2005年07月04日

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・本当にあった嘘のような話―「偶然の一致」のミステリーを探る
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この本は、偶然に二つの事象が発生すること=共時性についての二人のジャーナリストによる本である。途中、紹介されている駒澤大学小野教授の実験結果は偶然を信じる心理を明らかにする面白い実験だ。

被験者の学生の前に3本のコントロールレバーとカウンターを置く。レバーを引くと得点が出る。実はどうレバーを引いても総得点は変わらないのだが、それを知らない被験者は、高得点が出たときの自分の行為と結果を結びつけて考え始めたそうだ。

・迷信実験
http://www.komazawa-u.ac.jp/~ono/meishin.htm

セッション開始後約5分、レバーを引くのをいったん中断して、右手をレバーのフレームに置いたときポイントが出た。続いて彼女はテーブルによじのぼり、右手でカウンターに触れたところで、またポイントが出てきた。それからはシグナル灯、スクリーンやそれを掛ける釘、壁など、いろんなものを触りはじめた。約10分後、被験者が床に飛び降りたときにちょうどポイントが出たのを機に、ものに触れる動作が飛び降りる動作に入れ替わった。それが5回繰り返されたあと、被験者が飛び上がり、手に持ったスリッパで天井に触れたときにポイントが出た。飛んで天井に触れるという行動は繰り返され、ポイントも出たが、25分ごろに止まった。おそらく疲労したからだと思われる。

恐らくラスベガスのスロットマシンのお客の行動を調査すれば、同様の結果が出てくることだろう。

カナダのマニトバ大学の学生に対して何年もかけて行った調査では共時性の経験度が高い人は精神の健康度が高いらしい。偶然に意味を見出す人たちは人生を前向きにとらえて、楽しく生きている傾向があるからだそうだ。一方で、偶然に過剰に意味を見出す「アポフェニア」という性向が、ある種の心の病の兆候か原因である可能性があるとも言われる。

この本には無数の本当にあった嘘のような偶然が後半で紹介されている。だが、多くは直感するほど稀なことではないケースも多いようだ。たとえば、苗字が同じゴルファーが二人連続でホールインワンを達成する偶然というのがあったとする。

アマチュアである程度の腕前のゴルファーが二人連続でホールインワンを達成する確率は、ざっと18億5千万分の1。だが、イギリスでは、200万人のゴルファーが週に平均2回ラウンドしている。合計すると年間に2億ラウンド以上、36億ホールになる。18億5千万分の1であっても、年に1度や2度起きていておかしくないのだ。

「コントロールの錯覚」が共時性を感じてしまう原因のひとつとして挙げられている。人間が信号に近づいたときに「変われ」と思うことはよくあるが、そのときに実際に信号が変わると、自分の力が関与したと感じる心理だ。

人類は出来事を関連づける能力によって繁栄してきた。無関係な事柄に意味を見出してしまうのは一種の適応能力であるかもしれない。米国大統領ケネディとリンカーンの二人は共通する偶然の一致が多数あると言われる。二人はそれぞれ1846年と1946年に議員に選出され、1860年と1960年に当選し、苗字はそろって7文字で、ともに市民権運動に取り組み、金曜日に銃で暗殺された。これだけ読むと何か運命のようなものを感じてしまう。

だが、スケプティカル・インクワイアラー誌が世界の指導者同士の「驚くべき偶然の一致」を見つけるコンテストを開催したところ、優勝はケネディ大統領とメキシコのアルバロ・オブレゴン大統領との不可解な16の類似点の発見というものだったそうだ。

さて、昨日に続いて偶然と必然について書いているが、このテーマは学生時代によく考えたテーマだった。その頃、夢中に解読に励んでいたのが、ユングのシンクロニシティ研究を追ったこの本。

・シンクロニシティ
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穏れた次元と創造的な宇宙。ユング心理学、量子論、ナスカピ・インディアンの託宣、中国古代文明、デヴィッド・ボームの内蔵秩序、ルパート・シェルドレイクの形態形成場、プリゴジーヌ、グノーシス主義のプレローマ…

この本、後半は難解になり、ユングの晩年に書いたシンクロニシティの神秘を描いた図が掲載されていたような気がする。私にとっては強烈なイメージを残した独特な本だった。今思い起こすと、ほとんど神秘思想に近い内容だったように思うが、大学者ユングが晩年に熱中していたのは妄想だったのだろうか。私が読みが足りないのかはまだわからない。
結局、偶然に何を見るかは、人生観であり世界観であり、宇宙観でもあるということ。

・SYNC なぜ自然はシンクロしたがるのか
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/003279.html

・セレンディピティ・マシン 未知なる世界、発見への航海
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/003287.html

・偶然からモノを見つけだす能力―「セレンディピティ」の活かし方
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/001168.html

・確率的発想法 数学を日常に活かす
http://www.ringolab.com/note/daiya/archives/001290.html


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Posted by daiya at 2005年07月04日 23:59 | TrackBack このエントリーを含むはてなブックマークこのエントリーをはてなブックマークに追加
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