プログラムと参加者募集のご案内〜
2007年2月16日
PRESS RELEASE

NPO法人ビジネスモデル学会(会長:松島克守東京大学教授)は、来る3月29
日(木)に、慶応義塾大学三田キャンパス北館で、2007年度春季大会を開催します。
このほど、春季大会のプログラム詳細が決まり、大会参加者の募集を開始しました。
本大会のテーマは、「Web 2.0時代のビジネスモデル」。昨年来、インターネットの
大潮流となった「Web2.0」の実態と「ビジネスモデル」の変化を検証し、これ
からのビジネスと社会を展望します。

 春季大会の概要と参加要領は、下記のとおりです。
 http://www.biz-model.org/modules/news/article.php?storyid=23
是非、本大会へご参加いただきますようご案内申し上げます。

《2007年度春季大会》概要
名称:ビジネスモデル学会 2007年度春季年次大会
日時:2007年3月29日(木) 10:00〜17:00
 (懇親会 17:15〜19:15)
会場:慶應義塾大学 三田キャンパス 北館 
   URL: http://www.keio.ac.jp/access.html
テーマ:「Web2.0時代のビジネスモデル」
プログラム一覧: http://www.biz-model.org/modules/tinyd0/index.php?id=14
主なプログラムの概要:

☆基調講演:「それから」マーケティング
   〜ソーシャル・メディアと巧みに連携したマーケティング
   〜 Web検索の将来を見据えながら
   講師:データセクション株式会社 代表取締役社長 橋本大也氏

☆パネルセッション:「Web2.0時代のビジネスモデル」
   バネラー:データセクション株式会社 橋本大也氏
        株式会社ホットリンク   内山幸樹氏
        メタデータ株式会社    野村直之氏
   モデレータ・・・北寿郎氏(同志社大学大学院ビジネス研究科)

☆UMTP共催−特別講演:「SOAとビジネスモデリング」
講師:日揮情報ソフトウエア株式会社 常務取締役 岩田 アキラ氏
☆一般講演 :(午前中に、2つの会議室で、各5件、計10件の発表を予定)
   プログラム/スケジュールの詳細は、下記をご参照願います。
   http://www.biz-model.org/modules/tinyd0/index.php?id=14

◎懇親会  :17:15−19:15 (会場:北館 会議室2)

●参加費:
講演会・・・正会員:4,000円(振込前払:3月17日まで 3,500円)
       非会員:6,000円(振込前払:3月17日まで 5,500円)
 懇親会・・・一律  :4,000円 
●プログラムは、都合により、予告なく変更されることがあります。
●開催要領、参加申込み方法、振込口座等、詳細情報は下記サイトにてご確認くださ
い。
   http://www.biz-model.org/modules/news/article.php?storyid=23


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2007年02月20日

イキガミ

・イキガミ 1
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・イキガミ 2
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この国では「国家繁栄維持法」により、小学校入学と同時にすべての児童に予防接種が行われる。その中身は病気を防ぐワクチン注射であるが、1000人に1人の割合で特殊なナノカプセルが注入される。ナノカプセルは18歳から24歳の間に必ず体内で爆発して、その人間を殺してしまう。誰にナノカプセルが注入されたのかは厳重に管理された国家機密である。限られた生を国民に実感させ、社会の生産性を向上させることが「国家繁栄維持法」の目的である。

該当者の家には、死の24時間前に死亡予告書「逝き紙」が配達される。この作品の主人公は「逝き紙」の配達人として役所で働いている。日々、明日死ぬ人たちについて調べ、「逝き紙」を手渡すのが仕事である。告知された人間の中には、自暴自棄になって犯罪を起こすものもいれば、自分が存在した証を作品として残そうと試みるものもいる。ポジティブにせよネガティブにせよ、文字通り必死の生き様である。

荒唐無稽な「国家繁栄維持法」の設定はツッコミ所満載なのだが、自分の人生があと1日しかないとしたら何をするか?を、さまざまな生い立ち境遇の人間の目でシミュレーションできるのが、このマンガの面白さである。登場人物の最後を、自分に重ね合わせて考えてみることは有意義な体験でもあるなと思う。

いろいろ考えさせられるマンガ。おすすめ。

・メメント・モリ - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A1%E3%83%A1%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%BB%E3%83%A2%E3%83%AA

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2007年02月12日

大人のカスタマイズ旅行術・アメリカ編

・大人のカスタマイズ旅行術・アメリカ編
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音楽とITに詳しいフリーライター、Rickdom.comの田口さんが米国旅行のガイドブックを書いた。田口さんは大リーグ(MLB)の熱烈なファンでもあり、頻繁に米国の球場を一人旅で訪問して、ブログに日記を書いている。その経験を集約した実践的な内容である。

・rickdom 田口さんの米国一人旅
http://www.rickdom.com/archives/cat_cat17.html

この本の特徴は、旅行ガイドなのにWebのスクリーンショットだらけなこと。旅行代理店や航空会社、ホテル予約のサイトをどう使うかの手ほどきが、英語が苦手な人でも簡単にできるように、ステップバイステップで丁寧に紹介されている。米国旅行に使えるインターネットサービスをここまで紹介した本は他にないのではないか?とあとがきで著者が語っているように、インターネット時代の旅行ガイドである。

全体的に低予算の旅行を意識して書かれている。「バックパッカーみたいな」気ままな放浪を考えている人に特に役立ちそうだ。アムトラック(鉄道)やグレイハウンド(長距離バス)を使った移動ノウハウに詳しい。著者はライターなので取材旅行の参考にもなる。
私は米国で鉄道も長距離バスも乗ったことがなかったので、そうしたガイドがとても参考になった。選択肢が増えれば可能性が広がる。今度機会があったら試してみたい。現地でのインターネット接続や携帯利用についても、レンタルの仕方や使用法が詳しく解説されている。旅行ブログを更新しながら、気ままな旅をする人に特におすすめである。

米国旅行で便利お得なクレジットカードはどれか、航空券の種類と特徴、Ticketmasterの使い方など、米国旅行の基本から、現地でアクティブに遊ぶための情報がいっぱいある。学生の長期休暇の旅行、社会に出てからはじめての米国出張のお供によさそう。



ミクシイでつながっているご本人にお願いして、直接コメントをいただきました。

「この本で紹介したサイト、サービス、交通手段、通信手段などはすべて僕が自腹を切って取材しています。利用してみて"使える"と思ったものだけを紹介している極めて実用的な書籍になっていると思います。ぜひご利用ください」

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2007年01月22日

心にナイフをしのばせて

・心にナイフをしのばせて
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「1969年春、横浜の高校で悲惨な事件が起きた。入学して間もない男子生徒が、同級生に首を切り落とされ、殺害されたのだ。「28年前の酒鬼薔薇事件」である。10年に及ぶ取材の結果、著者は驚くべき事実を発掘する。殺された少年の母は、事件から1年半をほとんど布団の中で過ごし、事件を含めたすべての記憶を失っていた。そして犯人はその後、大きな事務所を経営する弁護士になっていたのである。これまでの少年犯罪ルポに一線を画する、新大宅賞作家の衝撃ノンフィクション。」

ジャーナリストの著者は遺族たちに直接取材し、丁寧にその後の28年間の軌跡を追った。遺族たちにとって家族を惨殺された事件の衝撃はあまりにも大きく、一時は家族崩壊寸前まで追い込まれていた。悲しみから立ち直り新しい生活を築いていこうとしても、被害者が生きていたらこんなではなかったという思いが残り続ける。遺族は、慰謝料の支払いはおろか謝罪のことばさえない加害者のことを憎むことさえ避けようとしている。事件を思い出すことが辛すぎるのである。

更正の名の下に加害者の人生を保護し、傷ついた被害者の救済をおざなりにする現在の法制度の矛盾が明らかになる。少年事件では、ほんの数年で加害者は少年院を出所してしまうが、遺族の悲しみは一生続く。「あんなことがあった家」という世間の目が何の落ち度もない遺族に突き刺さるのが痛々しい。

少年の凶悪犯罪という特殊性はあるが、大きな不幸を乗り越えていく家族のドキュメンタリとしてもよく書かれていて内容に厚みがある。遺族の理解の元で調査しており、事件報道の手本となる見事な作品である。

最近も猟奇的な殺人事件がたびたび報道される。特徴的なのは、加害者、被害者がブログを書いていたり、ミクシイを使っていたなど、ネット上に痕跡が発見されること。そのような痕跡を見ると、事件は身近なところで起きているとわかって恐ろしくなる。今後はそうした痕跡を収録した事件取材本がでてくるのだろうな。

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2007年01月15日

感染症―広がり方と防ぎ方

・感染症―広がり方と防ぎ方
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先週後半の会議中、熱がある、Wiiの遊びすぎだろうかと真剣に言っていた同僚が、月曜朝に社内MLにこんなメールを送ってきた。

「医者に行ったらインフルエンザと診断されました。タミフルを飲んでいますが高熱で今日はまだ出社できそうにありません。例の会議は明日に延期させてください。」

とりあえず「完全に直るまで家で休んでください。下手をすると会社が全滅しますから」と返信しておいた。私が感染症の本を読んだばかりだったから、というのもあるが、我ながら正しい対応だったと思う。

これは感染症と予防医療の専門家が一般向けに書いた本。インフルエンザやノロウィルスのような身近な感染症から、鳥インフルエンザやSARS、エイズなどの深刻な感染症までを、特に伝播経路に焦点をあてて、わかりやすく説明してくれる。

伝播経路は、

1 病原体が人体のどの場所から出て、他の人のどの場所へ侵入するのか
2 どんな媒体によって運ばれるのか
3 どのくらいの期間生きているのか

の3つで整理できる。これらのポイントを知っておけば、感染症への各自の対策ができるし、過度の心配がいらなくなる。

箸を使い風呂に入りコンドームをよく使う日本人は本来、実に衛生的な国民だそうである。感染症の広がりは、病原体の性質だけでなく人々の生活環境や生活習慣と密接な関係があり、伝播経路の変数に影響している。日本において、世界であれだけ騒がれたSARSやエイズが蔓延しなかったのも、日本人が比較的清潔な生活をしているからでもあるらしい。

実に面白いのが、日本語の発音の特徴が飛沫感染の起こりにくさに関係しているのではないかという著者の発表した仮説である。英語・中国語にはptk(中国語ではさらにqhc)の破裂音のあとに母音がくると息がはげしく出される有気音がある。この発音のときにウィルスの飛沫が飛びやすいのだという。日本語ではそれが無気音になるので、飛沫感染が起きにくいと著者は考えている。

日本語のプレゼンの方が英語のプレゼンより安全ということか。風邪の時には外来語を使うべきではないのか?なんて考えて可笑しくなったが、真面目な医学誌に掲載された話であるそうだ。日本語は清潔な言語と言えるのかも知れない。ちょっと嬉しい。

感染症対策として、清潔であれば大丈夫というわけにはいかないのが難しいところである。清潔な環境では免疫力が育たない。アレルギー症も増えるし、抗菌は薬の利かない菌を作り出す原因にもなる。適度に汚いくらいの環境でこどもの頃にウィルスや最近の感染を受けたほうが丈夫な子供が育つとも考えられるそうである。

生カキには気をつけたほうがいいらしい。カキの養殖場は植物プランクトンが多い下水処理場の近くであることが多いため、下水の中で生き続けるノロウィルスを濃縮してしまうことがあるそうだ。海のきれいな産地を選び、ガツガツ大量に食べないようにするといいらしい。途上国では絶対に食べるなと書いてある。生カキは結構好きなので参考になった。

そして、インフルエンザにはマスク、エイズにはコンドームが効果的な予防策になるという著者の主張は、論旨明快で実践しやすいものであった。著者は、人間が喋るときと咳をするときに口から出る風速を測り、飛沫感染に対するマスクの有効性を検証した。結論としては、非感染者がではなくて、感染者がマスクをするのが最も効果があることがわかったそうだ。

一般には風邪が流行ってくると、予防のためにマスクを非感染者がつけることが多いと思うが、飛沫は乾燥して飛沫核になった状態では普通の薄いマスクは通過してしまう。これを防ぐには分厚いN95という特殊なマスクが必要になる。これに対して、感染者がつけた場合は薄いマスクであっても飛沫が外へ出るのを防ぐことができる。会社でゴホゴホ言っている人が身近にいたらマスクを配るといいわけだ。

エイズが日本で今まで広まらなかったのはコンドームがよく使われる珍しい国だからだそうだ。日本以外ではピルの方が一般的で、コンドームの人気がないらしい。コンドームは避妊以外にも感染症予防効果が高いので、この素晴らしいコンドーム文化を守るべきだと主張している。マスク同様、出口に袋をかぶせるのが有効なのだな。

感染症は目に見えないから心理的に不安である。知識が無ければ過剰に心配したり、効果も無い対策をやってしまいがちだ。この本は、病原体の種類と性質、伝播経路と対応策が明確に書いてあって、情報によって感染症と戦うことができるようになる、いい本だと思う。

・感染症は世界史を動かす
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004403.html

・インフルエンザ危機(クライシス)
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004247.html

・世界の終焉へのいくつものシナリオ
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004729.html

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2006年12月21日

人類の発祥、神々の叡智、文明の創造、すべての起源は「異次元(スーパーナチュラル)」にあった

・人類の発祥、神々の叡智、文明の創造、すべての起源は「異次元(スーパーナチュラル)」にあった
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「神々の指紋」で有名なグラハム・ハンコックの最新作である。

グラハム・ハンコックの本には私が反応しやすいキーワードがちりばめられていて、オカルトであるとわかりつつも、ついつい新作が出ると手が伸びてしまう。この人のベストセラー連発は、結構、そういう確信犯的なファン層に支えられているのではないかと思う。娯楽SFだと思って読んでいる。

・グラハム ハンコック 日本公式サイト
http://grahamhancock.thd-web.jp/
ブログが登場。日本のファンが英語でコメントを書いている。

今度のテーマは「異次元(スーパーナチュラル)」である。古代の叡智(ハンコックお得意のテーマ)を現代に伝えたのは、エイリアンではなくて、シャーマンが異次元世界を通じて受け取ったメッセージであるという仮説である。異次元にいる知的生命体のメッセージによって人類は進化してきたとハンコックは主張するのだ。

人間がドラッグや瞑想によって変性意識状態に移行すると、洋の東西を問わず、似たような幻覚映像を見るものらしい。彼らにそのイメージを描かせると古代人の洞窟壁画と同じ模様を描くそうである。半分獣で半分人間の生き物を見たりもする。それはエジプトやギリシアの神話の神々に似ている。


私たちの先祖にスイッチを入れたもの、退屈な道具を使う猿から人間に変えたものは何だったか.......。それは「変性意識状態」で受けた体系的な教養です。《人類の古代の教師》と私が名付けたものです。

そして、ハンコック自身がアヤワスカという植物の幻覚剤を使うために、合法のブラジルへ出かけてその状態を何度も体験している。古代人が愛用した自然のドラッグである。異次元の知生体と交信してきたそうである。

グラハム・ハンコックの主張は非科学的だが、この人の着眼点は面白いものがある。古代のシャーマンたちが見ていた幻覚。それは異次元の存在かどうかはさておき、神のイメージの原型であり、宗教の始まりであったかもしれない。その体験に普遍性があるなら、なおさら信じる人が多くなっただろう。

ジョン・C・リリイの現代版みたいなアヤシイ研究である。

・ジョン・C・リリィ 生涯を語る
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/004756.html

・科学を捨て、神秘へと向かう理性
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/002634.html

・喪失と獲得―進化心理学から見た心と体
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/002945.html

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2006年12月14日

よみがえる恐竜・古生物 超ビジュアルCG版

3Dのコンピュータグラフィクスで恐竜を見たい人にオススメなのがこの図鑑とDVD。

英国BBCが1999年に総力をあげて実写のような恐竜番組を制作。

・よみがえる恐竜・古生物 超ビジュアルCG版