2005年07月05日

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・会社は誰のものか
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会社は誰のものか、タイムリーなテーマを、電通に20年勤務し数々の会社を眺めてきた著者が語る。私自身、会社の株主であり、経営者であり、実質従業員であるのでとても気になって読んだ。

・nozomu.net - 吉田望事務所 -
http://www.nozomu.net/
著者のサイト

歴史を振り返ってみると、会社のスタンスは以下の3つに分類されるという。

1 公器    会社は国家、国民のものである
2 近代組織  会社は株主のものである
3 従業員組合 会社は従業員のものである

そして、それぞれの経営者は、スタンスによって順に、

1 免許人
2 近代経営者
3 組合委員長

の3つがいるとする。

一昔前のゲームのルールでは、1,2,3の要素をうまく使って、できる三角形の面積を最大化するというものであった。それが次第に2(株主の利益)を尺度として頂に置いた上で、1と3を横の頂点とした背の高い三角形を作ることが、ルールとなったのだという。

だが、実際には2の高さを競っても、1と3の土台が広くなければ、変化のある経済の中では、脆弱な組織であると著者は指摘している。経済のグローバル化の中で、株主主権というスタンダード以外の会社は存在が難しくなってきていることを認めつつ、会社は株主のものという単純な図式の弱点をも指摘している。

思うに、もともとモノでないモノを法人というモノとして、誰のモノ?と問う最近の風潮がおかしいのではないかとも私は感じる。ライブドア問題にせよ、一連の大企業不祥事問題にせよ、最近の企業の危うさは、一元的に誰のモノと思い込んでしまった狭い視野に起因しているのではないかと考える。

そして、この本では、これからの時代の「新しい会社」の特徴を以下の7つにまとめている。

1 持ち株会社制度が進む
2 人的資本が見直される
3 社会的責任投資が論議される
4 ブランドの価値が高まる
5 大企業が産業政策を代行する
6 先祖がえりの可能性
7 最後に志が問われる

5の項ではマイクロソフトが約3.3兆円の特別配当を実施して、米国経済に有効需要を作り出してしまった例が取り上げられている。日本でこの役割ができるとしたらトヨタだと名指ししている。国家にできないことが企業にできるという一例であるが、一歩間違えば、国家体制を揺るがす危険もあるだろう。

結論の「企業は最も志の高い人のものである」(そうあるべきである)はそれにしても名言。まったくその通りだなと感銘。株を多く持つ人でなく、徳を多く持つ人が偉い徳式会社とか、よいかもしれないと考える。いや半分本気で。

特にネット企業の深い分析も多くて、とてもためになる本。


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Posted by daiya at 2005年07月05日 23:59 | TrackBack このエントリーを含むはてなブックマークこのエントリーをはてなブックマークに追加
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