2004年02月09日

記憶力を高める50の方法このエントリーを含むはてなブックマークこのエントリーをはてなブックマークに追加


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・記憶力を高める50の方法
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医学博士で脳科学者の権威が書いた一般向けの記憶術のノウハウ本。理論から実践までを平易な言葉で、まとめている。

■恥をかく、汗をかく、字をかく、で記憶する

著者は、「3かく」が記憶に役立つと述べている。「恥をかく」「汗をかく」「字をかく」だそうだ。自分にそのようにして記憶された知識があるかどうか振り返ってみる。あるあるあるある

昨年の赤恥な思い出。ネットエイジの西川さんを中心に、あるテーマで新規ビジネスのアイデアだし。私は「そうすると粗利の高いビジネスになりますね」と発言した。一同、「ソリ???」。一瞬の沈黙の後、「ああ、そういういい間違えってあるよね」と笑い。そう、私は「アラリ」を「ソリ」と覚えてしまっていた。(言い訳になるが「アラリ」という読み方は知っていたのだけれど)、本を読む際に心の中でなぜか「ソリ」と繰り返している間に間違って記憶してしまった。

もうひとつ、ついでに青恥の披露。私は神奈川県藤沢市に住んでいる。東海道線で渋谷・表参道まで毎日往復3時間近くかけて通勤している。都内と藤沢の往復の中で、学生時代から数えると何十回となく終電を寝過ごして帰れなくなることがあった。学生の頃の最長記録は、平塚だった。電車で数駅なのでたいしたことないだろうと、深夜12時から私は徒歩で藤沢まで歩いた。ところが実はこれ大変で、なんと15キロもあることを身をもって知った。真夏だったので汗をかきまくりながら深夜3時に帰宅した。

社会人になってからは長距離の寝過ごしも少なくなったが、1ヶ月くらい前に、最長記録を更新した。今度はほとんど観光地の「大磯」までいってしまったのだ。歩いて帰れないことはさすがに分かったので、タクシーで6000円かけて帰宅。交通費清算できないので、痛い出費。

・粗利はアラリであること
・平塚ー藤沢は15キロで歩くとどれくらい大変かということ
・深夜タクシーで帰ると大磯ー藤沢間は6000円であること

この3つの情報を私は忘れることがないと思う。

恥と汗の記憶効果はすばらしい。でも、意図的にやりたいとは思えない。

#パソコンを使って文章を作ってばかりなので「字をかく」の経験は該当なし。

■記憶の理論のオンパレード

著者は記憶の研究について基礎から一般向けに整理してくれる。

陳述的記憶と手続き記憶に大きく大別され、それぞれが、さらに細かな記憶の種類に分類できる。脳科学や認知心理学の本にも同じような記述がある一般論であるが、平易な分かりやすいことばで総括していて読みやすい。記憶に残りやすい。

陳述的記憶
  エピソード記憶 物語化された記憶
  意味記憶 記号と意味

手続き的記憶
  条件反射 パブロフの犬のように刺激に反応する記憶
  熟練技能 自転車の乗り方や楽器演奏の技術
  認知技能 スポーツやゲームなど半分無意識にある記憶

2日経過すると、70%を忘れてしまうという有名なエビングハウスの忘却曲線の話。身体の部位と脳の特定の部位は、対応関係を持っていて、右手親指はここ、眼はここという具合に地図に描くことができるというペンフィールドのマップの話。

脳科学の専門書を読まなくても、記憶の向上に必要な脳の概要理解と、ノウハウが50の章から学べるように構成されている。

■語呂あわせやアイドルポスター?裏技から生活習慣までカバー

奇想天外でバカげていて性的な意味を持つ語呂あわせがいいとか、アイドルのポスターのバストなど、気になる部分にメモを貼り付けて眺めると忘れないとか、そういった裏技的な実践ノウハウも多数紹介される。

医者の知識を活かして、栄養や睡眠との関係を論じ、記憶力を高める食事や睡眠の方法まで、アドバイスがある。一夜漬けの可否など、読んでいると学生時代を思い出してしまう。大人になってから、記憶力を試されることが少なくなったが、知的生産性のベース部分で、どれだけの量を記憶し、保持し、想起できるかの能力は、仕事の差に少なくない影響を与えているに違いないと感じた。

この本、一言で形容すると、「テレビの生活ノウハウ番組「あるある大辞典」の記憶力増強特集を5本くらい一遍に見たような読後感の得られる本」、という感じだ。(分かってもらえるだろうか?。)

■脳科学はどう実用されるのか?気になったテレビ番組と映画

記憶といえば、正月にCSのディスカバリチャンネルで興味深い番組を観た。

・サヴァン症候群と脳の不思議
http://japan.discovery.com/series/serintro.php?id=318

サヴァン症候群という珍しい障害がある。世界でも150人程度しかいないらしいが、彼らは知的障害を持っていると同時に驚異的な記憶力や計算力を持っている。何千年分の年表を暗記し、日付を言えば即座に曜日を答えることができたり(計算しないと無理)、ネットの経路探索のように、道路網や鉄道網の地図を暗記しており、自在に最短経路をはじき出すことができる。見たままを写真のように精確に絵に描く患者もいる。

サヴァン症候群の患者は、脳の一部が損傷している代わりに、別の部位が異常に発達してしまった人たちであるらしい。稀にだが、一般人でも事故などを機に、通常の判断能力と同時にカレンダー計算能力などを持ってしまう人がいるという。

この番組では、実際の患者のドキュメンタリ部分も驚きだったが、後半で研究者の博士が、健常者の左脳に一定時間電極を取り付け、電気刺激を与えて不活性化することで、右脳を活性化させる実験もさらに驚いた。なんと、人為的な刺激を与えるだけで、計算能力が高まったり、絵が上手になったりするのだ。

脳科学は今までは脳の中身を分析するばかりだったが、未来の脳科学は驚異的な記憶力を作り出したり、天才を人為的に生み出す学問に変化していくのではないか?と予感した。

遺伝子操作による天才量産よりも、明るい考え方かもしれない。

遺伝子選別による未来社会の恐怖をドラマティックに描いた映画「ガタカ」という名作があるけれど

・ガタカ
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こういう世界になったらたまらない。それに、やっぱり、子孫だけでなくて、私たち自身がその科学の便利さを体験してみたいですからね。


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Posted by daiya at 2004年02月09日 23:59 | TrackBack このエントリーを含むはてなブックマークこのエントリーをはてなブックマークに追加
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